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【発明の名称】 OTDR測定装置、OTDR測定に用いられる終端器及びOTDR測定方法
【発明者】 【氏名】生西 省吾

【氏名】星野 利矢

【要約】 【課題】光ファイバ終端近傍における破断等の好適な検出が可能なOTDR測定装置を提供する。

【構成】OTDR測定装置1は、被測定光ファイバ20の一方の端部20aから光パルスを入射し、被測定光ファイバ20の一方の端部20aへ戻る光を測定するものである。OTDR測定装置1は、被測定光ファイバ20の他方の端部20bに接続される測定用光ファイバ11を有する終端器10を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、該被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定装置であって、
被測定光ファイバの他方の端部に接続される測定用光ファイバを有する終端器を備えていることを特徴とするOTDR測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたOTDR測定装置において、
上記終端器は、上記被測定光ファイバの一方の端部に接続され、上記測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しい更なる測定用光ファイバを備え、上記光パルスが該更なる測定用光ファイバを介して上記被測定光ファイバに入射するように構成されていることを特徴とするOTDR測定装置。
【請求項3】
請求項1に記載されたOTDR測定装置において、
上記測定用光ファイバの非接続側端部には反射抑制処理が施されていることを特徴とするOTDR測定装置。
【請求項4】
被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、該被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定に用いられる終端器であって、
被測定光ファイバの他方の端部に接続される測定用光ファイバを備えていることを特徴とする終端器。
【請求項5】
請求項4に記載された終端器において、
一方の端部が上記被測定光ファイバの一方の端部に接続され、上記光パルスを該被測定光ファイバの一方の端部に対して該光パルスを射出する更なる測定用光ファイバを備えており、該更なる測定用光ファイバは、上記測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しいものであることを特徴とする終端器。
【請求項6】
請求項4に記載された終端器において、
上記測定用光ファイバの非接続側端部には反射抑制処理が施されていることを特徴とする終端器。
【請求項7】
被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、該被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定方法であって、
被測定光ファイバの他方の端部に測定用光ファイバを接続した状態で行うことを特徴とするOTDR測定方法。
【請求項8】
請求項7に記載されたOTDR測定方法において、
上記被測定光ファイバの一方の端部に、上記測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しい更なる測定用光ファイバを接続し、該更なる測定用光ファイバを介して上記被測定光ファイバに光パルスを入射させることを特徴とするOTDR測定方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、OTDR測定装置、OTDR測定に用いられる終端器及びOTDR測定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光ファイバの接続部の接続損失の評価、光ファイバの破断箇所、曲がり、歪み等の検出評価等を行うための方法として、光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、その一方の端部(入射側端部)へ戻る光(各種後方散乱光や破断部等において生じるフレネル反射光など)を測定するOTDR(Optical Time Domain Reflectomety)測定方法が知られている。
【0003】
