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【発明の名称】 干渉光測定装置
【発明者】 【氏名】齊藤 裕己

【氏名】前田 稔

【氏名】平田 隆昭

【氏名】矢野 哲夫

【要約】 【課題】測定波長範囲と測定ダイナミックレンジが広く、且つ高い精度で効率良く干渉光の測定を行うことができる干渉光測定装置を提供する。

【構成】干渉光測定装置10は、信号光L2と参照光L1とを生成するとともに、これらを干渉させて干渉光L3を生成する干渉装置12と、干渉光L3の干渉縞に対して所定の関係をもって配列された複数の受光素子を受光面に有し、受光面に照射される干渉光L3を受光する受光装置13とを備える。ここで、受光装置13の受光面に照射される信号光L2及び参照光L2のビーム幅は、受光素子13の受光面の大きさ以下に設定されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
入射光から信号光と参照光とを生成するとともに、当該信号光と参照光とを干渉させて干渉光を生成する干渉装置と、当該干渉装置で生成される干渉光の干渉縞に対して所定の関係をもって配列された複数の受光素子を受光面に有し、当該受光面に照射される前記干渉光を前記複数の受光素子の各々で受光する受光装置とを備える干渉光測定装置において、
前記受光装置の前記受光面に照射される前記信号光及び前記参照光のビーム幅が、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下に設定されていることを特徴とする干渉光測定装置。
【請求項2】
前記複数の受光素子は、前記信号光及び前記参照光の波長が所定の基準波長である場合に、前記受光面に照射される前記干渉光の干渉縞の1周期毎に4個の受光素子が配置されるように配列されていることを特徴とする請求項1記載の干渉光測定装置。
【請求項3】
前記受光装置が備える前記受光素子の各々で受光された受光信号に対して所定の演算を行い、前記信号光及び前記参照光の波長が所定の基準波長である場合に、位相が互いに90度だけ異なるA相信号とB相信号とを生成する演算装置を備えることを特徴とする請求項2記載の干渉光測定装置。
【請求項4】
前記信号光及び前記参照光のビーム幅は、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下であって、前記A相信号及び前記B相信号のオフセット値が所定値以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3記載の干渉光測定装置。
【請求項5】
前記信号光及び前記参照光のビーム幅は、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下であって、前記A相信号及び前記B相信号から計算される位相の真値からのずれが所定値以下となるように設定されていることを特徴とする請求項3又は請求項4記載の干渉光測定装置。
【請求項6】
前記演算装置によって生成される前記A相信号と前記B相信号とに対して所定の信号処理を行って、前記入射光の波長を測定する波長測定装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の干渉光測定装置。
【請求項7】
前記演算装置によって生成される前記A相信号と前記B相信号とに対して所定の信号処理を行って、前記信号光の光路に配置される被測定デバイスの特性を測定する光学特性測定装置を備えることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか一項に記載の干渉光測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、信号光と参照光とを干渉させた干渉光を測定する干渉光測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
干渉光測定装置は、一般的に信号光と参照光とを生成してこれらを別々の光路を通過させた後で重ね合わせ、信号光と参照光との干渉光を受光する装置である。この干渉光測定装置は、例えば波長測定、距離の測定、光学部品・モジュール等の被測定デバイス(DUT:Device Under Test)の表面形状又は透過特性・反射特性の測定等に用いられる。この干渉光測定装置の一種に、例えばDFBレーザ(Distributed Feedback−Laser Diode)光源、DBRレーザ(Distributed Bragg Reflector−Laser Diode)光源、回折格子を使用した外部共振器型の波長可変光源等の各種レーザ光源から射出されるレーザ光の波長を測定する波長モニタ装置、又はレーザ測長器等がある。
【0003】
図9は、従来のレーザ測長器の構成の一例を示す図である。尚、このレーザ測長器は、例えば以下の非特許文献1に開示されている。図9に示す従来のレーザ測長器100は、レーザ光源101、レンズ102、ハーフミラー103、固定反射ミラー104、可動反射ミラー105、フォトダイオードアレイ106、演算増幅器107、及びカウンタ108を備えている。
【0004】
レーザ光源101は例えばDBRレーザであり、測定光としてのレーザ光を射出する。レンズ102は、レーザ光源101から射出されたレーザ光を平行光に変換する。ハーフミラー103、固定反射ミラー104、及び可動反射ミラー105は、マイケルソン型の干渉計を構成している。ハーフミラー103はレンズ102を介したレーザ光を参照光L1と信号光L2とに分岐するとともに、固定反射ミラー104で反射された参照光L1と可動反射ミラー105で反射された信号光L2とを合波する。尚、参照光L1及び信号光L2は、干渉光L3に干渉縞を生じさせるために、その光軸が僅かに傾けられている。
【0005】
固定反射ミラー104はハーフミラー103に対して位置が固定された反射ミラーであり、ハーフミラー103で分岐された参照光L1をハーフミラー103に向けて反射する。可動反射ミラー105はハーフミラー103に対して、信号光L2の進行方向に沿う方向に位置が可変な反射ミラーであり、ハーフミラー103で分岐された信号光L2をハーフミラー103に向けて反射する。尚、可動反射ミラー105がレーザ光の波長の半波長分だけ移動すると干渉光L3の干渉縞の位置がフォトダイオードアレイ106の受光面に沿う方向に1周期分だけずれる。また、そのずれの方向は可動反射ミラー105の移動方向に対応している。
【0006】
