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【発明の名称】 加速度センサ
【発明者】 【氏名】仲谷 吾郎

【要約】 【課題】製造工程を簡素化し、製造コストの低減を図ることができる、熱感知型の加速度センサを提供する。

【構成】加速度センサ1は、発熱チップ2とセンサチップ3とを備えている。発熱チップ2の表面4には、抵抗素子8が設けられている。センサチップ3の表面12には、熱電対素子14が設けられている。発熱チップ2とセンサチップ3とは、各表面4,12を互いに対向させたフェースツーフェース状態で接合されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に発熱素子が形成された発熱チップと、
表面に熱電対素子が形成され、その表面を前記発熱チップの表面に対向させて配置されたセンサチップとを含むことを特徴とする、加速度センサ。
【請求項2】
前記発熱チップと前記センサチップとの間に介在され、前記発熱チップおよび前記センサチップを所定間隔を隔てた状態で互いに結合するバンプをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記バンプは、Au(金)材料を用いて、前記発熱チップの表面に突出して形成された発熱チップ側バンプと、Au材料を用いて、前記センサチップの表面に突出して形成されたセンサチップ側バンプと、Sn(錫)材料を用いて形成され、前記発熱チップ側バンプと前記センサチップ側バンプとを接続するための接続金属部とを有することを特徴とする、請求項2に記載の加速度センサ。
【請求項4】
前記発熱チップおよび前記センサチップを封止する樹脂パッケージをさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、熱感知型の加速度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
最近、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の注目度が高まっている。MEMSは、半導体微細加工技術などによって製造される微細な電子機械システム部品/素子であり、その代表的なものとして、物体の加速度を検出するための加速度センサが知られている。
たとえば、熱感知型の加速度センサは、表面に凹部が形成された基板と、凹部上に架設された4つの熱電対と、4つの熱電対の中心に配置されたヒータとを備えている。4つの熱電対のうち、2つの熱電対は、ヒータに対してX軸に沿って互いに反対側に等間隔を隔てて配置され、残りの2つの熱電対は、ヒータに対してX軸と直交するY軸に沿って互いに反対側に等間隔を隔てて配置されている。
【0003】
ヒータに通電されると、ヒータからの発熱により周囲の空気が加熱され、X軸方向およびY軸方向にそれぞれ対称な温度勾配が生じる。X軸上およびY軸上にそれぞれ配置された熱電対の対は、ヒータから等間隔を隔てた位置に配置されているので、この加速度センサが静止している状態では、各対の熱電対により検出される温度の差は零である。これに対し、加速度センサにX軸方向の加速度が加わると、空気の温度分布がX軸方向にシフトし、X軸上に配置された熱電対の対により検出される温度に差が生じる。また、加速度センサにY軸方向の加速度が加わると、空気の温度分布がY軸方向にシフトし、Y軸上に配置された熱電対の対により検出される温度に差が生じる。したがって、各対の熱電対により検出される温度の差に基づいて、加速度センサに加わる加速度の方向および大きさを検出することができる。
【特許文献1】特開2005−351892号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、前述の熱感知型の加速度センサでは、基板の表面に凹部を形成し、この凹部上にヒータおよび4つの熱電対を架設しなければならないため、製造工程が複雑であり、コストが高くついてしまう。
そこで、この発明の目的は、製造工程を簡素化し、製造コストの低減を図ることができる、熱感知型の加速度センサを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記の目的を達成するための請求項1に記載の発明は、表面に発熱素子が形成された発熱チップと、表面に熱電対素子が形成され、その表面を前記発熱チップの表面に対向させて配置されたセンサチップとを含むことを特徴とする、加速度センサである。