しかしながら、OTDR測定方法では、光ファイバの他方の端部(終端)において生じたフレネル反射光が測定される。このため、光ファイバの終端近傍の破断や曲がり等の検出が困難である。このような問題に鑑み、光ファイバの終端におけるフレネル反射を抑制する種々の技術が提案されている(例えば、特許文献1〜8等)。
【0004】
例えば、特許文献1には、光ファイバの終端部に180°より大きい角度の曲げ部を2箇所以上形成することにより光ファイバ終端部におけるフレネル反射を抑制する方法が開示されている。
【特許文献1】特開2005−17166号公報
【特許文献2】特開平9−5545号公報
【特許文献3】特開平11−23862号公報
【特許文献4】特開平11−211921号公報
【特許文献5】特開平11−72622号公報
【特許文献6】特開平9−318825号公報
【特許文献7】特開平6−214120号公報
【特許文献8】特開平8−334649号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1などに記載された方法により光ファイバ終端部におけるフレネル反射を抑制した場合、終端部におけるフレネル反射光は測定されないものの、測定される戻り光の強度が終端部において急激に減少することとなる。このため、観測しようとする破断等に起因するスペクトル変化が終端部におけるスペクトルの急激な変化に吸収されてしまい、特許文献1などに記載された光ファイバ終端部のフレネル反射抑制方法を適用したとしても、依然として光ファイバの終端近傍における破断や曲がり等の好適な検出が困難である。つまり、従来のOTDR測定方法では、光ファイバの終端部に反射抑制処理が施されているか否かに関わらず、測定される戻り光の強度が終端部において急激に変化するため、光ファイバ終端近傍における破断や曲がり等の好適な検出が困難であるという問題がある。
【0006】
本発明は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、光ファイバ終端近傍における破断等の好適な検出が可能なOTDR測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は、被測定光ファイバの終端に更なる光ファイバ(測定用光ファイバ)を接続して、測定される戻り光の被測定光ファイバの終端部における強度変化を小さくすることにより、被測定光ファイバの終端近傍における破断や曲がり等の好適な検出を可能にしたことを特徴とする。
【0008】
すなわち、本発明に係るOTDR測定装置は、被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定装置であって、被測定光ファイバの他方の端部に接続される測定用光ファイバを有する終端器を備えていることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るOTDR測定装置では、被測定光ファイバの他方の端部(終端部)に測定用光ファイバが接続されているため、その接続損失により測定される戻り光の強度に多少の変化が生じるものの、測定用光ファイバが接続されていない場合のように測定される戻り光の強度が被測定光ファイバの終端部において急激に変化することが抑制される。従って、本発明に係るOTDR測定装置によれば、被測定光ファイバの終端近傍における破断や曲がり等を好適に検出することができる。
【0010】
また、本発明に係るOTDR測定装置によれば、例えば被測定光ファイバの終端近傍に接続部がある場合の当該接続部における接続損失の正確な評価も可能となる。
【0011】
尚、終端器は、被測定光ファイバの一方の端部に接続され、測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しい更なる測定用光ファイバを備えており、光パルスが更なる測定用光ファイバを介して被測定光ファイバに入射するように構成されていてもよい。
【0012】
一般的に、被測定光ファイバの一方の端部(入射側端部)に接続されている光ファイバ(入射側光ファイバ)と、測定用光ファイバとが同一ロットの光ファイバで構成されていることは珍しく、測定用光ファイバと入射側光ファイバとでは生じる後方散乱光(例えば、レイリー後方散乱光)の強さが相互に異なる。従って、実際の接続損失と測定される接続損失(見かけ上の接続損失)とが相互に異なるので、入射側端部から光パルスを入射させたときの測定結果のみからでは被測定光ファイバの接続損失込みの光パワーの総損失(以下、「被測定光ファイバの接続損失込みの光パワーの総損失」を単に「被測定光ファイバの光パワーの総損失」と記載することがある。)を正確に測定ことが困難である。通常、被測定光ファイバの光パワーの総損失は、被測定光ファイバの両端のそれぞれから光パルスを入射させて計2回のOTDR測定を行い、2回の測定により得られた光パワーの総損失を平均することによって算出される。
