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【発明の名称】 圧力センサ評価装置
【発明者】 【氏名】各務 聡

【氏名】野間 弘昭

【氏名】中野 正勝

【要約】 【課題】本発明は、所定の温度における圧力センサの特性を評価することができる圧力センサ評価装置を提供すること。

【構成】容器本体32と該容器本体の開口部を閉じる蓋部31とよりなる耐圧容器3を備えた圧力センサの特性を評価する評価装置であって、前記容器本体内部に突出するように取り付けられる評価対象となる被評価センサ1と、前記容器本体内部に突出するように取り付けられ、前記被評価センサ1から得られた測定データと比較するためのデータを得るためのリファレンスセンサ2と、前記被評価センサ1を所定の温度に調節するための容器本体32に設けられる加熱手段6と、前記蓋部31に取り付けられるガス発生剤と、前記に蓋部に取り付けられガス発生剤に点火するための点火手段5と、を備える圧力センサ評価装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体と該容器本体の開口部を閉じる蓋部とよりなる耐圧容器を備えた圧力センサの特性を評価する評価装置であって、前記容器本体内部に突出するように取り付けられる評価対象となる被評価センサと、前記容器本体内部に突出するように取り付けられ、前記被評価センサから得られた測定データと比較するためのデータを得るためのリファレンスセンサと、前記被評価センサを所定の温度に調節するための容器本体に設けられる加熱手段と、前記蓋部に取り付けられるガス発生剤と、前記に蓋部に取り付けられガス発生剤に点火するための点火手段と、を備えることを特徴とする圧力センサ評価装置。
【請求項2】
前記ガス発生剤が、固体燃料であることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ評価装置。
【請求項3】
前記点火手段は、耐圧容器外部に設けられたレーザー光源から発するレーザー光を用いたものであることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ評価装置。
【請求項4】
前記レーザー光は、蓋部に設けられたレーザー光を透過させるレーザー光透過窓を介して固体燃料に照射されるものであることを特徴とする請求項3記載の圧力センサ評価装置。
【請求項5】
前記点火手段が耐圧容器内部に取り付けられ、前記固体燃料に直接点火するものであることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ評価装置。
【請求項6】
前記ガス発生剤と被評価センサとが所定の距離を隔てて対向するように配置されていることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ評価装置。
【請求項7】
前記耐圧容器が逃がし孔を備えることを特徴とする請求項1記載の圧力センサ評価装置。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、開発段階の圧力センサの性能を評価するための圧力センサ評価装置に関する。
【背景技術】
【0002】
圧力センサの開発が行われているが、新規に圧力センサを開発する場合に、試作段階の圧力センサを用いて実際に圧力の測定を行う。
その際に得られたデータと、高い測定精度を有する校正用の圧力センサを用いて、同じ測定条件の下で測定して得られたデータとを比較し、試作段階の圧力センサの性能を評価することは、圧力センサのその時点での開発状況を把握する上で非常に重要である。
現在、油圧を用いて所定の圧力を発生させる圧力センサ評価装置が知られている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】Kistler社製品、Hydraulic High−Pressure Generator type 6906マニュアル
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、圧力センサはエンジン等の内燃機関の運転を制御するために用いられたり、新たに内燃機関を開発する際には、シリンダ内の燃焼状態を解析するためにシリンダ内に取り付けられたりなど、高温環境下で用いられる状況が増えてきている。
【0004】
そのため、高温環境下に置かれ、圧力センサ自体の温度が上昇しても正確な測定を行うことができる圧力センサの開発が求められている。このような状況に伴い、高温環境下に置かれた圧力センサの特性を評価することの重要度が増してきている。
【0005】
しかし、非特許文献1に記載されている圧力センサ評価装置に代表されるように、現在市販されている圧力センサ評価装置は、圧力センサの温度を調節する機能を備えていない。
