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【発明の名称】 水素漏れ検知装置および水素漏れ検知方法
【発明者】 【氏名】井上 雅博

【要約】 【課題】漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる水素漏れ検知方法を提供する。

【構成】水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置である。水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置。
【請求項2】
水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、
前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定手段と、
前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置。
【請求項3】
前記判断手段が、前記温度T2と温度T1との差から水素の漏洩の有無を判断することを特徴とする請求項2に記載の水素漏れ検知装置。
【請求項4】
前記第2温度測定手段が、前記水素吸蔵部の温度変化が及ばない領域の温度を測定することを特徴とする請求項2または3に記載の水素漏れ検知装置。
【請求項5】
前記水素供給配管もしくは前記水素貯蔵容器が2重管構造となっており、
少なくとも鉛直方向における最下部に薄肉部が設けられており、
内筒と外筒との間に無極性溶媒が注入されており、
前記薄肉部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、
前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定手段と、
前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置。
【請求項6】
水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法。
【請求項7】
水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、
前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理と、
前記第1温度測定処理で測定された温度T1および前記第2温度測定処理で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法。
【請求項8】
前記水素供給配管もしくは前記水素貯蔵容器が2重管構造となっており、
少なくとも鉛直方向における最下部に薄肉部が設けられており、
内筒と外筒との間に無極性溶媒が注入されており、
前記薄肉部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、
前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理と、
前記第1温度測定処理で測定された温度T1および前記第2温度測定処理で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、水素の漏れを検知する水素漏れ検知装置および水素漏れ検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
水素ガスを扱う機器においては、水素ガスの漏れを検出することが非常に重要である。特許文献1では、水素吸蔵合金の温度変化を利用して水素濃度を検出する水素濃度センサが開示されている。
【0003】
特許文献1のように、水素漏れのような水素の有無だけを検知すればよい場合、装置の簡単化のために水素吸蔵合金の温度変化だけを利用することも考えられる。しかし、単に水素吸蔵合金を利用するだけでは、外気温度の変化によっても水素吸蔵合金温度が変化して、水素の存在を誤検知してしまう可能性がある。
【特許文献1】特開平2−259458号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上記従来の問題を解決することを目的とする。すなわち、本発明は、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる水素漏れ検知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明者は、下記本発明に想到し当該課題を解決できることを見出した。すなわち、第1の本発明は、水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置である。
【0006】
当該検知装置では、検知対象物に直接水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部を設け、漏れた水素ガスを効率よく吸収し、この際に発生する熱による温度を測定する。そして、この測定値と漏れがない場合の温度との差から温度Tの温度上昇を測定し、温度上昇が大きい場合には、水素が漏れ出していると判断し、温度上昇がない場合、または小さい場合は水素の漏れ出しがないと判断する。このようにして、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる。
【0007】
また、第2の本発明は、水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定手段と、前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置である。
【0008】
