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【発明の名称】 感震器
【発明者】 【氏名】萱原 冨士生

【氏名】宇佐見 一雄

【氏名】橋爪 雅利

【要約】 【課題】簡単な構造で、振動検知感度の調整が容易にできる感震器を提供する。

【解決手段】振動感知部2とスイッチ部3とを別体とし、振動感知部2に感度調整部5を設けているので、従来のように、操作軸部材と開閉スイッチの位置関係を考慮する必要がないから、振動感知部2を簡単な構造にして、振動検知感度の調整が容易にでき、また、振動感知部2の設計の自由度も増大できる。さらに、感震球4が感震球支持台12から完全に離れて落下感震球受け台21に落下したときに開閉スイッチ23が作動するので、振動検知が確実になる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動を感知する振動感知部および振動感知に基づき切換作動して振動検知信号を出力するスイッチ部を備えた感震器であって、
前記振動感知部は、基台と、基台に固定されて先端部で感震球を転動自在に支持する感震球支持台と、前記感震球支持台の中央に形成された軸方向に貫通する開口部内で該軸方向に移動自在に設けられた操作軸部材と、感震球に先端が当接する前記操作軸部材を軸方向の先端方向に付勢する弾性部材とを有し、
前記スイッチ部は、前記感震球支持台に、これとは別体に設けられてその先端部近傍に保持され、前記感震球支持台から落下した感震球を受ける落下感震球受け台と、前記落下感震球受け台に隣接されて、感震球の落下を検知すると切換作動して振動検知信号を出力する開閉スイッチとを有して、
前記振動感知部内に弾性部材の撓み量を可変させて振動検知感度を調整する感度調整部が設けられている感震器。
【請求項2】
請求項1において、
前記感度調整部は、弾性部材と基台の間に高さの異なるスペーサを挿入することにより、弾性部材の撓み量を可変させて振動検知感度を調整するものである、感震器。
【請求項3】
請求項1において、前記弾性部材がばねであり、前記開閉スイッチがリミットスイッチである、感震器。



