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【発明の名称】 加速度センサ
【発明者】 【氏名】清水 康夫

【要約】 【課題】磁石及び重りの可動状態において、一部の可動空間内壁部への接触ダメージの集中を抑え、各構成部材の耐摩耗性を向上し、摩耗による塵の排出を防止し、耐久性を確保した加速度センサを提供する。

【構成】前記磁石6の外周面とこれに対向する第三円筒凹部4cの内周面の間隙Aと、前記重り7の基部7bの外周面とこれに対向するスペーサー10内周面の間隙Bを同等間隔としている。このため、加速度検出方向と直交する方向の力が加わっても、磁石6及び重り7の可動空間壁部方向への移動量を等しくできる。したがって、どちらか一方が前記可動空間壁部に接触し、その部分に力が集中することなく分散され、摩耗低減と、塵の排出を極力抑えることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ケース内に形成された段付凹部の段付部とスペーサー部材によりその基部が挟持固定された面状ばねと、該面状ばねの中央位置に配置され、前記ケースの凹部空間内を可動空間として摺動する磁石と、該磁石に取り付けられた重りと、前記磁石と空隙を介して前記ケースに対向配置されると共に、前記磁石が移動したときの磁気変化を検出する磁電変換手段と、を備える加速度センサであって、
前記磁石の外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙と、前記重りの外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙が同等間隔であることを特徴とする加速度センサ。
【請求項2】
前記磁石の外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙と、前記重りの外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙が、各々50〜100μmであることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記磁石の外周面と対向する可動空間壁部が前記ケースの凹部内壁面であり、前記重りの外周面と対向する可動空間壁部が前記スペーサーの内周面であることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加速度センサは種々開発されており、磁電変換手段を用いた加速度センサ等が製品化されている。このような加速度センサは、例えば、自動車のタイヤホイールに取り付けられ、走行中のタイヤ内の物理量(例えば、空気圧)を検出するタイヤ情報監視装置として利用することが考案されている。
【0003】
ところで、磁電変換手段を使用したセンサは、例えば、特許文献1に記載されたセンサが提案されている。この変位センサは、外部応力により変位するばね部を蛇行腕片状に形成して、このばね部を可動部の中心軸に対して軸対称若しくは線対称に配置してある。そして、上記可動部の中央部に磁石を装着し、その磁石の変位方向の対向する箇所に電磁変換素子を配置して、磁石の変位にともなう電圧の変化を変位として検出する構成である。(特許文献1参照)
【0004】
また、磁電変換素子を用いたものではないが、スプリングにウェイト(重量体)を固定し、加速度を受けたウェイトがスプリングの付勢力に抗して変位した時、その変位方向に設けられたターミナルコンタクトに、前記ウェイトに設けられた可動接点部が接触することにより衝突を検知する衝突検知装置がある。検知レベルはスプリングの撓み量を調整することにより任意に設定するものである。(特許文献2参照)
【0005】
図2は、従来技術による加速度センサを示す上面図である。図3は、図2のA−A’断面図である。
【0006】
加速度センサ1はベース2上に設けられた外ケース3と、外ケース3の下部の段付凹部4内に取り付けられた面状ばね5と、この面状ばね5の中央位置に配置された磁石6と、該磁石6に取り付けられた重り7と、外ケース3の上部に取り付けられた磁電変換素子8とを備えるものである。
【0007】
外ケース3は、上面にほぼ矩形状の凹部9が形成されており、この凹部9に磁電変換素子8が収納され、前記凹部9と磁電変換素子8の間に接着剤(不図示)を充填することにより、磁電変換素子8が凹部9内に埋設される。
【0008】
また、外ケース3内の段付凹部4は、下面に直径が上方に向かって階段状に小さくなる三段円筒状の段付凹部となっている。この段付凹部4は、磁石6及び重り7の収納室であり、磁石6及び重り7が上下方向へ移動するための可動空間である。尚、前記磁石6と重り7は、前記段付凹部4に合わせ円筒状に形成されている。