フォトダイオードアレイ106は、複数の受光素子(フォトダイオード)を備えており、参照光L1と信号光L2とがハーフミラー103で合波さることにより得られる干渉光L3を受光する。尚、フォトダイオードアレイ106の受光素子は、4素子が干渉光L3の干渉縞の1周期に相当するようにその間隔が設定されている。演算増幅器107はフォトダイオードアレイ106から出力される受光信号を演算増幅するとともに、所定の演算を行ってパルス信号を生成する。具体的には、フォトダイオードアレイ106から出力される受光信号のうち、互いに位相が反転している受光信号を減算して直流成分(DC成分)を除去することによりパルス信号を生成する。カウンタ108は、演算増幅器107で生成されるパルス信号を計数する。
【0007】
上記構成において、レーザ光源101から射出されたレーザ光は、レンズ102に入射して平行光に変換された後でハーフミラー103に入射し、参照光L1と信号光L2とに分岐される。そして、参照光L1は固定反射ミラー104で反射され、信号光L2は可動反射ミラー105で反射され、反射されたこれらの参照光L1及び信号光L2は再びハーフミラー103に入射して合波される。これにより、フォトダイオードアレイ106の受光面には、参照光L1と信号光L2とが干渉した干渉光L3が入射する。この干渉光L3が、フォトダイオードアレイ106で受光されることにより演算増幅器107からはパルス信号が出力される。そして、このパルス信号がカウンタ108で計数され、可動反射ミラー105の移動量とその移動方向が求められる。
【非特許文献1】平田隆昭、他2名(T. Hirata et al.), 「レーザ干渉計測位システムのための波長安定化レーザダイオード及びフォトダイオードアレイ(Wavelength-stable Laser Diode and Photodiode Array for Laser Interferometer Positioning Systems)」,横河技報(Yokogawa Technical Report), 2001年,No.32,p.1−4
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、上述した通り、図9に示す従来のレーザ測長器100は、レーザ光源101から射出される波長が一定のレーザ光を用いて可動反射ミラー105の移動量とその移動方向とを求める装置であるが、近年においては、図9に示す従来のレーザ測長器100を、広い波長範囲を測定可能な波長モニタ装置に適用することが試みられている。しかしながら、上述した構成のレーザ測長器100を波長モニタ装置に適用した場合に、測定可能な波長範囲を広げるのは困難である。なぜならば、図9に示す従来のレーザ測長器100では、フォトダイオードアレイ106の受光素子の間隔が干渉光L3の干渉縞の周期に相当するように設定されてるが、測定光の波長が大きく変化するとフォトダイオードアレイ106の受光素子の間隔と干渉光L3の干渉縞の周期との関係が大きくずれるため、測定誤差が大きくなるからである。
【0009】
また、図9に示すレーザ測長器100を、DUTの透過特性等を測定する干渉光測定装置に適用することも試みられている。。つまり、図9に示す信号光L2の光路上にDUTを配置し、DUTを介した信号光L2と参照光L1とを干渉させた干渉光L3をフォトダイオードアレイ106で受光することにより、DUTの特定を測定することができる。しかしながら、かかる干渉光測定装置では、DUTによって信号光が減衰するために信号光の光強度が変動し、フォトダイオードアレイ106から出力される受光信号のうち、互いに位相が反転している受光信号を演算増幅器107で減算した後の直流成分(DC成分)が変動し、この結果として精度の高い測定を行うことができないという問題がある。
【0010】
更に、図9に示すレーザ測長器100、及びこれを用いた干渉光測定装置においては、フォトダイオードアレイ106の受光面に入射する参照光L1又は信号光L2が強度分布を有している場合にも演算増幅器107で直流成分が除去されず、精度の高い測定を行うことはできない。このため、従来は、フォトダイオードアレイ106の受光面に対して参照光L1又は信号光L2のビーム幅をできる限り大きくしている。これにより、レーザ光源101から射出されるレーザ光は強度分布を有しているが、フォトダイオードアレイ106の受光面に照射される参照光L1及び信号光L2はほぼ均一な強度分布となる。しかしながら、レーザ光源101から射出されたレーザ光のうち、フォトダイオードアレイ106で受光されるものは僅かであるため、極めて効率が悪いという問題がある。
【0011】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、測定波長範囲と測定ダイナミックレンジが広く、且つ高い精度で効率良く干渉光の測定を行うことができる干渉光測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、本発明の干渉光測定装置は、入射光から信号光(L2)と参照光(L1)とを生成するとともに、当該信号光と参照光とを干渉させて干渉光(L3)を生成する干渉装置(12)と、当該干渉装置で生成される干渉光の干渉縞に対して所定の関係をもって配列された複数の受光素子(E1〜EN)を受光面(13a)に有し、当該受光面に照射される前記干渉光を前記複数の受光素子の各々で受光する受光装置(13)とを備える干渉光測定装置(10)において、前記受光装置の前記受光面に照射される前記信号光及び前記参照光のビーム幅が、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下に設定されていることを特徴としている。
この発明によると、干渉光測定装置に入射光が入射すると、干渉装置で参照光と信号光とが生成されるとともにこれらを干渉させた干渉光が生成される。ここで、信号光及び参照光のビーム幅が受光素子の受光面の大きさ以下に設定されているため、生成された干渉光のビーム幅は受光素子の受光面の大きさ以下で受光面に照射される。
また、本発明の干渉光測定装置は、前記複数の受光素子が、前記信号光及び前記参照光の波長が所定の基準波長である場合に、前記受光面に照射される前記干渉光の干渉縞の1周期毎に4個の受光素子が配置されるように配列されていることを特徴としている。
また、本発明の干渉光測定装置は、前記受光装置が備える前記受光素子の各々で受光された受光信号に対して所定の演算を行い、前記信号光及び前記参照光の波長が所定の基準波長である場合に、位相が互いに90度だけ異なるA相信号とB相信号とを生成する演算装置(21、22)を備えることを特徴としている。
また、本発明の干渉光測定装置は、前記信号光及び前記参照光のビーム幅が、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下であって、前記A相信号及び前記B相信号のオフセット値が所定値以下となるように設定されていることが望ましい。
或いは、前記信号光及び前記参照光のビーム幅は、前記受光素子の前記受光面の大きさ以下であって、前記A相信号及び前記B相信号から計算される位相の真値からのずれが所定値以下となるように設定されていることが望ましい。
