トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 時刻歴応答解析方法、装置及びプログラム
【発明者】 【氏名】中村 尚弘

【要約】 【課題】物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行う。

【構成】地盤の歪レベルγが各値のときの動的剛性を演算し(102)、演算した動的剛性を各々時間領域へ変換することで地盤の歪レベルγが各値のときのインパルス応答値のセットを演算し(104〜112)、解析対象時刻tが各時刻のときの地盤の歪レベルγを演算し、演算した歪レベルγに対応するインパルス応答値のセットを各時刻毎に算出 (114〜124) した後に、各時刻毎に算出したインパルス応答値のセットを順に用いながら、各時刻における解析対象の建物の変位、速度及び加速度を演算する時刻歴応答解析を行う(126〜138)。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々求め、
前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々求め、
解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う時刻歴応答解析方法。
【請求項2】
前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルが、対応するインパルス応答が未知の歪レベルである場合に、対応するインパルス応答が既知の歪レベルのときのインパルス応答から、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を補間演算によって求めることを特徴とする請求項1記載の時刻歴応答解析方法。
【請求項3】
前記解析対象時刻tよりも前の時刻t−tj(但し、jは自然数でtj=Δt・j)におけるインパルス応答として、時刻t−tjにおける前記第1物体の歪レベルに対応する第1のインパルス応答、解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応する第2のインパルス応答、時刻t−tjよりも後かつ解析対象時刻tよりも後の何れかの時刻における前記第1物体の歪レベルに対応する第3のインパルス応答、及び、互いに異なる時刻における前記第1物体の歪レベルに対応する複数のインパルス応答から演算によって求めた第4のインパルス応答の何れかを用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体又は前記第2物体の挙動を解析することを特徴とする請求項1記載の時刻歴応答解析方法。
【請求項4】
解析対象時刻tが各時刻のときの前記第1物体の歪レベルを予め算出した後に、
解析対象時刻tにおける前記第1物体又は前記第2物体の変位・速度・加速度を仮定し、予め算出した解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて前記解析対象時刻tにおける前記第1物体又は前記第2物体の変位・速度・加速度を演算し、前記第1物体又は前記第2物体に加わる外力と前記第1物体又は前記第2物体の反力が釣り合っているか否か判定し、前記外力と前記反力が釣り合っていないと判断した場合は、前記外力と前記反力が釣り合っていると判断する迄、前記仮定した前記第1物体又は前記第2物体の変位・速度・加速度の修正、前記第1物体又は前記第2物体の変位・速度・加速度の演算を繰り返す処理を、前記解析対象時刻tをΔtずつ変化させながら順に行うことで前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行うことを特徴とする請求項1記載の時刻歴応答解析方法。
【請求項5】
解析対象時刻tにおける前記第1物体の変位・速度・加速度を仮定し、仮定した前記第1物体の変位に対応する前記第1物体の歪レベルを算出し、算出した歪レベルに対応するインパルス応答を用いて前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の変位・速度・加速度を演算し、前記第1物体に加わる外力と前記第1物体の反力が釣り合っているか否か判定し、前記外力と前記反力が釣り合っていないと判断した場合は、前記外力と前記反力が釣り合っていると判断する迄、前記仮定した前記第1物体の変位・速度・加速度の修正、前記第1物体の歪レベルの算出、前記第1物体の変位・速度・加速度の演算を繰り返す処理を、前記解析対象時刻tをΔtずつ変化させながら順に行うことで前記第1物体の時刻歴応答解析を行うことを特徴とする請求項1記載の時刻歴応答解析方法。
【請求項6】
第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々演算する第1演算手段と、
前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々演算する第2演算手段と、
解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う解析手段と、
を含む時刻歴応答解析装置。
【請求項7】
コンピュータを、
第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々演算する第1演算手段、
前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々演算する第2演算手段、
及び、解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う解析手段
として機能させる時刻歴応答解析プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は時刻歴応答解析方法、装置及びプログラムに係り、特に、物体を振動させる外力と該物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体、又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の時刻歴応答解析に好適な時刻歴応答解析方法、該時刻歴応答解析方法を適用可能な時刻歴応答解析装置、及び、コンピュータを前記時刻歴応答解析装置として機能させるための時刻歴応答解析プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地震時の地盤や、制振ダンパ等に用いられる粘弾性体は、外力(反力)と挙動(変位)との関係(動的特性)が周波数依存性(振動数依存性ともいう)と非線形の歪依存性(物体の歪の変化に対して物体の反力が非線形に変化する特性:歪振幅依存性ともいう)を各々示すことが知られている。この種の物体の挙動を解析・評価する場合、単に周波数領域で線形の応答解析(周波数応答解析)を行ったり、時間領域で非線形の応答解析(時刻歴応答解析)を行うのみでは、物体の動的特性の周波数依存性の影響及び非線形の歪依存性の影響を各々評価して物体の挙動を正確に解析することは困難である。
【0003】
このような問題に対しては、解析対象の物体を単純な物理モデルに置き換えて応答解析を行う方法が知られており、例えば非特許文献1には、上記の物理モデルの一種である一般化マックスウェル要素によって周波数依存性を表すと共に、一般化マックスウェル要素の係数を変化させることで非線形の歪依存性を表す技術が開示されている。解析対象の物体を一般化マックスウェル要素等の単純な物理モデルに置き換えた場合、置き換えた物理モデルに対して時間領域で非線形の応答解析を行うことで、周波数依存性の影響及び非線形の歪依存性の影響を考慮して物体の挙動を解析することができる。
