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【発明の名称】 熱型赤外線固体撮像装置及び赤外線カメラ
【発明者】 【氏名】吉田 真治

【氏名】井上 謙一

【氏名】東條 友昭

【要約】 【課題】優れた断熱性を実現する中空構造を低価格で且つ高歩留りに製造できる高精細な熱型赤外線撮像装置を提供する。

【構成】熱型赤外線固体撮像装置10は、トランジスタが形成された基板11と、基板11上に形成された絶縁膜12と、絶縁膜12中に形成された空隙13と、絶縁膜12における空隙13の上側のメンブレン部14に形成され且つトランジスタと共に赤外線検出を行なうための熱検出部16とを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トランジスタが形成された基板と、
前記基板上に形成された絶縁膜と、
前記絶縁膜中に形成された空隙と、
前記絶縁膜における前記空隙の上側のメンブレン部に形成され且つ前記トランジスタと共に赤外線検出を行なうための熱検出部とを備えることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項2】
請求項1において、
前記絶縁膜における前記熱検出部の周囲に、前記熱検出部を支持するための少なくとも1つの支持部を残し且つ前記空隙に達する開口が形成されていることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項3】
請求項1又は2において、
前記空隙の周囲における絶縁膜上面と、前記メンブレン部上面とは、それぞれ高さの差が500nm以下となるように形成されていることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項4】
請求項1において、
前記空隙の周囲における前記絶縁膜上面と、前記メンブレン部上面とは、同一平面上に位置することを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つにおいて、
前記熱検出部と前記トランジスタとを含む赤外線検出領域が二次元的に配列された撮像領域と、
前記撮像領域から電気信号を読み出すための読み出し回路とを備え、
前記読み出し回路は、複数の他のMOSトランジスタを含むことを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1つにおいて、
前記絶縁膜中に形成され、配線を介して前記熱検出部と電気的に接続されるプラグを備え、
前記プラグ上面と、前記空隙の周囲における絶縁膜上面と、前記メンブレン部上面とは、前記基板上面からの高さの差が500nm以下となるように形成されていることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記プラグ上面と、前記空隙の周囲における絶縁膜上面と、前記メンブレン部上面とは、同一平面上に位置することを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項8】
請求項1又は5において、
前記メンブレン部上に、前記熱検出部と接続される配線が形成され、
前記熱検出部及び前記配線は、保護膜によって被覆され、
前記熱検出部上の前記保護膜上面と、前記メンブレン部上の前記保護膜上面とは、それぞれ前記基板上面からの高さの差が500nm以下となるように形成されていることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項9】
請求項8において、
前記熱検出部上の前記保護膜上面と、前記メンブレン部上の前記保護膜上面とは、同一平面上に位置することを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1つにおいて、
前記空隙を構成する前記絶縁膜の側壁及び底部を覆うように、遠赤外線反射膜が形成されていることを特徴とする熱型赤外線固体撮像装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれか1つに記載の熱型赤外線固体撮像装置を搭載した赤外線カメラ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、監視カメラなどに使用される熱型赤外線固体撮像装置に関する。
【背景技術】
【0002】
赤外線を検出するための赤外線検出素子において用いられる赤外線の検出原理として、数多くの方式が提案されているが、それらは二種類に大別することができる。その一つは、赤外線によって固体材料に生じる光電効果を利用し、赤外線吸収を直接電気信号に変換する方式である。これを利用した検出器は、量子型赤外線検出器と呼ばれる。これに対し、もう一つは、赤外線吸収体によって赤外線を一度熱に変換し、温度による物性の変化が大きい材料を用いて前記の温度変化を検出する方式である。これを利用した検出器は、熱型赤外線検出器と呼ばれる。
【0003】
量子型赤外線検出器は、赤外線吸収によって生じる固体の状態間遷移における光電効果を赤外線検出の基本原理としている。このため、量子型赤外線検出器の撮像領域は、通常、液体窒素等により室温に比べてかなり低い温度に冷却されている。これに対し、熱型赤外線検出器は、赤外線により発生する熱を利用するものであるから、室温においても赤外線の検出が可能である。
【0004】
近年、防犯及びセキュリティー分野における関心の高まりと、マイクロマシニング技術の急激な進歩とにともない、暗視野においても物体を検知することのできる赤外線検出器の開発が急ピッチで行われている。特に、シリコンプロセスによって製造され、画素が二次元的に配置された熱型赤外線撮像装置は、量子型赤外線検出器に比べて小型で且つ安価であるため、その需要は拡大の一途を辿っている。更に、熱型赤外線撮像装置は周辺回路とワンチップ化することができるという長所を有するため、小型監視カメラ及び自動車に搭載される暗視カメラ等の画像入力素子として注目されている。
【0005】
熱型赤外線検出の原理は数多く存在する。代表的なものとしては、温度変化によって抵抗が変わる材料を熱検知材料として用いた抵抗ボロメータ型赤外線検出器、温度によって分極率又は誘電率が変化する容量変化型赤外線検出器等がある。
【0006】
