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温度無依存光波長識別装置、及び光波長識別方法 - 特開2008−2914 | j-tokkyo
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【発明の名称】 温度無依存光波長識別装置、及び光波長識別方法
【発明者】 【氏名】及川 陽一

【要約】 【課題】従来の波長識別装置では、温度変動による基板素材の膨張、及び集光レンズの焦点距離変動に起因する変動については補正しているが、光の波長成分を検出する受光手段であるPDアレイを構成する部材の温度変動による影響については考慮されていない。このため、温度変動による光波長の識別誤差を完全に抑えることは困難であった。

【構成】受光手段(例えばPDアレイ)を構成する部材の温度変動を考慮した波長識別誤差の算定方式に基づき、光回析手段と集光レンズとの間の距離、及び集光レンズの焦点距離変動の係数を調整することにより波長識別誤差の補正を行い、温度変動時においても高精度の光波長識別が行えるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、前記光回析手段から出射された前記光成分を集光する集光レンズと、集光された前記光成分の入射位置により前記光成分の波長を識別する前記受光手段とが同一の基板に固定されて構成される光波長識別装置において
前記集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記集光レンズとの距離を前記集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定して構成する
ことを特徴とする光波長識別装置。
【請求項2】
請求項1に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を検出するPDセルを所定の間隔で一列に配置したPDアレイで構成され、前記PDアレイの受光面に入射される光成分を検出した前記PDセルの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
【請求項3】
請求項1に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を反射する微小ミラーを所定の間隔で一列に配置したMEMSで、前記光成分が入射された前記微小ミラーの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
【請求項4】
光を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、前記光回析手段から出射された前記光成分を集光する集光レンズと、集光された前記光成分の入射位置により前記光成分の波長を識別する前記受光手段とを同一の基板に固定して光波長を検出する光波長識別方法において、
前記集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記集光レンズとの距離を前記集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定する
ことを特徴とする光波長識別方法。
【請求項5】
ファイバアレイを介して入射される複数の光を集光する第一の集光レンズと、
前記第一の集光レンズにより集光された複数の光の各々を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、
分光された前記光成分を集光する第二の集光レンズと、
前記第二の集光レンズにより集光された前記光成分の波長を識別する受光手段とを備える、
ことを特徴とする光波長識別装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は光波長の識別装置に係り、特に温度変動に伴う光波長の識別誤差を高精度に補正する光波長識別装置、及び光波長識別方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のFTTH(Fiber to The Home)やADSL (Asymmetric Digital Subscriber Line)など数〜100 Mbit/s程度の帯域を持った高速アクセス網の急激な普及により、ブロードバンドインターネットサービスを享受できる環境が整備されつつあり、これらの通信需要増大に対応するため、バックボーンネットワーク(コア網)では、波長多重技術を用いた超大容量光通信システムの敷設が進みつつある。一方、メトロネットワークと、このコア網との接続部分において、電気によるスイッチング能力の限界が依然として残り、この部分での帯域ボトルネックが発生することが危惧されている。そこで、帯域ボトルネックになるメトロ領域に新しい光スイッチングノードを設置し、アクセス網とコア網間で、電気スイッチを介在することなく光領域で直接接続する新しいフォトニックネットワークアーキテクチャを構築することが有効と考えられ、各所で研究開発が精力的に行なわれている。これらの光ネットワークにおいては、コア網、メトロコア網、メトロアクセス網などに配置される光ノードにおいて、光信号に含まれる複数の波長の光成分をモニタしその波長を検出する技術がますます重要となっている。
【0003】
図1に、光波長検出システムの構成例を示す。
【0004】
基板400の上に光回析デバイス100、集光レンズ200、受光手段300が固定された構造になっている。
【0005】
光回析デバイス100は入射された光から、その光に含まれている複数波長の光成分を分光する。集光レンズ200は入射された各光成分を屈折させて受光手段300の受光面に集光する。受光手段300は、各光成分の受光面への入射位置を基に、その光成分の波長を検出する。
図1の構成例では、集光レンズ200により集光された光成分40(図1では3個の光成分の光路が示されている)は一旦反射ミラー390で方向を変え、受光手段300の受光面に垂直に入射するように構成されている。ここでは、光回析デバイス100としてはPLC(Planner Lightwave Circuit)型分光素子を、受光手段300としてはPD(Photo Diode)アレイを用いた場合の例を示している。
【0006】
図1のような構成においては、温度変動時には基板の熱膨張に伴い光回析デバイス100、集光レンズ200、受光手段300間の距離、及び、集光レンズ200の焦点距離が変動し、それに伴い受光手段の受光面で集光された光成分の入射位置が変動するため、それを補正する工夫が必要となる。
【0007】
このような温度変動による影響を補正ものとしては、例えば、光ピックアップ、レーザコリメータ装置などでは、温度によるレンズの焦点距離変動を、光学部の筐体などの熱膨張でキャンセルする技術が公開されている。特許文献1には温度変化による焦点位置の変動を補償する投影レンズについて、特許文献2にはコリメータレンズの温度変化に伴う焦点距離変動と補償部材の使用により光源とコリメータレンズとの間の相対位置変動を補償する技術が、特許文献3には光学系の焦点位置の温度変動を補償する技術が、特許文献4には温度変化による非点収差の量を抑える技術が、特許文献5には温度変動による焦点距離の変化をキャンセルする技術が示されている。
【特許文献1】特開昭63−264716
【特許文献2】特開平1−220234
【特許文献3】特開平10−133087
【特許文献4】特開2004−281033
【特許文献5】特開平11−64757
