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【発明の名称】 加速度センサ
【発明者】 【氏名】清水 康夫

【要約】 【課題】面状ばねの変形、摩耗を防止し、面状ばねに与えるダメージを抑え、信頼性の高い加速度センサを提供する。

【構成】面状ばね11の半径方向腕部11b−2の開放端に、腕幅方向に延在して突出する腕部補強部11b−3を形成し、加速度検出方向に対して直交する方向の力に対する強度を増した構成とする。さらに、スペーサー20は、前記面状ばね11の基部11aを挟持固定する部位から外ケース3内の中心方向へ向けて下降傾斜する傾斜面部20aを有する構成とし、磁石6と重り7の間に介在配置した前記面状ばね11の腕部11b開放端は固定せず、前記磁石6と重り7との間に所定の隙間を設けた構成としたことにより、他部材との不要な衝突接触を防止でき、摩耗、変形が防止できる構造となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも、ケース内に形成された段付凹部の段付部とスペーサー部材によりその基部が挟持固定された面状ばねと、
該面状ばねの中央位置に配置された磁石と、該磁石に取り付けられた重りと、
前記磁石と空隙を介して前記ケースに対向配置されると共に、前記磁石が移動したときの磁気変化を検出する磁電変換手段と、を備える加速度センサであって、
前記面状ばねは、一端が前記基部に接続され、他端が開放端である複数本の腕部を有し、前記複数本の腕部のうち少なくとも2本の腕部の開放端が前記磁石と重りの間に介在配置されており、前記面状ばねの腕部開放端は、腕幅方向に延在して突出する腕部補強部を有していることを特徴とする加速度センサ。
【請求項2】
前記スペーサーは、前記面状ばねの基部を挟持固定した部位から、前記ケース内中央へ向けて下降傾斜する傾斜面部を有していることを特徴とする請求項1に記載の加速度センサ。
【請求項3】
前記磁石と重りの間に介在配置される前記面状ばねの腕部開放端は、前記磁石と前記重りのいずれにも固定されない自由端であり、前記面状ばねの腕部開放端が配置される前記磁石と重りとの間には、所定の隙間が設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載の加速度センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、加速度センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、加速度センサは種々開発されており、磁電変換手段を用いた加速度センサ等が製品化されている。このような加速度センサは、例えば、自動車のタイヤホイールに取り付けられ、走行中のタイヤ内の物理量(例えば、空気圧)を検出するタイヤ情報監視装置として利用することが考案されている。
【0003】
ところで、磁電変換手段を使用したセンサは、例えば、特許文献1に記載されたセンサが提案されている。この変位センサは、外部応力により変位するばね部を蛇行腕片状に形成して、このばね部を可動部の中心軸に対して軸対称若しくは線対称に配置してある。そして、前記可動部の中央部に磁石を装着し、その磁石の変位方向の対向する箇所に磁電変換素子を配置して、磁石の変位にともなう電圧の変化を変位として検出する構成である。(特許文献1参照)
【0004】
また、磁電変換素子を用いたものではないが、スプリングにウェイト(重量体)を固定し、加速度を受けたウェイトがスプリングの付勢力に抗して変位した時、その変位方向に設けられたターミナルコンタクトに、前記ウェイトに設けられた可動接点部が接触することにより衝突を検知する衝突検知装置がある。検知レベルはスプリングの撓み量を調整することにより任意に設定するものである。(特許文献2参照)
【0005】
図4は、従来技術による加速度センサを示す上面図である。図5は、図4のA−A’断面図である。
【0006】
加速度センサ1はベース2上に設けられた外ケース3と、外ケース3の下部の段付凹部4内に取り付けられた面状ばね5と、この面状ばね5の中央位置に配置された磁石6と、該磁石6に取り付けられた重り7と、外ケース3の上部に取り付けられた磁電変換素子8とを備えるものである。
【0007】
外ケース3は、上面にほぼ矩形状の凹部9が形成されており、この凹部9に磁電変換素子8が収納され、前記凹部9と磁電変換素子8の間に接着剤(不図示)を充填することにより、磁電変換素子8が凹部9内に埋設される。
【0008】