これらの熱型赤外線固体撮像装置の性能を決める大きな要因として、二つ挙げることができる。その一つは、感熱材料の温度に対する物性変化率であり、温度に対する変化率が大きいほど感度の高い熱型赤外線撮像装置を提供することに繋がる。抵抗ボロメータの場合、温度による抵抗率の変化率がこれにあたる。もう一つの要因は、撮像領域に入射された赤外線の熱エネルギーによる温度上昇の効率である。通常、入射された赤外線は熱吸収膜等によって吸収される。しかし、吸収された熱エネルギーの一部は基板又は大気に散逸するため、それ以外の残った熱エネルギーのみが熱検出領域の温度上昇に用いられることになる。このため、熱エネルギーの基板又は大気への散逸を極力防ぎ、入射する赤外線の熱エネルギーを高い効率で温度上昇に用いることが、高感度な熱型赤外線固体撮像装置を実現するために不可欠である。
【0007】
図8は、温度により抵抗値が変化する材料を利用する抵抗ボロメータを用いた二次元固体撮像装置において、従来の一般的な画素の構造を例示する斜視図である。
【0008】
図8において、例えばシリコン等の半導体からなる基板1の上に、ボロメータ薄膜を含む赤外線検出部2が設けられている。赤外線検出部2はメンブレン部3の上に設置されており、メンブレン部3は、二本の支持脚4及び5によって基板1から持ち上げられている。つまり、赤外線検出部2は基板1との間に空隙を隔てて設けられている。
【0009】
また、赤外線検出部2に電流を流すための金属配線6及び7が設けられている。金属配線6及び7により、赤外線検出部2は基板1上に形成されている検出回路(図示省略)と電極8を介して電気的に接続されている。これにより、赤外線検出部2に備えられたボロメータに対する電圧印加又は電流のON、OFFが制御される。
【0010】
図8の撮像装置において、赤外線は、赤外線検出部2が存在する側から入射し、赤外線検出部2又は赤外線検出部2に設置された赤外線吸収膜(図示省略)により吸収される。吸収された赤外線のエネルギーは、熱に変換され、赤外線検出部2の温度を上昇させる。このような温度上昇の量は、入射する赤外線の量に依存する。また、温度上昇の量は、ボロメータ薄膜の抵抗値の変化を測定することによって知ることができる。これらのことから、被写体が放射している赤外線の量を、ボロメータ薄膜の抵抗値の変化によって知ることができる。
【0011】
ここで、熱型赤外線検出器の感度、つまり温度分解能を向上させるためには、入射する赤外線のエネルギーが赤外線検出部2の温度上昇に高効率で使われる構造を用いることが必要である。
【0012】
まず、ボロメータ薄膜の抵抗温度係数が同じであれば、同じ量の赤外線入射に対する赤外線検出部の温度上昇が大きいほど、ボロメータ薄膜の抵抗変化が大きくなる。つまり、赤外線検出器の感度が高くなる。また、同じ量の赤外線入射に対する温度変化を大きくするためには、赤外線検出部2から逃げる熱をできるだけ小さくすることが求められる。
【0013】
これを実現するため、赤外線検出部2を搭載しているメンブレン部3は、熱抵抗をできるだけ大きくするために細く長いブリッジ構造を取る支持脚4及び5によって、基板1から空隙を隔てて支えられた構造になっている。
【0014】
このような構造は、断熱中空構造と呼ばれている。また、気相への熱エネルギーの散逸をできるだけ小さくするため、一般に、メンブレン部3を囲む雰囲気は、真空又は低圧力状態となっている。
【特許文献1】特開平10−332480号公報
【特許文献2】USP5450053
【特許文献3】特開2002−148111号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
熱型赤外線検出器及び熱型赤外線固体撮像装置の感度を決定する主要因の一つとして、熱検出部から熱が流出又は散逸する度合いを示す熱コンダクタンスが挙げられる。熱型赤外線検出器において、高感度化を達成するためには、その赤外線検出原理から分かるように、被写体が放射している熱エネルギーを効率よく吸収して熱検出部の温度を上昇させなければならない。
【0016】
熱検出部において吸収された赤外線のエネルギーは、検出部の温度上昇に費やされる以外に、基板等に散逸すると共に外部雰囲気へも散逸している。基板への散逸によって失われる熱エネルギーと、検出部周囲の雰囲気への散逸、特にパッケージ内の気体の対流によって失われる熱エネルギーとは非常に大きい。このため、熱検出部の温度上昇は小さくなってしまい、これが感度低下の原因になっている。
【0017】
言い換えると、このような熱エネルギーのロスをできる限り抑制することが、赤外線検出器を高感度化するために必須の条件であるといえる。
【0018】
これを実現するため、気体の対流による熱エネルギーのロスを抑えることを目的として、真空パッケージ技術の開発が行われている。
【0019】
また、基板への散逸による熱エネルギーの損失を抑制するためには、断熱中空構造を用いることが広く研究開発され、一部では商品化も行なわれている。つまり、細い支持脚によって赤外線検出部を基板上又は基板内部に空隙を隔てて固定し、熱検出部から基板に熱が移動するのを抑制する機構を形成する。
【0020】
しかし、このような断熱中空構造において、熱コンダクタンスを小さくするためには支持脚を細く長くすることが有効である反面、これには構造力学的な脆弱性が伴うため、歩留り低下の原因ともなっている。
【0021】
ここで、現在提案されている断熱中空構造は、3つのタイプに大別できる。
【0022】
その1つは、熱検出部と検出回路とを別々の基板にそれぞれ作成し、金属バンプを介してこれらを張り合わせる方法である。しかし、この方法は、貼り合わせの精度の問題から、歩留りが悪い。更に、熱検出部の直下又は直上に金属バンプが位置するため、熱コンダクタンスを低減する効果は小さい。
【0023】
二つめの方法は、SOI(Silicon On Insulator)基板又はSi基板の内部を一部除去し、その上方に熱検出部を設ける方法である。しかし、Si層である部分をエッチングにより除去するものであるから、その領域には回路を設けることができない。このため、画素面積の低減及び高画素化に対して障害となる。更に、SOI基板は通常のSi基板に比べて高額であるから、これを用いる場合、コスト面において不利である。
【0024】
3つ目の方法は、図8にも示したような構造を用いることである。つまり、シリコン等からなる基板1の上に絶縁膜であるメンブレン部3を設けて、その上に赤外線検出部2を形成する。ここで、メンブレン部3は、支持脚4及び5によって基板1から上方に浮かせられる。
【0025】
