トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 真空度測定装置
【発明者】 【氏名】末本 匠

【氏名】石黒 雅

【氏名】小出 好夫

【要約】 【課題】構成簡易で、小型化と圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部振動に対し強く、センサ部とドライバ部との配線が不要で、センサ部に電源を必要とせず、設置が容易で、また圧力変化に対する反応が素早い、真空度測定装置を提供する。

【構成】円環状の弾性表面波周回経路12aが表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段14が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子10を備え、上記周回経路を周回する弾性表面波の強度を検出し周回に伴う上記強度の減衰量を基に真空度を測定するか、又は、周回経路を周回する弾性表面波の周回速度を検出し周回に伴う上記周回速度の変化を基に真空度を測定するか、又は、上記強度の減衰量及び/或いは上記周回速度の変化を基に真空度を測定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起および/または受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度および/または位相を検出し、
周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量および/または弾性表面波の伝搬速度を基に真空度を測定する、
ことを特徴とする真空度測定装置。
【請求項2】
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起および/または受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に真空度を測定する、
ことを特徴とする請求項1記載の真空度測定装置。
【請求項3】
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起および/または受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/或いは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に真空度を測定する、
ことを特徴とする請求項1記載の真空度測定装置。
【請求項4】
上記弾性表面波素子を密閉した内部空間と、外部空間の圧力の変化を内部空間に伝達する圧力変化伝達手段と、を含む弾性表面波素子密閉容器を備えたことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の真空度測定装置。
【請求項5】
上記弾性表面波素子の上記表面は球形状である、ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の真空度測定装置。
【請求項6】
上記弾性表面波素子の上記弾性表面波励起/受信手段はすだれ状電極を含んでおり、上記表面において上記すだれ状電極に対応した部分は圧電性を有している、ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の真空度測定装置。
【請求項7】
上記弾性表面波励起/受信手段は電磁波送受信手段に接続されていて、上記電磁波送受信手段を介して受信した電磁波に従い上記表面の上記周回経路に弾性表面波を励起させ、また上記弾性表面波励起/受信手段が上記周回経路を周回する弾性表面波に対応した電磁波を上記電磁波送受信手段から発信させることによって、真空容器中に設置したセンサを駆動するための電源が不要である、ことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の真空度測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、気体の圧力を測定する真空度測定装置に関係しており、より詳細には、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を使用して真空度を測定する真空度測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
容器内真空度の定義は、容器内圧力と大気圧との差圧であり、容器内圧力が大気圧に比べより低いほど容器内真空度は高いことになる。
ここでいう大気圧は、標準大気圧101.3kPa=1.033kgf/cm2を指す。標準大気圧は高さ76cmの水銀柱と力がつり合うので、水銀柱表示では76cmHgと言う。
真空とは工業的立場では大気圧より低い圧力状態をいい、程度に応じて低真空,中真空,高真空,超高真空,極高真空と分類されている。
低真空は大気圧からその1,000分の1気圧までを指し、10兆分の1気圧以下を極高真空といい、この辺りが人工的に作れる真空の限界とされている。
【0003】
真空度計として、例えば、ブルドン管圧力計やピラニ真空計や振動型全圧計などの種々の構造のものが知られている。
しかしながら、ブルドン管圧力計はその構造上、小型化及び圧力測定精度の高度化が難しく、また外部から加えられる振動に対しても弱いという欠点がある。
