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【発明の名称】 漏れ検知装置及びそれを備えた燃料電池システム
【発明者】 【氏名】森下 吏規

【要約】 【課題】低コストにて、配管の外部への流体の漏洩や配管に設けられた弁における流体の漏洩を迅速かつ正確に検知することができる漏れ検知装置及びそれを備えた燃料電池システムを提供する。

【構成】燃料電池に水素ガスを供給するための水素供給路74に、水素供給路74内に光を照射する発光素子11と、水素供給路74内の光を受光可能な受光素子12と、漏れ判定部としての制御部50と、を備えた漏れ検知装置10を設ける。水素供給路74における遮断弁H21を介した両側に発光素子11と受光素子12とを設置する。制御部50は、受光素子12からの検出信号に基づいて、水素供給路74における外部への水素ガスの漏洩あるいは遮断弁H21の不具合による水素ガスの漏洩を判定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
配管における外部への流体の漏れを検知する漏れ検知装置であって、
前記配管内の光を受光可能な受光素子と、
前記受光素子からの検出信号に基づいて、前記配管における流体の漏洩の有無を判定する漏れ判定部と、を備える漏れ検知装置。
【請求項2】
配管に設けられた弁における流体の漏れを検知する漏れ検知装置であって、
前記配管における前記弁の上流側と下流側のうち一方に配されて前記配管内に光を照射する発光素子と、
前記配管における前記弁の上流側と下流側のうち他方に配されて前記配管内の光を受光可能な受光素子と、
前記弁によって前記配管を遮断して前記発光素子から光を照射した状態における前記受光素子からの検出信号に基づいて、前記弁における流体の漏洩の有無を判定する漏れ判定部と、を備える漏れ検知装置。
【請求項3】
燃料電池と、この燃料電池にガスを供給するためのガス供給路とを備えた燃料電池システムであって、
前記ガス供給路の配管に、請求項1または請求項2に記載の漏れ検知装置を備えた燃料電池システム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、配管内を流れる流体の漏れを検知する検知装置及びそれを備えた燃料電池システムに関する。
【背景技術】
【0002】
燃料電池システムは、電解質膜を有する燃料電池と、この燃料電池に反応ガス(燃料ガス及び酸化ガス)を供給するためのガス供給手段とを備えており、この種の燃料電池システムには、反応ガスの漏洩を検知するセンサが設けられている。このセンサとしては、例えば、配管内に設けた風車の回転を透明の配管の外部から光学センサによって検知することにより、不具合を生じたバルブにおけるガスの漏洩を検知するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、車速が所定値未満の場合に、水素を検出するディテクタによって水素の漏洩の有無を検知し、車速が所定値以上の場合に、燃料電池への水素の供給量と燃料電池における発電量との関係に基づいて、水素の漏洩を検知する燃料電池システムも知られている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】実開平6−58338号公報
【特許文献2】特開2004−139842号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の技術では、配管を樹脂などの透明な材料から形成し、しかも、配管内に回転可能な風車を設けなければならず、構造の複雑化によるコストアップを招いてしまう。また、風車自体が回転不良を起こし、正確な検知が困難となることがある。
【0005】
特許文献2の技術では、漏洩した水素が微量である場合、水素の拡散により、ディテクタによる検知が困難であり、また、燃料電池への水素の供給量と燃料電池における発電量との関係から水素の漏洩を検知する場合も、微小の漏れの検出が困難であり、しかも、漏れ位置の特定も困難である。
【0006】
また、配管内の圧力降下を検出して漏れを検知する方法もあるが、やはり、微小の漏れの検出及び漏れ位置の特定が困難であり、また、漏れによる圧力降下には時間を要するため、漏れの検知が遅れることがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、低コストにて、配管の外部への流体の漏洩や配管に設けられた弁における流体の漏洩を迅速かつ正確に検知することができる漏れ検知装置及びそれを備えた燃料電池システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の漏れ検知装置は配管における外部への流体の漏れを検知する漏れ検知装置であって、前記配管内の光を受光可能な受光素子と、前記受光素子からの検出信号に基づいて、前記配管における流体の漏洩の有無を判定する漏れ判定部と、を備えるものである。
【0009】
この構成によれば、例えば、配管に亀裂などの損傷箇所がある場合は、その損傷箇所から外光が入り込み、その外光が受光素子に検知される。これにより、配管に損傷箇所があり、この損傷箇所から流体が外部に漏洩していると判定することができる。
