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【発明の名称】 半導体装置及びその製造方法
【発明者】 【氏名】鈴木 順也

【要約】 【課題】圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを設けてなる半導体チップを備えた半導体装置において、小型化を図ることができるようにする。

【構成】半導体チップ7と、表面3aにダイヤフラム23を対向させて半導体チップ7を固定する略板状の配置板3と、半導体チップ7の周囲及び配置板3の表面3aを封止する樹脂封止部11と、ダイヤフラム23の外側を囲むように半導体チップ7の上方に突出する環状のダム部材13と、厚さ方向に貫通する開口部15aを有し、該ダム部材13の先端に固定されて半導体チップ7の上方を覆う略板状の蓋体部材15とを備え、樹脂封止部11、ダム部材13及び蓋体部材15によりダイヤフラム23が露出する中空の空洞部S2が形成されると共に、該空洞部S2が開口部15aを介して外方に連通していることを特徴とする半導体装置1を提供する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを設けてなる半導体チップと、表面に前記ダイヤフラムを対向させて前記半導体チップを固定する略板状の配置板と、前記半導体チップの周囲及び前記配置板の表面を封止する樹脂封止部と、前記ダイヤフラムの外側を囲むように前記半導体チップの上方に突出する環状のダム部材と、厚さ方向に貫通する開口部を有し、該ダム部材の先端に固定されて前記半導体チップの上方を覆う略板状の蓋体部材とを備え、
前記樹脂封止部、前記ダム部材及び前記蓋体部材により前記ダイヤフラムが露出する中空の空洞部が形成されると共に、該空洞部が前記開口部を介して外方に連通していることを特徴とする半導体装置。
【請求項2】
前記蓋体部材が、導電性を有していることを特徴とする請求項1に記載の半導体装置。
【請求項3】
前記ダム部材及び前記蓋体部材を一体的に固定する樹脂モールド部を前記空洞部の外側に形成することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の半導体装置。
【請求項4】
圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを設けてなる半導体チップを備える半導体装置の製造方法であって、
略板状の配置板の表面に前記ダイヤフラムを対向させて前記半導体チップを固定する配置工程と、
前記配置板の表面上に樹脂を流し込んで前記半導体チップの周囲及び前記配置板の表面を封止する封止工程と、
前記ダイヤフラムの外側を囲むように形成された環状のダム部材を介して、厚さ方向に貫通する開口部を形成した略板状の蓋体部材を前記半導体チップに対向配置して前記ダム部材に固定する蓋体設置工程とを備え、
前記封止工程において形成される樹脂封止部と、前記蓋体設置工程において設けられる前記ダム部材及び前記蓋体部材とにより前記ダイヤフラムが露出する中空の空洞部が形成されると共に、該空洞部が前記開口部を介して外方に連通することを特徴とする半導体装置の製造方法。
【請求項5】
前記配置工程の前に、前記配置板と該配置板の周囲に配置されるリードとを連結したリードフレームを複数連ねて形成するフレーム形成工程を行い、
前記配置工程と前記封止工程との間に、前記半導体チップを前記リードに電気的に接続する接続工程を行い、
前記蓋体設置工程の後に、複数のリードフレームを個々に切り分けると共に各リードフレームの前記配置板及び前記リードを個々に切り分ける切断工程を行うことを特徴とする請求項4に記載の半導体装置の製造方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、音圧センサチップや圧力センサチップ等の半導体チップを備える半導体装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリコンマイクや圧力センサ等の半導体装置では、音圧センサチップや圧力センサチップ等のように、音響等の圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを有する半導体チップを回路基板の表面に実装している(例えば、特許文献1参照。)。そして、この半導体装置では、回路基板の表面に半導体チップを覆うカバーを載置して半導体チップを含む中空の空洞部を形成すると共に、カバーに開口部を形成して上記空洞部を半導体装置の外方空間に連通させている。