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、従来の技術では、温度変動による基板素材の膨張、及び集光レンズの焦点距離変動に起因する変動については補正しているが、光成分を検出するPDアレイの部材の温度変動による膨張については考慮されていない。従来の補正方法では、温度によるレンズ焦点距離変動と、回折デバイスと集光レンズ間、及び、集光レンズとPDアレイ間を固定する基板の部材の熱膨張による変動量を同じようにすること、ないしは、レンズの焦点距離変動を極力"0"に近づけ、かつ、部材の熱膨張を極力"0"に近づけるような材料を選択していた。しかし、PDアレイ自体の熱膨張を考慮していないので、温度変動による光波長の識別誤差を完全に抑えることは困難であった。
【0009】
光伝送ネットワークにおける光波長の測定や光波長選択スイッチなどでは高精度の波長識別が要求され、PDアレイを構成する部材自体の膨張も考慮したより高精度の波長識別方法が望まれている。
【0010】
本発明は、温度変動による光波長の識別誤差を補正し、温度変動時においても高精度の光波長識別を行うことができる温度無依存の光波長識別装置、及び波長識別方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、光を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、前記光回析手段から出射された前記光成分を集光する集光レンズと、集光された前記光成分の入射位置により前記光成分の波長を識別する前記受光手段とが同一の基板に固定されて構成される光波長識別装置において、前記集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記集光レンズとの距離を前記集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定して構成する、ように構成した。
【0012】
これによれば、光波長識別装置の基板を構成する部材と光波長の識別部となる受光手段を構成する部材の温度変動が分かれば、集光レンズの焦点距離の温度変動、及び光回析手段と前記集光レンズとの距離を調整することによって、温度変動に伴う波長識別誤差の補正が可能となり、より高精度の光波長の識別が行えるようになる。
【0013】
ここで、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βをゼロとし、前記基板の部材の温度変動係数α、及び前記受光手段の部材の温度変動係数αsの値が
k=1−αs/α
を満足するように係数kを設定して構成することもできる。
【0014】
これによれば、上記の光波長識別装置において、一般的に広く用いられている複合部材により作製された温度変動係数βがゼロであるレンズを選択した場合は、設計パラメータであるkを、k=1−α/α (ただし、0<α<α)とすることができる。つまり、汎用のβ=0レンズを適用できるので、コスト削減が期待できる。
【0015】
また、本発明では、上記の光波長識別装置において、前記受光手段は受光面に光を検出するPDセルを所定の間隔で一列に配置したPDアレイで、入射された前記光成分を検出した前記PDセルの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別する、ように構成するこができる。
【0016】
これによれば、PDセル、つまり、フォトダイオードを一列に配置し、入射された光を検出したフォトダイオードの配置位置により入射された光の波長を識別することができ、PDアレイを用いた光波長測定システムに適用することにより、温度変動時においても高精度で光波長を測定することが可能となる。
【0017】
本発明ではさらに、上記の光波長識別装置において、前記受光手段は受光面に光を反射する微小ミラーを所定の間隔で一列に配置したMEMSで、前記光成分が入射された前記微小ミラーの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別するように構成することもできる。
【0018】
これによれば、温度変動時においても、光を入射された微小ミラーの配置位置により入射された光の波長を正確に識別することができ、MEMSはその識別された波長に対応した方向へ入射された光を反射することができる。つまり、本発明の波長識別装置を適用したMEMSを用いた波長選択装置では、温度変動時でも高精度の波長選択が可能となる。
【0019】
さらに、本発明の波長識別装置は、ファイバアレイを介して入射される複数の光を集光する第一の集光レンズと、前記第一の集光レンズにより集光された複数の光の各々を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、分光された前記光成分を集光する第二の集光レンズと、前記第二の集光レンズにより集光された前記光成分の波長を識別する受光手段とを備える、ように構成することもできる。
【0020】
これにより、受光手段として例えば複数のPDセル列を備えたPDアレイや、複数の微小ミラー列を備えてMEMSを用いることにより、ファイバアレイを介して入力される複数の光を同時に分光して波長識別することが可能となる。
【発明の効果】
【0021】
光回析手段、集光レンズ、受光手段が同一基板に固定されて構成される光波長識別装置において、調整可能な設計パラメータである、光回析手段と集光レンズとの間の距離と、集光レンズの焦点距離変動の係数を調整することにより、予め定まっていて調整が困難な物理パラメータである温度変動に伴う基板膨張、受光手段自体の熱膨張の二つの要素に対する補正を行うことが可能になり、温度変動による影響を最小化した高精度の光波長識別が可能となる。また、この光波長識別装置をPDアレイを用いた光波長測定システム、及びMEMSを用いた光波長選択スイッチに適用することにより、温度変動時においても高精度の光波長測定、及び高精度の光波長選択切り替えが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
(実施例)
図2は本発明の波長識別装置の第一の実施形態で、その常温時の光の伝搬状況を示している。
【0023】
光回析手段である光回析デバイス100、集光レンズ200、受光手段300は、基板400上に固定されている。光回析デバイス100と集光レンズ200との間の距離を”L1”、集光レンズ200と受光手段300間の距離を”L2”、集光レンズ200の焦点距離を”f”とすると、L1は、f・k(ただし、0<k≦1)に、L2は集光レンズ200の焦点距離fに一致するように配置される。ここで、kは光回析デバイス100と集光レンズ200との間の距離を調整するための距離係数である。
【0024】
光回析デバイス100は入力された複数の波長成分を含む光信号20を波長成分別に分光して、集光レンズ200の光軸80上に配置される起点81から集光レンズ200に射出する。
【0025】
図2では、図表現を簡素化するために入射光20が三つの波長の光成分31、32、33に分光された場合を代表例として模式的に示しているが、任意の波長の光成分についても同様である(以降の記述においても同様に表記する)。集光レンズ200は分光された光成分31、32、33を屈折させ、それぞれ光成分41、42、43として受光手段300の受光面301へ集光する。ここでは、光回析デバイス100により分光される光成分は、集光レンズ200の上側には短波長の光成分が射出され、下側には長波長の光成分が射出されるものとする。
【0026】
