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【発明の名称】 モータ異常検出装置及び方法
【発明者】 【氏名】芹澤 亮

【氏名】徐 炳億

【要約】 【課題】正確にモータの異常を検出することができるモータ異常検出装置及び方法を提供する。

【構成】ΔTc/Tj検出部30が、DCモータ11への電力供給をオンオフするFET18の温度と周囲温度との差ΔTcを検出する。ダイアグ制御部31が、差ΔTcに基づいてDCモータ11のモータロックや、ショートといった異常を検出する。ダイアグ制御部31は、モータロックを検出するとPWM演算制御部23及びPWMOSC22を制御してPWM信号の周波数、デューティを下げる。一方、ショートを検出するとゲートドライブ26を制御してFET18をオフする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータの異常を検出するモータ異常検出装置であって、
前記モータに供給する電力のオンオフを行うスイッチ素子と、
前記スイッチ素子の温度を検出するスイッチ温度センサと、
周囲温度を検出する周囲温度センサと、
前記スイッチ素子の温度と前記周囲温度との差に基づいて前記モータの異常を検出する第1モータ異常検出手段と
を備えたことを特徴とするモータ異常検出装置。
【請求項2】
前記スイッチ素子が、ゲート−ソース間に駆動電圧を供給するとオンする半導体スイッチで構成され、そして、
前記スイッチ素子に所定値以上の過電流が流れたことを検出する過電流検出手段と、
前記過電流検出手段により過電流が検出されたとき前記スイッチ素子のゲート−ソース間に供給される駆動電圧を下げて前記スイッチ素子に流れる電流を制限する過電流制限手段と
を備えたことを特徴とする請求項1記載のモータ異常検出装置。
【請求項3】
前記スイッチ素子と前記スイッチ温度センサとが同一チップ内に設けられている
ことを特徴とする請求項1又は2記載のモータ異常検出装置。
【請求項4】
前記第1モータ異常検出手段が、前記スイッチ素子の温度と前記周囲温度との差がモータロック時に検出される前記差に設定された第1閾値を越えたときにモータロックを検出し、ショート時に検出される前記差に設定された第2閾値を越えたときにショートを検出するものである
ことを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載のモータ異常検出装置。
【請求項5】
前記モータロックを検出したときに前記スイッチ素子を制御して前記モータに供給する電力を下げるスイッチ制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載のモータ異常検出装置。
【請求項6】
前記ショートを検出したときに前記スイッチ素子をオフして前記モータに供給する電力を遮断する遮断手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4又は5記載のモータ異常検出装置。
【請求項7】
モータの異常を検出するモータ異常検出方法であって、
前記モータに供給する電力のオンオフを行うスイッチ素子の温度と周囲温度との差に基づいて前記モータの異常を検出する
ことを特徴とするモータ異常検出方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、モータ異常検出装置及び方法に係り、特に、モータの異常を検出するモータ異常検出装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
上述したモータとして、例えば自動車の冷却ファンやフューエルポンプ等の駆動源として使用されるものが知られている。このモータを駆動する装置の一つとして、電源からモータへの通電経路上にFETなどのスイッチ素子を設け、このスイッチ素子によってモータに供給する電源電圧のデューティを変化させることによって、モータの回転数を無段階に制御できるようにしたものが知られている。
【0003】
上記モータは、モータロックやショートが発生して過電流が流れ続けると、モータ巻線やスイッチ素子が熱破壊してしまう恐れがある。そこで、モータロックやショートによる過電流防止のため、種々の異常検出方式が用いられている。例えば、特許文献1、2のモータ駆動装置では、モータ通電電流が所定の閾値を超えたとき、異常と判断する方式が開示されている。また、スイッチ素子としてのFETのドレイン−ソース間に生じる電圧をモータ通電電流に応じた値として検出する方法も知られている。
【特許文献1】特開2001−298988号公報