【0004】
なお、上記に関連して本願発明者は、地盤の動的特性(詳しくは、地震動と地盤の挙動との関係を、振動の周波数の変化に応じて実部及び虚部の値が変化する周波数領域の複素関数で表す地盤の動的剛性(地盤インピーダンスともいう))の周波数依存性が強い場合にも、地盤の動的剛性を時間領域で表されるインパルス応答へ精度良く変換できる変換方法として、変位依存と速度依存の両方の時間遅れ成分に加えて加速度依存の同時成分を有する形式を、インパルス応答を用いた反力F(t)の一般解として設定し、設定した反力F(t)の一般解と、この一般解からインパルス応答の同時成分及び時間遅れ成分を用いて表される地盤の動的剛性S(ω)の式に基づき、ω0〜ωnの各周波数におけるN(=n+1)個の地盤の動的剛性のデータD(ωi)を用いて2N×2Nの係数マトリクスを有する連立方程式を立て、この連立方程式を解くことでインパルス応答の各成分を求める変換方法を提案している(特許文献1を参照)。
【0005】
また本願発明者は、特許文献1に記載の技術を適用すれば、解析対象の物体の動的特性が周波数依存性を示している場合にも、解析対象の物体の動的特性を周波数領域で表す動的剛性を、前記物体の動的特性を時間領域で精度良く表すインパルス応答(周波数依存性が反映されたインパルス応答)を得られることに着目し、特許文献1で提案した、インパルス応答を用いて反力F(t)を規定する数式を、解析対象の物体の動的特性における非線形の歪依存性を表現可能に変形して時刻歴応答解析に用いることで、解析対象の物体の動的特性における周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を可能とする技術も提案している(特許文献2も参照)。
【非特許文献1】金子美香,中村豊,「振幅および振動数依存性を有する粘弾性ダンパーの力学モデルの構築」,日本建築学会構造工学論文集,Vol.44B,1998年3月,p.263−270
【特許文献1】特開2006−010604号公報
【特許文献2】特開2006−071366号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した非特許文献1に記載の技術又は特許文献2に記載の技術を適用すれば、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す物体について、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を行うことができる。しかしながら、これらの技術は、何れも物体の歪レベルが変化しても物体の周波数依存特性が変化しないことを前提としている(物体を振動させる外力と物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を線形系として扱っている)のに対し、実際には、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す物体では、物体の歪レベルの変化に伴って物体の周波数依存特性自体も変化する。従って、これらの技術を用いて上記のような物体の挙動を解析したとしても、物体の動的特性の周波数依存性の影響及び非線形の歪依存性の影響を各々高精度に評価することは困難であり、改善の余地があった。
【0007】
本発明は上記事実を考慮して成されたもので、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行うことができる時刻歴応答解析方法、時刻歴応答解析装置及び時刻歴応答解析プログラムを得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために請求項1記載の発明に係る時刻歴応答解析方法は、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々求め、前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々求め、解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う。
【0009】
請求項1記載の発明では、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、第1物体を振動させる外力と第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々求め、第1物体の歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、第1物体の歪レベルが各値のときの第1物体の外力と挙動との関係を時間領域で表すインパルス応答を各々求める。このように、第1物体の動的剛性を求め、求めた動的剛性からインパルス応答を求めることを、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときについて各々行うことで、第1物体を振動させる外力と物体の挙動との関係を時間領域で表すインパルス応答を、第1物体の歪レベルが各値のときについて各々得ることができる。
【0010】
そして請求項1記載の発明は、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、解析対象時刻tにおける第1物体の挙動、又は、第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、第1物体又は第2物体の時刻歴応答解析を行う。なお、第1物体としては物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す物体、例えば地震時の地盤や粘弾性体等を適用することができる。また、第1物体の挙動の影響を受ける第2物体としては、例えば第1物体としての地盤上に建設された建物等が挙げられる。本発明は、上記第1物体及び第2物体の何れを対象として時刻歴応答解析を行う場合にも適用可能である。また、解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の挙動を解析することは、例えば解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の反力、変位、速度及び加速度を演算することで行うことができる。
【0011】
このように、請求項1記載の発明では、第1物体の歪レベルが各値のときのインパルス応答を各々求めておき、第1物体又は第2物体の時刻歴応答解析に際して、各時刻における第1物体の歪レベルに応じて演算に用いるインパルス応答を適宜切替えながら、各時刻における第1物体又は第2物体の挙動を順次解析するので、第1物体の歪レベルの変化に伴って第1物体の周波数依存特性が変化し、第1物体の挙動が変化することを、上記のインパルス応答の切替えによって各時刻の挙動解析に反映させることができる。従って、請求項1記載の発明によれば、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行うことができる。
【0012】