更に、本発明の干渉光測定装置は、前記演算装置によって生成される前記A相信号と前記B相信号とに対して所定の信号処理を行って、前記入射光の波長を測定する波長測定装置(23)を備えることを特徴としている。
或いは、本発明の干渉光測定装置は、前記演算装置によって生成される前記A相信号と前記B相信号とに対して所定の信号処理を行って、前記信号光の光路に配置される被測定デバイスの特性を測定する光学特性測定装置(23)を備えることを特徴としている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、A相信号及びB相信号のオフセット値及びA相信号及びB相信号から計算される位相の真値からのずれの少なくとも一方が所定値以下となるよう信号光及び参照光のビーム幅を設定しているため、測定波長範囲が広く且つ高い精度で干渉光を測定することができるという効果がある。
また、受光装置の受光面に照射される信号光及び参照光のビーム幅が、受光装置の受光面の大きさ以下に設定されており、信号光及び参照光のパワーの大部分が受光装置の受光面に照射されるため、従来に比べて測定ダイナミックレンジを広げることができ、効率良く干渉光の測定を行うことができるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態による干渉光測定装置について詳細に説明する。図1は、本発明の一実施形態による干渉光測定装置の概略構成を示すブロック図である。図1に示す通り、本実施形態の干渉光測定装置10は、レーザ光源11、干渉装置12、受光装置13、及び信号処理装置14を備えている。レーザ光源11は、例えば外部共振器型波長可変光源であって、レーザ光を射出する。このレーザ光の波長は、例えば1550nmである。
【0015】
干渉装置12は、ハーフミラー15、第1反射ミラー16、及び第2反射ミラー17を含んで構成されるマイケルソン型の干渉計である。尚、ここでは、干渉装置12がマイケルソン型の干渉計である場合を例に挙げて説明するが、他の方式の干渉計を用いることもできる。ハーフミラー15はレーザ光源11から射出されたレーザ光を分岐して参照光L1と信号光L2とを生成するとともに、第1反射ミラー16で反射された参照光L1と第2反射ミラー17で反射された信号光L2とを合波して(干渉させて)干渉光L3を生成する。尚、図1に示す例では、信号光L2の光路上(ハーフミラー15と第2反射ミラー17との間の光路上)に、光学部品・モジュール等の被測定デバイス(DUT)20が配置されている。
【0016】
第1反射ミラー16は、ハーフミラー15で分岐された参照光L1をハーフミラー15に向けて反射する。また、第2反射ミラー17は、ハーフミラー15で分岐された信号光L2をハーフミラー15に向けて反射する。ここで、第1反射ミラー16及び第2反射ミラー17は、参照光L1及び信号光L2が、受光装置13の受光面13aに対して所定の角度を持って入射するように僅かに傾けられている。
【0017】
受光装置13は、例えば受光面13aに沿って配列された複数の受光素子(フォトダイオード)を備えたフォトダイオードアレイである。尚、ここでは、受光素子の配列方向は紙面に沿う方向であるとする。尚、以下の説明では、受光素子の配列方向を「素子配列方向」という。受光装置13の受光面13aには参照光L1と信号光L2とをハーフミラー15で合波して得られる干渉光L3が照射され、受光装置13はこの干渉光L3を複数の受光素子で受光する。尚、干渉光L3の干渉縞が現れる方向は素子配列方向と同じ方向(紙面に沿う方向)であるとする。
【0018】
信号処理装置14は、受光装置13から出力される受光信号に基づいて所定の信号処理を行ってDUT20の光学特性(例えば、透過特性)を求める。尚、図1に示す干渉光測定装置10は、信号光L2の光路上にDUT20が配置されていなければ、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を測定する波長モニタ装置として用いることもできる。波長モニタ装置として用いる場合には、信号処理装置14は受光装置13から出力される受光信号に基づいて所定の信号処理を行ってレーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を求める。
【0019】
次に、受光装置13の受光面13aに照射される干渉光L3について説明する。図2は、干渉光L3と受光装置13との関係を説明するための図である。図2に示す通り、受光装置13の受光面13aに沿って複数の受光素子E1,E2,…,EN(Nは2以上の整数)が配列されている。受光装置13の受光面13aに照射される干渉光13aは参照光L1と信号光L2とを干渉させたものであるが、これら参照光L1と信号光L2とを干渉させずに個別に受光装置13の受光面13aに照射した場合には、受光面13a上における参照光L1及び信号光L2の光強度分布は図2(a)に示す分布となる。
【0020】
つまり、参照光L1及び信号光L2は、素子配列方向については、受光面13aの中心(受光面13aの中心(L=0))に関して対称な分布(例えば、ガウス分布)となる。尚、Lは素子配列方向における受光面13aの中心からの距離である。ここで、信号光L2の強度の最大値(ピーク強度)P2が参照光L1のピーク強度P1よりも低くなっているのは、信号光P2がDUT20を通過して減衰するためである。
【0021】
また、参照光L1及び信号光L2は、素子配列方向におけるビーム幅が受光面13aの大きさ以下に設定されている。これは、測定に用いられる参照光L1及び信号光L2(受光面13aに照射される参照光L1及び信号光L2)の光量を増やすことで、効率を向上させるためである。つまり、従来は、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を受光面13aの大きさに比べて大きくし、これにより受光面13aに照射される参照光L1及び信号光L2の強度をほぼ均一としていた。しかしながら、これによると参照光L1及び信号光L2の多くが測定に使用されず無駄に消費されていた。
【0022】
本実施形態では素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅を受光面13aの大きさ以下にすることで、より多くの参照光L1及び信号光L2を受光面13aに照射し、これにより測定に用いられる参照光L1及び信号光L2の光量を増やして効率を向上させることができる。ここで、素子配列方向におけるビーム幅は、強度がピーク強度の1/eとなる幅である。つまり、参照光L1については強度がP1/e以上である部分の幅であり、信号光L2については強度がP2/e以上である部分の幅である。
【0023】
