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【発明の名称】 多出力慣性検知デバイス
【発明者】 【氏名】ババラ、マイケル エル.

【要約】 【課題】異なる動作範囲に合わせて多数の出力信号を供給する単一の慣性センサを企図する。

【構成】慣性センサ2は、シリコン・ウエハ4上に配置された複数の検知要素6,8を含む。検知要素の各々は異なる慣性範囲を検知する。検知要素は、共通の信号調整回路10に電気的に接続されており、信号調整回路は検知要素の各々に応じて出力信号を発生する。信号調整回路の出力は、少なくとも1つの制御システム12に電気的に接続されており、異なる範囲の出力信号を制御システムに供給する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体に取り付けられるように適合された慣性センサであって、
ベース部材と、
前記ベース部材上に配置された単一の検知要素であって、前記物体の運動パラメータの変化を検知するように作動可能である検知要素と、
前記単一の検知要素に接続された複数の信号調整回路であって、該信号調整回路は少なくとも1つの制御システムに接続されるように構成され、前記物体の運動パラメータの変化の関数である電気信号を発生するように作動可能である信号調整回路と、
を備える慣性センサ。
【請求項2】
請求項1記載の慣性センサにおいて、前記ベース部材がシリコン・ウエハである、慣性センサ。
【請求項3】
請求項2記載の慣性センサにおいて、前記信号調整回路が、前記シリコン・ウエハおよび前記検知要素と一体化されている、慣性センサ。
【請求項4】
請求項2記載の慣性センサにおいて、前記信号調整回路が、前記シリコン・ウエハおよび前記検知要素から離れて配置されている、慣性センサ。
【請求項5】
請求項1記載の慣性センサであって、前記信号調整回路に接続された、信号を結合するためのデバイスを備え、該デバイスは、前記信号調整回路が発生した信号を単一の出力信号に結合するように作動可能である、慣性センサ。
【請求項6】
請求項1記載の慣性センサにおいて、前記検知要素が加速度計である、慣性センサ。
【請求項7】
請求項6記載の慣性センサにおいて、前記複数の信号調整回路のうちの1つの信号調整回路が第1範囲における加速度変化を検知するように較正されており、前記複数の信号調整回路のうちの第2の信号調整回路が第2範囲における加速度変化を検知するように較正されており、前記加速度変化の第2範囲が前記加速度変化の第1範囲とは異なる、慣性センサ。
【請求項8】
請求項1記載の慣性センサにおいて、前記検知要素が角速度検知要素である、慣性センサ。
【請求項9】
請求項8記載の慣性センサにおいて、前記複数の信号調整回路のうちの1つの信号調整回路が第1範囲における角速度変化を検知するように較正されており、前記複数の信号調整回路のうちの第2の信号調整回路が第2範囲における角速度変化を検知するように較正されており、前記角速度の第2範囲が前記角速度の第1範囲とは異なる、慣性センサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には慣性センサに関し、特に、自動車両の安全システムに理想的に用いることができる多出力慣性検知デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
側方慣性センサ、即ち、加速度計は、これらが取り付けられている物体のような外部発生源から発生する加速度を検知する、周知のデバイスである。加速度計は、3つの主要構成要素から成るのが通常である。第1の構成要素は、質量であり、当技術分野では振動質量(seismic mass)または慣性質量(proof mass)として知られており、外部物体の加速度に応答して移動する。慣性質量は、ばねまたはばねとして機能する部材である第2構成要素によって、静止位置に保持されている。第3構成要素は、加速度に応答する慣性質量の運動を測定する変位変換器である。加速時に、質量はその静止位置から移動し、ばねを圧縮または伸張する。変換器は、質量の移動を検出し、この移動を電気出力信号に変換する。出力信号は、測定の高精度化のための信号調整電子回路によって増幅および濾波されてもよく、次いで、検出した加速度に応答する制御回路または制御装置に伝達される。ばねは、大抵の場合、慣性質量を単一方向即ち軸線方向に移動を制限する。したがって、加速度計は、指向性加速度信号を供給する。加速度計の3つの構成要素、すなわち慣性質量、ばね、および変換器は、まとめてセンサまたは検知要素として知られている。
【0003】
