トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 力学量センサ
【発明者】 【氏名】藤井 哲夫

【氏名】川崎 栄嗣

【要約】 【課題】力学量を正確に検出しつつ、センサ面積が大型化しない構造の力学量センサを提供すること。

【構成】第1力学量検出手段(例えば容量式加速度センサ)を有する第1基板(シリコン製センサ基板)と、第2力学量検出手段(例えばピエゾ式圧力センサ)を有するとともに、第1基板に当接する第2基板(シリコン製センサ基板)とを備え、第1基板に、第2基板が対向して当接することにより封止空間が形成され、この封止空間内に第1力学量検出手段を封止することで、第1力学量検出手段を保護する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1力学量検出手段(23,24)を有する第1基板(21)と、
第2力学量検出手段(32,132,133)を有するとともに、前記第1基板(21)に当接する第2基板(31,151)とを備え、
前記第1基板(21)に、前記第2基板(31,151)が対向して当接することにより封止空間(37)が形成され、
前記第1力学量検出手段(23,24)は、前記封止空間(37)に配置されることを特徴とする力学量センサ。
【請求項2】
前記第1力学量検出手段(23,24)は、可動電極(23a)と該可動電極(23a)に対向する固定電極(24a)とを備えるとともに、該可動電極(23a)と該固定電極(24a)との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする請求項1に記載の力学量センサ。
【請求項3】
前記第1力学量検出手段(23,24)に加えて、前記第2力学量検出手段が前記封止空間(37)に配置されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の力学量センサ。
【請求項4】
前記第2力学量検出手段は、可動電極と該可動電極に対向する固定電極を備えるとともに、該可動電極と該固定電極との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項5】
前記第2基板(31,151)には、前記第1力学量検出手段(23,24)の入力信号または出力信号を該第2基板上に伝達する貫通電極(111)が設けられることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項6】
前記第2基板は、力学量検出方向に対して垂直な方向に延設されたダイヤフラム(31)を有し、
前記第2力学量検出手段は、前記ダイヤフラム(31)の該力学量検出方向への歪量を検出する歪量検出素子(32)であり、
前記歪量検出素子(32)が検出した歪量から力学量が検出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の力学量センサ。
【請求項7】
前記第2基板は、力学量検出方向に対して垂直な方向に延設されるとともに、可動電極(23a)を有するダイヤフラム(31)を有し、
前記第2力学量検出手段は、前記可動電極(132)と、該可動電極(132)に対向する固定電極(133)とからなり、
前記可動電極(132)と前記固定電極(133)との間の静電容量の変化量に基づいて、前記ダイヤフラム(31)に印加された力学量が検出されることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の力学量センサ。
【請求項8】
前記封止空間は、前記第2力学量検出手段(32,132,133)が力学量を検出する際の基準圧力室(37)であることを特徴とする請求項1または請求項2または請求項6または請求項7に記載の力学量センサ。
【請求項9】
前記ダイヤフラム(31)は、圧力により変形する変形部(31a)と、
前記変形部(31a)を支持する枠部(31b)とからなり、
前記枠部(31b)に、前記第1力学量検出手段(23,24)の入力信号または出力信号を枠部上に伝達する貫通電極(111)が設けられることを特徴とする請求項6から請求項8のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項10】
前記第1力学量検出手段(23,24)と前記第2力学量検出手段(32,132,133)とが対向することを特徴とする請求項1から請求項9のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項11】
前記第1基板(21)と、前記第2基板(31,151)とは、ハンダ(91,92)を介して固定され、
前記ハンダ(91)は、前記第2力学量検出手段(32,132,133)の信号を前記第1基板(21)に設けられた配線に伝達することを特徴とする請求項1から請求項10のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項12】
前記第1基板(21)は、支持層(25)に絶縁層(26)を積層し、さらに該絶縁層(26)に導電層(21)を積層した構造を有し、
前記第1力学量検出手段(23,24)は前記導電層(21)に形成されるとともに、該第1力学量検出手段(23,24)の検出信号は、前記絶縁層(26)と該導電層(21)との間に挟設された下部配線(24c)を通じて、前記導電層(21)の前記第2基板(31,151)側端面に伝達されることを特徴とする請求項1から請求項11のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項13】
前記第1基板(21)と、前記第2基板(31,151)との間には、気密リング(93,101)が挟設されることを特徴とする請求項1から請求項12のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項14】
前記第1基板(21)は、第1処理回路(40b)と、該第1処理回路(40b)と前記第1力学量検出手段(23,24)とを電気的に接続する配線とを備えることを特徴とする請求項1から13のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項15】
前記第2基板(151)は、第2処理回路(40a)と、該第2処理回路(40a)と前記第2力学量検出手段(32,132,133)とを電気的に接続する配線とを備えることを特徴とする請求項1から14のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項16】
前記第1力学量検出手段(23,24)と前記第2力学量検出手段(32,132,133)とは、半導体プロセスによって生成された半導体力学量センサであり、
前記第1力学量検出手段(23,24)と前記第2力学量検出手段(32,132,133)とは、互いに異なる方向の力学量を検出可能であることを特徴とする請求項1から請求項15のいずれかに記載の力学量センサ。
【請求項17】
第1力学量検出手段(32)を有する第1基板(31)と、
少なくとも前記第1力学量検出手段(32)からの出力信号を処理する処理回路(40)を有するとともに、前記第1基板(31)に当接する第2基板(240)とを備え、
前記第1基板(31)に、前記第2基板(240)が対向して当接することにより封止空間(37)が形成されることを特徴とする力学量センサ。
【請求項18】
第1力学量検出手段(23,24)を有する第1基板(21)と、
少なくとも前記第1力学量検出手段(23,24)からの出力信号を処理する処理回路(40)を有するとともに、前記第1基板(21)に当接する第2基板(240)とを備え、
前記第1基板(21)に、前記第2基板(240)が対向して当接することにより封止空間(37)が形成され、
前記第1力学量検出手段(23,24)は、前記封止空間(37)に配置されることを特徴とする力学量センサ。
【請求項19】
前記処理回路(40)は、前記第2基板(240)において、前記封止空間(37,246)に当接する側の面に形成されることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の力学量センサ。
【請求項20】
前記第2基板(240)は、前記処理回路(40)を覆う保護膜(241)を有し、
前記保護膜(241)の内部には、前記処理回路(40)と電気的に接続する配線(161)が埋設され、
前記配線(161)は、前記第1基板(21,31)に設けられた貫通電極(111)を介して、前記第1力学量検出手段(23,24,32)に電気的に接続することを特徴とする請求項19に記載の力学量センサ。
【請求項21】
前記処理回路(40)は、前記第2基板(240)において、前記封止空間(37,246)に当接する側とは反対側の面に形成されることを特徴とする請求項17または請求項18に記載の力学量センサ。
【請求項22】
前記封止空間(37,246)は、前記処理回路(40)が形成された前記第2基板(240)の面とは反対側の面に設けられた窪み(244)と、前記第1基板(31)との間の空間であることを特徴とする請求項21に記載の力学量センサ。
【請求項23】
前記第2基板(240)は、前記処理回路(40)を覆う保護膜(241)を有し、
前記保護膜(241)の内部には、前記処理回路(40)と電気的に接続する第1配線(161)が埋設され、
前記第1配線(161)は、前記第1基板(21,31)に設けられた第1貫通電極(111)を介して、前記第1基板上に設けられた第2配線(24c)と接続し、
前記第2配線(24c)は、前記第1基板に設けられた第2貫通電極(111)を介して、前記第1力学量検出手段(23,24,32)に電気的に接続することを特徴とする請求項21または請求項22に記載の力学量センサ。
【請求項24】
前記第1力学量検出手段(23,24)は、可動電極(23a)と該可動電極(23a)に対向する固定電極(24a)とを備えるとともに、該可動電極(23a)と該固定電極(24a)との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする請求項18に記載の力学量センサ。
【請求項25】
前記第1基板(31,151)には、前記第1力学量検出手段(23,24)の入力信号または出力信号を該第2基板上に伝達する貫通電極(111)が設けられることを特徴とする請求項18に記載の力学量センサ。
【請求項26】
前記第1基板(21)は、支持層(25)に絶縁層(26)を積層し、さらに該絶縁層(26)に導電層(21)を積層した構造を有し、
前記第1力学量検出手段(23,24)は前記導電層(21)に形成されるとともに、該第1力学量検出手段(23,24)の検出信号は、前記絶縁層(26)と該導電層(21)との間に挟設された下部配線(24c)を通じて、前記導電層(21)の前記第2基板(31,151)側端面に伝達されることを特徴とする請求項18に記載の力学量センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、力学量センサに関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサと他の力学量検出センサとをまとめてモジュール化する技術として、特開2002−286571号公報の技術(以下、特許文献1)や、「電波新聞ハイテクノロジー」2004年5月13日号に開示の技術(以下、非特許文献1)が知られている。
【0003】
特許文献1に開示されている技術は、タイヤの空気圧を検出する圧力検出機能と、タイヤの回転速度を検出する速度検出機能とを備えた圧力速度センサに関する。この圧力速度センサは、圧力を受けるダイヤフラムと、ハウジングとで密閉された基準圧力室内に、圧力検出用の可動電極および固定電極と、速度検出用の可動電極および固定電極とを備える。圧力および速度は、可動電極と固定電極との間の静電容量の変化によって検出される。そして、この圧力速度センサは、各電極を基準圧力室内に備えることで、塵埃の付着や酸等による電極の腐蝕を防止している。
【0004】
非特許文献1では、圧力検出機能を備えた圧力検出センサと加速度検出機能を備えた加速度センサとを同じダイに集積したタイヤ空気圧センサである。このタイヤ空気圧センサは、密閉された基準圧室とタイヤ内部の空気とを分断する圧力膜の基準圧力室側の面に、この圧力膜の変形を検出する圧力センサ(ピエゾ抵抗)を備え、圧力膜の変形からタイヤ空気圧を検出している。また、加速度センサは、基準圧力室とは別の密閉空間に設置されている。このように、圧力センサならびに加速度センサを密閉空間に設置することで、両センサを、タイヤ内部に存在する多くの化学物質(タイヤ硬化処理の残留物質、石鹸、水など)から保護している。
【0005】
また、特許文献2(例えば図28)には、可動部および固定部を有する加速度センサと、その加速度センサの出力信号を信号処理する信号処理回路とをパッケージに収納した構造が開示されている。
【特許文献1】特開2004−243806号公報
【非特許文献1】「電波新聞ハイテクノロジー2004年5月13日号」電波新聞社2004年
【特許文献2】特開平6−347475号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の技術は、構造が複雑であるばかりでなく構成部品も多く、かつ接合部が多数あり気密性に問題がある。さらにこのセンサは1つ1つ個別に製造しなければならず特性面においてばらつきが生じやすく高精度のものを多数製造する上で問題があった。一方、非特許文献1の装置は、圧力センサおよび加速度センサが同一のダイに並んで配置集積されるため、センサ面積が大型化するという問題がある。さらに、特許文献2のように、センサ部と信号処理回路とが同一平面上に配置されている場合には、センサ部と信号処理回路とを合わせたセンサ面積が大型化するという問題がある。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑み、力学量を正確に検出しつつ、センサ面積が大型化しない構造の力学量センサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1に記載の発明は、第1力学量検出手段を有する第1基板と、第2力学量検出手段を有するとともに、前記第1基板に当接する第2基板とを備え、前記第1基板に、前記第2基板が対向して当接することにより封止空間が形成され、前記第1力学量検出手段は、前記封止空間に配置されることを特徴とする。
【0009】
このように、第1力学量検出手段を封止空間内に封止することで、第1力学量検出手段を保護することができる。
【0010】
請求項2に記載の発明は、前記第1力学量検出手段は、可動電極と該可動電極に対向する固定電極とを備えるとともに、該可動電極と該固定電極との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする。