尚、素子配列方向に交差する方向(図1の紙面に交差する方法)については、干渉光L3(参照光L1,信号光L2)は広がりが僅かであり、そのビーム幅は受光面13aの大きさ以下にされている。また、素子配列方向に交差する方向については、例えば図1に示す干渉装置12と受光装置13との間にシリンドリカルレンズ等を配置して積極的に集光し、干渉光L3(参照光L1,信号光L2)のビーム幅を受光面13の大きさ以下にしても良い。
【0024】
図2(b)は、受光面13a上での素子配列方向における干渉光L3の強度分布の一例を示す図である。尚、図2(b)に破線で示す曲線はレーザ光源11から射出されるレーザ光の波長が基準波長(例えば、1550nm)のときに得られる干渉光L31の分布を示しており、実線で示す曲線はレーザ光の波長が基準波長から所定量だけずれているときに干渉光L32の分布を示している。
【0025】
図2(b)に示す通り、参照光L1と信号光L2とが干渉した干渉光L3(干渉光L31,L32)は、受光面13a上においてある分布を有する。ここで、受光面13aに照射される参照光L1及び信号光L2の強度が均一であれば干渉光L3(干渉光L31,L32)の強度分布は正弦波状に変化するものとなる。しかしながら、図2(a)に示す通り、参照光L1及び信号光L2はある分布を有しているため、干渉光L3(干渉光L31,L32)は受光面13aの中心(距離L=0)付近で極めて大きくなるが、受光面13aの両端部では極大値が小さくなる分布となる。
【0026】
図3は、干渉光L3と受光装置13に設けられる受光素子との関係を示す図である。尚、図3においては受光素子E1〜ENのうちの隣接する4つの受光素子(例えば、受光面13aの中心から順に4つ配列された受光素子)について符号e1〜e4を付して示している。受光装置13の受光素子E1〜ENは、図3に示す通り、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長が基準波長(例えば、1550nm)のときに得られる干渉光L31の干渉縞の1周期毎に4つの受光素子e1〜e4が配置されるよう配列されている。言い換えると、干渉光L31の干渉縞の1周期の長さが4つの受光素子e1〜e4が占める長さになるよう、受光装置13の受光面13aに対する参照光L1及び信号光L2の入射角度が設定されている。
【0027】
これにより、図3に示す例では、位相が0度である干渉光L31が受光素子e1で受光され、位相が90度である干渉光L31が受光素子e2で受光される。また、位相が180度である干渉光L31が受光素子e3で受光され、位相が270度である干渉光L31が受光素子e4で受光される。尚、ここでいう「干渉光の位相」は、厳密な位相の意味ではなく、ある程度の幅を持っている点に注意されたい。例えば、受光素子e1は位相が0〜90度の範囲内の干渉光L31を受光する。
【0028】
尚、図3に示す通り、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長が基準波長からずれているときに得られる干渉光L32の干渉縞の周期は、レーザ光の波長が基準波長であるときに得られる干渉光L31の干渉縞の周期からずれる(図3に示す例で長くなっている)。このため、干渉光L32と受光装置13に設けられる受光素子との関係が崩れてしまう。
【0029】
図4は、干渉光L3と受光装置13に設けられる受光素子との関係に加えて、信号処理装置14の内部構成を示す図である。図4に示す通り、信号処理装置14は、差動増幅器21,22(演算装置)及び処理装置23(波長測定装置、光学特性測定装置)を備える。差動増幅器21の正相入力端には受光素子e1から出力される受光信号(位相が0度の干渉光L3を受光した受光信号)が入力され、逆相入力端には受光素子e3から出力される受光信号(位相が180度の干渉光L3を受光した受光信号)が入力される。また、差動増幅器22の正相入力端には受光素子e2から出力される受光信号(位相が90度の干渉光L3を受光した受光信号)が入力され、逆相入力端には受光素子e4から出力される受光信号(位相が270度の干渉光L3を受光した受光信号)が入力される。
【0030】
尚、前述した通り、受光装置1はN個の受光素子E1〜ENを備えているが、差動増幅器21,22の正相入力端及び逆相入力端には、それぞれ4つおきの受光素子から出力される受光信号が入力される。例えば、差動増幅器21の正相入力端には受光素子E1,E5,E9,E13,…から出力される受光信号が入力され、差動増幅器21の逆相入力端には受光素子E3,E7,E11,E15,…から出力される受光信号が入力される。また、差動増幅器22の正相入力端には受光素子E2,E6,E10,E14,…から出力される受光信号が入力され、差動増幅器22の逆相入力端には受光素子E4,E8,E12,E16,…から出力される受光信号が入力される。
【0031】
差動増幅器21は、位相が0度の干渉光の受光信号と、位相が180度の干渉光の受光信号との差動増幅を行い、図4中に示すA相信号を処理装置23に出力する。また、差動増幅器22は、位相が90度の干渉光の受光信号と、位相が270度の干渉光の受光信号との差動増幅を行い、図4中に示すB相信号を処理装置23に出力する。受光装置13の受光面13aに照射される干渉光L3(参照光L1、信号光L2)の波長が基準波長である場合には、差動増幅器21,22からそれぞれ出力されるA相信号とB相信号とは位相が90°ずれた信号となる。
【0032】
尚、本実施形態では、受光面13a上の素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅が受光面13aの大きさ以下であるため、通常は差動増幅器21,22で作動増幅しても直流成分(DC成分)が完全に除去されない。このため、図4に示す通り、A相信号及びB相信号は共にオフセットを有する場合がある。処理装置23は、差動増幅器21,22から出力されるA相信号及びB相信号に対して所定の信号処理を行って、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を測定し、又は、DUT20の光学特性(例えば、透過特性)を測定する。
【0033】
以上、干渉光測定装置10の構成について説明したが、次に参照光L1及び信号光L2のビーム幅と、A相信号及びB相信号のオフセット及び位相ずれとの関係について考察する。いま、受光装置13の受光面13aに照射される参照光L1及び信号光L2の素子配列方向における強度分布がガウス分布を有していると仮定し、参照光L1のピーク強度をP1、素子配列方向における参照光L1のビーム幅をW、素子配列方向における受光面13aの中心からの距離をL、DUT20の減衰量をαとすると、受光装置13の受光面13aに照射される参照光L1及び信号光L2の素子配列方向における強度分布I(L),I(L)は以下の(1)式で表される。
【数1】