上記第2温度測定手段における温度T2を基準に、温度T1の温度上昇を測定することで、水素供給配管外もしくは水素貯蔵容器外の温度変化による影響を小さくすることが可能で、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる。
【0009】
第2の本発明においては、前記判断手段が、前記温度T2と温度T1との差から水素の漏洩の有無を判断することが好ましい。前記第2温度測定手段が、前記水素吸蔵部の温度変化が及ばない領域の温度を測定することが好ましい。
【0010】
さらに、第3の本発明は、前記水素供給配管もしくは前記水素貯蔵容器が2重管構造となっており、少なくとも鉛直方向における最下部に薄肉部が設けられており、内筒と外筒との間に無極性溶媒が注入されており、前記薄肉部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定手段と、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定手段と、前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断手段と、を備えることを特徴とする水素漏れ検知装置である。
【0011】
漏れ出した水素ガスは2重管構造中の極性溶媒中に捕集され、捕集され水素ガスは水素吸蔵部へ効率よく誘導される。そのため、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる。
【0012】
第4の本発明は、水素供給配管の外部表面もしくは水素貯蔵容器の外部表面に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、測定された前記温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法である。
【0013】
また、第5の本発明は、水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理と、前記第1温度測定処理で測定された温度T1および前記第2温度測定処理で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法である。
【0014】
さらに、第6の本発明は、前記水素供給配管もしくは前記水素貯蔵容器が2重管構造となっており、少なくとも鉛直方向における最下部に薄肉部が設けられており、内筒と外筒との間に無極性溶媒が注入されており、前記薄肉部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理と、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理と、前記第1温度測定処理で測定された温度T1および前記第2温度測定処理で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断処理と、を含むことを特徴とする水素漏れ検知方法である。
【発明の効果】
【0015】
本発明の水素漏れ検知方法によれば、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
[第1の実施形態]
本発明の第1の実施形態に係る水素漏れ検知装置は、第1温度測定手段と判断手段とを具備する。第1温度測定手段は、水素供給配管の外部表面(表面近傍を含む)もしくは水素貯蔵容器の外部表面(表面近傍を含む)に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部を有し、水素吸蔵合金の温度を測定する。その後、判断手段は、測定された前記温度の温度上昇から水素の漏洩の有無を判断する判断処理を行う。
【0017】
上記のように、第1の実施形態に係る水素漏れ検知装置および水素漏れ検知方法では、まず、水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部を設ける。そして、水素の漏出がない場合における水素吸蔵部の温度Tを測定しておく。水素ガスの漏れ出しがない場合は、当該水素吸蔵部の温度Tはほとんど変動することがない。一方で、水素吸蔵部に漏れ出した水素が吸収されると発熱反応が起こり水素吸蔵部の温度が上昇する。この温度上昇を測定することで、水素の漏出の有無を検知することができる。
【0018】
上記温度上昇としては、水素吸蔵部の温度変化を基準に判断するが、例えば、水素吸蔵合金としてパラジウムを使用する場合は、1分間で10℃以上の温度変化があった場合に、水素ガスが漏れ出していることを検知することが好ましい。なお、第1温度測定手段としては、公知のセンサを使用することができる。また、判断手段としては、公知のマイコン(CPU)、RAM、ROMからなるコンピュータを有し、第1温度測定手段の一例である温度センサからの温度検出信号の変化から、水素ガスの漏れ出しを判断することができる。
【0019】
上記態様では、水素供給配管の外部表面または水素貯蔵容器の外部表面に水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部を設けたので、外部表面と水素吸蔵部までの距離が短い位置関係となる。この結果、外部表面から漏れた水素ガスは水素吸蔵部に到達するまでの間に周囲の外気温度や周囲の風等の外乱の影響が抑制され、水素ガスの漏れ検知精度を高く維持することができる。
【0020】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係る水素漏れ検知装置は、第1温度測定手段と、第2温度測定手段と、判断手段と、を備える。第1温度測定手段により、水素供給配管の外部(好ましくは外部表面(その近傍を含む))もしくは水素貯蔵容器の外部(好ましくは外部表面(その近傍を含む))に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理を施す。次に、第2温度測定手段により、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理を施す。その後、判断手段により、前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断処理を施す。