【特許文献1】特表2004−537182号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の半導体装置は、カバーを回路基板の表面に配置する構成となっているため、半導体チップとカバーとの間に所定のクリアランスを設ける必要がある。すなわち、回路基板の表面面積を大きく形成する必要があるため、搭載基板における半導体装置の搭載面積が大きくなってしまうという問題がある。
この発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、小型化を容易に図って上記搭載面積の縮小化を図ることができる半導体装置及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するために、この発明は以下の手段を提案している。
請求項1に係る発明は、圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを設けてなる半導体チップと、表面に前記ダイヤフラムを対向させて前記半導体チップを固定する略板状の配置板と、前記半導体チップの周囲及び前記配置板の表面を封止する樹脂封止部と、前記ダイヤフラムの外側を囲むように前記半導体チップの上方に突出する環状のダム部材と、厚さ方向に貫通する開口部を有し、該ダム部材の先端に固定されて前記半導体チップの上方を覆う略板状の蓋体部材とを備え、前記樹脂封止部、前記ダム部材及び前記蓋体部材により前記ダイヤフラムが露出する中空の空洞部が形成されると共に、該空洞部が前記開口部を介して外方に連通していることを特徴とする半導体装置を提案している。
【0005】
この発明に係る半導体装置によれば、樹脂封止部は半導体チップの周囲に密着しているため、半導体チップの周囲を覆うために従来のようなクリアランスを形成する必要が無くなる。そして、このクリアランスが不要になることで配置板の表面面積を小さくすることが可能となる。また、ダム部材の突出高さを小さくすることで、半導体装置の薄型化も図ることができる。
さらに、半導体チップの上方に突出する環状のダム部材の突出高さを調整するだけで、相互に対向する半導体チップと蓋体部材との隙間を容易かつ高精度に調整することが可能となるため、空洞部の容積を小さくすることができる。したがって、開口部を介して外方から空洞部内に伝播した圧力変動が、空洞部内で減衰することを抑制することができ、半導体装置の感度向上を容易に図ることができる。
【0006】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の半導体装置において、前記蓋体部材が導電性を有していることを特徴とする半導体装置を提案している。
この発明に係る半導体装置においては、半導体装置を搭載する搭載基板のグランドパターンに蓋体部材を電気接続することで、蓋体部材を介して外方から空洞部内に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドが形成される。したがって、このノイズに基づく半導体チップの誤作動を防止することができる。
【0007】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の半導体装置において、前記ダム部材及び前記蓋体部材を一体的に固定する樹脂モールド部を前記空洞部の外側に形成することを特徴とする半導体装置を提案している。
【0008】
請求項4に係る発明は、圧力変動を振動により検出するダイヤフラムを設けてなる半導体チップを備える半導体装置の製造方法であって、略板状の配置板の表面に前記ダイヤフラムを対向させて前記半導体チップを固定する配置工程と、前記配置板の表面上に樹脂を流し込んで前記半導体チップの周囲及び前記配置板の表面を封止する封止工程と、前記ダイヤフラムの外側を囲むように形成された環状のダム部材を介して、厚さ方向に貫通する開口部を形成した略板状の蓋体部材を前記半導体チップに対向配置して前記ダム部材に固定する蓋体設置工程とを備え、前記封止工程において形成される樹脂封止部と、前記蓋体設置工程において設けられる前記ダム部材及び前記蓋体部材とにより前記ダイヤフラムが露出する中空の空洞部が形成されると共に、該空洞部が前記開口部を介して外方に連通することを特徴とする半導体装置の製造方法を提案している。
【0009】