ここで、k=1の場合は、集光レンズ200の焦点距離”f”は回折デバイス100と集光レンズ200の間の距離”L1”、及び集光レンズ200と受光手段300の間の距離”L2”と一致しているため、起点81から射出され集光レンズ200により集光された光成分41、42、43の光路は集光レンズ200の光軸80に平行となり、光軸80に垂直に配置されている受光手段300の受光面301に垂直に照射され、受光面301上でビームウエストを持つ。図2では、このk=1の場合を想定して表記しているが、0<k<1の場合は、光成分41、43は平行ではなく広がる方向になり、照射される受光面301上の位置は図2と同じになるとともに、受光面301ではビームウエストにはならないが、ビーム径は図2と同等になる。以下に示す図3、4、5では、図の表現を簡素化するためにk=1の場合を代表例として図示しているが、0<k<1の場合も同様である。
【0027】
受光手段300がPDアレイの場合は、光を検出するためのPDセル(フォトダイオード)が等間隔で配列されてPDセル列を構成しており、受光面301に入射された光成分を検出したPDセルの受光面301上の位置により入射された光成分の波長を識別する。
【0028】
図3は、本発明の第一の実施形態における温度変動時の光の伝搬状況を示している。
温度上昇とともに分光された光成分の光路、基板400に固定された各デバイス間の距離、及び、集光レンズの焦点距離が変動した場合の状況を、集光レンズ200を中心にして(集光レンズ200は位置が変動しないものとして)表示している。
【0029】
温度上昇とともに、集光レンズ200の焦点距離”f”は屈折率の温度変動、ガラス材料の熱線膨張のかねあいで一般的には増大する。一方、光回析デバイス100と集光レンズ200の間の距離”L1”、集光レンズ200と受光手段300間の距離”L2”も増大するが、図3では焦点距離の増大の方が”L1”、”L2”の増大よりも大きい場合を示している。焦点距離の増大が”L1”、”L2”の増大よりも小さい場合については、41a、43aの光線が41、43よりも狭まる方向になるが、ここでは、図3の状態を代表例として解析を進める。
【0030】
また、上記図2で示した常温時に光回析デバイス100で分光された光成分31、32、33の光路の内、短波長側の光成分31、及び、長波長側の光成分33の光路を点線矢印で示している。光軸80に沿って出力される光成分32の光路については温度変動による受光手段300の受光面301への照射位置ずれは発生しないため、図を簡素化するためにここでは図示してない。
【0031】
温度上昇により、集光レンズ200の前側(図3に向かって左側)に配置される光回析デバイス100と集光レンズ200とを固定している基板400の部材が熱膨張して光回析デバイス100と集光レンズ200の距離が増大し、常温時の分光された光の起点81は温度変動後の分光される光の起点81aへ移動する。
【0032】
同様に、集光レンズ200の後側(図3に向かって右側)に配置される受光手段300と集光レンズ200とを固定している基板400の部材も熱膨張して集光レンズ200と受光手段300との間の距離が増大し、受光手段300の受光面301の位置が光軸80上の点82から82aへ移動する。
【0033】
また、集光レンズ200の焦点距離”f”も増大して”fa” となり、集光レンズ200の前側焦点は、光軸80上の点81から81bへ移動し、集光レンズ200の後側焦点は、光軸80上の点82から82bへ移動する。
【0034】
図3では、基板400の集光レンズ200の片側分の部材の熱膨張よりも焦点距離の増大の方が大きい場合を示している。従って、温度上昇後の光回析デバイス100から分光される光成分の起点81aは集光レンズ200の前側焦点81bよりも集光レンズ200に近い位置にあるため、集光レンズ200で集光された光成分41a、43aの光路は光軸80と平行にはならずに光軸80からみて外側に広がり、受光手段300の受光面301への照射位置は受光面301の中心82aから見て外側へずれることになり、受光手段300での波長識別に大きな誤差が生じることになる。
【0035】
図4は、本発明の受光手段として用いるPDアレイの概要で、受光手段300としてPDアレイを用いた場合の受光面301の構造を模式的に示している。
【0036】
PDアレイ300の受光面301には、PDセルが複数個等間隔で一列に並べられてPDセル列を構成している。図4の例では、301−1〜301−nのn個のPDセルが間隔”p”で並べられている様子を示している。各フォトダイオードはその配置位置により受光すべき光成分の波長が予め定められており、例えば、301−1は最も短い波長の光成分を識別し、301−2、3、4の順に識別する波長が長くなり、301−nが最も長い波長を識別する。図4の例では、PDセル301−1、2、3・・・、nがそれぞれ、波長”λ1”、”λ2”、”λ3”、・・・、”λn”の光成分を識別するように配置されている。例えば、常温時に光成分41(点線矢印)がPDセル301−2に入射した場合は、PDアレイ300は光成分41の波長は”λ2”であると認識する。
【0037】
ところが、温度上昇時は上記図3の説明で示したように、同じ”λ2”の波長の光成分の光路は41a(実線矢印)のように受光面301の中心から外側に移動し、例えばPDセル301−1の位置に照射されることが起きえる。この場合は、PDアレイ300は波長”λ1”の光成分を受光したと識別することになり、実際に入射された波長”λ2”の光成分を波長”λ1”と誤認識してしまうことになる。
【0038】
図5は、温度変動時に受光手段へ入射される光成分の識別誤差を示している。
【0039】
常温時は、集光レンズ200の前側の焦点81の位置から光軸80に対して角度”θ”の方向へ出射された光路31の光成分(点線矢印)は、集光レンズ200で屈折して光路41(点線矢印)を経由して受光手段300の受光面301に到達する。このとき、光路41は光軸80に対して平行、つまり、受光面301に対しては垂直になっており、受光面301の中心82から”R”の距離の受光面上の点309に光が入射される。ここでは、図を簡素化するために受光面301の光軸80の上半分だけを図示している。また、集光レンズ200は凸レンズ210と凹レンズ220を組み合わせて色収差の補正を行う複合レンズの構成を例示している。
【0040】
次に温度上昇時は、集光レンズの焦点距離"f"は屈折率の温度変動、およびガラス材料の熱線膨張のかねあいで変動し、"fa"へ増大する。一方、光回析デバイス100と集光レンズ200の間の距離”L1”、及び、集光レンズ200と受光手段300間の距離”L2”も増大するが、ここでは、焦点距離の増大の方が”L1”、”L2”の増大よりも大きい場合を示している。
【0041】
従って、温度上昇後の光回析デバイス100で分光された光成分の起点は81から81aに移動するが、温度上昇後の集光レンズの前側の焦点81bに対して集光レンズ200寄りの起点となるため、分光された光成分31a(実線矢印)は集光レンズ200による屈折後は41より外側の41aの光路(実線矢印)を辿る。そして、温度上昇により移動した後の受光手段300の受光面301a上の点309bに入射される。つまり、受光手段300の受光面301上でみてみると、常温時の入射位置は受光面301の中心から"R"の距離であったものが、温度上昇後は受光面301の中心から"Rb"の距離(”R+ΔRb”)に位置がずれることになる。
【0042】
一方、受光手段300自体もその構成部材に起因して熱膨張し、常温時の光成分41の入射位置309は、温度上昇後は309aに移動する。つまり、受光面中心からの距離が
"R"から"R+ ΔRa"へ増大する。これは、光成分を受光したPDセルを基準として見た場合、光成分の入射位置が光軸80の方向へ"ΔRa"だけずれているように見える。
【0043】
上記より、温度上昇に伴う受光手段300の受光面301の中心82aを基準にした光成分41aの入射位置の識別誤差を"Δx"とすると、
【0044】
【数1】


