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【発明の名称】 温度補償回路
【発明者】 【氏名】安斎 亮一

【要約】 【課題】連続的な特性を持つ温度補正を行い、回路規模が小さい温度補償回路を提供する。

【構成】電流Ia2、電流Ib2及び電流Ic2に基づいて接続点14の出力電圧VOUTが決定され、その出力電圧VOUTによって温度センサ回路の出力電圧が温度補正されるので、電流Ia2、電流Ib2及び電流Ic2の電流変化に基づいた連続的な特性を持つ温度補正が行われる。また、温度補償回路が複数個用意されなくて1個だけ用意されるので、回路規模が小さくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
温度センサ回路の出力電圧を温度補正する温度補償回路において、
電源電圧及び第一温度特性を有する第一抵抗に基づき、第一電流を出力する第一電流出力手段と、
前記電源電圧及び第二温度特性を有する第二抵抗に基づき、第二電流を出力する第二電流出力手段と、
前記第一電流に基づいた電流と前記第二電流に基づいた電流とが極性を異にして供給される接続点と、
前記接続点に前記第一電流に基づいた電流と前記第二電流に基づいた電流との差に基づいた電流を供給するカレントミラー回路と、
を備えていることを特徴とする温度補償回路。
【請求項2】
前記カレントミラー回路は、
前記第一電流に基づいた電流が前記第二電流に基づいた電流よりも小さい場合、前記接続点に前記第二電流に基づいた電流から前記第一電流に基づいた電流を減算した電流に基づいた電流を供給し、
前記第一電流に基づいた電流が前記第二電流に基づいた電流以上の場合、前記接続点に電流を供給しない、
ことを特徴とする請求項1記載の温度補償回路。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、温度センサ回路の出力電圧を温度補正する温度補償回路に関する。
【背景技術】
【0002】
一般にセンサの出力等は温度により変動をする。そして例えば、圧力センサのようなものは、センサ出力信号の零点オフセット電圧が温度に対して非直線に変化する。これを図9を用いて説明すると、センサ出力は理想的には、曲線61のように、零点オフセット電圧が温度Ta に関係なく一定であるべきであるが、実際には曲線62〜64に示すように、規則性なく正あるいは負の両方に変動をする。このようなセンサに対しては、個々のセンサに対してそれぞれ異なる温度補正をかける必要があり、そのために正の補正と負の補正およびその補正量を自由に可変できる回路が必要である。このような問題を解決するために、例えば特許文献1のような方法が提案されている。すなわち、図5の回路図において、1は温度補償回路である。電源Vccおよび抵抗R5,R6により分圧された調整用電圧Viが温度補償回路1の端子11,12に供給される。調整用電圧Viは、2つのオペアンプOP1,OP2の正端子に供給される。各オペアンプOP1,OP2は、トランジスタTr1、Tr2と共にV/I変換器(電圧/電流変換器)を構成する。V/I変換器により調整用電圧Viに比例した電流Ia ,Ib が、それぞれ温度係数TC1,TC2の異なる温度補償用抵抗R1,R2に供給される。これらの電流Ia ,Ib はトランジスタTr 3,Tr 4に流される。トランジスタTr3とTr5、Tr4とTr6およびTr 7とTr 8はそれぞれカレントミラー回路を構成し、温度補償用抵抗R1,R2に流れる電流と等しい電流をトランジスタTr5とTr6さらにはTr7とTr8に流す。電源VccとアースG間には分圧抵抗R3,R4が接続される。トランジスタTr 5が電源Vcc側に接続された抵抗R3と並列に接続され、トランジスタTr 7がアースG側に接続された抵抗R4と並列に接続される。トランジスタTr5の電流Ia は分圧抵抗R3,R4の接続点14に流入し、トランジスタTr7の電流Ib は接続点14から流出することとなる。接続点14の電圧は端子13から温度補償回路1の出力Voとして導出される。この温度補償回路1の出力Voは、センサ出力が接続されるオペアンプOP3の負側入力端子に接続され、温度により変動するセンサ出力に対して温度補償を行う。この温度補償回路を複数個用いることにより、温度に対して非直線に変化するセンサ出力電圧を補正することができる。これを図7で説明する。4つの温度補償回路1〜4が用意される。各温度補償回路1〜4は、内部の温度補償用抵抗R1,R2の抵抗値をそれぞれ別個に設定する。