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【発明の名称】 磁歪リング式トルクセンサ
【発明者】 【氏名】島田 宗勝
【氏名】浦本 清弘
【氏名】松岡 敏光
【氏名】坂元 宏規
【課題】センサ感度に優れるた磁歪リング式トルクセンサを提供すること。

【構成】磁歪リング式トルクセンサは、回動軸と磁歪を有するリング状部材と磁気検出部とを備える。磁歪を有するリング状部材が回動軸に嵌合しており、磁歪リング状部材は周方向に着磁されており、この磁歪リング状部材に磁気検出部が近接配置されている。回動軸にトルクがかかったときに、磁歪リング状部材からの磁束漏れの大きさを磁気検出部にて検出する非接触方式の磁歪リング式トルクセンサである。磁歪リング状部材がその内部に非磁性部を有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動軸と磁歪を有するリング状部材と磁気検出部とを備え、上記磁歪を有するリング状部材が上記回動軸に嵌合しており、
上記磁歪リング状部材は周方向に着磁されており、この磁歪リング状部材に上記磁気検出部が近接配置されており、上記回動軸にトルクがかかったときに、上記磁歪リング状部材からの磁束漏れの大きさを上記磁気検出部にて検出する非接触方式の磁歪リング式トルクセンサにおいて、
上記磁歪リング状部材がその内部に非磁性部を有することを特徴とする磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項2】
上記非磁性部が空間であることを特徴とする請求項1に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項3】
センサ部中央における上記回動軸に垂直な断面において、上記非磁性空間部の厚さが上記リンク状部材の厚さより大きいことを特徴とする請求項1又は2に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項4】
上記磁歪リング状部材の中心軸線方向に沿った断面形状がコの字を回転した形状をなし、上記非磁性部空間がほぼ矩形状をなすことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1つの項に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項5】
上記コの字状の磁歪リング部材の脚部と、上記回動軸とが締結されていることを特徴とする請求項4に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項6】
上記コの字状の磁歪リング状部材の脚部と上記回動軸との締結が、電子ビーム溶接にてなされていることを特徴とする請求項5に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項7】
上記非磁性部の空間に、上記回動軸及びコの字の磁歪リング部材の内面と接触している状態にて、線膨張係数が上記磁歪リング部材よりも大きいリング状非磁性材が挿入されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つの項に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項8】
上記リング状非磁性材がオーステナイト系ステンレスから成ることを特徴とする請求項7に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項9】
上記回動軸が鋼製であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1つの項に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項10】
上記磁歪リング部材がマルエージング鋼から成ることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つの項にに記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項11】
上記磁気検出部がホールセンサとヨークを備えることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つの項に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【請求項12】
上記コの字状リング部材が、圧縮応力をその中心軸線方向に印加された状態にて上記回動軸と締結されていることを特徴とする請求項4〜11のいずれか1つの項に記載の磁歪リング式トルクセンサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、磁歪式トルクセンサに係り、更に詳細には、回動軸に働くトルクを非接触で検出する磁歪式トルクセンサのうち、磁歪リング方式のトルクセンサに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、トルクセンサとして磁歪を利用したセンサの提案がなされているものの、車輌用として実用化されているものはないようである。
車輌のミッションの出力軸トルクをモニターできるようになると、ATの変速ショックに対し、現在行われているような難しい制御を行わなくともよいようになる。また、車輌の総合制御が可能になり、省燃費な車輌の実現に資するため、廉価で小型なトルクセンサの要望は潜在的にあり、研究開発されてきている。
【0003】
従来の提案に係る磁歪式トルクセンサとして、回動軸に設けた2つの帯状の溝部と、それらを取り囲むコイルを設けたものがあり(例えば、特許文献1及び非特許文献1参照)、このトルクセンサでは、コイルで励磁し、左右溝部の透磁率変化を検出することによりトルクが検出される。
【特許文献1】特許第2677066号公報
【非特許文献1】R.Ishino et al.:IEEE Trans.on Magnetics,vol.38,No.5,3306,September 2002.
