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非共振型ノッキングセンサの取付け構造 - 特開2008−128917 | j-tokkyo
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【発明の名称】 非共振型ノッキングセンサの取付け構造
【発明者】 【氏名】伊藤 慎悟

【氏名】青井 克樹

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサ自体を内燃機関に取付けるのに用いられるセンサ取付け部材を通すためのセンサ取付け孔を内側空孔として有する筒状部及び該筒状部の軸方向の一端側において外側に張り出し形成されたフランジを備えてなる主体部材と、
前記筒状部に外嵌される環状の圧電素子とを含み、
前記圧電素子が、前記主体部材の筒状部に外嵌されて前記フランジ上に載置されてなる非共振型ノッキングセンサであって、前記主体部材が樹脂製とされてなるものを、
前記フランジにおける圧電素子載置面と反対側の端面を内燃機関の外部表面に着座させるようにし、前記筒状部のセンサ取付け孔内にセンサ取付け部材を通して、該筒状部を前記フランジが形成されてなる端部と反対側の他端側から軸方向に圧縮した状態となるようにして取付けてなる、非共振型ノッキングセンサの取付け構造において、
その取付け時における該筒状部の軸方向の取付け軸力Ft(N)を5000N以上とすると共に、該筒状部は、この取付け時における該筒状部の軸方向の全縮み(δ)が、該筒状部の軸方向の全長の2%以下となるように形成したものを使用したことを特徴とする非共振型ノッキングセンサの取付け構造。
【請求項2】
前記主体部材が、ヤング率Eが8GPa以上ある樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の非共振型ノッキングセンサの取付け構造。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ノッキングセンサに関し、詳しくは、内燃機関のノッキングを検知する非共振型ノッキングセンサを内燃機関に取付ける構造に関する。
【背景技術】
【0002】
このような非共振型ノッキングセンサ(以下、ノッキングセンサ又は単にセンサともいう)の一例としては、次のものが知られている。すなわち、図4に示したように、筒状部12の下端の外周にフランジ13を有する主体部材11における、その筒状部12の外周であって、そのフランジ13の上に、下から順に、絶縁材25、電極板42、環状に形成された圧電素子21、電極板41、及び絶縁材26を配置し、上の絶縁材26の上にリング状の錘(ウエイト)51を配置している。そして、錘51の上にバネ性を有する座金(皿ばね)53を配置し、その上で、筒状部12の外周に形成されたネジ15にナット等のネジ部材55をねじ込んで締め付けることにより、その圧電素子21を所定の力でフランジ13上で挟み付けた構造のものとされている(特許文献1)。図4に示したものは、各部品の周囲を樹脂からなるケース31で覆っている。
【0003】
このような非共振型ノッキングセンサ1は、錘51によってノック振動に応じた振動荷重を圧電素子21に加え、その圧電素子21にノック振動に応じた電圧信号(検出信号)を発生させる構成とされており、電圧信号を、圧電素子21の表裏両面の電極板41,42に接続された出力端子(接続端子)66から外部回路に取出して、その外部回路にてノッキングを検出し、点火時期等を制御することにより、その発生を抑制するのに使用される。
【0004】
そして、このような非共振型ノッキングセンサ1は、主体部材11の筒状部12の内側空孔をなすセンサ取付け孔17に挿通されるボルト(センサ取付け部材)200によるねじ込みにより、内燃機関のエンジンブロック101の外部表面102に取り付けられる。これにより、非共振型ノッキングセンサ1を構成する錘51や圧電素子21は、内燃機関に発生する振動と一体となって振動する。そして、この振動の際に、非共振型ノッキングセンサ1全体に加速度が加わるが、その際に主に錘51によって圧電素子21に荷重が加えられ、その結果、圧電素子21の表裏両面の電極板41,42に接続された出力端子66からは、内燃機関に発生する振動と同様の波形を有する検出信号が外部に出力されることになる。