また、外ケース3内の段付凹部4は、下面に直径が上方に向かって階段状に小さくなる三段円筒状の段付凹部となっている。この段付凹部4は、磁石6及び重り7の収納室となるものである。前記段付凹部4の下段に位置する最も直径の大きな第一円筒凹部4aには、面状ばね5の基部5aを固定する円環状のスペーサー10が圧入してあり、スペーサー10の上面の一部と段付部4a−1で面状ばね5の基部5aを挟持し、固定している。
【0009】
また、前記段付凹部4の中断に位置する第二円筒凹部4bは、磁石6が移動した際、面状ばね5が自由に移動するためのスペースとなっている。さらに、前記段付凹部4の上段に位置する最も直径の小さな第三円筒凹部4cは、上方向(加速度検出方向)への加速度を受けた磁石6が上方へ移動するためのスペースである。
【0010】
図6は、従来の加速度センサの面状ばねの平面図である。
同図において、面状ばね5は、所定形状の三つの腕部5bと、各腕部5bの外周方向の端部を連結する基部5aとからなっている。前記腕部5bは板ばねであり、前記基部5aは円環状に形成されたものである。前記腕部5bは、周方向に形成された周方向腕部5b−1と、半径方向に形成された半径方向腕部5b−2とから成っており、前記周方向腕部5b−1と半径方向腕部5b−2を連結させ、各腕幅や長さ、さらに、折り曲り形状を選択することにより必要とするばね特性が得られるものである。尚、面状ばね5の腕部5bの中心方向の端部は、腕部5bどうしが連結しない開放端になっている。これは磁石6及び重り7の上下方向への摺動性を良くするためである。
【0011】
前記加速度センサ1は、図5において、上方向を加速度検出方向としており、前記磁石6及び重り7に加わる加速度により面状ばね5が撓み、磁石6が移動する。この磁石の位置変位にともなう電圧の変化を磁電変換手段8で検出するものである。
【特許文献1】特開平6−230023号公報
【特許文献2】特開平10−123170号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記従来技術の加速度センサ1は、加速度検出方向(図5の上方向)の加速度を検出しようとするものであるが、実際の使用状態においては、加速度検出方向に対し直交する方向への応力も受けることになる。前記加速度センサ1を自動車のタイヤホイールに取り付け、遠心スイッチとして用いる場合がその一例である。この時、面状ばね5の腕部5bの開放端角部に、磁石6若しくは重り7との接触応力が集中し、この状態が継続すると面状ばね5の腕部5bの開放端の摩耗、変形を引き起こし、面状ばね5にダメージを与えてしまう。これは、磁石6及び重り7の摺動性悪化を招く要因となり、加速度検出精度に悪影響を及ぼしかねない。
【0013】
また、前記面状ばね5の腕部5bは、前記重り7がベース2の上面に当接した状態にある時(加速度検出方向への力が加わっていない時)、前記スペーサー10の上面に当接した状態になっている。このような構成においては、前記磁石6と重り7が加速度を受け上下動を繰り返す度に、面状ばね5の腕部5bがスペーサー10の上面と衝突する状態を繰り返すことになり、面状ばね5にダメージを与えてしまう。また、加速度検出方向に対し直交する方向への応力が加わった場合には、腕部5bの開放端に捩れが起こり、前記スペーサー10の内周側角部との接触による面状ばね5の摩耗、変形が起こり、前記同様の問題が生じる可能性がある。
【0014】
本発明は、前記問題点に鑑み、面状ばねの変形、摩耗を防止し、面状ばねに与えるダメージを抑え、信頼性の高い加速度センサを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
少なくとも、ケース内に形成された段付凹部の段付部とスペーサー部材によりその基部が挟持固定された面状ばねと、
該面状ばねの中央位置に配置された磁石と、該磁石に取り付けられた重りと、
前記磁石と空隙を介して前記ケースに対向配置されると共に、前記磁石が移動したときの磁気変化を検出する磁電変換手段と、を備える加速度センサであって、
前記面状ばねは、一端が前記基部に接続され、他端が開放端である複数本の腕部を有し、前記複数本の腕部のうち少なくとも2本の腕部の開放端が前記磁石と重りの間に介在配置されており、前記面状ばねの腕部開放端は、腕幅方向に延在して突出する腕部補強部を有している加速度センサとする。
【0016】
前記スペーサーは、前記面状ばねの基部を挟持固定した部位から、前記ケース内中央へ向けて下降傾斜する傾斜面部を有している加速度センサとする。
【0017】
前記磁石と重りの間に介在配置される前記面状ばねの腕部開放端は、前記磁石と前記重りのいずれにも固定されない自由端であり、前記面状ばねの腕部開放端が配置される前記磁石と重りとの間には所定の隙間が設けられている加速度センサとする。
【発明の効果】
【0018】