【0011】
このような第1力学量検出手段に力学量が作用すると、可動電極と固定電極との間の距離が変化し、可動電極と固定電極との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化から作用した力学量を演算することができる。
【0012】
請求項3に記載の発明は、前記第1力学量検出手段に加えて、前記第2力学量検出手段が前記封止空間に配置されることを特徴とする。
【0013】
このように、第2力学量検出手段を封止空間内に封止することで、第1力学量検出手段および第2力学量検出手段を保護することができる。
【0014】
請求項4に記載の発明は、前記第2力学量検出手段は、可動電極と該可動電極に対向する固定電極を備えるとともに、該可動電極と該固定電極との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする。
【0015】
このような第2力学量検出手段に力学量が作用すると、可動電極と固定電極との間の距離が変化し、可動電極と固定電極との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化から作用した力学量を演算することができる。
【0016】
請求項5に記載の発明は、前記第2基板には、前記第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を該第2基板上に伝達する貫通電極が設けられることを特徴とする。
【0017】
第2基板に貫通電極を設けることで、第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を第2基板上に伝達することができる。
【0018】
請求項6に記載の発明は、前記第2基板は、力学量検出方向に対して垂直な方向に延設されたダイヤフラムを有し、前記第2力学量検出手段は、前記ダイヤフラムの該力学量検出方向への歪量を検出する歪量検出素子であり、前記歪量検出素子が検出した歪量から力学量が検出されることを特徴とする。
【0019】
このように、ダイヤフラムの歪量を検出素子で検出することで、ダイヤムラムに印加された圧力を演算することができる。
【0020】
請求項7に記載の発明は、前記第2基板は、力学量検出方向に対して垂直な方向に延設されるとともに、可動電極を有するダイヤフラムを有し、前記第2力学量検出手段は、前記可動電極と、該可動電極に対向する固定電極とからなり、前記可動電極と前記固定電極との間の静電容量の変化量に基づいて、前記ダイヤフラムに印加された力学量が検出されることを特徴とする。
【0021】
このように、ダイヤフラムに圧力が作用すると、ダイヤフラムである可動電極と固定電極との間の距離が変化し、可動電極と固定電極との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化から作用した圧力を演算することができる。
【0022】
請求項8に記載の発明は、前記封止空間は、前記第2力学量検出手段が力学量を検出する際の基準圧力室であることを特徴とする。
【0023】
第1力学量検出手段が封止される封止空間を、圧力検出手段が圧力を検出する際の基準圧力室として使用することができる。
【0024】
請求項9に記載の発明は、前記ダイヤフラムは、圧力により変形する変形部と、前記変形部を支持する枠部とからなり、前記枠部に、前記第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を枠部上に伝達する貫通電極が設けられることを特徴とする。
【0025】
ダイヤフラムは、圧力により変形する変形部と、変形部を支持する枠部とからなる。そして、枠部に貫通電極を設けることで、第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を枠部上に伝達することができる。
【0026】
請求項10に記載の発明は、前記第1力学量検出手段と前記第2力学量検出手段とが対向することを特徴とする。
【0027】
第1力学量検出手段と第2力学量検出手段とを対向させた複合型力学量センサは、一枚の基板上に第1力学量検出手段と第2力学量検出手段とを併設した複合型力学量センサに比べて、小型化が可能である。
【0028】
請求項11に記載の発明は、前記第1基板と、前記第2基板とは、ハンダを介して固定され、
前記ハンダは、前記第2力学量検出手段の信号を前記第1基板に設けられた配線に伝達することを特徴とする。
【0029】
このようにハンダを設置することで、第1基板と前記第2基板とを固定するとともに、第2力学量検出手段の信号を前記第1基板に設けられた配線に伝達することができる。
【0030】
請求項12に記載の発明は、前記第1基板は、支持層に絶縁層を積層し、さらに該絶縁層に導電層を積層した構造を有し、前記第1力学量検出手段は前記導電層に形成されるとともに、該第1力学量検出手段の検出信号は、前記絶縁層と該導電層との間に挟設された下部配線を通じて、前記導電層の前記第2基板側端面に伝達されることを特徴とする。
【0031】
下部配線を用いることで、ワイヤボンディングによる接続に比べて、堅牢な構造を得ることができる。
【0032】
請求項13に記載の発明は、前記第1基板と、前記第2基板との間には、気密リングが挟設されることを特徴とする。
【0033】
気密リングを挟設することで、第1基板と第2基板との間の気密性を高めることができる。
【0034】
請求項14に記載の発明は、前記第1基板は、第1処理回路と、該第1処理回路と前記第1力学量検出手段とを電気的に接続する配線とを備えることを特徴とする。
【0035】
これにより、第1力学量検出手段による検出と、第1処理回路による検出結果の処理の両方を第1基板上で行うことができる。
【0036】
請求項15に記載の発明は、前記第2基板は、第2処理回路と、該第2処理回路と前記第2力学量検出手段とを電気的に接続する配線とを備えることを特徴とする。
【0037】
これにより、第2力学量検出手段による検出と、第2処理回路による検出結果の処理の両方を第2基板上で行うことができる。
【0038】
請求項16に記載の発明は、前記第1力学量検出手段と前記第2力学量検出手段とは、半導体プロセスによって生成された半導体力学量センサであり、前記第1力学量検出手段と前記第2力学量検出手段とは、互いに異なる方向の力学量を検出可能であることを特徴とする。
【0039】
このように、第1力学量検出手段による力学量の検出方向と、第2力学量検出手段による力学量の検出方向とを異なる方向に設定することによって、第1力学量検出手段と第2力学量検出手段とが互いに異なった力学量を検出することができる。
【0040】
請求項17に記載の発明は、第1力学量検出手段を有する第1基板と、少なくとも第1力学量検出手段からの出力信号を処理する処理回路を有するとともに、第1基板に当接する第2基板とを備え、第1基板に、第2基板が対向して当接することにより封止空間が形成されることを特徴とする。
【0041】
このように、第1基板と第2基板とを当接させて積層することにより、センサを小型化することができる。
【0042】
請求項18に記載の発明は、第1力学量検出手段を有する第1基板と、少なくとも第1力学量検出手段からの出力信号を処理する処理回路を有するとともに、第1基板に当接する第2基板とを備え、第1基板に、第2基板が対向して当接することにより封止空間が形成され、第1力学量検出手段は、封止空間に配置されることを特徴とする。
【0043】
このように、第1基板と第2基板とを当接させて積層することにより、センサを小型化することができる。さらに、第1力学量検出手段を、封止空間内に配置すれば、この第1力学量検出手段を保護することができる。
【0044】
請求項19に記載の発明は、処理回路は、第2基板において、封止空間に当接する側の面に形成されることを特徴とする。
【0045】
このように、処理回路を封止空間に当接する側の面に形成すれば、この処理回路を保護することができる。
【0046】
請求項20に記載の発明は、第2基板は、処理回路を覆う保護膜を有し、保護膜の内部には、処理回路と電気的に接続する配線が埋設され、配線は、第1基板に設けられた貫通電極を介して、第1力学量検出手段に電気的に接続することを特徴とする。
【0047】
このように、保護膜の内部に設けた配線と、貫通電極とを用いることで、第1力学量検出手段と処理回路との間に断線が発生することを抑制することができる。さらに、保護膜により処理回路を保護することができる。
【0048】
請求項21に記載の発明は、処理回路は、第2基板において、封止空間に当接する側とは反対側の面に形成されることを特徴とする。
【0049】
このように、封止空間に当接する側とは反対側の面に処理回路が存在すると、処理回路からの出力信号を取り出しやすい。具体例としては、処理回路や処理回路の出力配線を覆う保護膜の一部を除去して出力配線を露出させることで、処理回路からの出力信号を取り出すことが可能である。
【0050】
請求項22に記載の発明は、封止空間は、処理回路が形成された第2基板の面とは反対側の面に設けられた窪みと、第1基板との間の空間であることを特徴とする。
【0051】
これにより、第1基板と第2基板との間に絶縁膜などのスペーサを挟んでいない場合であっても、封止空間を確保することができる。さらに、第1基板と第2基板との間に絶縁膜などのスペーサを挟んだ場合であっても、窪みを設けない場合に比べて、封止空間の容量を大きく確保することが可能である。
【0052】
請求項23に記載の発明は、第2基板は、処理回路を覆う保護膜を有し、保護膜の内部には、処理回路と電気的に接続する第1配線が埋設され、第1配線は、第1基板に設けられた第1貫通電極を介して、第1基板上に設けられた第2配線と接続し、第2配線は、第1基板に設けられた第2貫通電極を介して、第1力学量検出手段に電気的に接続することを特徴とする。
【0053】
これにより、回路基板において処理回路が形成された面と、第1基板において第1力学量検出手段が形成される側の面とを対向させて、回路基板と第1基板とを積層することができる。
【0054】
請求項24に記載の発明は、第1力学量検出手段は、可動電極と可動電極に対向する固定電極とを備えるとともに、可動電極と固定電極との間の静電容量の変化に基づき力学量を検出することを特徴とする。
【0055】
このような第1力学量検出手段に力学量が作用すると、可動電極と固定電極との間の距離が変化し、可動電極と固定電極との間の静電容量が変化する。そして、この静電容量の変化から作用した力学量を演算することができる。
【0056】
請求項25に記載の発明は、第1基板には、第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を第2基板上に伝達する貫通電極が設けられることを特徴とする。
【0057】
第2基板に貫通電極を設けることで、第1力学量検出手段の入力信号または出力信号を第2基板上に伝達することができる。
【0058】
請求項26に記載の発明は、第1基板は、支持層に絶縁層を積層し、さらに絶縁層に導電層を積層した構造を有し、第1力学量検出手段は導電層に形成されるとともに、第1力学量検出手段の検出信号は、絶縁層と導電層との間に挟設された下部配線を通じて、導電層の第2基板側端面に伝達されることを特徴とする。
【0059】
下部配線を用いることで、ワイヤボンディングによる接続に比べて、堅牢な構造を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0060】
以下、実施例1から実施例10を用いて、本発明を実施するための最良の形態を述べる。
【0061】
〔実施例1〕
本実施例では、図1から図8および図36を用いて説明を行う。
【0062】
図1(a)は本複合型力学量センサ1の平面図であり、図1(b)は図1(a)のB−B線における断面図、図1(c)は図1(a)のC−C線における断面図である。そして、図2は、図1(b)または図1(c)のII−II線における断面図である。
【0063】
この図1(a)〜(c)および図2に示すように、本複合型力学量センサ1は、容量式加速度センサ20が形成されたN型シリコン基板21において、容量式加速度センサ20を封止するように、ピエゾ式圧力センサ30が積層されたものである。また、複合型力学量センサ1は、この複合型力学量センサ1の出力を処理する処理回路40と同じパーケージ50内に実装されている。
【0064】
まず、図1(a)〜(c)を用いて、ピエゾ式圧力センサ30について説明する。このピエゾ式圧力センサ30は、N型シリコン基板31cをエッチングするなどして生成された凹状のダイヤフラム31と、このダイヤフラム31の変形部31aに設けられるとともに、変形部31aの延設方向に垂直な方向への変形を検出して出力する合計4個のピエゾ抵抗32と、各ピエゾ抵抗32の出力を伝達する4個の圧力センサ用配線33と、各圧力センサ用配線33に接続された4個の圧力センサ用パッド34と、圧力センサ用配線33の表面を保護する表面保護膜35とからなる。この変形部31aは、ダイヤフラム31の凹部底面を構成し、圧力が印加されると変形する。この変形部31aは接地枠31bにより囲まれている構造で、ダイヤフラム31は変形部31aと接地枠31bとにより構成されている。
【0065】
この変形部31aの凹部底面とは反対側の面には4個のピエゾ抵抗32が内設される。図示しないが、これらのピエゾ抵抗32はブリッジ回路を形成している。またピエゾ抵抗32が内設される側の面上には、圧力センサ用配線33と、圧力センサ用パッド34と、表面保護膜35とが設置されている。そして、各圧力センサ用パッド34と、処理回路40に繋がる各処理回路用パッド41とがワイヤボンディングにより電気的に接続される。なお、ダイヤフラム31は、後述の外枠22とダイヤフラム31とで生成された封止空間の内部に、容量式加速度センサ20を封止可能な大きさである。そして、この封止空間が圧力センサの基準圧力室37となる。
【0066】
次に、図1(b),(c)および図2を用いて、容量式加速度センサ20について説明する。なお、図1(b),(c)および図2に示す図は、容量式加速度センサ20の原理を示すものであり片持ち梁の例で示してあるが、両持ち梁、多方持ち梁であってもよいことはいうまでもない。実際の具体的な構造の一例を図36に示す。
【0067】
容量式加速度センサ20は、全周が間隙を隔てた外枠22に囲まれており、可動部23と固定部24とからなる。外枠22および可動部23および固定部24は、図5(a),(b)および図6(a),(b)を用いて後述するようにN型シリコン基板21をエッチングすることで形成されている。
【0068】