【0005】
ところで、圧電素子21に振動に応じて発生する出力(電圧信号)Vを大きくして、ノッキング判定の性能の向上を図るため、錘51の重量の増大化ではなく、主体部材11を従来の鉄や黄銅等の金属製からなるものから、比重の小さい樹脂製のものに変えて、その重量低減を図ることが提案されている(特許文献2、3)。
【0006】
ところで、この種のノッキングセンサは、上記もしたように、筒状部12のセンサ取付け孔17に通されるボルト200によるねじ込み方式により、エンジンブロック101に取付けられるのが普通である。このような取付け法において、センサ特性を発揮させるためには、エンジンブロック101とセンサ1とが一体となって振動する必要があるため、センサ1は所定の取付け力(固定力)でエンジンブロック101に取付けられる必要がある。一方、自動車の組み立て工程において、種々の部品をボルト等のネジ部材で固定する場合には、その部品のサイズ、重量等に基づいて、使用されるべきボルトの径と共に、標準的な締付け力又は取付け軸力が規定されており、このような規定値が用いられる。例えば、ノッキングセンサ1では、その種類にもよるが、主体部材11の筒状部12における内、外径がそれぞれ、8.5mm、12.5mmのものでは、M8(直径8ミリのメールネジ)のボルトを用い、基本的に13750Nの取付け軸力(締付け力)が得られるように締付けることが規定ないし推奨されている。
【特許文献1】特開2002−257624号公報
【特許文献2】特開2004−085255号公報
【特許文献3】特開2006−090865号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、主体部材11を樹脂製のものとしてなるセンサ1の場合、このような推奨取付け軸力で、それをエンジンに取付けて耐久試験(熱サイクル試験)をすると、センサ性能に出力異常が見られるということがあった。具体的には、主体部材11に、ガラス繊維を30重量%含有のポリアミド樹脂製としたものを用いて耐久試験として熱サイクル試験(+150℃と−40℃で、それぞれ30分保持するサイクルを1000回)を行い、出力異常のあったものについて、その試験後におけるセンサの取り付け状態を確認したところ、次のようであった。すなわち、出力異常のあったものは、エンジンに対する取付け軸力(固定力)が、センサ1の取付け当初の13750Nから1500N程度まで極端に低下していたり、場合によっては、取り付け自体に弛緩が生じているものがあった。こうしたことから、主体部材11を樹脂化して、錘の重量を増大することなくセンサの高出力化を図るということは、実用上において問題を生じるおそれがあった。
【0008】
このような取付け軸力の低下の原因を検討してみると、次のようなことが判明した。というのは、主体部材11が樹脂製のものからなるセンサ1では、それが従来の金属製のものと同様の取付け軸力が得られるように締付けた場合には、その筒状部12をなす樹脂のヤング率が鉄等の金属と比べると小さいこと等から、熱サイクル試験過程でクリープ等により、圧縮歪が増大して塑性変形(縮み)が大きくなることが主要因であると考えられる。実際、取付け軸力が、当初の13750Nから1500N程度まで減少していたものでは、2.5%の塑性変形(縮み)があった。一方、上記したような13750Nという取付け軸力は、M8ボルトを用いて、広く一般の部品を取り付けるのに適切とされている一般的な推奨値である。他方、センサの性能発揮上において必要とされるエンジンに対する固定力という点から見ると、ボルトの径は関係なく、本願発明者による各種の試験からすると、センサに必要な取付け軸力Fnは4800N程度付与されていれば問題ないと考えられる。このことは、クリープによる塑性変形後において、この程度の取付け軸力が残存していればよいことを意味する。因みに、M6ボルトを用いる場合の取付け軸力の推奨値は、7660Nとされている。