【0013】
それに対して、この構成によれば、被測定光ファイバの入射側端部に接続される更なる測定用光ファイバと終端部に接続される測定用光ファイバとで生じる後方散乱光の強さが相互に実質的に等しいため、測定される接続損失が実際の接続損失と実質的に等しくなる。従って、どちらか一方の端部から光パルスを入射させてOTDR測定することにより容易に且つ比較的正確に被測定光ファイバの光パワーの総損失を求めることができる。
【0014】
ここで、測定用光ファイバの非接続側端部は被測定光ファイバから十分に離れているため、測定用光ファイバの非接続端は、フレネル反射が生じるような態様であってもよいが、測定用光ファイバの非接続側端部に反射抑制処理が施されていることが好ましい。この構成によれば、さらに正確なOTDR測定が可能となる。ここで、「反射抑制処理」とは、非接続側端部における光パルスの反射率を低減する処理をいい、反射率を0にする処理(すなわち、完全に無反射にする処理)に限定されるものではない。
【0015】
尚、光ファイバにおいて生じる後方散乱光の強さは、その光ファイバが有する歪みの量に相関する。このため、「後方散乱光の強さが実質的に等しい」とは、「歪み量が実質的に等しい」と言い換えることができる。
【0016】
本発明に係る終端器は、被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定に用いられる終端器であって、被測定光ファイバの他方の端部に接続される測定用光ファイバを備えていることを特徴とする。
【0017】
本発明に係る終端器を用いることによって、被測定光ファイバの終端近傍における破断や曲がり等を好適に検出することができる。
【0018】
本発明に係る終端器は、一方の端部が被測定光ファイバの一方の端部に接続され、光パルスを被測定光ファイバの一方の端部に対して光パルスを射出する更なる測定用光ファイバを備えており、更なる測定用光ファイバは、測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しいものであることが好ましい。
【0019】
この構成によれば、被測定光ファイバの入射側端部に接続される更なる測定用光ファイバと終端部に接続される測定用光ファイバとの後方散乱光の強さが相互に実質的に等しいため、測定される接続損失が実際の接続損失と実質的に等しくなる。従って、どちらか一方の端部から光パルスを入射させてOTDR測定することにより容易に且つ比較的正確に被測定光ファイバの光パワーの総損失を求めることができる。
【0020】
測定用光ファイバの非接続側端部には反射抑制処理が施されていることが好ましい。この構成によれば、さらに正確なOTDR測定が可能となる。
【0021】
本発明に係るOTDR測定方法は、被測定光ファイバの一方の端部から光パルスを入射し、被測定光ファイバの一方の端部へ戻る光を測定するOTDR測定方法であって、被測定光ファイバの他方の端部に測定用光ファイバを接続した状態で行うことを特徴とする。
【0022】
本発明に係るOTDR測定方法によれば、光ファイバの終端近傍の破断や曲がり等を好適に検出することができる。
【0023】
また、被測定光ファイバの一方の端部に、測定用光ファイバと後方散乱光の強さが実質的に等しい更なる測定用光ファイバを接続し、更なる測定用光ファイバを介して被測定光ファイバに光パルスを入射させるようにしてもよい。そうすることによって、被測定光ファイバの入射側端部に接続される更なる測定用光ファイバと終端部に接続される測定用光ファイバとの後方散乱光の強さが相互に実質的に等しいため、測定される接続損失が実際の接続損失と実質的に等しくなる。従って、どちらか一方の端部から光パルスを入射させてOTDR測定することにより容易に且つ比較的正確に被測定光ファイバの光パワーの総損失を求めることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、戻り光の強度が被測定光ファイバの終端部において急激に変化することが抑制されるので、光ファイバ終端近傍における破断等の好適な検出が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0026】
(実施形態1)
図1は本実施形態1に係るOTDR(Optical Time Domain Reflectomety)測定装置1の主要部の構成を表す図である。
【0027】