図2に示すように、可動部23は、2本の可動電極23aと、これらの可動電極23aを繋ぐ錘23bと、可動部用配線23cが接続される支柱23dと、錘23bと支柱23dとを繋ぐ梁23eとからなる。図1(b)に示すように、可動電極23aは支持基板25との間に間隙を備えている。また、図示しないが可動電極23a同様に、錘23bおよび梁23eも、支持基板25との間に間隙を備えている。一方、支柱23dは、支持基板25に積層された絶縁膜26に固定されている。このような構成を備えることで、梁23eが支柱23dを支点に図2のc方向に歪み、これにより錘23bおよび可動電極23aがc方向に変位する。
【0069】
また、支柱23dに接続された可動部用配線23cは、外枠22に設けられた可動部用パッド23fと支柱23dとを橋渡し状態で繋いでいる。そして、この可動部用パッド23fに所定電圧(または電流)が印加され、可動部用配線23cを通じて可動電極23aにも可動部用パッド23fと同じ電圧(または電流)が印加される。
【0070】
一方、固定部24は、図2に示すように、前述の各可動電極23aのそれぞれに対向する2本の固定電極24aと、これらの固定電極24aを繋ぐ連結部24bと、固定部用配線24cとからなる。2本の固定電極24aと連結部24bとは、絶縁膜26の上に構成されている。また固定部用配線24cは、外枠22に設けられた固定部用パッド24dと連結部24bとを橋渡し状態で繋いでいる。そして、この固定部用パッド24dに所定電圧(または電流)が印加され、固定部用配線24cを通じて固定電極24aにも固定部用パッド24dと同じ電圧(または電流)が印加される。
【0071】
このような構成を備えることで、容量式加速度センサ20にc方向への加速度が印加されると、可動部23の支柱23dを支点に、可動電極23aがc方向に変位し固定電極24aに接近する。このとき、可動電極23aと固定電極24aとの間の静電容量が、加速度が印加されていない状態に対して変化する。具体的には、図2のc1方向に加速度が印加された場合には、固定電極24aと可動電極23aとが離れ、静電容量が減少する。逆に、c2方向に加速度が印加された場合には、固定電極24aと可動電極23aとが接近し、静電容量が増加する。すなわち、印加された加速度の大きさと、静電容量の増減とが対応している。
【0072】
そして、静電容量の変化は、可動部23と外枠22とを繋ぐ可動部用配線23cを通じて可動部用パッド23fに伝達された電圧(または電流)と、固定部24と外枠22とを繋ぐ固定部用配線24cを通じて固定部用パッド24dに伝達された電圧(または電流)とを、処理回路40で比較することによって検出される。具体的には、図1(a),(c)および図2に示すように、可動部用パッド23fと固定部用パッド24dとを、各々対応する処理回路用パッド41にワイヤボンディングで接続し、各処理回路用パッド41から入力された電圧(または電流)を、処理回路40にて比較して、印加加速度を検出する。
【0073】
また、図2に示す枠Dは、容量式加速度センサ20を囲む外枠22に、ピエゾ式圧力センサ30を積層した際におけるダイヤフラム31の接地枠31bの外郭を示す。この図2に示すように、可動部23および固定部24は、外枠22とダイヤフラム31とで生成された封止空間の内部に封止されている。
【0074】
なお、可動部用配線23cと固定部用配線24cとは、ショートを避けるために、外枠22の上にSiN膜27を介して設置されているとともに、可動部用パッド23fと固定部用パッド24dとなる箇所を除いて、表面保護膜28に覆われている。
【0075】
図3(a)〜(h)を用いて、ピエゾ式圧力センサ30の製造工程について説明する。はじめに、図3(a)に示すように、N型シリコン基板31cを準備して、このN型シリコン基板31cの両面に絶縁膜(SiO)31dを形成する。このN型シリコン基板31cの厚みは、400μm程度であることが望ましい。
【0076】
次に、図3(a)の絶縁膜(SiO)31d上にフォトレジストマスクを生成し、さらにエッチングを行って絶縁膜31dの一部を除去する。そして、N型シリコン基板31cにおいて、絶縁膜31dが除去され露出した箇所に、気相からの不純物を拡散する、又は、P型ボロンをイオン注入して、図3(b)に示すようにピエゾ抵抗32を含むP型領域を、0.5〜1.0[μm]程度の深さで形成する。
【0077】
次に、N型シリコン基板31cのピエゾ抵抗形成側の面に生成されたフォトレジストマスクおよび絶縁膜31dを一度除去してから、一面に絶縁膜36を再生成し、フォトレジストマスク生成及びエッチングを行って、図3(c)に示すようなコンタクトホール31eを酸化膜に生成する。このコンタクトホール31eは、ピエゾ式圧力センサ30が完成した際に接地枠31bとなる場所に設けられる。
【0078】
そして、コンタクトホール31eおよび絶縁膜36に、アルミニウム又はポリシリコンを蒸着させるなどして、図3(d)に示すように圧力センサ用配線33および圧力センサ用パッド34を設置する。
【0079】
次に図3(e)に示すように、図3(d)の圧力センサ用配線33および圧力センサ用パッド34が設置された側に、表面保護膜35となるSiN膜を設置する。
【0080】
そして、図3(f)に示すように、完成時に圧力センサ用パッド34となる箇所の表面保護膜35を除去し、下層のアルミニウム又はポリシリコンを露出させる。
【0081】
次に、図3(g)に示すように、N型シリコン基板31cにおいて、ピエゾ抵抗形成側の面とは反対側の面に生成された絶縁膜36の一部を除去する。絶縁膜36の除去する領域は、ダイヤフラム完成時に凹部となる箇所、すなわち変形部31aとなる箇所である。
【0082】
最後に、図3(h)に示すように、図3(g)において絶縁膜31dを除去した領域をエッチングすることで、N型シリコン基板31cの一部を除去して凹部を生成する。以上の工程でピエゾ式圧力センサ30が完成する。
【0083】
次に、図4(a)〜(d)および図5(a),(b)および図6(a),(b)を用いて、容量式加速度センサ20の製造工程を説明する。
【0084】
以下、図4(a)〜(d)を用いて、固定部用配線24cの製造工程を説明する。
【0085】
はじめに抵抗率が0.1〜0.001[Ω・cm]の高濃度N型シリコン基板21を準備し、熱酸化によりN型シリコン基板21の片面に絶縁膜26を生成する。そして、別のシリコン基板(支持基板25)と片面に絶縁膜26が形成されたN型シリコン基板21とを1000[℃]程度の炉の中で直接接合させ、図4(a)の構造を得る。
【0086】
さらに、図4(a)の構造にSiN膜27(絶縁膜)を生成し、フォトレジストエッチングを行って、このSiN膜27の一部にコンタクトホール27aを生成する。なお、このコンタクトホール27aは、容量式加速度センサ完成時に固定部24となり固定部用配線24cが接続される箇所に設けられる。そして、このコンタクトホール27aを通じて、イオン注入を行いN+領域24eを生成し、図4(b)の構造を得る。なお高濃度N型シリコン基板の濃度が充分高い場合は、イオン注入を省略する事ができる。
【0087】
次に、図4(b)のコンタクトホール27aとSiN膜27の上に、アルミ又はポリシリコンを蒸着させさせるなどして、図4(c)に示すように固定部用配線24c又は固定部用パッド24dを設置する。この時、N+領域24eと固定部用配線24cとは、オーミック接触している。
【0088】
次に、固定部用配線24cおよび固定部用パッド24dが設置された側に、表面保護膜28となるSiN膜を設置し、図4(d)のように、完成時に固定部用パッド24dとなる箇所の表面保護膜28を除去する。
【0089】
以上の工程により固定部用配線24cが完成する。なお、可動部用配線23cについては、固定部用配線24cとほぼ同一の工程で生成することができるため説明を省略する。
【0090】
以下、図5(a),(b)および図6(a),(b)を用いて、固定部24および可動部23の製造工程を説明する。なお、図5(a),(b)は製造前の図1(b)に対応し、図6(a),(b)は製造前の図1(c)に対応する。
【0091】
まず、前述の図4(d)の固定部用配線24cが完成したN型シリコン基板21を準備し、図5(a)および図6(a)のように固定部用配線24cが設けられた側の表面保護膜(27,28)の一部を除去する。除去する箇所は、完成時に外枠22とも可動部23とも固定部24ともならない箇所である。
【0092】
次に、図5(b)および図6(b)に示すように、表面保護膜(27,28)が除去された箇所のN型シリコン基板21を、絶縁膜26を犠牲層として犠牲層エッチングして、絶縁膜26に固定された固定部24と、支柱23dのみが絶縁膜26に固定された可動部23と、可動部23および固定部24を囲む外枠22を生成する。これにより、図2に示した容量式加速度センサ20が完成する。
【0093】
図7(a),(b)および図8(a),(b)を用いて、容量式加速度センサ20を囲む外枠22にピエゾ式圧力センサ30を積層する工程を説明する。なお、図7(a),(b)は製造前の図1(b)に対応し、図8(a),(b)は製造前の図1(c)に対応する。
【0094】
図7(a)および図8(a)に示すように、接地枠31bの変形部31a延設方向側の端面に絶縁性を有し接着剤となる低融点ガラス60を塗布する。
【0095】
次に、図7(b)および図8(b)に示すように、接地枠31bに塗布された低融点ガラス60を、外枠22に真空状態で接着固定する。これにより、ピエゾ式圧力センサ30のダイヤフラム31と、外枠22と、絶縁膜26とによって封止空間(基準圧力室37)が生成され、固定部24および可動部23が封止空間内に封止される。
【0096】
このように図3(a)〜(h)のピエゾ式圧力センサ30を製造する工程と、図4(a)〜(d)および図5(a),(b)および図6(a),(b)の容量式加速度センサ20を製造する工程と、図7(a),(b)および図8(a),(b)の積層工程を経ることによって、図1(a)〜(c)および図2の複合型力学量センサ1が構築される。
【0097】
以下、本複合型力学量センサ1の効果について述べる。
【0098】
第一の効果は、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを積層しているため、別々に容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを設ける従来の構成に比べて、センサの占有面積を減らすことができる。
【0099】
第二の効果について述べる。従来の容量式加速度センサは、可動部にゴミ(パーティクルなど)が入ることを防止するために、ガラス製のキャップなどを用いて、可動部を封止していた。しかしながら、本実施例1の複合型力学量センサ1の場合、可動部23はピエゾ式圧力センサ30のダイヤフラム31により封止される。このように、別途キャップを設けることなく、可動部23を封止可能である。
【0100】
第三の効果について述べる。前述したように、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とは別々に製造され、図7(a),(b)および図8(a),(b)に示すように積層されている。このため、従来と略同一の容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを用いることができる。すなわち、従来の検出性能を維持することが可能であるとともに、積層するために、従来に比べて構造を複雑化させる必要がない。また、接合部が、ダイヤフラム31の接地枠31bと外枠22との接合箇所となるため、気密性が高い。
【0101】
また、本実施例1では、基準圧力室37が真空となっている場合を例に説明を行ったが、基準圧力室37が真空でない場合には、エアダンピングを抑制する効果を奏することができる。具体的には、ダイヤフラム31の変形部31aの変形方向が、可動部23の可動方向に垂直な方向であるため、変形部31aが変形し、基準圧力室37の内圧が高まった場合であっても、この内圧によって可動部23が固定部24に押し付けられにくい。すなわち、内圧が、可動部23と固定部24との間の距離に影響を及ぼしにくいため、加速度を精度良く検出することができる。
【0102】
なお、エアダンピングを抑制するには、変形部31aの変形方向が可動部23の可動方向に対して垂直であることが望ましいが、該変形方向と該可動方向とが一致していても多少精度は低下するがエアダンピングの抑制は可能である。
【0103】
〔実施例2〕
図9(a)〜(c)を用いて実施例2について説明する。この実施例2は、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20とをハンダ(91,92)によって接着し、基準圧力室37の気密性を気密リング93によって確保している点で、実施例1と異なる。なお、前述の実施例1と同等の構成については、実施例1と同様の符号を付し、本実施例2における説明を省略する。
【0104】
図9(a)は、本実施例における複合型力学量センサ1の断面図であって、図9(b)または図9(c)のA−A線における断面図である。また、図9(b)は実施例1における図1(b)に相当し、図9(c)は実施例1における図1(c)に相当する。
【0105】
この図9(b)および図9(c)に示すように、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とは、導通用ハンダ91と、連結用ハンダ92と、気密リング93とを介して固定されている。この気密リング93は、弾性部材であるゴムが環状となった形状で、図9(a)の領域Eに設けられる。またこの気密リングは前記導通用ハンダ91と連結用ハンダ92と同様にハンダでもって形成することもできる。ハンダで気密接続、封止することにより気密性はさらに向上する。そして、この気密リング93の環内に、導通用ハンダ91と連結用ハンダ92とが点在する。この導通用ハンダ91と連結用ハンダ92とが、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを連結するとともに、気密リング93を容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30との間で押圧しながら挟み込み、基準圧力室37の気密を保っている。
【0106】
また、実施例1ではアルミなどで固定部用配線24cや可動部用配線23cを設けていたが、本実施例2では図9(a)〜(c)に示すように、外枠22の一部を絶縁加工して固定部用配線24cや可動部用配線23cや圧力センサ用配線94としている。具体的には、図9(a)に示すように、ピエゾ式圧力センサ30の出力信号を伝達するために外枠22の一部に設けられた圧力センサ用配線94は、SiO等の絶縁膜95で外枠22から絶縁されている。さらに、この圧力センサ用配線94は、図9(b)に示すように、ピエゾ式圧力センサ30の内部に設けられた圧力センサ用配線33と導通用ハンダ91を介して導通している。すなわち、導通用ハンダ91は、気密リング93を押し込んだ状態で、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20とを連結するという作用と、ピエゾ抵抗32の出力信号を圧力センサ用配線94に伝達するという作用の両方をなす。また、圧力センサ用配線94において、導通用ハンダ91が設置されない側の終端部は、圧力センサ用パッド34となり、処理回路40の処理回路用パッド41とワイヤボンディングされる。