【0009】
本発明は、かかる知見に基づくもので、センサをなす主体部材がヤング率が鉄や黄銅より小さい樹脂からなり、そのような主体部材の筒状部を軸方向に圧縮してセンサをエンジンに取り付ける場合でも、耐久試験後においても、必要な取付け軸力より低下することを防止できるセンサの取付け構造を提供することをその目的とする。
【0010】
本願発明者は、このようなセンサの性能発揮上において必要な取付け軸力Fnを考慮しつつ、主体部材11が樹脂製のものからなるセンサ1では、その取付け初期における取付け軸力を、主体部材11が金属からなるものに適用されていた一般推奨値とは別に、主体部材11に作用する圧縮力による歪みないし縮み量が適切値になるように設定すれば、クリープ等に基づく歪み(塑性変形)を低減でき、耐久試験を経ても取付け軸力の極端な低下は防止でき、4800N程度の取付け軸力を保持できると考えた。そこで、樹脂製の主体部材11のサンプルを含む複数のセンササンプルを作って、エンジンに取り付けてそれぞれ耐久試験をし、その試験後のセンサの取付け異常の有無から、次のような結論を得た。すなわち、センサを、主体部材11の筒状部12を軸G方向に圧縮する形で、エンジンに取り付けるときにおけるその取付け軸力Ftを5000N以上とすると共に、この取付け時における該筒状部の軸方向の全縮み(δ)が、該筒状部の全長の2%以下となるように形成した筒状部を使用したときは、耐久試験後においても必要な取付け軸力Fn(4800N程度)より低下することはなく、したがって、このような条件の下でセンサの取り付けを行えば主体部材が樹脂製のものからなるセンサにおいても、実用上の問題を回避できる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
そこで、本発明の第1の手段は、センサ自体を内燃機関に取付けるのに用いられるセンサ取付け部材を通すためのセンサ取付け孔を内側空孔として有する筒状部及び該筒状部の軸方向の一端側において外側に張り出し形成されたフランジを備えてなる主体部材と、
前記筒状部に外嵌される環状の圧電素子とを含み、
前記圧電素子が、前記主体部材の筒状部に外嵌されて前記フランジ上に載置されてなる非共振型ノッキングセンサであって、前記主体部材が樹脂製とされてなるものを、
前記フランジにおける圧電素子載置面と反対側の端面を内燃機関の外部表面に着座させるようにし、前記筒状部のセンサ取付け孔内にセンサ取付け部材を通して、該筒状部を前記フランジが形成されてなる端部と反対側の他端側から軸方向に圧縮した状態となるようにして取付けてなる、非共振型ノッキングセンサの取付け構造において、
その取付け時における該筒状部の軸方向の取付け軸力Ft(N)を5000N以上とすると共に、該筒状部は、この取付け時における該筒状部の軸方向の全縮み(δ)が、該筒状部の軸方向の全長の2%以下となるように形成したものを使用したことを特徴とする。
【0012】
そして、請求項2に記載の発明は、前記主体部材が、ヤング率Eが8GPa以上ある樹脂からなることを特徴とする請求項1に記載の非共振型ノッキングセンサの取付け構造である。
【0013】
本発明において、センサの取付け時における該筒状部の軸方向の全縮み(δ)が、該筒状部の軸方向の全長の2%以下となるようにその筒状部を形成するには、取付け軸力Ft(N)と、筒状部を含む主体部材をなす樹脂のヤング率Eと、筒状部の横断面積(軸方向に垂直な断面の断面積)Sが与えられれば、軸方向の歪みε=Ft/S×Eが求められることから、この歪みεに基づいて、取付け軸力Ftと全縮み(δ)から筒状部の横断面積Sを適宜設定し、筒状部を形成すればよい。なお、筒状部の形態(形状)については、種々の形態を採ることができ、例えば、外周にネジを形成したものや肉厚を所々変化させたものを採ることができる。ただし、いずれの形態を採る場合にも、上記関係式(ε=Ft/S×E)を考慮して、軸方向の全縮み(δ)がセンサの取付け時において、軸方向の全長の2%以下となるように筒状部を形成する必要がある。