ピラニ真空計は、その構造上、圧力変化に対する反応が遅いという欠点がある。
振動型全圧計は、共振振動させた音叉形状の水晶振動子と周囲の気体との摩擦を音叉形状の水晶の交流インピーダンスを測定することにより測定し、ひいては周囲の気体の圧力を測定するが、水晶振動子の精密な加工を必要としており、製造コストが高いという欠点がある。
【0004】
また、10-10Torr以下の超高真空度を精度よく測定するための真空度測定方法として、容器内の気体を圧縮し、圧縮された気体の真空度を測定し、該真空度測定値を圧縮比で割ることにより、真空度を求めることを特徴とする真空度測定方法に係る提案も知られている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開平11−326103号公報
【0005】
上記各種の従来型真空計に共通して、測定端であるセンサ部とそのドライバ部を結線する必要があるが、そのためには真空容器に配線用のポートを設置する必要があり、また、測定する真空容器が回転するような場合には配線がねじれて測定が不可能なため、上記各種の従来技術においては、駆動用の電池を厳重な圧力容器に格納した無線機構を、真空中に設置する必要があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記事情の下でなされた本発明の目的は、構成が簡易であって小型化及び圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部から加えられる振動に対して強く、低コストで製造が容易であって、センサ部とドライバ部との配線が不要で、センサ部に電池を必要とせず、設置が容易で、真空に対する悪影響が少なく、センサが回転する場合にも測定可能で、また圧力変化に対する反応が素早い、真空度測定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明による真空度測定装置は、
弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起および/または受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を備えており、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度および/または位相を検出し、
周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量および/または弾性表面波の伝搬速度を基に真空度を測定する、
ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明による真空度測定装置では、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に真空度を測定すること。
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/或いは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に真空度を測定すること。
上記弾性表面波素子を密閉した内部空間と、外部空間の圧力の変化を内部空間に伝達する圧力変化伝達手段と、を含む弾性表面波素子密閉容器を備えること。
上記弾性表面波素子の上記表面は球形状であること。
上記弾性表面波素子の上記弾性表面波励起/受信手段はすだれ状電極を含んでおり、上記表面において上記すだれ状電極に対応した部分は圧電性を有していること。
の何れも有効である。
【0009】
さらには、
上記弾性表面波励起/受信手段は電磁波送受信手段に接続されていて、上記電磁波送受信手段を介して受信した電磁波に従い上記表面の上記周回経路に弾性表面波を励起させ、また上記弾性表面波励起/受信手段が上記周回経路を周回する弾性表面波に対応した電磁波を上記電磁波送受信手段から発信させることによって、真空容器中に設置したセンサを駆動するための電源が不要であること
が、一層好適である。
【発明の効果】
【0010】
本発明による真空度測定装置では、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている弾性表面波素子を使用して、弾性表面波の伝播に周囲の気体の圧力が影響することを利用し、上記表面に励起し伝播する弾性表面波の周回に伴う伝播状況を検出し、検出された伝播状況を基に上記周回経路に接する気体の圧力(真空度)を測定することが可能である。
【0011】
例えば、上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定するか、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定するか、又は、
上記周回経路を周回する上記弾性表面波の強度を検出するとともに上記周回経路を周回する上記弾性表面波の周回速度を検出し、周回に伴う弾性表面波の強度の減衰量及び/あるいは周回に伴う弾性表面波の上記周回速度の変化を基に上記周回経路に接する気体の圧力を測定する、
かつ弾性表面波を励起または受信するための配線また電源が不要であり、真空槽内部に設置が必要な機器の表面積が小さい、
