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【発明の名称】 振動検出装置
【発明者】 【氏名】平田 照二

【氏名】野本 和利

【要約】 【課題】光学的にディジタル振動検出を行う際に検出感度を向上させることが可能な振動検出装置を提供することが可能な振動検出装置を提供する。

【解決手段】レーザ光源10からのレーザ光Loutを、マッハ・ツェンダ干渉計に準ずる構成の干渉計において、2つの光路OP1,OP2に分離する。光路OP2からの参照光と光路OP1からの反射光とを互いに干渉させ、ビームスプリッタ12上に干渉縞を形成する。そしてこの干渉縞に基づき、振動膜11の振動を量子化して検出する。また、2つの光路OP1,OP2のうちの一方の光路OP2(参照光路)において、参照光をビームスプリッタ12および反射ミラー13で反射させる。他方の光路OP1(反射光路)において、反射光を振動膜11およびビームスプリッタ12で多重反射させる。参照光と反射光との光路差が大きくなり、振動膜11の変位が増幅されて検出される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発する光源と、
前記レーザ光を反射可能な振動体およびビームスプリッタを含んで構成され、前記レーザ光を2つの光路に分けて進行させると共に、これら2つの光路のうちの一方の光路において反射された参照光と、前記2つの光路のうちの他方の光路において前記振動体および前記ビームスプリッタにより多重反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成する干渉計と、
形成された前記干渉縞に基づき、前記振動体の振動を量子化して検出する検出手段と
を備えたことを特徴とする振動検出装置。
【請求項2】
前記干渉計は、前記レーザ光を反射可能な反射体を有し、
前記ビームスプリッタが、前記振動体と前記反射体との間に配置され、
前記一方の光路が、前記反射体と前記ビームスプリッタとの間に形成され、
前記他方の光路が、前記振動体と前記ビームスプリッタとの間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項3】
前記反射光が前記振動体により反射される回数をm1、前記参照光が前記反射体により反射される回数をm2、前記振動体と前記ビームスプリッタとの距離をd1、および前記反射体と前記ビームスプリッタとの距離をd2としたとき、以下の式を満たす
ことを特徴とする請求項2に記載の振動検出装置。
(m1)×(d1)=(m2)×(d2)
【請求項4】
前記光源が、マルチモード型のレーザ光源である
ことを特徴とする請求項2に記載の振動検出装置。
【請求項5】
前記光源、前記干渉計および前記検出手段が、半導体基板上に集積化されている
ことを特徴とする請求項2に記載の振動検出装置。
【請求項6】
前記半導体基板がパッケージ部に収容されており、このパッケージ部に前記振動体が設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の振動検出装置。
【請求項7】
前記半導体基板上に、前記振動体を支持する支持部が設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の振動検出装置。
【請求項8】
前記振動体が、前記半導体基板の表面に対して傾斜を持つと共に前記支持部ごとスライド可能なように支持されている
ことを特徴とする請求項7に記載の振動検出装置。
【請求項9】
前記振動体と前記ビームスプリッタとが互いに対向配置され、
前記一方の光路が、前記ビームスプリッタの内部に形成され、
前記他方の光路が、前記振動体と前記ビームスプリッタとの間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項10】
前記反射光が前記振動体により反射される回数をm3、前記参照光が前記ビームスプリッタの一端面で反射される回数をm4、前記振動体と前記ビームスプリッタとの距離をd3、前記ビームスプリッタの厚みをd4、前記ビームスプリッタの屈折率をn、前記レーザ光が前記ビームスプリッタから前記振動体の側へ出射する際の入射角を90度から減じた角度をφ、および前記レーザ光が前記ビームスプリッタから前記振動体の側に出射する際の屈折角を90度から減じた角度をθとしたとき、以下の(1)式および(2)式を満たす
ことを特徴とする請求項9に記載の振動検出装置。
(m3)×(d3)/tanθ=(m4)×(d4)/tanφ …(1)
cosθ=n×cosφ …(2)
【請求項11】
前記光源が、シングルモード型のレーザ光源である
ことを特徴とする請求項9に記載の振動検出装置。
【請求項12】
前記光源、前記干渉計および前記検出手段が、半導体基板上に集積化されている
ことを特徴とする請求項11に記載の振動検出装置。
【請求項13】
前記干渉計は、前記レーザ光を反射可能な一対の反射体を有し、
前記振動体が、前記ビームスプリッタを兼ねると共に前記一対の反射体の間に配置され、
前記一方の光路が、前記一対の反射体のうちの一方の反射体と前記振動体との間に形成され、
前記他方の光路が、前記一対の反射体のうちの他方の反射体と前記振動体との間に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項14】
前記参照光が前記一方の反射体により反射される回数をm5、前記反射光が前記他方の反射体により反射される回数をm6、前記一方の反射体と前記振動体との距離をd5、および前記他方の反射体と前記振動体との距離をd6としたとき、以下の式を満たす
ことを特徴とする請求項13に記載の振動検出装置。
(m5)×(d5)=(m6)×(d6)
【請求項15】
前記光源が、マルチモード型のレーザ光源である
ことを特徴とする請求項13に記載の振動検出装置。
【請求項16】
前記光源、前記干渉計および前記検出手段が、半導体基板上に集積化されている
ことを特徴とする請求項13に記載の振動検出装置。
【請求項17】
前記半導体基板上において、前記一対の反射体のうちの少なくとも一方側の面積が、前記振動体の面積よりも小さくなるように構成されている
ことを特徴とする請求項16に記載の振動検出装置。
【請求項18】
前記検出手段は、
前記干渉縞を互いに位相が90度ずれた状態で検出する2つの光電変換素子と、
前記2つの光電変換素子からの出力信号を信号点とみなして、平面上に円状または円弧状のリサージュ図形を生成する図形生成手段と、
生成されたリサージュ図形上において、信号点が所定の基準点を通過する回数をカウントするカウンタとを有する
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項19】
前記干渉計と前記光電変換素子との間に、集光レンズを備えた
ことを特徴とする請求項18に記載の振動検出装置。
【請求項20】
前記リサージュ図形上に、互いに異なる複数の前記基準点が設けられている
ことを特徴とする請求項18に記載の振動検出装置。
【請求項21】
前記光源、前記干渉計および前記検出手段が半導体基板上に集積化され、
前記半導体基板上において、前記図形生成手段および前記カウンタが、前記2つの光路が形成されている領域以外の領域に配置されている
ことを特徴とする請求項18に記載の振動検出装置。
【請求項22】
前記一方の光路において、前記参照光が前記ビームスプリッタにより多重反射される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項23】
前記参照光および前記反射光のうちの少なくとも一方は、その入射角と反射角との和が鋭角となるように反射される
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項24】
前記振動体が音波に応じて振動する振動膜であり、この振動膜の振動を量子化された音声信号として検出する光学式マイクロホン装置として構成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の振動検出装置。
【請求項25】
レーザ光を発する光源と、
前記レーザ光をその入射角と反射角との和が鋭角となるように反射可能な振動体およびビームスプリッタを含んで構成され、前記レーザ光を2つの光路に分けて進行させると共に、これら2つの光路のうちの一方の光路において前記ビームスプリッタにより反射された参照光と、前記2つの光路のうちの他方の光路において前記振動体および前記ビームスプリッタにより反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成する干渉計と、
形成された前記干渉縞に基づき、前記振動体の振動を量子化して検出する検出手段と