また、本発明において、樹脂製とは、樹脂を主成分として含む(換言すれば、主体部材全体をみて樹脂が最も多い含有量を占める)素材からなるものをいい、これにガラス繊維等の別素材が含有されているものも含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明の請求項1に記載のノッキングセンサの取付け構造によれば、取付け時における、全縮み(δ)が筒状部の全長の2%以下と小さい一方で、取付け軸力Ftは、ノッキングセンサの特性ないし性能を発揮させる上で必要な取付け軸力Fn(4800N)以上の5000N以上あるから、センサの取付け軸力としては十分である。しかも、試験結果から、このような取付け条件とした場合には、熱サイクル試験におけるクリープによる圧縮歪み(塑性変形)が発生するとしても、その進行ないし発生量は僅かであり、その試験後においても、極端な取付け軸力の低下はなく、ノッキングセンサの特性ないし性能を発揮させる上で必要な取付け軸力Fnである4800N程度は保持される。
【0015】
本発明は、上記もしたように、試験結果による知見からなされたものであるため、その効果については、実施の形態においてさらに詳述する。このように、本発明によれば、主体部材を樹脂化してなるノッキングセンサとして実用化が可能となり、重量の増大を招くことなく、出力増大を図ることのできるセンサの実用化が図られる。
【0016】
本発明において、樹脂のヤング率Eは、大きいほど強度的には好ましい素材といえるが、エンジニアリングプラスチックとして使用される樹脂のEは、8GPa程度のものが種類も多く、入手容易でもある。そして、この程度のヤング率Eであれば、横断面積(軸方向に垂直な断面の断面積)Sの極端な増大、すなわち、筒状部における肉厚の極端な増大を招かないので、センサ自体の極端な大型化を招くこともなく、筒状部を形成できる。したがって、請求項2に記載のように、前記主体部材は、ヤング率Eが8GPa以上ある樹脂からなることとするのが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明を実施するための最良の形態について、図1〜図3に基いて詳細に説明する。図1は、本形態を説明するのに用いる非共振型ノッキングセンサ1の全体の断面図である。すなわち、本形態のセンサ1をなす主体部材11は、中央に垂直に設けられた円筒状の筒状部12の一端(図1下端)側の外周に同心で円形の一定厚さのフランジ13を突出状に備えている。そして、筒状部12の軸(高さ)G方向における中間部位を含む上方にはその外周面にネジ(平行ネジ)15が形成されている。また、詳しくは後述するが外側には、圧電素子21等が外嵌、配置されると共に、その外側を覆うようにインサート成形により、樹脂(6−6ナイロン)製のケース(アウターケース)31がモールド成形により形成されている。なお、主体部材11は本形態では例えばガラス繊維30重量%含有のポリアミド樹脂(ヤング率E:9GPa)製とされており、その内側の貫通した空孔がセンサ取付け孔17をなしている。
【0018】
また、本形態では、筒状部12はその内外周面が同心とされている。そして、外周面のうち、筒状部12の上端(面)12a寄り部位には、周方向に沿う2つの凹溝18が形成されている。ただし、その凹溝18の溝底の径は、ネジ15の谷の径Da1と同じか微量(0.1mm程度)小さく設定されている。因みにこの径Da1は、12.5mmとされている。なおこの凹溝18は、モールド成形されるケース31をなす樹脂が入り込んで主体部材11と強固に一体化するためのものである。そして、図2に示されるように、ネジ15の図示下端点Kから、フランジ13の上面13aまでの部位L2における筒状部12の外径Da2は、13.8mmとされており、ネジ15の外径と同じに設定されている。
【0019】