【0004】
一方、磁歪リングを回動軸に嵌合するタイプの磁歪式トルクセンサも提案されている(例えば、非特許文献2及び3参照)。この磁歪リング式トルクセンサは、磁歪リングを周方向に磁化させておき、回動軸にトルクがかかったときに、回動軸方向に発生する磁界の成分をホール素子等の小さな磁気センサで検出するものである。
【非特許文献2】I.J.Garshelis:IEEE Trans.on Magnetics,vol.28,No.5,2202,September 1992.
【非特許文献3】I.J.Garshelis and C.R.Conto:JAP,vol.79,No.8,4756,1996.
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、かかる従来の磁歪式トルクセンサのうち、コイルを用いる方式のセンサには、コイルを用いるがゆえにスペースを要するという問題がある。
また、コイルに10kHzオーダーの交流電流を流す必要があり、電気的な電力という点では1W弱程度の電力が必要であり、電力的にも問題があった。
【0006】
一方、磁歪リングを回動軸に嵌合する磁歪式トルクセンサは、小型、省電力の要求を満たすものであるが、回動軸と磁歪リングとが締り嵌めされているため、少し大きなトルクがかかると、回動軸とリングとの間にすべりが発生してしまうという問題がある。
また、磁歪リングには引張の周方向応力(Hoop stress)が働いていて、これにより周方向に1軸の磁気異方性が確保されるが、この部分が良好なセンサ特性にとっては本質的な部分となっている。
【0007】
しかしながら、かかる磁歪リング方式のトルクセンサにおいては、回動軸が磁性体の場合、漏れ磁束のかなりの部分が回動軸を通るようになるため、感度が著しく劣化するという問題があり、特に回動軸がモータ等の出力軸のときには、出力軸は鋼製であって非磁性体製のものは特殊用途以外にはなく、この問題が顕著である。
【0008】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、センサ感度に優れた磁歪リング式トルクセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、磁歪リングに空間部を形成し、磁歪リングと磁性体たる回動軸とを離間させることにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の磁歪リング式トルクセンサは、回動軸と磁歪を有するリング状部材と磁気検出部とを備え、上記磁歪を有するリング状部材が上記回動軸に嵌合しており、
上記磁歪リング状部材は周方向に着磁されており、この磁歪リング状部材に上記磁気検出部が近接配置されており、上記回動軸にトルクがかかったときに、上記磁歪リング状部材からの磁束漏れの大きさを上記磁気検出部にて検出する非接触方式の磁歪リング式トルクセンサにおいて、
上記磁歪リング状部材がその内部に非磁性部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、磁歪リングに空間部を形成し、磁歪リングと磁性体たる回動軸とを離間させることとしたため、センサ感度に優れるた磁歪リング式トルクセンサを提供することができる。
本発明の磁歪リング式トルクセンサは、鋼製の回動軸を対象とすることができるので、その有用性が飛躍的に向上している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明につき図面を参照して詳細に説明する。
本発明の内容を明確にすべく、まず、従来技術につき再度説明する。
図13は、特許文献1や非特許文献1に開示されているような交流透磁率差動方式の磁歪式トルクセンサを示す構成図である。
一方、図14は、ガルシェリスの提案している磁歪リング方式のトルク検出装置を示す側面図であり、非特許文献2や非特許文献3に開示されている。
【0013】
図13において、回動軸1Lと1Rに設けられた溝1gは、左(1L)右(1R)でそれぞれ異なる方向に45度傾いて形成されている。回動軸1L、1Rに図示Tのようにトルクが働くと、回動軸1Lの溝部帯(山部)では透磁率が増加し、回動軸1Rでは減少する。トルクが働くと45度方向には引張、圧縮応力が働き、溝が形状異方性を形成しているから、磁歪の逆効果によりいっそうそのようになる(磁歪の値が正である材料について説明している。以下でも同様である)。
【0014】
