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【発明の名称】 排気温度センサの異常検出装置
【発明者】 【氏名】松永 英樹
【氏名】加藤 寿一
【課題】排気温度センサが検出可能な全温度域で、センサ異常を判定することができる排気温度センサの異常検出装置を提供する。

【解決手段】所定時間T1経過後、排気温度センサが検出した排気温度Taとエンジン運転状態に応じて推定された排気の推定温度Tcとから、各々の初期値及びその初期値を中心とした所定範囲を画定する閾値を設定する(S1〜S2)。その後、推定温度Tcが変化して所定範囲(TcLL〜TcHH)外になるとタイマをスタートする(S3〜S5)。そして、排気温度Taが、タイマスタートから所定時間T2経過するまでに、推定温度Tcの変化に応じて所定範囲(Ta〜Ta)外にならなければ排気温度センサに異常が発生したと判定する(S6〜S9)。このように、推定温度Tcの変化と排気温度Taの変化とを比較することで、排気温度センサが検出可能な全温度域での異常を判定することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン運転状態に応じた排気温度を推定する排気温度推定手段と、
排気温度が変化する過渡状態にあるか否かを判定する過渡状態判定手段と、
前記過渡状態判定手段により過渡状態にあると判定されたときに、前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化特性と排気温度センサにより検出された検出温度の変化特性との相関関係に基づいて、該排気温度センサに異常が発生しているか否かを判定する異常判定手段と、
を含んで構成されたことを特徴とする排気温度センサの異常検出装置。
【請求項2】
前記過渡状態判定手段は、前記排気温度推定手段により推定された推定温度が所定温度変化したときに、排気温度が変化する過渡状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項3】
前記過渡状態判定手段は、前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化率が所定率以上であるときに、排気温度が変化する過渡状態にあると判定することを特徴とする請求項1記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項4】
前記異常判定手段は、前記排気温度センサにより検出された検出温度の変化特性と前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化特性とが相似していないときに、該排気温度センサに異常が発生していると判定することを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれか1つに記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項5】
前記検出温度の変化特性は、前記過渡状態判定手段により過渡状態にあると判定された後の所定時間における変化特性であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれか1つに記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項6】
前記所定時間内に、前記推定温度が、前記過渡状態にあるか否かの判定を開始したときの温度を中心とした所定範囲まで変化したときに、前記排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定をキャンセルするキャンセル手段をさらに含んで構成されたことを特徴とする請求項5記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項7】
前記異常判定手段は、前記排気温度センサに異常が発生しているとの判定を所定回数連続して行ったときに、前記排気温度センサの異常を確定することを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1つに記載の排気温度センサの異常検出装置。
【請求項8】
前記異常判定手段によって前記排気温度センサに異常が発生していると判定がなされたときに、その旨を警報する警報手段をさらに含んで構成されたことを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1つに記載の排気温度センサの異常検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、排気温度センサの異常検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