一方、本形態では、フランジ13の端面(図示下端面)13bが、内燃機関101の表面102に着座される面(着座面)をなすところであるが、この端面(着座面)13bは、は筒状部11の端面12bと面一とされている。そして、本形態において筒状部12の内径Dbは同一径で、直径8.5mmとされている。また、フランジ13の外径Da3は、例えば23mmとされている。なお、筒状部12の全長(全高)Lは、14mmとされている。また、本形態では筒状部12における上下の両端面12a、12bとも、その内周面とのなす角Cに45度の微小面取りCが付与されている。このような本形態では、筒状部12がその軸G方向に力Ftで圧縮された際の全縮みδは、図2に示した長さ領域L1における縮みδ1と、長さ領域L2における縮みδ2と、フランジ13の厚さ領域L3における縮みδ3とを合計したものとなる。因みに、このような各領域における縮みは、計算上は、概略次のようにして求められる。すなわち、長さ領域L1における縮みは、Da1とDbとから求められる横断面積S1の円筒における歪みから概ね求められる。また、長さ領域L2、L3における縮みは、筒状部12の外周面から突出するフランジ13が圧縮歪みの低減にあまり寄与しないと考えられるため、Da2とDbとから求められる横断面積S2の円筒における歪みから概ね求められる。
【0020】
さて、このような主体部材11の筒状部12の外周面には、一定厚さ(高さ)で円環状をなす圧電素子21が同心状に外嵌され、フランジ13の上面(圧電素子載置面)13aに載置されている。この圧電素子21は表裏(上下)両面に、電極層(図示せず)が焼成して形成され、その表裏両面にはそれぞれ当接状に電極板41、42が配置されている。また、圧電素子21の表面(図示上面)上の電極板41の上には、一定厚さで円環状をなす金属製の錘51が配置され、バネ座金53を介し、ナット55を筒状部12の外周面に形成されたネジ15にねじ込むことで、圧電素子21が錘51とフランジ13との間に、それぞれの電極板41、42を介して一定の面圧で加圧されて保持されている。なお、本形態では、主体部材11が電気的絶縁性のあるポリアミド樹脂製とされていることから、圧電素子21の裏面に配置されている電極板42と、フランジ13との間や、圧電素子21の表面に配置されている電極板41と、錘51との間、さらに、圧電素子21の内周面と筒状部12の外周面との間には、従来の金属製の主体部材を用いた場合のような絶縁材は設けられていない。
【0021】
また、本形態では、樹脂製のケース(アウターケース)31の外側(図示右側)において、コネクタ部61がフランジ13の図示した側端面(内燃機関への取付け用着座面)13bに対して、20〜30度で斜め上向きに延びる形で一体的に形成されている。このコネクタ部61は根元部位を除いて有底筒62に形成され、その底部である先端向き端面63に突出状に、一対の外部接続端子(ピン端子又はフラットバー端子)66が形成され、これらは圧電素子21の表裏両面(電極層)に、圧接状にある電極板41、42を介してそれぞれ電気的に接続されており、電圧信号を取出すように構成されている。
【0022】
このような本形態のセンサ1では、上記したことからも明らかであるが、次のようにして組立てられる(図1、2参照)。すなわち、主体部材11のフランジ13上であって、筒状部12の外側に、電極板42、圧電素子21、電極板41、錘51、及びバネ座金53をセット(組立て)し、ナット55を筒状部12のネジ15に螺合して、所定のトルクでねじ込む。その後、このような仕掛品(半製品)のうち、フランジ13の外周面の下端寄り部位から、筒状部12の外周面の上端寄り部位の範囲にある各部品の外側をくるむように、主体部材11にセットされた各部品をインサートした形で、絶縁樹脂によるケース(アウターケース)31をコネクタ部61と共にモールド成形する。図1のものでは、ケース31の外周面の上端寄り部位が面取り状として形成されている。なお、フランジ13の外周面にも、筒状部12の上端寄り部位の外周面に設けられているのと同様の凹溝が設けられており、モールド成形されるケース31をなす樹脂が入り込んで強固に一体化するようにされている。このような本形態のセンサ1では、筒状部12及びフランジ13の下側端面(着座面)12b、13bがセンサ1の裏面をなし、内燃機関(エンジン)101の外部表面102に取り付けられる際の取付け用の着座面とされる。
【0023】