【0021】
上記態様では、水素供給配管の外部もしくは水素貯蔵容器の外部に水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部を設け、この水素吸蔵部とは別の領域(水素貯蔵容器の場合には、「タンクメタル部」という)に温度測定部を設ける。そして、水素吸蔵部の温度Tの温度上昇を、温度Tと温度測定部における温度との差から測定する。例えば、水素吸蔵合金としてパラジウムを使用する場合は、温度Tと温度測定部における温度との差が、1分間で10℃以上の温度変化があった場合に、水素ガスが漏れ出していることを検知することが好ましい。
【0022】
上記のように、第2の実施形態に係る水素漏れ検知装置および水素漏れ検知方法では、図1に示すように、水素貯蔵容器である水素ボンベ10に設けられた水素吸蔵部12に最低保証強度を有する薄肉部14を設けておいて、この薄肉部14を水素吸蔵合金16で被覆しておくことが好ましい。このようにすることで、水素が漏れ出す場合は、まず、この薄肉部からとなるため、効率よく水素の漏れ出しを検知できる。また、第2温度測定手段が、水素吸蔵部の温度変化が及ばない領域の温度を測定することが好ましい。
【0023】
水素吸蔵合金を薄肉部に設ける場合は、当該合金とタンクメタル部の温度測定部18との境界部へ熱伝達が起こることを防ぐため、これらの間に断熱材を配置することが好ましい。水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部および温度測定部18のそれぞれに貼り付けられる温度センサ19a(第2温度測定手段),19b(第1温度測定手段)は、第1の実施形態と同様に公知のものを使用することができる(第3の実施形態についても同様)。また、これらのセンサは、不図示の判断手段(具体的には、第1の実施形態と同様)に接続されている。水素吸蔵部とタンクメタル部とは、水素透過が他部位より促進する薄肉部14と水素吸蔵部12とが接する(十分広い)面積の領域に設けておくことが好ましい。
【0024】
タンクメタル部の他部位より薄肉化したメタルタンクの側面上に水素吸蔵合金(Pd)からなる水素吸蔵部および温度測定部を設け、それぞれに温度センサを設置し、一定時間放置した後、水素吸蔵部に水素ガスを供給した。水素ガスの供給により、図2に示すように1分間に10℃以上の大幅な温度上昇が見られた。このような結果から明らかなように、水素吸蔵部(T1)と温度測定部(T2)との温度差により、漏れ出した水素ガスを効率よく、的確に、かつ、精度よく検知できることがわかる。
【0025】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態では、その前提として、水素供給配管もしくは水素貯蔵容器が2重管構造となっており、少なくとも鉛直方向における最下部に薄肉部が設けられており、内筒と外筒との間に無極性溶媒が注入されている。そして、第3の実施形態に係る水素漏れ検知装置は、第1温度測定手段と、第2温度測定手段と、判断手段と、を備える。そして、第1温度測定手段により、前記薄肉部に設けられた水素吸蔵合金からなる水素吸蔵部の温度を測定する第1温度測定処理を施す。第2温度測定手段により、前記水素吸蔵部とは別の領域の温度を測定する第2温度測定処理を施す。その後、判断手段により、前記第1温度測定手段で測定された温度T1および前記第2温度測定手段で測定された温度T2に基づいて、水素の漏洩の有無を判断する判断手段を施す。
【0026】
具体的には、図3に示す水素ボンベ20のように、内筒22とその外側にある外筒24とからなる貯蔵容器を使用し、内筒22内には水素ガスを充填する。内筒22と外筒24との間には水などの無極性溶媒26を充填しておく。また、水素ボンベ20の底面側に薄肉部28を設けておく。
【0027】
水素ガスは、上記薄肉部から漏れ出す。漏れた水素ガス30は無極性溶媒26中において浮力を受けてタンク上端部の水素吸蔵部に設けられた温度センサ32a(第1温度測定手段)に誘導される。温度センサ32aとこの水素吸蔵部とは別の領域(タンクメタル部)に設けられた温度測定部に設けられた温度センサ32b(第2温度測定手段)における温度との差(T1−T2)から、水素吸蔵部の温度の温度上昇を測定する。なお、これらの上記センサは、不図示の判断手段(具体的には、第1の実施形態と同様)に接続されている。
【0028】
当該態様では、水素が水素吸蔵合金を透過し大気中に漏れ出す前に、水素貯蔵容器内部からの水素ガスの漏れ出しを検知可能であるため、より高い安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】第2の実施形態の一態様を示す概略断面図である。
【図2】第2の実施形態による各センサの温度変化と時間変化との関係を示す図である。
【図3】第3の実施形態の一態様を示す概略断面図である。
【符号の説明】
【0030】
10,20・・・水素ボンベ
12・・・水素吸蔵部
14,28・・・薄肉部
16・・・水素吸蔵合金
18・・・温度測定部
19a,19b・・・温度センサ
22・・・内筒
24・・・外筒
26・・・無極性溶媒
30・・・水素ガス
32a,32b・・・温度センサ

【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月10日(2006.7.10)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−20198(P2008−20198A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−189597(P2006−189597)