【特許文献2】特開平10−8959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したモータ通電電流による異常検出方法では、短時間で断続的に過電流が流れる、いわゆるレアショートが発生すると、異常を正確に検出することができないという問題があった。即ち、レアショートのような瞬間的に発生する過電流は検出すること自体が難しく、レアショートが発生しても異常検出することができない。またレアショートはデッドショートに比べて過電流が小さいため、レアショートが発生しても所定の閾値を超えないことがある。しかしながら、レアショートであっても断続的に過電流が発生するとじわじわとスイッチ素子の温度が上昇し熱破壊に至る恐れがある。
【0005】
また、上述したモータ通電電流による異常検出方法では、経年変化によりスイッチ素子の放熱効率が落ちたりすると、異常を正確に検出することができなくなるという問題があった。即ち、経年変化により放熱効率が落ちると、今まで熱破壊の恐れがない電流であったとしても熱破壊してしまう恐れが生じる。
【0006】
そこで、本発明は、上記のような問題点に着目し、正確にモータの異常を検出することができるモータ異常検出装置及び方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の発明は、モータの異常を検出するモータ異常検出装置であって、前記モータに供給する電力のオンオフを行うスイッチ素子と、前記スイッチ素子の温度を検出するスイッチ温度センサと、周囲温度を検出する周囲温度センサと、前記スイッチ素子の温度と前記周囲温度との差に基づいて前記モータの異常を検出する第1モータ異常検出手段とを備えたことを特徴とするモータ異常検出装置に存する。
【0008】
請求項1記載の発明によれば、第1モータ異常検出手段が、スイッチ素子の温度と周囲温度との差に基づいてモータの異常を検出するので、レアショートが発生したり、経年変化によりスイッチ素子の放熱効率が落ちた場合であってもスイッチ素子が熱破壊に至る前に異常を検出することができる。
【0009】
請求項2記載の発明は、前記スイッチ素子が、ゲート−ソース間に駆動電圧を供給するとオンする半導体スイッチで構成され、そして、前記スイッチ素子に所定値以上の過電流が流れたことを検出する過電流検出手段と、前記過電流検出手段により過電流が検出されたとき前記スイッチ素子のゲート−ソース間に供給される駆動電圧を下げて前記スイッチ素子に流れる電流を制限する過電流制限手段とを備えたことを特徴とする請求項1記載のモータ異常検出装置に存する。
【0010】
請求項2記載の発明によれば、過電流検出手段が、スイッチ素子に所定値以上の過電流が流れたことを検出する。過電流制限手段が、電流検出手段により過電流が検出されたときスイッチ素子のゲート−ソース間に供給される駆動電圧を下げてスイッチ素子に流れる電流を制限する。従って、スイッチ素子がオンして突入電流が流れスイッチ素子に所定値以上の過電流が流れると、スイッチ素子に流れる電流が制限される。突入電流の場合には突入電流期間が経過するとスイッチ素子に流れる電流が減少し過電流検出手段が過電流を検出しなくなり、過電流制限手段による電流制限が解除され、通常の駆動電圧でスイッチ素子を駆動するようになる。このため、突入電流でモータに供給される電流が遮断されることがない。
【0011】
請求項3記載の発明は、前記スイッチ素子と前記スイッチ温度センサとが同一チップ内に設けられていることを特徴とする請求項1又は2記載のモータ異常検出装置に存する。
【0012】
請求項3記載の発明によれば、スイッチ素子とスイッチ温度センサとが同一チップ内に設けられているので、正確にスイッチ素子の温度を検出することができる。
【0013】
請求項4記載の発明は、前記第1モータ異常検出手段が、前記スイッチ素子の温度と前記周囲温度との差がモータロック時に検出される前記差に設定された第1閾値を越えたときにモータロックを検出し、ショート時に検出される前記差に設定された第2閾値を越えたときにショートを検出するものであることを特徴とする請求項1〜3何れか1項記載のモータ異常検出装置に存する。
【0014】
請求項4記載の発明によれば、スイッチ素子の温度と周囲温度との差が第1閾値を越えたときにモータロックを検出し、スイッチ素子の温度と周囲温度との差が第2閾値を越えたときにショートを検出するので、モータロック、ショートを識別して検出することができる。
【0015】
請求項5記載の発明は、前記モータロックを検出したときに前記スイッチ素子を制御して前記モータに供給する電力を下げるスイッチ制御手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4記載のモータ異常検出装置に存する。
【0016】
請求項5記載の発明によれば、スイッチ制御手段が、モータロックを検出したときにスイッチ素子を制御してモータに供給する電力を下げるので、モータロックによる一時的な過電流が発生した場合、スイッチ素子が熱破壊に至らないようにモータに対して電力を供給し続けることができる。