排気温度センサは、例えば、エンジンから排出された排気に含まれるNOxを浄化する排気浄化システムに用いられている。このシステムでは、排気に対して適量の還元剤を添加するために、排気温度センサが検出した検出温度に応じてその添加量を増減する。ところが、排気温度センサが、故障等の異常を来すと、排気に対して適量の還元剤を添加することができなくなる。このため、排気温度センサの異常を検出するための異常検出装置が設けられている。
【0003】
排気温度センサを大別すると、サーミスタタイプと白金抵抗タイプとがある。このうち、サーミスタタイプの排気温度センサは、温度上昇に対して非直線的に抵抗値(出力電圧)が減少する出力特性を備えている。つまり、排気温度が低温であると抵抗値が高く、排気温度が高温であると抵抗値は低い。この排気温度センサが異常を来すと、例えば、センサショートの場合には抵抗値は高温域の値を示し、断線の場合には抵抗値は低温域の値を示す。
【0004】
ここで、センサショートの場合、排気温度センサの出力は、正常であれば出力され得る抵抗値を大きく下回るので、センサショートを検出することができる。しかし、断線の場合には、排気温度センサの出力が低温時の出力特性と類似しているため、断線を検出することが難しい。そこで、エンジン始動直後には排気温度が上昇する事実に着目し、排気温度センサが所定値以上の出力を検出できなければ断線したと検出する排気温度センサの異常検出装置が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2003−149054号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来技術では、排気温度センサの断線及びショートを検出できるものの正常範囲と異常範囲とを画定する閾値を用いて異常検出をしているため、正常範囲内で発生した異常を検出することはできなかった。この場合、例えば、排気温度の上昇に伴って、排気温度センサの出力が変化するが、ある排気温度まで上昇すると、何らかの原因によってその出力がある温度から変動せずにほぼ一定値に固着するような異常を想定できる。
【0006】
そこで、本発明は、排気温度センサが検出可能な全温度域での異常を判定することができる排気温度センサの異常検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このため、請求項1に記載の排気温度センサの異常検出装置は、エンジン運転状態に応じた排気温度を推定する排気温度推定手段と、排気温度が変化する過渡状態にあるか否かを判定する過渡状態判定手段と、前記過渡状態判定手段により過渡状態にあると判定されたときに、前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化特性と排気温度センサにより検出された検出温度の変化特性との相関関係に基づいて、該排気温度センサに異常が発生しているか否かを判定する異常判定手段と、を含んで構成されたことを特徴とする。ここで、「エンジン運転状態」とは、エンジン回転速度、燃料噴射量、吸気流量、吸気負圧、トルク、過給圧などを含んで構成される。
【0008】
請求項2に記載の発明では、前記過渡状態判定手段は、前記排気温度推定手段により推定された推定温度が所定温度変化したときに、排気温度が変化する過渡状態にあると判定することを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明では、前記過渡状態判定手段は、前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化率が所定率以上であるときに、排気温度が変化する過渡状態にあると判定することを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明では、前記異常判定手段は、前記排気温度センサにより検出された検出温度の変化特性と前記排気温度推定手段により推定された推定温度の変化特性とが相似していないときに、該排気温度センサに異常が発生していると判定することを特徴とする。
【0011】
請求項5に記載の発明では、前記検出温度の変化特性は、前記過渡状態判定手段により過渡状態にあると判定された後の所定時間における変化特性であることを特徴とする。
【0012】
請求項6に記載の発明では、前記所定時間内に、前記推定温度が、前記過渡状態にあるか否かの判定を開始したときの温度を中心とした所定範囲まで変化したときに、前記排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定をキャンセルするキャンセル手段をさらに含んで構成されたことを特徴とする。
【0013】
請求項7に記載の発明では、前記異常判定手段は、前記排気温度センサに異常が発生しているとの判定を所定回数連続して行ったときに、前記排気温度センサの異常を確定することを特徴とする。
【0014】
請求項8に記載の発明では、前記異常判定手段によって前記排気温度センサに異常が発生していると判定がなされたときに、その旨を警報する警報手段をさらに含んで構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