そのため、試作段階の圧力センサの特性評価は、ほぼ常温に近い状態でしか行われていなかった。
【0006】
本発明は以上の課題を解決すべく開発されたものである。
すなわち本発明は、所定の温度における圧力センサの特性を評価することができる圧力センサ評価装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、以上のような課題背景をもとに鋭意研究を重ねた結果、耐圧容器内に評価対象となる被評価圧力センサと、被評価圧力センサの比較対象となるリファレンスセンサとを取り付けることで上記の課題を解決できることを見出し、その知見に基づいて本発明を完成させたものである。
【0008】
すなわち本発明は、(1)容器本体と該容器本体の開口部を閉じる蓋部とよりなる耐圧容器を備えた圧力センサの特性を評価する評価装置であって、前記容器本体内部に突出するように取り付けられる評価対象となる被評価センサと、前記容器本体内部に突出するように取り付けられ、前記被評価センサから得られた測定データと比較するためのデータを得るためのリファレンスセンサと、前記被評価センサを所定の温度に調節するための容器本体に設けられる加熱手段と、前記蓋部に取り付けられるガス発生剤と、前記に蓋部に取り付けられガス発生剤に点火するための点火手段と、を備える圧力センサ評価装置に存する。
【0009】
また本発明は、(2)前記ガス発生剤が、固体燃料である上記(1)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0010】
また本発明は、(3)前記点火手段は、耐圧容器外部に設けられたレーザー光源から発するレーザー光を用いたものである上記(1)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0011】
また本発明は、(4)前記レーザー光は、蓋部に設けられたレーザー光を透過させるレーザー光透過窓を介して固体燃料に照射されるものである上記(3)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0012】
また本発明は、(5)前記点火手段が耐圧容器内部に取り付けられ、前記固体燃料に直接点火するものである上記(1)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0013】
また本発明は、(6)前記ガス発生剤と被評価センサとが所定の距離を隔てて対向するように配置されている上記(1)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0014】
また本発明は、(7)前記耐圧容器が逃がし孔を備える上記(1)記載の圧力センサ評価装置に存する。
【0015】
なお、本発明の目的に添ったものであれば上記(1)から(7)を適宜組み合わせた構成も採用可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の圧力センサ評価装置は、前記容器本体内部に突出するように取り付けられる評価対象となる被評価センサと、前記容器本体内部に突出するように取り付けられ、前記被評価センサから得られた測定データと比較するためのデータを得るためのリファレンスセンサと、前記被評価センサを所定の温度に調節するための容器本体に設けられる加熱手段と、前記蓋部に取り付けられるガス発生剤と、前記に蓋部に取り付けられるガス発生剤に点火するための点火手段とを備えるので、所定の温度における被評価センサの特性を的確に評価することができる。
【0017】
また、点火手段としてレーザー光源から発するレーザー光を用いた場合には、耐圧容器内に電磁波を発生させること無く、ガス発生剤に点火することができる。その結果、被評価センサは測定結果を乱す電磁波の影響を受けずに、耐圧容器内の圧力を正確に測定することができる。
【0018】
ガス発生剤と被評価センサとが所定の距離隔てた状態で配置されることで、二つの間の空間に熱伝導率の小さい空気が大量に満たされる。
そのため、燃焼ガスの持つ熱の伝達が極力排除され、被評価センサの温度の急激な上昇は防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
〔第一の実施形態〕
本発明の好適な一実施形態について、図面を用いて説明する。
図1は本実施形態に係る圧力センサ評価装置を説明する概略図である。
図1に示すように、本実施形態に係る圧力センサ評価装置Aは、被評価センサ1と、リファレンスセンサ2と、耐圧容器3と、ガス発生剤である固体燃料4と、点火手段5と、加熱手段6とを備える。
また、耐圧容器3は蓋部31と容器本体32とからなり、蓋部31は容器本体32の開口部を閉じるものである。そして、蓋部31は容器本体32に取り外し自在に取り付けられる。
【0020】
