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【発明の名称】 赤外線検出器及びその製造方法
【発明者】 【氏名】角 貞幸

【氏名】西川 尚之

【氏名】上津 智宏

【氏名】平田 雅也

【氏名】佐藤 信

【氏名】佐名川 佳治

【要約】 【課題】赤外線検出素子の検出出力端を接合する電極と、信号処理用回路部の検出信号用端子ピンを接続する電極との間の容量結合を低コストで抑制することができる赤外線検出器及びその製造方法を提供することにある。

【構成】赤外線検出器Aは、上面に凹部7を介して赤外線検出素子Xを実装し、下面にシールド電位の電極17a並びに接続電極18aを形成した上部部材6と、信号処理用回路部を構成する回路部品の少なくとも一部を埋設するとともに上部部材6の接続電極18aに接合する接続電極18bを上面に設けた下部部材2とで回路ブロック1を構成している。回路ブロック1をスペーサ10を介して搭載するステム9の上面側から突出している検出信号用端子ピン11a、11bは、下部部材2の貫通孔20に貫挿され、その上端部を下部部材2の上面部に臨む検出信号出力用電極21に導電性接着剤22によって接合している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂からなる上部部材と、該上部部材の下方に配置される樹脂からなる下部部材とを積層するブロックをキャンパッケージ用の器台上方に配置するものであって、
前記上部部材は、上面には熱絶縁部を介して赤外線検出素子を搭載し、下面にはシールド電位の電極並びに前記下部部材との接続電極を形成し、
前記下部部材は、回路部品を埋設するとともに前記上部部材の接続電極に対応する上面位置に接続電極を設けて対応する前記上部部材の接続電極に接合し、
前記器台は上方に突出させた複数の端子ピンを前記下部部材の下面から上面側に貫通させるとともに、前記端子ピンの内の少なくとも検出信号用端子ピンの上端部を、該上端部周囲の前記下部部材の上面部に臨む検出信号出力用電極に電気的に接合していることを特徴とする赤外線検出器。
【請求項2】
前記端子ピンの内少なくとも検出信号用端子ピンの上端部の上方の前記上部部材に下面から上面に貫通する窓孔を設けていることを特徴とする請求項1記載の赤外線検出器。
【請求項3】
前記検出信号用端子ピンの上端部周囲の前記下部部材上面に凹み部を形成していることを特徴とする請求項1又は2記載の赤外線検出器。
【請求項4】
前記検出信号用端子ピンの上端部の上方の前記上部部材下面に下向き開口の空所を設けるとともに、該空所にシールド層を形成していることを特徴とする請求項1又は3記載の赤外線検出器。
【請求項5】
前記下部部材の中間部位にシールド層を介在させていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項記載の赤外線検出器。
【請求項6】
請求項1の赤外線検出器の製造方法であって、上面側に凹部からなる熱絶縁部を設けた上部部材を形成する工程と、
前記熱絶縁部の周囲の前記上部部材上面に赤外線検出素子の検出出力端を接合する電極を形成し、且つ前記上部部材の下面に接続電極を形成する工程と、
回路部品を実装した回路基板と樹脂材とを一体成形して下部部材を形成するとともに該下部部材の形成と同時に又は下部部材の形成後に貫通孔を設ける工程と、
前記上部部材の接続電極に対応する接続電極を前記下部部材上面に形成し、且つ前記貫通孔の上端開口周縁から該貫通孔の内周面に亘って端子接続部用の電極を形成する工程と、
キャンパッケージ用の器台の上面に突出している端子ピンを対応する前記下部部材の貫通孔に貫挿させて前記下部部材を前記器台上に搭載し、各貫通孔の上端開口に臨んだ各端子ピンの上端部を前記端子接続部用の電極に電気的に接合する工程と、
前記下部部材の上面側に前記上部部材を乗せて下部部材の上面側の接続電極と前記上部部材の下面側の接続電極とを電気的に接合する工程と、
前記上部部材の上面の素子用電極に赤外線検出素子の検出出力端を電気的に接合して赤外線検出素子を前記上部部材に実装する工程と、