このような構造を取ると、熱検出部の直下に検出回路を設けることも可能となる。しかし、基板1とメンブレン部3とを隔てる空隙は1μm程度も必要であり、このために、支持脚4及び5は非常に大きな段差又は傾斜上に形成しなければならない。つまり、段差又は傾斜のある犠牲層の上にメンブレンを形成し、その後に犠牲層を除去する、という工程が必要になる。これは、装置の微細化には不利である。
【0026】
より詳しく述べると、段差の存在は、リソグラフィにおける焦点深度の差により微細化を妨げると共に、成膜及びエッチングのような加工プロセスにおいても微細化の障壁となる。微細化が妨げられると、支持脚4及び5を細く長く加工することも妨げられることになるから、その熱抵抗が低下することを意味する。これは、赤外線検出器としての感度低下に直接結びついている。
【0027】
これに対し、特許文献2(ハネウェル)には、基板内部をエッチングすることにより中空状態を得る方法が開示されている。また、特許文献3(三菱)には、SOIシリコン基板を利用して中空構造を作成する方法が開示されている。
【0028】
しかし、特許文献2の方法は、Si基板を加工するということから、熱検出部を形成する領域と、読み出し回路を形成する領域とは、基板又はチップにおいて別々の領域としなければならない。このことは、赤外線検出器全体としての微細化において不利である。
【0029】
また、特許文献2の方法は、SOI基板を用いるのであるから、製造コストが高くなってしまう。
【0030】
このように、断熱性の優れた素子構造は、プロセスの困難さ又はコスト等とトレードオフの関係であり、これを解決することが課題になっていた。
【0031】
以上に鑑みて、本発明は、優れた断熱性を実現する中空構造を低価格で且つ高歩留りに形成する方法と、これを用いた高感度で且つ高精細な熱型赤外線撮像装置との提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0032】
前記の目的を達成するため、本発明の熱型赤外線固体撮像装置は、トランジスタが形成された基板と、基板上に形成された絶縁膜と、絶縁膜中に形成された空隙と、絶縁膜における空隙の上側のメンブレン部に形成され且つトランジスタと共に赤外線検出を行なうための熱検出部とを備える。
【0033】
本発明の熱型赤外線固体撮像装置によると、熱検出部は、絶縁膜のうち、空隙の上方に位置する部分であるメンブレン部に形成されている。これにより、空隙によって熱検出部と絶縁膜との間が断熱されるため、熱検出及びそれによる赤外線検出の感度が向上している。
【0034】
また、熱検出部と共に赤外線を検出するためのトランジスタ(例えばMOS(Metal Oxide Semiconductor )トランジスタ)が基板上に形成されている。このようなトランジスタは、例えば絶縁膜上に形成された熱検出部の下方に配置することも可能である。このため、赤外線検出のための領域と、該領域から信号の読み出し等を行なう回路領域とを同じ領域に形成することができる。このようなトランジスタを含む回路の上方に空隙を配置し、該空隙上のメンブレン部に熱検出部を搭載するようにすると、熱型赤外線固体撮像装置をより小型化することができる。
【0035】
尚、絶縁膜における熱検出部の周囲に、熱検出部を支持するための少なくとも1つの支持部を残し且つ空隙に達する開口が形成されていることが好ましい。
【0036】
このようにすることにより、熱検出部は開口によって空隙の周囲の絶縁膜から切り離され、絶縁膜との間の熱絶縁性が向上している。開口は、空隙周囲の絶縁膜と熱検出部を搭載する部分の絶縁膜とを接続する少なくとも1つの支持部を残し且つ熱検出部を囲むように形成する。これにより、熱検出部が空隙上に支持され且つ開口によって熱絶縁された構造とすることができる。
【0037】
尚、空隙の周囲における絶縁膜上面と、メンブレン部上面とは、それぞれ高さの差が500nm以下となるように形成されていることが好ましい。
【0038】
このようにすると、空隙の周囲における絶縁膜上面と、メンブレン部上面とは、互いに高さのズレが500nm以下となる。このとこからから、これらの上面はリソグラフィー等を精密に行なうために十分な平坦性を有することになる。つまり、加工の障害となる段差及び傾斜が十分に少ない面となっているため、精密な加工を確実に行なうことが可能であり、微細化及び製造歩留りの向上が実現する。ここで、支持部を残して熱検出部の周囲に開口を設けている場合、メンブレン部の一部である支持部の上面についても、空隙の周囲における絶縁膜上面との高さのズレが500nm以下となる。
【0039】
また、空隙の周囲における絶縁膜上面と、メンブレン部上面とは、同一平面上に位置することが好ましい。
【0040】
このようにすると、段差及び傾斜の排除された平面において加工を行なうことができるため、より確実に精密な加工が可能となるから、微細化及び歩留りの向上をより確実に実現することができる。やはり、支持部を残して開口が設けられている場合、支持部はメンブレン部の一部であるから、その上面も空隙の周囲における絶縁膜の上面と同一の平面上に位置することになる。
【0041】
また、熱検出部とトランジスタとを含む赤外線検出領域が二次元的に配列された撮像領域と、撮像領域から電気信号を読み出すための読み出し回路とを備え、読み出し回路は、複数の他のMOSトランジスタを含むことが好ましい。
【0042】
このようにすると、高精細で且つ高感度の遠赤外線による二次元イメージを撮像することができる。熱検出部の温度上昇を生じる熱線は遠赤外線であるから、熱型赤外線固体撮像装置により撮像されるイメージは遠赤外線によるイメージとなる。
【0043】
また、絶縁膜中に形成され、配線を介して熱検出部と電気的に接続されるプラグを備え、プラグ上面と、空隙の周囲における絶縁膜上面と、メンブレン部上面とは、基板上面からの高さの差が500nm以下となるように形成されていることが好ましい。
【0044】
このようにすると、プラグ、空隙の周囲における絶縁膜上面及びメンブレン部上面が十分に平坦となり、これらの上に亘って形成される配線等の確実な微細化が実現する。
【0045】
更に、プラグ上面と、空隙の周囲における絶縁膜上面と、メンブレン部上面とは、同一平面上に位置することが好ましい。このようにすると、更に確実にプラグ、メンブレン部及び支持部の上に形成する配線等を微細化することができる。
【0046】
また、メンブレン部上に、熱検出部と接続される配線が形成され、熱検出部及び配線は、保護膜によって被覆され、熱検出部上の保護膜上面と、メンブレン部上の保護膜上面とは、それぞれ基板上面からの高さの差が500nm以下となるように形成されていることが好ましい。