なお、請求項1記載の発明では、第1物体の歪レベルが複数種の値のときの動的剛性を第1演算手段が各々演算し、第2演算手段は演算された動的剛性を時間領域へ各々変換することでインパルス応答を演算するので、対応するインパルス応答が演算された歪レベルは、歪レベルの変化に対して離散的に分布することになり、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルが、対応するインパルス応答が演算されていない値である可能性もある。上記を考慮すると、例えば請求項2に記載したように、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルが、対応するインパルス応答が未知の歪レベルである場合に、対応するインパルス応答が既知の歪レベルのときのインパルス応答から、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を補間演算によって求めることが好ましい。これにより、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルが、対応するインパルス応答が未知の(演算されていない)値である場合にも、解析対象時刻t及びその付近における時刻歴応答解析の精度が大幅に低下することを防止することができる。
【0013】
また時刻歴応答解析では、解析対象時刻tよりも前の時刻における物体の挙動(例えば変位や速度等)も加味して解析対象時刻tにおける物体の挙動を演算解析するが、物体の歪レベルが時々刻々変化している場合、解析対象時刻tよりも前の時刻における物体の変位や速度等に係数として乗ずるインパルス応答として、何れの時刻での物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いるのかが問題となる。ここで、請求項1記載の発明において、解析対象時刻tよりも前の時刻t−tj(但し、jは自然数でtj=Δt・j)におけるインパルス応答としては、例えば請求項3に記載したように、時刻t−tjにおける第1物体の歪レベルに対応する第1のインパルス応答、解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルに対応する第2のインパルス応答、時刻t−tjよりも後かつ解析対象時刻tよりも後の何れかの時刻における第1物体の歪レベルに対応する第3のインパルス応答、互いに異なる時刻における第1物体の歪レベルに対応する複数のインパルス応答から演算(例えば平均値や内挿値の演算等)によって求めた第4のインパルス応答の何れかを用いることができ、第1〜第4のインパルス応答の何れかを用いて、解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の挙動を解析することができる。
【0014】
本願発明者が解析検討を行った範囲では、解析対象時刻tよりも前の時刻t−tjにおけるインパルス応答として上記第1〜第4のインパルス応答の何れを用いた場合にも、時刻歴応答解析の精度には大きな差が無いことが確認されており、上記第1〜第4のインパルス応答の何れを用いてもよい。また、解析対象の物体の種類や条件等によっては、第1〜第4のインパルス応答の何れを用いるかに応じて時刻歴応答解析の精度が変動する可能性もあるが、第1〜第4のインパルス応答の何れを用いたとしても演算量自体は略同じであるので、その場合は第1〜第4のインパルス応答のうち最も高い精度が得られるインパルス応答を選択的に用いればよい。
【0015】
また、請求項1記載の発明において、第1物体又は第2物体の時刻歴応答解析は、より詳しくは請求項4に記載したように、解析対象時刻tが各時刻のときの第1物体の歪レベルを予め算出した後に、解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度を仮定し、予め算出した解析対象時刻tにおける第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度を演算し、第1物体又は第2物体に加わる外力と第1物体又は第2物体の反力が釣り合っているか否か判定し、外力と反力が釣り合っていないと判断した場合は、外力と反力が釣り合っていると判断する迄、仮定した第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度の修正、第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度の演算を繰り返す処理を、解析対象時刻tをΔtずつ変化させながら順に行うことで実現できる。
【0016】
請求項4記載の発明では、解析対象時刻tが各時刻のときの第1物体の歪レベルを予め算出しており、或る解析対象時刻tにおいて、仮定した第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度を修正したか否かに拘わらず、予め算出したその時刻における第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて第1物体又は第2物体の変位・速度・加速度を演算するので、時刻歴応答解析の精度が多少低下する可能性があるものの、処理時間を短縮することができる。また、外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す物体(第1物体)と時刻歴応答解析における解析対象の物体が相違している場合(解析対象の物体が第2物体である場合)にも、第1物体の周波数依存性及び非線形の歪依存性の影響を考慮した第2物体の時刻歴応答解析を行うことができる。
【0017】
また、請求項1記載の発明において、時刻歴応答解析における解析対象の物体が第1物体である場合、第1物体の時刻歴応答解析は、より詳しくは請求項5に記載したように、解析対象時刻tにおける第1物体の変位・速度・加速度を仮定し、仮定した第1物体の変位に対応する第1物体の歪レベルを算出し、算出した歪レベルに対応するインパルス応答を用いて解析対象時刻tにおける第1物体の変位・速度・加速度を演算し、第1物体に加わる外力と第1物体の反力が釣り合っているか否か判定し、外力と反力が釣り合っていないと判断した場合は、外力と反力が釣り合っていると判断する迄、仮定した第1物体の変位・速度・加速度の修正、第1物体の歪レベルの算出、第1物体の変位・速度・加速度の演算を繰り返す処理を、解析対象時刻tをΔtずつ変化させながら順に行うことで実現することも可能である。
【0018】
請求項5記載の発明は、時刻歴応答解析における解析対象の物体が、外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す物体(第1物体)と相違している場合には適用困難であるが、第1物体に加わる外力と第1物体の反力が釣り合っていないと判断したことで、仮定した第1物体の変位・速度・加速度を修正した場合に、修正した第1物体の変位に応じて第1物体の歪レベルが修正(再算出)され、修正された歪レベルに対応するインパルス応答を用いて解析対象時刻tにおける第1物体の変位・速度・加速度が演算されるので、請求項4記載の発明と比較して時刻歴応答解析の精度を向上させることができる。
【0019】