被評価センサ1は、本実施形態に係る圧力センサ評価装置Aによってその特性を評価される圧力センサである。
【0021】
一方、リファレンスセンサ2は、被評価センサ1から得られる測定データと比較するためのデータを得るための圧力センサである。
従って、リファレンスセンサ2として用いることが可能な圧力センサとしては、被評価センサ1の評価を行う圧力の範囲において、被評価センサ1よりも正確な圧力を測定できるものがよい。
【0022】
被評価センサ1は耐圧容器3の壁面から、内部に突出するように、且つ着脱自在に取り付けられる。
このとき、固体燃料4を燃焼させて発生する燃焼ガスが被評価センサ1の取り付け部を通じて、耐圧容器3から漏れ出さないように、ガス漏れを防ぐための図示しないガス漏れ防止手段、例えばメタルガスケットを介して、被評価センサ1は耐圧容器3に取り付けられる。
【0023】
リファレンスセンサ2は、蓋部31の壁面から耐圧容器3内部に突出するように、且つ着脱自在に取り付けられる。
【0024】
圧力測定時、燃焼ガスが取り付け部を通じて、耐圧容器3から外に漏れ出さないように、ガス漏れを防ぐための図示しないガス漏れ防止手段、例えばメタルガスケットを介して、リファレンスセンサ2は蓋部31に取り付けられる。
【0025】
耐圧容器3は、その内部に固定されるガス発生剤である固体燃料4が点火され、燃焼することによって発生する燃焼ガスを閉じ込める。
【0026】
また、耐圧容器3に燃焼ガスを耐圧容器外に排出するための逃がし孔を設けることで、燃焼ガスの圧力の最大値の大きさを調節することができる。さらに、燃焼ガスによる耐圧容器3内部への加圧時間も調節することができる。
【0027】
ガス発生剤は、点火手段5によって点火されて燃焼ガスを発生させるものであり、NAB(硝酸ボロンとカリウムの混合物)、HTPB/AP(末端水酸基ポリブタジエンゴムと過塩素酸アンモニウムの混合物)等のコンポジット燃料,シングルベース燃料,RDX,HMX等の固体燃料や、メタン及び水素等の気体燃料、ジメチルエーテル及びガソリン等の液体燃料が採用可能である。
【0028】
固体燃料は気体燃料や液体燃料よりも化学的に安定で、発火しにくいため、安全に取り扱うことができ、ガス発生剤として採用することが好ましい。
ガス発生剤として固体燃料を採用した場合、固体燃料は接着剤等の固定手段によって、耐圧容器3の内部に固定される。
【0029】
点火手段5は、前記固体燃料4に点火する目的を達成することができる限り、その形態、種類等は限定されない。例えば、耐圧容器の内部に電気式のイグナイタを取り付け、直接固体燃料4に点火することも可能である。
【0030】
加熱手段6は、被評価センサ1を所定の温度まで上昇させる機能を有するものである。そのため、加熱装置6の形態、機構等は、被評価センサ1を所定の温度まで上昇させる目的が達成される限り、特に限定されるものではない。
被評価センサの周辺に局所的に取り付けられることが効率的で好ましい。
もっとも、加熱手段6によって耐圧容器3の温度を上昇させることで、該耐圧容器3に取り付けられている被評価センサ1の温度を間接的に上昇させる構造も採用可能である。
【0031】
次に圧力センサ評価装置を用いて被評価センサを評価する手順を述べる。
ここで被評価センサは容器本体の底部に、メタルガスケット等のガス漏れ防止手段を介して取り付けられ(図2参照)、また、リファレンスセンサも容器本体と分離した状態の蓋部にメタルガスケット等のガス漏れ防止手段を介して取り付けられている。
固体燃料は蓋部の内側、すなわち蓋部を容器本体に接合した際に、容器内部に面する側に取り付けられている。
【0032】
前もって、加熱装置を作動させ被評価センサは所定の温度に昇温される。
被評価センサを昇温させた後、容器本体の開口部を塞ぐように蓋部を取り付ける。(図3参照)。
これで蓋部と容器本体とにより区画された内部空間が密閉される
【0033】
被評価センサが容器本体の底部に取り付けられ、固体燃料が蓋部の裏側に取り付られることで、被評価センサと固体燃料との間の距離が極力確保される。
被評価センサと固体燃料との間の距離が極力確保されることにより、固体燃料を燃焼させた際、被評価センサの急激な温度上昇が防止される。
【0034】
すなわち、被評価センサと固体燃料とが所定の距離隔てて配置されることで、二つの間の空間に熱伝導率が小さい空気が大量に満たされる。
その結果、固体燃料を燃焼させた際に発生する燃焼熱は、固体燃料と被評価センサとの間に満たされた空気を介して被評価センサに伝わる。
このように燃焼ガスが持つ熱の極一部しか被評価センサに伝わらず、被評価センサの温度の急激な上昇は防止される。
【0035】
次に、固体燃料が点火される。固体燃料は点火手段の作動によって点火され、固体燃料が燃えることで耐圧容器内部に燃焼ガスが発生する。
【0036】