【0045】
の関係が成り立つことが分かる。
【0046】
上記の関係式は、受光面301の中心から外側方向へのずれの値を正の符号とし、中心方向へのずれの値を負の符号で表すとすれば、温度下降の場合でも同様に成り立つ。
【0047】
図6は、本発明の波長識別誤差の算出方法であり、上記図5を参照しながら算出ステップ順に説明する。
【0048】
S01.温度変動時の集光レンズ200の焦点ずれ”Δf”を算出する。
【0049】
常温からの温度変動を”ΔT”とし、集光レンズ200の焦点距離変動係数を”β”とすると、集光レンズ200の焦点ずれの値”Δf”は、
【0050】
【数2】


【0051】
となる。プラスは、温度上昇とともに焦点距離が増大することを意味し、マイナスは、その逆である。物理定数ではないので、±の両方の値を持つ可能性がある。
【0052】
S02.温度変動時の集光レンズ200の前側基板の熱膨張”ΔL1”、及び、後側基板の熱膨張”ΔL2”を算出する。
【0053】
基板の部材の温度変動係数を”α”とすると、温度変動時の集光レンズ200の前側基板の熱膨張”ΔL1”は、”L1=k・f”であることから、
【0054】
【数3】


【0055】
となる。
【0056】
集光レンズ200の後側基板の熱膨張”ΔL2”については、前側と同じ基板の部材から成り、かつ、”L2=f”であることから、
【0057】
【数4】


【0058】
となる。
【0059】
S03.常温時の光成分の受光手段の受光面への入射位置”R”を算出する。
【0060】
まず、既知の光線マトリックス解析手法を用いることにより下記の(数式−5)が得られる。光線マトリックス解析手法については、例えば、文献”OPTICS ”(Eugene Hecht著、fourth edition のChaper6)に記載されている。
【0061】
【数5】




【0062】
上記(数式−5)において、”r1”は光成分31の起点81の光軸80に対する高さであり、”r2”は光成分31の集光レンズ200の位置における光軸80に対する高さである。上記図5のケースでは”r1=0”であり、これらを(数式−5)に代入すると、
【0063】
【数6】


【0064】
が得られる。
【0065】
S04.温度変動時の光成分の入射位置ずれ”ΔRb”を算出する。
【0066】
温度変動により、平常時の温度”T0”から”ΔT”だけ温度が変動して”T0+ΔT”になった時、集光レンズ200の焦点距離fの変動値を”Δf”とすると、温度変動後の焦点距離
faは”f + Δf”となり、温度変動後のL1は、L1a=(f+ΔL)・kとなり、温度変動後のL2は、L2a=f + ΔLとなるので、温度変動後の受光手段300の受光面301の光軸80からの距離Rは、
【0067】
【数7】