図13に示すセンサでは、溝部1gが軸方向に2ヶ所あること、溝1gを覆うコイル2が設置する必要があることにより、センサの小型化には難がある。また、コイル2には10kHzオーダーの交流電流を流す。数十mAで数ボルトであるから、1W弱の電力を要するので、消費電力が大きいという難もある。
【0015】
一方、図14に示す磁歪リング式トルクセンサでは、磁歪を有するリング3が回動軸1に嵌められている。それにより、リング3には周方向に引張応力(Hoop stress)が働いている。周方向に着磁すると磁化は周方向に向いている。
回動軸1にトルクがかかると、45度方向に引張応力(それと直交して圧縮応力)が作用するので、磁歪の逆効果により、磁化は軸方向に倒される。従って、リング端部には磁極が現われ、漏れ磁束が発生する。よって、ホール素子等のセンサ4を配置しておくと、トルクに相関のある信号が検出される。
【0016】
かかる磁歪リング式トルクセンサは、図13のトルクセンサと比べると、回動軸方向長さが短くてよいし、検出センサも小さいので、径方向にも小型化が図れる。また、ホール素子も省電力であることから、省電力・小型化が図れるという利点がある。
但し、回動軸1にリング3を締り嵌めするため、両者間にすべりが発生するという難点があり、締め代の大きさをある程度以上確保しないと、良好なセンサ特性が得られず、工法上の容易さに難点がある。
【0017】
また、かかる磁歪リング式トルクセンサにおいては、回動軸が鋼製の場合には、感度が著しく低減してしまうという問題もある。
【0018】
本発明者らは、このような背景を踏まえて、磁歪リングの構造につき検討したところ、所定構造を採用することにより、センサ感度の確保ができることを見出し、本発明を完成させた。
よって、本発明の磁歪リング式トルクセンサは、基本的に図14に示したような構造を有している。
【0019】
なお、本発明の磁歪リング式トルクセンサにおいては、磁歪リングと回動軸がトルク印加に際して滑らないように、締結手段により締結することができる。
【実施例】
【0020】
以下、本発明を実施例及び参考例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0021】
(参考例1)
図1は、長さ13mm、厚さ0.76mmのマルエージング鋼製リング20をφ12.64mmの回動軸10に冷やし嵌めにて嵌合して成る磁歪リング式トルクセンサの一例を示す模式的断面図である。
締め代は55μmとした。リング20は日立金属製のマルエージング鋼であるYAG300を機械加工して作製し、820℃にて1時間固溶化し、次いで、490℃にて5時間時効処理する熱処理を行い、しかる後、回動軸10に冷やし嵌めした。回動軸10はSUS303製ものと、S45C高周波焼き入れのものを用いた。
【0022】
そして、軸方向に通電することにより、リング20を周方向に着磁した。通電着磁はピーク電流値が約10000Aのパルス電流で行った。
このようにして、本例の磁歪リング式トルクセンサを作製した。
【0023】
このトルクセンサにおいて、回動軸10にトルクを印加しながら、リング20の端部から1mmの位置での漏れ磁界をガウスメータにて測定した。ガウスメータの検出部はリング表面から約0.5mmの位置にあり、リング面に対して垂直な成分の磁界を測定した。測定結果を図2に示す。
【0024】
図2に示したように、回動軸10の材質が異なっていても、双方ともヒステリシスのない直線性の良い特性が得られている。
但し、SUS303の場合には15Nmのトルクを印加したときに9Gであるのに対し、S45Cの場合は1.5Gであり、感度が1/6に低下していることが分かる。
このように、リングの構造等の条件が同一であっても、回動軸の材質が異なることにより感度の低下が起こるが、この理由は上述の通りである。
【0025】
(参考例2)
YAG300製の時効リング20(参考例1と同じ仕様のもの)をSUS303製の回動軸10に20μmにて冷やし嵌めし、リング20と回動軸10を図3に示すように電子ビームにて溶接した。図に示すように約0.5mmの溶け込みにて全周溶接し、本例のトルクセンサを得た。
また、50μmにて冷やし嵌めしたものを電子ビームにて溶接した。着磁方法、センサ特性の測定方法は参考例1の場合と同じである。
【0026】
図4は、冷やし嵌めの締め代が20μmのトルクセンサにおける±15Nmでの測定結果を示す。大きなヒステリシスとなっている。