【0107】
一方、図9(a)に示すように、固定部用配線24cは、固定部24の連結部24bの一部であり、SiO等の絶縁膜95で外枠22から絶縁されている。なお、図9(a)および図9(c)に示すように、固定部用配線24cのピエゾ式圧力センサ側端面の終端部を除く全面に、絶縁膜27が設けられている。そして、この固定部用配線24cの終端部であって、絶縁膜27が設けられていない箇所が、固定部用パッド24dとなっており、この固定部用パッド24dと処理回路用パッド41とがワイヤボンディングにより接続されている。
【0108】
また、図9(a)に示すように、支柱23dに一体に延設された可動部用配線23cも、固定部用配線24cと略同一の構成であり、外枠22と絶縁された状態で、可動部用配線23cの終端が露出して可動部用パッド23fとなっている。
【0109】
このように、固定部用配線24cと可動部用配線23cとは、外枠22およびピエゾ式圧力センサ30と絶縁され、圧力センサ用配線94は容量式加速度センサ20と絶縁されている。
【0110】
連結用ハンダ92は、図示しないが、ピエゾ式圧力センサ30において、このピエゾ式圧力センサ30の出力信号に影響を与えないように設置された連結用パッドと、容量式加速度センサ20の出力結果に影響を与えないように外枠22に設けられた連結用パッドとを連結している。
【0111】
このような構成とすることで、圧力センサ用パッド34と、固定部用パッド24dおよび可動部用パッド23fとを近づけて設置することができる。さらに、実施例1と同様に、ピエゾ抵抗32と圧力センサ用配線33とを基準圧力室37の封止空間内に封止することで、ピエゾ抵抗32と圧力センサ用配線33とをパーティクルなどから保護することができる。
【0112】
なお、本実施例2では、気密リング93の環内に導通用ハンダ91および連結用ハンダ92を設置したが、導通用ハンダ91および連結用ハンダ92の設置場所は、気密リング93の環外であっても良い。さらに、導通用ハンダ91および連結用ハンダ92の設置数は、図9(a)のように6箇所でなくても良い。ハンダ(91,92)の設置場所としては、ハンダの設置間隔が均等となるようにする、またはおよび、気密リング93の角付近に設置することが望ましいが、気密リング93がダイヤフラム31と外枠22とからなる基準圧力室37を封止できるならばハンダの設置数、場所は問わない。
【0113】
また、気密リング93の形状は環状であれば良いため、図9(a)のような略長方形形状でなく、円環状などであっても良い。
【0114】
〔実施例3〕
図10(a)〜(c)を用いて実施例3について説明する。この実施例3は、基準圧力室37の気密性がNCF(Non Conductive Film)101によって確保されている点で、実施例2と異なる。なお、前述の実施例1または実施例2と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例3における説明を省略する。
【0115】
図10(a)は、本実施例における複合型力学量センサ1の断面図であって、図10(b)または図10(c)のA−A線における断面図である。また、図10(b)は実施例1における図1(b)に相当し、図10(c)は実施例1における図1(c)に相当する。
【0116】
この図10(b)および図10(c)に示すように、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とは、導通用ハンダ91と、連結用ハンダ92と、NCF101とを介して固定されている。このNCF101は、非導電性の樹脂フィルムであって、圧着や加熱圧着、あるいは接着などにより接合されても良いし、スクリーン印刷やインクジェットなどの印刷法により形成されても良い。NCF101の材質は、電気絶縁性を有する樹脂、たとえばエポキシ系樹脂やポリイミド系樹脂などからなるものであるため、熱を与えることによって軟化し、この軟化した状態で熱を与え続けることにより硬化するものである。
【0117】
このNCF101は、図10(a)の領域Fに示すように、外枠22の内径付近であって、圧力センサ用配線94の基準圧力室側の終端部を含む領域を囲む環状の形状を有する。そして、このNCF101の内部に、導通用ハンダ91と連結用ハンダ92とが点在する。
【0118】
以下、NCF101を介して、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを積層する工程について述べる。
【0119】
ピエゾ式圧力センサ30が完成した時点、例えば図3(h)において、圧力センサ用配線33の露出部(実施例1における圧力センサ用パッド)にバンプとして、導通用ハンダ91を設置する。もし、圧力センサ用配線33がアルミ材である場合には、圧力センサ用配線33の上にTi、Ni、Auを積層して、このAuの上に導通用ハンダ91を設置する。同様に、連結用ハンダ92を、領域F(NCF101の設置予定領域)内に設置する。そして、領域Fに、圧着や印刷形成するなどして、導通用ハンダ91および連結用ハンダ92を封止するようにNCF101を設置する。
【0120】
一方、容量式加速度センサ20をなす固定部24や駆動部23、SiO等の絶縁膜95で外枠22から絶縁された固定部用配線24cや可動部用配線23c、圧力センサ用配線94が完成した後に、圧力センサ用パッド34にバンプとして、導通用ハンダ91を設置する。同様に、連結用ハンダ92を、領域F(NCF101の設置予定領域)内に設置する。
【0121】
このように、ピエゾ式圧力センサ30および容量式加速度センサ20に、NCF101および導通用ハンダ91と連結用ハンダ92とを設置した後に、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20とを対向させNCF101を150℃程度に加熱する。そして、ピエゾ式圧力センサ30の導通用ハンダ91および連結用ハンダ92と、対応する容量式加速度センサ20の導通用ハンダ91および連結用ハンダ92とが対向するように位置合わせを行い、ピエゾ式圧力センサ30を容量式加速度センサ20に押圧する。すると、NCF101が、容量式加速度センサ側の導通用ハンダ91および連結用ハンダ92によって突き破られ、容量式加速度センサ側の導通用ハンダ91および連結用ハンダ92が、対応するピエゾ式圧力センサ30の導通用ハンダ91および連結用ハンダ92に接触する。接触後は、各導通用ハンダ91および各連結用ハンダ92に超音波接合を行って電気的に接続させる。
【0122】
このような構成とすることで、実施例2と同様の作用効果を奏することができる。
【0123】
〔実施例4〕
図11を用いて実施例4について説明する。この実施例4は、ダイヤフラム31に貫通電極111が設けられ、この貫通電極111を通じて、ダイヤフラム31上から容量式加速度センサ20の信号が取り出し可能となっている点で、実施例1と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例4における説明を省略する。
【0124】
図11は、本実施例4における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例1における図1(c)に相当する。
【0125】
この図11に示すように、ダイヤフラム31の接地枠31bには、変形部31aの変形方向対し平行な貫通電極111と、この貫通電極111をダイヤフラム31から絶縁する絶縁膜112とが設置されている。なお貫通電極111が設けられる場所は、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30とを貼り合わせた際に、固定部用配線24cの露出部(実施例1の固定部用パッド)と可動部用配線23cの露出部(実施例1の可動部用パッド)に対向する場所である。
【0126】
そして、貫通電極111と、固定部用配線24cまたは可動部用配線23cの露出部とは、各々が導通用ハンダ91により接続されている。さらに、これらの導通用ハンダ91に加えて、前述の実施例3で用いた連結用ハンダ92が、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30の間で電気的に影響の少ない箇所に設置されている。
【0127】
また、容量式加速度センサ20とピエゾ式圧力センサ30との間には、実施例3と同様に環状の形状を有するNCF101が設けられ、基準圧力室37の気密を保持している。またこの気密封止のためのリングは実施例2で示したように貫通電極の外側または内側にハンダのリングで形成してもよい。
【0128】
貫通電極111において固定部用配線24cまたは可動部用配線23cに接続していない終端は、処理回路40の処理回路用パッド41とワイヤボンディングされるための固定部用パッド24dまたは可動部用パッド23fとなっている。これらのパッド(23f,24d)は、図11のように貫通電極111の終端部を兼用しても良いし、ワイヤボンディングし易いように終端部にアルミを蒸着させるなどして拡大されたものであっても良い。
【0129】
ここで、この貫通電極111の形成工程は、接地枠31bをマスキングし反応性イオンエッチングして貫通孔を生成する工程と、さらにこの貫通孔を熱酸化して絶縁膜112を形成する工程、熱酸化により縮小した貫通孔にポリシリコンを成長させて貫通電極111を得る工程とからなる。またこのポリシリコンにかえてタングステンや銅、アルミ等の金属を用いることもできる。
【0130】
なお、ピエゾ式圧力センサ30の構造は、実施例1のピエゾ式圧力センサ30に2つの貫通電極111とこれらの貫通電極111を絶縁する絶縁膜112を加えたものであり、圧力センサ用配線33や圧力センサ用パッド34の位置は、実施例1と同様である。
【0131】
このように、ダイヤフラム31に貫通電極111を設け、貫通電極111と固定部用配線24cおよび可動部用配線23cとを電気接続することで、図11のように固定部用パッド24d、および図示しない可動部用パッドの設置位置をダイヤフラム31上にすることができる。これにより、実施例1と同様の作用効果を奏しながら、圧力センサ用パッド34と固定部用パッド24dと可動部用パッドとを同じダイヤフラム31上に生成することができる。さらにこの圧力センサ上部のパッド部に金ボール、ハンダボール等を形成すれば所謂ボールボンディング用の接続パッドを形成することもできる。
【0132】
〔実施例5〕
図12を用いて実施例5について説明する。この実施例5は、固定部用配線24cおよび可動部用配線23cが、絶縁膜26の上に設置され、この固定部用配線24cおよび可動部用配線23cがポリシリコン膜121を通じて貫通電極111に接続されている点で、前述の実施例4と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例5における説明を省略する。
【0133】
図12は、本実施例5における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例1における図1(c)に相当する。
【0134】
この図12に示すように、固定部24の連結部24bは、支持基板側で固定部用配線24cに接続されている。そして、固定部24の連結部以外の表面がSiOなどの絶縁膜27で覆われている。また、固定部用配線24cは、外枠22に設けられたポリシリコン膜121と電気的に接続し、外枠22や可動部23とは絶縁膜122によって絶縁されている。また、このポリシリコン膜121も、絶縁膜122によって、外枠22から絶縁されている。さらに、ポリシリコン膜121は、前述の実施例4と同様に、ダイヤフラム31の接地枠31bに設けられた貫通電極111に導通用ハンダ91で接続されている。この貫通電極111のポリシリコン膜121と接続しない終端部には、固定部用パッド24dが設置されている。そして、この固定部用パッド24dと、処理回路40の処理回路用パッド41とがワイヤボンディングにより接続される。
【0135】
また、図示しない可動部に関しては、支柱の支持基板側が可動部用配線と接続し、さらにこの可動部用配線が外枠22に設けられたポリシリコン膜121と電気的に接続している。この可動部用配線は、外枠22や固定部24とは絶縁膜122によって絶縁されている。さらに、ポリシリコン膜121は、ダイヤフラム31の接地枠31bに設けられた貫通電極111に導通用ハンダ91で接続され、この貫通電極111の終端部に可動部用パッドが設置されている。そして、この可動部用パッドと、処理回路40の処理回路用パッド41とがワイヤボンディングにより接続される。また、可動電極および梁および錘は、絶縁膜26との間に間隙を有し、実施例1と同様に支持基板25の延設方向に変位可能である。
【0136】
なお、固定部24および可動部と支持基板25との間に、固定部用配線24cおよび可動部用配線を設ける工程については、特開平5−304303号公報に記載されている製造方法を用いることが可能である。このような構成とすることで、実施例4と同様の作用効果を奏することができる。さらに加速度センサの支持基板25に上記と同じ方法で貫通電極を形成することにより、加速度センサの支持基板25の下部から電極を取り出すこともできる。
【0137】
〔実施例6〕
図13を用いて実施例6について説明する。この実施例6は、容量式圧力センサ130と容量式加速度センサ20とを積層する点で前述の実施例3と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例6における説明を省略する。
【0138】
図13は、本実施例7における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例1における図10(b)に相当する。
【0139】
この図13に示すように、容量式圧力センサ130は、テーパー状で中央に開口部を備えた基部131と、基部131の開口部を覆うとともに圧力が印加されると変形する円形状のダイヤフラム31である下部電極132と、下部電極132を基部131から絶縁する絶縁膜134と、基部131に穿設され下部電極132に接続される下部電極穿設配線136とからなる。図示しないが、下部電極穿設配線136は基部131とは絶縁されている。
【0140】
また、下部電極132と、容量式加速度センサ20の可動部23および固定部24には、印加信号(電圧、電流)を切り替えるスイッチ回路が接続されている。このスイッチ回路によって、可動部23および固定部24に互いに異なった信号が入力され下部電極132に信号が入力されない第1時間と、可動部23および固定部24に同じ信号が入力され下部電極132に信号が入力される第2時間とが周期的に設定される。