【0068】
となる。
【0069】
上記(数式−6)、(数式−7)より、
【0070】
【数8】


【0071】
が得られ、これに、上記の(数式―2)、(数式−3)、(数式−4)を代入すると、
【0072】
【数9】


【0073】
となる。
【0074】
S05.温度変動時の受光手段300の受光面301の熱膨張”ΔRa”を算出する。
【0075】
受光手段300の受光面301は熱膨張で長くなり、光成分が照射されているPDセルが光軸80の外側方向へ移動する。つまり、常温時に光成分が入射する受光面301上の位置309のPDセルが温度変動により入射位置309aに移動する。この際の該PDセルの受光面301上での光軸80から外側への変動値”ΔRa”は、受光手段300の熱線膨張係数を”αs”とすると、
【0076】
【数10】


【0077】
となる。
【0078】
S06.温度変動時の光成分の入射位置の識別誤差”Δx”を算出する。
【0079】
温度変動時に光成分が受光手段300の受光面301へ入射した際の入射位置識別誤差”Δx”は、(数式−1)示すように光成分の入射位置ずれの値”ΔRb”から、受光面301の熱膨張による変動値”ΔRa”を差し引いた値であり、上記(数式−9)、(数式−10)から、
【0080】
【数11】


【0081】
が得られる。
【0082】
上記の(数式−11)より、温度変動に関しては、受光手段自体の熱膨張も考慮する必要があることがわかり、集光レンズの焦点距離変動係数”β”、基板の部材の熱膨張による集光レンズ/回折デバイス間、及び、集光レンズ/受光手段間の距離の温度変動係数”α”、受光手段の膨張によるPDセルの位置変動係数”αs”、および集光レンズ/回折デバイス間における焦点距離fに対する距離係数kの合計4つのファクタで決まることが分かる。
【0083】
従って、アサーマル(温度無依存)にするには、Δx=0とする必要があり、
【0084】
【数12】