OTDR測定装置1は、被測定光ファイバ20の接続損失の測定、破断や曲がりの有無の検出などを行うためのものである。尚、本実施形態1において被測定光ファイバ20の種類は特に限定されるものではない。すなわち、本実施形態1に係るOTDR測定装置1によればどのような種類の被測定光ファイバ20であっても測定・検出することができる。
【0028】
OTDR測定装置1は終端器10と装置本体30とを備えている。装置本体30は、パルス発生器31と、光源32と、方向性結合器33と、受光器34と、増幅器35と、信号処理装置36と、表示・記録装置37と、光ファイバ39と、光ファイバ39の先端に取り付けられ、被測定光ファイバ20の端部20aが挿入されて端部20aと光ファイバ39とを接続するコネクタ38とを備えている。パルス発生器31は光源32から光パルスを射出させるためのものである。方向性結合器33は、光源32及び受光器34と接続されており、光源32から射出された光パルスが光ファイバ39に入射すると共に、光ファイバ39から入射した光が受光器34に入射するようにするためのものである。受光器34は、方向性結合器33より入射した光を光電変換して、入射光に応じた電気信号を生成するものである。増幅器35は、受光器34により生成された電気信号を増幅するためのものである。信号処理装置36は、増幅器で増幅された電気信号を信号処理して表示・記録装置37の表示部に波形として出力させると共に、その波形を記録させるものである。
【0029】
終端器10は、コネクタ12と、コネクタ12に取り付けられ、巻回された測定用光ファイバ11とを備えている。コネクタ12は、被測定光ファイバ20の端部20bが挿入されて端部20bと測定用光ファイバ11とを接続するためのものである。
【0030】
次に、本実施形態1に係るOTDR測定装置1を用いたOTDR測定について説明する。
【0031】
まず、被測定光ファイバ20の端部20aをコネクタ38内に挿入し、被測定光ファイバ20の端部20aと光ファイバ39とを接続する。また、被測定光ファイバ20の端部20bをコネクタ12内に挿入し、被測定光ファイバ20の端部20bと測定用光ファイバ11とを接続する。尚、本実施形態1では、被測定光ファイバ20と光ファイバ11、39との接続をコネクタ12、38を用いて行っているが、例えば、被測定光ファイバ20と光ファイバ11、39とを融着させることにより行っていてもよく、コネクタ12、38は必ずしも必須のものではない。
【0032】
被測定光ファイバ20を接続した後、パルス発生器31を駆動させて光源32から光パルスを射出させる。光パルスは方向性結合器33によって光ファイバ39に導かれ、光ファイバ39を介して被測定光ファイバ20に入射する。被測定光ファイバ20に入射した光パルスは端部20aから端部20bへと伝播すると共に、光パルスの進行方向とは逆の方向(すなわち、装置本体30方向)に向かう後方散乱光(例えば、レイリー後方散乱光やブリルアン後方散乱光等)を発生させる。光パルスは、被測定光ファイバ20の端部20bからさらに測定用光ファイバ11に入射し、測定用光ファイバ11の端部11aに向かって後方散乱光を発生させながら伝播する。
【0033】
生じた後方散乱光は被測定光ファイバ20から光ファイバ39及び方向性結合器33を介して受光器34に導かれる。受光器34にて戻り光が光電変換され、戻り光の強さに応じた電気信号が出力される。出力された電気信号は増幅器35にて増幅され、信号処理装置36により信号処理されたのち、受光器34が受光した光の強度を表す波形が表示・記録装置37の表示部に表示される。
【0034】
図2は表示部に表示される戻り光強度の波形を表すグラフである。
【0035】
図2中の地点A乃至Cはそれぞれ図1中のA乃至Cに対応している。図2の地点Aまでの波形は光ファイバ39自体の損失を表すものである。地点Aは、光ファイバ39と被測定光ファイバ20との接続ポイントであり、地点Aにおける戻り光の強度減少は、光ファイバ39と被測定光ファイバ20との接続部における接続損失によるものである。
【0036】
地点Aから地点Bまでの波形が被測定光ファイバ20自体の損失を表している。地点Bは被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続ポイントであり、地点Bにおける戻り光の強度減少は、被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続部における接続損失によるものである。
【0037】