を備えたことを特徴とする振動検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、振動体の変位を光学的に検出する振動検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、SACD(Super Audio Compact Disc)や24bit−96kHzのサンプリングを利用した録音方式等が用いられ、高音質化が主流になりつつある。このような流れの中、従来のアナログ方式のマイクロホン装置は、特に20kHz以上の高域の音声の収録に限界があるため、上記録音方式の特徴である高域の再生を生かしてコンテンツを収録しようとする場合に、ボトルネックになっていた。
【0003】
また、ダイナミックレンジに関しても、上記録音方式の特徴である24bitビット録音により可能な144dBまで及ばず、広範なダイナミックレンジを十分に生かしきれていなかった。
【0004】
さらに、録音現場においては、従来のアナログ方式のマイクロホン装置では、アナログケーブルでの長距離の引き回しに起因してノイズが増加してしまったり、コンデンサマイクに対してミキシングコンソールからファンタム電源を供給しなければならず、録音・制作システムにおける全ディジタル化の障害となっていた。
【0005】
そこで、近年、ディジタル方式のマイクロホン装置がいくつか提案されている(例えば、特許文献1,2)。
【0006】
【特許文献1】特開平10−308998号公報
【特許文献2】特開平11−178099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記特許文献1では、レーザ光源と、マッハ・ツェンダ干渉計やマイケルソン干渉計とを用いて振動板の振動を検出することにより、ディジタルの音声信号を出力するようになっている。
【0008】
一方、上記特許文献2では、レーザ光源および振動板を含むΔΣ(デルタ・シグマ)変調器を構成するようにしている。よって、ΔΣ変調器の作用により、簡易な構成で1bitのディジタル音声信号を得ることができると共に、ノイズシェービング効果を利用して可聴帯域内の音声信号の低ノイズ化を図ることができると考えられる。
【0009】
しかしながら、これら特許文献1,2では、レーザ光の波長が0.6μm程度であるため、検出感度をあまり高めることができないという問題があった。よって、振動板の振動が大きい場合には有効であるが、数pm程度の振動検出が要求される高感度マイクに適用するような場合では、振動板の振動を検出するのが困難であり、改善の余地があった。
【0010】
本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、その目的は、光学的にディジタル振動検出を行う際に検出感度を向上させることが可能な振動検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の第1の振動検出装置は、レーザ光を発する光源と、このレーザ光を反射可能な振動体およびビームスプリッタを含んで構成され、レーザ光を2つの光路に分けて進行させると共に、これら2つの光路のうちの一方の光路においてビームスプリッタにより反射された参照光と、上記2つの光路のうちの他方の光路において振動体およびビームスプリッタにより多重反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成する干渉計と、形成された干渉縞に基づき、振動体の振動を量子化して検出する検出手段とを備えたものである。
【0012】
本発明の第1の振動検出装置では、光源から発せられたレーザ光が干渉計において2つの光路に分離され、これら2つの光路のうちの一方の光路(参照光路)において、参照光がビームスプリッタにより反射され、他方の光路(反射光路)において、反射光が振動体およびビームスプリッタにより多重反射される。そして参照光と反射光とが互いに干渉して干渉縞が形成され、この形成された干渉縞に基づき、振動体の振動が量子化されて検出される。ここで、この干渉計では上記反射光が多重反射されるため、参照光と反射光との光路差が大きくなり、その結果、振動体の変位が増幅されて検出される。
【0013】
本発明の第1の振動検出装置では、上記干渉計がレーザ光を反射可能な反射体を有すると共に上記ビームスプリッタを振動体と反射体との間に配置し、上記一方の光路が反射体とビームスプリッタとの間に形成されると共に上記他方の光路が振動体とビームスプリッタとの間に形成されているように構成することが可能である。このように構成した場合、一方の光路において、上記参照光がビームスプリッタおよび反射体により反射され、他方の光路において、上記反射光が振動体およびビームスプリッタにより多重反射される。
【0014】
また、上記振動体とビームスプリッタとを互いに対向配置し、上記一方の光路がビームスプリッタの内部に形成されると共に上記他方の光路が振動体とビームスプリッタとの間に形成されているように構成することが可能である。このように構成した場合、一方の光路において、上記参照光がビームスプリッタ内でその端面により反射され、他方の光路において、上記反射光が振動体およびビームスプリッタにより多重反射される。
【0015】
また、上記干渉計がレーザ光を反射可能な一対の反射体を有し、上記振動体がビームスプリッタを兼ねると共に一対の反射体の間に配置されるようにし、上記一方の光路が一対の反射体のうちの一方の反射体と前記振動体との間に形成されると共に上記他方の光路が一対の反射体のうちの他方の反射体と振動体との間に形成されているように構成することが可能である。このように構成した場合、一方の光路において、上記参照光が一方の反射体と振動体により反射され、他方の光路において、上記反射光が他方の反射体と振動体により反射される。
【0016】
この場合において、上記光源、干渉計および検出手段を半導体基板上に集積化すると共にこの半導体基板上において、上記一対の反射体のうちの少なくとも一方側の面積が振動体の面積よりも小さくなるようにするのが好ましい。このように構成した場合、振動体へ向かう波の一部が反射体を介さずに、振動体へ到達可能となる。また、その反射体は、上記レーザ光の進行方向における基板面への投射成分に沿った方向に細長くなっているのがより好ましい。そのように構成した場合、振動体へ向かう波が反射体を介さずに、振動体へより到達しやすくなる。
【0017】
本発明の第1の振動検出装置では、上記一方の光路において、参照光がビームスプリッタにより多重反射されるようにするのが好ましい。このように構成した場合、上記一方の光路(参照光路)の光路長を変化させずにビームスプリッタと振動体との距離を近づけることが可能となり、干渉計の小型化が図れる。また、上記参照光および反射光のうちの少なくとも一方を、その入射角と反射角との和が鋭角となるように反射するのが好ましい。このように構成した場合、参照光と反射光との光路差がより大きくなるため、振動の検出感度がより高まる。
【0018】
本発明の第2の振動検出装置は、レーザ光を発する光源と、このレーザ光をその入射角と反射角との和が鋭角となるように反射可能な振動体およびビームスプリッタを含んで構成され、レーザ光を2つの光路に分けて進行させると共に、これら2つの光路のうちの一方の光路においてビームスプリッタにより反射された参照光と、上記2つの光路のうちの他方の光路において振動体およびビームスプリッタにより反射された反射光とを互いに干渉させて干渉縞を形成する干渉計と、形成された前記干渉縞に基づき振動体の振動を量子化して検出する検出手段とを備えたものである。
【0019】
本発明の第2の振動検出装置では、光源から発せられたレーザ光が干渉計において2つの光路に分離され、これら2つの光路のうちの一方の光路(参照光路)において、参照光がビームスプリッタにより反射され、他方の光路(反射光路)において、反射光が振動体およびビームスプリッタにより反射される。そして参照光と反射光とが互いに干渉して干渉縞が形成され、この形成された干渉縞に基づき、振動体の振動が量子化されて検出される。ここで、この干渉計では、上記レーザ光がその入射角と反射角との和が鋭角となるように振動体およびビームスプリッタで反射されるため、参照光と反射光との光路差が大きくなり、その結果、振動体の変位が増幅されて検出される。
【発明の効果】
【0020】
本発明の第1の振動検出装置によれば、光源からのレーザ光を干渉計において2つの光路に分離し、これら2つの光路のうちの一方の光路(参照光路)において参照光をビームスプリッタで反射させると共に他方の光路(反射光路)において反射光を振動体およびビームスプリッタで多重反射させるようにしたので、参照光と反射光との光路差を大きくし、振動体の変位を増幅して検出することができる。また、参照光と反射光とが互いに干渉して形成された干渉縞に基づき、振動体の振動を量子化して検出するようにしたので、振動体の振動を光学的にディジタル検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際に検出感度を向上させることが可能となる。
【0021】