通常、加速度計は、圧電変位変換器または容量性変換器のいずれかを利用する。圧電変位変換器では、慣性質量の運動は、圧電材料の伸縮に応じた抵抗値の変化に応じて、電気出力信号に変換される。しかしながら、圧電変換器には、熱および応力に感応するという不都合があり、このため通常高価な補償用電子回路の使用が必要となる。容量性変換器では、慣性質量の運動を変換するには、この運動に部材の容量を変化させ、次いでこの容量を測定する。容量性変換器にも、それと共に用いる調整用電子回路の寄生容量のような制約があるが、これらは温度には比較的影響されず、電子的に容易に測定することができるので好ましい。
【0004】
加速度計は、例えば、回転機器の振動測定や、衝撃測定、慣性ナビゲーション・システムおよび自動車両制御システムを含む多くの異なる用途で用いられている。米国特許第4,945,765号に開示されているような従来の加速度計は、物理的に大きく、しかも生産に比較的費用がかかる。その結果、従来の加速度計は、そのサイズ、重量、およびコストのために、自動車両に搭載されたのはわずかに過ぎなかった。
【0005】
最近開発された半導体加速度計では、これに含まれる前述の検知要素を小型化しシリコン・チップ上に実装している。その結果、半導体加速度計は、従来の加速度計よりも遥かに小型化され、したがって、加速度計の位置に関する設計上の選択肢の柔軟性が高まった。加えて、半導体加速度計は、先に記した従来の加速度計よりも、生産に費用がかからない。
【0006】
通常、半導体加速度計を製造するには、バルク製造技術または表面製造技術のいずれかを利用する。双方とも当技術分野では周知である。バルクおよび表面製造技術は双方とも、微細加工電気機械システム(MEMS)として分類されている。バルク製造技術では、変換器および共に用いる電子回路は、シリコン・チップ外部に配置されるのが通常である。表面製造技術では、変換器および電子回路は、シリコン・チップ上に実装することができ、加速度計に要求されるサイズを更に縮小することができる。
【0007】
したがって、自動車両における加速度計の使用は増々普及しつつある。これらは、最新の自動車安全システムにおいて用いられ、加速度の変化を検知し、速度制御システムやアンチロック制動システムを含む車両制御システムに制御信号を供給する。また、これらは、衝突状態を検知し、車両補助拘束システムの解放を引き起こす信号を供給する。車両補助拘束システムは、エアバッグと言う方が一般には分かりやすい。車両安全システムにおける加速度計は、通常、Gの力に関する加速度変化を測定するように較正される。1Gの力、即ち、「G」は、重力加速度(9.8m/sまたは32.2ft/s)に等しい。車両制御システムに利用される加速度計は、通常、1.5Gの範囲の「低い」検知加速度に応じて信号を供給し、一方衝突検知システムに利用される加速度計は、通常、40Gの範囲の「高い」検知加速度に応じて信号を供給する。
【0008】
側方加速度の変化を検知することに加えて、自動車両制御システムは、角速度センサも利用して、角速度の変化を検知する。角速度センサは、通常、慣性質量の加速度変化ではなく、振動リングの回転速度の変化を測定するが、角速度センサも変換器を含み、シリコン・チップ上に実装される。加速度計と同様、角速度センサは、横揺れ制御(roll control)システムや横転検知(rollover sensing)システムのような車両制御システムに制御信号を供給するために利用される。この場合も、前述の側方加速度計と同様、角速度センサを利用する車両制御システムは、異なるトリガ・レベルを必要とする可能性がある。つまり、横揺れ制御システムは、横転検知システムが利用する信号よりも、振幅が小さい信号に応答する。角速度センサおよび加速度計を、以後一括して慣性センサと呼ぶ。
【0009】
半導体慣性センサを利用した従来技術の自動車両安全システムは、制御システム毎に別個の半導体慣性センサを利用するのが通常であった。一方、各慣性センサは、センサ信号を処理するためには、別個の特定用途集積回路(ASIC)を必要とした。各ASICおよび慣性センサを別個に購入しなければならなかったため、別個の慣性センサを用いることにより、各システムの総コストが増大した。各慣性センサおよびASICは、設置のために固定量の空間を必要とし、慣性センサが嵩張るために、それに応じてサイズが増大し、種々の制御または安全システムの設計上の柔軟性が低下した。
【0010】
慣性センサの製造技術がより発達するにつれ、MEMS技術の進歩が実現され続けている。MEMSにおけるこれら進展中の技術開発によって、検知要素や半導体慣性センサの電子回路は、引き続き微細化および高集積化が行なわれ得る。したがって、MEMS技術開発を利用して、従来技術の慣性センサを小型化することができれば望ましいであろう。また、慣性センサおよびASICの数を削減し、慣性センサおよびASICの配置における設計上の柔軟性を高め、システム全体を小型化し、種々の車両制御システムにおいて共通部品として用いることができる慣性センサを生み出すことができれば望ましいであろう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、異なる動作範囲に合わせて多数の出力信号を供給する単一の慣性センサを企図する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この慣性センサは、複数の慣性検知要素を搭載したシリコン・ウエハを含む。各検知要素は、所定の範囲の加速度変化または角速度変化を検知するように較正されている。したがって、車両の方向制御システムには低G検知要素を設けることができ、車両衝突検知には高G検知要素を設けることができる。同様に、横揺れ制御システムには低範囲角速度センサを設けることができ、一方、横転検出システムには高範囲角速度センサを設けることができる。