前記下部部材及び上部部材からなる回路ブロックを内部に収めながらキャップを前記器台上に被着封止する工程とを有することを特徴とする赤外線検出器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、焦電素子等の赤外線素子を用いた赤外線検出器及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、人体を赤外線の変化量で検出する赤外線検出素子には、焦電素子と呼ばれるものが多く使用されている。このような焦電素子を用いた赤外線検出器は、防犯用の進入検知の他、照明などの負荷制御用として使われている。この赤外線検出器としては例えば図10に示すように人体の動作により発生した赤外線を、レンズ100により焦電素子Xの受光部に集光させ、赤外線の変化に応じて発生する焦電素子Xの分極による信号を電流電圧変換回路102で電圧信号に変換した後、バンドパスアンプ103で所定の周波数帯域を選択的に増幅し、予め閾値を設定しているウィンドコンパレータ104から”H”,”L”レベルの検出信号を出力するタイプのものがあり、このウィンドコンパレータ104から出力される検出信号が負荷制御に用いられるのである。
【0003】
ところで、従来の赤外線検出器には図11(a)に示すように焦電素子Xの両端部を回路基板104上に設けた電子回路素子からなる凸状支持部105、105間に橋渡すように固定して回路基板104から焦電素子Xを浮かして焦電素子Xの受光面と背方の回路基板104との間に熱絶縁用の空間Yを設け、焦電素子Xが赤外線を受光したときに赤外線のエネルギが逃げないようにし、焦電素子Xの感度を高めているものがある。そして焦電素子Xの電荷は非常に微小なため、非常に大きな増幅をしなければならず、その影響で、焦電素子Xの出力にわずかでもノイズが入ると、後段のバンドパスアンプ103でノイズも増幅され、本来の信号とノイズとの区別が困難となる。そこで図11(a)に示すように金属製のキャップ(CAN)106と、ステム107からなる容器の中に焦電素子X及び回路基板104を封止してシールドを図ったパッケージ構造によって、外来ノイズを遮断している(例えば特許文献1)。尚図11(a)中108は出力端子、109はキャップ105の赤外線通過窓で、この赤外線通過窓109には所定の周波数域の赤外線のみを通過させるバンドパス型の光学フィルタ110が装着されている。
【0004】
ところで、特許文献1に開示されているパッケージ構造の赤外線検出器は、内部にインピーダンス変換回路のみであるため、図11(b)のような構成をとっており、プリント板111上に図11(b)に示すキャップ106とステム107からなる容器内に焦電素子Xを収納した赤外線検出器のほか、レンズ112、更にコンデンサや抵抗、ICのチップなどの外付け電子回路素子113が実装され、上述の光学フィルタやウィンドウコンパレータ、更にはタイマ、出力アンプが付加されて用いられるのが一般的である。
【0005】
一方、図12(a)〜(c)に示すように樹脂成型品で製作される3次元回路ブロック(MID基板)200に、焦電素子Xとバンドパスアンプやとウィンドウコンパレータを構成する電子回路素子201を実装し、キャップ106とステム107からなる容器内に収納して封止することにより、小型化を図った赤外線検出器が提供されている(例えば特許文献2)。この赤外線検出器に用いる3次元回路ブロック200は、表立面と裏立面とを形成した縦方向に起立する縦長のブロックとなっており、立面には電子回路素子201を実装し、上部には焦電素子Xの熱絶縁をとるための空間を作る凹部202を一体形成し、凹部202の両端間に焦電素子Xを橋渡ししてある。
【特許文献1】特開平5−332829号公報(図1、段落番号0015〜1006)