この発明に係る半導体装置の製造方法においては、配置板の表面に固定した半導体チップを樹脂封止部、ダム部材及び蓋体部材により覆った構成の半導体装置が製造されることになる。ここで、樹脂封止部は半導体チップの周囲に密着しているため、従来のようなクリアランスが不要となり、配置板の表面面積を小さくすることが可能となる。
【0010】
請求項5に係る発明は、請求項4に記載の半導体装置の製造方法において、前記配置工程の前に、前記配置板と該配置板の周囲に配置されるリードとを連結したリードフレームを複数連ねて形成するフレーム形成工程を行い、前記配置工程と前記封止工程との間に、前記半導体チップを前記リードに電気的に接続する接続工程を行い、前記蓋体設置工程の後に、複数のリードフレームを個々に切り分けると共に各リードフレームの前記配置板及び前記リードを個々に切り分ける切断工程を行うことを特徴とする半導体装置の製造方法を提案している。
【0011】
この発明に係る半導体装置の製造方法によれば、フレーム形成工程において配置板を含むリードフレームを複数連ねて形成することで、配置工程から蓋体設置工程までの各工程を一括して行うことができるため、複数の半導体装置を一括して製造することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
請求項1及び請求項4に係る発明によれば、配置板の表面面積を小さくすることができるため、半導体装置の小型化を図って搭載基板における半導体装置の搭載面積を小さくすることが可能となる。
また、請求項1に係る発明によれば、ダム部材の突出高さを小さくすることで半導体装置の薄型化も図ることができる。さらに、空洞部の容積縮小も図ることができるため、半導体装置の感度向上を容易に図ることができる。
【0013】
請求項2に係る発明によれば、半導体装置を搭載する搭載基板のグランドパターンに蓋体部材を電気接続することで、蓋体部材を介して外方から空洞部内に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドが形成される。したがって、このノイズに基づく半導体チップの誤作動を防止することができる。
【0014】
請求項3に係る発明によれば、樹脂モールド部によりダム部材と蓋体部材との固定を確実に保持することができる。
【0015】
請求項5に係る発明によれば、複数の半導体装置を一括して製造できるため、半導体装置の製造効率の向上を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図1〜8を参照して本発明の第1実施形態に係る半導体装置について説明する。図1,2に示すように、この実施形態に係る半導体装置1は、略板状に形成された金属製のステージ部(配置板)3と、ステージ部3の周囲に配された複数の金属製のリード5,6と、ステージ部3の表面3aに固定された半導体チップ7及び制御回路チップ9と、ステージ部3の表面3a側に形成された樹脂封止部11と、環状のダム部材13を介して半導体チップ7及び制御回路チップ9の上方に固定された略板状の蓋体部材15と、樹脂封止部11の周囲に形成された樹脂モールド部17とを備えている。
複数のリード5,6は、ステージ部3の表面3aに沿う方向に並べて配置されている。また、一部のリード6はステージ部3に連結されており、他のリード5は、ステージ部3との間に隙間を介して配置されている。なお、これら複数のリード5,6及びステージ部3を構成する金属材料としては、例えば、銅や42アロイ(鉄−ニッケル合金)が挙げられる。
【0017】
半導体チップ7は、環状の支持部21の内孔21aを覆うようにダイヤフラム23を設けて構成されている。ダイヤフラム23は音響等の圧力変動を振動により検出するものであり、半導体チップ7はこの振動を電気信号に変換する所謂音圧センサチップを構成している。
この半導体チップ7は、ダイヤフラム23が内孔21aを介してステージ部3の表面3aに対向するように、電気的な絶縁性を有する絶縁性接着剤やダイアタッチフィルム等によってステージ部3の表面3aに固定されている。なお、この固定状態においては、半導体チップ7のダイヤフラム23、内孔21a及びステージ部3の表面3aによって外方に対して密封された背部空気室S1が形成されている。
【0018】