【0013】
検知要素の各々は、共通の信号調整回路または別個の対応する信号調整回路のいずれかに電気的に接続されている。信号調整回路は、検知要素の各々からの出力信号を増幅および濾波し、検知要素の各々に応じて補正した出力信号を発生する。出力信号は、関連する制御システムに伝達される。
【0014】
また、本発明は、シリコン・ウエハによって支持された単一の検知要素を企図する。単一要素の出力は、感度が異なる多数の信号調整回路に電気的に接続され、該信号調整回路は、検知要素が発生した信号を異なる範囲の出力信号に変換する。
【0015】
また、本発明は、単一のウエハによって支持され、1つ以上の車両の軸線に沿った慣性の変化、または同軸線を中心とした慣性の変化を検知する、多慣性センサも企図する。
したがって、本発明の目的は、多数の検知要素を単一のシリコン・ウエハ上に組み込み、これら多数の検知要素を同一の慣性検知デバイスに集積することにある。多数の検知要素を集積することによって、慣性センサおよび共に用いる回路基板に必要なサイズは、格段に縮小し、これに対応してパッケージングの柔軟性が高まる。
【0016】
本発明の別の目的は、種々の車両制御または安全システムにおいて共通部品として用いることができ、安全システム全体のコスト削減を図った慣性センサを形成することにある。
【0017】
本発明の種々のその他の目的および利点は、以下の好適な実施形態の詳細な説明を、添付図面を参照しながら読むことによって、当業者には明白となろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
これより、図1を参照すると、多出力慣性センサが全体的に符号2で示されている。センサ2は、シリコン・ウエハ4を備える。シリコン・ウエハ4内には、1対の検知要素6,8が埋め込まれている。検知要素6,8は、側方加速度検知要素(加速度計)または角速度検知要素であり得る。加速度計の場合、検知要素6,8は、1つの慣性質量(図示せず)および2つの変換器(図示せず)、または1つの慣性質量および電子スイッチを有し多数の範囲に合わせて信号を生成する1つの変換器、または2つの慣性質量および2つの変換器を含むことができる。加えて、検知要素6,8は、一体型変換器(図示せず)を備えてもよいし、あるいは変換器を以下で概要を説明する回路全体の一部としてもよい。本発明では、検知要素6,8をシリコン・ウエハ4上に同時に並べて形成することによって、ウエハ製造時間に対する悪影響を減少または無くすことができると考えている。
【0019】
図1には2つの検知要素6,8を示したが、本発明は、ウエハ4内に2つよりも多い検知要素を埋め込んだ場合でも実施可能であることは認められよう。
検知要素6,8の各々は、加速度計の場合、異なる範囲の線形加速度、即ち、「G」力に対して変化を検知するように較正されている。あるいは、角速度センサでは、各検知要素は、異なる角速度範囲に対して角速度の変化を検知するように較正されている。好適な実施形態では、それらの検知範囲は重複しない。検知要素6,8の変換器の出力は、信号調整回路10の入力に電気的に接続されている。信号調整回路10は、検知要素6,8の各々からの出力信号を増幅し濾波するように機能する。信号調整回路10は、例えば、車両の方向制御を維持する車両安定性制御システム、またはエア・バッグ展開システムのような、1つ以上の車両制御システムまたは装置12に電気的に接続されている。信号調整回路10は、検知要素の信号に応答して、検知要素からのデータ情報を含む出力信号を発生し、該出力信号は車両制御システムに伝達される。出力信号は、システムの関連する制御システムから適切な応答を誘発する。
【0020】
好適な実施形態では、信号調整回路10は、特定用途集積回路(ASIC)(図示せず)に含まれる。信号調整回路10は、図1に示すように、シリコン・ウエハ4から離して配置することも、検知要素6,8(図示せず)と共にウエハ4上に実装することもできる。慣性センサ2は、好ましくは、電源(図示せず)接続部や、慣性センサ2からの信号を処理する制御装置またはシステム(図示せず)を有するプリント回路基板(図示せず)上に実装される。
【0021】