【0141】
また、この周期に同期して、図示しないAD変換回路が入力ポートを切り替えて、第1時間には可動部23および固定部24の電位差(電流差)を取得し、第2時間には下部電極132および可動部23および固定部24の電位差(電流差)を取得する。
【0142】
なお、一般に、AD変換器とDA変換器とは同一のタイマパルスに基づくため、出力信号を取得する入力ポートと、印加信号を出力する出力ポートの同期を取ってスイッチングさせることは可能である。
【0143】
このような構成を備えることで、第1時間には、可動部23と固定部24との間の静電容量の変化から、加速度を演算することができる。一方、第2時間には、下部電極132と、可動部23および固定部24との間の静電容量から、下部電極132に印加された圧力を演算することができる。
【0144】
〔実施例7〕
図14を用いて実施例7について説明する。この実施例7は、容量式圧力センサ130が上部電極を備える点で前述の実施例6と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例7における説明を省略する。
【0145】
図14は、本実施例7における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例1における図10(b)に相当する。
【0146】
この図14に示すように、容量式圧力センサ130は、テーパー状で中央に開口部を備えた基部131と、基部131の開口部を覆うとともに圧力が印加されると変形する円形状のダイヤフラム31である下部電極132と、下部電極132に対向するように基部内に設けられ圧力により変形しない環状の上部電極133と、上部電極133と下部電極132とを絶縁する絶縁膜134と、基部131に穿設され上部電極133に接続される上部電極穿設配線135と、基部131に穿設され下部電極132に接続される下部電極穿設配線136とからなる。なお、図示しないが、下部電極132と下部電極132に接続した下部電極穿設配線136とは、基部131および上部電極133と上部電極133に接続した上部電極穿設配線135とは絶縁されている。
【0147】
また、各穿設配線(135,136)は、導通用ハンダ91を介して、外枠22の一部に設けられた圧力センサ用配線94に各々接続されている。また、実施例3の接地枠31bと外枠22との間にNCF101が挟設されていたのと同様に、本実施例7においても基部131と外枠22との間にはNCF101が挟設されている。
【0148】
以下、本実施例7の作用について述べる。基部131の開口部に対して正圧が加わると、ダイヤフラム31である下部電極132が変形し、上部電極133との距離が離れる。この時、上部電極133および下部電極132には電圧(又は電流)が印加されているため、電極間の距離が離れることで静電容量が減少する。また、この時、下部電極132と容量式加速度センサ20(具体的には外枠22および絶縁膜)とNCF101とが封止された空間を形成しているため、この空間が基準圧力室37となって、容量式圧力センサ130の検出精度を向上させている。
【0149】
このように容量式圧力センサ130を用いる場合であっても、実施例3と同様の作用効果を祖することができる。
【0150】
〔実施例8〕
図15を用いて実施例8について説明する。この実施例8は、ピエゾ式圧力センサ30の圧力センサ基板151にピエゾ式圧力センサの圧力センサ処理回路40aが設置されている点と、容量式加速度センサ20の外枠に加速度センサ処理回路40bが設置されている点で、前述の各実施例と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例8における説明を省略する。
【0151】
図15(a)は、本実施例8における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例1における図1(b)に相当し、図15(b)は実施例1における図1(c)に相当する。
【0152】
図15(a)を用いて、ピエゾ式圧力センサ30について説明する。ピエゾ式圧力センサ30は、圧力センサ基板151の一部を除去することにより生成されたダイヤフラム31と、このダイヤフラム31に設置されたピエゾ抵抗32と、ピエゾ抵抗32と圧力センサ処理回路40aとに接続される圧力センサ用配線33と、圧力センサ基板151内に形成され圧力センサ用配線33の信号を処理する圧力センサ処理回路40aと、圧力センサ処理回路40aの処理信号を圧力センサ基板151上に伝達する貫通電極111とからなる。なお、圧力センサ処理回路40aは、圧力センサ基板151において、ダイヤフラム31の開口側の反対面に形成されている。この圧力センサ処理回路40aの入力端子には圧力センサ用配線33が接続されている。また、圧力センサ処理回路40aの出力端子は貫通電極111と接続されている。なお、この貫通電極111は、圧力センサ基板151とは、絶縁膜112によって絶縁されている。
【0153】
図15(a)および図15(b)を用いて、容量式加速度センサ20について説明する。容量式加速度センサ20にピエゾ式圧力センサ30を積層した際に、外枠22においてダイヤフラム31に対向する箇所に、加速度センサ処理回路40bが形成されている。また、加速度センサ処理回路40bの入力端子には、固定部用配線24cおよび可動部用配線23cが接続され、出力端子には加速度センサ出力配線152が接続されている。この加速度センサ出力配線152とは、固定部用配線24cおよび可動部用配線23cにより入力された信号を加速度センサ処理回路で処理した結果が出力される配線であって、圧力センサ基板151に覆われない箇所が酸化膜28から露出してパッドとなっている。
【0154】
また、図15(a)および図15(b)に示すように、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20とは、第一気密リング93aと第二気密リング93bとを押圧し挟み込んだ状態で、連結用ハンダ92により連結されている。すなわち、第一気密リング93aによって、可動部23および固定部24が封止空間内に封止される。さらに、第二気密リング93bとダイヤフラム31と絶縁膜28とにより基準圧力室37が形成される。
【0155】
このような構成とすることで、実施例1と同様の作用効果を奏しながら、処理回路(40a,40b)を封止可能でき、これらの処理回路(40a,40b)を保護することができる。
【0156】
〔実施例9〕
図16を用いて実施例9について説明する。この実施例9は、圧力を検出するセンサが容量式圧力センサである点で、前述の実施例8と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例9における説明を省略する。
【0157】
図16は、本実施例9における複合型力学量センサ1の断面図であって、実施例8における図15(b)に相当する。
【0158】
この図16に示すように、容量式圧力センサは、ダイヤフラム35に設けられた上部電極133と、上部電極133に対向するとともに絶縁膜26を介して支持基板上に立設された下部電極132とからなる。そして、上部電極133と下部電極132の出力信号は図示しない配線(例えば貫通電極など)により、処理回路40に入力される。そして、処理回路40で、上部電極133と下部電極132の出力信号を比較して、上部電極133と下部電極132との間の静電容量を検出し、この静電容量の変化量からダイヤフラム35に印加された圧力を演算する。なお、本実施例9の下部電極132としては、図13のように可動部23および固定部24を代用したものではなく、直方体形状のシリコンの単一部材が使用されている。
【0159】
一方、容量式加速度センサ20は図11の容量式加速度センサとほぼ同一の構造である。しかし、容量式加速度センサ20の出力を伝達する貫通電極111は、図11ではダイヤフラム31に設けられていたが、本実施例9では圧力センサ基板151のダイヤフラム35でない箇所に設けられている。そして、圧力センサ基板151において支持基板側とは反対の端面に処理回路40が設置されている。この処理回路40には、図16に示すように貫通電極111と配線161とを通じて固定部24の出力が入力されるとともに、図示しない可動部の出力、下部電極132および上部電極133の出力が入力される。処理回路40は、さらにこれらの入力信号を元に、増幅処理や演算処理を行って、加速度センサ出力配線152や図示しない配線を用いて演算結果を出力する。また、これらの配線の端部には、図16の加速度センサ出力配線152のように、パッドが設けられている。
【0160】
このような構造とすることで、容量式圧力センサを用いた場合であっても、前述の実施例8と同様の作用効果を奏することができる。
【0161】
なお、本実施例9では、下部電極132を板状部材の電極としたが、図13の固定部と可動部とを下部電極132の代わりに、上部電極133に対向させた構造を用いることも可能である。ここで、処理回路40に対向する容量式加速度センサ20を第1加速度センサ、上部電極133に対向させるとともに下部電極として代用する固定部と可動部とを第2加速度センサとし、第1加速度センサの検出方向(可動部の変位方向)と第2加速度センサの検出方向とを異なる方向(例えば直交方向)にしたとする。この時、実施例6と同様に、第2加速度センサの固定部および可動部には、加速度を検出するタイミング(第1時間)と、圧力を検出するタイミング(第2時間)を周期的に設定する。これにより、第1時間には第2加速度センサにより加速度が検出され、第2時間には、第2加速度センサと上部電極133とにより圧力が検出される。
【0162】
このような構成とすることで、第1加速度センサと第2加速度センサで2軸の加速度を検出するとともに、第2加速度センサの固定部と可動部および上部電極133を用いて圧力を検出することも可能である。
【0163】
〔実施例10〕
図17および図18を用いて実施例10について説明する。この実施例10は、前述の実施例1の複合型力学量センサ1を、複数同時に半導体プロセスを用いて製造する実施例である。なお、前述の各実施例と同等の構成については、前述の各実施例と同様の符号を付し、本実施例10における説明を省略する。
【0164】
図17は、実施例1の図1の複合型力学量センサ1が、複数集積されたウェハー基板171の鳥瞰図である。さらに図18は、図17におけるG−G線の断面拡大図である。この図18に示すように、図1の容量式加速度センサ20を複数集積した加速度センサ側ウェハー基板の各容量式加速度センサ20に対応するように図1のピエゾ式圧力センサ30をそれぞれ積層することで、図17に示した複合型力学量センサ1が複数集積されたウェハー基板171を生成する。そして、このウェハー基板171を図17および図18の点線に沿って、ダイシングカットすることで、図1の複合型力学量センサ1を得ることができる。
【0165】
なお、容量式加速度センサ20にピエゾ式圧力センサ30とを積層した状態で、容量式加速度センサ20の固定部用パッド24dおよび可動部用パッド23fが露出しているため、ダイシングカットの前に通電試験を行うなどしても良い。また加速度センサを複数形成したウエハ基板1と圧力センサを複数形成したウエハ基板2をウエハ状態で積層後、ダイシングカットすることもできる。この場合、例えば図18に相当するように加速度センサのワイヤボンディングする領域上部の圧力センサを形成したウエハ基板2には貫通溝または貫通穴を形成した後、ウエハ基板を積層する。
【0166】
〔実施例11〕
図19および図20を用いて実施例11について説明する。この実施例11は、加速度センサ側ウェハ基板171に積層されるピエゾ式圧力センサ30が、圧力センサ側ウェハ基板172の状態で積層される点で、前述の実施例10と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、前述の各実施例と同様の符号を付し、本実施例11における説明を省略する。
【0167】
図19は、本実施例11にかかる複合型力学量センサ1の断面図である。複合型力学量センサ1の構造としては、実施例4の図11に対して、ピエゾ式圧力センサ30の接地枠31bの側面(圧力印加方向に直交する方向の面)と、容量式加速度センサ20の側面(加速度印加方向の面)とが面一となっている点である。
【0168】
次に、図20(a)〜(c)を用いて、本実施例11の複合型力学量センサ1の製造方法について説明する。
【0169】
まず、図20(a)に示すように、図19のピエゾ式圧力センサ30が複数集積された圧力センサ側ウェハ基板172を準備する。この圧力センサ側ウェハ基板172は、図示しないピエゾ抵抗32や貫通電極111が実施例4にて前述した形成工程を経て、既に圧力センサ側ウェハ基板内に形成されているものである。
【0170】
図20(a)に続く図20(b)の工程では、圧力センサ側ウェハ基板172の貫通電極111の露出部に導通用ハンダ91と所定箇所にNCF101を設置した後に、圧力センサ側ウェハ基板172を加速度センサ側ウェハ基板171に対して積層する。
【0171】
図20(b)に続く図20(c)の工程では、図20(b)で生成した積層基板を点線に沿って、ダイシングカットすることで、図19の複合型力学量センサ1を得ることができる。
【0172】
本実施例11では、圧力センサ側ウェハ基板172と加速度センサ側ウェハ基板171とを積層した後にダイシングカットを行う。このため、圧力センサ側ウェハ基板172をダイシングカットしてピエゾ式圧力センサ30を生成すると共に加速度センサ側ウェハ基板171をダイシングカットして容量式加速度センサ1を生成し、これらのセンサを別個に積層する場合に比べて、本実施例11の製造方法はダイシングカットおよび積層の回数が少ない。
【0173】
ところで、本実施例11においては、前述の実施例4の図11と略同一構造の複合型力学量センサ1を、圧力センサ側ウェハ基板172を加速度センサ側ウェハ基板171に積層することで生成した。しかし、積層により生成する複合型力学量センサの構造は図11に限定されない。例えば、実施例1の図1のように変形部の凹部底面とは反対方向の接地枠31bの面に、圧力センサ用パッド34を有するようなピエゾ式圧力センサ30であっても、このピエゾ式圧力センサ30を集積した圧力センサ側ウェハ基板を準備して、圧力センサ側ウェハ基板を加速度センサ側ウェハ基板に積層することができる。この場合、固定部用パッドをピエゾ式圧力センサ30の接地枠31bが覆わないように、積層前の圧力センサ側ウェハ基板に貫通孔を設けておくことが望ましい。
【0174】
図1の他にも、図9の構造、図10の構造、図11の構造、図12の構造においても、圧力センサ側ウェハ基板と加速度センサ側ウェハ基板とを積層して、ダイシングカットすることが可能である。また、図35の構造においては、第1の加速度センサ側ウェハ基板と、第2の加速度センサ側ウェハ基板とを積層して、ダイシングカットすることが可能である。