また、地点Bから地点Cまでの波形が測定用光ファイバ11自体の損失を表している。尚、本実施形態1では、測定用光ファイバ11の非接続側端部11aに反射抑制処理が施されているため、非接続側端部11aに対応する地点Cより戻り光強度が急激に減少している。測定用光ファイバ11の非接続側端部11aに施す反射抑制処理は、特に限定するものではない。例えば、非接続側端部11aを測定用光ファイバ11の延びる方向に対して斜めにカットしたり、非接続側端部11aを押圧して潰すことにより非接続側端部11aにおけるフレネル反射光の発生を低減させることができる。
【0038】
尚、図2に示す波形は、被測定光ファイバ20に大きな破断等が存在しない場合のものである。もし、被測定光ファイバ20に破断が存在する場合は、その破断箇所においてフレネル反射光が生じる。このフレネル反射光がOTDR測定装置1により検出されるため、波形の破断箇所に対応する部分に破断箇所にて生じたフレネル反射光に因るピークが現れることとなる。このピークより被測定光ファイバ20の破断箇所の存否及び破断箇所が存在する場合にはその位置が特定される。
【0039】
図3は、終端器10を接続せずにOTDR測定を行った場合に得られる戻り光強度の波形を表すグラフである。
【0040】
図3では、被測定光ファイバ20の端部20bに測定用光ファイバ11が接続されていないため、被測定光ファイバ20の端部20bにおいて生じるフレネル反射光に因るピークPが地点B現れる。このため、地点B近傍、すなわち、被測定光ファイバ20の端部20b近傍に破断等が存在した場合に現れる破断箇所において生じるフレネル反射光に因るピークが端部20bにおいて生じるフレネル反射光に因るピークと重なってしまい、破断の存否の判断、破断箇所の正確な特定が困難となる。
【0041】
例えば、被測定光ファイバ20の端部20bに反射抑制処理を行い端部20bにおいて生じるフレネル反射光に因るピークPを発現させないようにすることも考えられる。しかしながら、この場合、測定対象となる被測定光ファイバ20が変わるごとに被測定光ファイバ20に反射抑制処理を施さなければならない。さらに、場合によってはOTDR測定後に、再度反射抑制処理された部分を切断等しなければならない。このため、OTDR測定手順が煩雑となってしまう。また、図1には、被測定光ファイバ20が巻回されている場合を図示したが、例えば、被測定光ファイバ20が電柱等に設置されており、被測定光ファイバ20の端部20bが各家庭にある場合には、好適な反射抑制処理等が困難な場合もある。
【0042】
さらに、反射抑制処理を施すことによって端部20bにおいて生じるフレネル反射光に因るピークPを発現させないようにすることができるものの、その場合も地点Bにて戻り光強度が急激に低下することとなる。このため、たとえ反射抑制処理を端部20bに施した場合であっても端部20b近傍に破断等がある場合は、破断の検出、破断箇所の正確な位置の特定はやはり困難である。
【0043】
それに対して、本実施形態1のように被測定光ファイバ20の端部20bに測定用光ファイバ11を接続した場合は、被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続部における接続損失により多少の戻り光強度の低下はあるものの、端部20bに対応する地点Bにおいて測定用光ファイバ11を接続しない場合のような急激な戻り光強度の変化(スペクトル変化)は測定されない。従って、被測定光ファイバ20の端部20bに測定用光ファイバ11を接続することによって、被測定光ファイバ20の端部20b近傍における破断等を容易に検出することができ、且つ破断箇所の位置を正確に特定することが可能となる。
【0044】
より破断箇所の位置の正確な特定を可能にする観点から、地点Cが地点Bとある程度以上離れていることが好ましい。つまり、測定用光ファイバ11がある程度以上の長さを有することが好ましい。具体的に、測定用光ファイバ11の長さは装置本体30の分解能以上(例えば、装置本体30の分解能が5cmであれば5cm以上)であることが好ましく、分解能の2倍以上(例えば、装置本体30の分解能が5cmであれば10cm以上であることが好ましい)。さらには1m以上、特には10m以上であることが好ましい。尚、測定用光ファイバ11の長さは、測定精度等にもよるが、例えば50m以下、長くとも100m以下で十分である。尚、測定用光ファイバ11が比較的長い場合は、図1に示すように測定用光ファイバ11を巻回して配置するようにしてもよいが、比較的短い場合には、測定用光ファイバ11を巻回せずに配置してもよい。
【0045】
尚、本実施形態1では、巻回して配置された被測定光ファイバ20の検出・測定を行う場合を例に挙げて説明したが、装置本体30と終端器10とは別体にて構成されているため、例えば、図4に示すように、電柱PLに張り巡らされて家屋H内に引き込まれた被測定光ファイバ20も好適に測定することができる。