電子ビーム溶接にて接合しているので、リングと軸とはすべりを起こさない(一方、トルクを印加にともない、軸とリングがすべりを起こす場合には、トルク−センサ出力特性はヒステリシスを描いてしまう。)。従って、この場合のヒステリシスは、冷やし嵌めによる周方向引張応力(Hoop stress)が小さいために、良好なセンサ特性とならないのであると解釈できる。
【0027】
冷やし嵌めの締め代が50μmのトルクセンサにおいて、±15Nmにおけるトルク−センサ出力特性は図2に示した通りである。更にトルクを大きくすると、滑りが発生して、ヒステリシスを描くことが実験的にわかっている。
電子ビームで接合した場合には、図5に示したように良好なセンサ特性、すなわち、特性が直線であり、ヒステリシスを描かない特性となる。
【0028】
(実施例1)
中心軸線方向における断面がコの字を90度回転した形状のリング21を、マルエージング鋼であるYAG300を用いて作製した。具体的な形状を図6に示す。
リング21の長さは13mm、外径は16.7mm、内径は14.7mm、脚部は(軸方向)長さが2mmである。また、コの字リング21の内側の両隅は1Rで加工した。
【0029】
機械加工の後、固溶化および時効熱処理を施した。回動軸10をS45C製のφ12.64mmとし、高周波焼入れにて作製した。そして50μmにて冷やし嵌めにてリング21と軸10を嵌合し、本例のトルクセンサを得た。
【0030】
トルク印加、±15Nmにてのセンサ特性を図7に示す。ヒステリシスのない直線性の良い、良好なセンサ特性が得られている。なお、着磁方法、センサ特性の測定方法は参考例1と同じであった。
図7に示すように、15Nmでのセンサ出力は1.7Gであり、図2に示した結果に対してあまり向上していないように見えるが、この場合にはセンサ部の径は16.7mmであるので、実際には2.3倍以上に向上していることになる。
【0031】
したがって、図6に示すリング構造を採用することにより、大幅な感度向上が達成されてことがわかる。
図6では、ほぼ矩形状の空間がリン21グ内に設けられている。また、空間の厚さは1mmより厚くなっている。即ち、リング21の厚さよりも厚くなっている。このような厚さの関係にすることが、感度を確保するうえで好適なのである。
一方、リング21を軸10から離せば離すほど良いように思えるが、トルクに対する応力が径の3乗で減少してしまうから、あまり離すのは得策ではない。かといって近すぎると感度向上が期待できないわけである。
【0032】
(実施例2)
リングと回動軸の接合を電子ビームにて行った以外は、実施例1と同一の構成を採用し、本例のトルクセンサを得た。
上記同様にトルクセンサ特性を調べたところ、±15Nmでの特性は図7に示した結果と同様であった。更に高トルク域まで、ヒステリシスのない直線性に優れた特性が得られた。
【0033】
(実施例3)
実施例1では締め代50μmの冷やし嵌めで嵌合した。また、実施例2では、実施例1の状態にてリングと回動軸を電子ビームにて接合した。本例では、リングと回動軸とをすきま嵌めし、リングを軸方向に圧縮を加えた状態において、リングと回動軸を電子ビーム溶接にて接合し、トルクセンサを得た。リングの軸方向への圧縮代は10μmとした。それ以外は実施例1,2と同様とした。
【0034】
上記同様にトルクセンサ特性を調べたところ、トルク−センサ出力特性も図7に示した結果と同様であった。
従って、軸方向に圧縮を加えることは、(センサ)リングにとっては周方向に引張応力を与えることと等価であると判断される。
本例で採用した工法は、冷やし嵌め、焼き嵌めが採用できないときに、センサ特性を確保し得る工法として有用である。
【0035】
(実施例4)
図8(a)は、本発明の磁歪リング式トルクセンサの他の実施例を示す断面図であり、2個のホール素子30とヨーク40を設けた検出部を有するトルクセンサを示している。
磁束の流れは図8(b)に示したようになる。従って、図示右側のホール素子と左側のホール素子とでは、極性が逆のセンサ特性となる。両者の出力を差動させることにより、倍の感度を得ることができる。また、ヨーク40を設けることにより感度が更に倍となる。
【0036】
センサ特性を図9に示す。感度4倍となっている。上述のようなホール素子の配置を採用することにより、同相入力はキャンセルされ、SN比が向上するので有利である。
また、ヨークを設けると、外からの電磁ノイズに対して耐性を有するようになる。更に、ギャップ(磁歪リング表面と検出センサとの距離)変動に対して鈍感となるという効果がある。