【0017】
請求項6記載の発明は、前記ショートを検出したときに前記スイッチ素子をオフして前記モータに供給する電力を遮断する遮断手段をさらに備えたことを特徴とする請求項4又は5記載のモータ異常検出装置に存する。
【0018】
請求項6記載の発明によれば、遮断手段が、ショートを検出したときにスイッチ素子をオフしてモータに供給する電力を遮断するので、スイッチ素子が熱破壊に至る前に電力を遮断することができる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように請求項1記載の発明によれば、レアショートが発生したり、経年変化によりスイッチ素子の放熱効率が落ちた場合であってもスイッチ素子が熱破壊に至る前に異常を検出することができるので、正確に異常を検出することができる。また、スイッチ素子の温度と周囲温度との差に基づいてモータの異常を検出するため、スイッチ素子に流れる電流によってだけでは検出することができないモータの異常を検出することができるので、正確に異常を検出することができる。
【0020】
請求項2記載の発明によれば、スイッチ素子がオンして突入電流が流れスイッチ素子に所定値以上の過電流が流れると、スイッチ素子に流れる電流が制限される。突入電流の場合には突入電流期間が経過するとスイッチ素子に流れる電流が減少し過電流検出手段が過電流を検出しなくなり、過電流制限手段による電流制限が解除され、通常の駆動電圧でスイッチ素子を駆動するようになる。このため、突入電流でモータに供給される電流が遮断されることがないので、突入電流をショートと誤検出することがなくなり、より正確にモータの異常を検出することができる。
【0021】
請求項3記載の発明によれば、正確にスイッチ素子の温度を検出することができるので、より一層正確に異常を検出することができる。
【0022】
請求項4記載の発明によれば、モータロック、ショートを識別して検出することができるので、正確に異常を検出することができる。
【0023】
請求項5記載の発明によれば、モータロックによる一時的な過電流が発生した場合、スイッチ素子が熱破壊に至らないようにモータに対して電力を供給し続けることができるので、スイッチ素子を確実に保護することができる。
【0024】
請求項6記載の発明によれば、スイッチ素子が熱破壊に至る前に電力を遮断することができるので、スイッチ素子を確実に保護することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明のモータ異常検出装置を組み込んだモータ装置の一実施の形態を示すブロック図である。同図に示すように、モータ装置は、DCモータ11を有している。DCモータ11は、例えば自動車に搭載された冷却ファンや、フェーエルポンプの動力源となるモータである。DCモータ11は、ヒューズ12、リレー13、フィルタ14を介して車載バッテリから電源供給を受けている。
【0026】
また、モータ装置は、FETモジュール15を有している。FETモジュール15は、フライホイールダイオード16と、ワンチップFET17とを有している。ワンチップFET17は、スイッチ素子としての電界効果トランジスタ18(以下FET18)と、スイッチ温度センサ19とをワンチップ上に内蔵している。
【0027】
フライホイールダイオード16は、DCモータ11に並列接続されている。FET18は、DCモータ11に直列接続されていて、DCモータ11に供給する電力のオンオフを行う。また、スイッチ温度センサ19は、互いに直列接続された複数のダイオードから構成され、FET17の温度を検出する。
【0028】
モータ装置は、ECU20とモータ制御部21とを備えている。ECU20は、例えば冷却水の温度に基づいて求めた冷却ファンの風量、アクセルペダルの操作量から求めたフューエルポンプの噴出量などに応じた制御入力をモータ制御部21に対して供給する。モータ制御部21は、PWMOSC22と、PWM演算制御部23とを有している。
【0029】
PWMOSC22は、例えばPWM信号用の一定周期の三角波を出力する発振器である。PWM演算制御部23は、上記三角波と予め定めた閾値とを比較してPWM信号を出力するコンパレータ及び閾値を制御してPWM信号のデューティを制御する制御部(何れも図示せず)などから構成されている。
【0030】
モータ制御部21はまた、rms電圧検出部24と、電源電圧検出部25とを有している。rms電圧検出部24には、DCモータ11の両端電圧が供給されている。rms電圧検出部24は、フライホイールダイオード16の両端電圧からDCモータ11の両端電圧の実効値を求め、この求めた実効値をPWM演算制御部23に対して供給している。
【0031】