【0175】
〔実施例12〕
図21および図22(a)〜(b)および図23(a)〜(f)を用いて実施例12について説明する。この実施例12は、ピエゾ式圧力センサ30が、回路基板240に積層されている点で、実施例1と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例12における説明を省略する。
【0176】
図21は、本実施例12にかかる積層型力学量センサ201の平面図である。この図21のうち、ピエゾ抵抗32は、積層型力学量センサ201の表面に露出していないが、説明のため点線により設置位置を示してある。図21で露出している貫通電極111は、処理回路40やピエゾ式圧力センサ30を駆動するための電源供給や、グランド、処理回路40の出力やピエゾ式圧力センサ30の出力を取り出すために用いられる。この図21のH−H線における断面図が図22(a)、I−I線における断面図が図22(b)に示されている。
【0177】
図22(a)に示すように、積層型力学量センサ201は、ピエゾ式圧力センサ30が、回路基板240に積層された構造である。ピエゾ式圧力センサ30の出力は、貫通電極111および配線161を通じて回路基板240の処理回路40に入力され、処理回路40において信号処理される。そして、処理回路40の信号処理の結果は、処理回路40とダイヤフラム表面までを貫通する貫通電極111により、ダイヤフラム表面において取り出される。また、ピエゾ式圧力センサ30の基準圧力室37は、回路基板240の表面保護膜241とダイヤフラム31との間に形成される空間を流用したものである。また、図22(b)に示すように、処理回路40の駆動電力を供給するための貫通電極111が設けられている。
【0178】
次に、図23(a)〜(f)を用いて、本実施例12の積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。
【0179】
まず、図23(a)に示すように、ピエゾ抵抗32が内設されたダイヤフラム31と、シリコン基板に処理回路40とアルミ製の配線161とを設けた回路基板240とを準備し、貼り合わせる。貼り合わせ方法の一例としては、ダイヤフラム31と回路基板240とを真空中で表面処理をして、表面活性化接合(常温における直接接合)をすることができる。常温における直接接合であれば、配線161を構成するアルミの融点よりも低い温度で接合できる点で有利であるが、陽極接合や低融点ガラスを用いたガラス接合を用いても良い。
【0180】
図23(a)に続く図23(b)の工程では、ダイヤフラム31のピエゾ抵抗32の上に設けた絶縁膜36に対して、フォトレジストマスク生成及び反応性イオンエッチング(以下、RIE)を行って、接地枠31bにコンタクトホール243を生成する。このRIEは、回路基板240の配線161が露出するまで行われる。すなわち、配線161はアルミ製であるため、RIE時のストッパとして機能する。
【0181】
図23(b)に続く図23(c)の工程では、CVDにより、コンタクトホール243の壁面に酸化膜(SiO)を堆積させる。このとき、コンタクトホール243の底面であって、配線161の上にも酸化膜242が堆積してしまう。
【0182】
図23(c)に続く図23(d)の工程では、さらにRIEを行って配線161を露出させるとともに、ピエゾ抵抗32を覆っている絶縁膜36の一部にコンタクトホール31eを設ける。
【0183】
図23(d)に続く図23(e)の工程では、CVDにより、コンタクトホール243、および、ピエゾ抵抗32を覆っている酸化膜36に設けたコンタクトホール31eとに、アルミニウムを堆積させる。また、この時、一部のコンタクトホール243と、酸化膜36に設けたコンタクトホール31eとの間にも、これらを電気的に接続するようにアルミニウムを堆積させ、圧力センサ用配線33を形成する。なお、堆積させる物質は、アルミニウムに限定されず、タングステン等の他の金属やポリシリコンであっても良い。
図23(e)に続く図23(f)の工程では、前工程の図23(e)で設けた圧力センサ用配線33を覆うように、表面保護膜35を堆積させる。その後、RIEを行って、処理回路40の信号を外部に取り出すためのコンタクトホールを表面保護膜35に設け、図21および図22(a)〜(b)に示した積層型力学量センサ201が完成する。
【0184】
以下、本実施例12の積層型力学量センサ201の効果について述べる。第1の効果は、ピエゾ式圧力センサ30と回路基板240とを積層することにより、別々にピエゾ式圧力センサと回路基板とを設ける構成に比べて、センサの占有面積を減らすことができる点である。
【0185】
また、第2の効果は、ダイヤフラム31を支持する接地枠31bに貫通電極111を設け、ピエゾ抵抗32と処理回路40とを接続することで、ピエゾ抵抗32と処理回路40とを積層せずワイヤにより電気接続させる構成に比べて高い信頼性を得ることができる点である。
【0186】
第3の効果は、処理回路40を、圧力印加方向に対してダイヤフラム後方、すなわち基準圧力室37を介して配置することで、処理回路40を保護することができる。特に、処理回路40を構成するトランジスタ素子は、汚染(例えば圧力検出の対象である気体や液体による汚染)の影響を受けやすいため、処理回路40を汚染の危険を有するダイヤフラム31からの距離を離して配置することは望ましい。
【0187】
なお、積層工程は、図23(a)〜(f)のようにチップ単位ではなく、前述の実施例10のように、一方(例えばピエゾ式圧力センサ30)をチップ単位に分割してから、ウェハ基板状態の他方(回路基板240)に積層しても良い。また、前述の実施例11のように、両方(ピエゾ式圧力センサ30および回路基板240)をウェハ基板状態で積層しても良い。
【0188】
〔実施例13〕
図24を用いて実施例13について説明する。この実施例13は、ピエゾ式圧力センサ30のダイヤフラム31の凹部が圧力印加側に存在する点で、前述の実施例12と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例13における説明を省略する。
【0189】
図24は、本実施例13の積層型力学量センサ201の断面図である。この図24に示すように、ピエゾ式圧力センサ30のダイヤフラム31の凹部は、圧力印加側に存在する。そして、ピエゾ抵抗32は、ダイヤフラム31を構成するシリコン層を介して、凹部の底面内側に配置されている。
【0190】
また、ピエゾ式圧力センサ30を回路基板240に積層した際に、回路基板240でダイヤフラム31の変形部31aに対向する場所には、基準圧力室37となるように窪み244が設けられている。この窪み244は、シリコン基板において処理回路40が作り込まれた面とは反対側の面に形成される。具体的には、シリコン基板に処理回路40を作り込んだ後に、処理回路40が作り込まれた面とは反対側の面に設けられた酸化膜242の一部を除去し、さらに除去しなかった酸化膜242をマスクとしてシリコン基板をエッチングすることで形成される。そして、窪み244が形成された状態の回路基板240に対して、シリコン基板にピエゾ抵抗32や圧力センサ用配線33、変形部31aが形成されたピエゾ式圧力センサ30が直接接合により積層される。直接接合の後に、図23を用いて前述した貫通電極111の形成方法を利用して処理回路40とピエゾ抵抗32とが電気的に接続され、さらには回路基板240を保護する保護膜241が処理回路側に設けられる。
【0191】
また、この処理回路40を保護する保護膜241に信号の取出電極245を設け、これをバンプにより接続することで、フリップチップ化することが可能である。
【0192】
以下、本実施例13の効果について述べる。第1の効果は、フリップチップ化することにより外気にさらされる場所に露出する配線の数を減らす(特に望ましくはゼロにする)ことができる点である。また、第2の効果は、処理回路40裏面であって素子が形成されていない場所に窪み244を設け、これを基準圧力室37とすることで、基準圧力室37の容量を確保することができる点である。このため、基準圧力室37の容量を確保するために、ピエゾ式圧力センサ30と回路基板240との間に、スペーサや絶縁膜を設ける必要がない(設けても良い)。
【0193】
〔実施例14〕
図25(a)(b)を用いて実施例14について説明する。この実施例14は、処理回路40が、回路基板240において基準圧力室37とは反対側に形成されている点で、前述の実施例12と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例14における説明を省略する。
【0194】
図25(a)(b)は、本実施例14の積層型力学量センサ201の断面図である。なお、図25(a)は、実施例12における図22(a)に相当し、図25(b)は、実施例12における図22(b)に相当する。これらの図25(a)(b)に示すように、処理回路40が、回路基板240において基準圧力室37とは反対側の面に、すなわちダイヤフラム31への圧力印加方向とは逆の方向の面に形成されている。
【0195】
まず、図25(a)について詳細に説明をすると、ダイヤフラム31の圧力印加側に設けられた表面保護膜35の内部には、ピエゾ抵抗32と、接地枠31bの内部の貫通電極111とを電気的に接続する圧力センサ用配線33が設けられている。さらに、この貫通電極111は、処理回路40が存在する回路基板240の表面に設けられた保護膜241の内部に設けられた配線161に電気的に接続されている。このように配線161を設置することで、ピエゾ抵抗32は、処理回路40と電気的に接続している。
【0196】
次に、図25(b)について説明する。この図25(b)では、図25(a)の配線とは異なる回路基板240の表面に設けられた保護膜241の内部を通る一方の配線161が、保護膜241から部分的に露出し、ボンディング用の処理回路用パッド41となっている。また、保護膜241を通る他方の配線161は、接地枠31bに設けられた図22(a)とは異なる貫通電極111に電気的に接続している。そしてこの貫通電極111の端部は、ダイヤフラム31の圧力印加側に設けられた表面保護膜35から露出し、処理回路用パッド41となっている。
【0197】
以上のような構成であるため、本実施例14の積層型力学量センサ201は、圧力印加側のダイヤフラム31端面からも、圧力印加側とは逆側の回路基板240端面からも、処理回路40の出力信号を取り出すことが可能である。
【0198】
なお、本実施例14では、ピエゾ式圧力センサ30と、回路基板240とを積層し、積層物の両面から信号を取り出す構造としたが、この構造は一例である。例えば、図1の構造において、容量式加速度センサ20の支持基板25にN型シリコン基板21と絶縁膜26とを貫通する貫通電極を設ければ、本実施例14のように複合型力学量センサ1の両面から信号を入出力することができる。すなわち貫通電極を設けて、複合型力学量センサ1もしくは積層型力学量センサ201の両面から信号を入出力することが、本実施例14の要旨であり、その構造は図22(a)(b)に限定されない。
【0199】
〔実施例15〕
図26を用いて実施例15について説明する。この実施例15は、圧力センサ用配線33が、不純物拡散層で形成されている点で、前述の実施例と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例15における説明を省略する。
【0200】
図26は、本実施例15の積層型力学量センサ201の断面図である。この図26に示すように、ピエゾ抵抗32は、ダイヤフラム31において圧力が印加される側とは反対側の面に形成されている。さらに、ダイヤフラム31には、このピエゾ抵抗32と電気的に接続するように、シリコン基板に不純物を拡散させた不純物拡散層が隣接している。そして、この不純物拡散層からなる圧力センサ用配線33が、回路基板240に設けられた貫通電極111を介して回路基板240に電気的に接続している。
【0201】
また、図26に示すように、回路基板240において処理回路40が形成された面は、基準圧力室37に面している。
【0202】
図示しないが、この積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。第1の工程として、ダイヤフラム31、ピエゾ抵抗32、不純物拡散層からなる圧力センサ用配線33を形成したピエゾ式圧力センサ30を準備するとともに、処理回路40と、処理回路40を保護する保護膜241と、その保護膜241内に設けられ処理回路40に電気的に接続する配線161とを有する回路基板240を準備する。
【0203】
第2の工程として、不純物拡散層からなる圧力センサ用配線33が存在する側のダイヤフラム31の端面を、回路基板240であって処理回路40が存在する側の面に直接接合する。
【0204】
第3の工程として、回路基板240であって処理回路40が存在しない側の面に、不純物拡散層からなる圧力センサ用配線33に接続するコンタクトホールを設けるとともに、配線161に接続する別のコンタクトホールを設ける。
【0205】
第4の工程として、第3の工程において形成したコンタクトホール同士を電気的に接続するように、ポリシリコンなどをCVDにより堆積させる。以上の工程により、図26の積層型力学量センサ201を製造することができる。
【0206】
本実施例15の積層型力学量センサ201の効果としては、処理回路40もピエゾ抵抗32も基準圧力室側に存在するために、外気に触れにくくすることができる。すなわち外気に露出している場合に比べて、環境への耐性を高くすることができる。
【0207】
〔実施例16〕
図27と図28(a)〜(e)を用いて実施例16について説明する。この実施例16は、容量式加速度センサに、回路基板240が積層されている点で、前述の実施例12と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例16における説明を省略する。
【0208】
図27は、本実施例16の積層型力学量センサ201の断面図である。この図27に示すように、容量式加速度センサ20の固定部24や可動部23が存在する側の面に対して、回路基板240の処理回路40が存在する側の面が積層されている。また、固定部24の出力信号は、回路基板240に設けられた貫通電極111を介して、一度、回路基板240の処理回路40が存在しない側の面に取り出され、さらに別の貫通電極111を介して回路基板240の処理回路40が存在する側の面に存在する配線161に電気的に接続している。そして、この配線161が処理回路40の入力端子に接続されている。
【0209】