また、本発明の第2の振動検出装置によれば、光源からのレーザ光を干渉計において2つの光路に分離し、これら2つの光路のうちの一方の光路(参照光路)において参照光をビームスプリッタで反射させると共に他方の光路(反射光路)において反射光を振動体およびビームスプリッタで反射させ、それらの反射の際に入射角と反射角との和が鋭角となるようにしたので、参照光と反射光との光路差を大きくし、振動体の変位を増幅して検出することができる。また、参照光と反射光とが互いに干渉して形成された干渉縞に基づき、振動体の振動を量子化して検出するようにしたので、振動体の振動を光学的にディジタル検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際に検出感度を向上させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る振動検出装置(光学式のマイクロホン装置1)の断面構成を表すものである。このマイクロホン装置1は、音波Swに応じて振動する振動膜(後述する振動膜11)を利用して2値化された音声信号Soutを出力するものであり、レーザ光源10と、振動膜11と、ビームスプリッタ12と、反射ミラー13と、一対の光電変換素子141,142と、ディジタルカウント部15とを備えている。
【0024】
レーザ光源10は、振動膜11に対してレーザ光Loutを照射するものであり、例えばマルチモード(ファブリペロー型)のレーザ光源(例えば、端面発光型の半導体レーザ光源)や、シングルモードのレーザ光源(例えば、面発光型の半導体レーザ光源やDFB(Distributed FeedBack)レーザなど)などにより構成される。
【0025】
振動膜11は、音波Swに応じて変位するものであり、例えばコンデンサマイクに使用されるものと同様に、表面が金蒸着された振動膜などにより構成される。この振動膜11は、レーザ光Loutをほぼ100%の反射率で反射可能となっている。
【0026】
ビームスプリッタ12は、振動膜11と反射ミラー13との間に配置され、ビームスプリッタ12の上面および下面の中央部分には、それぞれ、レーザ光Loutをほぼ100%の反射率で反射可能な全反射膜12A,12Bが形成されている。一方、ビームスプリッタ12の上面および下面の両端部には、それぞれ、レーザ光Loutを約50%の反射率で反射すると共に残りの光を透過可能な半透過膜(図示せず)が形成されている。このような構成によりビームスプリッタ12は、レーザ光源10から発せられ振動膜11で反射されたレーザ光Loutを、例えば図中の点P11において、振動膜11側(反射光側)の光路OP1(反射光路)と、反射ミラー13側(参照光側)の光路OP2(透過光路)とに分離すると共に、例えば図中の点P22において、上記反射光路OP1からの光(反射光)と上記透過光路OP2からの光(参照光)とを再び重ね合わせて互いに干渉させるための光学素子として機能しており、例えば石英ガラスなどにより構成される。なお、詳細は後述するが、ビームスプリッタ12におけるそのような干渉によって、参照光と反射光との位相差に応じて干渉縞が点P22に形成されるようになっている。
【0027】
反射ミラー13は、レーザ光Loutをほぼ100%の反射率で反射可能なように構成されたミラーである。
【0028】
なお、これら反射ミラー13、ビームスプリッタ12および振動膜11によって、詳細は後述するが、いわゆるマッハ・ツェンダ干渉計に準ずる干渉計が構成されるようになっている。
【0029】
光電変換素子141,142は、ビームスプリッタ12上(具体的には、点P22)に形成された干渉縞を検出して光電変換し、それぞれ出力信号Sx,Syを出力するものである。これら光電変換素子141,142は、例えばPD(Photo Diode)などにより構成される。
【0030】
ディジタルカウント部15は、光電変換素子141,142からそれぞれ出力される出力信号Sx,Syを、例えば図2に示したようなリサージュ図形を用いて後述する所定のカウントタイミングでカウントすることで量子化し、ディジタル信号である出力信号(音声信号Sout)を出力するものである。なお、このようなリサージュ図形を用いたディジタルカウント方法については、後ほど詳述する。
【0031】
次に、図3〜図6を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1を半導体基板上に集積化した場合の構成例について説明する。ここで、図3は、図1に示したマイクロホン装置1を半導体基板上に集積化した場合の断面構成を表したものであり、図4は、図3に示したマイクロホン装置1を、図3中のII部分から見た場合における平面構成で表したものであり、図5は、ビームスプリッタ12上で形成される干渉縞の態様を模式的に表したものであり、図6は、図3および図4に示したマイクロホン装置1をパッケージ部(以下説明するパッケージ18)で収納した場合の平面構成(図4に示した平面構成に対応)を表している。
【0032】
図3および図4に示したマイクロホン装置1では、シリコン(Si)基板16上に、レーザ光源である面発光型レーザ光源10Aおよびピンホール部140が形成されると共に、Si基板16内に、光電変換素子141,142および上記ディジタルカウント部15として機能する演算用IC(Integrated Circuit)150が形成されている。このSi基板16の表面は鏡面処理がなされており、反射ミラー13として機能するようになっている。なお、ビームスプリッタ12は、一対のビームスプリッタ支持柱121,122によってその両端部が支持されるようになっている。
【0033】
面発光型レーザ光源10Aは、いわゆる垂直共振器型(VCSEL;Vertical Cavity Surface Emitting Laser)のレーザ光源であり、シングルモードのものである。この面発光型レーザ光源10Aの上方には、レーザ光Loutを集光するためのコリメータレンズ10Bが配置され、このコリメータレンズ10Bは、その周辺部がレンズ支持部10Cによって支持されるようになっている。
【0034】
ピンホール部140は、光電変換素子141,142の上方に形成されており、例えばビームスプリッタ12上に形成される干渉縞が図5に示したように構成(明線Fwと暗線Fbとが交互に並んでいる)されている場合に、図中の点P140A,140Bのように、干渉縞の位相が互いに90°異なる状態で光電変換素子141,142に検出されるように配置されている。なお、このようなピンホール部の代わりに、干渉縞に沿った方向に延在するスリット部を設けるようにしてもよい。
【0035】
演算用IC150は、上記のようにディジタルカウント部15として機能するICであり、レーザ光Loutの光路が形成される領域からはずれた領域(光路が形成されている領域以外の領域)、具体的には例えば図4に示したように、後述する電極パッド17Aとビームスプリッタ支持柱121との間の領域(または後述する電極パッド17Bとビームスプリッタ支持柱122との間の領域)に形成するのが好ましい。レーザ光LoutがSi基板16の表面で反射される際に、演算用IC150の存在による反射の乱れのおそれが回避されるからである。
【0036】
このマイクロホン装置1はまた、例えば図6に示したように所定のパッケージ18に収容されるようになっている。具体的には、Si基板16上の両端に形成された複数の電極パッド17A,17Bは、それぞれ金属配線19を介してパッケージ18のリードフレーム18A,18Bと電気的に接続されると共に、例えば振動膜11がパッケージ18の上面部分に設けられるようになっている。
【0037】
なお、このように構成した場合、パッケージ18に設けられた振動膜11と、このパッケージ18に収容されたSi基板16(具体的には、例えばビームスプリッタ12)との距離(例えば、図1に示した振動膜11とビームスプリッタ12との距離d1)は、微調整が可能なように構成するのが好ましい。その場合の具体的な構成としては、例えば、パッケージ18を円柱状に形成すると共に、カメラレンズの場合における焦点合わせの調整用ネジ切りリングのように、このパッケージ18の回転によって高さの微調整ができるようにしたものが挙げられる。このように構成した場合、干渉縞を検知しつつ、リングの回転によって振動膜11とSi基板16との距離の微調整を行うことが可能となる。
【0038】
ここで、振動膜11が本発明における「振動体」の一具体例に対応し、反射ミラー13が本発明における「反射体」の一具体例に対応し、光電変換素子141,142およびディジタルカウント部15が本発明における「検出手段」の一具体例に対応する。また、このディジタルカウント部15は、本発明における「図形生成手段」および「カウンタ」の一具体例に対応する。また、光路OP2が本発明における「2つの光路のうちの一方の光路」の一具体例に対応し、この光路OP2側を進行するレーザ光Loutが本発明における「参照光」の一具体例に対応する。また、光路OP1が本発明における「2つの光路のうちの他方の光路」の一具体例に対応し、この光路OP1側を進行するレーザ光Loutが本発明における「反射光」の一具体例に対応する。
【0039】