前記面状ばねの腕部は、前記開放端の両側に延在して突出する腕部補強部を有する構成としたので、加速度検出方向に対し直交する加速度を受けた時の前記磁石若しくは重りとの接触応力に対し強度が増し、面状ばねの摩耗、変形防止ができる。
【0019】
前記スペーサーは、前記面状ばねの基部が固定された挟持部から、前記ケース内中央へ向けて下降傾斜する傾斜面部を有する構成としたので、前記面状ばねの腕部がスペーサーと当接しない状態を保持できるので、摩耗、変形が防止できる。
【0020】
前記面状ばねの腕部開放端は、前記磁石と前記重りのいずれにも固定されず、自由端としたので、前記面状ばねの腕部は各々が片持ち梁の特性で撓み、開放端としなかった場合に比べてたわみ易さが得られ、加速度検出感度が向上する。また、前記面状ばねの腕部開放端が配置される前記磁石と該磁石に取り付けられた重りの間には、所定の隙間を設けた構成としたので、加速度が加わり面状ばねが撓んでも面状ばねの腕部開放端の先端が磁石等の構成部材に接触せず、摩耗、変形が防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面に基づいて本発明の加速度センサの構成について説明する。尚、従来技術として開示した部材と同一部材については同一の符号を用いることとする。
図1は、本発明による加速度センサを示す側面断面図である。図2は、本発明の加速度センサの面状ばねの平面図である。
【0022】
まず、本発明の加速度センサの面状ばねの構成から説明する。
図2において、面状ばね11は、所定形状の三つの腕部11bと、各腕部11bの外周方向の端部を連結する基部11aとからなっている。前記腕部11bは板ばねであり、前記基部11aは円環状に形成されたものである。前記腕部11bは、周方向に形成された周方向腕部11b−1と、半径方向に形成された半径方向腕部11b−2とから成っており、前記周方向腕部11b−1と半径方向腕部11b−2を連結させ、各腕幅や長さ、さらに、折り曲り形状を選択することにより必要とするばね特性が得られるものである。尚、面状ばね11の腕部11bの中心方向の端部は、腕部11bどうしが連結しない開放端になっている。これにより、磁石6及び重り7の上下方向への摺動性を高めている。
【0023】
また、前記面状ばね11の半径方向腕部11b−2の端部(開放端)は、腕幅方向に延在して突出する腕部補強部11b−3が形成されている。該構成によれば、加速度検出方向と直交する方向の力が加わり、開放端の両端角部に磁石6若しくは重り7の接触応力が集中しても腕部補強部11b−3により強度補強されているため、摩耗、変形が抑えられる。
【0024】
図1に示すように、加速度センサ30はベース2上に設けられた外ケース3と、外ケース3の下部の段付凹部4内に取り付けられた前述の面状ばね11と、この面状ばね11の中央位置に配置された磁石6と、該磁石6に取り付けられた重り7と、外ケース3の上部に取り付けられた磁電変換素子8とを備えている。
【0025】
前記磁石6は、ボンド磁石であり、中央部に重り7のピン部7aが圧入される圧入孔6aが形成された円筒形状である。尚、前記磁石6は、フェライト磁石、希土類磁石等の永久磁石を用いても良い。
【0026】
前記重り7は、非透磁性の金属、例えば、黄銅などの銅系金属からなり、ほぼ円柱状の基部7bと、該基部7bから突き出たピン部7aとからなるものである。前記ピン部7aは面状ばね11の中心部を通して磁石6の圧入孔6aに圧入されている。これにより、前記面状ばね11の腕部開放端は前記磁石6と重り7の間に介在配置された構成となる。このように、磁石6に重り7を取り付けることにより、加速度センサ1を遠心スイッチとして使用する場合は、重り7の重量を調整することにより、閾値となる遠心力を自由に設定することができる。
【0027】
外ケース3には、上面にほぼ矩形状の凹部9が形成されており、この凹部9に磁電変換素子8が収納され、前記凹部9と磁電変換素子8の間に接着剤(不図示)を充填することにより、磁電変換素子8が凹部9内に埋設される。8aは外部接続用端子であり、ベース2方向へ引き出され、該ベース2の外側平面と同一平面を成すよう折り曲げられている。
【0028】