【0085】
を満足するようにα、α、β、k の値を調整すればよいことが分かる。
【0086】
集光レンズとして複合レンズ(ダブルとか、トリプレートなど)を用いることにより、球面収差や、色収差などを改善するとともに、焦点距離の温度係数βを0にしたり、プラス(温度上昇とともに増大する)、または、マイナスにすることができる。
【0087】
また、焦点距離変動係数β=0で設計された一般的なレンズを用いる時は、
k=1−α/α (ただし、0<α<α)
となるように光学系を設計すればよい。
【0088】
例えば、焦点距離40mm, tanθ=0.06rad, ΔT=30℃、において、波長識別誤差を補正することなく、β=8×10-6、α=5.3×10-6、α=4.8×10-6,k=0.5とすると、(数式―11)より、
Δx=40×10-3×30×(8×10-6×0.5+5.3×10-6×0.5−4.8×10-6)×0.06
=130nm
となり、大きな波長識別誤差となる。
【0089】
これに対して、上記と同じパラメータで、波長識別誤差Δxを10pmにするには、(数式―11)の結果を用いることにより、β=4.3×10-6とすればよいことがわかり、波長識別の精度を適切に制御することが可能となる。
【0090】
図7は、本発明の波長識別装置の第二の実施形態で、入射された複数の光について同時に波長識別ができる構成を示している。
【0091】
ここでは、図7に示す構成を分かり易く説明するために、図8及び図9の二つの側面図を併用して説明する。
【0092】
図7に示す第二の実施形態では、受光手段として複数のPDセル列から構成されるPDアレイを用いる。ここではPDアレイ330が4個のPDセル列331、332、333、334を有する場合の実施例を示している。
【0093】
受光手段となるPDアレイにPDセル列が一個しかない場合は、光回析手段となる回析格子110に入射する光は一つに限定されるが、PDセル列が複数個ある場合は、最大そのPDセル列の個数に相当する数の光を回析格子110に同時に入射して各光の波長を同時に識別し測定することができる。このために、前記図2に示した本発明の第一の実施形態で使用する集光レンズ200に加えて、ファイバアレイ510を介して入射された複数の入射光を回析格子110に集光するための集光レンズ210をファイバアレイ510と回析格子110の間に配置する。前記図2に示した本発明の第一の実施形態で使用する集光レンズ200と区別するために、ここでは、集光レンズ210を第一の集光レンズと表記し、前記図2に示した本発明の第一の実施形態で使用する集光レンズ200を第二の集光レンズと表記する。
【0094】
第一の集光レンズ210により集光され回析格子110に入射された複数の光は、回析格子110により波長別の光成分に分光される。そして、分光された各光成分は第二の集光レンズ200によりPDアレイ330上の対応するPDセル列に入射される。
【0095】
図7の実施例では、ファイバアレイ510のY軸方向に配列された8個のファイバ511−518の中で、ファイバ511及び515を介してそれぞれ入射された光71a、75aがPDアレイ330に到達する様子を示している。ここでは、ファイバアレイ510のファイバ511から入射される光71aはPDアレイ330のPDセル列334に対応し、ファイバ515から入射される光75aはPDアレイ330のPDセル列332に対応するように構成した場合の例を示している。
【0096】
ファイバ511を介して入射された光71aは、第一の集光レンズ210により集光されて71bとして回析格子110に入射する。光71bは回析格子110を通過した後は、各波長成分に分光され71cとして第二の集光レンズ200に入射する。そして、71dとしてPDアレイ330の対応するPDセル列334に集光され、各光成分の波長が測定される。
【0097】
ファイバ515を介して入射された光75aについても同様で、第一の集光レンズ210を介して75bとして回析格子110に入射する。光75bは回析格子110を介して各波長成分に分光されて75cとして第二の集光レンズ200に入射し、さらに75dとしてPDアレイ330の対応するPDセル列332に集光され、各光成分の波長が測定される。このようにして、ファイバアレイ510から入射された光71a、75aは、PDアレイ330により同時にそれらの波長成分を測定することができるようになる。
【0098】
図8は、この様子は、図7の構成例を900で示す座標軸のX方向から見た側面図で示している。ファイバ511、515を介して入射された光71a、75aは第一の集光レンズ210により71b、75bとして回析格子110に集光されてそれぞれ71c、75cに分光される。そして、さらに第二の集光レンズ200により集光されて71d、75dとして、PDアレイ330の対応するPDセル列334、332に入射してPDセルにより受光されることにより各波長が測定される。ここで、分光された光成分71c、75c、及び、71d、75dは実際はxz平面上に広がってPDセル330に入射するが、本図面では重なって一つの直線で表記されている。
【0099】
このように、ファイバセル510にてY軸方向に配列されたファイバの中の所定のファイバをPDアレイ330に配列されたPDセル列に予め対応付け、所定のファイバから入射された光の各波長成分はPDアレイ330内の所定のPDセル列で受光されるように構成することにより、ファイバアレイ510の複数のファイバから入射された光を同時に波長識別できるようになる。
【0100】
図9は、上記図7に示した第二の実施形態の構成を、図7の900に示す座標軸のY方向から見た側面図である。Y軸方向に一列に配列された各ファイバから入射された光が、波長成分に分光されてPDアレイ330に到達する様子を示している。
【0101】
ファイバアレイ510のファイバ511、515を介して入射された光71a、75aは、第一の集光レンズ210を介して71b、75bとして回析格子110に入射する。そして、光71b、75bは回析格子110により、例えば31、32、33のように分光されて第二の集光レンズ200に入射した後、PDアレイ330の各PDセル列内の対応するPDセル列に41、42、43として入射し、それぞれの波長が測定される。ここで、図9は図7をY軸方向から見た断面図であるため、二つの光71a、75aは合わせて一つの矢印で表示され、また、PDセル列についても一個分のみ表示されている。二つの光71a、75aが分光された後の光成分31、32、33、41、42、43についてもそれぞれ一つの矢印で表現しているが、実際は71a、75aに対応する光成分はそれぞれPDアレイ330上の異なるPDセル列で受光される。本図では、異なるPDセル列が重なって見えるため一つ分のPDセル列しか表記していない。
【0102】
従来の技術を用いるとすると、温度変動による基板素材の膨張、及び集光レンズの焦点距離変動に起因する変動については補正できるが、光成分を検出するPDアレイの部材の温度変動による膨張、およびファイバアレイを構成するガラス材料の熱膨張については考慮されることはない。つまり、従来の補正方法では、温度による第一のレンズの焦点距離変動と、回折デバイスと第一の集光レンズ間、及び、第一の集光レンズとファイバアレイ間を固定する基板の部材の熱膨張による変動量を同じようにすること、および、温度による第二のレンズの焦点距離変動と、回折デバイスと第二の集光レンズ間、及び、第二の集光レンズとPDアレイ間を固定する基板の部材の熱膨張による変動量を同じようにすること、ないしは、第一のレンズと第二のレンズの焦点距離変動を極力"0"に近づけ、かつ、部材の熱膨張を極力"0"に近づけるような材料を選択することになる。しかし、PDアレイ自体の熱膨張、およびファイバアレイ自体の熱膨張を考慮していないので、温度変動による光波長の識別誤差を完全に抑えることは困難になる。
【0103】
上記の回析格子110、第二の集光レンズ200、及び、PDアレイ330の間の配置関係は、前記図2の第一の実施形態で示した回析手段100、集光レンズ200、及び、受光手段300の間の配置関係と同様である。つまり、第二の集光レンズ200の焦点距離を“fa”とし、回析格子110と第二の集光レンズ200の間の距離を“k・fa”、第二の集光レンズ200とPDアレイ330の間の距離を“fa”とすると、温度変動時の配置関係、及び波長識別誤差については図3、5、6で説明した内容と同様のことが言える。従って、アサーマル化するためには、
β=(α/k)−α(1/k−1) (0<k≦1)