これより図2を参照すると、多出力慣性センサの代替実施形態が全体的に符号20で示されている。センサ20は、当技術分野において周知の方法で製造されたシリコン・ウエハ22を備える。シリコン・ウエハ22内には、単一の検知要素24が埋め込まれている。検知要素24の変換器の出力は、1対の信号調整回路26,28の入力に電気的に接続されている。信号調整回路26,28は、検知要素24からの出力信号を増幅し濾波し、関連する1つまたは複数の制御装置から適切な応答を誘発する出力信号を発生するように機能する。好適な実施形態では、信号調整回路26,28はASIC内に含まれる。前述のセンサ2と同様、調整回路26,28の各々は、加速度計の場合には、異なる範囲の線形加速度、即ち、「G」力に対して較正され、また角速度センサの場合には、異なる範囲の角速度に対して較正されている。好適な実施形態では、それらの異なる範囲は重複しない。このように、センサ20は、1つの検知要素24に対して2つの異なる出力信号レベルを備えている。信号調整回路26,28の各々は、それぞれ、符号30,32で示す、関連制御装置に接続されている。
【0022】
これより図3を参照すると、多出力慣性センサの別の代替実施形態が全体的に符号40で示されている。この実施形態では、センサ40は、当技術分野では周知の方法で製造したシリコン・ウエハ42を備える。シリコン・ウエハ42内には、1対の検知要素44,46が埋め込まれている。検知要素44,46の各々における変換器の出力は、1対の信号調整回路48,50のうちの対応する一方の入力に電気的に接続されている。信号調整回路48,50は、検知要素44,46からの出力信号を増幅し濾波し、関連する1つまたは複数の制御装置から適切な応答を誘発する出力信号を発生するように機能する。好適な実施形態では、検知要素44,46はASIC内に含まれている。検知要素44,46は、加速度計の場合には異なる範囲の線形加速度、ヨー・センサの場合には異なる範囲の角速度に対する変化を検知する。前述と同様に、好適な実施形態では、それらの範囲は重複しない。信号調整回路48,50の各々は、更に、それぞれ符号52,54で示す、制御装置またはシステムに接続されている。これらはの制御装置は、電気信号を処理し、検知した加速度に対して適切な反応を行う。
【0023】
これより図4を参照すると、多出力慣性センサの別の代替実施形態が全体的に符号60で示されている。この実施形態では、センサ60は、当技術分野では周知の方法で製造したシリコン・ウエハ62を含む。シリコン・ウエハ62内には、1対の検知要素64,66が埋め込まれている。検知要素64,66の各々の変換器の出力は、1対の信号調整回路68,70の対応する一方の入力に電気的に接続されていえる。信号調整回路68,70は、検知要素64,66からの出力信号を増幅し濾波し、関連する1つまたは複数の制御装置から適切な応答を誘発する出力信号を発生するように機能する。好適な実施形態では、信号調整回路68,70はASIC内に含まれている。検知要素64,66は、好ましくは、加速度計の場合には、異なる範囲の線形加速度、角速度センサの場合には異なる範囲の角速度に対する変化を検知するように較正されている。前述と同様、好適な実施形態では、それらの範囲は重複しない。
【0024】
図4に示すように、信号調整回路68,70の出力はマルチプレクサ72に接続されている。マルチプレクサ72は、2つの電気出力信号を一時的に単一の多重化信号に結合することができる。マルチプレクサ72は、多重化信号をデマルチプレクサ74に伝達し、デマルチプレクサ74は、制御装置またはシステム76,78が利用するために、この信号を2つの別個の信号に分離する。制御装置またはシステム76,78は電気信号を処理し、検知された加速度に対して適切な反応を行う。
【0025】
これより図5を参照すると、多出力慣性センサの別の代替実施形態が全体的に符号80で示されている。この実施形態では、センサ80は、当技術分野では周知の方法で製造したシリコン・ウエハ82を含む。シリコン・ウエハ82内には、単一の検知要素84が埋め込まれている。検知要素84の変換器の出力は、2つの信号調整回路86,88の入力に電気的に接続されている。信号調整回路86,88は、検知要素84からの出力信号を増幅し濾波し、関連する1つまたは複数の制御装置から適切な応答を誘発する出力信号を発生するように機能する。好適な実施形態では、調整回路86,88はASIC内に含まれ、加速度計の場合には異なる範囲の線形加速度に対する変化、角速度センサの場合には異なる範囲の角速度に対する変化を検知するように較正されている。前述と同様、好適な実施形態では、それらの範囲は重複しない。このように、信号調整回路86,88は、単一の検知要素84から、異なる大きさの2つの出力信号を発生する。
【0026】
信号調整回路86,88は、更に、マルチプレクサ90にも接続されており、マルチプレクサ90は、電気信号を一時的に単一の多重化信号に結合することができる。マルチプレクサ90は、多重化信号をデマルチプレクサ91に送信し、デマルチプレクサ91は、制御装置またはシステム91A,91Bが利用するために、前記信号を2つの別個の信号に分離する。制御装置またはシステム91A,91Bは電気信号を処理し、検知された加速度に対して適切な反応を行う。