次に、図1〜図8を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1の動作について詳細に説明する。ここで、図7は、従来の一般的なマッハ・ツェンダ干渉計の断面構成を模式的に表したものであり、図8(A)〜(C)は、図7に示したマッハ・ツェンダ干渉計を基に変形した本実施の形態に係るマイクロホン装置における干渉計(マッハ・ツェンダ干渉計に順ずる構成の干渉計)の断面構成を模式的に表したものである。
【0040】
まず、図1〜図6を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置1の全体動作について説明する。
【0041】
このマイクロホン装置1では、図1および図3に示したように、レーザ光源10からレーザ光Loutが出射されて振動膜11へ入射角θで入射すると、この振動膜11で反射され、ビームスプリッタ12へ到達する。するとレーザ光Loutは、ビームスプリッタ12上の点P11において、図示しない半透過膜の作用により反射光と透過光とに分離し、その結果、レーザ光Loutは、振動膜11側の光路OP1(反射光路:点P11〜P12〜P22の光路)と、反射ミラー13側の光路(透過光路:点P11〜P21〜P22の光路)とに分けられる。そして反射光路OP1側のレーザ光Loutは、振動膜11およびビームスプリッタ12上の全反射膜12Aにおいて多重反射され、反射光としてビームスプリッタ12上の点P22へ到達する。一方、透過光路OP2側のレーザ光Lout(参照光)は、反射ミラー13およびビームスプリッタ12上の全反射膜12Bにおいて多重反射され、ビームスプリッタ12上の点P22へ到達する。したがって、この点P22において、透過光路OP2からの参照光と反射光路OP1からの反射光とが互いに干渉し、例えば図5に示したように、明線Fwと暗線Fbとが交互に並ぶ干渉縞が形成される。
【0042】
ここで、ビームスプリッタ12の終端部である点P22において、参照光と反射光とが重なり合うための条件式は、例えば図1に示したように、ビームスプリッタ12上における点P11,P12間の距離(光路OP1側のL長)をL1、ビームスプリッタ12上における点P21,P22間の距離(光路OP2側のL長)をL2、光路OP1の光路長を|OP1|、光路OP2の光路長を|OP2|、光路OP1側の反射光が振動膜11により反射される回数をm1、光路OP2側の参照光が反射ミラー13により反射される回数をm2、振動膜11とビームスプリッタ12との距離をd1、反射ミラー13とビームスプリッタ12との距離をd2、ならびに参照光および干渉光が振動膜11または反射ミラー13へ入射する際の入射角をθとすると、以下の(11)式〜(14)式を基にして、以下の(15)式のように求められる。
【0043】
すなわち、光路OP1側のL長L1、光路OP1の光路長|OP1|、光路OP2側のL長L2および光路OP2の光路長|OP2|は、それぞれ(11)式〜(14)式のように表され、点P22において参照光と反射光とが重なり合うための条件は、L1=L2であることから、その条件式は(15)式のようになる。
【0044】
【数1】


【0045】
したがって、この条件式は入射角θには依存しないことから、光学上の調整を簡単に行うことができる。また、L長の大きさと入射角θの大きさが予め決まっていれば、(m1,d1)と(m2,d2)との組み合わせを適切に選んで設定することにより、条件式(15)を満たすことができる。なお、例えばL1=L2≒10mm、θ≒60°の場合、(m1,d1)と(m2,d2)との組み合わせは、以下の表1から選択するようにすればよい。
【0046】
【表1】


【0047】
次に、ビームスプリッタ12上の点P22において形成された干渉縞は、光電変換素子141,142で検出される。このとき、図3および図4に示したようなピンホール部140によって、光電変換素子141,142でそれぞれ検出される干渉縞の位相が調整され、例えば図6に示した2つの検出点P140A,140Bのように、互いに位相が90度ずれた状態で検出される。そして光電変換素子141で検出された干渉縞は電気信号に変換され、出力信号Sxとして出力される一方、光電変換素子142で検出された干渉縞も電気信号に変換され、出力信号Syとして出力される。
【0048】
次に、ディジタルカウント部15では、光電変換素子141,142からの出力信号Sx,Syをそれぞれ、X信号およびY信号とみなし、例えば図2に示したような円状または円弧状のリサージュ図形が生成される。具体的には、まず、(X,Y)信号による干渉縞の強度の中央値を中心点C(CX,CY)として、以下の(16),(17)式の演算を行うことにより、(X,Y)信号を(x,y)信号に変換する。
x=X−CX …(16)
y=Y−CY …(17)
【0049】
すると、上記(16),(17)式の演算により、信号点(x,y)の動きから、図2に示したように中心点Cを中心とする円周上を運動するリサージュ図形が得られる。このとき、光電変換素子141,142で検出された検知ポイント(例えば、図中の信号点P0)はこの円周上の1点であり、振動膜11の変位に従って円周上を変位することになる。したがって、このような信号点P0が所定の基準点(例えば、x軸およびy軸上の4つの基準点Pa〜Pd)を通過する回数をカウントすれば、干渉縞の強度が一義的に決まるため、振動膜11の変位をディジタルで検知したこととなり、そのカウントされた回数が角度αの情報であるディジタル信号の音声信号Soutとして出力される。なお、このように4つの基準点Pa〜Pdを基準点としてカウントした場合、干渉縞が90度(1/4波長)変動する度にカウントすることを意味することになる。
【0050】
次に、図8(A)〜(C)を参照して、本実施の形態のマイクロホン装置の干渉計における光路差を拡大させる作用を、図7に示した従来の一般的な干渉計(マッハ・ツェンダ干渉計)と比較しつつ説明する。
【0051】
まず、図7に示した従来の一般的なマッハ・ツェンダ干渉計では、レーザ光源110から出射されたレーザ光は、ビームスプリッタBS101において、反射ミラーM101側(光路OP102側)の参照光と、振動膜を兼ねる反射ミラーM102側(光路OP101側)の反射光とに分離され、これら反射ミラーM101,M102において参照光および反射光が反射されたのち、ビームスプリッタBS102において参照光および反射光が再び重ね合わされ、このビームスプリッタBS102において、例えば符号F101,F102で示したような干渉縞が形成される。この際、反射ミラーM101,M102において、参照光および反射光はそれぞれ、直角に(入射角と反射角との和が90°となるように)反射されるようになっている。
【0052】
これに対して、図8(A)〜(C)に示した本実施の形態のマイクロホン装置の干渉計(マッハ・ツェンダ干渉計に順ずる構成の干渉計)では、レーザ光源11から出射されたレーザ光が、ビームスプリッタBSにおいて、反射ミラーM1側(光路OP12側)の参照光と、振動膜を兼ねる反射ミラーM2側(光路OP11側)の反射光とに分離され、これら反射ミラーM1,M2において参照光および反射光が反射されたのち、ビームスプリッタBSにおいて参照光および反射光が再び重ね合わされ、このビームスプリッタBSにおいて、例えば符号F1,F2で示したような干渉縞が形成される。また、反射ミラーM1,M2において、参照光および反射光はそれぞれ、鋭角に(入射角と反射角との和が鋭角となるように)反射されるようになっている。すなわち、この干渉計では、反射ミラーM1,M2において参照光および反射光がそれぞれ鋭角に反射されるため、単一のビームスプリッタBSで構成可能となっている。
【0053】
具体的には、図8(A)に示した干渉計は、図7に示したマッハ・ツェンダ干渉計において、上記のように、参照光および反射光がそれぞれビームスプリッタBSによって鋭角に(入射角と反射角との和β1,B2がそれぞれ鋭角(0<β1<90°、0<β2<90°)となるように)反射されるようにすると共に、これにより単一のビームスプリッタBSで構成するようにしたものである。ここで、振動膜を兼ねる反射ミラーM2がΔdだけ変位したときの光路OP11,OP12間の光路差の変化量(具体的には、光路OP11の光路長の変化量)は以下の(19)式のように表される。よって、以下の(18)式で表される図7のマッハ・ツェンダ干渉計における光路OP101,OP102間の光路差の変化量(具体的には、光路OP101の光路長の変化量)と比べて値が大きくなり、その結果、反射ミラーM2の変位Δdがより増幅されて検出されることになる。
【0054】
【数2】


【0055】