【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、地震等の振動を感知して、振動検知信号を出力する感震器に関し、特にその振動検知感度に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、地震等の振動を感知して、振動検知信号を出力する感震器が知られている。この感震器は、可撓性のスイッチ片をもつ開閉スイッチを有する基台、基台に固定され、上端部中央に開口部をもち該上端部で感震球(鋼球)を転動自在に支持する鋼球支持台、および鋼球支持台の中央の開口部内で軸方向に移動自在に基台に支持される操作軸部材を備える。操作軸部材は、その上端で鋼球と、下端でスイッチ片とそれぞれ当接して、鋼球の重さによる下方向の力と、前記開閉スイッチのスイッチ片の押し上げ付勢による上方向の力を受ける。
【0003】
従来の感震器では、その振動検知感度を変えるために、鋼球支持部の直径を変えることが知られている。鋼球支持部の直径を大きくすれば鋼球が転がり難くなって低感度となり、鋼球支持部の直径を小さくすれば鋼球が転がり易くなって高感度となる。
また、振動検知感度を変えるために、鋼球支持部に高さの異なる複数の凸部と深さの異なる複数の凹部を形成して、鋼球支持部と基台との間の取付寸法を調整することにより、開閉スイッチの可撓性のスイッチ片の変形力を利用することも知られている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開平11−132839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、一般的に、鋼球支持部の直径を複数変えるためには、複数種類の部品を用意してその都度交換する必要があり、振動検知感度の調整に手間がかかる。一方、開閉スイッチの可撓性のスイッチ片の変形力を利用して振動検知感度を調整するのは、構造が複雑となり、またスイッチ片の変形量と寸法調整部の機械加工精度を考慮すると、構造体が大型化してしまう。
【0005】
本発明は、簡単な構造で、振動検知感度の調整が容易にできる感震器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明に係る感震器は、振動を感知する振動感知部および振動感知に基づき切換作動して振動検知信号を出力するスイッチ部を備えた感震器であって、前記振動感知部は、基台と、基台に固定されて先端部で感震球を転動自在に支持する感震球支持台と、前記感震球支持台の中央に形成された軸方向に貫通する開口部内で該軸方向に移動自在に設けられた操作軸部材と、感震球に先端が当接する前記操作軸部材を軸方向の先端方向に付勢する弾性部材とを有し、前記スイッチ部は、前記感震球支持台に、これとは別体に設けられてその先端部近傍に保持され、前記感震球支持台から落下した感震球を受ける落下感震球受け台と、前記落下感震球受け台に隣接されて、感震球の落下を検知すると切換作動して振動検知信号を出力する開閉スイッチとを有して、前記振動感知部内に弾性部材の撓み量を可変させて振動検知感度を調整する感度調整部が設けられている。
【0007】
この構成によれば、振動感知部とスイッチ部とを別体とし、振動感知部に感度調整部を設けているので、従来のように、操作軸部材と開閉スイッチの位置関係を考慮する必要がないから、振動感知部を簡単な構造にして、振動検知感度の調整が容易にでき、また、振動感知部の設計の自由度も増大できる。さらに、感震球が感震球支持台から完全に離れて落下感震球受け台に落下したときに開閉スイッチが作動するので、振動検知が確実になる。
【0008】
好ましくは、前記感度調整部は、弾性部材と基台の間に高さの異なるスペーサを挿入することにより、弾性部材の撓み量を可変させて振動検知感度を調整する。したがって、振動感知部をより簡単な構造にして、振動検知感度の調整がより容易にできる。
【0009】
好ましくは、前記弾性部材がばねであり、前記開閉スイッチがリミットスイッチである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る感震器を示す側面図である。この感震器1は、地震などの振動を感知する振動感知部2、およびこの振動感知に基づき切換作動して振動検知信号を出力するスイッチ部3を備えており、これらがケース7およびその上部の開閉可能なカバー8内に収納されている。その他に、感震器1の水平レベルを計測する水準器9などもケース7内に収納されている。
【0011】
前記振動感知部2は、基台11と、基台11に固定されて先端部12aで鋼球のような感震球4を転動自在に支持する感震球支持台12と、感震球支持台12の中央に形成された軸方向に貫通する開口部17内で該軸方向に移動自在に設けられた操作軸部材13と、感震球4に先端が当接する操作軸部材13を軸方向の先端方向に付勢するつる巻きばねのような弾性部材14とを有する。
【0012】
図2に示すように、振動感知部2の操作軸部材13は、基台11に設けられたガイド部材16と、感震球支持台12の開口部17近傍に設けられた内側に突出する突出部材17aとで軸方向に移動自在に支持されている。この操作軸部材13にその先端近傍で固定ナット18が固着されており、固定ナット18と基台11の間につる巻きばね14が取り付けられる。
【0013】
そして、本発明にかかる感震器1は、前記振動感知部2内に弾性部材(つる巻きばね)14の撓み量を可変して振動検知感度を調整する感度調整部5が設けられている。この感度調整部5では、感震球支持台12の下部の図示しない開口から、つる巻きばね14下端と基台11の間で任意の高さのスペーサ15が手動により操作軸部材13に嵌め込むように挿入されることにより、つる巻きばね14の撓み量が可変されて振動検知感度が調整される。