【0047】
このようにすると、熱検出部及び配線について、酸化又は水分等による特性劣化を保護膜によって抑えることができる。これと共に、保護膜の上面について十分な平坦性を有し、メンブレン部に関する加工を微細且つ確実に行なうことができる。ここで、熱検出部の周囲に開口が設けられている場合、熱検出部を支持するために残されるメンブレン部の一部である支持部の上に配線を設けるようにすればよい。
【0048】
また、熱検出部上の保護膜上面と、メンブレン部上の保護膜上面とは、同一平面上に位置することが好ましい。これにより、熱検出部を搭載するメンブレン部及び支持部の加工について、更に確実に行なうことができる。
【0049】
また、空隙を構成する絶縁膜の側壁及び底部を覆うように、遠赤外線反射膜が形成されていることが好ましい。
【0050】
このようにすると、熱検出部に直接入射され且つ吸収される赤外線に加え、一旦遠赤外線反射膜によって反射された後に熱検出部に入射される赤外線を吸収することができる。このため、赤外線を検知する効率が向上し、より高感度な熱型赤外線固体撮像装置が実現する。尚、熱型赤外線固体撮像装置は、通常、遠赤外線を検知することにより温度上昇を検知している。そのため、被写体から放射される遠赤外線を反射する遠赤外線反射膜を用いる。
【0051】
また、前記の目的を達成するため、本発明の赤外線カメラは、本発明の熱型赤外線固体撮像装置のいずれかを搭載している。
【0052】
このようなカメラは、高精細且つ高感度の撮像が可能な赤外線カメラとなっており、従来よりも安価で高歩留りに製造可能なものとなっている。
【発明の効果】
【0053】
本発明に係る熱型赤外線固体撮像装置は、熱検出部に対する優れた断熱性を有することから感度が向上していると共に、熱検知部を搭載するメンブレン部及びの上面は段差及び傾斜無く十分に平坦であるため、微細な加工を確実に行なうことができる。これにより、製造の歩留りが向上する。
【0054】
また、半導体基板上に形成された絶縁膜中に空隙を設けると共に、該空隙上に支持部によって支持されるメンブレン部上に熱検出部を設ける構成であるため、絶縁膜に覆われるようにMOSトランジスタ等を含む回路を形成することができる。このため、読み出し回路等の回路と熱検出部とを同じ領域に形成することができ、装置を微細化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0055】
以下、本発明の各実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0056】
(第1の実施形態)
図1(a)は、本発明の第1の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置10の要部の断面を模式的に示す図である。図1(a)に示すように、熱型赤外線固体撮像装置10は、半導体基板11を用いて形成されている。半導体基板11上には絶縁膜12が形成され、絶縁膜12は空隙13を有している。空隙13の上方には、メンブレン部14が支持部15によって支持されている。更に、メンブレン部14上に熱検出材料を含む熱検出部16が形成され、これに電気的に接続された金属配線17が支持部15上に形成されている。
【0057】
次に、図1(c)は、熱型赤外線固体撮像装置10の平面構成を模式的に示す図であり、図1(c)におけるIa-Ia'線による断面が図1(a)に相当する。
【0058】
図1(c)に示すように、熱検出部16の周囲には、支持部15を残して熱検出部16を囲う開口13aが設けられている。このため、メンブレン部14上に搭載された熱検出部16は、支持部15によって空隙13上に支持されており、支持部15以外の部分においては絶縁膜12とは分離されている。メンブレン部14上に熱検出部16が形成され、これに対して支持部15上に形成された金属配線17が接続されていることは、図1(a)においても説明した通りである。尚、支持部15は、メンブレン部14の一部と考えることもできる。
【0059】
また、熱型赤外線固体撮像装置10の別の断面を図1(b)に示している。これは、Ia-Ia'線に直行するIb-Ib'線による断面であり、メンブレン部14と、空隙13の周囲の絶縁膜12とが開口13aによって隔てられている様子が示されている。
【0060】
以上のように、熱検出部16はメンブレン部14上に設けられ、メンブレン部14の下方において、絶縁膜12との間に空隙13が介在するようになっている。また、熱検出部16を搭載する部分のメンブレン部14は、支持部15のみによって空隙13上に支持されており、平面的には周囲の絶縁膜12から離れて配置されている。このような構造であることから、熱検出部16は、開口13aにより空隙13の周囲の絶縁膜12等から熱的に遮断されている。つまり、熱検出部16から熱が逃げにくい構成となっており、熱検出部16における熱検出の感度が向上している。
【0061】
また、空隙13の周囲の部分における絶縁膜12の上面と、メンブレン部14の上面と、支持部15の上面とは、500nm以下の高低差をもって形成されているのがよい。このような高低差は小さいほど好ましく、更には、互いに段差及び傾斜面と伴うことなく平坦に形成されているのが良い。図1(a)では、同一の平面18上に位置するように形成されている場合を示している。
【0062】
このような段差及び傾斜の小さい構成となっていることにより、物理的強度が向上するために信頼性及び歩留りの向上が実現している。また、リソグラフィによるパターニングを行なう際、500nm以下の段差となっていることから微細化が可能であると共に、メンブレン部14及び支持部15をエッチングにより加工する際にも、均一性良く微細な形状を得ることができる。このため、より高精細な熱型赤外線固体撮像装置10を提供することができる。
【0063】
尚、熱検出部16は被写体が発している熱エネルギーを電気信号に変換すると共に、該電気信号はMOSトランジスタ(図1(a)においては図示省略。図4等を参照)等によって読み出される。このような熱検出部16とMOSトランジスタとを含む赤外線検出領域が二次元的に配列されて複数備えられた構成とすると、赤外線による二次元イメージを撮像することができる。このことについては、後に更に説明する。
【0064】