【特許文献2】特許第3211074号公報(図6〜図13及び段落番号0018〜0021)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献1に開示されているような赤外線検出器の場合、焦電素子Xが赤外線を受けたときに赤外線エネルギが逃げないようにするために焦電素子Xの受光面を回路基板104より浮かす支持部105を設けているが、この支持部105が回路基板104とは別部品であるため、別途部品実装工程が必要となりコストアップの要因となっていた。また別部品として支持部105を設ける場合、取り付け誤差により支持部105の高さが変わり、焦電素子Xの熱絶縁の効果にばらつきが発生するなどの問題があった。また特許文献1の赤外線検出器の場合、図10のような外付け回路部が必要で、そのため電子回路部品113を大きなプリント基板111に実装する構成であるため回路規模が非常に大きくなるという問題があり、昨今の小型化・薄型化の要請には答えられないという問題があり、また回路部品が外付けになると電磁ノイズの影響を受けやすくなり、ノイズ環境が悪いところでは、誤動作の要因となっていた。これを防ぐために、外付け回路部に大きなシールド板を取り付けることが必要となるという問題もあった。
【0007】
一方特許文献2に開示されている赤外線検出器のように3次元回路ブロック200を用いたものは、特許文献1に開示されている赤外線検出器の問題点を或る程度解決できる。
【0008】
すなわち3次元回路ブロック200に直接焦電素子Xを浮かす凹部202を形成するためため、部品点数削減や低コスト化が可能となり、また電子回路素子201を金属製のキャップとステムからなる容器に収納するCANパッケージとすることで、小型化が可能となる上に、バンドパスアンプやウィンドコンパレータをIC化することで回路部を小型化することも可能である。また焦電素子Xとバンドパスアンプの入力部までの距離を短くすることができるため、プリント基板による外付け部品で増幅する方法より外来ノイズが入りにくくなり、ノイズに強い構成となる。更に焦電素子Xと回路部全体を金属製キャップとステムからなる容器内に収納してシールドすることにより、外来ノイズに非常に強い構成が実現できるという利点がある。
【0009】
しかしながら、この特許文献2に開示されている赤外検出器では、3次元回路ブロック200が縦長で起立して表立面と裏立面とを形成した回路部に電子部品やICを実装しているため、パッケージが縦長になるのは避けられない。
【0010】
そのため、この特許文献2に開示されている赤外線検出器を取り付ける機器の厚みに制限が発生し薄型化が困難になるなど、更なる小型化、薄型化の要請には応えられなかった。また3次元回路ブロック200を小型化して全体の大きさを小さくしようとした場合、更に以下の2つの問題が発生する。
【0011】
まずその1つ目は、実装スペースの不足の問題がある。つまり上述の3次元回路ブロック200では、従長で起立して表立面と裏立面とを形成した部分を回路スペースとしてとることができるが、3次元回路ブロック200を単純に小型化すると、回路部品を実装するスペースが確保できなくなり、小型化が実現できない点である。
【0012】
2つ目は、焦電素子Xの出力と増幅された後段出力の距離が近くなることに起因する問題である。つまり焦電素子Xの電荷の変化は非常に微弱なため、後段の回路では、フェムトアンペアレベルの電流変化を数百ミリボルトレベルに増幅している一方電源供給のための電源供給部には、供給される電圧の他に、商用電源からの重畳ノイズや携帯電話からの輻射ノイズなどの外来(外乱)ノイズも乗ってくる。これらの外来ノイズのうちの僅かな信号でも焦電素子Xに影響を及ぼさないように、焦電素子Xと最終段出力と十分離すことが必要である。しかしこの距離が1mm程度になると、焦電素子Xと最終出力段との容量結合により、発振現象や周波数特性の劣化などの現象が発生するという問題が生じる。
【0013】