【0034】
また、参照光L1の全パワーはパワービーム幅によらず一定であるため、参照光L1のピーク強度P1を参照光L1の全パワーで正規化すると、以下の(2)式で表される。
【数2】


【0035】
ここで、図3を用いて説明した通り、受光装置13の受光面13aに照射される干渉光L3(参照光L1、信号光L2)の波長が基準波長からずれているときに得られる干渉光L32の干渉縞の周期は、レーザ光の波長が基準波長であるときに得られる干渉光L31の干渉縞の周期からずれる。いま、基準波長をλ、基準波長からずれた波長をλとし、干渉光L3の波長が基準波長λのときの干渉縞の周期をl、干渉光L3の波長が波長λのときの干渉縞の周期をlとすると、以下の(3)式が成り立つ。
【数3】


【0036】
また、干渉光L3の波長が基準波長λのときには、受光装置13の受光素子E1〜ENの各々で受光される干渉光L3(干渉光L31)の位相は90度の倍数となるが、干渉光L3の波長が基準波長λのときには、各受光素子E1〜ENの各々で受光される干渉光L3(干渉光L32)の位相θは以下の(4)式で表される
【数4】


【0037】
以上を踏まえて、受光装置13に設けられた受光素子E1〜ENの各々で受光される干渉光L3のパワー変動を求める。各受光素子E1〜ENで受光される干渉光L3の強度は、干渉装置12の光路長差(参照光L1の光路長と信号光L2の光路長との差)ΔLで定まる波長変動を1周期として変動することになる。いま、図2(b)に示す通り、素子配列方向における受光装置13の受光面13aの中心(L=0)を基準として干渉縞の周期が広がった場合には、受光素子E1〜ENの素子間隔をL、波長変動に対応する位相変動をφとすると、受光面13a上における干渉光L3の強度i(L)は以下の(5)式で表される。
【数5】


【0038】
上記の(5)式で示される干渉光L3が受光装置13の受光面13aに照射された場合に、受光装置13が備える受光素子E1〜ENの各々に入射されるパワーI(n)は、上記の(5)式を各受光素子E1〜ENの大きさ(素子配列方向の大きさ)で定積分することにより得られ、以下の(6)式で表される。
【数6】