制御回路チップ9は、半導体チップ7を駆動制御する役割を果たすものであり、例えば半導体チップ7からの電気信号を増幅するための増幅回路や、前記電気信号をデジタル信号として処理するためのDSP(デジタルシグナルプロセッサ)、A/D変換器等を含んで構成されている。この制御回路チップ9は、半導体チップ7と同様に絶縁性接着剤やフィルム等によってステージ部3の表面3aに固定されている。
この制御回路チップ9は、第1のワイヤー25により半導体チップ7と電気的に接続されており、第2のワイヤー27により上述した他のリード5の一部と電気的に接続されている。これにより、半導体チップ7が他のリード5の一部と電気的に接続されることになる。
【0019】
樹脂封止部11は、ステージ部3の表面3a、半導体チップ7の周囲、制御回路チップ9及びワイヤー25,27の一部を封止している。すなわち、樹脂封止部11は、支持部21の側部全体に密着して形成されており、支持部21の上面21bには形成されていない。したがって、ダイヤフラム23は樹脂封止部11の外側に露出することになる。
また、この樹脂封止部11は、ステージ部3の表面3aと共に複数のリード5,6も覆っており、これら複数のリード5,6及びステージ部3を一体的に固定する役割も果たしている。
【0020】
ダム部材13は、ダイヤフラム23の外側を囲むように、支持部21の上面21b及び樹脂封止部11の表面11aにわたって樹脂を環状に形成して構成されており、半導体チップ7の上方に突出している。具体的には、このダム部材13は平面視で半導体チップ7及び制御回路チップ9の略全体を囲むように配置されている。なお、この環状のダム部材13と半導体チップ7の上面21bや樹脂封止部11の表面11aとは、隙間無く接着されている。
【0021】
蓋体部材15は、上記ダム部材13の先端に接着固定されており、半導体チップ7の上面21bや樹脂封止部11の表面11aとの間に隙間を介して配置されている。この配置状態においては、蓋体部材15が半導体チップ7及び制御回路チップ9の上方を覆っている。なお、上述した隙間の寸法は、ダム部材13の突出高さに依存している。そして、この蓋体部材15とダム部材13とは隙間無く接着されているため、上述した半導体チップ7、樹脂封止部11、ダム部材13及び蓋体部材15によって中空の空洞部S2が形成されることになる。
【0022】
また、蓋体部材15には、その厚さ方向に貫通する開口部15aが形成されており、空洞部S2がこの開口部15aを介して外方に連通している。なお、この開口部15aは、ダイヤフラム23に対向しない位置に形成されており、ダイヤフラム23が外方に直接露出しないようになっている。
なお、この蓋体部材15は導電性材料により形成されており、半導体装置1を搭載する搭載基板のグランドパターンに蓋体部材15を電気接続することで、蓋体部材15を介して外方から空洞部S2内に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドを形成することができるようになっている。
【0023】
樹脂モールド部17は、空洞部S2の外側に形成されており、リード5,6、樹脂封止部11、ダム部材13及び蓋体部材15に接触してこれらを一体的に固定している。また、樹脂モールド部17は、蓋体部材15や半導体チップ7、樹脂封止部11とダム部材13との接着部分を埋設して、ステージ部3や蓋体部材15と共に半導体装置1の外形をなすように構成されている。したがって、樹脂モールド部17は、ダム部材13と樹脂封止部11や蓋体部材15との接着力を補強する役割を果たしている。
【0024】
以上のように構成された半導体装置1の製造方法について、以下に述べる。
図3に示すように、はじめに、銅や42アロイ等の金属材料からなる金属製薄板31にプレス加工やエッチング加工を施して、ステージ部3及び複数のリード5,6をダムバー35により一体的に連結したリードフレーム33を複数連ねて形成する(フレーム形成工程)。なお、相互に隣り合うリードフレーム33は上記ダムバー35によって連結されている(図6参照)。
次いで、絶縁性接着剤やフィルム等の電気的な絶縁性を有するダイボンド材を介して半導体チップ7及び制御回路チップ9をそれぞれステージ部3の表面3aに接着固定する(配置工程)。ここで、ダイボンド材としては弾性率の低いものを使用することが好ましい。また、例えば熱硬化性の樹脂をダイボンド材として使用する場合、ダイボンド材の硬化条件としては、120〜200℃程度で30分〜1時間程度とすることが好ましい。このようなダイボンド材の具体例としては、日立化成工業株式会社製の「EN4390M」が挙げられ、これを使用する場合には、N2オーブンにおいて150℃、1時間程度でダイボンド材の加熱硬化が実施される。