を満足するようにα、α、β、kを調整して設計すればよい。
また、上記の本発明の第二の実施形態では、図8の断面図からも分かるように、ファイバアレイ510から入射される複数の光をPDアレイ330の複数のPDセル列に対応付けるため、ファイバアレイ510から水平に入射された複数の光は回析格子110の面上でビームウェストにする必要があり、ファイバアレイ510と第一の集光レンズ210の間の距離、及び、第一の集光レンズ210と回析格子110の間の距離を共に第一の集光レンズ210の焦点距離“fb”として構成する。ここで、ファイバアレイ510、第一の集光レンズ210、及び、回析格子110の間の関係を、それぞれ、前記本発明の第一の実施形態でいう受光手段300、集光レンズ200、及び、回析手段100の間の関係に相当すると考えれば、前記(数式―12)において、βは第一の集光レンズの焦点距離の温度係数で、αはファイバアレイ510を構成するガラス材料の熱線膨張係数と考えればよい。そして、ファイバアレイ510と第一の集光レンズ210の間の距離、及び、第一の集光レンズ210と回析格子110の間の距離が共に第一の集光レンズ210の焦点距離“fb”に等しいことから、上記(数式―12)においてk=1考えることができ、アサーマル化するためには、
β=α
が成り立つようにα及びβを調整して装置を構成すればよい。
【0104】
図10は、本発明の適用対象となる波長選択スイッチの実施例(1)で、受光手段300としてのMEMS(Micro-Electro Mechanical Systems)310が一個の微小ミラー列で構成される場合を示している。
【0105】
ファイバアレイ510の先頭のファイバに入力された光10は、ファイバアレイ510の各ファイバと対で設置されているレンズアレイ520を経由し、回析格子110へ光20として入力される。光20は光回析デバイスの一種である回析格子110により光成分31、32に分光され、集光レンズ210を介してそれぞれ光成分41、42としてMEMS310内の微小ミラー311、312に照射される。微小ミラー311、312は入射された光成分を予め設定された角度の方向へ反射してそれぞれ反射光51、52(点線矢印)として集光レンズ200へ出力する。集光レンズ200を介して集光された光成分61、62はさらに回析格子110を経由して光成分71、72としてファイバアレイ510内の所定のファイバに光成分81、82として出力される。
【0106】
また、図11は、本発明を上記図10に示す波長選択スイッチの実施例(1)へ適用した際の説明図である。
【0107】
本発明の第一の実施形態である前記図2、3,4に示した構成と比較すると、受光手段300をMEMS310とし、光回析デバイス100を透過型の回析格子110とし、また分光された光成分を検出するのはPDセルではなく微小ミラーに代わる点が異なるが、回析格子110、集光レンズ200、MEMS310の各デバイスの配置関係、及び、回析格子110から分光された光成分がMEMS310の微小ミラーに入射されるまでの過程は図2、3、5、6と同様であり、その詳細な説明はここでは割愛する。
【0108】
上記のMEMS310においては、各微小ミラーはその配置される位置によって受光すべき光成分の波長が予め定められており、温度変動により光成分の入射位置がずれると波長を誤認識することになるが、この温度変動に伴う分光された光成分の識別誤差の算出過程は、前記本発明の第一の実施形態で示した原理と同様である。
【0109】
図示は省略しているが、前記図7、8、9に示した本発明の第二の実施形態を、受光手段がMEMSの場合に適用することもできる。この場合は、上記図10に示したMEMS310を複数の微小ミラー列を備えたMEMSとして構成することにより、ファイバアレイ510から複数の光を入力して波長選択スイッチを動作させることができる。また、温度変動による影響を抑制するアサーマル(温度無依存)化についても、本発明の第二の実施形態で説明した原理を同様に適用できる。
【0110】
図12は、本発明の適用対象となる波長選択スイッチの実施例(2)である。
コリメータ510から射出された光20は回析格子120で波長別の光成分30に分光され(図では3つの光成分に分光されている)、集光レンズ200により光成分40に分光されてMEMS320内の対応する微小ミラーへ照射される。そして、微小ミラーで反射された各光成分50は再び集光レンズ200を介して回析格子120に光成分60として照射され、対応する光ケーブルへ出力される。
【0111】
前記本発明の第一の実施形態を示す図2、3、5,6の構成との相違点は、光回析デバイスである回析格子120が透過型でない点で、光回析デバイス120、集光レンズ220、MEMS320が基板(図示していない)上に固定して配置された場合の温度変動に伴うMEMS320の波長識別誤差については、前記本発明の第一の実施形態の原理が同様に適用できる。
【0112】
図示は省略しているが、前記図7に示した本発明の第二の実施形態を、受光手段がMEMSの場合に適用して複数の微小ミラー列を備えたMEMSとして上記図12のMEMS320を構成することにより、コリメータから複数の光を入力して波長選択スイッチを動作させることもできる。この場合、温度変動による影響を抑制するアサーマル(温度無依存)化についても、前記本発明の第二の実施形態を同様に適用できる。
【0113】
以上述べた本発明の実施の態様は、以下の付記の通りである。
(付記1)光を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、前記光回析手段から出射された前記光成分を集光する集光レンズと、集光された前記光成分の入射位置により前記光成分の波長を識別する前記受光手段とが同一の基板に固定されて構成される光波長識別装置において
前記集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記集光レンズとの距離を前記集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定して構成する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記2)付記1に記載の光波長識別装置において、
前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βをゼロとし、
前記基板の部材の温度変動係数α、及び前記受光手段の部材の温度変動係数αsに対して
k=1−αs/α
を近似的に満足するように距離係数kを設定して構成する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記3)付記1に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を検出するPDセルを所定の間隔で一列に配置したPDアレイで構成され、前記PDアレイの受光面に入射される光成分を検出した前記PDセルの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記4)付記1に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を反射する微小ミラーを所定の間隔で一列に配置したMEMSで、前記光成分が入射された前記微小ミラーの配置位置に基づいて前記光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記5)光を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、前記光回析手段から出射された前記光成分を集光する集光レンズと、集光された前記光成分の入射位置により前記光成分の波長を識別する前記受光手段とを同一の基板に固定して光波長を検出する光波長識別方法において、
前記集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記集光レンズとの距離を前記集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記6)付記5に記載の光波長識別方法において、
前記集光レンズの焦点距離の温度変動係数βをゼロとし、
前記基板の部材の温度変動係数α、及び前記受光手段の部材の温度変動係数αsに対して
k=1−αs/α
を近似的に満足するように距離係数kを設定する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記7)ファイバアレイを介して入射される複数の光を集光する第一の集光レンズと、