請求項6記載の発明に係る時刻歴応答解析装置は、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々演算する第1演算手段と、前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々演算する第2演算手段と、解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う解析手段と、を含んで構成されているので、請求項1記載の発明と同様に、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行うことができる。
【0020】
請求項7記載の発明に係る時刻歴応答解析プログラムは、コンピュータを、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの、前記第1物体を振動させる外力と前記第1物体の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性を各々演算する第1演算手段、前記歪レベルが各値のときの動的剛性を時間領域へ各々変換することで、前記歪レベルが各値のときの前記第1物体の前記関係を時間領域で表すインパルス応答を各々演算する第2演算手段、及び、解析対象時刻tにおける前記第1物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて、前記解析対象時刻tにおける前記第1物体の挙動、又は、前記第1物体の挙動の影響を受ける第2物体の挙動を解析することを、前記解析対象時刻tをΔt刻みで変化させながら繰り返すことで、前記第1物体又は前記第2物体の時刻歴応答解析を行う解析手段として機能させる。
【0021】
請求項7記載の発明に係る時刻歴応答解析プログラムは、コンピュータを、上記の第1演算手段、第2演算手段及び解析手段として機能させるためのプログラムであるので、コンピュータが請求項7記載の発明に係る時刻歴応答解析プログラムを実行することにより、コンピュータが請求項6に記載の時刻歴応答解析装置として機能することになり、請求項1及び請求項6記載の発明と同様に、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行うことができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように本発明は、第1物体の歪レベルが互いに異なる複数種の値のときの動的剛性を各々演算し、時間領域へ各々変換することで、第1物体の歪レベルが各値のときのインパルス応答を各々演算し、解析対象時刻tにおける物体の歪レベルに対応するインパルス応答を用いて解析対象時刻tにおける第1物体又は第2物体の挙動を解析することを、解析対象時刻tをΔtずつ変化させながら繰り返すことで、物体の時刻歴応答解析を行うようにしたので、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体又は該第1物体の挙動の影響を受ける第2物体に対し、周波数依存性及び非線形の歪依存性を各々考慮した時刻歴応答解析を高精度に行うことができる、という優れた効果を有する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施形態の一例を詳細に説明する。図1には本発明を適用可能なパーソナル・コンピュータ(PC)10が示されている。PC10は、CPU10A、ROM10B、RAM10C及び入出力ポート10Dが、データバス、制御バス、アドレスバス等から成るバス10Eを介して互いに接続されて構成されている。また入出力ポート10Dには、各種の入出力機器として、CRT又はLCDから成るディスプレイ12、キーボード14、マウス16、プリンタ18、ハードディスクドライブ(HDD)20、CD−ROM22からの情報の読み出しを行うCD−ROMドライブ24が各々接続されている。
【0024】
PC10のHDD20には、後述する時刻歴応答解析処理を行うための時刻歴応答解析プログラムがインストールされている。この時刻歴応答解析プログラムは、本発明に係る時刻歴応答解析プログラムに対応している。時刻歴応答解析プログラムをPC10にインストール(移入)するには幾つかの方法があるが、例えば時刻歴応答解析プログラムをセットアッププログラムと共にCD−ROM22に記録しておき、該CD−ROM22をCD−ROMドライブ24にセットし、CPU10Aに対して前記セットアッププログラムの実行を指示すれば、CD−ROM22から時刻歴応答解析プログラムが順に読み出され、読み出された時刻歴応答解析プログラムがHDD20に順に書き込まれることで、時刻歴応答解析プログラムのインストールが行われる。PC10は、CPU10Aが時刻歴応答解析プログラムを実行することで、本発明に係る時刻歴応答解析装置として機能する。
【0025】
なお、請求項7に記載のコンピュータはPC10に限られるものではなく、例えばワークステーションであってもよいし、汎用の大型コンピュータであってもよい。
【0026】
次に本実施形態の作用として、時刻歴応答解析の実行を所望しているオペレータによりキーボード14又はマウス16を介して時刻歴応答解析プログラムの実行が指示されることで、PC10のCPU10Aで実行される時刻歴応答解析処理について、図2のフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、外力(反力)と挙動(変位)との関係(動的特性)が周波数依存性(振動数依存性)と非線形の歪依存性(歪振幅依存性)を各々示す第1物体として地盤を適用すると共に、時刻歴応答解析における解析対象の物体として、前記地盤上に建設され地震時に前記地盤の挙動の影響を受ける建物(第2物体に相当する)を適用した場合を例に説明する。また、解析対象の建物が建設される地盤を、以下では解析対象の地盤と称する。
【0027】
ステップ100では、解析対象の地盤の動的剛性を演算するための演算条件データを取得する。この演算条件データとしては、例えば図3(A)に示すように、解析対象の地盤の地層構成、各地層の層厚H、地震波の伝播速度Vs、ポアソン比ν、密度ρ、減衰率h、解析対象の建物の基礎の形状やサイズ等のデータと、図3(B)に示すように、解析対象の地盤の歪レベルγ−剪断剛性低下率G/G特性、歪レベルγ−減衰率h特性等が挙げられる。なお図3(A)には、解析対象の地盤の一例として、2層構成で、表層の地盤のみ動的特性が周波数依存性(振動数依存性)と非線形の歪依存性(歪振幅依存性)を各々示す地盤が示されている。このため図3(A)では、表層の地盤の伝播速度Vs及び減衰率hとして、地盤の歪レベルγ≦0.001%のときの値を便宜的に示しており、上層の地層の剪断剛性低下率G/G及び減衰率hは解析対象の地盤の歪レベルγの変化に対して図3(B)に示すように変化する。
【0028】
ステップ100で取得するデータのうち、解析対象の地盤に関する各種データは、例えば解析対象の地盤に対してボーリングを行い、このボーリングによって得られたサンプルに対して所定の試験を行うことで求めることができる。また、上記の演算条件データは、サンプルに対して所定の試験を行うことで得られたデータをそのまま用いることに限られるものではなく、例えば比較的強い地震が起こった後の余震に対する解析対象の地盤又はその上に建設された建物の挙動を解析したい等の場合には、比較的強い地震により解析対象の地盤の特性が変化することを想定し、所定の試験によって得られたデータに対し、特性変化に相当する値の変更を加えたデータを演算条件データとして用いてもよい。ステップ100では、上記の演算条件データをキーボード14を介してオペレータに入力させたり、予め演算条件データが記録された記録媒体(例えばCD−ROM等)から読み出すことによって取得し、取得した演算条件データをメモリ(RAM10C)又はHDD20に一旦記憶させる。