【0014】
スペーサ15は、軸方向に移動自在の操作軸部材13に嵌め込むために、図2(b)に示すように、例えば2つ割りや一端を切り欠いた形状であって、その中央部を貫通させた形状を有する。このような形状を有するスペーサ15が、例えば同一高さのものを複数枚、または高さの異なるものを複数枚用意されてなる。なお、感震球支持台12と基台11がねじ結合される構造であって、スペーサ15の挿入の際に、感震球支持台12と基台11のねじ結合が解かれて感震球支持台12とともに操作軸部材13が基台11から引き抜かれる構造の場合、スペーサ15を環状の形状としてもよい。
【0015】
図3に示すように、前記スイッチ部3は、落下感震球受け台21と、例えばリミットスイッチのような開閉スイッチ23とを有する。前記落下感震球受け台21は、図1の感震球支持台12にこれとは別体に設けられてその先端部近傍に水平から傾いた状態で保持され、感震球支持台12から落下した感震球4を受ける。図3(a)のように、この落下感震球受け台21は、揺動用開口24と開閉スイッチ用開口25を有する。開閉スイッチ23は、図3(b)のように、前記落下感震球受け台21に隣接された開閉スイッチユニット22内に設けられて、感震球4が落下してその底面が開閉スイッチ用開口25に嵌り込むとこれを検知して、図示しない電気回路を切換作動(開閉)させて振動検知信号を出力する。
【0016】
ここで、この感震器1における振動による感震球4の水平方向の加速度a(gal)は、以下の式(1)で示される。
a=(B×g/H)×((M−F)/M) …(1)
ただし、基台11の感震球支持台12に接触する感震球4の接触面の直径B、感震球支持台12と接触する感震球4の接触面の底面から重心までの高さの2倍の高さH、重力加速度g、感震球4の重量M、感震球4がつる巻きばね14から受けるばね反力Fとする。
感震器1は、感度調整部5によって上式(1)の(M−F)/Mの値を変化させて、つまりスペーサ15でつる巻きばね14の撓み量を変えてばね反力Fを変化させることにより、任意の振動検知感度に調整する。
【0017】
以下、上記構成を有する感震器1の動作を具体的に説明する。
まず、つる巻きばね14と基台11の間にスペーサ15が挿入されて、振動検知感度が調整される。
上式(1)において、スペーサ15を低くすればつる巻きばね14の撓み量が小さくなって、感震球4に対して上向きの力Fが弱く、感震球4の見掛け上の重さ(M−F)はあまり小さくならず、その結果、水平方向の加速度a(gal)は大きい値となって、感震球4が転がり難くなり低感度となる。その一方、スペーサ15を高くすればつる巻きばね14の撓み量が大きくなって、感震球4に対して上向きの力Fが強く、感震球4の見掛け上の重さ(M−F)は小さくなり、その結果、水平方向の加速度a(gal)は小さい値となって、感震球4が転がり易くなり高感度となる。例えば、震度4(25gal)、震度5(80gal)、震度6(250gal)のような設定震度に応じて、振動検知感度が調整される。
【0018】
上記のように、感度調整部5のスペーサ15によりつる巻きばね14の撓み量を変えて任意に振動検知感度が調整された状態で、振動により感震球4が感震球支持台12から落下すると落下感震球受け台21が揺動してこれを受け、リミットスイッチ23が感震球4の落下を検知すると切換作動して振動検知信号を出力する。これにより、所定の振動検知感度で振動が検知される。
【0019】
こうして、本発明では、振動感知部2とスイッチ部3とを別体とし、振動感知部2に感度調整部5を設けているので、従来のように、操作軸部材と開閉スイッチの位置関係を考慮する必要がないから、振動感知部2を簡単な構造にして、振動検知感度の調整が容易にでき、また、振動感知部2の設計の自由度も増大できる。さらに、感震球4が感震球支持台12から完全に離れて落下感震球受け台21に落下したときに開閉スイッチ23が作動するので、振動検知が確実になる。
【0020】
なお、上記実施形態では、弾性部材14として、つる巻きばねを使用しているが、これに限定するものではなく、他のばねや圧縮ゴムなどを使用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態に係る感震器を示す側面図である。
【図2】(a)は同実施形態の振動感知部を示す側面図、(b)はスペーサの一例を示す斜視図である。
【図3】(a)は同実施形態のスイッチ部を示す平面図、(b)はその側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1:感震器
2:振動感知部
3:スイッチ部
4:感震球(鋼球)
5:感度調整部
11:基台
12:感震球支持台
13:操作軸部材
14:弾性部材(ばね)
15:スペーサ
21:落下感震球受け台
23:開閉スイッチ


【出願人】 【識別番号】391004090
【氏名又は名称】関西オートメイション株式会社
【出願日】 平成18年12月6日(2006.12.6)
【代理人】 【識別番号】100087941
【弁理士】
【氏名又は名称】杉本 修司

【識別番号】100086793
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅士

【識別番号】100112829
【弁理士】
【氏名又は名称】堤 健郎


【公開番号】 特開2008−145115(P2008−145115A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−329023(P2006−329023)