【0046】
但し、装置本体30と終端器10とが必ずしも別体に構成されている必要はなく、用途に応じて装置本体30と終端器10とを一体としたり、装置本体30内に測定用光ファイバ11及びコネクタ12を組み込んだ構成としてもよい。
【0047】
(実施形態2)
図5は本実施形態2に係るOTDR測定装置2の主要部の構成を表す図である。
【0048】
本実施形態2に係るOTDR測定装置2は、上記実施形態1に係るOTDR測定装置1と装置本体30の構成において共通し、終端器10の構成のみ異なるものである。ここでは、上記実施形態1とは異なる終端器10の構成について詳細に説明する。尚、本実施形態2の説明において、実質的に同じ機能を有する構成要素を実施形態1と共通の参照符号で説明し、説明を省略する。
【0049】
本実施形態2では、終端器10はコネクタ12及び測定用光ファイバ11に加えて、測定用光ファイバ11と後方散乱光の強さが実質的に等しい(つまり、実質的に等しい歪みを有する)第2の測定用光ファイバ13と、測定用光ファイバ13の両端に取り付けられたコネクタ14及び15をさらに備えている。
【0050】
本実施形態2では、光ファイバ40の一方の端部が装置本体30のコネクタ38に挿入されて光ファイバ39と接続される。そして、光ファイバ40の他方の端部がコネクタ15に挿入されて測定用光ファイバ13に接続される。そして、コネクタ14に被測定光ファイバ20の一方の端部が挿入されて、測定用光ファイバ13に接続される。被測定光ファイバ20の他方の端部はコネクタ12に挿入されて、測定用光ファイバ11の端部11bに接続される。このように、本実施形態2では、光源32と被測定光ファイバ20との間に測定用光ファイバ13が設けられ、この測定用光ファイバ13を介して光源32から射出される光パルスが被測定光ファイバ20に入射するように構成されている。
【0051】
例えば、図1に示すようなOTDR測定装置1においては、通常、被測定光ファイバ20の入射側端部20aに接続されている光ファイバ39と、測定用光ファイバ11とが同一ロットの光ファイバで構成されていることは珍しく、被測定光ファイバ20の前後に位置する測定用光ファイバ11と光ファイバ39とでは後方散乱光の強さ(測定用光ファイバ11の有する歪み量と光ファイバ39の有する歪み量と)が相互に異なる。
【0052】
このため、測定される被測定光ファイバ20の光パワーの総損失Mは、被測定光ファイバ20自体の損失M20と、被測定光ファイバ20と光ファイバ39との接続ポイントAにおける接続損失Tと、被測定光ファイバ20の後方散乱光の強さと光ファイバ39の後方散乱光の強さとの差Eと、被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続ポイントBにおける接続損失Tと、被測定光ファイバ20の後方散乱光の強さと測定用光ファイバ11の後方散乱光の強さとの差Eとの総和となる。すなわち、M=M20+T+E+T+Eとなる。
【0053】
それに対して、得ようとする被測定光ファイバ20の光パワーの総損失は、被測定光ファイバ20自体の損失M20と、被測定光ファイバ20と光ファイバ39との接続ポイントAにおける接続損失Tと、被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続ポイントBにおける接続損失Tとの総和である。つまり、M20+T+Tである。
【0054】
従って、得ようとする被測定光ファイバ20の光パワーの総損失と測定される被測定光ファイバ20の光パワーの総損失Mとでは、E+Eだけ相互に異なることとなる。ここで、E+Eが0または測定に無視できるほどの小さなものである場合は、被測定光ファイバ20の光パワーの総損失を正確に測定できることとなるが、上述のように、通常、光ファイバ39と測定用光ファイバ11とは異なるロットの光ファイバで構成され、相互に後方散乱光の強さが異なるものであるため、E+Eは0または測定に無視できるほどの小さなものとはならない。よって、実際の接続損失と測定される接続損失(見かけ上の接続損失)とが相互に異なるので、入射側端部20aから光パルスを入射させたときの測定結果のみからでは被測定光ファイバ20の光パワーの総損失を正確に測定ことが困難である。従って、光ファイバ39と測定用光ファイバ11とは異なるロットの光ファイバで構成され、相互に後方散乱光の強さが異なるものである場合は、通常、被測定光ファイバ20の接続損失込みの光パワーの総損失は、被測定光ファイバ20の両端20a、20bのそれぞれから光パルスを入射させて計2回のOTDR測定を行い、2回の測定により得られた光パワーの総損失を平均することによって算出される。