第1の温度補償回路1は設定温度Ta =25℃未満で負の温度補正を行うようにTC1>TC2とし、第2の温度補償回路2は設定温度未満で正の温度補正を行うようにTC1<TC2とし、第3の温度補償回路3は設定温度以上で負の温度補正を行うようにTC1>TC2とし、第4の温度補償回路4は設定温度以上で正の温度補正を行うようにTC1<TC2とする。また、各温度補償回路1〜4は、それぞれ調整用電圧Viが供給され、その補正量を個別に自由に設定できるようにしている。そして、各温度補償回路1〜4は図5の分圧抵抗R3,R4が省略され、この分圧抵抗R3,R4の代わりに共通の分圧抵抗Ra ,Rb が設けられる。したがって、トランジスタTr 5とトランジスタTr7の接続点が端子13から導出され、後で説明する接点6,7を通して共通の分圧抵抗Ra ,Rb に接続される。
【0003】
各温度補償回路1〜4とは別に温度検知回路5が設けられ、この温度検知回路5は、検知した温度により各接点6,7をオン・オフする。温度Ta が設定温度25℃以上で接点6をオフ、接点7をオンし、設定温度未満で接点6をオン、接点7をオフする。そして、設定温度未満で用いる温度補償回路1と2の出力は、接点6を通して分圧抵抗Ra ,Rb の接続点15に接続され、設定温度以上で用いる温度補償回路3と4の出力は、接点7を通して接続点15に接続される。そして、分圧抵抗Ra ,Rb の接続点15の出力Voは、センサ出力が接続されるオペアンプOP3の負端子に入力され、温度により変動するセンサ出力に対して温度補償を行う。例えば温度補正をするセンサ出力特性が、図9の曲線62に示すものとすると、設定温度25℃以上では、負の温度補正を、以下では正の温度補正を行うことが必要となる。また、その補正量は、設定温度以上では、比較的大きく、以下では比較的小さく設定する必要がある。このため温度補償回路として1と4が選択される。残りの温度補償回路2と3は、調整用電圧Viを端子12に入力する線を切断することにより、出力がされないようにする。また、大きな負の温度補正を行う温度補償回路4には、大きな調整用電圧Viが入力されるように分圧抵抗R5d ,R6d を調整し、小さな正の温度補正を行う温度補償回路1には、小さな調整用電圧Viが入力されるように分圧抵抗R5a ,R6a を調整する。これにより、図8の曲線52と54が補正量を調整した上で選択されたことになる。そして各温度補償回路1,4の出力は、温度に応じて温度検知回路5により選択されて、分圧抵抗Ra ,Rb に入力され、実施例1で説明した原理により温度に応じた補正量を分圧抵抗Ra ,Rb の接続点15に発生させる。この温度補償回路の出力Voは、オペアンプOP3に入力されて、センサ出力の温度補正を行う。
【特許文献1】特開平06−174489号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の方法では、一の温度補償回路が他の温度補償回路に切り替わる前後において、非連続的な特性を持つ温度補正が行われる可能性がある。例えば、図8に示すように、設定温度25°Cで切り替わるときは、温度補正の補正量の連続性はあるが、他の温度で切り替わってしまったときには、連続性はなくなってしまう。
【0005】
また、温度補償回路が4個用意されるので、回路規模が大きくなってしまう。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、連続的な特性を持つ温度補正を行い、回路規模が小さい温度補償回路を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明では、上記課題を解決するため、温度センサ回路の出力電圧を温度補正する温度補償回路において、電源電圧及び第一温度特性を有する第一抵抗に基づき、第一電流を出力する第一電流出力手段と、前記電源電圧及び第二温度特性を有する第二抵抗に基づき、第二電流を出力する第二電流出力手段と、前記第一電流に基づいた電流と前記第二電流に基づいた電流とが極性を異にして供給される接続点と、前記接続点に前記第一電流に基づいた電流と前記第二電流に基づいた電流との差に基づいた電流を供給するカレントミラー回路と、を備えていることを特徴とする温度補償回路が提供される。
【0008】
このようにすると、接続点に第一温度特性に基づいた第一電流と第二温度特性に基づいた第二電流とが供給され、さらに、接続点に第一電流に基づいた電流と第二電流に基づいた電流との差に基づいた電流が供給され、それらの電流に基づいて接続点の電圧が決定される。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、第一電流、第二電流、及び、第一電流に基づいた電流と第二電流に基づいた電流との差に基づいて接続点の電圧が決定され、その接続点の電圧によって温度センサ回路の出力電圧が温度補正されるので、第一電流、第二電流、及び、第一電流に基づいた電流と第二電流に基づいた電流との差の電流変化に基づいた連続的な特性を持つ温度補正が行われる。