【0009】
前記段付凹部4の下段に位置する最も直径の大きな第一円筒凹部4aには、面状ばね5の基部5aを固定する円環状のスペーサー10が圧入してあり、該スペーサー10の上面と段付部4a−1で面状ばね5の基部5aを挟持し、固定している。
【0010】
また、前記段付凹部4の中断に位置する第二円筒凹部4bは、磁石6が移動した際、面状ばね5が自由に移動するための可動空間となっている。さらに、前記段付凹部4の上段に位置する最も直径の小さな第三円筒凹部4cは、上方向(加速度検出方向)への加速度を受けた磁石6が上方へ移動するための可動空間である。
【0011】
図4は、加速度センサの面状ばねの平面図である。
同図において、面状ばね5は、所定形状の三つの腕部5bと、各腕部5bの外周方向の端部を連結する基部5aとからなっている。前記腕部5bは板ばねであり、前記基部5aは円環状に形成されたものである。前記腕部5bは、周方向に形成された周方向腕部5b−1と、半径方向に形成された半径方向腕部5b−2とから成っており、前記周方向腕部5b−1と半径方向腕部5b−2を連結させ、各腕幅や長さ、さらに、折り曲り形状を選択することにより必要とするばね特性が得られるものである。尚、面状ばね5の腕部5bの中心方向の端部は、腕部5bどうしが連結しない開放端になっている。これは磁石6及び重り7の上下方向への摺動性を良くするためである。
【0012】
前記加速度センサ1は、図3において、上方向を加速度検出方向としており、前記磁石6及び重り7に加わる加速度により面状ばね5が撓み磁石6が移動する。この磁石6の位置変位にともなう電圧の変化を磁電変換手段8で検出するものである。
【特許文献1】特開平6−230023号公報
【特許文献2】特開平10−123170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
前述の加速度センサ1の動作は、図3において、磁石6及び重り7が垂直方向に加速度を受けて可動(位置変位)することを検知して成り立つため、磁石6及び重り7が外ケース3の可動空間内で自由に可動できる必要がある。しかしながら、前記加速度センサ1の使用形態によっては、加速度検出方向である垂直方向に対し、直交する方向の加速度をも受けることがある。前記加速度センサを自動車のタイヤホイールに取り付け、遠心スイッチとして用いる場合がその一例である。前述のように磁石6及び重り7が、外ケース3内で自由に可動した場合、磁石6及び重り7の可動空間内壁部への接触による摩耗の確率が非常に高く、耐摩耗といった耐久性を非常に悪くしている。この耐摩耗性を向上させることで、耐久性を確保する必要がある。
【0014】
図5は、従来技術による加速度センサで、加速度を受け磁石と重りが変位した状態を示す側面断面図である。図5は、加速度検出方向には加速度を受けておらず、加速度検出方向と直交する方向に加速度を受けた状態を示している。また、図6も従来技術による加速度センサで、加速度を受け磁石と重りが変位した状態を示す側面断面図である。図6は、加速度検出方向の加速度を受けると共に、加速度検出方向に直交する方向の加速度を受けた状態を示している。
【0015】
図5は、重り7が静止状態、すなわち、加速度検出方向の加速度は受けておらず、重り7の底面がベース2に当接した状態にあるとき、加速度を受けた磁石6及び重り7が移動し、重り7の外周面が、環状のスペーサー10の内周面に接触した状態である。この接触部に応力が集中し、摩擦が生じ、重り7の外周面及びスペーサーの内周面を摩耗させてしまう。図3に示すように、前記磁石6の外周面とこれに対向する可動空間壁部(第三円筒凹部4cの内周面)との間隙Aと、前記重り7の外周面とこれに対向する可動空間壁部(スペーサー10の内周面)との間隙Bが双方で異なるため、間隙の狭い部位にて接触状態となる。
【0016】
図6に示す状態では、加速度検出方向の加速度に加え、これと直交するする方向の加速度も加わっている。この場合にも、間隙の狭い部位で接触状態となり、重り7の外周面とスペーサー10の内周面が接触し摩耗が生じる。
【0017】
また、図5、図6で説明した状態においては、各部材の削れにより発生する塵によって、磁石6及び重り7の動作を悪化させてしまう。このような状況では、加速度センサとしての検知能力が悪化し、やがては動作不良(検出不能)といった問題が生ずる可能性がある。
【0018】