この構成によれば、発熱チップの発熱素子側の表面に対して、センサチップの熱電対素子側の表面が対向配置されている。発熱チップの発熱素子に通電されると、その発熱素子からの発熱がセンサチップに向けて放射される。この熱放射の状態は、加速度センサに加速度が加わると変化する。したがって、その熱放射の状態の変化を熱電対素子により検出すれば、加速度センサに加速度が加えられたか否かを検出することができる。
【0006】
そして、従来の熱感知型の加速度センサの製造工程では、基板に凹部を形成したり、その凹部上にヒータや熱電対を架設したりする工程が必要であるが、この加速度センサの製造工程では、それらの工程が不要である。そのため、製造工程が簡素であり、低コストで製造することができる。
なお、前記センサチップの表面において、前記発熱素子と対向する位置を挟む両側に、それぞれ1個の熱電対素子が配置されていれば、それらの熱電対素子の対により検出される温度の差に基づいて、熱電対素子の並び方向における加速度の大きさを検出することができる。また、それらの各熱電対素子に対して前記並び方向と直交する方向に間隔を隔てて、熱電対素子がさらに配置されていれば、前記並び方向と直交する方向における加速度の大きさも検出することができる。
【0007】
前記センサチップは、前記発熱チップの上方に配置されていることが好ましい。このような配置であれば、発熱素子からの発熱が熱電対素子に良好に達するので、発熱素子の発熱量の低減および/または熱電対素子の感度の向上を図ることができる。
請求項2に記載の発明は、前記発熱チップと前記センサチップとの間に介在され、前記発熱チップおよび前記センサチップを所定間隔を隔てた状態で互いに結合するバンプをさらに含むことを特徴とする、請求項1に記載の加速度センサである。
【0008】
この構成によれば、発熱チップとセンサチップとの間にバンプが介在されることにより、発熱チップとセンサチップとの間隔を所定間隔に精度よく保持することができる。そのため、熱電対素子により発熱素子からの熱放射の状態の変化を良好に検出することができ、加速度センサに加えられる加速度を良好に検出することができる。
請求項3に記載の発明は、前記バンプは、Au(金)材料を用いて、前記発熱チップの表面に突出して形成された発熱チップ側バンプと、Au材料を用いて、前記センサチップの表面に突出して形成されたセンサチップ側バンプと、Sn(錫)材料を用いて形成され、前記発熱チップ側バンプと前記センサチップ側バンプとを接続するための接続金属部とを有することを特徴とする、請求項2に記載の加速度センサである。
【0009】
この構成によれば、発熱チップとセンサチップとの間に介在されるバンプが、Au材料からなる発熱チップ側バンプおよびセンサチップ側バンプを、Sn材料からなる接続金属部で接続することにより形成される。Sn材料はAn材料よりも融点が低いので、発熱チップ側バンプおよび/またはセンサチップ側バンプの先端に接続金属部の材料であるSn材料を設け、発熱チップ側バンプとセンサチップ側バンプとを突き合わせた状態で、熱を加えてSn材料を溶融させることにより、発熱チップ側バンプとセンサチップ側バンプとを確実に接続することができる。
【0010】
請求項4に記載の発明は、前記発熱チップおよび前記センサチップを封止する樹脂パッケージをさらに含むことを特徴とする、請求項1ないし3のいずれかに記載の加速度センサである。
この構成によれば、発熱チップおよびセンサチップが樹脂パッケージで封止されているので、発熱素子からの熱放射の状態が樹脂パッケージの外部からの影響を受けて変化することを防止することができる。そのため、熱電対素子により発熱素子からの熱放射の状態の変化を良好に検出することができ、加速度センサに加えられる加速度を良好に検出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下では、この発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、この発明の一実施形態に係る加速度センサの構成を示す図解的な断面図である。
加速度センサ1は、熱感知型の加速度センサである。この加速度センサ1は、発熱チップ2とセンサチップ3とを互いの表面を対向させた状態で接合した、チップ・オン・チップ構造を有している。
【0012】
発熱チップ2は、平面視略矩形状に形成されており、その表面4を上方に向けたフェイスアップ姿勢で、リードフレーム5のアイランド部6にダイボンディングされている。この発熱チップ2の表面4には、その中央部に、センサチップ3が接合される略矩形状のチップ接合領域が設定されている。
チップ接合領域には、複数の発熱チップ側バンプ7が、チップ接合領域の周縁に沿って互いに間隔を隔てて配置されている。各発熱チップ側バンプ7は、Au材料を用いて、表面4から突出して形成されている。さらに、チップ接合領域には、たとえば、4個の発熱素子としての抵抗素子8が作り込まれている。
【0013】