しかして、このような本形態のセンサ1を内燃機関101に取り付ける際には、図3に示したように、筒状部12の内側空孔であるセンサ取付け孔17を、内燃機関(エンジンブロック)101の取付けねじ孔部位105に対応させて、フランジ13の着座面13bをその外部表面102に着座させる。そして、その状態において、筒状部12のうち、フランジ13のある端部と反対側の端部側から、その内側のセンサ取付け孔17内に、センサ取付け部材として、例えばボルト200を挿通して、その頭部Tでもって、筒状部12に所定の軸力Ft、例えば、7660Nが付与されるように所定トルクでねじ込む。このねじ込みにおいては、ボルト200の頭部Tの下面が筒状部12の図示上端面12aを押し、筒状部12の図示下端面12bは、内燃機関(エンジンブロック)の外部表面102にて支持される形となる。そして、該筒状部12はその軸G方向に軸力Ftが7660N圧縮された状態となり、内燃機関(エンジンブロック)101にボルト締めにより取付けられる。このような本形態では、 この取付けにより、筒状部12はその軸G方向の全長がLからLbと縮むが、その全縮み(δ)が、筒状部12の軸G方向の全長Lの2%以下となるように設定されている。なお、内燃機関(エンジンブロック)の外部表面102の取付け側に、例えば植え込みボルトが立設されている場合には、そのボルトが、主体部材11のセンサ取付け用のセンサ取付け孔17に挿入されるように嵌め込み、非共振型ノッキングセンサ1を内燃機関の外部表面102に着座させる。そして、筒状部11の上端12aから突出するそのボルトの上方よりナットを螺合し、上記したボルト200の場合と同様にしてねじ込めばよい。
【0024】
上記したセンサ1の取り付け構造において、センサ1は、その作動上において問題のない固定力(必要な取付け軸力4800N以上)を上回る取り付け軸力Ft(7660N)でエンジンに取り付けられている。また、本形態では、主体部材11をなす樹脂のヤング率Eは、9GPaであり、センサ1の取付け時における筒状部12の軸G方向の全縮み(δ)が、筒状部12の軸G方向の全長Lの2%以下となっている。したがって、エンジンへの取付け当初も、実際に使用されて、クリープによる塑性変形が発生して、取付け軸力の低下が見られたとしても、それは従来のような極端な低下となることはなく、必要な取付け軸力Fnである4800Nは維持される。したがって、センサとしての作用上において支障が出ることが防止される。
【0025】
このような本形態のセンサ1の取り付け構造における性能を確認するため、筒状部12における内径Dbと、ネジ径(ネジ15の谷の径Da1)の異なる主体部材11を含むセンサ(サンプル)を作り、筒状部のネジ部における横断面積Sと取り付け軸力Ftが異なる条件で、これらをエンジンに取付けて耐久試験をした。また、主体部材11をなす樹脂はヤング率が異なる2種類とした。また、試験は、取付け時における筒状部12の全縮みδを2%以内とした実施例と、2%を超えるようにした比較例とを用い、その試験後における性能(センサに必要な取付け軸力Fn(4800N)の維持)を確認した。なお、試験は、熱サイクル試験(+150℃と−40℃で、それぞれ30分保持するサイクルを1000回)を1000時間行ったものであり、耐久性の良否の判定(結果)は、試験終了後におけるセンサの取付け軸力が、4800N以上ある場合を良好(○)とし、4800N未満である場合を不良(×)とした。結果は、表1に示したとおりである。
【0026】
【表1】


【0027】
表1に示した通り、取付け時における筒状部12の全縮みδが2%以内の場合には、耐久試験後においても、センサの取り付け軸力は必要な取り付け軸力Fn(4800N)以上あり、良好な結果(○印)が得られた。これに対して、取付け時における筒状部12の全縮みδが2%を超える場合には、耐久試験後に、センサの取り付け軸力が4800N未満となり、不良(×印)と判断された。すなわち、本発明のセンサの取り付け構造においては、センサの作動上、一応の安全を加味した取付け軸力Ft(5000N以上)で初期の取り付けがなされている。