ここで、熱検出部16は絶縁膜12上に形成されているのであるから、半導体基板11とは絶縁膜12によって隔てられていることになる。このため、半導体基板11上にMOSトランジスタ等を含む読み出し回路を絶縁膜12で覆われるように形成し、その上方に空隙13及び熱検出部16等を配置することができる。このため、熱検出部16と該熱検出部16から信号を読み出すための回路とを同じ画素領域内に重なるように設けることが可能であり、このことは画素の微細化に貢献する。結果として、より高精細で光感度の熱型赤外線固体撮像装置を得ることができる。更に、SOI基板に比べて一般に安価な半導体基板を用いる構造であるため、熱型赤外線固体撮像装置としても安価に提供することができる。
【0065】
次に、熱型赤外線固体撮像装置10の製造方法について図面を参照して説明する。図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)は、熱型赤外線固体撮像装置10の製造工程における断面を示す図である。また、これらの図においては、半導体基板11上に形成されるMOSトランジスタ等についても示している。
【0066】
まず、図2(a)について説明する。図2(a)において、半導体基板11上に素子分離20a及び20bが形成され、素子分離20aに隣接して半導体基板11上にMOSトランジスタ等を含むトランジスタ領域21が形成されていると共に、素子分離20b上には配線構造22が形成されている。また、半導体基板11上に、素子分離20a及び20bと、トランジスタ領域21と、配線構造22とを覆うように、層間膜として絶縁膜下層12aが形成されている。ここで、トランジスタ上に直接成膜するのであるから、絶縁膜下層12aはSiO2 を材料として形成する。
【0067】
この際、半導体基板11上には素子分離20a及び20bと、ゲート電極を含むトランジスタ領域21と、配線構造22とが形成されて凹凸が生じている。絶縁膜下層12aは、このような凹凸上に形成されるため上面に傾斜及び断面が発生し、凹凸を有する形状となる。
【0068】
そこで、図2(b)に示すように、CMP(Chemical Mechanical Polishing)又はエッチバック等の方法により絶縁膜下層12aの上面を平坦化する。
【0069】
次に、図2(c)に示すように、絶縁膜下層12a上に材料膜24を形成する。材料膜24は、後の工程においてパターニングされ、空隙を形成するための犠牲層となる。このため、空隙の高さに相当する膜厚、例えば1μm程度に形成される。また、材料としては、ポリシリコン又はポリイミド等を用いることができる。
【0070】
次に、図2(d)に示すように、形成する空隙の形状に対応する所望の形状に材料膜24をパターニングし、犠牲層24a及び24bとする。このためには、リソグラフィ及びエッチング等の公知の技術を用いればよい。
【0071】
この後、図3(a)に示すように、犠牲層24a等を覆う絶縁膜上層12bを絶縁膜下層12a上に形成する。この際、犠牲層24a等が形成されていることによって絶縁膜下層12aとの間に生じていた段差のため、絶縁膜上層12bの上面には凹凸が発生する。
【0072】
そこで、再びCMP、エッチバック及びこれらの組み合わせ等の方法を用いて、図3(b)に示すように絶縁膜上層12bの上面を平坦化する。
【0073】
このようにして、絶縁膜下層12aと絶縁膜上層12bとからなる絶縁膜12に犠牲層24aが埋め込まれると共に、絶縁膜12の上面を平坦にすることができる。このとき、犠牲層24a上にはメンブレン部14(及び支持部15)の膜厚に応じて絶縁膜12を残すようにしておく。
【0074】
この後、図示はしていないが、熱検出部16及び金属配線17を形成する。
【0075】
続いて、図3(c)に示すように、犠牲層24a上に位置する部分の絶縁膜12をパターニングして開口を設けると共に、犠牲層24aを選択性等方エッチングにより除去すると、空隙13が形成される。ここで、犠牲層24a上の絶縁膜12のパターニングは、図1(c)に示すように行なう。つまり、メンブレン部14及び支持部15を残し、開口13aを形成するようにする。犠牲層24aの除去は、開口13aを通じて行なわれる。
【0076】
このようにして、上面が平坦化された絶縁膜12の一部をパターニングすることにより、熱検出部16を搭載する部分であるメンブレン部14が形成される。また、メンブレン部14の一部は空隙13の周囲と接続するように残された支持部15となり、これらによって、熱検出部16は空隙13上方に支持される。以上のことから、絶縁膜12、メンブレン部14及び支持部15の上面が同一の平面に位置するようになる。
【0077】
尚、実際の工程においては、例えばCMP及びエッチバックによる絶縁膜12の表面平坦化においてバラツキが発生する。このようなことから、絶縁膜12、メンブレン部14及び支持部15の上面について厳密には高さのバラツキが生じることは考えられる。しかし、このようなバラツキは、工程上、障害になることの無い範囲である。つまり、リソグラフィ及びエッチング等に影響を与えることのない程度(段差が例えば500nm以下)には平坦になっており、この観点からは、絶縁膜12、メンブレン部14及び支持部15の上面が実質的に同一の平面上に位置していると考えて妥当である。
【0078】
以上のように、表面が平坦化された絶縁膜12を加工してメンブレン部14及び支持部15を形成するのであるから、確実で且つ微細なパターニングが可能である。このため、メンブレン部14を周囲から確実に熱遮断することが可能であり、ここに熱検出部16を設けることにより、高い断熱性を有する熱型赤外線固体撮像装置10を得ることができる。また、実質的に段差及び傾斜面が無いために加工が確実であるから、製造の歩留りを向上することができる。
【0079】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置について、図面を参照して説明する。図4は、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10aの要部断面を模式的に示す図である。
【0080】
図4に示すように、熱型赤外線固体撮像装置10aには、読み出しトランジスタ31と、読み出しトランジスタ31との電気的接続を得るためのプラグ32とが備えられている。より詳しく述べると、熱型赤外線固体撮像装置10は、第1の実施形態の場合と同様に、半導体基板11を用いて形成されている。半導体基板11には素子分離30及び読み出しトランジスタ31が設けられ、これらを覆うように、絶縁膜12が形成されている。また、絶縁膜12に埋め込まれ且つ読み出しトランジスタ31に対する電気的接続を得るためのプラグ32が形成されている。プラグ32は、半導体基板11の表面に対して垂直に形成されている。