【0055】
それに対して、本実施形態2の構成によれば、被測定光ファイバ20の入射側端部20aに接続される測定用光ファイバ13と終端部20bに接続される測定用光ファイバ11との後方散乱光の強さが相互に実質的に等しいため、測定される接続損失が実際の接続損失と実質的に等しくなる。従って、OTDR測定装置2を用いることによって、どちらか一方の端部(例えば、端部20a)から光パルスを入射させてOTDR測定することにより容易に且つ比較的正確に被測定光ファイバ20の光パワーの総損失を求めることができる。以下、本実施形態2におけるOTDR測定について、図6を参照しながらさらに詳細に説明する。
【0056】
図6は実施形態2において表示部に表示される戻り光強度の波形を表すグラフである。尚、図6中の地点D乃至Hはそれぞれ図5中のD乃至Hに対応している。
【0057】
測定される被測定光ファイバ20の光パワーの総損失は図6中のMで表される。測定される総損失Mは、被測定光ファイバ20自体の損失M20と、それ以外の被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ13との接続ポイントにおける損失M及び被測定光ファイバ20と測定用光ファイバ11との接続ポイントにおける損失Mを含む。ここで、損失Mは、接続損失Tと測定用光ファイバ13の後方散乱光の強さと被測定光ファイバ20の後方散乱光の強さとの差Eとの総和である。すなわち、M=T+Eという関係が成り立つ。同様に、損失Mは、接続損失Tと測定用光ファイバ13の後方散乱光の強さと被測定光ファイバ20の後方散乱光の強さとの差Eとの総和であり、M=T+Eという関係が成り立つ。従って、被測定光ファイバ20の光パワーの総損失Mは、M20+T+E+T+Eで表される。
【0058】
ここで、被測定光ファイバ20の前後に接続された、測定用光ファイバ11と測定用光ファイバ13とは、相互に後方散乱光の強さが実質的に等しいものであるため、E=−E、すなわち、E+E=0という関係が成り立つ。このため、測定される被測定光ファイバ20の光パワーの総損失Mは、M20+T+Tとなるため、得ようとする被測定光ファイバ20の光パワーの総損失と合致する。従って、正確な被測定光ファイバ20の光パワーの総損失の値が得られる。
【0059】
例えば、測定用光ファイバ13の有する後方散乱光の強さよりも測定用光ファイバ11の有する後方散乱光の強さの方が弱い(散乱が小さい)場合は、図6の点線に示すように、測定用光ファイバ11に対応するスペクトル部分G−Hのレベルが後方散乱光の差分だけ小さく測定される。従って、測定される被測定ファイバ20の光パワーの総損失はMとなり、実際の被測定ファイバ20の光パワーの総損失Mよりも大きくなってしまう。逆に、測定用光ファイバ13の有する後方散乱光の強さよりも測定用光ファイバ11の有する後方散乱光の強さの方が強い(散乱が大きい)場合は、測定用光ファイバ11に対応するスペクトル部分G−Hのレベルが後方散乱光の差分だけ大きく測定される。従って、測定される被測定ファイバ20の光パワーの総損失は実際の被測定ファイバ20の光パワーの総損失Mよりも小さくなってしまう。その結果、被測定ファイバ20の光パワーの総損失を正確に評価することが困難となる。
【0060】
尚、測定用光ファイバ13の長さは特に限定されるものではないが、測定用光ファイバ13の長さは装置本体30の分解能以上(例えば、装置本体30の分解能が5cmであれば5cm以上)であることが好ましく、分解能の2倍以上(例えば10cm以上であることが好ましい)。さらには1m以上、特には10m以上であることが好ましい。尚、測定用光ファイバ13の長さは、測定精度等にもよるが、例えば50m、長くとも100m以下で十分である。尚、測定用光ファイバ13が長い場合は、図5に示すように測定用光ファイバ13を巻回して配置するようにしてもよい。また、測定用光ファイバ11及び13の両方を巻回して配置する場合には、測定用光ファイバ11及び13を所謂共巻きするようにしてもよい。そうすることにより、測定用光ファイバ11及び13の設置スペースをより小さくすることができ、より小型で持ち運びに都合がよい終端器10を実現することができる。
【0061】
また、「後方散乱光の強さが相互に実質的に等しい」場合は、必要とする測定精度によって異なる。すなわち、高い測定精度が必要な場合は、測定用光ファイバ11の後方散乱光の強さと測定用光ファイバ13の後方散乱光の強さとが相互に等しいものでなくてはならない一方、それほど高い測定精度が必要でない場合には、測定用光ファイバ11の後方散乱光の強さと測定用光ファイバ13の後方散乱光の強さとが厳密に相互に等しい必要は必ずしもない。例えば、10%(好ましくは5%、さらには3%)程度の差があってもよい。