【0029】
次のステップ102では、ステップ100で取得した演算条件データをメモリ又はHDD20から読み出し、読み出した演算条件データから解析対象の地盤の歪レベルγが各値のときの解析対象の地盤の動的剛性を各々演算する。具体的には、例えば地盤の動的剛性の演算に用いるパラメータのうち、地盤の歪レベルγの変化に依存しないパラメータ(例えばポアソン比νや密度ρ等)については読み出した演算条件データに設定されている値をそのまま用い、地盤の歪レベルγの変化に依存して変化するパラメータ(例えば地震波の伝播速度Vsや減衰率h等)については、読み出した演算条件データに含まれるγ−剪断剛性低下率G/G特性やγ−h特性から地盤の歪レベルγが所定値のときの値を導出して用いる。そして、これらのパラメータに基づいて地盤の歪レベルγが所定値のときの解析対象の地盤の動的剛性を薄層要素法等の演算方法を適用して演算し、演算によって得られた動的剛性のデータをメモリ又はHDD20に一旦記憶させる。上記処理を地盤の歪レベルγとして互いに異なるm種類の値(γ,…,γ)を適用して各々行うことで、地盤を振動させる外力(地震動)と地盤の挙動との関係を周波数領域で表す動的剛性のデータを、互いに異なるm種類の歪レベルγについて各々得ることができる。
【0030】
一例として図4には、動的剛性を演算する歪レベルとして0.001%,0.002%,0.005%,0.01%,0.02%,0.05%,0.1%,0.2%,0.5%,1.0%の各値を用い(m=10)、図3(A),(B)に示す解析対象の地盤の動的剛性を、0〜10(Hz)の周波数範囲に亘って演算した結果を、水平成分/回転成分と、実数部/虚数部に分けて示す。なお、動的剛性のデータは演算によって求めることに限られるものではなく、実験を行って求めることも可能である。また、上述したステップ100,102は本発明に係る第1演算手段に対応している。
【0031】
ステップ104では変数iに1を代入し、次のステップ106では、ステップ102の演算によって得られた各歪レベルにおける解析対象の地盤の動的剛性のデータのうち、歪レベルγにおける解析対象の地盤の動的剛性のデータをメモリ又はHDD20から読み出す。そして、読み出した動的剛性のデータから、予め設定された演算対象の周波数範囲内のN種の周波数(N種の角振動数ω1,…, ωN)における動的剛性の値を表すN個の複素データD(ω1),…,D(ωN)を各々抽出し、抽出した複素データをメモリ又はHDD20に記憶させる。
【0032】
なお、ステップ106で抽出した複素データは、物体の外力(反力)と挙動(変位)との関係を時間領域で表すインパルス応答の演算に用いられ、この演算により時刻t=0及び時刻t=Δt・j(j=1,2,…,n)の各時刻における地盤のインパルス応答を表すインパルス応答データが得られるが、得られるインパルス応答データの個数は演算に用いる複素データの個数に応じて定まり(すなわちjの最大値nは複素データの個数−1(=N−1))、得られるインパルス応答データによって表される地盤のインパルス応答の時刻範囲も演算に用いる複素データの個数に応じて定まる(例えば複素データの個数が21個、Δt=0.05秒とすると、tn=Δt・jmax=0.05×20=1秒となり、時刻t=0〜1秒の時刻範囲の地盤のインパルス応答を表す21個のインパルス応答データが得られる)ことになるので、地盤の動的剛性から抽出する複素データの個数(複素データの抽出を行う周波数の種類数)は、地盤のインパルス応答を算出すべき時刻範囲の長さも勘案して予め定めておくことができる。
【0033】
ここで、外力(反力)と挙動(変位)との関係が周波数依存性と非線形の歪依存性を各々示す物体の動的剛性S(γ,ω)は、次の(1)式に示すように実数部S(γ,ω)と虚数部S(γ,ω)の和で表される。
S(γ,ω)=S(γ,ω)+i・S(γ,ω) …(1)
また、物体の変位に依存するインパルス応答(剛性項)の同時成分をk0(γ)、物体の速度に依存するインパルス応答(減衰項)の同時成分をc0(γ)、物体の加速度に依存するインパルス応答(質量項)の同時成分をm0(γ)、物体の変位に依存するインパルス応答のΔt刻みの時間遅れ成分をk(γ)、物体の速度に依存するインパルス応答のΔt刻みの時間遅れ成分をc(γ)(但し、jは自然数でtj=Δt・j)、時間領域での物体の変位をu(t)、速度をu'(t)、加速度をu"(t)としたときに、歪レベルγに応じた反力F(γ,t)は次の(2)式で表される。
【0034】
【数1】


【0035】
また、(2)式におけるインパルス応答の同時成分(k0(γ),c0(γ),m0(γ))及び時間遅れ成分(k1(γ),k2(γ),…,kN-1(γ),c1(γ),c2(γ),…,cN-2(γ))を用いると、動的剛性S(γ,ω)は次の(3)式で表される。
【0036】
【数2】


【0037】
上記の(2),(3)式に基づき、動的剛性のデータより抽出したN個の複素データD(ω1),…,D(ωN)から、時間領域へ変換することでインパルス応答の値(k0(γ)〜kN-1(γ),c0(γ)〜cN-2(γ),m0(γ))を演算するための2N×2Nの係数マトリクスを有する連立方程式((4),(5)式)が導かれる。
【0038】
【数3】


【0039】
本実施形態に係るPC10のHDD20には、動的剛性のデータからインパルス応答を求めるための上記の連立方程式((4),(5)式)が予め記憶されており、次のステップ108では上記の連立方程式をHDD20から読み出し、読み出した連立方程式に、ステップ106で抽出したN個の複素データD(ω1),…,D(ωN)を代入し、この連立方程式の解を求めることで、歪レベルγにおける解析対象の地盤のインパルス応答を表すインパルス応答データを、予め設定されたΔt刻みで演算する。この演算により、地盤のインパルス応答を表すインパルス応答データとして、インパルス応答の同時成分(k0(γ),c0(γ),m0(γ))が得られると共に、インパルス応答の時間遅れ成分(k1(γ),k2(γ),…,kN-1(γ),c1(γ),c2(γ),…,cN-2(γ))がΔt刻みで得られる。そして、得られたインパルス応答データはメモリ又はHDD20に一旦記憶される。
【0040】
次のステップ110では、変数iが定数mに一致したか否か、すなわちステップ102で動的剛性を演算した全ての歪レベルについて、インパルス応答データを演算したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ112へ移行し、変数iを1だけインクリメントした後にステップ106に戻る。これにより、ステップ110の判定が肯定される迄ステップ106〜112が繰り返されることになり、ステップ102で動的剛性を演算したm種類の歪レベルについてインパルス応答データが各々演算される。一例として図5には、図4に示した動的剛性のデータから、周波数範囲0〜10(Hz)内の複素データとして、互いに異なる21種類の周波数(0.1(Hz),0.5(Hz),1.0(Hz),1.5(Hz),2.0(Hz),…,10.0(Hz))の複素データを抽出し、抽出した複素データを用いると共に、Δtが0.1秒、算出する時間遅れ成分の数(n')が4、という条件でインパルス応答データを演算した結果を、水平成分/回転成分と、剛性項(物体の変位に依存する項)k/減衰項(物体の速度に依存する項)c/質量項(物体の加速度に依存する項)mに分けて示す。