【0010】
また、本発明では、温度補償回路が複数個用意されなくて1個だけ用意されるので、回路規模が小さくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
(第一の実施形態)
【0012】
まず、第一の実施形態の温度補償回路について説明する。図1は、第一の実施形態の温度補償回路の概略を示す図である。
【0013】
温度補償回路は、トランジスタM1〜14、抵抗R1〜6、接続点14、接続点16、及び、オペアンプOP1〜2を備えている。
【0014】
電源電圧VCCとグランドGとの間に抵抗R5〜6が設けられていて、電源電圧VCCは、これらの抵抗によって分圧されて調整電圧Viになり、オペアンプOP1〜2の非反転入力端子にそれぞれ入力される。オペアンプOP1及びトランジスタM1は電圧/電流変換機を構成していて、この変換機は、調整電圧Viに基づいた電流Ia1を温度係数TC1の抵抗R1に流し、この電流Ia1は、トランジスタM3にも流れる。同様に、オペアンプOP2及びトランジスタM2も、調整電圧Viに基づいた電流Ib1を温度係数TC2の抵抗R2に流し、この電流Ib1は、トランジスタM4にも流れる。
【0015】
ここで、トランジスタM3とトランジスタM5とトランジスタM9とはカレントミラー回路を構成していて、電流Ia1に基づいた電流Ia2が接続点14に流れ込む。また、トランジスタM4とトランジスタM6とトランジスタM10とはカレントミラー回路を構成し、トランジスタM7〜8もカレントミラー回路を構成していて、電流Ib1に基づいた電流Ib2が接続点14から引き抜かれる。
【0016】
また、上記のカレントミラー回路により、電流Ia1に基づいた電流Ia3が接続点16に流れ込む。また、トランジスタM11〜12はカレントミラー回路を構成していて、電流Ib1に基づいた電流Ib3が接続点16から引き抜かれる。
【0017】
このとき、トランジスタM13〜14がカレントミラー回路を構成し、トランジスタM13のドレインが接続点16に接続され、トランジスタM14のドレインが接続点14に接続されていて、電流Ib3から電流Ia3を減算した電流Ic1がトランジスタM13に流れる。また、この電流Ic1に基づいた電流Ic2がトランジスタM14に流れ、電流Ic2は接続点14に流れ込む。
【0018】
この接続点14には電源電圧VCC側に抵抗R3及びグランドG側に抵抗R4が設けられていて、接続点14の出力電圧VOUTが、図示しない温度センサ回路の出力電圧を温度補正する。
【0019】
なお、トランジスタM11〜12におけるミラー比、及び、トランジスタM13〜14におけるミラー比は、トリミング及び外部からの信号による回路変更によって変更できる。
【0020】
次に、出力電圧VOUTについて説明する。図2は、第一の実施形態の出力電圧の温度特性を示す図である。
【0021】
ここで、抵抗R2の温度係数TC2が抵抗R1の温度係数TC1よりも大きく、温度Tが25℃のときに抵抗R1〜2の抵抗値が等しくなるとする。温度Tが25℃のときの抵抗R1〜2の抵抗値を両方共にRoとし、温度TをTとし、抵抗R1の抵抗値をR1とし、抵抗R2の抵抗値をR2とすると、抵抗値R1は、
R1=Ro*{1+TC1*(T−25)}・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
によって算出され、抵抗値R2は、
R2=Ro*{1+TC2*(T−25)}・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
によって算出される。
【0022】
また、調整電圧Viの電圧値をViとすると、トランジスタM3に流れる電流Ia1の電流値Ia1は、
Ia1=Vi/R1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(3)
によって算出され、トランジスタM4に流れる電流Ib1の電流値Ib1は、
Ib1=Vi/R2・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(4)
によって算出される。
【0023】
また、トランジスタM11とトランジスタM12とのミラー比を1:K1とすると、電流Ib3の電流値Ib3は、
Ib3=K1*Ib1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(5)