このように、磁石6の外周面とその可動空間内壁部との間隙および、重り7の外周面とその可動空間壁部との間隙が、それぞれで異なっていた場合、狭い方の間隙にある磁石6の外周面、または、重り7の外周面どちらか一方が可動空間内壁部に接触し、その部分に力が集中して摩耗が激しくなってしまう。さらに、図6のごとく磁石6と重り7が図6の垂直方向に対し振れ回るような動きが発生する場合は、特に摩耗、削れの発生が顕著になる。
【0019】
本発明は、前記問題点に鑑み、磁石及び重りの可動状態において、一部の可動空間内壁部への接触ダメージの集中を抑え、各構成部材の耐摩耗性を向上し、摩耗による塵の排出を防止し、耐久性を確保した加速度センサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
少なくとも、ケース内に形成された段付凹部の段付部とスペーサー部材によりその基部が挟持固定された面状ばねと、該面状ばねの中央位置に配置され、前記ケースの凹部空間内を可動空間として摺動する磁石と、該磁石に取り付けられた重りと、前記磁石と空隙を介して前記ケースに対向配置されると共に、前記磁石が移動したときの磁気変化を検出する磁電変換手段と、を備える加速度センサであって、
前記磁石の外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙と、前記重りの外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙が同等間隔である加速度センサとする。
【0021】
前記磁石の外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙と、前記重りの外周面とこれに対向する可動空間壁部との間隙が、各々50〜100μmである加速度センサとする。
【0022】
前記磁石の外周面と対向する可動空間壁部が前記ケースの凹部内壁面であり、前記重りの外周面と対向する可動空間壁部が前記スペーサーの内周面である加速度センサとする。
【発明の効果】
【0023】
磁石外周面とこれに対向する可動空間壁部との隙間と、重り外周面とこれに対向する可動空間壁部との隙間を同等間隔とすることで、加速度検出方向に対し直交する方向の移動に対しては、磁石外周面と重り外周面がほぼ同時に当たり、加わる力の分散ができることより摩耗が軽減される。
【0024】
さらに、前記間隙を50〜100μm程度の狭い間隔にすることで磁石と重りの振れ回るような動きが発生しにくくなるため、摩耗、削れといった不具合の発生が最小限にとどめられる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、図面に基づいて本発明の加速度センサを説明する。尚、符号は、従来技術と異なる部材を除き共通の符号を用いることとする。
図1は、本発明による加速度センサを示す側面断面図である。
【0026】
加速度センサ20はベース2上に設けられた外ケース3と、外ケース3の下部の段付凹部4内に取り付けられた面状ばね5と、この面状ばね5の中央位置に配置された磁石6と、該磁石6に取り付けられた重り7と、外ケース3の上部に取り付けられた磁電変換素子8とを備えるものである。
【0027】
ベース2は、非透磁性のプラスチックスやセラミックスあるいは非透磁性の金属からなり、一辺の長さは約4mmで、板厚が約1mmの正方形の板である。
【0028】
磁石6は、ネオジム(Nd)・鉄(Fe)・ボロン(B)を主成分としたボンド磁石であり、中央部に重り7のピン部7aが圧入される圧入孔6aが形成された円筒形状である。外径が約1.3mmかつ高さが約0.6mmとしてある。尚、磁石6は、フェライト磁石、希土類磁石等の永久磁石を用いても良い。
【0029】
重り7は、非透磁性の金属、例えば、黄銅などの銅系金属からなり、ほぼ円柱状の基部7bと、該基部7bから突き出たピン部7aとからなるものである。前記ピン部7aは面状ばね5の中心部を通して磁石6の圧入孔6aに圧入されている。このように、磁石6に重り7を取り付けることにより、加速度センサ20を遠心スイッチとして使用する場合は、重り7の重量を調整することにより、閾値となる遠心力を自由に設定することができる。
【0030】
外ケース3は、非透磁性のプラスチック等からなり、正方形状の上面における一辺の長さが約4mmかつ高さが約3mmのほぼ立方体状である。外ケース3は、上面にほぼ矩形状の凹部9が形成されており、この凹部9に磁電変換素子8が収納され、前記凹部9と磁電変換素子8の間に接着剤(不図示)を充填することにより、磁電変換素子8が凹部9内に埋設される。8aは外部接続用端子であり、ベース2方向へ引き出され、該ベース2の外側平面と同一平面を成すよう折り曲げられている。
【0031】