前記第一の集光レンズにより集光された複数の光の各々を波長別の光成分に分光して出射する光回析手段と、
分光された前記光成分を集光する第二の集光レンズと、
前記第二の集光レンズにより集光された前記光成分の波長を識別する受光手段とを備える、
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記8)付記7に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を検出するPDセルを所定の間隔で一列に配置したPDセル列を複数備え、前記PDセル列に入射される光成分を検出した前記PDセルの配置位置に基づいて前記複数の光の各光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記9)付記7に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を反射する微小ミラーを所定の間隔で一列に配置した微小ミラー列を複数備え、入射された前記光成分を検出した前記微小ミラーの配置位置に基づいて前記複数の光の各光成分の波長を同時に識別する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記10)付記7に記載の光波長識別装置において、
前記ファイバアレイ、前記第一の集光レンズ、前記光回析手段、前記第二の集光レンズ、及び前記受光手段は同一の基板に固定して構成され、
前記第一の集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記ファイバアレイと前記第一の集光レンズとの距離をfとし、
前記ファイバアレイを構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記第一の集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=αs
を近似的に満足するように前記第一の集光レンズの温度変動係数βを設定する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記11)付記7に記載の光波長識別装置において、
前記ファイバアレイ、前記第一の集光レンズ、前記光回析手段、前記第二の集光レンズ、及び前記受光手段は同一の基板に固定して構成され、
前記第二の集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記第二の集光レンズとの距離を前記第二の集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、また、前記第二の集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記第二の集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記第二の集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定して構成する
ことを特徴とする光波長識別装置。
(付記12)ファイバアレイを介して入射される複数の光を第一の集光レンズを介して集光し、
前記第一の集光レンズにより集光された複数の光の各々を波長別の光成分に分光し、
分光された前記光成分を第二の集光レンズにより集光し、
前記集光された光成分の受光手段に対する入射位置により各光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記13)付記12に記載の光波長識別方法において、
前記受光手段は受光面に光を検出するPDセルを所定の間隔で一列に配置したPDセル列を複数備え、前記PDセル列に入射される光成分を検出した前記PDセルの配置位置に基づいて前記複数の光の各光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記14)付記12に記載の光波長識別装置において、
前記受光手段は受光面に光を反射する微小ミラーを所定の間隔で一列に配置した微小ミラー列を複数備え、入射された前記光成分を検出した前記微小ミラーの配置位置に基づいて前記複数の光の各光成分の波長を識別する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記15)付記12に記載の光波長識別方法において、
前記ファイバアレイ、前記第一の集光レンズ、前記光回析手段、前記第二の集光レンズ、及び、前記受光手段は同一の基板に固定して構成され、
前記第一の集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記ファイバアレイと前記第一の集光レンズとの距離をfとし、
前記ファイバアレイを構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記第一の集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=αs
を近似的に満足するように前記第一の集光レンズの温度変動係数βを設定する
ことを特徴とする光波長識別方法。
(付記16)付記12に記載の光波長識別方法において、
前記ファイバアレイ、前記第一の集光レンズ、前記光回析手段、前記第二の集光レンズ、及び、前記受光手段は同一の基板に固定して構成され、
前記第二の集光レンズの所定の焦点距離fに対して、前記光回析手段と前記第二の集光レンズとの距離を前記第二の集光レンズの焦点距離fと距離係数k(ただし、0<k≦1)の積f・kとし、かつ、前記第二の集光レンズと前記受光手段との距離をfとし、
前記基板を構成する部材の所定の温度変動係数α、及び前記受光手段を構成する部材の所定の温度変動係数αsに対して、前記第二の集光レンズの焦点距離の温度変動係数βが関係式
β=(αs/k)−α・(1/k−1)
を近似的に満足するように前記第二の集光レンズの温度変動係数βおよび距離係数kを設定する
ことを特徴とする光波長識別方法。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】光波長検出システムの構成例である。
【図2】本発明の波長識別装置の第一の実施形態を示している。
【図3】本発明の第一の実施形態における温度変動時の光の伝搬状況を示している。
【図4】本発明の受光手段として用いるPDアレイの概要である。
【図5】温度変動時に受光手段へ入射される光成分の識別誤差を示している。
【図6】本発明の波長識別誤差の算出方法を示している。
【図7】本発明の波長識別装置の第二の実施形態を示している。
【図8】本発明の波長識別装置の第二の実施形態を説明するための側面図(1)である。
【図9】本発明の波長識別装置の第二の実施形態を説明するための側面図(2)である。
【図10】本発明の適用対象となる波長選択スイッチの実施例(1)である。
【図11】本発明を図10の波長選択スイッチの実施例(1)へ適用した際の説明図である。
【図12】本発明の適用対象となる波長選択スイッチの実施例(2)である。
【符号の説明】
【0115】
20、31、32、33、40、41、42 通常時の光
31a、33a、41a、43a 温度変動時の光
71a、71b、71c、71d ファイバ511から入射された光
75a、75b、75c、75d ファイバ515から入射された光
80 光軸
81 通常時の光の起点
81a 温度変動時の光の起点
82 通常時の受光面の中心
82a 温度変動時の受光面の中心
100 光回析デバイス
110 回析格子
200、210 集光レンズ
300 受光手段
301 受光面
301−1〜n PDセル
310、320 MEMS
311、312 微小ミラー
330 PDアレイ
331、332、333、334 PDセル列
400 基板
510 ファイバアレイ
520 レンズアレイ
511−518 ファイバ
【出願人】 【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
【出願日】 平成18年6月21日(2006.6.21)
【代理人】 【識別番号】100108187
【弁理士】
【氏名又は名称】横山 淳一


【公開番号】 特開2008−2914(P2008−2914A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−171930(P2006−171930)