【0039】
尚、上記(6)式中の変数nは、受光素子E1〜ENの素子番号を示すものであり、受光素子E1の素子番号は「1」、受光素子E2の素子番号は「2」であり、受光素子ENの素子番号は「N」である。また、上記(6)式中の変数Lは、受光素子E1〜ENの各々が実際に照射される光を受光することができる素子配列方向の長さ(有効受光長)である。図5は、有効受光長Lを説明するための受光装置13の拡大図である。尚、図5では、受光装置13の受光素子E1〜E4のみを図示している。図5に示す通り、各受光素子E1〜ENは、その内部に入射する光を受光する領域Rを有する。この領域Rの素子配列方向の長さが有効受光長Lであり、有効受光長L<素子間隔Lなる関係がある。
【0040】
受光装置13が備える受光素子E1〜ENの各々から出力される受光信号は、受光素子E1〜ENの各々で受光される干渉光L3のパワーに比例する。このため、差動増幅器21から出力されるA相信号i及び差動増幅器22から出力されるB相信号iは、以下の(7)式で表される。但し、以下の(7)式中の変数qは、受光素子E1〜ENの総数Nを4で除算して得られる商(即ち、q=N%4)である。
【数7】


【0041】
例えば、受光装置13が計16個の受光素子E1〜E16を備えるものとすると、上記(7)式は、以下の(8)式のように書き下せる。
【数8】


【0042】
よって、A相信号とB相信号とを合成した信号(リサージュ信号)の振幅I、及びA相信号とB相信号との位相差θは以下の(9)式で表される。
【数9】


【0043】
上記の(7)式又は(8)式で示されるA相信号iの平均値、又はB相信号iの平均値を算出すれば、各々のオフセットを求めることができる。尚、A相信号iのオフセットとB相信号iのオフセットとは、絶対値が同じ値をとり、符号が逆になる。また、A相信号iとB相信号iの位相差θは上記(9)式で求められる。
【0044】
ここで、受光面13aに照射される干渉光L3の強度i(L)を示す上記(5)式を参照すると、右辺第1項は参照光L1の強度分布I(L)を示す式であり、右辺第2項は信号光L2の強度分布I(L)を示す式である。また、右辺第3項は参照光L1の強度分布I(L)と信号光L2の強度分布I(L)との積の平方根に余弦関数(コサイン)が掛けられた式である。このため、干渉光L3の強度i(L)は、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2の強度分布I(L),I(L)に応じて変化することが分かる。また、(5)式の右辺第3項中の余弦関数(コサイン)には、波長λ及び波長変動に対応する位相変動φが含まれているため、参照光L1及び信号光L2の波長が基準波長λからずれると素子配列方向における参照光L3の干渉縞の周期が変化することが分かる。
【0045】
次に、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅、DUT20における減衰量、及びレーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を変化させたときのA相信号i及びB相信号iのオフセット並びに位相差θの変化を示すシミュレーション結果について説明する。尚、以下に示すシミュレーションでは、受光装置13に設けられる受光素子E1〜ENの素子間隔Lが0.1mmであり、各受光素子E1〜ENの有効受光長Lが0.08mmであるとしている。また、基準波長λを1550μmとしている
【0046】
図6は、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅とDUT20の減衰量とを変化させたときのA相信号又はB相信号のオフセットの変化を示すシミュレーション結果である。尚、かかるシミュレーションでは、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を基準波長λに固定している。図6(a)は受光装置13の受光素子数が「8」であり、図6(b)は受光装置13の受光素子数が「16」であり、図6(c)は受光装置13の受光素子数が「24」であるときのシミュレーション結果をそれぞれ示している。また、図6(a)〜図6(c)では横軸に参照光L1及び信号光L2のビーム幅をとり、縦軸に原点ずれ率をとっている。ここで、原点ずれ率とは、A相信号又はB相信号の振幅(最大値と最小値との差)に対するオフセットの大きさの比率を示す図である。
【0047】
図6(a)〜図6(c)に示す通り、DUT20の減衰量を0〜30dBまで5dB刻みで変化させている。これらの図を参照すると、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅が変化すると原点ずれ率が大きく変化することが分かる。また、DUT20の減衰量が大きくなるにつれてビーム幅の変化に対する原点ずれ率の変化量が大きくなることも分かる。
【0048】
図1に示す干渉光測定装置10を用いてDUT20の光学特性を測定する場合には、減衰量が未知のDUT20が信号光L2の光路上に配置されるため、原点ずれ率はDUT20の減衰量に拘わらず「0」になることが理想的である。このため、図6(a)のシミュレーション結果から、受光装置13の受光素子数が「8」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面13aの大きさが0.8mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を0.75mm程度に設定するのが望ましい。また、受光装置13の受光素子数が「16」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面13aの大きさが1.6mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を0.99mm程度に設定するのが望ましい。
【0049】
同様に、受光装置13の受光素子数が「24」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面13aの大きさが2.4mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を1.18mm程度に設定するのが望ましい。以上の通り、受光装置13が備える受光素子の数に拘わらず、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅を受光面13aの大きさ以下に設定すれば、DUT20の減衰量が変化しても原点ずれ率を小さくすることができる。
【0050】