この他の特徴として、図27に示すように、少なくとも可動部23の上にはSiN膜27が存在しない、もしくは、外枠22や固定部24のSiN膜27に比べて薄い。これにより、可動部23は回路基板240との間にクリアランスを有し、支持基板25の延設方向と同じ方向に可動な構造となっている。一方、回路基板240を安定して積層できるように、固定部24や外枠22の一部ないし全部にはSiN膜27が存在している。図27の場合、SiN膜27を除去する工程の簡便さから、外枠22にSiN膜27が設けられ、このSiN膜27により可動部23と回路基板240との間のクリアランスを確保している。
【0210】
図28(a)〜(e)を用いて、積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。第1の工程として、処理回路40と、処理回路40を保護する保護膜241と、その保護膜241内に設けられ処理回路40に電気的に接続する配線161とを有する回路基板240を準備するとともに、前述の図5、図6の工程により生成された容量式加速度センサ20を準備する。
【0211】
図28(a)に示す第2の工程として、図5(b)の容量式加速度センサの可動部23および固定部24上のSiN膜27を薄くする、もしくは除去する。なお、固定部24上のSiN膜27については必ずしも薄くする、もしくは除去する必要はないが、可動部23と固定部24とは近接している場合が多いため、まとめてSiN膜27を除去すれば効率的である。
【0212】
図28(b)に示す第3の工程として、容量式加速度センサ20のSiN膜27と、回路基板240であって処理回路40が存在する側の面とを常温にて直接接合する。
【0213】
図28(c)に示す第4の工程として、前述の各実施例と同様にRIEにてコンタクトホール243を設ける。具体的には、回路基板240を貫通し、容量式加速度センサ20の固定部24(又は及び可動部23)のシリコン層まで到達するコンタクトホール243と、回路基板240内の配線161まで到達するコンタクトホール243とを形成する。
【0214】
図28(d)に示す第5の工程として、CVDによりコンタクトホール243の表面に酸化膜242を堆積させる。
【0215】
図28(e)に示す第6の工程として、配線161または容量式加速度センサ20の固定部24(又は及び可動部23)の電位と等しいシリコン層の表面に堆積した酸化膜242を除去した後に、コンタクトホール243およびコンタクトホール243同士を繋ぐ領域にアルミニウムを堆積する。これにより、固定部用配線24c(又は及び可動部用配線23c)または容量式加速度センサ20の固定部24(又は及び可動部23)と処理回路40とが電気的に接続されるとともに、処理回路40の出力信号を、処理回路40が形成されていない側の回路基板240の面で取り出すことができる。この取り出しは、ワイヤボンディングによって行われても良いし、フリップチップ接続によって行われても良い。また、堆積させる物質は、アルミニウムに限定されず、タングステン等の他の金属やポリシリコンであっても良い。
【0216】
このような構成を備えることにより、本実施例16の積層型力学量センサ201は、回路基板240と、容量式加速度センサ20とにより形成された封止空間246に、可動部23および固定部24を封止することができる。これにより、積層型でない容量式加速度センサの可動部および固定部を保護するために用いられるキャップを使用する必要がない。また、処理回路40も封止空間側に存在するため、破損しにくい構造であり、また外部からの汚染等の影響も少ない構造となっている。
【0217】
〔実施例17〕
図29を用いて実施例17について説明する。この実施例17は、回路基板240において処理回路40が形成されている面が前述の実施例16と反対側が大きく異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例17における説明を省略する。
【0218】
図29は、本実施例17の積層型力学量センサ201の断面図である。この図29に示すように、処理回路40は回路基板240において、容量式加速度センサの可動部23や固定部24が存在する側の面とは反対方向の面に形成されている。換言すれば、容量式加速度センサと回路基板240との積層面とは逆側の面に、処理回路40が形成されている。
【0219】
このように処理回路40を積層面とは逆側の面に設けることで、図27の構造に比べて、貫通電極111の数を減らし、簡単な構造にすることができる。具体的には、容量式加速度センサ側に処理回路40が存在し、容量式加速度センサと処理回路40とを電気的に接続する場合には、貫通電極111により、一度、回路基板240の表面に信号を引き出し、さらに他の貫通電極111を用いて、回路基板240の封止空間側の処理回路40に信号を入力する必要がある。しかし、本実施例17の構造であれば、容量式加速度センサと処理回路40とを電気的に接続する場合には、貫通電極111により、一度、回路基板240の表面に信号を引き出し、そのまま処理回路40に引き込めば良い。
【0220】
〔実施例18〕
図30を用いて実施例18について説明する。この実施例18は、ピエゾ式圧力センサ30と、容量式加速度センサ20と、回路基板240とが積層されている点で、前述の各実施例と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例18における説明を省略する。
【0221】
図30は、本実施例18の積層型力学量センサ201の断面図である。この図30に示すように、回路基板240上に容量式加速度センサ20が積層され、さらに容量式加速度センサ20の上にピエゾ式圧力センサ30が積層されている。なお、回路基板240、容量式加速度センサ20、ピエゾ式圧力センサ30は、ともに前述の各実施例で用いた構造と略同一のものである。
【0222】
以下、本実施例の積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。まず、第1の工程として、処理回路40と、処理回路40を保護する保護膜241と、その保護膜241内に設けられ処理回路40に電気的に接続する配線161とを有する回路基板240を準備するとともに、容量式加速度センサ20を準備する。
【0223】
第1の工程に続く第2の工程では、容量式加速度センサ20の支持基板側と、回路基板240であって処理回路40が存在する側の保護膜241とを常温にて直接接合する。なお、この接合は、ガラス接着や、陽極接合であっても良い。
【0224】
第2の工程に続く第3の工程では、前述の各実施例と同様に、RIEを用いて、容量式加速度センサ20のSiN膜等の絶縁膜27の下に存在する可動部23(および固定部24)のシリコン層が露出するまでコンタクトホールを設ける。また、同様に、回路基板240の入力配線247が露出するまでコンタクトホールを設ける。
【0225】
第3の工程に続く第4の工程では、前述の第3工程で設けたコンタクトホールを埋めるとともに、コンタクトホール同士を電気的に接続するようにCVDにてアルミニウムを堆積させ、固定部用配線24cを生成する。なお、堆積させる物質は、アルミニウムに限定されず、タングステン等の他の金属やポリシリコンであっても良い。
【0226】
第4の工程に続く第5の工程として、容量式加速度センサ20のSiN膜27および第3の工程で形成した固定部用配線24cを覆うように、表面保護膜28を設ける。その後、図5および図6に示した可動部および固定部を生成する。
【0227】
第5の工程に続く第6の工程では、ピエゾ抵抗32が内設されたダイヤフラム31を準備して、接地枠31bと、容量式加速度センサ20の表面保護膜28とを直接接合する。
【0228】
第6の工程に続く第7の工程では、ダイヤフラム31のピエゾ抵抗32の上に設けた絶縁膜36に対して、フォトレジストマスク生成及び反応性イオンエッチング(以下、RIE)を行って、接地枠31bにコンタクトホールを複数生成する。このRIEは、回路基板240の入力配線247および出力配線248が露出するまで行われる。すなわち、コンタクトホールは、接地枠31b、容量式加速度センサ20の表面保護膜28、容量式加速度センサ20のSiN膜27、容量式加速度センサ20のN型シリコン基板21、容量式加速度センサ20の絶縁膜26、容量式加速度センサ20の支持基板25を貫通して、回路基板240の入力配線247まで通じた孔である。
【0229】
第7の工程に続く第8の工程では、第7の工程で生成したコンタクトホールを埋めるとともに、電気的に接続するようにCVDにてアルミニウムを堆積させる。このとき、処理回路40の入力配線247に通じたコンタクトホールと、ピエゾ抵抗32に通じたコンタクトホールとが、アルミニウムにより電気的に接続される。また、出力配線248に通じたコンタクトホールには、単にポリシリコンが堆積され、貫通電極111となる。
【0230】
第8の工程に続く第9の工程では、第8の工程で生成したダイヤフラム31上のアルミニウムおよび絶縁膜36を覆うように表面保護膜35を設ける。さらに、この表面保護膜35に開口部を設け出力配線248に通じた貫通電極111の端部を露出させて、処理回路40の出力信号を取り出すためのパッド249が形成される。第8の工程や第9の工程において堆積させる物質は、アルミニウムに限定されず、タングステン等の他の金属やポリシリコンであっても良い。
【0231】
以下、本実施例18の積層型力学量センサ201の効果について述べる。第1の効果は、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20と回路基板240とを積層することにより、別々にピエゾ式圧力センサと容量式加速度センサと回路基板とを設ける構成に比べて、センサの占有面積を減らすことができる点である。
【0232】
また、第2の効果は、ピエゾ式圧力センサ30を容量式加速度センサ20に貼り合わせる前の状態、すなわち容量式加速度センサ20と回路基板240とを張り合わせた状態で、貫通電極111を設け、容量式加速度センサ20の出力が処理回路40に入力可能な状態とするため、単純な構造とすることができる。具体的には、第1の貫通電極により容量式加速度センサの出力をダイヤフラム上まで引き出し、さらに第1の貫通電極と処理回路とを電気的に接続する第2の貫通電極によりダイヤフラム上に引き出した容量式加速度センサの出力を処理回路に入力する構造に比べて、本実施例18の構造は貫通電極の数を減らすことができる。
【0233】
〔実施例19〕
図31を用いて実施例19について説明する。この実施例19は、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20と回路基板240とを積層した後に、全ての貫通電極111が形成される点で、前述の実施例18と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例19における説明を省略する。
【0234】
図31は、本実施例19の積層型力学量センサ201の断面図である。この図31に示すように、回路基板240上に容量式加速度センサ20が積層され、さらに容量式加速度センサ20の上にピエゾ式圧力センサ30が積層されている。なお、回路基板240、容量式加速度センサ20、ピエゾ式圧力センサ30は、ともに前述の各実施例で用いた構造と略同一のものである。
【0235】
前述の実施例18における図30との違いは、容量式加速度センサ20のN型シリコン基板21から、接地枠31bを貫通し、ダイヤフラム31上まで繋がる貫通電極111と、ダイヤフラム31上から、接地枠31bおよび容量式加速度センサ20を貫通し、処理回路40の入力配線247まで繋がる貫通電極111と、ダイヤフラム31上に設けられたこれらの貫通電極111を電気的に接続する固定部用配線24cが存在している点である。
【0236】
以下、本実施例の積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。まず、第1の工程として、処理回路40と、処理回路40を保護する保護膜241と、その保護膜241内に設けられ処理回路40に電気的に接続する配線247、248とを有する回路基板240、および、前述の図5、図6の工程により生成された容量式加速度センサ20、および、ピエゾ抵抗32が内設されたダイヤフラム31を準備し、これらを常温における直接接合により貼り合せある。
【0237】
第1の工程に続く第2の工程では、ダイヤフラム31のピエゾ抵抗32の上に設けた酸化膜36に対して、フォトレジストマスク生成及び反応性イオンエッチング(以下、RIE)を行って、接地枠31bにコンタクトホールを複数生成する。このRIEは、容量式加速度センサ20の固定部24と電気的に接続するシリコン基板面、および、可動部23と電気的に接続するシリコン基板面が露出するまで行われる。
【0238】
第2の工程に続く第3の工程では、ダイヤフラム31のピエゾ抵抗32の上に設けた酸化膜36に対して、フォトレジストマスク生成及び反応性イオンエッチング(以下、RIE)を行って、接地枠31bにコンタクトホールを複数生成する。このRIEは、回路基板240の入力配線247および出力配線248が露出するまで行われる。すなわち、コンタクトホールは、接地枠31b、容量式加速度センサ20の表面保護膜28、容量式加速度センサ20のSiN膜27、容量式加速度センサ20のN型シリコン基板21、容量式加速度センサ20の絶縁膜26、容量式加速度センサ20の支持基板25を貫通して、回路基板240の配線247、248まで通じた孔である。
【0239】
第3の工程に続く第4の工程では、第2の工程および第3の工程で生成したコンタクトホールを埋めるとともに、電気的に接続するようにCVDにてアルミニウムを堆積させる。このとき、処理回路40の入力配線247に通じたコンタクトホールと、ピエゾ抵抗32に通じたコンタクトホールとが、アルミニウムにより電気的に接続され圧力センサ用配線33となる。同様に、処理回路40の入力配線247に通じたコンタクトホールと、容量式加速度センサ20の可動部23(および固定部24)の電位と等しいシリコン層に通じたコンタクトホールとが、アルミニウムにより電気的に接続され固定部用配線24cとなる。また、処理回路40の出力配線248に通じたコンタクトホールには、単にポリシリコンが堆積され、貫通電極111となる。なお、堆積させる物質は、アルミニウムに限定されず、タングステン等の他の金属やポリシリコンであっても良い。
【0240】
第4の工程に続く第5の工程では、第4の工程で生成したダイヤフラム31上のポリシリコンおよび酸化膜36を覆うように表面保護膜35を設ける。さらに、この表面保護膜35に開口部を設け出力配線248に通じた貫通電極111の端部を露出させて、処理回路40の出力信号を取り出すためのパッド249が形成される。これにより、図31の積層型力学量センサ201を製造することができる。
【0241】