ので、構成が簡易であって小型化及び圧力測定精度の高度化が容易であり、しかも外部から加えられる振動に対して強く、低コストで製造が容易であって、また圧力変化に対する反応が素早く、真空に与える悪影響が小さく、センサ部とドライバ部が相対的に回転することができ、長期連続使用が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、この発明に従った種々の実施の形態を添付の図面を参照しながら詳細に説明する。
この発明の種々の実施の形態に従った真空度測定装置は、弾性表面波素子を使用する。
【0013】
より詳細には、ここで使用される弾性表面波素子は、弾性表面波が周回する少なくとも円環状の周回経路が表面に沿い設けられ、弾性表面波を励起し受信する弾性表面波励起/受信手段が周回経路に対応して設けられている。そして、上記表面が球形状の場合には、周回経路は少なくとも円環状の表面の最大外周線または最大内周線に沿っている。
【0014】
図1には、そのような弾性表面波素子10の一例が示されている。
弾性表面波素子10は、弾性表面波Aが周回する少なくとも円環状の周回経路12aが表面に沿い設けられている基体12を含んでいる。周回経路12a中には、周回経路12aに対して弾性表面波Aを励起させ、また周回経路12a中を伝播してくる弾性表面波Aを受信する弾性表面波励起/受信手段14が設けられている。
【0015】
基体12は、それ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成されることが出来る。励起周回可能な圧電性結晶材料には、基材に弾性表面波伝播膜が形成されているものも含む。弾性表面波励起/受信手段14が周回経路12aに電界を印加することにより弾性表面波を励起させる場合には、非圧電材料の基礎部分の表面の少なくとも円環状の周回経路12aとなる部分に圧電材料の膜を形成することにより基体12を作成することが出来るし、圧電材料の基礎部分のみで基体12を作成することが出来る。
【0016】
なお、図1では説明の簡略化の為に周回経路12aは直線状の帯形状として描かれているが、基体12の全表面において周回経路12aとなる少なくとも円環状の表面に沿い実際に弾性表面波Aが伝播する際には、その伝播方向に対し直交する方向である幅方向Wに拡散と収縮とを繰り返すのが普通であるが、弾性表面波励起/受信手段14において弾性表面波を励起させるのに有効な幅を適切に選択することにより、周回経路12aの幅方向Wにおける寸法を最小にすることが出来、多くの実用上の利点を生じさせる。
【0017】
また本発明で言う、弾性表面波とは、擬セザワ波等の擬似弾性表面波、周囲の気体や液体のような気体中にエネルギーの漏れをもたらす漏洩弾性表面波、板波、ラブ波、そして回廊波を含み、表面近傍にエネルギーを集中して伝播する弾性波を総称して指すものとする。
【0018】
図1の基体12の全表面は球形状をしているが、弾性表面波Aが伝播する周回経路12aを含む円環状の表面以外の部分(即ち、弾性表面波Aが伝播しない部分)はいかなる形状をしていても良く、周回経路12aを含む円環状の表面の両側を相互に平行に切断したいわゆる樽形状としても良い。
【0019】
そして、図1の基体12は周回経路12aを伝播する弾性表面波Aが例えば固体物に接触して実質的に外部撹乱を受けるのを防止する為に、周回経路12aを含む円環状の表面の少なくとも一側をブラケット19と、接点93を基体12に適当な圧力で押し付ける効果を持つアンテナ91とで保持している。
【0020】
図1の弾性表面波励起/受信手段14は、弾性表面波励起/受信手段14に電磁波、例えば電気信号、を負荷し上記電気信号に対応して弾性表面波励起/受信手段14により上記円環状の表面の周回経路12a上に弾性表面波を励起する為や周回経路12a上を伝播し弾性表面波励起/受信手段14に受信された弾性表面波を対応する電磁波、例えば電気信号、を励起させる為の弾性表面波素子制御ユニット20に接続されている。より詳細には、図1の弾性表面波励起/受信手段14は上記円環状の表面の周回経路12a上に圧電材料膜を介して形成されたすだれ状電極22を含んでおり、すだれ状電極22の一対の入出力端子から基体12の全表面において周回経路12aを含む円環状の表面の両側に延びたリード線23により基体12上に設けられた電極パッド24に接続され、基体12を保持しかつ良導体であるブラケット19と接点93を電磁波導体として利用することによってアンテナ91に接続され、弾性表面波素子制御ユニット20にリード線23で接続されたアンテナ92と電磁波によって結合し、弾性表面波素子制御ユニット20に接続されている。
【0021】
図1の例において弾性表面波素子制御ユニット20は、インピーダンスマッチング回路20a、サーキュレーター20b、高周波電源を含む発信機20c、アンプ20d、そしてディジタルオシロスコープ20e等を備えている。なお、発信機20cに代わり高周波受信アンテナを使用することも出来る。
【0022】
また、弾性表面波励起/受信手段14により基体12の周回経路12aに弾性表面波の周回を行なわせるには、周回経路12aが規定される材料や周回経路12aの直径に応じて高周波信号を断続的に弾性表面波励起/受信手段14に負荷し、その周波数応答を観測しても良いが、代わりに、RFバースト信号をRFバースト信号が周回経路12aを1周する時間間隔で繰り返し印加し、その結果としてどのような出力を弾性表面波励起/受信手段14が得ることが出来るかを観測するようにしても良い。さらには、円環状の周回経路12Aを弾性表面波が所望の回数周回するのに必要な時間を直接的にでも、或いは間接的にでも、観測することであっても良い。