本発明は、上述の課題に鑑みて為されたもので、その目的とするところは、低背で小型な構造の赤外線検出器において、赤外線検出素子の検出出力端を接合する電極と、信号処理用回路部の検出信号用端子ピンを接続する電極との間の容量結合を低コストで抑制することができる赤外線検出器及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するために、請求項1の赤外線検出器の発明では、樹脂からなる上部部材と、該上部部材の下方に配置される樹脂からなる下部部材とを積層するブロックをキャンパッケージ用の器台上方に配置するものであって、前記上部部材は、上面には熱絶縁部を介して赤外線検出素子を搭載し、下面にはシールド電位の電極並びに前記下部部材との接続電極を形成し、前記下部部材は、回路部品を埋設するとともに前記上部部材の接続電極に対応する上面位置に接続電極を設けて対応する前記上部部材の接続電極に接合し、前記器台は上方に突出させた複数の端子ピンを前記下部部材の下面から上面側に貫通させるとともに、前記端子ピンの内の少なくとも検出信号用端子ピンの上端部を、該上端部周囲の前記下部部材の上面部に臨む検出信号出力用電極に電気的に接合していることを特徴とする。
【0015】
請求項1の赤外線検出器の発明によれば、低背で小型な構造の赤外線検出器を実現でき、しかも信号処理用回路部の検出信号出力用電極と赤外線検出素子の検出が接続される電極と上部部材下面のシールド電位の電極を挟む形で位置することによって、両電極での容量結合を抑制して最上面で近接するような構造を回避し、赤外線検出素子の感度を損なうことがなく、その上同じ面において近接させる場合のように赤外線検出素子の検出出力端を接続する電極と、信号処理用回路部の検出信号出力用電極との間にシールド電位の電極を介在させる構造に比して、上部部材の下面にシールド電位の電極を低コストで容易に形成できる。
【0016】
請求項2の赤外線検出器の発明では、請求項1の発明において、前記端子ピンの内少なくとも検出信号用端子ピンの上端部の上方の前記上部部材に下面から上面に貫通する窓孔を設けていることを特徴とする。
【0017】
請求項2の赤外線検出器の発明によれば、検出信号用端子ピンが上部部材に隠されることがないため、最終外観検査を行うことができ、工程歩留まりが向上するほか、赤外線検出素子の接合と検出信号用端子ピンの接合を上面側から同時に行うことも可能になるため、生産性を向上させることができる。
【0018】
請求項3の赤外線検出器の発明では、請求項1又は2の発明において、前記検出信号用端子ピンの上端部周囲の前記下部部材上面に凹み部を形成していることを特徴とする。
【0019】
請求項3の赤外線検出器の発明によれば、端子接合に用いる接合材の塗布量を増やし.工程条件幅を広げることによって、工程生産性を上げることが可能になる。
【0020】
請求項4の赤外線検出器の発明では、請求項1又は3の発明において、少なくとも前記検出信号用端子ピンの上端部直上の前記上部部材下面に下向き開口の空所を設けるとともに、該空所にシールド層を形成していることを特徴とする。
【0021】
請求項4の赤外線検出器の発明によれば、検出信号用端子ピンの許容高さを広く設定でき、そのため、器台製造工程の負荷を軽減でき、コストを下げることができ、また、端子接合用の接合材量の許容量も増えるため、工程生産性を向上できる。
【0022】
請求項5の赤外線検出器の発明では、請求項1乃至4の何れかの発明において、前記下部部材の中間部位にシールド層を介在させていることを特徴とする。
【0023】
請求項5の赤外線検出器の発明によれば、下部部材の上部部材との接続電極を設けることによるシールド層の欠落がなくなり、容量結合性の低下が抑えられ、これにより高い感度を確保することができる。
【0024】
請求項6の赤外線検出器の製造方法の発明では、請求項1の赤外線検出器の製造方法であって、上面側に凹部からなる熱絶縁部を設けた上部部材を形成する工程と、前記熱絶縁部の周囲の前記上部部材上面に赤外線検出素子の検出出力端を接合する電極を形成し、且つ前記上部部材の下面に接続電極を形成する工程と、回路部品を実装した回路基板と樹脂材とを一体成形して下部部材を形成するとともに該下部部材の形成と同時に又は下部部材の形成後に貫通孔を設ける工程と、前記上部部材の接続電極に対応する接続電極を前記下部部材上面に形成し、且つ前記貫通孔の上端開口周縁から該貫通孔の内周面に亘って端子接続部用の電極を形成する工程と、キャンパッケージ用の器台の上面に突出している端子ピンを対応する前記下部部材の貫通孔に貫挿させて前記下部部材を前記器台上に搭載し、各貫通孔の上端開口に臨んだ各端子ピンの上端部を前記端子接続部用の電極に電気的に接合する工程と、前記下部部材の上面側に前記上部部材を乗せて下部部材の上面側の接続電極と前記上部部材の下面側の接続電極とを電気的に接合する工程と、前記上部部材の上面の素子用電極に赤外線検出素子の検出出力端を電気的に接合して赤外線検出素子を前記上部部材に実装する工程と、前記下部部材及び上部部材からなる回路ブロックを内部に収めながらキャップを前記器台上に被着封止する工程とを有することを特徴とする。