請求項1記載の発明によれば、推定温度の変化特性と検出温度の変化特性とが相関関係にあることに基づいて排気温度センサに異常が発生しているか否かを判定をする。即ち、推定温度が変化すれば検出温度も変化することを基本原理としており、推定温度の変化に応じて検出温度が変化しなければ異常であると判定する。従って、排気温度センサの出力が変化するが、ある排気温度まで上昇すると、何らかの原因によってその出力がある温度から変動せずにほぼ一定値に固着するような異常をも判定することができるようになる。
【0016】
請求項2記載の発明によれば、推定温度の所定温度変化を、異常判定手段が判定を開始するトリガーとしている。即ち、推定温度が所定温度変化すれば排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定を開始するので、従来技術のように閾値で画定された正常範囲内でも排気温度センサの異常発生有無を判定するようになる。従って、排気温度センサが出力する全温度域での異常を判定することができる。
【0017】
請求項3記載の発明によれば、推定温度の変化率が所定率以上になったときを、異常判定手段が判定を開始するトリガーとしている。即ち、推定温度の変化率が所定率以上になれば、排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定を開始するので、従来技術のように閾値で画定された正常範囲内でも排気温度センサの異常発生有無を判定するようになる。従って、排気温度センサが出力する全温度域での異常を判定することができる。
【0018】
請求項4記載の発明によれば、推定温度の変化特性と検出温度の変化特性とが相似していないときを、排気温度センサに異常が発生していると判定する。即ち、本発明は推定温度が変化すれば検出温度も変化することを基本原理とし、その変化パターンのうち、推定温度の変化に追従して、検出温度が相似変化しなければ、排気温度センサに異常が発生していると判定することができる。
【0019】
請求項5に記載の発明では、推定温度の変化と同時に検出温度が変化する場合のみならず、推定温度の変化に遅れて検出温度が変化することもあり得るので、この場合にも、排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定を実行する。このように所定時間内における検出温度の変化特性に基づいて排気温度センサの異常発生有無を判定するので、更に異常検出精度を向上させることができる。
【0020】
請求項6に記載の発明では、キャンセル手段を設けて、異常判定手段が排気温度センサに異常が発生しているか否かの判定を開始した後、一定条件下でその判定処理をキャンセルする。即ち、異常判定手段が排気温度センサの異常発生有無について判定を開始した後、推定温度が、過渡状態にあるか否かの判定を開始したときの温度を中心とした所定範囲まで変化したときに、既に実行されている判定処理をキャンセルする。これにより、ノイズなどにより推定温度の精度が低下したときには判定処理がキャンセルされることで、異常検出精度を更に向上させることができる。
【0021】
請求項7記載の発明によれば、異常検出装置は、排気温度センサに異常が発生しているとの判定を所定回数連続して行ったときに、異常を確定する。従って、排気温度センサの出力にノイズなどが重畳して異常と判定されても、異常発生との判定を所定回数連続して行わなければ異常は確定されないので、異常検出精度を向上させることができる。
【0022】
請求項8記載の発明によれば、排気温度センサに異常が発生していると判定がなされた場合に、警報手段が作動するので、異常を知らしめることができ、適当な措置を講ずることができるようになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、添付された図面を参照して本発明の一実施形態を詳述する。
図1は、本発明に係る排気温度センサの異常検出装置を適用する、還元剤の前駆体たる尿素水溶液を使用してエンジン排気中のNOxを還元反応により浄化する排気浄化装置の全体構成を示す。
【0024】
エンジン10の排気マニフォールド12に接続された排気管14には、排気流通方向に沿って、一酸化窒素(NO)を二酸化窒素(NO)へと酸化させる窒素酸化触媒16と、尿素水溶液を噴射供給する噴射ノズル18と、尿素水溶液を加水分解して得られるアンモニアを使用してNOxを還元浄化するNOx還元触媒20と、NOx還元触媒20を通過したアンモニアを酸化させるアンモニア酸化触媒22と、が夫々配設される。
【0025】