【0023】
図2には、図1に示されている弾性表面波素子10に代わる、弾性表面波素子30が示されている。この弾性表面波素子30の構成において図1に示されている弾性表面波素子10の構成と同じものは、弾性表面波素子30の対応する構成をしている参照符号と同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0024】
この弾性表面波素子30が、図1に示されている弾性表面波素子10と異なっているのは、基体12に形成されている空洞12cの内表面に少なくとも円環状の周回経路12aが設けられていることである。そして、この弾性表面波素子30の外表面の一部が台座18に直接取り付けられている。
【0025】
図3及び4にも、図1に示されている弾性表面波素子10に代わる、弾性表面波素子40が示されている。この弾性表面波素子40の構成において図1に示されている弾性表面波素子10の構成と同じものは、弾性表面波素子40の対応する構成をしている参照符号と同じ参照符号を付して、その詳細な説明は省略する。
【0026】
この弾性表面波素子40が、図1に示されている弾性表面波素子10と異なっているのは、基体12の少なくとも円環状の表面に設けられている周回経路12a上にではなく、図4中に良く示されているように周回経路12aに対して隙間Sを介して弾性表面波励起/受信手段14が配置されていることである。より詳細には、弾性表面波素子40の基体12の外表面において周回経路12aを含む少なくとも円環状の表面以外の部分が台座42により支持されていて、台座42は周回経路12aに所定の距離の隙間Sを介して対向している凹所42aを有しており、凹所42aの表面に弾性表面波励起/受信手段14が配置されている。
【0027】
図1、2、そして3及び4に示されている弾性表面波素子10、30、そして40の夫々において、基体12がそれ自身が弾性表面波Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料によってのみ形成されている場合には、その材料の種類によっては所定の数の相互に異なる複数の周回経路12aを少なくとも円環状の表面に設けることが出来る。
【0028】
或いは基体12が、少なくとも円環状の表面を含みそれ自身が圧電性を有しない場合でも、基礎部分において少なくとも円環状の周回経路12aとする表面に、またこのような少なくとも円環状の周回経路12aとする表面を含む全表面に被着させた、弾性表面Aをその表面に沿い励起周回可能な圧電性結晶材料の層又は膜と、の組み合わせにより形成されている場合には、任意の数の相互に異なる周回経路12aを少なくとも円環状の表面に設けることが出来る。さらに、前記表面において何かしかの膜を形成して初めて弾性表面波が多数回周回出来る経路が生じる事もあり、本発明はこのような基材の表面への膜や層構造の形成によって弾性表面波の周回を可能にする素子を除外しない。
【0029】
図5は、基体12の球形状の外表面の少なくとも円環状の表面に2つの相互に異なる周回経路12aを設けた弾性表面波素子50が示されている。この場合には、2つの相互に異なる周回経路12aに対応して相互に重複しない2つの位置に相互に独立して弾性表面波励起/受信手段14が設けられる。
【0030】
なお、図1、2、そして3及び4に中に示されている弾性表面波素子10、30、そして40の夫々において、また図5中に示されている弾性表面波素子50において、個々の周回経路12aに対応して設けられる弾性表面波励起/受信手段14は、弾性表面波励起部分と弾性表面波受信部分とを相互に独立して、例えば相互に独立したすだれ状電極22により、構成することが出来る。この場合には、当然のことながら、弾性表面波素子制御ユニット20も、弾性表面波励起/受信手段14の弾性表面波励起部分に接続されて弾性表面波励起部分に電磁波、例えば電気信号、を送り、弾性表面波励起部分に電磁波、例えば電気信号、に対応した弾性表面波を対応する周回経路12aに励起させる弾性表面波励起回路と、対応する周回経路12aを伝播する弾性表面波を弾性表面波励起/受信手段14の弾性表面波受信部分を介して受信し受信した弾性表面波に対応した電磁波、例えば電気信号、を励起させる弾性表面波受信回路と、を夫々に専用に備えるよう変更される。相互に独立した専用の弾性表面波励起回路と専用の弾性表面波受信回路とを備えた弾性表面波素子制御ユニットは、図1中に示されている如く弾性表面波励起回路と弾性表面波受信回路とが一部重複している弾性表面波素子制御ユニット20に比べ、回路設計が遥かに容易になる。
【0031】