【0041】
なお、参考までに図6には、図5に示した各歪レベルにおけるインパルス応答データのうち、歪レベルγ=0.01(%),1(%)におけるインパルス応答データについて、周波数領域への再変換を行うことで動的剛性を各々再現し、再現した動的剛性(再現値)を同一の歪レベルに対応する元の動的剛性(データ点)と比較した結果を、水平成分・回転成分に分けて示す。なお、図6において、"Real"は動的剛性の実数部を、"Imag"は動的剛性の虚数部を各々意味している。図6からも明らかなように、歪レベルγの大きさや、水平成分/回転成分、実数部/虚数部に拘わらず、再現した動的剛性は元の動的剛性と精度良く一致しており、上述したステップ100〜ステップ112により、各歪レベル毎に、解析対象の地盤の動的特性を時間領域で精度良く表すインパルス応答が得られることが理解できる。なお、上述したステップ104〜ステップ112は本発明に係る第2演算手段に対応している。
【0042】
次のステップ114〜ステップ124では、上記処理によって得られたインパルス応答データに基づいて、後述する時刻歴応答解析で解析対象とする各時刻における解析対象の地盤の歪レベルγを演算し、各時刻における時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答値を決定する。すなわち、ステップ114では時刻tを0に初期化する。次のステップ116では、時刻tに解析対象の地盤に加わる外力を表すデータを取り込み、取り込んだデータが表す外力に基づいて、時刻tにおける解析対象の地盤の変位u(t)を推定する。なお、解析対象時刻tにおける外力は解析対象時刻tに解析対象の地盤に加わる地震動に相当し、予め想定した地震動のデータから解析対象時刻tに地盤に加わる地震動のデータを抽出することで行うことができる。ステップ118では、ステップ116で推定した解析対象時刻tにおける解析対象の地盤の変位u(t)に基づいて、解析対象時刻tにおける解析対象の地盤の歪レベルγを演算する。
【0043】
次のステップ120では、ステップ118で演算した歪レベルγに対応するインパルス応答値のセット(同時成分k0,c0,m0及び時間遅れ成分k1,k2,…,kN-1,c1,c2,…,cN-2)を取得し、取得したインパルス応答値のセットを時刻tを対応付けてメモリ又はHDD20に書き込む。前述のように本実施形態に係る時刻歴応答解析処理では、動的剛性及びインパルス応答値の演算を、歪レベルの変化に対して離散的に分布するm種類の歪レベルについて行っている。このため、ステップ120におけるインパルス応答値のセットの取得は、ステップ118で演算した歪レベルγが、動的剛性及びインパルス応答値の演算が行われた値であれば、対応するインパルス応答データをメモリ又はHDD20から読み込むことによって成されるが、ステップ118で演算した歪レベルγが、動的剛性及びインパルス応答値の演算が行われた歪レベルγの間に相当する値である場合には、その前後の歪レベルγに対応する複数セットのインパルス応答データをメモリ又はHDD20から各々読み込み、読み込んだ複数セットのインパルス応答データに基づいて、ステップ118で演算した歪レベルγに対応するインパルス応答値のセットを補間演算によって求める。
【0044】
ここで、インパルス応答値のセットのうち同時成分k0,c0,m0に関しては、単に時刻tにおける歪レベルγに対応するインパルス応答値を取得(読み込み又は補間演算)すればよいが、インパルス応答値のセットのうちの時間遅れ成分k,c,(但しj=1,2,…,N-2orN-1)は、後述する時刻歴応答解析処理において、時刻tよりも前の時刻t−tj(但し、jは自然数でtj=Δt・j)における解析対象の地盤の挙動が及ぼす影響を加味するための値であるのに対し、地震時には解析対象の地盤の歪レベルγも時々刻々変化するので、時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答値の時間遅れ成分k,cとして何れの時点での地盤の歪レベルγに対応する値を用いるのかという点に関しては選択の余地がある。
【0045】
時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答値の時間遅れ成分k,cの選択肢としては、例えば時刻tよりも前の時刻t−tjにおける解析対象の地盤の歪レベルγに対応する時間遅れ成分(k=k(t−tj), c=c(t−tj))を用いるケース(ケース1と称する:請求項3に記載の第1のインパルス応答に相当)、時刻tにおける解析対象の地盤の歪レベルγに対応する時間遅れ成分(k=k(t), c=c(t))を用いるケース(ケース3と称する:請求項3に記載の第2のインパルス応答に相当)、ケース1とケース3の平均値に相当する時間遅れ成分(k=k(t−tj)+k(t)/2,c=c(t−tj)+c(t)/2)を用いるケース(ケース2と称する:請求項3に記載の第4のインパルス応答に相当)が挙げられる。
【0046】
詳細は後述するが、本願発明者が実施した解析検討の結果、インパルス応答値の時間遅れ成分k,cとしてケース1〜ケース3の何れを用いた場合にも時刻歴応答解析の精度には大きな差が無いことが確認されており、インパルス応答値の時間遅れ成分k,cとしてはケース1〜ケース3の何れを用いてもよい。また、解析対象の物体の種類や条件等によっては、インパルス応答値の時間遅れ成分k,cとしてケース1〜ケース3の何れを用いるかに応じて時刻歴応答解析の精度が変動する可能性もあるが、インパルス応答値の時間遅れ成分k,cとしてケース1〜ケース3の何れを用いたとしても演算量自体は略同じであるので、その場合はケース1〜ケース3のうち最も高い精度が得られる何れかのケースをインパルス応答値の時間遅れ成分k,cとして選択的に用いればよい。
【0047】
次のステップ122では、時刻tが後述する時刻歴応答解析における解析終了時刻tmaxに達したか否か判定する。判定が否定された場合はステップ124へ移行し、時刻tにΔtを加算することで時刻tを更新してステップ116に戻る。これにより、ステップ122の判定が肯定される迄ステップ116〜124が繰り返され、時刻t=0から時間Δt刻みの各時刻について、解析対象の地盤の歪レベルγ及び歪レベルγに対応するインパルス応答値が算出される。
【0048】
次のステップ128以降では解析対象の物体としての建物に対して時刻歴応答解析を行う。すなわち、ステップ126では解析対象時刻tを0に初期化する。次のステップ128では、解析対象時刻tに解析対象の建物に加わる外力を表すデータを取り込み、取り込んだデータが表す外力に基づいて、解析対象時刻tにおける解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、解析対象の建物の基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)を各々推定する。また、次のステップ130では、先のステップ114〜ステップ124で各時刻毎に求めたインパルス応答値のセットのうち、解析対象時刻tにおけるインパルス応答値のセット(同時成分k0(t),c0(t),m0(t)及び時間遅れ成分k1(t),k2(t),…,kN-1(t),c1(t),c2(t),…,cN-2(t))を取り込む。なお、個々のインパルス応答値に付した"(t)"は解析対象時刻tにおける演算に用いるインパルス応答値であることを表している。
【0049】