【0062】
例えば、必要とする測定精度が非常に高い場合は、同じ製造ロットの光ファイバで測定用光ファイバ11と測定用光ファイバ13とを構成して、後方散乱光の強さを相互に等しくする必要がある。それほどの測定精度が必要でないような場合には、後方散乱光の強さが近似した光ファイバで測定用光ファイバ11と測定用光ファイバ13とを構成するようにしてもよい。
【0063】
光ファイバの後方散乱光の強さは、直接的に評価してもよいが、後方散乱光の強さは光ファイバの歪みと相関するため、光ファイバの歪み量を評価することにより間接的にも評価することができる。光ファイバの歪み量は、例えば、ブリルアン散乱光を応用したBOTDR(Brillouin Optical Time Domain Reflectomety)測定によって測定することができる。詳細に、BOTDR測定とは、光ファイバの一方の端部から光パルスを入射したときに発生するブリルアン散乱光を受光してその周波数分布を分析することによって光ファイバの持つ歪み量を連続的に測定するものである。
【0064】
以上、本実施形態2に係るOTDR測定装置2について説明してきたが、装置本体30と終端器10とは一体であってもよい。すなわち、測定用光ファイバ11、13が装置本体30に組み込まれている構成であってもよい。また、本実施形態2では、測定用光ファイバ11と測定用光ファイバ13とが一体とされているが、例えば、測定用光ファイバ13を終端器10とは別体として設けてもよい。
【0065】
また、測定用光ファイバ11、13を巻回して配置する場合、巻き芯を使用せずに測定用光ファイバ11、13を巻回して配置するようにすることが好ましい(所謂コアレスの巻き取りをすることが好ましい)。そうすることによって、巻回配置された測定用光ファイバ11、13に残存する巻き取りの残留張力を小さくすることができる。また、コアレスの巻き取りをする場合、巻回された測定用光ファイバ11、13を保護フィルムで被覆して巻回された光ファイバ11、13の形状が崩れないようにすることがより好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明に係るOTDR測定装置は、光ファイバ終端近傍における破断等の好適な検出や光ファイバの光パワーの損失評価などが可能であるため、光ケーブル等の検査に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】実施形態1に係るOTDR測定装置1の主要部の構成を表す図である。
【図2】実施形態1において表示部に表示される戻り光強度の波形を表すグラフである。
【図3】終端器10を接続せずにOTDR測定を行った場合に得られる戻り光強度の波形を表すグラフである。
【図4】電柱PLに張り巡らされて家屋H内に引き込まれた被測定光ファイバ20のOTDR測定を行う工程を表す図である。
【図5】実施形態2に係るOTDR測定装置2の主要部の構成を表す図である。
【図6】実施形態2において表示部に表示される戻り光強度の波形を表すグラフである。
【符号の説明】
【0068】
1、2 OTDR測定装置
10 終端器
11、13 測定用光ファイバ
20 被測定光ファイバ
30 装置本体
31 パルス発生器
32 光源
33 方向性結合器
34 受光器
35 増幅器
36 信号処理装置
37 表示・記録装置
39、40 光ファイバ
【出願人】 【識別番号】000003263
【氏名又は名称】三菱電線工業株式会社
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也

【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄

【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守

【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓

【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也


【公開番号】 特開2008−20226(P2008−20226A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190107(P2006−190107)