【0025】
請求項6の赤外線検出器の製造方法の発明によれば、請求項1の発明の効果を奏する赤外線検出器を製造することができる。
【0026】
請求項7の赤外線検出器の製造方法の発明では、請求項6の発明において、前記下部部材を形成する工程において、前記貫通孔の上端開口周縁に凹み部を形成することを特徴とする。
【0027】
請求項7の赤外線検出器の製造方法の発明によれば、端子接合に用いる接合材の塗布量を増やし.工程条件幅を広げることによって、工程生産性を上げることを可能とする凹み部を下部部材する工程で同時に形成できる。
【発明の効果】
【0028】
本発明は、低背で且つ小型化が図れ、しかも赤外線検出素子の検出出力端を接合する電極と、信号処理用回路部の検出信号用端子ピンを接続する電極との間の容量結合を低コストで抑制することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明を実施形態により説明する。
【0030】
(実施形態1)
図1(a)、(b)、(c)は本実施形態の赤外線検出器Aを示しており、赤外線検出素子Xと信号処理用回路部を実装した回路ブロック1は、夫々をコンポジット樹脂により形成した下部部材2と、上部部材6とを電極接合によって一体的に積層形成したものであって、器台たるステム9上に絶縁材からなるスペーサ10を介して搭載される。
【0031】
上部部材2は、円盤状に形成され、上面の中央には従来例と同様に熱絶縁部を空間部で形成するための凹部7を形成するとともに、この凹部7の両側に焦電素子(或いはサーモパイル等)からなる赤外線検出素子Xの検出出力端を接続する電極SINを形成している。
【0032】
これらの電極SINは、配線パターン23、23と、上部部材2を貫通するスルーホール24、24の導電メッキとを介して上部部材6の中央部に形成している接続電極18a、18aの配線パターンに接続される。
【0033】
これらの接続電極18a、18aの周囲には、グランド電位に接続されたシールド用電極17a、17aを形成している。
【0034】
下部部材2は、上部部材6と同様に円盤状に形成され、後述する成形時回路基板3に実装している信号処理用回路部の電子部品3と回路基板3とを一体に埋設し、IC5を実装する回路基板3の下面側を露出させているもので、上面の中央にはグランド電位(シールド電位)に接続したシールド用電極17bを形成し、このシールド用電極17bの両側には前記接続電極18a、18aに対応する接続電極18b、18bを形成し、この接続電極18b、18bと上部部材6の接続電極18a、18aとを例えば導電接着剤(或いは半田)19により接合固定している。
【0035】
一方、下部部材2の両側部にはステム9の上面側から突出している検出信号用端子ピン11a、11bを夫々貫挿させる貫通孔20、20を貫通させており、各貫通孔20の上端開口の直上に上部部材6の下面のシールド用電極17a、17aが位置するようになっている。
【0036】
これら貫通孔20は、内周面から上端開口周縁の下部部材2の上面に臨むように検出信号出力用電極21をメッキにより形成しており、この電極21の内周面に塗布している導電性接着剤22(又は半田)により端子ピン11a、11bの上端部の外周面と電極21の内周面とを接合している。この接合によって端子ピン11a、11bは信号処理用回路部の検出信号出力端に電極21を介して接続されることになる。
【0037】