また、発熱チップ2の表面4には、チップ接合領域を取り囲む周縁部に、複数の外部接続用パッド9が設けられている。この外部接続用パッド9は、ボンディングワイヤ10を介して、リードフレーム5のリード部11に電気的に接続(ワイヤボンディング)されている。
センサチップ3は、平面視において発熱チップ2よりも小さな略矩形状に形成されており、その表面12を下方に向けたフェイスダウン姿勢で、発熱チップ2の表面4のチップ接合領域に接合されている。
【0014】
センサチップ3の表面12には、複数のセンサチップ側バンプ13が、発熱チップ2の各発熱チップ側バンプ7と対向する位置に配置されている。各発熱チップ側バンプ7は、Au材料を用いて、表面12から突出して形成されている。さらに、センサチップ3の表面には、たとえば、16個の熱電対素子14が作り込まれている。
発熱チップ2とセンサチップ3とが接合された状態で、発熱チップ2の各発熱チップ側バンプ7とセンサチップ3の各センサチップ側バンプ13とは、互いに頂面を突き合わせて対向し、Sn材料からなる接続金属部15を挟んで接続されている。
【0015】
発熱チップ2とセンサチップ3との接合前の状態において、センサチップ3の各センサチップ側バンプ13の頂面には、接続金属部15の材料であるSn材料が塗布されている。そして、発熱チップ2とセンサチップ3とが接合されて、発熱チップ2の各発熱チップ側バンプ7とセンサチップ3の各センサチップ側バンプ13とが突き合わされた状態で、熱処理が行われると、各センサチップ側バンプ13の頂面のSn材料が溶融する。これにより、各発熱チップ側バンプ7と各センサチップ側バンプ13との間に接続金属部15が形成され、この接続金属部15により各発熱チップ側バンプ7と各センサチップ側バンプ13とを確実に接続することができる。
【0016】
各発熱チップ側バンプ7と各センサチップ側バンプ13とが接続金属部15を介して接続されることにより、発熱チップ2およびセンサチップ3は、発熱チップ側バンプ7とセンサチップ側バンプ13とを接続金属部15で接続して形成される各バンプを介して、電気的に接続され、かつ、互いの間に所定間隔を保った状態で機械的に接続される。
そして、発熱チップ2およびセンサチップ3は、リードフレーム5およびボンディングワイヤ10とともに、樹脂パッケージ16により封止されている。リードフレーム5のリード部11の一部は、樹脂パッケージ16から露出し、プリント配線基板などとの外部接続部(アウターリード部)として機能する。
【0017】
図2は、センサチップ3の表面12を示す平面図である。この図2において、発熱チップ2の各抵抗素子8がセンサチップ3の表面12に投影して示されている。また、図2では、センサチップ3のセンサチップ側バンプ13の図示が省略されている。
発熱チップ2の4個の抵抗素子8は、発熱チップ2の表面4において、チップ接合領域の中心に対してそのチップ接合領域の1辺に沿うX方向の両側にそれぞれ1個ずつ配置され、チップ接合領域の中心に対してX方向と直交するY方向の両側にそれぞれ1個ずつ配置されている。チップ接合領域の中心に対してX方向の両側に配置された各抵抗素子8は、チップ接合領域の中心からX方向に等間隔を隔てた位置でY方向に延びている。一方、チップ接合領域の中心に対してY方向の両側に配置された各抵抗素子8は、チップ接合領域の中心からY方向に等間隔を隔てた位置でX方向に延びている。
【0018】
センサチップ3の16個の熱電対素子14は、各抵抗素子8に4個ずつ対応づけられている。X方向に延びる各抵抗素子8に対応づけられた4個の熱電対素子14は、センサチップ3の表面12において、センサチップ3の表面12への各抵抗素子8の投影に対して、そのY方向の両側に互いに対称をなすように2個ずつ配置されている。また、Y方向に延びる各抵抗素子8に対応づけられた4個の熱電対素子14は、センサチップ3の表面12において、センサチップ3の表面12への各抵抗素子8の投影に対して、そのX方向の両側に互いに対称をなすように2個ずつ配置されている。
【0019】
なお、以下では、X方向に延びる各抵抗素子8に対応づけられた4個の熱電対素子14において、抵抗素子8の投影に対してそのY方向に対称をなす2個の熱電対素子14の対を、単に「Y方向の熱電対素子14の対」という。また、Y方向に延びる各抵抗素子8に対応づけられた4個の熱電対素子14において、抵抗素子8の投影に対してそのX方向に対称をなす2個の熱電対素子14の対を、単に「X方向の熱電対素子14の対」という。
【0020】
図3は、抵抗素子8からの熱放射の状態を説明するための図である。
発熱チップ2の各抵抗素子8に通電されると、各抵抗素子8からの発熱がセンサチップ3に向けてX方向およびY方向に均等に放射される。