【0010】
また、本発明の漏れ検知装置は配管に設けられた弁における流体の漏れを検知する漏れ検知装置であって、前記配管における前記弁の上流側と下流側のうち一方に配されて前記配管内に光を照射する発光素子と、前記配管における前記弁の上流側と下流側のうち他方に配されて前記配管内の光を受光可能な受光素子と、前記弁によって前記配管を遮断して前記発光素子から光を照射した状態における前記受光素子からの検出信号に基づいて、前記弁における流体の漏洩の有無を判定する漏れ判定部と、を備えるものである。
【0011】
この構成によれば、弁に動作不良が生じ、弁によって配管が完全に閉鎖されていない場合、発光素子の光が弁を通過して受光素子側へ入り込み、その光が受光素子に検知される。これにより、弁に動作不良が生じ、弁が完全に閉鎖されずに弁を通過して流体が漏洩していると判定することができる。
【0012】
さらに、本発明の燃料電池システムは、燃料電池と、この燃料電池にガスを供給するためのガス供給路とを備えた燃料電池システムであって、前記ガス供給路の配管に、上記漏れ検知装置を備えている。
【0013】
この構成によれば、配管における外部への流体の漏れあるいは弁の不具合による弁における流体の漏れを迅速かつ正確に検知することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の漏れ検知装置及びそれを備えた燃料電池システムによれば、低コストにて、配管の外部への流体の漏洩や配管に設けられた弁における流体の漏洩を迅速かつ正確に検知することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明に係る漏れ検知装置及びそれを備えた燃料電池システムの一の実施形態を説明する。以下、この燃料電池システムを燃料電池車両の車載発電システムに適用した場合について説明するが、本発明はこのような適用例に限らず、船舶,航空機,電車、歩行ロボット等のあらゆる移動体への適用や、例えば燃料電池が建物(住宅、ビル等)用の発電設備として用いられる定置用発電システムへの適用も可能である。
【0016】
図1に示される燃料電池システム1において、酸化ガスとしての空気(外気)は、空気供給路71を介して燃料電池20の空気供給口に供給される。空気供給路71には、空気から微粒子を除去するエアフィルタA1、空気を加圧するコンプレッサA3、及び空気に所要の水分を加える加湿器A21が設けられている。
【0017】
コンプレッサA3は、モータによって駆動される。このモータは、後述の制御部(漏れ判定部)50によって駆動制御される。なお、エアフィルタA1には、空気流量を検出する図示省略のエアフローメータ(流量計)が設けられている。
【0018】
燃料電池20から排出される空気オフガス(酸化オフガス)は、排気路72を経て外部に放出される。排気路72には、圧力調整弁A4及び加湿器A21の熱交換器が設けられている。圧力調整弁A4は、燃料電池20への供給空気圧を設定する調圧(減圧)器として機能する。制御部50は、コンプレッサA3のモータ回転数及び圧力調整弁A4の開度面積を調整することによって、燃料電池20への供給空気圧や供給空気流量を設定する。
【0019】
燃料ガスとしての水素ガスは、水素供給源30から水素供給路74を介して燃料電池20の水素供給口に供給される。水素供給源30は、例えば高圧水素タンクが該当するが、いわゆる燃料改質器や水素吸蔵合金等であっても良い。
【0020】
水素供給路74には、水素供給源30から水素を供給しあるいは供給を停止する遮断弁H100、燃料電池20への水素ガスの供給圧力を減圧して調整する水素調圧弁H9、及び燃料電池20の水素供給口と水素供給路74間を開閉する遮断弁H21が設けられている。また、水素供給路74には、この水素供給路74における水素の漏洩を検出するとともに、この水素供給路74に設けられた遮断弁H21の動作の不具合を検知する漏れ検知装置10が設けられている。
【0021】
図2に示すように、この漏れ検知装置10は、水素供給路74における遮断弁H21の下流側に設けられた発光素子11と、水素供給路74における遮断弁H21の上流側に設けられた受光素子12と、制御部50と、を備えている。発光素子11は、例えば、発光ダイオード等を備えたもので、水素供給路74内へ光を照射する。
【0022】
これに対して、受光素子12は、例えば、フォトダイオード等を備えたもので、水素供給路74内の光を検出し、その検出結果は制御部50へ送信される。このように、本実施形態の制御部50は、受光素子12からの検出信号に基づいて、水素供給路74における水素ガスの漏洩の有無を判定する漏れ判定部としても機能する。
【0023】
水素調圧弁H9としては、例えば機械式の減圧を行う調圧弁を使用できるが、パルスモータで弁の開度がリニアあるいは連続的に調整される弁であっても良い。
【0024】
燃料電池20で消費されなかった水素ガスは、水素オフガスとして水素循環路75に排出され、水素供給路74の水素調圧弁H9の下流側に戻される。水素循環路75には、水素オフガスから水分を回収する気液分離装置H42、回収した生成水を水素循環路75外の図示しないタンク等に回収する排水弁H41、及び水素オフガスを加圧する水素ポンプH50が設けられている。
【0025】