によって算出される。
【0024】
上記の式(1)〜(5)より、Ia3=Ib3のときの温度Tを設定温度Toとし、この設定温度Toは、
To=25+(1−K1)/(K1*TC1−TC2)・・・・・・・・・・・・(6)
によって算出される。
【0025】
温度Tがこの設定温度To以上のとき、抵抗R2の温度係数TC2>抵抗R1の温度係数TC1であり、抵抗値R2≧抵抗値R1であるので、電流値Ib3≦電流値Ia3となる。このとき、接続点16の電圧はほぼ電源電圧VCCと等しくなり、トランジスタM13〜14は電流を流さない。このとき、出力電圧VOUTの電圧値VOUTは、
VOUT=R3*R4/(R3+R4) * [VCC/R3 + (1/R1 - 1/R2)*Vi]・・・・・・・・・・・・・(7)
によって算出される。
【0026】
温度Tが設定温度To未満のとき、電流値Ib3>電流値Ia3となる。このとき、トランジスタM13の電流Ic1の電流値Ic1は、
Ic1
=Ib3−Ia3
=K1*Ib1−Ia3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(8)
によって算出される。また、トランジスタM14の電流Ic2の電流値Ic2は、トランジスタM13とトランジスタM14とのミラー比を1:K2とすると、
Ic2
=K2*Ic1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(9)
によって算出される。この電流Ic2が接続点14に流れ込み、その分、接続点14の出力電圧VOUTは上昇し、出力電圧VOUTの電圧値VOUTは、
VOUT=R3*R4/(R3+R4) * [VCC/R3 + [(1/R1 - 1/R2) - K2*(1/R1 - K1/R2)]*Vi]・・(10)
によって算出される。
【0027】
このようにすると、電流Ia2、電流Ib2及び電流Ic2に基づいて接続点14の出力電圧VOUTが決定され、その出力電圧VOUTによって温度センサ回路の出力電圧が温度補正されるので、電流Ia2、電流Ib2及び電流Ic2の電流変化に基づいた連続的な特性を持つ温度補正が行われる。
【0028】
また、温度補償回路が複数個用意されなくて1個だけ用意されるので、回路規模が小さくなる。
【0029】
また、温度Tが設定温度To以上の高温からTo未満の低温になると、出力電圧VOUTの温度依存性は式(7)から(10)に移行し、図2に示したように、温度依存性が小さくなる。
【0030】
また、式(7)及び(10)から、調整電圧Viが調整されると、出力電圧VOUTも調整され、温度センサ回路の出力電圧を温度補正するときの補正量も調整される。また、式(6)から、トランジスタM11とトランジスタM12とのミラー比1:K1が調整されると、設定温度Toも調整される。例えば、K1>1に調整されると、To<25℃となり、K1<1に調整されると、To>25℃となる。また、式(10)から、トランジスタM13とトランジスタM14とのミラー比1:K2が調整されると、温度Tが低温のときの出力電圧VOUTも調整される。
(第二の実施形態)
【0031】
次に、第二の実施形態の温度補償回路について説明する。図3は、第二の実施形態の温度補償回路の概略を示す図である。
【0032】
第二の実施形態の温度補償回路は、第一の実施形態の温度補償回路と比較し、トランジスタM11〜14が削除され、トランジスタM15〜18が追加されている。また、接続点16が削除され、接続点17が追加されている。
【0033】
電源電圧VCCは、分圧されて調整電圧Viになり、オペアンプOP1〜2の非反転入力端子にそれぞれ入力される。オペアンプOP1及びトランジスタM1は、調整電圧Viに基づいた電流Ia1を温度係数TC1の抵抗R1に流し、この電流Ia1は、トランジスタM3にも流れる。同様に、オペアンプOP2及びトランジスタM2も、調整電圧Viに基づいた電流Ib1を温度係数TC2の抵抗R2に流し、この電流Ib1は、トランジスタM4にも流れる。
【0034】
ここで、電流Ia1に基づいた電流Ia2が接続点14に流れ込む。また、電流Ib1に基づいた電流Ib2が接続点14から引き抜かれる。
【0035】
また、電流Ia1に基づいた電流Ia4が接続点17から引き抜かれる。また、電流Ib1に基づいた電流Ib4が接続点17に流れ込む。
【0036】
このとき、電流Ib4から電流Ia4を減算した電流Ic3がトランジスタM17に流れる。また、この電流Ic3に基づいた電流Ic4がトランジスタM18に流れ、電流Ic4は接続点14から引き抜かれる。
【0037】
接続点14の出力電圧VOUTが、図示しない温度センサ回路の出力電圧を温度補正する。