電源電圧検出部25には、フライホイールダイオード16の車載バッテリ側の電圧が供給されている。電源電圧検出部25は、フライホイールダイオード16の車載バッテリ側の電圧から電源電圧を求め、この求めた電源電圧をPWM演算制御部23に対して供給している。
【0032】
PWM演算制御部23は、rms電圧検出部24から供給される実効値が制御入力に対応した値となるようなデューティのPWM信号を出力する。また、PWM演算制御部23は、電源電圧検出部25から供給される電源電圧を監視し、電源電圧の変動を補正したPWM信号を出力する。
【0033】
PWM演算制御部23から出力されるPWM信号はゲートドライブ26に供給される。ゲートドライブ26は、PWM信号と同じパルス状のゲート駆動電圧をFET18のゲートに供給する。FET18は、ゲート駆動電圧が供給されると、ドレイン−ソース間が導通してDCモータ11に車載バッテリからの電力が供給される。
【0034】
モータ装置は、過電流検出部27と、ゲートクランプ28とを有している。過電流検出部27は、FET18のドレイン電圧(即ち、ドレイン−ソース間電圧)が供給されている。過電流検出部27は、請求項中の過電流検出手段として働き、ドレイン−ソース電圧がショート判定の閾値を越えていると、FET18に所定値以上の過電流が流れていると判定する。過電流検出部27は、ドレイン−ソース電圧がショート判定の閾値を越えている、即ち過電流が流れていると判定したとき、その旨をゲートクランプ28に伝える。
【0035】
ゲートクランプ28は、ゲートドライブ26とFET18のゲートとの間に設けられている。ゲートクランプ28は、過電流検出部27が過電流判定すると例えばFET18のゲート−ソース間にツェナーダイオードを接続し、ゲート駆動電圧を強制的にツェナー電圧に下げる。これにより、ゲートドライブ26からのゲート駆動電圧がツェナー電圧にクランプされ1、FET18に流れる電流が制限される。
【0036】
モータ装置はまた、Ref.温度センサ29(周囲温度センサ)と、ΔTc/Tj検出部30と、ダイアグ制御部31とを有している。Ref.温度センサ29は、互いに直列接続された複数のダイオードから構成され、周囲温度(基準温度)を検出する。
【0037】
ΔTc/Tj検出部30には、スイッチ温度センサ19が検出したFET18の温度と、Ref.温度センサ29が検出した周囲温度とが供給されている。ΔTc/Tj検出部30は、FET18の温度と周囲温度との差ΔTcを求め、この求めた差ΔTcをダイアグ制御部31に対して供給する。ΔTc/Tj検出部30は、FET18の温度をFET18の絶対温度Tjとしてダイアグ制御部31に供給する。
【0038】
ダイアグ制御部31は、第1モータ異常検出手段として働き、差ΔTcに基づいてDCモータ11の異常を検出する。即ち、ダイアグ制御部31は、差ΔTcが予め定めたロック検出閾値ΔTc−1(=第1閾値)を超えるとモータロックを検出する。ロック検出閾値ΔTc−1は、モータロック時に検出される差ΔTcに予め設定されている。
【0039】
ダイアグ制御部31は、モータロックを検出するとPWMOSC22の周波数を正常時の1/10になるように制御する。また、ダイアグ制御部31は、モータロックを検出するとモータロックを示すステータス出力をPWM演算制御部23及びECU20に対して出力する。PWM演算制御部23は、モータロックを示すステータス出力を入力するとPWM信号のデューティを下げる。これにより、PWM演算制御部23からは、1/10周波数のLowデューティのPWM信号が出力される。
【0040】
ダイアグ制御部31はまた、差ΔTcがロック検出閾値ΔTc−1よりも大きい過熱遮断検出閾値ΔTc−2(=第2閾値)を超えてチップ過熱状態を検出したり、絶対温度Tjが過熱閾値(例えば150°)を超えると、ゲートドライブ26からのゲート駆動電圧の出力を停止させる。過熱遮断検出閾値ΔTc−2は、デッドショート時に検出される差ΔTcに予め設定されている。
【0041】
モータ装置は、レギュレータ32と、リレー制御部33と、マスターOSC34とを有する。レギュレータ32は、車載バッテリの供給電圧からモータ制御部21用の電源電圧を生成する。リレー制御部33は、ECU20からのリレー制御入力に応じてリレー13内のリレーコイルを通電してリレースイッチをオンする。リレー13のリレースイッチのオンに応じて、DCモータ11に電力が供給できるようになる。マスターOSC34は、モータ制御部21用の基本動作クロックを発生する発振器である。
【0042】