そして、配置工程の終了後には、ワイヤーボンディングにより半導体チップ7と制御回路チップ9との間、及び、制御回路チップ9と他のリード5との間にそれぞれワイヤー25,27を配し、制御回路チップ9を介して半導体チップ7と他のリード5とを電気的に接続する(接続工程)。
【0025】
その後、図4に示すように、ステージ部3の表面3a上に樹脂を流し込んで半導体チップ7の周囲、ステージ部3の表面3a及び制御回路チップ9を封止する(封止工程)。この工程においては、はじめに、ディスペンサ等の塗布装置によりステージ部3全体及び各リード5,6の一部を囲む環状のリブ37をステージ部3の表面3a側に形成しておく。次いで、上記リブ37によって囲まれる領域に樹脂(ポッティング材)を流し込んで樹脂封止部11を形成する。この樹脂封止部11を構成するポッティング材としては、例えばシリコン系樹脂若しくはエポキシ系樹脂を選択的に使用すればよい。また、ポッティング材として、例えば熱硬化性の樹脂を使用した場合、ポッティング材の硬化条件としては、120〜150℃程度で30分〜3時間程度とすることが好ましい。
【0026】
このようなポッティング材の具体例としては、信越化学工業株式会社製の「LMC−22」が挙げられ、これを使用する場合には、オーブンにおいて150℃、2時間程度でポッティング材の加熱硬化が実施される。なお、上記リブ37は、この樹脂封止部11の形成後に除去する。
上述した工程を実施した際には、前述のように半導体チップ7の周囲及び制御回路チップ9が封止されるだけでなく、樹脂封止部11により制御回路チップ9とリード5とを接続する第2のワイヤー27の全体も封止されると共に、半導体チップ7に接続される第1のワイヤーの25うち制御回路チップ9との接続部分も封止される。すなわち、樹脂封止部11は、半導体チップ7、制御回路チップ9及びワイヤー25,27を保護する役割を果たしている。
【0027】
上記封止工程の終了後には、図5〜7に示すように、ダイヤフラム23の外側を囲むダム部材13を介して、蓋体部材15を半導体チップ7及び樹脂封止部11に対向配置してダム部材13に固定する(蓋体設置工程)。この工程においては、図5,6に示すように、はじめに環状のダム部材13を形成する。このダム部材13は、上記リブ37と同様に、ディスペンサ等の塗布装置により半導体チップ7の上面21b及び樹脂封止部11の表面11aにわたって樹脂を環状に形成する。なお、このダム部材13の形成は、半導体チップ7の上面21b及び樹脂封止部11の表面11aから突出するダム部材13の先端が略同一平面上に位置するように行うことが好ましい。
なお、この工程において形成されるダム部材13は硬化していないが、このダム部材13を構成する樹脂材料はダム部材13の形状が崩れない程度の高い粘性を有している。このようなダム部材13や前述のリブ37を構成する樹脂材料としては、例えば熱硬化性樹脂が好ましく、具体例としては信越化学工業株式会社製の「X−43−5255」が挙げられる。
【0028】
次いで、図7に示すように、このダム部材13の先端に蓋体部材15を接着固定する。この際には、蓋体部材15をダム部材13の先端に配置してからダム部材13を硬化させることで、ダム部材13の接着力により蓋体部材15が固定される。なお、上述したダム部材13の形成時にダム部材13の先端に凸凹があっても、蓋体部材15をダム部材13上に配する際に蓋体部材15をダム部材13に押しつけてダム部材13を変形させることで、蓋体部材15とダム部材13とを隙間無く接着することができる。
なお、ダム部材13として熱硬化性樹脂を使用する場合には、上記のようにダム部材13を変形させた後に加熱硬化させればよい。このダム部材13の硬化条件としては、120〜150℃程度で30分〜2時間程度とすることが好ましい。ダム部材13として具体例を使用した場合には、オーブンにおいて150℃、2時間程度でポッティング材の加熱硬化が実施される。以上により、蓋体設置工程が終了する。
【0029】
そして、図8に示すように、蓋体部材15や半導体チップ7、樹脂封止部11とダム部材13との接着部分を埋設すると共に、リード5,6、樹脂封止部11、ダム部材13及び蓋体部材15を一体的に固定する樹脂モールド部17を形成する(モールド工程)。この際には、封止工程と同様に、樹脂封止部11の周囲に環状のリブ(不図示)を形成し、このリブによって囲まれる領域に樹脂を流し込んで樹脂モールド部17を形成すればよい。なお、このリブは樹脂モールド部17の形成後に除去すればよい。