図1(b)、(c)で示している中央の端子ピン11cは電源供給用のピンであって、上述の端子ピン11a、11bと同様に下部部材2を貫通する貫通孔(図示せず)に貫挿させて、下部部材2の上面側で電源路の電極に接続されるようになっている。尚電源のグランド用の端子は上述の検出信号用の端子ピン11aと共用している。
【0038】
尚図1(a)の断面図では端子ピン11a、11bの長さを短く示しているが、実際には(b),(c)の斜視図に示すように長い(後述する他の実施形態での断面図も同様に示し絵いる。
【0039】
またステム9は、従来例と同様に端子ピン11a〜11cをガラス封止材16で封止と絶縁を図りながら上下方向に貫通させ、またキャンパッケージ用の金属製のキャップ8を被着してキャップ8の鍔部を周縁上部に溶接することで、キャップ8を固着するとともにキャップ8の鍔部と周縁上部との間をキャップ8内が気密となるように封止している。またキャップ8は従来と同様に光学フィルタ14を装着した赤外線通過窓15を中央部に設けてある。
【0040】
次に本実施形態の製造方法を図2〜図4により説明する。
【0041】
図2は下部部材2の形成工程を示しており、この工程では図2(a)に示すように、チップ状の電子部品4を導電性接着剤13やリフロー半田を用いて配線パターンに接合して一面に実装した回路基板3を準備し、この回路基板3を、Bステージ状態のエポキシ樹脂材にシリカ(SiO)のような無機フィラーを高充填(例えば85wt%)し、高い伸びと引張強度を持ち、常温では強靱性があって破れ難いコンポジット樹脂材を複数枚、回路基板3上に重ね、この重ねた状態でプレスの金型内に投入し、この投入した状態で真空引きしながら加熱(例えば100℃)してコンポジット樹脂材を熱溶解させ、一定時間加圧(例えば3Mpa)する。この加熱プレスにより回路基板3上のチップ状電子部品4の凹凸及びその下部の隙間に溶解樹脂が流れ込むことになり、その後所定の温度(例えば175℃)で昇温して完全硬化させる。この硬化によって回路基板3上ではチップ状の電子部品4を埋設した下部部材2の樹脂部位が回路基板3と一体となって形成される。
【0042】
この樹脂部位形成後、ルータで各層を貫通するスルーホール24や及び端子ピン11a〜11bを貫挿させる貫通孔20を形成し、更に表面及びスルーホール24や貫通孔20の内周面を含めた樹脂部位の表面にメッキ層30を形成する(図2(b))。尚貫通孔20の形成は樹脂部位形成と同時に形成するようにしても良い。
【0043】
この後、メッキ層30をエッチングして、シールド用電極17b及び接続電極18bを形成するとともに、端子ピン11a、11bに対応する各貫通孔20の内周面及び上端開口周縁には検出信号出力用電極21を形成する。同様に端子ピン11cに対応する貫通孔(図示せず)の内周面及び上端開口周縁にも電極(図示せず)を形成する。この後、回路基板3の下面にIC5を実装することで、図2(c)に示すように下部部材2が完成することになる。
【0044】
図3は上部部材6の形成工程を示しており、まず下部部材2と同様にコンポジット樹脂材を用いて上部部材6の樹脂部位を形成する。この樹脂部位形成時に同時に熱絶縁部を構成する凹部7を同時に形成する。この樹脂部位形成後に樹脂部位の上、下面にメッキ層31を形成する(図3(a))。
【0045】
この形成後、メッキ層31をエッチングして、電極SIN、シールド用電極17a及び接続電極18aを形成することで、図3(b)に示すように上部部材6が完成することになる。
【0046】
上述の工程で下部部材2、上部部材6を形成した後、図4に示す組立工程を経て所望の赤外線検出器Aを完成させるのである。
【0047】
この組立工程では、まずスペーサ10を介してステム9上に下部部材2を載置するとともに端子ピン11a、11bを下部部材2に形成している貫通孔20、20に下面側から夫々貫挿させる。同様に端子ピン11cを対応する貫通孔に貫挿させる(図4(a))。
【0048】
次に下部部材2上に上部部材6を載置するとともに、接続電極18a、18bを導電性接着剤(或いは半田)19によって接合固定する(図4(b))。この際貫通孔20の上端開口の直上に上部部材6のシールド用電極17aが位置し、また下部部材2のシールド用電極17bが上部部材6の凹部7の下方に位置することになる。