【0081】
また、絶縁膜12中に空隙13が設けられ、空隙13の上方にはメンブレン部14が少なくとも1つの支持部15によって支持されている。更に、メンブレン部14上には熱検出部16が形成され、支持部15上を通る金属配線17により、熱検出部16とプラグ32とが電気的に接続されている。この結果、熱検出部16と読み出しトランジスタ31とが電気的に接続され、熱検出部16における信号を読み出しトランジスタ31によって読み出すことができる。
【0082】
ここで、熱型赤外線固体撮像装置10aにおいて、第1の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10と同様に、絶縁膜12の上面、メンブレン部14の上面及び支持部15の上面は実質的に同一の平面上に位置している。図4において、該同一の平面を平面33として示している。これにより、リソグラフィ及びエッチング等の加工を確実で且つ微細に行なうことができることについても、第1の実施形態の場合と同様である。
【0083】
更に、プラグ32の上面は、実質的に、絶縁膜12の上面、メンブレン部14の上面及び支持部15の上面と同一の平面33上に位置するようになっている。このため、プラグ32と熱検出部16とを電気的に接続する金属配線17は、段差及び傾斜面の無い平坦な面の上に形成されることになり、精度良く形成することができる。これについて、熱型赤外線固体撮像装置10aの製造方法と共に以下に説明する。
【0084】
熱型赤外線固体撮像装置10aを製造するには、まず、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す第1の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10の製造工程のうち、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(b)の工程を行なう。
【0085】
次に、読み出しトランジスタ31(図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)においてはトランジスタ領域21)に達するように、プラグ32を形成するためのビアホールを絶縁膜12に対して形成する。該ビアホールに対し、CVD法、スパッタ又はメッキ等の方法により材料を充填することにより、プラグ32を形成する。一般的なシリコンプロセスの場合、材料としてはタングスタン等の金属が用いられる。この際、プラグ32の上面は絶縁膜12の上面と同一平面となるように形成される。
【0086】
続いて、図3(c)に示す犠牲層24aの除去を行なう前に、絶縁膜12及びプラグ32上に金属膜を形成し、これをパターニングすることにより金属配線17を形成する。
【0087】
仮に、段差及び傾斜の存在する面上において金属膜を形成したとすると、金属膜の膜厚が位置によって異なるようになる。このような場合、パターニングの際にエッチングレート及びエッチング時間にバラツキが発生し、エッチング残り及び残渣が生じる原因となる。結果として、製造の歩留りが低下することになる。
【0088】
しかし、既に説明したように、本実施形態の場合、予め平坦化されているために段差及び傾斜面のない絶縁膜12及びプラグ32上に金属膜を形成し、これをパターニングする。このため、確実に微細なパターニングを行なうことができ、微細な配線を形成することができる。
【0089】
続いて、図示はしていないが、熱検出部16の形成を行なう。
【0090】
この後、図3(c)に示されているのと同様にして、メンブレン部14及び支持部15の上面パターニング及び犠牲層24aの除去による空隙13の形成を行なう。これにより、図4に示す熱型赤外線固体撮像装置10aを製造することができる。
【0091】
以上の結果、メンブレン部14及び支持部15の微細なパターニングを確実に行えることに加えて、プラグ32と熱検出部16とを電気的に接続する金属配線17についても微細で且つ確実なパターニングを行なうことができる。このため、熱検出部16が確実に熱遮断されていることから感度が高い熱型赤外線固体撮像装置10aを歩留り良く製造することができる。
【0092】
また、熱型赤外線固体撮像装置10aは、読み出しトランジスタ31等を含む回路を半導体基板11上に形成し、その上を絶縁膜12によって覆っている。更に、この絶縁膜12に空隙13を設けてメンブレン部14上に熱検出部16を搭載する構造である。このため、読み出しトランジスタ31等の回路と、熱検出部16とを、同じ領域に重なるように形成することが可能であり、基板上を占める面積が低減されることから装置の高精細化に有利である。
【0093】
(第3の実施形態)
次に、本発明の第3の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置について、図面を参照して説明する。図5は、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10bの要部断面を模式的に示す図である。
【0094】
図5に示す熱型赤外線固体撮像装置10bは、図4に示す第2の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10aと比較すると、熱検出部16及び金属配線17が保護膜41に覆われている点において異なっており、他の点では同様である。また、熱検出部16及び金属配線17が、メンブレン部14、支持部15及び絶縁膜12の内部に埋め込まれるように形成されていると考えることもできる。その他の同様である部分については、図5において、図4と同じ符号を用いることにより詳しい説明を省略する。
【0095】
ここで、熱検出部16は、抵抗ボロメータの場合には感熱抵抗体が用いられ、また、誘導ボロメータ及び焦電センサーの場合には感熱容量が用いられる。これらの熱検出部16と金属配線17とは電気的に接続される。
【0096】
これらの熱検出部16及び金属配線17は、酸化及び水分による特性劣化等を防ぐことを目的として、保護膜によって被覆されるのが一般的である。そこで、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10bにおいても、保護膜41によって熱検出部16及び金属配線17が覆われた構成となっている。
【0097】