このような構造および製造方法を経ることによって、本実施例19の積層型力学量センサ201は、以下の効果を奏する。第1の効果は、ピエゾ式圧力センサ30と容量式加速度センサ20と回路基板240とを積層し、可動部23が基準圧力室37に封止された状態で全ての貫通電極111が形成されるため、貫通電極111を生成する際に発生するパーティクルや洗浄水が、可動部23と固定部24との間に入り込みスティッキングを起こす心配が少ない。
【0242】
第2の効果は、容量式加速度センサ20の出力が、一度、ダイヤフラム31上に引き出されている点である。この場合、例えばダイヤフラム31上の表面保護膜35の一部を除去して、貫通電極111と貫通電極111とを接続する圧力センサ用配線33を露出させれば、容量式加速度センサ20の検査をすることが可能である。
【0243】
〔実施例20〕
図32を用いて実施例20について説明する。この実施例20は、容量式加速度センサ20と回路基板240との間に、配線251が設けられたセラミックチップ250が挟設される点で、前述の実施例18と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例20における説明を省略する。
【0244】
図32は、本実施例20の積層型力学量センサ201の断面図である。この図32に示すように、容量式加速度センサ20と回路基板240との間に、配線251が設けられたセラミックチップ250が挟設される。このセラミックチップ250は、酸化膜と配線251とを組み合わせた構造であって、予め所定箇所(後述の貫通電極111と接触する場所)に配線251の周端部が露出している。そして、積層型力学量センサ全体としては、圧力印加側からピエゾ式圧力センサ30、容量式加速度センサ20、セラミックチップ250、回路基板240の順番に積層されている。
【0245】
以下、本実施例20の積層型力学量センサ201の製造方法について説明する。まず、第1の工程として、処理回路40と、処理回路40を保護する保護膜241を有する回路基板240、および、前述の図5、図6の工程により生成された容量式加速度センサ20、および、予め所定箇所(後述の貫通電極111と接触する場所)に配線251の周端部が露出しているセラミックチップ250とを準備し、これらを常温における直接接合により接合する。この際、配線251と、処理回路40とが電気的に接続される。なお、配線251を構成する物質は、アルミニウムや銅やタングステン等の金属を用いることができる。
【0246】
第1の工程に続く第2の工程では、処理回路40において容量式加速度センサ20の信号を処理するための箇所に接続された配線251の周端部と、容量式加速度センサ20の固定部24(又は可動部23)とを電気的に接続するように貫通電極111を生成する。
【0247】
第2の工程に続く第3の工程では、容量式加速度センサ20にピエゾ式圧力センサ30を直接接合する。
【0248】
第3の工程に続く第4の工程では、処理回路40においてピエゾ式圧力センサ30の信号を処理するための箇所に接続された配線251の周端部と、ピエゾ抵抗32とを接続するように貫通電極111を生成する。また、処理回路40において出力信号の出力箇所に接続された配線251の周端部に繋がり、この出力信号をダイヤフラム31上に引き出す貫通電極111を生成する。これらの貫通電極111は、容量式加速度センサ20を貫通して、セラミックチップ250の配線251と接続している。
【0249】
このような構造を有する本実施例20の積層型力学量センサ201は、セラミックチップ250を用いているために、配線の取り回しの自由度が高いという効果を奏する。なお、本実施例では、積層型力学量センサ201をチップ単位で説明したが、この積層型力学量センサ201を複数集積したウェハ状態で製造しても良い。
【0250】
〔実施例21〕
図33(a)(b)および図34を用いて実施例21について説明する。この実施例21は、セラミックチップ250の側面に取出電極245が設けられている点で、前述の実施例20と異なる。なお、前述の各実施例と同等の構成については、各実施例と同様の符号を付し、本実施例21における説明を省略する。
【0251】
図33(a)は、本実施例21の積層型力学量センサ201の断面図である。また、図33(b)は、図33(a)のJ−J線における断面図である。この図33(a)に示すように、セラミックチップ250の側面、すなわち容量式加速度センサ20やピエゾ式圧力センサ30の積層方向に対して直交する方向に取出電極245が設けられている。この取出電極245は、容量式加速度センサ20と処理回路40とを接続する配線251と接続している。すなわち、この取出電極245からは、容量式加速度センサ20の出力信号を取り出すことが可能である。図33(b)に示すように、このような取出電極245は、セラミックチップ250の側面に複数設けられている。具体的には、可動部23、固定部24、ピエゾ抵抗32、処理回路40からの各種出力信号が、セラミックチップ250の側面の取出電極245によって取り出されている。また、これらの取出電極245は、図33(a)に示すように、パッケージ253のリードフレームに対してバンプ接合252により固定されるとともに、電気的に接続されている。また、この取出電極245は、積層方向に対して互い違いに配置されている。配線251を構成する物質は、アルミニウムや銅やタングステン等の金属を用いることができる。
【0252】
なお、本実施例21の積層型力学量センサ201を集積して製造する場合には、図34に示すように、一方の取出電極245と、他方の取出電極245とを対面させて形成すれば、点線をダイシングカットして、一方の取出電極245と他方の取出電極245とを分断することが可能である。この方法以外にも、図32の構造を生成した後に、CVDなどを用いて、取出電極245を形成しても良い。また、図33(a)に示すように、絶縁膜26およびSiN膜27とパッケージ253との間には、バンプ接合252と同じ程度の高さのスペーサ254が設置され、積層型力学量センサ201をパッケージ253に対して水平に支持している。
【0253】
以下、本実施例21の積層型力学量センサ201の効果について述べる。第1の効果は、セラミックチップ250の側面の取出電極245から、各センサの出力信号を取り出すことができるため、パッケージ253の底面に対して積層型力学量センサ201を縦置きにすることができる。また、第2の効果としては、セラミックチップ250の側面の取出電極245から、各センサの出力信号を取り出し可能であることに加えて、前述の実施例20と同様に、ダイヤフラム31上から処理回路40の出力信号を取り出すことも可能である。すなわち、少なくとも互いに平行な関係にない2面から出力信号を取り出すことができる。
【0254】
〔その他の実施例〕
前述の実施例1〜10では、容量式加速度センサに、ピエゾ式もしくは容量式圧力センサを積層していた。しかし、積層する組合せは、これに限定されない。たとえば、容量式角速度(ヨーレート)センサに容量式加速度センサを積層しても良いし、容量式角速度センサに圧力センサを積層しても良い。ピエゾ抵抗型の圧力センサとピエゾ抵抗型の加速度センサを積層してもよい。さらに、検出方向が異なる加速度センサ同士を対向させて積層しても良い。また一方の基板側にはX,Y軸方向、別の基板にはZ軸方向と3軸の加速度センサを形成することもできる。さらに検出方向が同じではあるが図19に示すように感度の異なる加速度センサ同士を積層する事もできる。
【0255】
前述の実施例11〜17では、回路基板に、容量式加速度センサもしくはピエゾ式圧力センサを積層していた。しかし、積層する組合せは、これに限定されない。たとえば、回路基板に容量式角速度(ヨーレート)センサを積層しても良いし、回路基板に容量式圧力センサを積層しても良い。
【0256】
前述の実施例1〜9に示した複合型力学量センサ、実施例12〜21に示した積層型力学量センサは、半導体ウェハ基板同士を積層し、積層後にダイシングカットで各チップに分断される製造方法により製造されても良い。また、半導体ウェハ基板同士の積層方法は、基板間にNCFを介さない場合には、常温における直接接合、高温における直接接合、ガラス接着、陽極接合を任意に選択可能である。
【図面の簡単な説明】
【0257】
【図1】実施例1に示す複合型力学量センサを表す図であり、図1(a)は複合型力学量センサの平面図、図1(b)は図1(a)のB−B線における断面図、図1(c)は図1(a)のC−C線における断面図である。
【図2】実施例1で用いられる図であり、図1(b)または図1(c)のII−II線における断面図である。
【図3】実施例1を示すピエゾ式圧力センサの製造工程を表す図である。
【図4】実施例1で用いられる固定部用配線の設置工程を表す図である。
【図5】実施例1で用いられる固定部および可動部の製造工程を表す図であり、製造前の図1(b)に相当する。
【図6】実施例1で用いられる固定部および可動部の製造工程を表す図であり、製造前の図1(c)に相当する。
【図7】実施例1で用いられるピエゾ式圧力センサを容量式加速度センサに積層する工程を表す図であり、製造前の図1(b)に相当する。
【図8】実施例1で用いられるピエゾ式圧力センサを容量式加速度センサに積層する工程を表す図であり、製造前の図1(c)に相当する。
【図9】実施例2に示す複合型力学量センサを表す図であり、図9(a)は図9(a)のA−A線における断面図、図9(b)は図9(a)のB−B線における断面図、図9(c)は図9(a)のC−C線における断面図である。
【図10】実施例3に示す複合型力学量センサを表す図であり、図10(a)は図10(a)のA−A線における断面図、図10(b)は図10(a)のB−B線における断面図、図10(c)は図10(a)のC−C線における断面図である。
【図11】実施例4を示す複合型力学量センサを表す図である。
【図12】実施例5を示す複合型力学量センサを表す図である。
【図13】実施例6を示す複合型力学量センサを表す図である。
【図14】実施例7を示す複合型力学量センサを表す図である。
【図15】実施例8を示す複合型力学量センサを表す断面図である。
【図16】実施例9を示す複合型力学量センサを表す断面図である。
【図17】実施例10にて示す複合型力学量センサが複数集積されたウェハー基板を表す図である。
【図18】実施例10にて示す図17のG−G線における断面図である。
【図19】実施例11を示す複合型力学量センサを表す図である。
【図20】実施例11で用いられる図であり、圧力センサ側ウェハ基板を加速度センサ側ウェハ基板に積層する工程を表す。
【図21】実施例12を示す積層型力学量センサの平面図である。
【図22】実施例12で用いられる図であり、図22(a)は図21のH−H線における断面図、図22(b)は図21のI−I線における断面図である。
【図23】実施例12で用いられる図であり、図22(a)の積層型力学量センサの製造工程を表す。
【図24】実施例13を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図25】実施例14を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図26】実施例15を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図27】実施例16を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図28】実施例16で用いられる図であり、図27の積層型力学量センサの製造工程を表す。
【図29】実施例17を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図30】実施例18を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図31】実施例19を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図32】実施例20を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図33】実施例21を示す積層型力学量センサを表す図である。
【図34】実施例21を示す積層型力学量センサを集積して製造する際のダイシングカットラインを表す図である。
【図35】その他の実施例にて示す複合型力学量センサを表す断面図である。
【図36】実施例1にて示す容量式加速度センサの詳細図である。
【符号の説明】
【0258】
1 複合型力学量センサ
20 容量式加速度センサ
21 N型シリコン基板
22 外枠
23 可動部
23a 可動電極
23b 錘
23c 可動部用配線
23d 支柱
23e 梁
23f 可動部用パッド
24 固定部
24a 固定電極
24b 連結部
24c 固定部用配線
24d 固定部用パッド
24e N+領域
25 支持基板
26 絶縁膜
27 SiN膜
27a コンタクトホール
28 表面保護膜
30 ピエゾ式圧力センサ
31 ダイヤフラム
31a 変形部
31b 接地枠
31c N型シリコン基板
31d 絶縁膜(SiO2)
31e コンタクトホール
32 ピエゾ抵抗
33 圧力センサ用配線
34 圧力センサ用パッド
35 表面保護膜
36 絶縁膜
37 基準圧力室
40 処理回路
40a 圧力センサ処理回路
40b 加速度センサ処理回路
41 処理回路用パッド
50 パーケージ
60 低融点ガラス
91 導通用ハンダ
92 連結用ハンダ
93 気密リング
94 圧力センサ用配線
95 絶縁膜
101 NCF
111 貫通電極
112 絶縁膜
121 ポリシリコン膜
122 絶縁膜
130 容量式圧力センサ
131 基部
132 下部電極
133 上部電極
134 絶縁膜
135 上部電極穿設配線
136 下部電極穿設配線
151 圧力センサ基板
152 加速度センサ出力配線
161 配線
171 加速度センサ側ウェハ基板(ウェハ基板)
172 圧力センサ側ウェハ基板
201 積層型力学量センサ
240 回路基板
241 保護膜
242 酸化膜
243 コンタクトホール
244 窪み
245 取出電極
246 封止空間
247 入力配線
248 出力配線
249 パッド
250 セラミックチップ
251 配線
252 バンプ
253 パッケージ
254 スペーサ
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成19年3月9日(2007.3.9)
【代理人】 【識別番号】100096998
【弁理士】
【氏名又は名称】碓氷 裕彦

【識別番号】100123191
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 高順


【公開番号】 特開2008−20433(P2008−20433A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2007−60596(P2007−60596)