Y方向の熱電対素子14の対は、センサチップ3の表面12への各抵抗素子8の投影に対してY方向に互いに対称に配置されているので、この加速度センサ1が静止している状態では、その対をなす各熱電対素子14により検出される温度の差は零である。また、X方向の熱電対素子14の対は、センサチップ3の表面12への各抵抗素子8の投影に対してX方向に互いに対称に配置されているので、この加速度センサ1が静止している状態では、その対をなす各熱電対素子14により検出される温度の差は零である。
【0021】
そして、この加速度センサ1にX方向の加速度が加わると、図3に破線矢印で示すように、各抵抗素子8からの発熱の放射方向がX方向に偏る。そのため、X方向の熱電対素子14の対をなす各熱電対素子14により検出される温度に差が生じる。また、加速度センサ1にY方向の加速度が加わると、各抵抗素子8からの発熱の放射方向がY方向に偏る。そのため、Y方向の熱電対素子14の対をなす各熱電対素子14により検出される温度に差が生じる。したがって、X方向の熱電対素子14の各対およびY方向の熱電対素子14の各対により検出される温度の差に基づいて、この加速度センサ1に加わる加速度の方向および大きさを検出することができる。
【0022】
なお、センサチップ3は、発熱チップ2の上方に配置されていることが好ましい。このような配置であれば、各抵抗素子8からの発熱が各熱電対素子14に良好に達するので、各抵抗素子8の発熱量の低減および/または各熱電対素子14の感度の向上を図ることができる。
以上のように、この加速度センサ1では、発熱チップ2の表面4に抵抗素子8が設けられ、センサチップ3の表面12に熱電対素子14が設けられて、それらの発熱チップ2とセンサチップ3とが各表面4,12を互いに対向させたフェースツーフェース状態で接合されている。このような構成の加速度センサ1の製造工程では、従来の熱感知型の加速度センサの製造工程で手間を要する工程(基板に凹部を形成したり、その凹部上にヒータや熱電対を架設したりする工程)を不要とすることができる。そのため、加速度センサ1は、その製造工程が簡素であり、低コストで製造することができる。
【0023】
また、発熱チップ2とセンサチップ3との間に、発熱チップ側バンプ7とセンサチップ側バンプ13とを接続金属部15で接続して形成されるバンプが介在されることにより、発熱チップ2とセンサチップ3との間隔を所定間隔に精度よく保持することができる。そのため、各熱電対素子14により各抵抗素子8からの熱放射の状態の変化を良好に検出することができ、この加速度センサ1に加えられる加速度を良好に検出することができる。
【0024】
さらにまた、発熱チップ2およびセンサチップ3が樹脂パッケージ16で封止されているので、各抵抗素子8からの熱放射の状態が樹脂パッケージ16の外部からの影響を受けて変化することを防止することができる。そのため、各熱電対素子14により抵抗素子8からの熱放射の状態の変化を良好に検出することができ、加速度センサ1に加えられる加速度をより良好に検出することができる。
【0025】
以上、この発明の一実施形態を説明したが、この発明は他の形態で実施することもできる。たとえば、前述の実施形態では、発熱チップ2に4個の抵抗素子8が設けられている構成を例示したが、発熱チップ2に設けられる抵抗素子8の個数は、1〜3個であってもよいし、5個以上であってもよい。
また、各抵抗素子8に対応づけて4個の熱電対素子14が設けられている構成を例示したが、各抵抗素子8に対応づけて1個以上の熱電対素子14が設けられるとよい。
【0026】
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】この発明の一実施形態に係る加速度センサの構成を示す図解的な断面図である。
【図2】センサチップの表面を示す平面図である。
【図3】抵抗素子からの熱放射の状態を説明するための図である。
【符号の説明】
【0028】
1 加速度センサ
2 発熱チップ
3 センサチップ
4 表面
7 発熱チップ側バンプ
8 抵抗素子
12 表面
13 センサチップ側バンプ
14 熱電対素子
15 接続金属部
16 樹脂パッケージ
【出願人】 【識別番号】000116024
【氏名又は名称】ローム株式会社
【出願日】 平成18年8月3日(2006.8.3)
【代理人】 【識別番号】100087701
【弁理士】
【氏名又は名称】稲岡 耕作

【識別番号】100101328
【弁理士】
【氏名又は名称】川崎 実夫


【公開番号】 特開2008−39519(P2008−39519A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−212352(P2006−212352)