また、図8(B)に示した干渉計は、図8(A)に示した干渉計において、反射ミラーM2の位置をビームスプリッタBS側に近づけ、反射ミラーM2側(光路OP21側)の反射光が、反射ミラーM2およびビームスプリッタBSによって多重反射されるようにしたものである。ここで、図1に示した構成で考えると、光路OP11,OP12のL長の差の変化量ΔL、および光路OP11,OP12間の光路差の変化量ΔOP(図8(B)における光路OP21,22間の光路差の変化量に対応)は、それぞれ、以下の(20)式および(21)式のように表されることから、振動膜11(図8(B)における振動膜を兼ねる反射ミラーM2に対応)がΔdだけ変位したとき(振動膜11とビームスプリッタ12との距離d1が微小に変化したとき)のΔLおよびΔOPの変化量は、以下の(22)式および(23)式のように表される。よって、(23)式から、振動膜11や反射ミラーM2が微小に変位したときの参照光と反射光との光路差の変化量は、これら振動膜11や反射ミラーM2において反射光が反射される回数m1に比例して大きくなり、その結果、振動膜11や反射ミラーM2の変位Δdがさらに増幅されて検出されることが分かる。また、この図8(B)の干渉計では、反射ミラーM2の位置が図8(A)の干渉計と比べてビームスプリッタBS側に近づいていることから、干渉計の大きさが小さくなり、マイクロホン装置全体としても小型化することになる。
【0056】
【数3】


【0057】
なお、例えば、音波Swの最大音圧を120dB、そのときの振動膜11の変位Δdを1μm、入射角θ=60°、反射光が振動膜11で反射される回数m1=10とした場合、(22)式および(23)式から、|d(ΔL)|=11.5μm、|d(ΔOP)|=23.1μmとなり、これらの変化量の値は干渉縞の形成にはまったく影響がない程度のものであることが分かる。
【0058】
また、図8(C)に示した干渉計は、図8(B)に示した干渉計と比べて反射ミラーM2をよりビームスプリッタBS側に近づけて配置し、反射ミラーM2の変位Δdをさらに増幅して検出するようにすると共に、参照光側の反射ミラーM1もビームスプリッタBS側に近づけて配置するようにしたものである。ここで、上記(22)式および(23)式により、振動膜11や反射ミラーM2が微小に変位したとき(d1が微小に変化したとき)のΔLやΔOPの変化量は、反射ミラー13や反射ミラーM1での参照光の反射回数m2には依存しないことから、参照光側の反射ミラーM1もビームスプリッタBS側に近づけて配置した場合、光路差の変化量には影響を与えずに、干渉計、ひいてはマイクロホン装置全体がより小型化することが分かる。
【0059】
このようにして図8(A)〜(C)に示した本発明のマイクロホン装置における干渉計(マッハ・ツェンダ干渉計に準ずる干渉計)では、振動膜として機能する反射ミラーM2(図1における振動膜11に対応)側の反射光がビームスプリッタBSにおいて鋭角に反射されるため、反射ミラーM2がΔdだけ変位したときの光路OP11,OP12間の光路差の変化量が、図7のマッハ・ツェンダ干渉計における光路OP101,OP102間の光路差の変化量と比べて値が大きくなり、その結果、反射ミラーM2の変位Δdがより増幅されて検出される。
【0060】
特に、図8(B)および図8(C)に示した干渉計では、反射ミラーM2側の反射光がビームスプリッタBSおよび反射ミラーM2において多重反射されるため、反射ミラーM2がΔdだけ変位したときの光路OP11,OP12間の光路差の変化量が、図8(A)に示した干渉計と比べてさらに大きくなり、その結果、反射ミラーM2の変位Δdもさらに増幅されて検出される。
【0061】
なお、図1、図3、図8(B)および図8(C)に示したように、振動膜11や反射ミラーM2側の反射光が多重反射される場合、それだけで光路差の変化量が大きくなるため、例えば直角で反射されるなど、必ずしも鋭角で反射されていなくてもよい。
【0062】
以上のように本実施の形態では、レーザ光源10からのレーザ光Loutを、マッハ・ツェンダ干渉計に準ずる構成の干渉計において2つの光路OP1,OP2に分離し、これら2つの光路OP1,OP2のうちの一方の光路OP2(参照光路)において参照光をビームスプリッタ12および反射ミラー13で反射させると共に、他方の光路OP1(反射光路)において反射光を振動膜11およびビームスプリッタ12で多重反射させるようにしたので、参照光と反射光との光路差を大きくし、振動膜11の変位を増幅して検出することができる。また、参照光と反射光とが互いに干渉してビームスプリッタ12上に形成された干渉縞に基づき、振動膜11の振動を量子化して検出するようにしたので、振動膜11の振動を光学的にディジタル検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際に、検出感度を向上させることが可能となる。
【0063】
また、ディジタル振動検出を行う際の検出感度を向上させることができるので、マイクロホン装置においてディジタル検出可能な音域を広げることが可能となる。
【0064】
また、反射光側の反射ミラー(反射ミラー13や反射ミラーM2)を、ビームスプリッタ(ビームスプリッタ12やビームスプリッタBS)側に近づけて配置しているため、干渉計の大きさが小さくなり、マイクロホン装置全体としても小型化を図ることが可能となる。
【0065】
また、反射ミラー13側の参照光がビームスプリッタ12および反射ミラー13において多重反射されるようにしたので、参照光と反射光との光路差をより大きくし、振動膜11の変位をより増幅して検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度もより向上させることが可能となる。また、参照光側の振動膜11もビームスプリッタ12側に近づけて配置するようにしたので、光路差の変化量には影響を与えずに、干渉計、ひいてはマイクロホン装置全体をより小型化することが可能となる。
【0066】
また、振動膜11側の反射光がビームスプリッタ12において鋭角に反射されるようにした場合、参照光と反射光との光路差をさらに大きくし、振動膜11の変位をさらに増幅して検出することができる。よって、そのように構成した場合、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度をさらに向上させることが可能となる。
【0067】
また、所定の条件式((15)式)を満たすように構成すれば、振動膜11の静止状態において、2つの光路OP1,OP2の光路差が予め0となるように設定することができる。よって、干渉縞の明瞭度(ビジビリティ)を容易に向上させることが可能となる。
【0068】
また、干渉計としてマッハ・ツェンダに準ずる構成の干渉計を用いるようにしたので、マッハ・ツェンダ干渉計の場合と同様に、レーザ光源10に対するレーザ光Loutの戻り光が生じないようにすることができ、レーザ光源10でのノイズ発生を回避することが可能となる。
【0069】
また、光による非接触センシングを行うことができるので、振動膜11の大きさや軽さを自由に選択することができ、ダイナミックレンジおよび周波数特性を、従来のダイナミック方式やコンデンサ方式等のアナログ方式に対して、無限に近く拡大することができる。
【0070】
また、干渉縞のカウントにより、直接ディジタル信号を取り出すことができるため、S/N比を低減し、出力する音声信号Soutの低ノイズ化を実現することができる。よって、微小振動を取り出すことができるようになるため、マイクロホン装置1から長いラインの引き回すような場合であっても、ノイズ等の影響をなくすことができる。
【0071】
また、干渉縞の検出を2つの光電変換素子141,142を用いて行うと共に、これら2つの光電変換素子で検出する干渉縞の位相差が互いにほぼ90度になるように設定したので、円形状のリサージュ図形を以下のように形成させることができ、検出を容易に行うことができる。
【0072】
さらに、2つの光電変換素子141,142からの出力信号Sx,SyをそれぞれX信号およびY信号とし、これらX,Y信号に基づく円状または円弧状のリサージュ図形を生成するようにしたので、干渉縞の検知ポイントが振動膜11の変位に従って円周上を変位するようになり、所定の基準点を通過する回数をカウントすることにより、振動膜11の変位をディジタルで検知することが可能となる。
【0073】
なお、本実施の形態では、図6に示したようにパッケージ部18に振動膜11を設けるようにした場合について説明したが、例えば図9に示したマイクロホン装置1Aのように、Si基板16上に振動膜11を支持する振動膜支持柱110を設け、この振動膜支持柱110上に振動膜11を設けるようにしてもよい。このように構成した場合、例えば図10(A),(B)(図9におけるIII−III部分の矢視断面図に対応)に示したように、振動膜11がSi基板16の表面に対して傾斜を持つと共に振動膜支持柱110A,110Bごとにスライド可能となるようにすることができ、その場合、Si基板16と振動膜11との距離(図1における距離d1に対応)を、例えば図10(B)に示したようにD1からD2へと変更することができ、容易に高さを調整することが可能となる。
【0074】