以上の通り、DUT20の減衰量に拘わらず原点ずれ率が「0」になるよう参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定するのが理想的であるが、干渉光測定装置10に必要とされる精度に応じて原点ずれ率はある程度許容される。このため、例えばDUT20の最大の減衰量が30dBのときに、干渉光測定装置10に原点ずれ率が±5%許容される場合について考える。かかる場合において、受光素子数が「8」であると(図6(a)参照)、ビーム幅の僅かな変化に対して原点ずれ率が大きく変化するため、許容されるビーム幅のずれは小さい。しかしながら、素子数が増えるに従って許容されるビーム幅のずれの許容度も大きくなる。例えば、受光素子数が「16」の場合には、図6(b)に示す通り、0.9〜1.2mm程度の範囲で許容され、受光素子数が「24」の場合には、図6(c)に示す通り、0.9〜2.3mm程度の範囲で許容される。
【0051】
このため、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅は、受光面の大きさ以下であって、干渉光測定装置10に必要とされる精度に応じて適宜設定することができる。尚、実際上の原点ずれ率は、経年変化等を考慮すると、干渉光測定装置10の精度上許容される原点ずれ率の10分の1程度であるのが望ましい。このため、例えば干渉光測定装置10の原点ずれ率が±5%許容される場合には、原点ずれ率が±0.5%以内に収まるよう参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定するのが好ましい。
【0052】
図7は、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅とレーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を変化させたときのA相信号及びB相信号から(9)式で計算される位相の変化を示すシミュレーション結果である。尚、かかるシミュレーションでは、DUT20での減衰量を0dBに固定している。図7(a)は受光装置13の受光素子数が「8」であり、図7(b)は受光装置13の受光素子数が「16」であり、図7(c)は受光装置13の受光素子数が「24」であるときのシミュレーション結果をそれぞれ図示している。また、図7(a)〜図7(c)では横軸に参照光L1及び信号光L2のビーム幅をとり、縦軸にA相信号及びB相信号から計算される位相の真値からのずれをとっている。
【0053】
図7(a)〜図7(c)に示す通り、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を1350〜1750μmまで100nm刻みで変化させている。これらの図を参照すると、レーザ光の波長が基準波長λである場合には、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅が変化しても位相ずれが全く生じないことが分かる。これは、図3を用いて説明した通り、干渉光L3と受光装置13の受光素子との関係が、干渉光L3(干渉光L31)の干渉縞の1周期毎に4つの受光素子が配置された関係にあるからである。
【0054】
また、これらの図から、ビーム幅がある範囲に収まっている場合には、レーザ光の波長が基準波長λからずれても位相ずれは殆ど生じないが、その範囲から外れるとレーザ光の波長が基準波長λからずれるにつれて位相ずれが大きくなることが分かる。具体的には、図7(a)を参照すると、ビーム幅が0.49mmのときにはレーザ光の波長が基準波長λからずれても位相ずれは殆ど生じないが、ビーム幅が0.49mm以外のときにはレーザ光の波長が基準波長λからずれると位相ずれが大きく変化する。
【0055】
また、図7(b)を参照すると、ビーム幅が0.6〜0.8mm程度の範囲内であるときにはレーザ光の波長が基準波長λからずれても位相ずれは殆ど生じない。更に、図7(c)を参照すると、ビーム幅が0.6〜1.25mm程度の範囲内であるときにはレーザ光の波長が基準波長λからずれても位相ずれは殆ど生じない。つまり、受光装置13が備える受光素子の数が増えるに従って、位相ずれが殆ど生じないビーム幅の範囲が拡大することが分かる。
【0056】
尚、レーザ光源11から射出されるレーザ光の波長変動を測定する場合には、波長変動があってもA相信号及びB相信号から計算される位相の位相ずれが「0」になることが理想的である。このため、図7(a)〜図7(c)に示すシミュレーション結果から、受光装置13の受光素子数が「8」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面の大きさが0.8mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を0.5mm程度に設定するのが望ましい。また、受光装置13の受光素子数が「16」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面の大きさが1.6mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を0.6〜0.8mm程度の範囲内に設定するのが望ましい。
【0057】
同様に、受光装置13の受光素子数が「24」であるとき(即ち、素子配列方向における受光面の大きさが2.4mmのとき)には、参照光L1及び信号光L2のビーム幅を0.6〜1.25mm程度の範囲内に設定するのが望ましい。このように、受光装置13が備える受光素子の数に拘わらず、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅が受光面の大きさ以下に設定していれば、レーザ光の波長が変化しても位相ずれを小さくすることができる。
【0058】
尚、波長ずれに起因するA相信号及びB相信号から計算される位相の位相ずれは、原点ずれ率と同様に、干渉光測定装置10に必要とされる精度に応じてある程度許容される。このため、素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅は、受光面の大きさ以下であって、干渉光測定装置10に必要とされる精度に応じて適宜設定することができる。このとき、経年変化等を考慮して干渉光測定装置10の精度上許容される位相ずれの10分の1程度であるのが望ましい。このため、例えば干渉光測定装置10の位相ずれが±2.5度許容される場合には、原点ずれ率が±0.25度以内に収まるよう参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定するのが好ましい。
【0059】