【0049】
次に凹部7の両側の電極SINに赤外線検出素子Xの検出出力端を接合して赤外線検出素子Xを凹部7の上方に実装する(図4(c))。これにより上部部材6と下部部材2とからなる回路ブロック1がステム9上に搭載されたことになる。
【0050】
この後、回路ブロック1を内部に収めながらキャップ8をステム9上に被着して封止すれば、図1(a)に示す赤外線検出器Aが完成することになるのである。
【0051】
以上のように構成された本実施形態では、検出信号出力用電極21と赤外線検出素子Xの検出出力端を接続する電極SINとの間にシールド用電極17a、17bが介在することで、両電極21、SINでの容量結合を抑制して最上面で近接するような構造を回避し、赤外線検出素子Xの感度を損なうことがなく、その上同じ面において近接させる場合のように赤外線検出素子Xの検出出力端を接続する電極と、信号処理用回路部の検出信号出力用電極との間にシールド電位の電極を介在させる構造に比して、上部部材6の下面にシールド用電極17aを低コストで容易に形成できるという利点がある。
【0052】
(実施形態2)
本実施形態は、図5に示すように端子ピン11a、11bを貫挿させる下部部材2の貫通孔20及び端子ピン11cを貫挿させる貫通孔(図示せず)の直上に位置する上部部材6に窓孔32を設けた点で実施形態1と相違する。この窓孔32は、下部部材2上に上部部材6を載せた状態が完了した後、キャップ8をステム9に被着する前の最終外観検査時に窓孔32を介して電極21に対する端子ピン11a、11b(及び11c)の接合状態を目視するためのものである。
【0053】
この窓孔32は、図6(a)、(b)の工程(図3(a)、(b)の工程と同じ)を終了後、図6(c)に穿設されるもので、穿設によって本実施形態の上部部材6が完成する。
【0054】
尚下部部材2の形成工程は上述の実施形態1の場合と同じであるので、図示及びその説明は省略する。
【0055】
図7(a)〜(c)は本実施形態の組立工程を示しており、この工程は最終外観検査時に窓孔32を利用する点以外は実施形態1の図4(a)〜(c)の工程と同じであるので、工程の説明は省略する。
【0056】
尚端子ピン11a、11b(及び11c)の電極21への接合を、上部部材6を下部部材2上に載置後に、赤外線検出素子Xの接合と同時に窓孔32を介して行うようにしても良い。この場合接合工数を削減することができる。
【0057】
(実施形態3)
本実施形態は、図8(a)に示すように下部部材2の貫通孔20の上端開口周縁に内周面がテーパー状の凹み部33を形成した点で実施形態2の構成と相違する。この凹み部33は、端子ピン11a、11bを電極21に接合に用いる導電性接着剤(又は半田)22の塗布量を増やすためのもので、塗布量を増やすことで、工程条件幅を広げて生産性の向上を図れるようにしてある。
【0058】
尚その他の構成は実施形態2と同じであるので説明は省略する。また本実施形態の構成を実施形態1に採用しても良い。
【0059】
(実施形態4)
本実施形態は、図8(c)に示すように本実施形態は、図8(a)に示すように下部部材2の貫通孔20の上端開口に対向する上部部材6の下面に下向き開口の空所34を形成し、この空所34の内面にグランド電位に接続されたシールド用電極17aを形成した点で実施形態1と相違する。
【0060】
この空所34によって端子ピン11a、11bの高さ寸法の許容を広く設定でき、ステム9の製造工程の負荷を軽減できて、ステム9の製造コストを下げることができ、また端子ピン11a、11bを電極21に接続するために用いる導電性接着剤(又は半田)22の塗布量の許容値も増やすことができ、生産性の向上も図れる。
【0061】
尚端子ピン11a、11bとシールド用電極17aとの短絡を防ぐために、シールド層35の表面に絶縁層(レジスト)を形成しても勿論良い。
【0062】
尚その他の構成は実施形態1と同じであるので説明は省略する。また本実施形態の構成を実施形態2に採用しても良い。
【0063】
(実施形態5)