被評価センサ及びリファレンスセンサにより、耐圧容器内部に発生した燃焼ガスの圧力の測定を行う。測定した圧力のデータは回線を通じて測定装置に随時送られ、経時的にその圧力の変化が記録される。
【0037】
被評価センサ及びリファレンスセンサによる燃焼ガスの圧力測定終了後は、速やかに蓋部を容器本体から取り外す。
このように 測定後、蓋部を容器本体から分離させることで、燃焼ガスが持つ熱がリファレンスセンサに伝わることを極力防止することができる(図4参照)。
【0038】
なお、加熱手段が耐圧容器を加熱することで、被評価センサを間接的に昇温させる機構である場合、耐圧容器に蓄えられた熱が蓋部を通してリファレンスセンサに伝わることも極力防止することができる。
【0039】
燃焼ガスが持つ熱がリファレンスセンサに伝わることを極力防止することで、リファレンスセンサは熱の影響から極力回避される。
そのため被評価センサに必要とされる程の耐熱性は要求されなくなり市販されている圧力センサをリファレンスセンサとして用いることが可能となる。
【0040】
被評価センサから得られた燃焼ガスの圧力のデータと、リファレンスセンサから得られた燃焼ガスの圧力のデータとが比較され、被評価センサの評価が行われる。
【0041】
〔第二の実施形態〕
図5は点火手段としてレーザー光を用いる場合を説明する概略図である。
点火手段は、耐圧容器外部に設けられた図示しないレーザー光源から発するレーザー光を用いたものである。
図5に示すように、本実施形態に係る圧力センサ評価装置Aには、耐圧容器3にレーザー光を透過させる材質で形成されたレーザー光透過窓7が設けられる。
【0042】
今、レーザー光透過窓7に向かってレーザー光源からレーザー光が照射されると、レーザー光透過窓7を通して、レーザー光が固体燃料4に照射される。
レーザー光が照射された固体燃料4は昇温し、その温度が所定の温度に達すると発火して燃焼する。
【0043】
点火手段5としてレーザー光を用いると、電気式イグナイタ等のパルスプラズマを用いて点火する点火手段と異なり、電磁波的な障害を受けない。
そのため、点火の際に測定結果に影響を与える電磁波を発生させることなく固体燃料に点火することができるので、より正確に被評価センサ1の測定特性を評価することができる。
【0044】
このとき、点火手段5として採用可能なレーザー光は、光源から出たレーザー光がほとんど発散しない、いわゆる発散角が小さいレーザー光である。
例えば、YAGレーザー,炭酸ガスレーザー及び半導体レーザー等が採用可能である。
【0045】
点火手段5としてレーザー光を使う場合、効率良い照射を行うため図6に示すように集光レンズ8を介することが好ましい。
また、発散角を有するレーザー光を平行光にするコリメートレンズを、集光レンズ8の上に設置する、すなわちレーザー光がコリメートレンズ、集光レンズ8の順序で通過するようにコリメートレンズが設置されることで、発散角を有するレーザー光はより確実に固体燃料4に照射される。
なお、集光レンズ8としては石英レンズ及びBK7レンズ等が採用可能である。
【0046】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は実施の形態に限定されることなく種々の変形例が可能である。
例えば、耐圧容器3における容器本体や蓋部は、内部に一定の量の空間を区画できるもので、且つ被評価センサ1とガス発生剤との間に一定の距離を確保できるものであれば、その形状は問わない。
【図面の簡単な説明】
【0047】

【図1】図1は、本実施形態に係る圧力センサ評価装置を説明する概略図である。
【図2】図2は、部品の取り付けを説明する概略図である。
【図3】図3は、耐圧容器の組み立てを説明する概略図である。
【図4】図4は、耐圧容器の分解を説明する概略図である
【図5】図5は、点火手段としてレーザー光を用いる場合を説明する概略図である。
【図6】図6は、レーザー光透過窓に集光レンズを取り付けた状態を説明する概略図である。
【符号の説明】
【0048】
1被評価センサ
2リファレンスセンサ
3耐圧容器
31蓋部
32容器本体
4固体燃料
5点火手段
6加熱手段
7レーザー光透過窓
8集光レンズ
A圧力センサ評価装置
【出願人】 【識別番号】301021533
【氏名又は名称】独立行政法人産業技術総合研究所
【出願日】 平成18年6月29日(2006.6.29)
【代理人】 【識別番号】100103805
【弁理士】
【氏名又は名称】白崎 真二

【識別番号】100126516
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 綽勝

【識別番号】100132104
【弁理士】
【氏名又は名称】勝木 俊晴


【公開番号】 特開2008−8792(P2008−8792A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180329(P2006−180329)