従来の熱型赤外線固体撮像装置の構成においては、熱検出部及び金属配線を形成すると、それらの厚さの違いによって段差が生じるため、メンブレン及び支持部を形成するためのリソグラフィ精度が低下していた。このため、微細化が妨げられていた。
【0098】
これに対し、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10bの場合、保護膜41に覆われていることにより熱検出部16が内部に含まれているメンブレン部14の上面と、同様に保護膜41に覆われていることにより金属配線17が内部に含まれている支持部15の上面とは、絶縁膜12(これも保護膜41により覆われている)の上面と同一の平面42上に位置している。このように、実際に同一の平面上である場合が最も好ましい。しかし、本実施形態においても、メンブレン部14、支持部15及び絶縁膜12の上面(それぞれの箇所における保護膜41の上面)が、リソグラフィ等を行なう際に障害になるような段差又は傾斜面が形成されていない程度に平坦になっていれば良い。高さの差は小さいほど好ましく、500nm以下であればリソグラフィ等を十分に精度良く行なうことができる。
【0099】
このようになっていることから、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10bにおいて、メンブレン部14及び支持部15のパターニングを精度良く確実に行なうことができる。これにより、高い断熱性を有する熱検出部16を備えた熱型赤外線固体撮像装置10bを歩留り良く製造することが可能である。
【0100】
ここで、図5に示す熱型赤外線固体撮像装置10bは、以下のようにして製造することができる。
【0101】
まず、第1の実施形態の場合と同様に、図2(a)〜(d)及び図3(a)〜(c)に示す工程を行なう。続いて、第2の実施形態の場合と同様にして、熱検出部16と金属配線17とを形成する。更にその後、熱検出部16及び金属配線17を覆う保護膜41を形成し、CMP又はエッチバック等の方法によって表面を平坦化する。尚、保護膜41は、絶縁膜12と同じ材料を用いて形成しても良い。
【0102】
この後、図3(c)に示すのと同様に、メンブレン部14及び支持部15をパターニングすると共に犠牲層24aを除去することにより、図5に示す構造を形成することができる。
【0103】
以上の結果、熱検出部16及び金属配線17が保護膜41に覆われ、メンブレン部14、支持部15及び絶縁膜12の内部に含まれている構造が形成される。ここで、メンブレン部14、支持部15及び絶縁膜12のそれぞれの上面は同一平面上に位置するから、メンブレン部14及び支持部15のパターニングは精度良く確実に行なうことができ、熱型赤外線固体撮像装置10bを歩留り良く製造することができる。
【0104】
(第4の実施形態)
次に、本発明の第4の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置について、図面を参照して説明する。図6は、本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10cの要部断面を模式的に示す図である。
【0105】
図6の熱型赤外線固体撮像装置10cは、図1(a)に示す第1の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10に対し、空隙13の底部及び側部を覆う遠赤外線反射膜19を付け加えた構成を有している。その他の点については同様であるから、図6において図1(a)と同じ符号を用いることにより詳しい説明は省略する。
【0106】
本実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10cによると、熱検出部16を搭載しているメンブレン部14の下方に、空隙13を隔てて遠赤外線反射膜19が設けられている。また、空隙13を平面的に囲う絶縁膜12の側壁にも遠赤外線反射膜19が設けられている。但し、メンブレン部14の下方又は絶縁膜12の側壁のいずれか一方のみに遠赤外線反射膜19が形成されている構成を取ることも可能である。
【0107】
これらの遠赤外線反射膜19は、熱検出部16に直接入射することなく、その結果として熱検出部16の温度上昇に貢献することとの無かった赤外線を反射し、熱検出部16に入射させる。このようにして、熱検出部16における赤外線の利用率を向上させることができる。このため、熱型赤外線固体撮像装置10cは、より感度が向上している。
【0108】
尚、熱検出部16の温度上昇に関与する熱線は主に遠赤外線であることから、遠赤外線を反射する膜を用いることが重要になっている。遠赤外線反射膜19の具体例としては、ZrO2 、ZnO及びZnS等の遠赤外線に対して高屈折材料として機能する材料からなる膜と、CaF2 及びYF3 等の遠赤外線に対して低屈折材料として機能する材料からなる膜とを用いた誘電体多層膜による反射膜が挙げられる。また、一般的な金属薄膜による遠赤外線反射膜であっても良い。
【0109】
また、ここでは第1の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10に対して遠赤外線反射膜19を追加した構成を説明した。しかし、第2又は第3の実施形態の熱型赤外線固体撮像装置10a又は10bに対して同様に適用することも可能である。これの場合にも、赤外線の吸収率を向上し、高感度化することができる。
【0110】
次に、熱型赤外線固体撮像装置10cの製造方法を説明する。
【0111】
まず、第1の実施形態の場合と同様に、図2(a)及び(b)に示す工程を行なう。次に、図2(c)における材料膜24の形成の前に、絶縁膜下層12a上に、空隙13の底部に位置することになる部分の遠赤外線反射膜19を形成する。この後、犠牲層24aを形成するパターンに応じて遠赤外線反射膜19をエッチングする。但し、これを行なわず、絶縁膜下層12a上を覆うように遠赤外線反射膜19を残しても良い。
【0112】
次に、図2(c)と同様に材料膜24を形成した後、材料膜24上に例えばSiO2 からなる絶縁体層(図示省略)を形成し、パターニングを行なって図2(d)と同様に犠牲層24aを形成する。ここで、図示は省略しているが、図2(d)における犠牲層24aと絶縁膜下層12aとの間に遠赤外線反射膜19の底部が挟まれていると共に、犠牲層24a上にはSiO2 からなる絶縁体層が形成されていることになる。
【0113】
この後、犠牲層24aを覆うように、遠赤外線反射膜19のうち空隙13を囲う絶縁膜12の側壁に形成される部分を形成する。但し、犠牲層24aの上方にも遠赤外線反射膜19は形成されることになる。