一方、尿素水溶液を貯蔵する還元剤タンク24は、その底部で吸込口が開口するサクションホース26を介して、尿素水溶液を吸い込んで圧送するポンプモジュール28に連通接続される。また、ポンプモジュール28は、プレッシャホース30を介して、少なくとも遠隔操作可能な流量制御弁が内蔵された添加モジュール32に連通接続されると共に、添加モジュール32は、添加ホース34を介して、噴射ノズル18に連通接続される。そして、ポンプモジュール28及び添加モジュール32は、コンピュータを内蔵した還元剤添加コントロールユニット(以下「還元剤添加ECU」という)36により夫々電子制御され、排気温度センサ38が検出した排気温度(以下「検出温度」という)Taやエンジン運転状態に適合した尿素水溶液が噴射ノズル18から噴射供給される。エンジン運転状態は、エンジンの回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ40や、燃料噴射量、吸気流量、吸気負圧などのエンジン負荷Qを検出するエンジン負荷センサ42等からの出力信号を受信した還元剤添加ECU36によって把握される。
【0026】
かかる排気浄化装置において、噴射ノズル18から噴射供給された尿素水溶液は、排気熱及び排気中の水蒸気により加水分解され、還元剤として機能するアンモニアへと転化される。転化されたアンモニアは、NOx還元触媒20において排気中のNOxと還元反応し、水(HO)及び窒素(N)へと転化されることは知られたことである。このとき、NOx還元触媒20によるNOx浄化能力を向上させるべく、窒素酸化触媒16によりNOがNOへと酸化され、排気中のNOとNOとの割合が還元反応に適したものに改善される。一方、NOx還元触媒20を通過したアンモニアは、その排気下流に配設されたアンモニア酸化触媒22により酸化されるので、アンモニアがそのまま大気中に排出されることがない。
【0027】
ここで、本実施形態に係る異常検出装置は、還元剤添加ECU36、エンジン回転速度センサ40、エンジン負荷センサ42及び警報装置44を含んで構成され、エンジン運転状態に応じた排気の温度マップから推定温度Tcを演算し、この推定温度Tcの変化と、検出温度Taの変化とを比較することで、排気温度センサ38の異常を検出する。排気の温度マップは、様々な環境下でエンジンをテストして得られた排気温度データを集積したものである。異常検出装置は、排気温度センサ38の異常を検出すると、その旨を報知すべく、警告灯、ブザーなどの警報装置44を作動させる。
【0028】
次に、本発明の一実施形態に係る異常検出装置による異常検出動作を図2のフローチャートを参照して説明する。
ステップ1(図2では「S1」と略記する。以下同様)では、エンジン10の始動後、タイマが計時する時間が所定時間T1経過するまで待機する。
【0029】
ステップ2では、所定時間T1経過したときに、排気温度センサ38が検出した検出温度Taと、エンジン運転状態から推定した推定温度Tcと、をそれぞれ検出温度初期値Taと、推定温度初期値Tcと、に設定する。また、検出温度初期値Taを中心とした所定範囲(所定温度幅)を画定する下限閾値Taと上限閾値Taとを設定する。同様に、推定温度初期値Tcを中心とした所定範囲を画定する下限閾値TcLLと上限閾値TcHHとを設定する。本実施形態では、下限閾値TcLL〜上限閾値TcHHは、下限閾値Ta〜上限閾値Taよりも大きく設定してある。また、初期値Ta、Tcから下限閾値Ta、TcLLまでの下限温度幅と初期値Ta、Tcから上限閾値Ta、TcHHまでの上限温度幅とは、それぞれ異ならせることもできる。
【0030】
ステップ3では、検出温度Taが、下限閾値Ta以上で上限閾値Ta以下であるか否か、即ち上下閾値範囲内であるか否かを判定する。そして、検出温度Taが、上下閾値範囲内(Ta≦Ta≦Ta)であれば、ステップ4へと進む一方(Yes)、上下閾値範囲外(Ta>Ta、又は、Ta<Ta)であれば、排気温度センサ38は正常に作動しているので、ステップ10へと進む(No)。
【0031】
ステップ4では、推定温度Tcが、上限閾値TcHHを上回るか又は下限閾値TcLLを下回ったか否か、即ち上下閾値範囲外であるか否かを判定する。そして、推定温度Tcが、上下閾値範囲外(Tc>TcHH、又は、Tc<TcLL)であれば、排気温度が変化する過渡状態にあると判定されステップ5へと進む一方(Yes)、上下閾値範囲内(TcLL≦Tc≦TcHH)であれば、ステップ3へと戻る(No)。なお、推定温度Tcの変化率が所定率以上であるときに、排気温度が変化する過渡状態にあると判定されて、ステップ5へと進むフローであってもよい。
【0032】
ステップ5では、タイマをスタートする。
【0033】
ステップ6では、推定温度Tcが推定温度初期値Tcの上下閾値範囲内にあるか否か、且つ検出温度Taが上下閾値範囲内にあるか否かを判定する。この場合の推定温度初期値Tcの上下閾値には、下限閾値TcLLと上限閾値TcHHとが画定する所定範囲よりも狭い値(下限閾値TcLH〜上限閾値TcHL)が設定してある。これは、ノイズなどにより推定温度Tcの精度が低下する場合を考慮した温度幅である。そして、推定温度Tcが上下閾値範囲内且つ検出温度Taが上限閾値範囲内(TcLH≦Tc≦TcHL、且つ、Ta≦Ta≦Ta)であれば、排気温度センサ38の異常発生有無の判定がキャンセルされて、ステップ1へと戻る(Yes)。このようにノイズなどにより推定温度Tcの精度が低下したときには判定処理がキャンセルされるので、異常検出精度を向上させることができる。一方、それ以外であれば、ステップ7へと進む(No)。