上述した構成のモータ装置の動作について図2及び図3に示すタイムチャートを参照して以下説明する。図2(A)及び(B)はそれぞれ、モータロック発生時の差ΔTcとPWM信号とのタイムチャートである。図3(A)及び(B)はそれぞれ、ショート時の差ΔTcとゲート駆動電圧とのタイムチャートである。まず、ECU20は、リレー制御入力をリレー制御部33に対して出力して、DCモータ11を電力供給可能な状態とする。正常時は、PWM演算制御部23が、rms電圧検出部24から供給される実効値がECU20からの制御入力に対応した値となるようなデューティのPWM信号を出力する。
【0043】
モータロックが発生すると、FET18に過電流が流れ、FET18の温度が上昇する。これにより、図2(A)に示すように、FET18の温度と周囲温度の差ΔTcが大きくなる。そして、差ΔTcがロック検出閾値ΔTc−1を超えるとダイアグ制御部31がモータロックを検出して、PWMOSC22の周波数を正常時の1/10になるように制御する。また、ダイアグ制御部31は、PWM演算制御部23及びECU20に対してモータロックを示すステータス出力を供給する。
【0044】
PWM演算制御部23は、モータロックを示すステータス出力を入力するとPWM信号のデューティを正常時よりも下げる。これにより、図2(B)に示すように、PWM信号からは、正常時のPWM信号に対して1/10周波数、LowデューティとなるPWM信号が出力される。この1/10周波数、LowデューティとなるPWM信号の出力によってFET18のオン期間が短くなりDCモータ11に供給される電力が下がる。以上のことから明らかなようにPWM演算制御部23及びダイアグ制御部31が請求項中のスイッチ制御手段として働く。
【0045】
電力が下がるとFET18の温度が下がり、FET18の温度と周囲温度の差ΔTcが小さくなる。差ΔTcがロック復帰検出閾値(ΔTc−1)復帰以下になるとダイアグ制御部31がモータロックの検出を解除して、PWMOSC22の周波数を正常時の周波数に戻す。また、ダイアグ制御部31は、PWM演算制御部23及びECU20に対してモータロックを示すステータス出力を停止する。
【0046】
PWM演算制御部23は、モータロックを示すステータス出力が停止されるとPWM信号のデューティを正常時のデューティに戻す。これにより、図2(B)に示すように正常時のPWM信号が出力される。PWM信号が正常時の周波数、デューティに戻ったときにモータロックが継続していれば、再び差ΔTcがロック検出閾値ΔTc−1を超えてダイアグ制御部31によりモータロックが検出される。以下、モータロックが解除されるまで、1/10周波数、LowデューティのPWM信号と正常時のPWM信号とが交互に出力される。以上の動作により、FET18が周囲温度よりもロック検出閾値ΔTc−1を上回った温度で動作されることがない。
【0047】
一方、デッドショートが発生すると、FET18のゲート−ソース電圧がショート判定の閾値を越える。そして、過電流検出部27がショートを検出してゲートクランプ28を起動しFET18のゲート電圧をツェナーダイオードなどでツェナー電圧にクランプし、FET18に流れる電流を制限する。FET18には、ロック電流より大きな過電流が流れ続ける為、FET18の温度が急上昇する。これにより、図3(A)に示すように、FET18の温度と周囲温度の差ΔTcが急増する。そして、差ΔTcが過熱遮断検出閾値ΔTc−2を超えるとダイアグ制御部31がチップ過熱を検出して、請求項中の遮断手段として働き、ゲートドライブ26からのゲート駆動電圧の出力を停止させる。
【0048】
ゲート駆動電圧の出力停止により、FET18はオフする。このため、DCモータ11に対する電力の供給が遮断され、FET18に流れる電流が遮断される。FET18に流れる電流が遮断されるとFET18の温度が下がり、FET18の温度と周囲温度の差ΔTcが小さくなる。ダイアグ制御部31は、差ΔTcが小さくなり、過熱遮断復帰閾値(ΔTc−2)復帰、ロック復帰検出閾値(ΔTc−1)復帰以下となってもイグニッションスイッチがオフされるまで、ゲート駆動電圧の出力停止を保持する。
【0049】
また、ダイアグ制御部31は、PWM演算制御部23及びECU20に対してショートを示すステータス出力を供給する。PWM演算制御部23は、ショートを示すステータス出力が供給されると、PWM信号の供給を停止する。
【0050】
また、上述したようにFET18の絶対温度Tjが閾値を超えたときもダイアグ制御部31は、イグニッションスイッチがオフされるまでゲート駆動電圧の出力を停止する。
【0051】
上述したモータ装置によれば、FET18の温度と周囲温度との差ΔTc、即ち周囲温度の変動分をキャンセルしたFET18の温度によって、DCモータ11の異常を検出している。このため、周囲温度の影響を受けず正確にDCモータ11の異常を検出することができる。
【0052】