そしてステップ132では、ステップ128で仮定した解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、ステップ130で取り込んだインパルス応答値のセット、その他の定数を次の(6)〜(8)式に代入し、ニューマークβ法等の演算方法を適用して解析対象時刻tにおける解析対象の建物の挙動を(6)式(地盤−建物連成系に対する地震応答解析の運動方程式)によって演算する。
【0050】
【数4】


【0051】
但し、上記の数式において、添字のsは解析対象の建物の地上部を、添字のbは基礎部を表し、Mは各部の質量マトリクスを、Cは各部の減衰マトリクスを、Kは各部の剛性マトリクスを、y0"(t)は入力地震動を各々表している。
【0052】
次のステップ134では、ステップ132の演算の結果、解析対象時刻tに解析対象の建物に加わる外力が、解析対象の建物の反力と釣り合っているか否か判定する。(6)式の運動方程式において、右辺の第1項は解析対象時刻tに解析対象の建物に加わる外力を表しており、(6)式のそれ以外の項は解析対象時刻tにおける解析対象の建物の反力を表している。ステップ134の判定は、(6)式の右辺の第1項の値と(6)式のそれ以外の項の値の偏差(外力と反力との釣合の誤差)が許容範囲内か否かを判断することで行われる。ステップ134の判定が否定された場合はステップ128へ戻り、ステップ128において、先に仮定した解析対象時刻tにおける解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)を修正した後にステップ130以降の処理を行う。上述したステップ128〜134は、ステップ134の判定が肯定される迄繰り返されるので、解析対象時刻tにおける解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)は、解析対象時刻tでの外力に対する反力の偏差を許容範囲内とする値に収束することになる。
【0053】
ステップ134の判定が肯定され、解析対象時刻tにおける外力に対する反力の偏差が許容範囲内となる解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)が求まるとステップ136へ移行し、上記の時刻歴応答解析(各時刻における解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)の演算)を、時刻歴応答解析の解析終了時刻tmax迄行ったか(解析対象時刻tが解析終了時刻tmaxに達したか)否か判定する。判定が否定された場合はステップ138へ移行し、解析対象時刻tにΔtを加えることで解析対象時刻tを更新してステップ128に戻る。
【0054】
これにより、ステップ136の判定が肯定される迄ステップ128〜138が繰り返され、解析対象時刻tから時間Δt刻みの各時刻について、予め各時刻毎に演算されたインパルス応答値のセットを用いて時刻歴応答解析(解析対象の各時刻における解析対象の建物の地上部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)、基礎部の変位u(t)、速度u'(t)、加速度u"(t)の演算)が順次行われることになる。そして、ステップ136の判定が肯定されると時刻歴応答解析処理を終了する。なお、上述したステップ114〜ステップ138は本発明に係る解析手段に対応している。
【0055】
上述したように、本実施形態に係る時刻歴応答解析処理では、地盤の歪レベルγが各値のときのインパルス応答値のセットを各々演算し、解析対象時刻tが各時刻のときの地盤の歪レベルγを演算し、演算した歪レベルγに対応するインパルス応答値のセットを各時刻毎に算出した後に、各時刻毎に算出したインパルス応答値のセットを順に用いながら、各時刻における解析対象の建物の変位、速度及び加速度を演算する時刻歴応答解析を行うので、地盤の歪レベルγの変化に伴って地盤の周波数依存特性が変化し、この周波数依存特性の変化に伴って地盤の挙動が変化することを、上記のインパルス応答の切替えによって各時刻の解析に反映させることができる。従って、建物の時刻歴応答解析を、地盤の周波数依存性及び非線形の歪依存性による影響を考慮して高精度に行うことができる。
【0056】
なお、上記では物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体(すなわち地盤)の挙動の影響を受ける第2物体(すなわち建物)に対して時刻歴応答解析を行う態様を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、物体を振動させる外力と物体の挙動との関係が周波数依存性及び非線形の歪依存性を示す第1物体(例えば地盤や粘弾性体)に対して時刻歴応答解析を行う場合に適用することも可能である。この場合、図2に示す時刻歴応答解析処理のように、時刻歴応答解析の実行に先立ち、解析対象の各時刻における物体の歪レベルを演算し、演算した歪レベルに対応するインパルス応答値(時刻歴応答解析に用いるインパルス応答値)を各時刻毎に予め求めておくようにしてもよいが、これに限定されるものではなく、時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答値を時刻歴応答解析の実行時に求めるようにしてもよい。
【0057】
具体的には、例えば図7に示すように、物体の歪レベルγが各値のときのインパルス応答値のセットを各々演算すると(ステップ104〜114)、次のステップ126以降で時刻歴応答解析を行い、解析対象時刻tにおける解析対象の物体の変位・速度・加速度を仮定し(ステップ128)、仮定した物体の変位から解析対象時刻tにおける解析対象の物体の歪レベルγを演算し(ステップ129)、演算した歪レベルγに対応するインパルス応答値のセットを取得し(ステップ131)、仮定した解析対象の物体の変位・速度・加速度、取得したインパルス応答値のセットを用いて解析対象時刻tにおける解析対象の物体の挙動を演算する(ステップ132)。この態様では、ステップ132の演算の結果、外力と反力が釣り合っていないと判定された場合(ステップ134の判定が否定された場合)に、ステップ128で解析対象時刻tにおける解析対象の物体の変位・速度・加速度が修正され、修正後の解析対象の物体の変位に基づいて、解析対象時刻tにおける解析対象の物体の歪レベルγの再演算(ステップ129)、歪レベルγに対応するインパルス応答値のセットの再取得(ステップ131)が行われるので、処理時間が増大する可能性があるものの、時刻歴応答解析の精度を更に向上させることができる。
【0058】
また、上記では時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答値の時間遅れ成分k,cとして、時刻tよりも前の時刻t−tjにおける解析対象の地盤の歪レベルγに対応する時間遅れ成分(k=k(t−tj), c=c(t−tj))を用いるケース1、時刻tにおける解析対象の地盤の歪レベルγに対応する時間遅れ成分(k=k(t), c=c(t))を用いるケース3、ケース1とケース3の平均値に相当する時間遅れ成分(k=k(t−tj)+k(t)/2,c=c(t−tj)+c(t)/2)を用いるケース2を例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、時刻tよりも時間tx(但し0<tx<tj)前の任意の時刻における解析対象の地盤の歪レベルγに対応する時間遅れ成分(k=k(t−tx), c=c(t−tx))を用いるケース(当該ケースは請求項3に記載の第3のインパルス応答に対応している)を適用してもよいし、ケース1とケース3の平均値に相当する時間遅れ成分(ケース2)に代えて、互いに異なる時刻(時刻t〜時刻tよりも前の時刻t−tjの間の任意の時刻)における解析対象の地盤の歪レベルγに対応する複数のインパルス応答から、例えば平均値や内挿値、加重平均値等を演算することで得られる時間遅れ成分を用いるケース(当該ケースは請求項3に記載の第4のインパルス応答に対応している)を適用してもよい。