最後に、リードフレーム33を連結するダムバー35を切り落として、個々のリードフレーム33に切り分けると共に各リードフレーム33のステージ部3とリード5,6とを個々に切り分ける(切断工程)ことで、半導体装置1の製造が完了する。
【0030】
上記半導体装置1及びその製造方法によれば、樹脂封止部11が半導体チップ7の周囲に密着しているため、半導体チップ7の周囲を覆うために従来のようなクリアランスを形成する必要が無くなる。そして、このクリアランスが不要になることでステージ部3の表面3aの面積を小さくすることが可能となるため、半導体装置1の小型化を図って搭載基板における半導体装置1の搭載面積を小さくすることが可能となる。また、ダム部材13の突出高さを小さくすることで、半導体装置1の薄型化も図ることができる。
さらに、半導体チップ7の上方に突出する環状のダム部材13の突出高さを調整するだけで、相互に対向する半導体チップ7と蓋体部材15との隙間を容易かつ高精度に調整することが可能となるため、空洞部S2の容積縮小を図ることができる。したがって、開口部15aを介して外方から空洞部S2内に伝播した圧力変動が、空洞部S2内で減衰することを抑制することができ、半導体装置1の感度向上を容易に図ることができる。
【0031】
また、蓋体部材15を介して外方から空洞部S2内に侵入しようとする電磁気的なノイズを遮断する電磁シールドを形成して、このノイズに基づく半導体チップ7の誤作動を防止することができる。そして、前述したように、ダム部材13の高さ寸法を調整することで半導体チップ7や制御回路チップ9と蓋体部材15との隙間を容易に小さくすることが可能となるため、上記電磁シールドの効果を高めることができる。
なお、ダム部材13の高さ寸法の制御は、例えば、ディスペンサ等の塗布装置によってダム部材13を構成する樹脂材料の吐出する量を制御したり、また、マウンター等のように蓋体部材15の配置位置を制御できるメカ機構を備えたものにより、蓋体部材15を硬化前のダム部材13に押しつけてダム部材13の変形量を制御することで行うことができる。
【0032】
さらに、樹脂モールド部17により、リード5,6、樹脂封止部11、ダム部材13及び蓋体部材15を一体的に固定することで、ダム部材13と樹脂封止部11や蓋体部材15との接着力を補強できるため、ダム部材13と蓋体部材15との固定を確実に保持することができる。
また、制御回路チップ9は樹脂封止部11によって完全に封止されるため、ノイズ等の外乱の影響を受けにくくなるという効果も奏する。
【0033】
また、上記半導体装置1の製造方法によれば、フレーム形成工程においてステージ部3を含むリードフレーム33を同一の金属製薄板31に複数連ねて形成することで、配置工程から蓋体設置工程までの各工程を同一の金属製薄板31上において一括して行うことができるため、複数の半導体装置1を一括して製造することが可能となる。したがって、半導体装置1の製造効率の向上を図ることができる。
【0034】
なお、この第1実施形態において、ダム部材13は、半導体チップ7の上面21b及び樹脂封止部11の表面11aにわたって形成されるとしたが、これに限ることはなく、少なくともダイヤフラム23の外側を囲む環状に形成されていればよい。したがって、ダム部材13は、例えば、半導体チップ7の上面21bのみに形成されるとしても構わないし、半導体チップ7の上面21bを囲む樹脂封止部11の表面11aのみに形成されるとしても構わない。
さらに、蓋体部材15は、樹脂からなるダム部材13の先端に直接接着されるとしたが、例えば、別途接着剤を介してダム部材13の先端に接着されるとしても構わない。この構成の場合には、ダム部材13を硬化させてから蓋体部材15を固定することができるため、半導体チップ7と蓋体部材15との隙間寸法をさらに高精度に設定することが可能となる。
【0035】
また、環状のダム部材13は樹脂を塗布して形成されるとしたが、これに限ることはなく、例えば別途形成される環状シートからなるとしても構わない。この環状シートは、それ自体が接着性を有していても良いし、別途接着剤により半導体チップ7や樹脂封止部11、蓋体部材15に接着されるとしても構わない。