遮断弁H21は、燃料電池20のアノード側を閉鎖する。水素ポンプH50は、制御部50によって動作が制御される。水素オフガスは、水素供給路74で水素ガスと合流し、燃料電池20に供給されて再利用される。遮断弁H100,H21は、制御部50からの信号で駆動される。
【0026】
水素循環路75は、排出制御弁H51を介して、パージ流路76によって排気路72に接続されている。排出制御弁H51は、電磁式の遮断弁であり、制御部50からの指令によって作動することにより、水素オフガスは空気オフガスとともに外部へ排出(パージ)される。このパージ動作を間欠的に行うことによって、水素ガス中の不純物濃度が増加することによるセル電圧の低下を防止することができる。
【0027】
燃料電池20の冷却水出入口には、冷却水を循環させる冷却路73が設けられている。冷却路73には、冷却水の熱を外部に放熱するラジエータ(熱交換器)C2、及び冷却水を加圧して循環させるポンプC1が設けられている。ラジエータC2には、モータによって回転駆動される冷却ファンC13が設けられている。
【0028】
燃料電池20は、水素ガスと空気の供給を受けて電気化学反応により発電する単セルを所要数積層してなる燃料電池スタックとして構成されている。燃料電池20が発生した電力は、図示しないパワーコントロールユニットに供給される。パワーコントロールユニットは、車両の駆動モータに電力を供給するインバータと、コンプレッサモータや水素ポンプ用モータなどの各種の補機類に電力を供給するインバータと、二次電池等の蓄電手段への充電や該蓄電手段からのモータ類への電力供給を行うDC−DCコンバータなどが備えられている。
【0029】
制御部50は、CPU、ROM、RAM、HDD、入出力インタフェース及びディスプレイなどの公知構成から成る制御コンピュータシステムによって構成されており、図示しない車両のアクセル信号などの要求負荷や燃料電池システム1の各部のセンサ(圧力センサ、温度センサ、流量センサ、出力電流計、出力電圧計等)から制御情報を受け取り、システム各部の弁類やモータ類の運転を制御する他、上記したように、受光素子12からの検出信号に基づいて水素供給路74における水素ガスの漏洩の有無を判定する。
【0030】
そして、本実施形態の燃料電池システム1によれば、漏れ検知装置10を備えたことにより、水素供給路74における外部への水素ガスの漏れあるいは遮断弁H21の不具合による水素供給源30側からの水素ガスの漏れを迅速かつ正確に検知することができる。
【0031】
例えば、図3に示すように、水素供給路74における受光素子12の周辺に亀裂などの損傷箇所Sがある場合は、その損傷箇所Sから外光が入り込み、その外光が受光素子12に検知される。そして、かかる受光素子12からの検出信号を受信した制御部50は、水素供給路74における受光素子12の周辺に損傷箇所Sがあり、この損傷箇所Sから水素ガスが外部に漏洩していると判定することができる。
【0032】
また、運転停止時や間欠運転時等に遮断弁H21によって水素供給路74を閉鎖した際に、遮断弁H21に動作不良が生じていて、この遮断弁H21が完全に閉鎖されていない場合には、発光素子11を発光させると、この発光素子11の光が遮断弁H21を通過して受光素子12側へ入り込み、その光が受光素子12に検知されるので、かかる受光素子12からの検出信号を受信した制御部50は、遮断弁H21に動作不良が生じ、水素供給路74が完全に閉鎖されずに、水素供給源30側から燃料電池20側へ水素ガスが漏洩していると判定することができる。
【0033】
つまり、本実施形態に係る漏れ検知装置10及びそれを備えた燃料電池システム1によれば、低コストにて、水素供給路74の外部への水素ガスの漏洩や水素供給路74に設けられた遮断弁H21における水素ガスの漏洩を迅速かつ正確に検知することができる。
【0034】
なお、上記実施形態では、水素供給路74に漏れ検知装置10を設けた場合を例にとって説明したが、この漏れ検知装置10は、水素供給路74に限らず、水素ガス、空気、冷却水などの流体が流れる配管にも設置可能である。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の実施形態に係る漏れ検知装置を備えた燃料電池システムを概略的に示すシステム構成図である。
【図2】漏れ検知装置を示す水素供給路の一部の断面図である。
【図3】漏れの検知の仕方を説明する水素供給路の一部の断面図である。
【符号の説明】
【0036】
1…燃料電池システム、10…漏れ検知装置、11…発光素子、12…受光素子、20…燃料電池、50…制御部(漏れ判定部)、74…水素供給路(配管)、H21…遮断弁(弁)。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸

【識別番号】100093861
【弁理士】
【氏名又は名称】大賀 眞司

【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史


【公開番号】 特開2008−14715(P2008−14715A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184669(P2006−184669)