【0027】
本発明の好適な実施形態では、1つまたは2つの検知要素および1つまたは2つの調整回路を利用する場合について説明したが、本発明は2つよりも多い検知要素または調整回路、あるいは前述のいずれの組み合わせを利用した場合でも実施可能であることが理解されよう。したがって、図6に示すセンサ92は、図1に示したセンサ2と同様であるが、センサ92は、ウエハ4に埋め込まれた第3センサ93を備える。3つのセンサ6,8,93の各々は、異なる範囲の加速度または回転速度の変化を検知するように較正され、かつ単一の信号調整回路94に接続されている。前述と同様、好適な実施形態では、それらの範囲は重複しない。単一の調整回路94は、3つの検知要素6,8,93が供給したデータを含む単一の出力信号を発生し、制御装置またはシステム95がその出力信号を利用する。
【0028】
同様に、図7に示すセンサ96は単一の検知要素24を備え、その変換器の出力は3つの別個の信号調整回路26,28,98に接続されている。信号調整回路の各々は、検知要素の出力信号の異なる範囲に対して較正されている。つまり、センサ96は、3つの重複しない範囲にある3つの別個の出力信号を発生することが想定されている。図6には3つの検知要素を示し、図7には3つの信号調整回路を示したが、本発明は、3つよりも多い検知要素および/または信号調整回路を用いても実施可能であることが理解されよう。信号調整回路26,28,98の各々は、それぞれ、符号100,102,104で示す、関連制御装置またはシステムに接続されている。
【0029】
加えて、本発明の好適な実施形態では加速度または回転速度の変化を重複しない範囲で検知するように較正した、検知要素または信号調整回路のいずれかを有する場合について説明したが、本発明は重複する範囲を有して実施することも可能である。更に、本発明の好適な実施形態では、単一のシリコン・ウエハによって支持された加速度計または角速度センサを有する場合について図示し説明したが、本発明は、単一のシリコン・ウエハ上に加速度計および角速度センサの双方を組み合わせて実施することも可能であることが認められよう。
【0030】
単一のシリコン・ウエハ上に多数の検知要素を実装する場合、製造コストを削減しつつ、慣性測定に必要な全体的なサイズが大幅に縮小することが期待される。同様に、多重化出力信号を用いると、配線ハーネスの複雑さを軽減し、コストが低減される。単一のシリコン・ウエハ上に多数の検知要素を設けることによって、本発明は、従来技術の慣性センサと比較して、パッケージングの柔軟性を高め、慣性センサに要求されるサイズを縮小する。本発明は、多数のシステムに信号を供給することが望ましい車両の位置において特に有用であることがわかる。従来技術では、検知要素が多数あると、対応して、必要な空間も大きくなる。本発明は、多数の検知要素を備えた単一のウエハを利用し、センサ・システムに要求される空間を縮小することができる。
【0031】
特許法の既定にしたがって、本発明について、その好適な実施形態を表すと思われるものにおいて説明した。しかしながら、本発明は、その主旨または範囲から逸脱することなく、具体的に図示し説明したもの以外でも実施可能であることに留意してしかるべきである。例えば、本発明による慣性センサは、加速度または角速度を測定することが望ましい任意の数の装置にも搭載可能であり、したがって自動車両に関係する用途には限定されないことは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本発明による慣性センサの概略図。
【図2】図1に示す慣性センサの代替実施形態の概略図。
【図3】図1に示す慣性センサの別の代替実施形態の概略図。
【図4】図1に示す慣性センサの別の代替実施形態の概略図。
【図5】図1に示す慣性センサの別の代替実施形態の概略図。
【図6】図1に示す慣性センサの別の代替実施形態の概略図。
【図7】図2に示す慣性センサの別の代替実施形態の概略図。
【出願人】 【識別番号】504022733
【氏名又は名称】ケルシー−ヘイズ カンパニー
【氏名又は名称原語表記】KELSEY−HAYES COMPANY
【出願日】 平成19年8月6日(2007.8.6)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣

【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠


【公開番号】 特開2008−3098(P2008−3098A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2007−204424(P2007−204424)