なお、前述した種々の例において、基体12の周回経路12aに対応して設けられている弾性表面波励起/受信手段14と基体12から離れている弾性表面波素子制御ユニット20とは、リード線23を介してアンテナ91・92により相互に電界結合または磁界結合または容量性結合によって接続されており、弾性表面波励起/受信手段14が上記手段を介して弾性表面波素子制御ユニット20から受信した電磁波に従い周回経路12aに弾性表面波を励起させ、また弾性表面波励起/受信手段14が周回経路12aを周回する弾性表面波に対応した電磁波を上記電磁波送受信手段を介して弾性表面波素子制御ユニット20に発信させることができる。そして、このような場合には、上記電磁波のバースト信号の継続時間を、対応する弾性表面波素子の基体12の周回経路12aを弾性表面波が一周するのに要する時間よりも長くすると、より大きな出力で弾性表面波を励起及び受信可能にになり、前述した測定をより高精度に行なうことが可能になる。
【0032】
図1の例では基体12上に形成された電極パッド24を良導体であるブラケット19と同じく良導体である接点93によって挟み込み、接点93と接続したアンテナ91をブラケット19に固定することで基体12を保持し、弾性表面波素子10、接点93、アンテナ91、ブラケット19を含んだセンサ部を真空中に、弾性表面波素子制御ユニット20、リード線23、アンテナ92を含んだドライバ部を真空容器外に設置し、真空容器に設けたガラス製フランジを介してセンサ部アンテナ91とドライバ部アンテナ92を正対させる。センサ部は外的要因から弾性表面波素子10を保護するために何らかの非気密ケースに収納することも可能であり、その場合開口を例えばセラミックフィルターのような高密度フィルターまたはピストンや例えばフィルムのような気密材料を使用した気密膜体により閉塞することも可能である。アンテナ91とアンテナ92は同一または異なったアンテナ形状であり、電界または磁界結合による通信を行う場合にはその周波数に応じた巻き数となる。アンテナの外形が大きいほど弾性表面波励起/受信可能な距離が長くなるが、真空容器内に設置するためには巨大なアンテナは現実的ではなく、発明者らの実験において数十MHz程度のバースト信号を送受信した際、アンテナ直径数センチで弾性表面波励起/受信可能距離は数センチから数十センチであることが確認され、真空装置内外をガラス製フランジを介して弾性表面波励起/受信することができた。センサ部とドライバ部が無線で弾性表面波を励起または受信するため、たとえセンサ部とドライバ部が相対的に回転または移動していたとしても、アンテナ91とアンテナ92が相対して弾性表面波励起/受信するのに十分な時間がある限り真空度測定が可能である。またアンテナ91とアンテナ92との間は電界性または磁界性または容量性の結合がなされているから、ドライバ部とセンサ部間で弾性表面波励起/受信するためにセンサ部に電池をはじめとした電源を設置する必要がないため電池交換等のメンテナンスが不要で長期間連続使用可能で、また真空容器中に電池をはじめとした電源を格納する容器を設置する必要がないためセンサ部の構成が簡易になり、より小さな筐体になることから表面積を抑えることができるため真空への悪影響を小さくできる。
【0033】
図6にアンテナ91またはアンテナ92の概要の一例を示す。図6のアンテナ配線96は送受信する周波数に応じた配線長・配線幅・配線厚を持つ円渦巻状もしくは角渦巻状の、プリント配線または銅線配線であり、配線端点95は図6に示すアンテナ91・92の表面から図7に示すアンテナ91・92の裏面の接点93に貫通して接続され、同じくパッド94は図6の表面と図7の裏面とが接続されていて、図7の接点93とパッド94の間にコンデンサ97が接続されて弾性表面波素子10とアンテナ91との電気的特性を整合していて、パッド94はブラケット91を通して弾性表面波素子10の電極パッド24と電気的に接続され、配線端点95も接点93を通して弾性表面波素子10の電極パッド24と電気的に接続されている。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】この発明の真空度測定装置において使用される弾性表面波素子の第1例の構成を概略的に示す図。
【図2】この発明の真空度測定装置において使用される弾性表面波素子の第2例の構成を概略的に示す図。
【図3】この発明の真空度測定装置において使用される弾性表面波素子の第3例の構成を概略的に示す図。
【図4】図3の弾性表面波素子の基体の外表面の周回経路とそれに隙間Sを介して対向して配置された弾性表面波励起/受信手段とを拡大し断面にして示す図。
【図5】この発明の真空度測定装置において使用される弾性表面波素子の第4例の構成を概略的に示す図。
【図6】この発明の真空度測定装置において弾性表面波励起/受信するために使用されるアンテナ表側の構成例を概略的に示す図。
【図7】この発明の真空度測定装置において弾性表面波励起/受信するために使用されるアンテナ裏側の構成例を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0035】
A…弾性表面波、10…弾性表面波素子、12a…周回経路、14…弾性表面波励起/受信手段、20…弾性表面波素子制御ユニット、30…弾性表面波素子、40…弾性表面波素子、50…弾性表面波素子、91…アンテナ
【出願人】 【識別番号】000003193
【氏名又は名称】凸版印刷株式会社
【出願日】 平成18年7月20日(2006.7.20)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−26100(P2008−26100A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197799(P2006−197799)