さらに、蓋体設置工程においては、ダム部材13を半導体チップ7の上面21bや樹脂封止部11の表面11aに形成した後に蓋体部材15に接着固定するとしたが、これに限ることはなく、例えば、ダム部材13を蓋体部材15に形成した後に半導体チップ7の上面21bや樹脂封止部11の表面11aに接着固定してもよい。この場合、半導体チップ7の上面21bや樹脂封止部11の表面11aにダム部材13を直接接着固定する際には、ダム部材13を硬化させる前に蓋体部材15を半導体チップ7の上面21b上や樹脂封止部11の表面11a上に配置し、ダム部材13を変形させながら蓋体部材15の配置位置を制御した後にダム部材13を硬化させればよい。
【0036】
また、封止工程においては、1つのステージ部3を囲む環状のリブ37の内側に樹脂を流し込んで樹脂封止部11を形成するとしたが、これに限ることはなく、例えば、金属製薄板31に形成される全てのステージ部3を一括して囲むリブを形成し、このリブの内側に樹脂を流し込んで複数の半導体装置1の樹脂封止部11を一括して形成してもよい。
また、モールド工程においても、上述と同様に、全てのステージ部3を一括して囲むリブを形成して、このリブの内側に樹脂を流し込んで複数の半導体装置1の樹脂モールド部17を一括して形成しても構わない。
【0037】
なお、上述のように複数の樹脂封止部11や樹脂モールド部17を一括して形成する場合には、切断工程においてこれら樹脂封止部11や樹脂モールド部17を切り分ければよい。
これらの場合には、樹脂封止部11や樹脂モールド部17の形成領域を画定するリブを簡便に形成することができ、また、樹脂の流し込みをまとめて行うことができるため、半導体装置1の製造効率をさらに向上させることができる。
【0038】
次に、本発明による第2実施形態について図9を参照して説明する。なお、この第2実施形態の半導体装置は、第1実施形態とダム部材の構成及び半導体装置の製造方法についてのみ異なっている。ここでは、主に上記相違点についてのみ説明し、第1実施形態の半導体装置1の構成要素と同一の部分については同一符号を付し、その説明を省略する。
【0039】
図9に示すように、第2実施形態に係る半導体装置51のダム部材53は、ステージ部3の外側を囲むようにリード5,6の表面から半導体チップ7の上方に突出しており、上記実施形態と同様に樹脂を環状に形成して構成されている。すなわち、このダム部材53は、半導体チップ7及び制御回路チップ9の外側を囲むようになっており、これの内側に半導体チップ7の周囲及び制御回路チップ9を封止すると共にステージ部3とリード5,6とを一体的に固定する樹脂封止部55が充填されている。
また、蓋体部材15が上記ダム部材53の先端に接着固定されており、半導体チップ7、樹脂封止部55、ダム部材53及び蓋体部材15によって中空の空洞部S3が形成されている。
【0040】
さらに、樹脂モールド部57は、ダム部材53の周囲に形成されている、すなわち、上記空洞部S3の外側に形成されている。また、樹脂モールド部57は、リード5,6、ダム部材53及び蓋体部材15に接触してこれらを一体的に固定している。そして、樹脂モールド部57は、リード5,6や蓋体部材15とダム部材53との接着部分を埋設しているため、ダム部材53とリード5,6や蓋体部材15との接着力を補強する役割を果たしている。
【0041】
この半導体装置51を製造する際には、はじめに、第1実施形態と同様のフレーム形成工程、配置工程及び接続工程を行う。次いで、ステージ部3の表面3a上に樹脂を流し込んで半導体チップ7の周囲、ステージ部3の表面3a及び制御回路チップ9を封止する(封止工程)。この工程においては、ディスペンサ等の塗布装置により上述したダム部材53を形成し、このダム部材53によって囲まれる領域に樹脂を流し込んで樹脂封止部55を形成する。
なお、この工程においては、第1実施形態と同様に、樹脂封止部55により制御回路チップ9とリード5とを接続する第2のワイヤー27の全体を封止すると共に、半導体チップ7に接続される第1のワイヤー25のうち制御回路チップ9との接続部分を封止する。
【0042】
上記封止工程の終了後には、上記ダム部材53を介して、蓋体部材15を半導体チップ7及び樹脂封止部55に対向配置してダム部材53の先端に固定する(蓋体設置工程)。この工程においては、別途接着剤を介して蓋体部材15をダム部材53の先端に固定してもよいが、ダム部材53が硬化する前であれば、ダム部材53の接着力により蓋体部材15を固定するとしてもよい。