【0114】
次に、図3(a)と同様に絶縁膜上層12bを形成した後、CMP研磨による平坦化を行なう。この際、平坦化は、犠牲層24a上のSiO2 からなる絶縁体層及びその上の部分の遠赤外線反射膜19が除去され、犠牲層24aの上面が露出するまで行なう。
【0115】
次に、メンブレン部14(図6を参照)となる部分の絶縁膜を追加して成膜し、熱検出部16及び金属配線17を形成した後、メンブレンのパターニングと犠牲層24aの除去とを行なう。このようにして、図6に示すように空隙13の底部及び周囲の絶縁膜12の側壁に遠赤外線反射膜19が形成された構造を得ることができる。
【0116】
以上のようにして、遠赤外線反射膜19が設けられていることにより更に高感度となっている熱型赤外線固体撮像装置10cを製造することができる。
【0117】
次に、第1〜第4の実施形態においてそれぞれ説明した構造を有する熱型赤外線固体撮像装置(10、10a、10b又は10c)について、遠赤外線による二次元イメージを撮像するための構成を説明する。図7は、各実施形態における撮像のための回路について、模式的に示した図である。
【0118】
図7に示すように、熱検出部16を含む赤外線検出領域(画素51)が二次元的に配列されてセンサアレイを成し、撮像領域52が構成される。また、特定の画素51を選択するための垂直シフトレジスタ53及び水平シフトレジスタ54と、これら二種のシフトレジスタにおいて必要なパルスを供給するためのタイミング発生回路55が備えられている。
【0119】
選択された画素51からの信号は、配線により伝達されてオペアンプ56により増幅され、センサアレイの列に対応して設けられた帯域透過フィルター57に入力される。オペアンプ56からの信号は、含まれている高周波ノイズが帯域透過フィルター57において除去された後、マルチプレクサ58によって選択的に出力端子54に与えられる。
【0120】
尚、各画素51は、熱検出部16及び読み出し回路を含む構成となっている。
【0121】
また、第1〜第4の実施形態のいずれかの熱型赤外線固体撮像装置を搭載することにより、高感度な赤外線カメラを得ることができる。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の熱型赤外線固体撮像装置は、熱検出部の熱遮断が確実に行なわれていることにより高感度であると共に、歩留り良く製造することができるため、赤外線カメラ等としても有用である。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置における断面構成を示す図であり、図1(c)は、同じく平面構成を示す図である。
【図2】図2(a)〜(d)は、本発明の各実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置の製造工程を説明する断面図である。
【図3】図3(a)〜(c)は、図2(a)〜(d)に続いて、熱型赤外線固体撮像装置の製造工程を説明する断面図である。
【図4】図4は、本発明の第2の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【図5】図5は、本発明の第3の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【図6】図6は、本発明の第4の実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置の断面構成を示す図である。
【図7】図7は、本発明の各実施形態に係る熱型赤外線固体撮像装置について、撮像のための回路を模式的に示した図である。
【図8】図8は、従来の赤外線固体撮像装置の構成を模式的に示す図である。
【符号の説明】
【0124】
10 熱型赤外線固体撮像装置
10a 熱型赤外線固体撮像装置
10b 熱型赤外線固体撮像装置
10c 熱型赤外線固体撮像装置
11 半導体基板
12 絶縁膜
12a 絶縁膜下層
12b 絶縁膜上層
13 空隙
14 メンブレン
15 支持部
16 熱検出部
17 金属配線
18 平面
19 遠赤外線反射膜
20a 素子分離
20b 素子分離
21 トランジスタ領域
22 配線構造
24 材料膜
24a 犠牲層
30 素子分離
31 読み出しトランジスタ
32 プラグ
33 平面
41 保護膜
42 平面
51 画素
52 撮像領域
53 垂直シフトレジスタ
54 出力端子
54 水平シフトレジスタ
55 タイミング発生回路
56 オペアンプ
57 帯域透過フィルター
58 マルチプレクサ
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年8月4日(2006.8.4)
【代理人】 【識別番号】100077931
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 弘

【識別番号】100110939
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 宏

【識別番号】100110940
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋田 高久

【識別番号】100113262
【弁理士】
【氏名又は名称】竹内 祐二

【識別番号】100115059
【弁理士】
【氏名又は名称】今江 克実

【識別番号】100115691
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 篤史

【識別番号】100117581
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 克也

【識別番号】100117710
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 智雄

【識別番号】100121728
【弁理士】
【氏名又は名称】井関 勝守

【識別番号】100124671
【弁理士】
【氏名又は名称】関 啓

【識別番号】100131060
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 靖也


【公開番号】 特開2008−39570(P2008−39570A)
【公開日】 平成20年2月21日(2008.2.21)
【出願番号】 特願2006−213542(P2006−213542)