【0038】
次に、出力電圧VOUTについて説明する。図4は、第二の実施形態の出力電圧の温度特性を示す図である。
【0039】
ここで、第一の実施形態における式(1)〜(4)は、第二の実施形態でも成り立つ。
【0040】
トランジスタM15とトランジスタM16とのミラー比を1:K3とすると、電流Ia4の電流値Ia4は、
Ia4=K3*Ia1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(11)
によって算出される。
【0041】
上記の式(1)〜(4)及び式(11)より、Ia4=Ib4のときの温度Tを設定温度Toとし、この設定温度Toは、
To=25+(1−K3)/(K3*TC1−TC2)・・・・・・・・・・・・(12)
によって算出される。
【0042】
温度Tがこの設定温度To以上のとき、抵抗R2の温度係数TC2>抵抗R1の温度係数TC1であり、抵抗値R2≧抵抗値R1であるので、電流値Ib4≦電流値Ia4となる。このとき、接続点17の電圧はほぼグランドGと等しくなり、トランジスタM17〜18は電流を流さない。このとき、出力電圧VOUTの電圧値VOUTは、
VOUT=R3*R4/(R3+R4) * [VCC/R3 + (1/R1 - 1/R2)*Vi]・・・・・・・・・・・・・(13)
によって算出される。
【0043】
温度Tが設定温度To未満のとき、電流値Ib4>電流値Ia4となる。このとき、トランジスタM17の電流Ic3の電流値Ic3は、
Ic3
=Ib4−Ia4
=Ib4−K3*Ia1・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14)
によって算出される。また、トランジスタM18の電流Ic4の電流値Ic4は、トランジスタM17とトランジスタM18とのミラー比を1:K4とすると、
Ic4
=K4*Ic3・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(15)
によって算出される。この電流Ic4が接続点14から引き抜かれ、その分、接続点14の出力電圧VOUTは下降し、出力電圧VOUTの電圧値VOUTは、
VOUT=R3*R4/(R3+R4) * [VCC/R3 + [(1/R1 - 1/R2) + K4*(K3/R1 - 1/R2)]*Vi]・・(16)
によって算出される。
【0044】
このようにすると、温度Tが設定温度To以上の高温からTo未満の低温になると、出力電圧VOUTの温度依存性は式(13)から(16)に移行し、図4に示したように、温度依存性が大きくなる。
【0045】
また、式(13)及び(16)から、調整電圧Viが調整されると、出力電圧VOUTも調整され、温度センサ回路の出力電圧を温度補正するときの補正量も調整される。また、式(12)から、トランジスタM15とトランジスタM16とのミラー比1:K3が調整されると、設定温度Toも調整される。また、式(16)から、トランジスタM17とトランジスタM18とのミラー比1:K4が調整されると、温度Tが低温のときの出力電圧VOUTも調整される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】第一の実施形態の温度補償回路の概略を示す図である。
【図2】第一の実施形態の出力電圧の温度特性を示す図である。
【図3】第二の実施形態の温度補償回路の概略を示す図である。
【図4】第二の実施形態の出力電圧の温度特性を示す図である。
【図5】従来の温度補償回路の概略を示す図である。
【図6】抵抗R1〜2の温度特性を示す図である。
【図7】図5の従来の温度補償回路を複数個用意したときを示す図である。
【図8】図7の複数個の温度補償回路による補正量を示す図である。
【図9】温度センサ回路の零点オフセット電圧の温度特性の例を示す図である。
【符号の説明】
【0047】
M1〜14 トランジスタ
R1〜6 抵抗
VCC 電源電圧
G グランド
Vi 調整電圧
VOUT 出力電圧
14、16 接続点
OP1、OP2 オペアンプ
Ia1〜3、Ib1〜3、Ic1〜2 電流
【出願人】 【識別番号】000002325
【氏名又は名称】セイコーインスツル株式会社
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100079212
【弁理士】
【氏名又は名称】松下 義治


【公開番号】 特開2008−58016(P2008−58016A)
【公開日】 平成20年3月13日(2008.3.13)
【出願番号】 特願2006−232194(P2006−232194)