また、本実施の形態では、光路OP1と光路OP2との光路差を予め0に設定することができるので、図3,図4および図6に示したような面発光型レーザ光源10Aの代わりに、例えば図11に示したマイクロホン装置1Bのように、面発光型レーザ光源やDFBレーザ光源等のシングルモードのレーザ光源と比べてコヒーレンス長の短いレーザ光を発するマルチモードのレーザ光源である、端面発光型レーザ光源10Dを用いることができる。なお、このマイクロホン装置1Bでは、端面発光型レーザ光源10Dがマウント部10G上に形成され、この端面発光型レーザ光源10Dから出射されたレーザ光Loutは、レンズ支持部10Hによって支持されたコリメータレンズ10Eにより集光されると共に反射ミラー10Fで反射され、ビームスプリッタ12を介して振動膜12へ到達するようになっている。このように構成した場合、面発光型レーザ光源を用いた場合と比べ、集積化した場合の構成を簡単にすることができ、特にDFBレーザ光源を用いた場合と比べて安価な構成とすることができる。
【0075】
[第2の実施の形態]
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0076】
図12は、本実施の形態に係る振動検出装置(マイクロホン装置2)の断面構成を表したものである。このマイクロホン装置2は、図1に示した第1の実施の形態のマイクロホン装置1において、反射ミラー13を設けないようにすると共に、参照光側の光路をビームスプリッタ12の内部に形成するようにしたものである。
【0077】
具体的には、振動膜11とビームスプリッタ12との間に反射光の光路OP3が形成され、ビームスプリッタ12の内部に参照光の光路OP4が形成される。また、光路OP3側のレーザ光Loutは、振動膜11およびビームスプリッタ12上の全反射膜12Aにおいて多重反射され、光路OP4側のレーザ光Loutは、ビームスプリッタ12内部において全反射膜12A,12Bにより多重反射されるようになっている。
【0078】
なお、本実施の形態のマイクロホン装置2を半導体基板上に集積化した場合、第1の実施の形態と同様に、例えば図13に示したマイクロホン装置2のように端面発光型レーザ10Dを用いたものや、図14に示したマイクロホン装置2Aのように面発光型レーザ10Aを用いたもののように構成することができる。なお、図14に示したマイクロホン装置2Aでは、Si基板161上に、面発光型レーザ光源10Aが形成されると共に、光電変換素子141,142や演算用IC150を形成するためのSi基板162が設けられるようになっている。
【0079】
このような構成により本実施の形態のマイクロホン装置では、レーザ光源10からレーザ光Loutが出射されると、ビームスプリッタ12上の点P41で屈折され、同じくビームスプリッタ12上の点P31において、図示しない半透過膜の作用により反射光と透過光とに分離し、その結果、レーザ光Loutが、上記したように振動膜11側の光路OP3と、ビームスプリッタ12内部の光路OP4とに分けられる。そして光路OP1側のレーザ光Loutは、振動膜11およびビームスプリッタ12上の全反射膜12Aにおいて多重反射され、反射光としてビームスプリッタ12上の点P32へ到達する。一方、光路OP4側のレーザ光Lout(参照光)は、ビームスプリッタ12内部において全反射膜12A,12Bにより多重反射され、ビームスプリッタ12上の点P32へ到達する。したがって、この点P32およびその後の点P42において、光路OP4からの参照光と光路OP3からの反射光とが互いに干渉し、第1の実施の形態と同様に干渉縞が形成される。
【0080】
なお、その後も第1の実施の形態と同様に、ビームスプリッタ12上の点P42において形成された干渉縞は、光電変換素子141,142において、互いに位相が90度ずれた状態で検出され、それぞれ出力信号Sx,Syとして出力される。そしてディジタルカウント部15において、これら出力信号Sx,Syに基づくリサージュ図形が生成され、その結果、振動膜11の変位がディジタルで検知され、ディジタル信号である音声信号Soutとして出力される。
【0081】
ここで、第1の実施の形態と同様に、ビームスプリッタ12上の点P32において、参照光と反射光とが重なり合うための条件式は、例えば、ビームスプリッタ12上における点P31,P32間の光路OP3側のL長をL3、ビームスプリッタ12上における点P31,P32間の光路OP4側のL長をL4、光路OP3の光路長を|OP3|、光路OP4の光路長を|OP4|、光路OP3側の反射光が振動膜11により反射される回数をm3、光路OP4側の参照光がビームスプリッタ12内部の一端面(全反射膜12B)で反射される回数をm4、ビームスプリッタ12の屈折率をn、振動膜11とビームスプリッタ12との距離をd3、ビームスプリッタ12の厚みをd4、レーザ光Loutがビームスプリッタ12から振動膜11の側へ反射光として出射する際の入射角を90度から減じた角度をφ、およびその際の屈折角を90度から減じた角度をθとすると、以下の(24)式〜(27)式を基にして、以下の(28)式および(29)式のように求められる。
【0082】
すなわち、光路OP3側のL長L3、光路OP3の光路長|OP3|、光路OP4側のL長L4および光路OP4の光路長|OP4|は、それぞれ(24)式〜(27)式のように表され、点P42において参照光と反射光とが重なり合うための条件は、L3=L4であることから、その条件式は(28)式および(29)式のようになる。なお、(29)式は、スネルの法則を表している。
【0083】
【数4】


【0084】
なお、本実施の形態の干渉計では、反射光は空気中を伝播する一方、参照光はビームスプリッタ内を伝播するため、第1の実施の形態とは異なり、上記(28)式および(29)式を満たしたとしても、参照光と反射光との光路差を0とすることはできない。また、角度θと屈折率nの大きさが予め決まっていれば、(29)式により角度φの大きさが決定され、これにさらにL長の大きさを予め設定しておけば、(m3,d3)と(m4,d4)との組み合わせを適切に選んで設定することにより、条件式(28)を満たすことができる。なお、例えば、θ≒60°、n=1.5、φ≒70.5°、L3=L4≒10mmの場合、(m3,d3)と(m4,d4)との組み合わせは、以下の表2から選択するようにすればよく、(m3,d3)と(m4,d4)との組み合わせは、同一列以外にも任意の組み合わせが可能である。
【0085】
【表2】


【0086】
なお、本実施の形態の干渉計では、上記のように参照光と反射光との光路差を予め0とすることができないので、コヒーレンス長の長いレーザ光を用いるのが好ましい。したがって、例えば図13に示した端面発光型レーザ光源10Dのようにマルチモードのレーザ光源により構成するよりも、例えば図14に示したような面発光型レーザ光源10AやDFBレーザ光源など、シングルモードのレーザ光源により構成するのが好ましい。このようにシングルモードで構成した場合、レーザ光のコヒーレンス長が長いため、参照光と反射光との光路差が予め0になっていない場合でも、干渉縞の位相差を大きくし、明瞭度を高めやすくすることができる。
【0087】
以上のように本実施の形態においても、レーザ光源10からのレーザ光Loutを、マッハ・ツェンダ干渉計に準ずる構成の干渉計において2つの光路OP3,OP4に分離し、これら2つの光路OP3,OP4のうちの一方の光路OP4(参照光路)において参照光をビームスプリッタ12内部で反射させると共に、他方の光路OP3(反射光路)において反射光を振動膜11およびビームスプリッタ12で多重反射させるようにしたので、参照光と反射光との光路差を大きくし、振動膜11の変位を増幅して検出することができる。よって、第1の実施の形態と同様に、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度を向上させることが可能となる。
【0088】
また、反射ミラー13を設けなくてもよいので、図1に示した第1の実施の形態のマイクロホン装置1と比べ、装置構成をより簡単にすると共により小型化を図ることが可能となる。
【0089】
また、参照光がビームスプリッタ12内部において多重反射されるようにしたので、第1の実施の形態と同様に参照光と反射光との光路差をより大きくし、振動膜11の変位をより増幅して検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度もより向上させることが可能となる。
【0090】
また、振動膜11側の反射光がビームスプリッタ12において鋭角に反射されるようにした場合、第1の実施の形態と同様に参照光と反射光との光路差をさらに大きくし、振動膜11の変位をさらに増幅して検出することができる。よって、そのように構成した場合、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度をさらに向上させることが可能となる。
【0091】
また、所定の条件式((28)式および(29)式)を満たすように構成すれば、第1の実施の形態とは異なり、振動膜11の静止状態における2つの光路OP3,OP4の光路差を予め0となるように設定することはできないものの、光路OP3,OP4からの光をビームスプリッタ12上の点P32,P42上に重ね合わせることができる。よって、これらの条件式を満たすようにすれば、実際に干渉縞を形成することが可能となる。