【実施例】
【0059】
次に、本願発明者が実施した解析検討の結果について説明する。この解析検討では、解析対象の地盤として図3(A)に示すモデルを用い、表層を10分割し、その下方を基盤物性の粘性境界とした。また、表層の地盤の履歴特性としてRamberg-Osgoodモデル(以下R−Oモデル)を用い、剪断剛性低下率G/G=0.5となる歪レベルγを0.1%、減衰率hmaxを26%に設定することで、図3(B)にほぼ一致するγ−G/G特性、γ−h特性とした。上記の地盤モデルに対し、本発明を適用して歪レベル毎のインパルス応答値を求めた後に、入力地震動として神戸位相のレベル2告示波(時間刻み0.005秒、継続時間30秒)を用いて地震応答解析を実施した。
【0060】
この地震応答解析に用いたインパルス応答値のうち、水平成分の剛性項の同時成分k0、時間遅れ成分k2,k4の経時変化を図8(A)に、水平成分の減衰項の同時成分c0、時間遅れ成分c2,c4の経時変化を図8(B)に各々示す。図8からも明らかなように、地震動の入力により地盤の歪レベルγが経時的に大きく変動していることに伴い、地震応答解析の演算に用いられるインパルス応答値も経時的に大きく変動していることが理解できる。また図8では、インパルス応答値の時間遅れ成分k2,k4,c2,c4について、インパルス応答値の時間遅れ成分としてケース1〜ケース3を適用した場合の経時変化を併せて示しているが、歪レベルγの急変に伴ってインパルス応答値が急変している箇所で、地震応答解析の演算に用いられるインパルス応答値の時間遅れ成分が、各ケース毎にやや相違していることも確認できる。
【0061】
また本願発明者は、図3(A)に示す地盤モデル上に建つ建物に対して、インパルス応答値の時間遅れ成分としてケース1〜ケース3を各々用いて地震応答解析を実施した。解析対象の建物は底面30m×30m、鉄筋コンクリート造5階建ての線形構造物とし、解析モデルとして図9(A)に示す質点系Sway-Rockingモデル(以下、SRモデル)を用いた。解析モデルの諸元を次の表1に示す。
【0062】
【表1】


【0063】
また、建物の内部減衰は歪エネルギー比例型でh=3%とし、入力地震動として図9(B)に示す地震動を用い、建物の基礎底面のSway-Rockingばねは、表層の歪レベルにより変化するものとした。
【0064】
この地震応答解析によって得られた各ケース毎の最大応答加速度及び最大応答剪断力を図10に示す。基礎部における最大応答加速度はケース1とケース3で4%程度の差異で生じているが、他の部位における差異は全て1%以下であり、ケース1とケース3は全体として略一致している。また、ケース2の応答値は全てケース1の応答値とケース3の応答値の間にある。また、図示は省略するが、最大応答値の発生時刻は全ケースでほぼ等しく、基礎部における最大加速度は8.6〜9.0秒付近で、他の部位における最大応答値は全て12.6秒付近で生じている。これらの結果から、本願発明者が実施した地震応答解析の条件下では、時刻歴応答解析の演算に用いるインパルス応答の時間遅れ成分としてケース1〜ケース3の何れを用いたとしても、解析精度に大きな差が生じないことが理解できる。
【0065】
また、上記の地震応答解析のうち、インパルス応答の時間遅れ成分としてケース2を用いて行った地震応答解析の結果に基づき、地盤の動的剛性(水平成分)の荷重変形関係として、基礎部の変位と基礎部の反力の関係をプロットしたチャートを図11(A)に示す。なお、図11(B)は比較例として、公知のSHAKE(等価線形解析法)を適用して同一の条件で地震応答解析を行った結果に基づいてプロットしたチャートを示す。図3(B)にも示すように、地盤は歪レベルγが大きくなるに従って剛性(例えば剪断剛性G)が低下する特性を有している。この地盤の剛性は、図11のチャート上では楕円形状を描く軌跡の長軸方向の傾きとして現れるが、図11(B)に示す従来方式では、軌跡が描く楕円の大きさが変化しても長軸方向の傾きに明瞭な変化が現れていない。これに対し、図11(A)に示す本発明方式では、軌跡が描く楕円の大きさが小さいとき(変位が小さく歪レベルγも小さいとき)には長軸方向の傾きが大きく、楕円の大きさが大きいとき(変位が大きく歪レベルγも大きいとき)には長軸方向の傾きが小さくなっていることが確認できる。この結果からも、本発明方式は従来方式と比較して、地盤の特性を精度良く反映した高精度な解析を実現できていることが理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態に係るPCの概略構成を示すブロック図である。
【図2】時刻歴応答解析処理の内容を示すフローチャートである。
【図3】(A)は解析対象の地盤の構成の一例を示す概念図、(B)はG−γ特性、h−γ特性の一例を示す線図である。
【図4】各歪レベル毎の動的剛性の演算結果の一例を示すイメージ図である。
【図5】各歪レベル毎の動的剛性のインパルス応答の一例を示すイメージ図である。
【図6】インパルス応答から再現した動的剛性と元の動的剛性を比較した結果を示す線図である。
【図7】時刻歴応答解析処理の他の例を示すフローチャートである。
【図8】本願発明者による解析検討における地盤の地震応答解析に用いられたインパルス応答値の経時変化を示す線図である
【図9】本願発明者による解析検討における建物の地震応答解析に用いられた、(A)は建物のモデルを示す概念図、(B)は入力地震動を示す線図である。
【図10】本願発明者による解析検討における建物の地震応答解析によってケース1〜3について各々得られた、(A)は最大応答加速度、(B)は最大応答剪断力を各々示す線図である。
【図11】本発明方式及び従来方式を適用して地震応答解析を行うことで得られた地盤の動的剛性(水平成分)の荷重変形関係を各々示す線図である。
【符号の説明】
【0067】
10 PC
12 ディスプレイ
14 キーボード
16 マウス
20 HDD
【出願人】 【識別番号】000003621
【氏名又は名称】株式会社竹中工務店
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100079049
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 淳

【識別番号】100084995
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和詳

【識別番号】100085279
【弁理士】
【氏名又は名称】西元 勝一

【識別番号】100099025
【弁理士】
【氏名又は名称】福田 浩志


【公開番号】 特開2008−8855(P2008−8855A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−182032(P2006−182032)