最後に、リード5,6、ダム部材53及び蓋体部材15を一体的に固定する樹脂モールド部57を形成するモールド工程、及び、第1実施形態と同様の切断工程を行うことで、半導体装置51の製造が完了する。なお、モールド工程においては、第1実施形態と同様に、樹脂モールド部57の形成領域を画定するリブ(不図示)を形成し、樹脂モールド部57の形成後にこのリブを除去すればよい。
【0043】
上記半導体装置51及びその製造方法でも、前述の第1実施形態と同様の効果を奏する。
また、この半導体装置51の製造方法によれば、封止工程においては、第1実施形態のように、樹脂封止部55の形成領域を画定するリブ37を別途形成し、樹脂封止部55の形成後にこのリブ37を除去する工程が不要となるため、半導体装置51の製造効率向上をさらに図ることができる。
【0044】
なお、上記2つの実施形態の半導体装置1を構成するステージ部3には、その表面3aから窪んでダイヤフラム23に対向する凹部を形成しても構わない。上記凹部を形成することにより、ダイヤフラム23を振動させるための背部空気室S1の容積拡大を図ることができる。
この背部空気室S1の容積が小さい場合には、ダイヤフラム23の振動に対して背部空気室S1内の圧力が上昇しやすくなるため、ダイヤフラム23は撓みにくくなるが、上述のように背部空気室S1の容積拡大を図ることで背部空気室S1内の圧力上昇を抑制することができる。したがって、ダイヤフラム23が撓みにくくなることを防止して、半導体チップ7の感度低下を防止することができる。
【0045】
また、上述したステージ部3の凹部は、金属製薄板31にリードフレーム33を形成するフレーム形成工程においてエッチング加工を施すことで形成することができる。したがって、エッチング加工による凹部の大きさを容易に変えることができ、背部空気室S1の容積を容易に変更することができる。
さらに、上記2つの実施形態において、支持部21の上面21bには樹脂封止部11,55が形成されないとしたが、これに限ることはなく、少なくともダイヤフラム23が樹脂封止部11,55の外側に露出していればよい。すなわち、例えば支持部21の上面21bが樹脂封止部11,55によって覆われるとしても構わない。
【0046】
また、半導体装置1,51は樹脂モールド部17.57を備えるとしたが、これに限ることはなく、第1実施形態におけるダム部材13と半導体チップ7や樹脂封止部11、蓋体部材15との接着力、若しくは、第2実施形態におけるダム部材53とリード5,6や蓋体部材15との接着力が十分に得られている場合には、樹脂モールド部17,57を特に形成しなくてもよい。
さらに、上記2つの実施形態においては、リードフレーム33を構成するステージ部3に半導体チップ7を固定して構成される半導体装置1,51について述べたが、これに限ることはなく、例えば、多層配線基板等の回路基板(配置板)の表面に半導体チップ7を固定して構成される半導体装置に適用することもできる。
【0047】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】この発明の第1実施形態に係る半導体装置を示す概略側断面図である。
【図2】図1の半導体装置を示す概略平面図である。
【図3】図1の半導体装置の製造方法を示す概略側断面図である。
【図4】図1の半導体装置の製造方法を示す概略側断面図である。
【図5】図1の半導体装置の製造方法を示す概略側断面図である。
【図6】図1の半導体装置の製造方法を示す概略平面図である。
【図7】図1の半導体装置の製造方法を示す概略側断面図である。
【図8】図1の半導体装置の製造方法を示す概略側断面図である。
【図9】この発明の第2実施形態に係る半導体装置を示す概略側断面図である。
【符号の説明】
【0049】
1,51・・・半導体装置、3・・・ステージ部(配置板)、3a・・・表面、5・・・リード、7・・・半導体チップ、11,55・・・樹脂封止部、13,53・・・ダム部材、15・・・蓋体部材、15a・・・開口部、17,57・・・樹脂モールド部、23・・・ダイヤフラム、31・・・金属製薄板、33・・・リードフレーム、S2,S3・・・空洞部

【出願人】 【識別番号】000004075
【氏名又は名称】ヤマハ株式会社
【出願日】 平成18年7月7日(2006.7.7)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆


【公開番号】 特開2008−14875(P2008−14875A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−188372(P2006−188372)