【0092】
[第3の実施の形態]
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1または第2の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0093】
図15は、本実施の形態に係る振動検出装置(マイクロホン装置3)の断面構成を表したものである。このマイクロホン装置3は、図1に示した第1の実施の形態のマイクロホン装置1において、ビームスプリッタ12の代わりに厚みがほとんど無視できるくらい薄いビームスプリッタ兼用振動膜112を設けると共に振動膜11を設けないようにし、ビームスプリッタ兼用振動膜112を、レーザ光Loutを反射可能な一対の反射ミラー131,132で挟むような構成としたものである。なお、これら反射ミラー131,132が本発明における「一対の反射体」の一具体例に対応し、このうち、反射ミラー132が本発明における「一方の反射体」の一具体例に対応し、反射ミラー131が本発明における「他方の反射体」の一具体例に対応する。
【0094】
マイクロホン装置3の構成をより具体的に説明すると、反射ミラー131とビームスプリッタ兼用振動膜112との間に反射光の光路OP5が形成され、反射ミラー132とビームスプリッタ兼用振動膜112との間に参照光の光路OP6が形成される。また、光路OP5側のレーザ光Loutは、反射ミラー132およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Aにおいて多重反射され、光路OP6側のレーザ光Loutは、反射ミラー132およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Bにより多重反射されるようになっている。
【0095】
なお、本実施の形態のマイクロホン装置3も、第1および第2の実施の形態と同様に、例えば図16に示したマイクロホン装置3のように端面発光型レーザ10Dを用いたものや、図17に示したマイクロホン装置3Aのように面発光型レーザ10Aを用いたもののように構成することができる。なお、図17に示したマイクロホン装置3Aでは、コリメータレンズ10B上に、レンズ支持部10Cに支持されたプリズム10Iが設けられると共に、このプリズム10Iで屈折されたレーザ光Loutが反射ミラー131で反射され(入射角:θ)、ビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P51へ到達するようになっている。
【0096】
また、このようにマイクロホン装置を半導体基板上に集積化した場合、反射ミラー131,132のうちの少なくとも一方の面積が、ビームスプリッタ兼用振動膜112の面積よりも小さくなっているのが好ましい。このように構成した場合、ビームスプリッタ兼用振動膜112へ向かう音波Swの一部が、例えば反射ミラー131を介さずにビームスプリッタ兼用振動膜112へ到達可能となる。また、その場合に反射ミラー131は、例えば図18において示したようにレーザ光Loutの進行方向(光路OP5,OP6の進行方向)におけるSi基板16面への投射成分に沿った方向に細長くなっているのがより好ましい。そのように構成した場合、ビームスプリッタ兼用振動膜112へ向かう音波Swが反射ミラー131を介さずにビームスプリッタ兼用振動膜112へより到達しやすくなる。
【0097】
このような構成により本実施の形態のマイクロホン装置3では、レーザ光源10からレーザ光Loutが出射されると、ビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P51に到達する。そしてこの点P51において、図示しない半透過膜の作用により反射光と透過光とに分離し、その結果、レーザ光Loutが、上記したように反射ミラー131側の光路OP5と、反射ミラー132側の光路OP6とに分けられる。そして光路OP5側のレーザ光Loutは、反射ミラー131およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Aにおいて多重反射され、反射光としてビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P52へ到達する。一方、光路OP6側のレーザ光Lout(参照光)は、反射ミラー132およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Bにより多重反射され、ビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P52へ到達する。したがって、この点P52において、光路OP6からの参照光と光路OP5からの反射光とが互いに干渉し、第1および第2の実施の形態と同様に干渉縞が形成される。
【0098】
ここで、本実施の形態では、上記のように振動膜として機能するビームスプリッタ兼用振動膜112が反射ミラー131,132間に設けられ、2つの光路OP5,OP6間に挟まれるような構成となっているので、例えばビームスプリッタ兼用振動膜112が上方に変位した場合、光路OP5の光路長が短くなると共に光路OP6の光路長が長くなり、これによりそれらの光路差がより増大するようになっている。よって、第1および第2の実施の形態と比べて参照光と反射光との光路差がより大きくなり、振動膜の変位がより増幅して検出される。
【0099】
なお、その後は第1および第2の実施の形態と同様に、ビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P52において形成された干渉縞は、光電変換素子141,142において、互いに位相が90度ずれた状態で検出され、それぞれ出力信号Sx,Syとして出力される。そしてディジタルカウント部15において、これら出力信号Sx,Syに基づくリサージュ図形が生成され、その結果、振動膜11の変位がディジタルで検知され、ディジタル信号である音声信号Soutとして出力される。
【0100】
また、ビームスプリッタ兼用振動膜112の終端部である点P52において、参照光と反射光とが重なり合うための条件式は、例えば、光路OP5側の反射光が反射ミラー131により反射される回数をm5、光路OP6側の参照光が反射ミラー132により反射される回数をm6、反射ミラー131とビームスプリッタ兼用振動膜112との距離をd5、および反射ミラー132とビームスプリッタ兼用振動膜112との距離をd6とすると、第1の実施の形態と同様に、以下の(30)式のように求められる。
(m5)×(d5)=(m6)×(d6) ……(30)
【0101】
したがって、この条件式は入射角θには依存しないことから、第1の実施の形態と同様に、光学上の調整を簡単に行うことができる。また、L長(ビームスプリッタ兼用振動膜112上の点P51,P52間の距離)の大きさと入射角θの大きさが予め決まっていれば、第1の実施の形態と同様に、(m5,d5)と(m6,d6)との組み合わせを適切に選んで設定することにより、条件式(30)を満たすことができる。なお、厳密には、ビームスプリッタ兼用振動膜112の厚みの分だけ、光路OP5の光路長よりも光路OP6の光路長のほうが大きくなるが、上記のようにビームスプリッタ兼用振動膜112の厚みはほとんど無視できるくらい薄い(例えば、数μm程度)ので、その分の光路差によって干渉縞の明瞭度にはほとんど影響がない。
【0102】
以上のように本実施の形態においても、レーザ光源10からのレーザ光Loutを、マッハ・ツェンダ干渉計に準ずる構成の干渉計において2つの光路OP5,OP6に分離し、これら2つの光路OP5,OP6のうちの一方の光路OP6(参照光路)において参照光を反射ミラー132およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Bにおいて反射させると共に、他方の光路OP5(反射光路)において反射光を反射ミラー132およびビームスプリッタ兼用振動膜112上の全反射膜112Aにおいて多重反射させるようにしたので、参照光と反射光との光路差を大きくし、ビームスプリッタ兼用振動膜112の変位を増幅して検出することができる。よって、第1および第2の実施の形態と同様に、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度を向上させることが可能となる。
【0103】
また、ビームスプリッタ兼用振動膜112が2つの光路OP5,OP6間に挟まれるような構成としたので、光路OP5,OP6間の光路差をより増大することができる。よって、第1および第2の実施の形態と比べて参照光と反射光との光路差をより大きくしてビームスプリッタ兼用振動膜112の変位をより増幅して検出することができ、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度をより向上させることが可能となる。
【0104】