【0034】
ステップ7では、検出温度Taが、推定温度の変化に伴って、下限閾値Ta以上で上限閾値Ta以下であるか否か、即ち上下閾値範囲内であるか否かを判定する。そして、検出温度Taが、上下閾値範囲内(Ta≦Ta≦Ta)であれば、ステップ8へと進む一方(Yes)、上下閾値範囲外(Ta>Ta、又は、Ta<Ta)であれば、排気温度センサ38は正常に作動しているので、ステップ10へと進む(No)。
【0035】
ステップ8では、タイマが計時した時間が所定時間T2経過したか否かを判定する。そして、所定時間T2経過したならば、ステップ9へと進む一方(Yes)、所定時間T2経過していなければステップ6へと戻る(No)。
なお、所定時間T2は、推定温度Tcの変化に遅れて検出温度Taが変化する場合を考慮し、異常検出精度を向上させるのための時間幅である。
【0036】
ステップ9では、推定温度Tcが、推定温度初期値Tcの上下閾値範囲外に変動したにもかかわらず、検出温度Taが、検出温度初期値Taの上下閾値範囲内(Ta≦Ta≦Ta)にあり、推定温度Tcの変化特性と検出温度Taの変化特性とが相似していないので、センサ異常であると判定し、エラーカウンタErrcntをカウントアップする。
一方、ステップ10では、排気温度センサ38が正常であると判定し、エラーカウンタErrcntを0にリセットする。
【0037】
ステップ11では、エラーカウンタErrcntが、所定回数(例えば、4回)に達したか否かを判定する。これは、排気温度センサ38の出力にノイズなどが重畳して異常と判定されることもあり得るので、異常検出精度を向上させるために、一回の異常判定で直ちに異常を確定するのではなく、所定回数連続して異常判定しなければ異常は確定しないようにしている。そして、所定回数に達していれば、ステップ12へと進む一方(Yes)、所定回数に達していなければ、ステップ1へと戻る(Yes)。
ステップ12では、排気温度センサ38の異常を確定し、異常検出したことを警報通知するために警報装置44を作動させる。これを受けた警報装置44は、警報音を発したり、警告ランプを発する。これにより、異常を知らしめることができ、適当な措置を講ずることができるようになる。
【0038】
本実施形態の異常検出装置は、推定温度Tcの変化と検出温度Taの変化との対比から排気温度センサ38の異常を検出する。そして、この異常検出では、検出温度Taを検出する排気温度センサ38、エンジンの回転速度Neを検出するエンジン回転速度センサ40、及び、燃料噴射量、吸気流量、吸気負圧などのエンジン負荷Qを検出するエンジン負荷センサ42からの各出力信号が使用される。還元剤添加ECU36は、各センサからの出力信号を受信して、そのROM(Read Only Memory)などに記憶された制御プログラムを実行し、排気温度推定手段、過渡状態判定手段、異常判定手段及びキャンセル手段が実現され、排気温度センサ38に異常が発生しているか否かを判定する。なお、制御プログラムは、還元剤添加ECU36に設けるのではなく、個別モジュールや、エンジンコントロールユニット(図示略)に設ける構成であってもよい。
【0039】
以上のように、推定温度Tcの変化特性と検出温度Taの変化特性とが相関関係にあることに基づいて排気温度センサ38に異常が発生しているか否かが判定される。これは、図3から確認できるように、推定温度Tcが変化すれば検出温度Taも変化することを基本原理としている。図3は、排気温度センサ38が正常であるときには、推定温度Tcの変化に伴って、検出温度Taが相関を持って変化し、排気温度センサ38が異常であるときには、推定温度Tcが変化しても検出温度Taが変化しない(図中A点以降)ことを明確に表している。従って、推定温度Tcの変化に応じて検出温度Taが変化しなければ異常であると判定するので、検出温度Taが、ある温度まで上昇して変化していたが、何らかの原因によってある温度から変動せずに一定値に固着するような異常をも判定することができると共に、排気温度センサ38が検出可能な全温度域での異常を判定することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態に係る排気温度センサの異常検出装置を適用した排気浄化装置の全体構成図
【図2】排気温度センサの異常を検出するフローチャート
【図3】検出温度Ta及び推定温度Tcの状態図
【符号の説明】
【0041】
10 エンジン
36 還元剤添加ECU
38 排気温度センサ
40 エンジン回転速度センサ
42 エンジン負荷センサ
44 警報装置

特許の図
【出願人】 【識別番号】000003908
【氏名又は名称】日産ディーゼル工業株式会社
【出願日】 平成18年9月22日(2006.9.22)
【代理人】 【識別番号】100078330
【弁理士】
【氏名又は名称】笹島 富二雄
【公開番号】 特開2008−76311(P2008−76311A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−257987(P2006−257987)