本実施形態は、図8(c)に示すように下部部材2の肉厚を太くして、その中間部位にシールド層35を形成した点に特徴ある。
【0064】
本実施形態は、グランド電位に接続されたシールド電極層35を下部部材2の中間層として設けることで、上部部材6の接続電極18aに接続する接続電極18bを下部部材2に設けることによるシールド用電極の欠落がなくなり、容量結合性の低下が抑えられ、これにより高い感度を確保することができる。
【0065】
尚その他の構成は実施形態1と同じであるので説明は省略する。また本実施形態の構成を実施形態2に採用しても良い。
【0066】
尚下部部材2、上部部材6の形成は上述した加熱プレス以外に機械加工によって形成しても良い。
【0067】
(実施形態6)
ところで実施形態1乃至5は、IC5を回路基板3にフリップ実装するものであったが、本実施形態はIC5をワイヤボンディング40により実装したものである。
【0068】
本実施形態の場合、図9(a)に示すように回路基板3の下面にIC5を実装し、電子部品4を下部部材2に埋設して回路ブロック1を形成している。そしてステム9上に回路ブロック1を実装する際には、図9(b)に示すようにIC5を実装した面側にスペーサ10を載置してスペーサ10の中央孔10aにIC5を収めるとともに、スペーサ10を回路基板3に接着固定し、この接着固定後、図9(c)に示すように中央孔10aに樹脂41を充填して封止し、その後図9(d)に示すように接着固定したスペーサ10を介して回路ブロック1をステム9上に搭載してスペーサ10をステム9に接着固定するのである。
【0069】
尚その他の構成等は実施形態1〜5の何れの構成でも良いので、ここでは、図示及び説明を省略し、また同じ構成要素には同じ符号を付す。また下部部材2にIC5を埋設する場合にあっても加熱プレス時にワイヤが断線しなければ、実施形態1の構成にも採用しても勿論良い。
【図面の簡単な説明】
【0070】
【図1】(a)は実施形態1の断面図、(b)は実施形態1のキャップを外した状態の斜視図、(c)は実施形態1の斜視図である。
【図2】実施形態1の下部部材の形成工程の説明図である。
【図3】実施形態1の上部部材の形成工程の説明図である。
【図4】実施形態1の組立工程の説明図である。
【図5】実施形態2の断面図である。
【図6】実施形態2の上部部材の形成工程説明図である。
【図7】実施形態2の組立説明図である。
【図8】(a)は実施形態3の断面図、(b)は実施形態4の断面図、(c)は実施形態5の断面図である。
【図9】(a)は実施形態6の回路ブロックの斜視図、(b)〜(d)は実施形態6の回路ブロックのステムへの搭載工程の説明図である。
【図10】赤外線検出器の回路構成図である。
【図11】(a)は従来例の断面図、(b)は従来例の実使用時の分解斜視図である。
【図12】(a)は別の従来例の3次元回路ブロックの分解斜視図、(b)は別の従来例のキャップを外した状態の斜視図、(c)は別の従来例の斜視図である。
【符号の説明】
【0071】
A 赤外線検出器
X 赤外線検出素子
SIN 電極
1 回路ブロック
2 下部部材
3 回路基板
4 電子部品
5 IC
6 上部部材
7 凹部
8 キャップ
9 ステム
10 スペーサ
11a〜11c 端子ピン
13 導電性接着剤
14 光学フィルタ
15 赤外線通過窓
16 ガラス封止材
17a、17b シールド用電極
18a、18b 接続電極
19 導電性接着剤
20 貫通孔
21 検出信号出力用電極
22 導電性接着剤
23 配線パターン
24 スルーホール
【出願人】 【識別番号】000005832
【氏名又は名称】松下電工株式会社
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100087767
【弁理士】
【氏名又は名称】西川 惠清

【識別番号】100085604
【弁理士】
【氏名又は名称】森 厚夫


【公開番号】 特開2008−26079(P2008−26079A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197234(P2006−197234)