一方で、そのような取付け軸力Ftではあるが、全縮みδが2%以内となるように、所定のヤング率を有する素材からなる樹脂により、所定の横断面積を有するように形成された筒状部12を有する主体部材11が使用されている。このような関係においては、主体部材11が、従来の金属製のものよりもヤング率の小さい低強度の樹脂からなるとしても、取り付け後、熱サイクルがかかるとしても問題がないことが確認された。上記のような取付け条件とした場合には、筒状部12内には過大な圧縮応力の発生もないことから、熱サイクルがかけられたとしても、塑性変形も微量に止められる。これにより、耐久試験後においても、センサの取り付け軸力の大きな低下、ないし筒状部の弾性の大きな低下はなく、必要な取り付け軸力Fn(4800N)を残存させ得たものと考えられる。かくして、本発明のセンサによれば、錘51の重量増によることなく、主体部材11の軽量化による高出力化が可能となったことに加えて、素材面に基づく低コスト化も期待される。
【0028】
なお、エンジニアリングプラスチック(樹脂)のヤング率Eは、例えばガラス繊維30%含有の場合次のようである。ポリアミド樹脂においては9GPa、ポリフェニレンサルファイド樹脂においては9GPa、ポリアミドMXD6樹脂(製品名:レニー、三菱エンジニアプラスチックス株式会社製)においては17GPaである。上記もしたように、このような樹脂は、比較的低コストで入手も容易である。
【0029】
上記においては、錘を配置して、バネ座金を介してナット締めすることで圧電素子に圧力を付与する構造のノッキングセンサにおいて具体化したが、本発明は、このような構造のノッキングセンサに限定されるこものではない。圧電素子が、主体部材の筒状部に外嵌されて、筒状部に張り出し形成されたフランジに載置され、しかも、筒状部の軸G方向に圧縮された状態の下で、主体部材に固定されてなる非共振型ノッキングセンサであって、その主体部材が樹脂製とされてなるものに広く適用できる。また、圧電素子に圧力を付与する手段としては、独立の錘を用いることなく、ナット自体の締付け力で圧電素子に圧力を付与したものとすることもできる。ネジを用いることなく、例えば、主体部材の筒状部の外周面に、圧電素子に圧力を付与可能の環状部材を圧入し、或いは圧入とカシメ等の手段でそれを固定することでも、同様に付与できるためである。なお、センサ取付け部材は、上記においてはボルト(ナット)を使用した場合で説明したが、センサ自体を内燃機関に取付けるのに用いられ、その筒状部をフランジが形成されてなる端部と反対側の他端側から軸G方向に圧縮した状態となるようにして取付けることができる部材であればよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】実施の形態の非共振型ノッキングセンサを示す断面図である。
【図2】図1のノッキングセンサの分解図。
【図3】図1のノッキングセンサをエンジンの外部表面に取り付けている状態において、主体部材の筒状部にセンサの取付け軸力(圧縮力)Ftが付与されている状態の説明用図。
【図4】従来の非共振型ノッキングセンサおよびそれが内燃機関に取付けられている状態の断面図。
【符号の説明】
【0031】
1 非共振型ノッキングセンサ
11 主体部材
12 筒状部
12a 筒状部の一端(面)
12b 筒状部の他端(面)
13 フランジ
13b フランジにおける圧電素子載置面と反対側の端面
17 センサ取付け孔
18 凹溝
21 圧電素子
101 内燃機関
102 内燃機関の外部表面
200 ボルト(センサ取付け部材)
G 筒状部の軸
L 筒状部の軸方向の全長
【出願人】 【識別番号】000004547
【氏名又は名称】日本特殊陶業株式会社
【出願日】 平成18年11月23日(2006.11.23)
【代理人】 【識別番号】100097434
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 和久


【公開番号】 特開2008−128917(P2008−128917A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−316386(P2006−316386)