【0037】
ヨーク40としてはPB(パーマロイのB種)パーマロイ製で厚さ1.0mmのものを用いた。ヨーク40の大きさは、図示のように、ホール素子30及びリング20を覆える大きさであればよい。また、周方向長さもホール素子30の大きさ(樹脂パッケージの大きさ)の3倍程度の幅があればよい。
なお、素子パッケージとヨークは接して取り付けられている。ホール素子30はリング20に近接している。感磁部はリング表面から約0.5mm離間した位置としている。
【0038】
(実施例5)
図10は、本発明の磁歪リング式トルクセンサの更に他の実施例を示す断面図であり、回動軸11は、図示したように縮径軸とすることもできる。
回動軸11以外は実施例1と同様の構成を採用したところ、センサ感度が約40%向上していた。トルクに対するリング応力が大きくなることに起因する。
【0039】
(実施例6)
図11は、本発明の磁歪リング式トルクセンサの他の実施例を示す断面図であり、リング20内の空間にSUS製リング50を配置した例を示している。
本例では、内径が回動軸10の軸径、外径がリング20の内径となるリング50をSUS303にて作製した。そして、図12に示すようにリング50を3分割した。隙間は刃物厚さ程度とした。
そして、かかるリング50をコの字リング20の内側に入れて、回動軸10に対し絞め代50μmにて冷やし嵌めし、本例のトルクセンサを得た。
【0040】
センサ特性は実施例1と同様であった。リング20内にSUSを入れると、センサの温度特性の改善を図ることができる。センサの感度は室温から120℃の範囲の試験において、温度に対して減少傾向にあったが、本実施例の場合にはほぼフラットとなっていた。
マルエージング鋼の線膨張係数は11.3×10−6/℃である。SUS303は14.7×10−6/℃、S45Cは10.7×10−6/℃である。
SUSの線膨張がマルエージング鋼よりも大きいから、温度が上がった場合にリング20を内側から押圧するので、リング20の周方向応力を増大させる機能があり、感度の温度依存性をフラットに改善してくれるものと推察される。
【0041】
以上、本発明を好適実施例により詳細に説明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能である。
例えば、トルク検出用の磁気センサとしてはホールセンサのみを例示したが、これに限定されるものではなく、省電力で小型であるところの、ホールIC、及びMIセンサを使用可能であることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】磁歪リング式トルクセンサの一例を示す模式的断面図である。
【図2】トルクセンサ特性を示すグラフである。
【図3】電子ビーム溶接したトルクセンサを示す断面図である。
【図4】トルクセンサ特性を示すグラフである。
【図5】トルクセンサ特性を示すグラフである。
【図6】本発明の磁歪リング式トルクセンサの一実施例を示す断面図である。
【図7】トルクセンサ特性を示すグラフである。
【図8】本発明の磁歪リング式トルクセンサの他の実施例を示す断面図である。
【図9】トルクセンサ特性を示すグラフである。
【図10】本発明の磁歪リング式トルクセンサの更に他の実施例を示す断面図である。
【図11】本発明の磁歪リング式トルクセンサの他の実施例を示す断面図である。
【図12】分割リングを示す平面図である。
【図13】従来の磁歪式トルクセンサ(溝方式)の一例を示す断面図である。
【図14】従来の磁歪リング式トルクセンサの一例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0043】
1 回動軸
1L、1R 回動軸
1g 溝
2 コイル
3 リング
10、11 回動軸
20、21 リング
30 ホール素子
40 ヨーク
50 分割リング

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
【出願日】 平成18年7月24日(2006.7.24)
【代理人】 【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
【公開番号】 特開2008−26210(P2008−26210A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−200525(P2006−200525)