また上述したモータ装置によれば、レアショートが発生したり、経年変化によりFET18の放熱効率が落ちた場合であってもFET18が熱破壊に至る前に異常を検出することができる。つまり、瞬間的な過電流や、小さい過電流がFET18に流れるレアショートが発生しても、過電流検出部27では過電流として検出できない。しかしながら、レアショートによりFET18の温度が上昇するとダイアグ制御部31が差ΔTcの上昇を検出して異常を検出することができる。
【0053】
また、経年変化によりFET18の放熱効率が落ちて、過電流検出部27では過電流として検出しないような電流が流れてもFET18の温度が上昇することがある。この場合も、ダイアグ制御部31がこのFET18の温度上昇に起因した差ΔTcの上昇を検出して異常を検出することができる。
【0054】
また、上述したモータ装置によれば、FET18とスイッチ温度センサ19とが同一チップ内に設けられているので、正確にFET18の温度を検出することができ、より一層正確にDCモータ11の異常を検出することができる。
【0055】
また、上述したモータ装置によれば、FET18の温度と周囲温度との差ΔTcがロック検出閾値ΔTc−1を越えたときにモータロックを検出し、過熱遮断検出閾値ΔTc−2を越えたときにショートを検出するので、モータロック、ショートを識別して検出することができ。正確にDCモータ11の異常を検出することができる。
【0056】
また、上述したモータ装置によれば、ダイアグ制御部31、PWM演算制御部23が、モータロックを検出したときに周波数やデューティを下げたPWM信号をFET18に出力してDCモータ11に供給する電力を下げるので、モータロックによる一時的な過電流が発生した場合、FET18が熱破壊に至らないようにDCモータ11に対して電力を供給し続けることができ、FET18を確実に保護することができる。
【0057】
また、上述したモータ装置によれば、ダイアグ制御部31が、ショートを検出したときにゲートドライブ26からのゲート駆動電圧の出力を停止してFET18をオフしてDCモータ11に供給する電力を遮断するので、FET18が熱破壊に至る前に電力を遮断することができ、FET18を確実に保護することができる。
【0058】
なお、上述した実施形態によれば、スイッチ素子としてはFETを用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、トランジスタなどDCモータ11に供給する電力のオンオフを行うことができるものであればよい。
【0059】
また、上述した実施形態によれば、スイッチ温度センサ19、Ref.温度センサ29としては、ダイオードを用いていたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、サーモパイル、測温抵抗など温度を検出できるものであればよい。
【0060】
また、上述した実施形態によれば、PWM演算制御部23及びダイアグ制御部31は、モータロックを検出すると1/10周波数、Lowデューティに制御していたが、本発明はこれに限ったものではない。例えば、差ΔTcがロック検出閾値ΔTc−1を越えると、差ΔTcがロック復帰検出閾値(ΔTc−1)復帰を下回るまでFET18をオフしてDCモータ11に流れる電流を遮断してもよい。
【0061】
また、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明のモータ異常検出装置を組み込んだモータ駆動装置の一実施の形態を示すブロック図である。
【図2】(A)及び(B)はそれぞれ、モータロック発生時の差ΔTcとPWM信号とのタイムチャートである。
【図3】(A)及び(B)はそれぞれ、ショート時の差ΔTcとゲート駆動電圧とのタイムチャートである。
【符号の説明】
【0063】
11 DCモータ(モータ)
18 FET(スイッチ素子)
19 スイッチ温度センサ
23 PWM演算制御部(スイッチ制御手段)
29 Ref.温度センサ(周囲温度センサ)
27 過電流検出部(電流センサ、第2モータ異常検出手段)
31 ダイアグ制御部(第1モータ異常検出手段、スイッチ制御手段、遮断手段)
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成18年8月31日(2006.8.31)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄

【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男

【識別番号】100075421
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 勇


【公開番号】 特開2008−58134(P2008−58134A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−234987(P2006−234987)