また、光路OP6側の参照光が反射ミラー132とビームスプリッタ兼用振動膜112において多重反射されるようにしたので、第1および第2の実施の形態と同様に参照光と反射光との光路差をより大きくし、ビームスプリッタ兼用振動膜112の変位をより増幅して検出することができる。よって、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度もより向上させることが可能となる。
【0105】
また、光路OP5側の反射光がビームスプリッタ兼用振動膜112において鋭角に反射されるようにした場合、第1および第2の実施の形態と同様に参照光と反射光との光路差をさらに大きくし、ビームスプリッタ兼用振動膜112の変位をさらに増幅して検出することができる。よって、そのように構成した場合、光学的にディジタル振動検出を行う際の検出感度をさらに向上させることが可能となる。
【0106】
また、第1の実施の形態と同様に光路OP5と光路OP6との光路差を予めほぼ0に設定することができるので、面発光型レーザ光源やDFBレーザ光源等のシングルモードのレーザ光源だけでなく、これらに比べてコヒーレンス長の短いレーザ光を発するマルチモードのレーザ光源(例えば、端面発光型レーザ光源)を用いることができる。このようにマルチモードのレーザ光源を用いて構成した場合、面発光型レーザ光源を用いた場合と比べ、半導体基板上に集積化した場合の構成を簡単にすることができ、特にDFBレーザ光源を用いた場合と比べて安価な構成とすることができる。
【0107】
さらに、半導体基板上に集積化した場合において、反射ミラー131,132のうちの少なくとも一方の面積をビームスプリッタ兼用振動膜112の面積よりも小さくした場合、音波Swの一部を、例えば反射ミラー131を介さずにビームスプリッタ兼用振動膜112へ到達させることができる。よって、音波Swが反射ミラーに完全に遮られて音圧が低減してしまうのを防ぎ、検出感度をより向上させることが可能となる。また、さらに反射ミラー131が、例えば図18に示したように、レーザ光Loutの進行方向(光路OP5,OP6の進行方向)におけるSi基板16面への投射成分に沿った方向に細長くなるようにした場合には、音波Swが反射ミラー131を介さずにビームスプリッタ兼用振動膜112へより到達しやすくすることができる。よって、その場合には音波Swが反射ミラーに遮られる部分をより小さくすることができ、検出感度をさらに向上させることが可能となる。
【0108】
以上、第1〜第3の実施の形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく、種々の変形が可能である。
【0109】
例えば、上記実施の形態では、リサージュ図形上に4つの基準点Pa〜Pdを設けてディジタルカウントを行う場合について説明したが、基準点の数はこれに限らず、例えば図19に示したように、4つの基準点Pa〜Pdに加えて例えば基準線E〜Hを用い、さらに基準点を細かく設定して増やすようにしてもよい。このように構成した場合、カウント数を増やすことができるので、出力信号Soutの値を大きくし、検出感度をより向上させることが可能となる。
【0110】
また、上記実施の形態では、レーザ光Loutを発する光源として半導体レーザを挙げて説明したが、これ以外にも例えば、ガスレーザや固定レーザなどを用いるようにしてもよい。
【0111】
また、上記実施の形態では、本発明の振動検出装置の一例として、振動体が音波に応じて振動する振動膜(振動膜11)であり、この振動膜11の振動を音声信号Soutとして検出する光学式マイクロホン装置について説明したが、本発明の振動検出装置はこれには限られず、他の振動を検出するように構成してもよい。
【0112】
さらに、本発明の振動検出装置(マイクロホン装置)は、例えば図20に示したように、図1に示したマイクロホン装置1(あるいは、図9に示したマイクロホン装置1A、図11に示したマイクロホン装置1B、図12に示したマイクロホン装置2、図14に示したマイクロホン装置2A、または図15に示したマイクロホン装置3など)に加え、このマイクロホン装置1から出力される音声信号Soutをエンコードする伝送フォーマットエンコーダ4と、この伝送フォーマットエンコーダ4とディジタル伝送経路(例えば、光ファイバなど)で接続された編集機器5、1ビットストリーム方式レコーダ6およびPCM(Pulse Code Modulation)方式レコーダ8と、1ビット方式記録メディア71と、PCM方式記録メディア91と、再生機器アンプスピーカ72,92とから構成される音声信号記録再生システムに適用することが可能である。このような構成の音声信号記録再生システムでは、2値化された音声信号Soutを伝送することができるため、アナログの音声信号を伝送する場合と比べ、容易に長距離伝送をすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る振動検出装置の全体構成を表す断面図である。
【図2】図1に示したディジタルカウント部において作成されるリサージュ図形の一例を表す図である。
【図3】第1の実施の形態に係る振動検出装置を半導体基板上に集積化した場合の一例を表す断面図である。
【図4】図3に示した振動検出装置の要部構成を表す上面図である。
【図5】干渉縞における2つの光電変換素子による検出点を説明するための模式図である。
【図6】図4に示した振動検出装置をパッケージ化した場合の要部構成を表す上面図である。
【図7】従来の一般的なマッハ・ツェンダ干渉計の構成を表す断面図である。
【図8】第1の実施の形態に係るマッハ・ツェンダ干渉計に順ずる構成の干渉計の要部構成を表す断面図である。
【図9】第1の実施の形態の変形例に係る半導体基板上に集積化された振動体検出装置の構成を表す上面図である。
【図10】図9に示した振動体検出装置における振動膜のスライド動作を説明するための断面図である。
【図11】第1の実施の形態の変形例に係る半導体基板上に集積化された振動体検出装置の構成を表す断面図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る振動検出装置の全体構成を表す断面図である。
【図13】第2の実施の形態に係る振動検出装置を半導体基板上に集積化した場合の一例を表す断面図である。
【図14】第2の実施の形態の変形例に係る半導体基板上に集積化された振動検出装置の構成を表す断面図である。
【図15】本発明の第3の実施の形態に係る振動検出装置の全体構成を表す断面図である。
【図16】第3の実施の形態に係る振動検出装置を半導体基板上に集積化した場合の一例を表す断面図である。
【図17】第3の実施の形態の変形例に係る半導体基板上に集積化された振動検出装置の構成を表す断面図である。
【図18】図15に示した振動体検出装置における反射ミラーとビームスプリッタ兼用振動膜との配置関係の一例を表す上面模式図である。
【図19】本発明の変形例に係るリサージュ図形の一例を表す図である。
【図20】図1に示した振動検出装置を備えた音声記録再生システムの構成例を表すブロック図である。
【符号の説明】
【0114】
1,1A,1B,2,2A,3,3A…マイクロホン装置、10…レーザ光源、10A…面発光型レーザ光源、10B,10E…コリメータレンズ、10C,10H…レンズ支持部、10D…端面発光型レーザ光源、10F…反射ミラー、10G…Siサブマウント部、10I…プリズム、11…振動膜、110…振動膜支持柱、112…ビームスプリッタ兼用振動膜、12…ビームスプリッタ、12A,12B,112A,112B…全反射膜、121,122…ビームスプリッタ支持柱、13,131,132…反射ミラー、140…ピンホール部、141,142…光電変換素子、15…ディジタルカウント部、150…演算用IC、16,161,162…Si基板、17A,17B…電極パッド、18…パッケージ、18A,18B…リードフレーム、19…金属配線、4…伝送フォーマットエンコーダ、5…編集機器、6…1ビットストリーム方式レコーダ、71…1ビット方式記録メディア、72,92…再生機器アンプスピーカ、8…PCM方式レコーダ、91…PCM方式記録メディア、Sw…音波、Sx,Sy…光電変換素子からの出力信号、Sout…音声信号、Lout…レーザ光、OP1,OP2,OP11,OP12,OP21,OP22,OP31,OP32…光路、C…中心点、P0…信号点、Pa〜Pd…基準点、E〜H…基準線、Fb…暗線、Fw…明線、F2,F2…干渉縞、M1,M2…反射ミラー、BS…ビームスプリッタ。
【出願人】 【識別番号】000002185
【氏名又は名称】ソニー株式会社
【出願日】 平成18年11月22日(2006.11.22)
【代理人】 【識別番号】100098785
【弁理士】
【氏名又は名称】藤島 洋一郎

【識別番号】100109656
【弁理士】
【氏名又は名称】三反崎 泰司


【公開番号】 特開2008−128910(P2008−128910A)
【公開日】 平成20年6月5日(2008.6.5)
【出願番号】 特願2006−316155(P2006−316155)