外ケース3内の段付凹部4は、下面に直径が上方に向かって階段状に小さくなる三段円筒状の段付凹部となっている。この段付凹部4は、磁石6及び重り7の収納室となるものである。前記段付凹部4の下段に位置する最も直径の大きな第一円筒凹部4aには、面状ばね11の基部11aを固定する円環状のスペーサー20が圧入してあり、スペーサー20の上面の一部と段付部4a−1で面状ばね11の基部11aを挟持し、固定している。尚、前記円環状のスペーサー20は、前記面状ばね11の基部11aを挟持する部位(上面の一部)から外ケース3内の中心方向へ向けて下降傾斜する傾斜面部20aを有する構成としている。該構成によれば、重り7がベース2上に当接している状態であっても前記面状ばね11(基部11a以外)がスペーサー20に当接しない状態にできる。よって、前記磁石6及び重り7の上下動による前記面状ばね11の腕部11bのスペーサー20上面への不要な衝突を避けることができる。また、加速度検出方向と直交する方向の力が加わった場合においてもスペーサー20の内周側角部と腕部11bの接触摩擦を防止でき、面状ばね11の摩耗、変形を防止できる構造となる。
【0029】
前記段付凹部4の中断に位置する第二円筒凹部4bは、磁石6が移動した際、面状ばね11が自由に移動するためのスペースとなっている。さらに、前記段付凹部4の上段に位置する最も直径の小さな第三円筒凹部4cは、上方向(加速度検出方向)への加速度を受けた磁石6が上方へ移動するためのスペースである。
【0030】
図3は、本発明による加速度センサの側面断面図で、図の上方向に加速度を受け、磁石が磁電変換素子方向に最大移動した状態を示す図である。
【0031】
図3において、上方向へ加速度が加わると、磁石6と重り7の間に介在配置された面状ばね11が前記重り7に当接した状態で撓み、磁石6が上方の磁電変換素子8方向へ移動する。前記面状ばね11の腕部11bは、開放端としており、さらに該開放端は磁石6、重り7のいずれにも固定されない自由端としていることにより、所定加速度が加わった際の撓みをスムーズにし、磁石の変位量が十分得られる構成である。ここで、前記面状ばね11の腕部11bが開放端でなく、各々が連結されていた場合は、前述の条件で同様のたわみを得ることは難しい。
【0032】
また、前記面状ばね11の腕部11bの開放端が介在配置される前記磁石6重り7の間には、所定の隙間を設けた構成としたので、加速度が加わり面状ばねが撓んでも面状ばねの腕部11bの開放端先端が磁石6に接触せず、摩耗、変形が防止できる。前記所定の隙間は、構成部材のサイズ構成によって適宜決められるもので、前記面状ばね11の可動範囲内において、前記面状ばね11の腕部11bの開放端先端が磁石6に当接しない程度の隙間に設定する。前記所定の間隔は、重り7の段部7cの高さを調整することで任意に設定できる。
【0033】
前述のごとく、前記面状ばね11の腕部11bの開放端は、腕幅方向に延在して突出する腕部補強部11b−3を有する構成としていることで、加速度検出方向に対して直交する方向の力に対し強固になり、開放端の変形を防ぐ働きをなす。さらに、スペーサー20は、前記面状ばね11の基部11aが挟持固定された部位から、前記外ケース3内の中央へ向けて下降傾斜する傾斜面部を有する構成としたことと、前記磁石6と重り7の間に介在配置した前記面状ばね11の腕部11b開放端は固定せず、前記磁石6と重り7との間に所定の隙間を設けた構成としたことにより、他部材との不要な衝突接触を防止でき、摩耗、変形が防止できる構造となる。
【0034】
前述の構成を採用することで、面状ばねへのダメージが低減されるので、信頼性の高い加速度センサが得られる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明による加速度センサを示す側面断面図。
【図2】本発明の加速度センサの面状ばねの平面図。
【図3】本発明による加速度センサの側面断面図で、図の上下方向に加速度を受け、磁石が磁電変換素子方向に最大移動した状態を示す図。
【図4】従来技術による加速度センサを示す上面図。
【図5】図4のA−A’断面図。
【図6】従来の加速度センサの面状ばねの平面図。
【符号の説明】
【0036】
1 加速度センサ
2 ベース
3 外ケース
4 段付凹部
4a 第一円筒凹部
4b 第二円筒凹部
4c 第三円筒凹部
4a−1 段付部
5 面状ばね
5a 基部
5b 腕部
5b−1 周方向腕部
5b−2 半径方向腕部
6 磁石
6a 圧入孔
7 重り
7a ピン部
7b 基部
7c 段部
8 磁電変換素子
8a 外部接続用端子
9 凹部
10 スペーサー
11a 基部
11b 腕部
11b−1 周方向腕部
11b−2 半径方向腕部
11b−3 腕部補強部
20 スペーサー
20a 傾斜面部
30 加速度センサ
【出願人】 【識別番号】000166948
【氏名又は名称】シチズンミヨタ株式会社
【出願日】 平成18年7月14日(2006.7.14)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−20377(P2008−20377A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−193602(P2006−193602)