また、外ケース3内の段付凹部4は、下面に直径が上方に向かって階段状に小さくなる三段円筒状の段付凹部となっている。この段付凹部4は、磁石6及び重り7の収納室となるもので、磁石6及び重り7が上下方向へ移動するための可動空間である。尚、前記磁石6と重り7は、前記段付凹部4に合わせ円筒状に形成されている。
【0032】
前記段付凹部4の下段に位置する最も直径の大きな第一円筒凹部4aには、面状ばね5の基部5aを固定する円環状のスペーサー10が圧入してあり、該スペーサー10の上面と段付部4a−1で面状ばね5の基部5aを挟持し、固定している。重り7は前記円環状スペーサー10の内側に配置された状態となる。
【0033】
また、前記段付凹部4の中断に位置する第二円筒凹部4bは、磁石6が移動した際、面状ばね5が自由に移動するための可動空間となっている。さらに、前記段付凹部4の上段に位置する最も直径の小さな第三円筒凹部4cは、上方向(加速度検出方向)への加速度を受けた磁石6が上方へ移動するための可動空間である。この第三円筒凹部4cは、約0.6mmの深さを有し、磁石6が約0.3mm挿入された状態から上方に約0.3mm移動する。
【0034】
本発明では、前記磁石6の外周面とこれに対向する第三円筒凹部4cの内周面の間隙Aと、前記重り7の基部7bの外周面とこれに対向するスペーサー10内周面の間隙Bを同等間隔としている。このため、加速度検出方向と直交する方向の力が加わっても、磁石6及び重り7の可動空間壁部方向への移動量を等しくできる。したがって、どちらか一方が前記可動空間壁部に接触し、その部分に力が集中することなく分散され、摩耗低減と、塵の排出を極力抑えることができる。
【0035】
また、前記間隙A及びBは同等間隔とすると共に、なるべく狭く設定することが摩耗や塵の排出に対して有効であるが、前記磁石6及び重り7の摺動性を損なわない程度にしなければならない。これを考慮した上、前述した本発明の加速度センサにおいては、前記間隙A及びBを各々50〜100μmに設定すると良い。これは、一般的な量産面およびコスト面から、樹脂成形部材(外ケース3、スペーサー10)である場合、その部品公差はレンジで30μmであり、金属部品(重り7)の旋盤加工ではレンジで10μm程度である。また、鉄を主原料に焼結したフェライト磁石や粉砕した磁石を合成樹脂に練り込んで成形するボンド磁石等も、部品公差はレンジで10μm程度である。さらに、金属および樹脂成形部材の熱膨張が各々数μmと算出できることにより、もっとも隙間を小さくしても50μmが限度となる。また、隙間を大きくした場合、100μmを超えた場合は、摩耗、削れによる塵の排出が顕著に表れてしまう。
【0036】
本実施形態の加速度センサ20においては、前記間隙Bは、前記重り7の基部7bの外周面とこれに対向するスペーサー10の内周面との間である。前述のごとく、前記加速度センサ20を遠心スイッチとして用いる場合には、重り7の外形サイズを大きく、又は、小さくするなどして重量を調整して閾値となる遠心力を設定することになる。このような場合、重り7の基部7bの外形サイズに対応させ、間隙Bが、前記磁石6とこれに対応する前記外ケース3の第三円筒凹部4c内周面との間隙Aと同等間隔になるよう、前記円環状のスペーサー10の内周サイズを変更することで容易に対応できる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による加速度センサを示す側面断面図。
【図2】従来技術による加速度センサを示す上面図。
【図3】図2のA−A’断面図。
【図4】加速度センサの面状ばねの平面図。
【図5】従来技術による加速度センサで、加速度を受け磁石と重りが変位した状態を示す側面断面図。
【図6】従来技術による加速度センサで、加速度を受け磁石と重りが変位した状態を示す側面断面図。
【符号の説明】
【0038】
1 加速度センサ
2 ベース
3 外ケース
4 段付凹部
4a 第一円筒凹部
4b 第二円筒凹部
4c 第三円筒凹部
4a−1 段付部
5 面状ばね
5a 基部
5b 腕部
5b−1 周方向腕部
5b−2 半径方向腕部
6 磁石
6a 圧入孔
7 重り
7a ピン部
7b 基部
8 磁電変換素子
8a 外部接続用端子
9 凹部
10 スペーサー
20 加速度センサ
【出願人】 【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンミヨタ株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−20378(P2008−20378A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193603(P2006−193603)