以上、A相信号及びB相信号の原点ずれ及び位相ずれのシミュレーション結果について説明したが、参照光L1及び信号光L2のビーム幅は、原点ずれにのみ着目して原点ずれが極力小さくなるように設定しても良く、位相ずれのみに着目して位相ずれが極力小さくなるよう設定しても良い。例えば、干渉光測定装置10をDUT20の光学特性に用いる場合には原点ずれに着目して参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定するのが望ましく、干渉光測定装置10をレーザ光の波長変動の測定に用いる場合には位相ずれに着目して参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定するのが望ましい。勿論、原点ずれと位相ずれとの双方に着目して参照光L1及び信号光L2のビーム幅を設定しても良い。
【0060】
図8は、受光素子の素子数と最適ビーム幅との関係を示す図である。尚、図8では、横軸に受光素子数をとり、縦軸にビーム幅をとっている。図中符号D1を付した直線は原点ずれ率が最小となる最適ビーム幅を示す直線であり、符号D2を付した直線は位相ずれが最小となる最適ビーム幅を示す直線である。尚、図7を用いて説明した通り、位相ずれが殆ど生じなくなるビーム幅にはある程度の範囲があるため、この範囲をエラーバーで示している。
【0061】
図8を参照すると、原点ずれ率に対する最適ビーム幅と位相ずれに対する最適ビーム幅とは一致しないため、原点ずれ率と位相ずれを共に最小にするビーム幅を設定することはできない。しかしながら、例えば素子数が「24」であるときには、位相ずれが殆ど生じなくなるビーム幅の範囲に原点ずれ率を最小にするビーム幅が含まれている。このため、原点ずれ率を最小とするビーム幅に設定すれば、原点ずれ率と位相ずれとを共に小さくすることができる。
【0062】
これに対し、素子数が「8」又は「16」の場合には、位相ずれが殆ど生じなくなるビーム幅の範囲に原点ずれ率を最小にするビーム幅が含まれることはない。このような場合には、例えば原点ずれ率を最小にするビーム幅と位相ずれを最小にするビーム幅との中間のビーム幅に設定することができる。或いは、図6及び図7を参照すると、原点ずれが殆ど生じなくなるビーム幅の範囲は、位相ずれが殆ど生じなくなるビーム幅の範囲よりも狭い傾向がある。このため、原点ずれ率が極力小さくなるようにビーム幅を設定するのが望ましい。
【0063】
以上説明した通り、本実施形態による干渉光測定装置10においては、A相信号及びB相信号の原点ずれ率及びA相信号及びB相信号から計算される位相の真値からのずれの少なくとも一方が所定値以下となるよう信号光L1及び参照光L2のビーム幅を設定しているため、波長可変範囲が広く且つ高い精度で干渉光を測定することができる。また、受光装置13の受光面13aに照射される信号光L1及び参照光L2のビーム幅が、受光面13aの大きさ以下に設定されており、信号光L1及び参照光L2のパワーの大部分が受光面13aに照射されるため、従来に比べて測定ダイナミックレンジを広げることができ、効率良く干渉光の測定を行うことができる。
【0064】
以上、本発明の一実施形態による干渉光測定装置について説明したが、本発明は上記実施形態に制限される訳ではなく、本発明の範囲内で自由に変更が可能である。例えば、上記実施形態では、レーザ光の波長が基準波長λであるときに、干渉光L3の干渉縞の1周期毎に4個の受光素子が配列されている場合を例に挙げたが、干渉縞の1周期毎の受光素子数は任意に設定することができる。また、上記実施形態では、受光装置13が備える受光素子数が「8」,「16」,「24」である場合のシミュレーション結果についてのみ説明したが、受光装置13が備える受光素子数はこれらに限定されることはない。
【0065】
更に、上記実施形態では、マイケルソン型の干渉装置12を備える干渉光測定装置10について説明したが、干渉光を生成する干渉装置はこれに限られることはない。例えば、基板上に形成された複数本の光路差を利用した干渉装置を備える干渉光測定装置にも本発明を適用することができる。尚、本発明の干渉光測定装置は、被測定光の波長をモニタする波長モニタ装置、DUT20の光学特性を測定する装置以外に、例えば測長装置にも応用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の一実施形態による干渉光測定装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】干渉光L3と受光装置13との関係を説明するための図である。
【図3】干渉光L3と受光装置13に設けられる受光素子との関係を示す図である。
【図4】干渉光L3と受光装置13に設けられる受光素子との関係に加えて、信号処理装置14の内部構成を示す図である。
【図5】有効受光長Lを説明するための受光装置13の拡大図である。
【図6】素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅とDUT20の減衰量とを変化させたときのA相信号又はB相信号のオフセットの変化を示すシミュレーション結果である。
【図7】素子配列方向における参照光L1及び信号光L2のビーム幅とレーザ光源11から射出されるレーザ光の波長を変化させたときのA相信号及びB相信号から計算される位相の変化を示すシミュレーション結果である。
【図8】受光素子の素子数と最適ビーム幅との関係を示す図である。
【図9】従来のレーザ測長器の構成の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0067】
10 干渉光測定装置
12 干渉装置
13 受光装置
13a 受光面
21,22 差動増幅器
23 処理装置
E1〜EN 受光素子
L1 参照光
L2 信号光
L3 干渉光
【出願人】 【識別番号】000006507
【氏名又は名称】横河電機株式会社
【出願日】 平成18年7月13日(2006.7.13)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武

【識別番号】100108578
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 詔男

【識別番号】100089037
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邊 隆

【識別番号】100101465
【弁理士】
【氏名又は名称】青山 正和

【識別番号】100094400
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 三義

【識別番号】100107836
【弁理士】
【氏名又は名称】西 和哉

【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦


【公開番号】 特開2008−20340(P2008−20340A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−192805(P2006−192805)