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【発明の名称】 発泡成形品の摺れ特性評価方法及び装置
【発明者】 【氏名】篠原 寿充

【氏名】平田 豊

【氏名】山▲崎▼ 弘一朗

【要約】 【課題】発泡成形品又はそれを主体とする試験片と金属板又は樹脂板との摺動により発生する音を定量的に測定することができる発泡成形品の摺れ特性評価方法及び装置を提供する。

【構成】マシンフレーム1の上面にスライドベース2が左右方向に移動自在に設置されている。試験片保持部材の下面6aに試験片10が取り付けられる。スライドベース2を往復動させて試験片10と鉄板4とを摺動させる。この摺動によって発生した音がマイクロホン11によって集音される。集音された音の周波数と音圧レベルとを解析することにより、摺動によって発生する異音の周波数と大きさとが定量的に分る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発泡成形品、表面に被覆材が設けられた発泡成形品、又は表面に異音防止剤を付着させた発泡成形品よりなる試験片を金属板又は樹脂板に押し付けて摺動させ、この際に発生する音を測定装置によって測定することにより摺れ特性を評価することを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項2】
請求項1において、前記試験片を金属板又は樹脂板に対し一定荷重で押し付けて測定を行うことを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項3】
請求項2において、該金属板又は樹脂板を試験片の押し付け方向と直交方向に往復動させて測定を行うことを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか1項において、摺動音をマイクロホンで集音し、その周波数と音圧レベルを解析することにより摺れ特性を評価することを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項5】
請求項4において、測定を無響室内で行うことを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれか1項において、金属板は鉄板であることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれか1項において、金属板の表面を脱脂処理してから測定を行うことを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれか1項において、前記発泡成形品はウレタンフォームであることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項において、前記被覆材は不織布、ワリフ、寒冷紗又は粗毛フェルトであることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項10】
請求項9において、該被覆材は一体発泡又は後貼りにより設けられていることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価方法。
【請求項11】
発泡成形品、表面に被覆材を設けた発泡成形品、又は表面に異音防止剤を付着させた発泡成形品よりなる試験片が先端に装着される試験片保持部材と、
該試験片保持部材の先端に対面配置された金属板又は樹脂板と、
該試験片を金属板又は樹脂板に押し付けるために該試験片保持部材を該金属板又は樹脂板に向って付勢する付勢手段と、
該試験片保持部材と金属板又は樹脂板との一方を該押し付け方向と直交方向に往復動させて試験片を金属板又は樹脂板と摺動させる駆動手段と、
摺動時に発生する音を測定する手段と、
を備えてなる発泡成形品の摺れ特性評価装置。
【請求項12】
請求項11において、前記金属板又は樹脂板は上向きに配置されており、
前記押し付け方向は鉛直下方であり、
前記付勢手段は、前記試験片保持部材に載荷される錘であることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価装置。
【請求項13】
請求項11又は12において、前記駆動手段は、前記金属板又は樹脂板を往復動させるものであることを特徴とする発泡成形品の摺れ特性評価装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ウレタンフォームなどの発泡成形品又は表面に不織布などの被覆材が設けられた発泡成形品が金属部材等と摺動する際に発生する音を評価するための方法及び装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両のシートなどにはウレタンの発泡成形品が多く用いられている。この発泡成形品が、シートパンなどの金属部材と接するように配置された場合、走行時や着座時、離座時などに異音が発生することがある。このような異音は、着座者に不快であることが多く、防止ないし抑制されることが望ましい。
【0003】
従来、シートパッドとシートフレームとの擦れにより発生する異音は、試験員の聴覚による官応試験に従って行われている。(特開平6−225823号の第4欄第37行)。
【特許文献1】特開平6−225823号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
試験員の官応試験による異音計測では定量的な試験結果を得ることができない。本発明は、発泡成形品又はそれを主体とする試験片と金属板又は樹脂板との摺動により発生する音を定量的に測定することができる発泡成形品の摺れ特性評価方法及び装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の発泡成形品の摺れ特性評価方法は、発泡成形品、表面に被覆材が設けられた発泡成形品、又は表面に異音防止剤を付着させた発泡成形品よりなる試験片を金属板又は樹脂板に押し付けて摺動させ、この際に発生する音を測定装置によって測定することにより摺れ特性を評価することを特徴とするものである。
【0006】
本発明では、好ましくは、試験片を金属板又は樹脂板に対し一定荷重で押し付けて測定を行う。この場合、該金属板又は樹脂板を試験片の押し付け方向と直交方向に往復動させて測定を行うことが望ましい。
【0007】
本発明では、摺動の測定を行う場合、摺動音をマイクロホンで集音し、その周波数と音圧レベルを解析することが望ましい。この場合、測定を無響室内で行うことが好ましい。
【0008】
上記の金属板としては鉄板が例示される。
【0009】
樹脂板としてはポリエチレン、ポリプロピレン等の板が例示される。
【0010】
本発明では、金属板の表面を脱脂処理してから測定を行うことが望ましい。
【0011】
本発明では、発泡成形品としてはウレタンフォームが例示され、被覆材としては不織布、ワリフ、寒冷紗又は粗毛フェルトが例示される。この不織布等は、一体発泡又は後貼りにより設けられることが好ましい。
【0012】
本発明の発泡成形品の摺れ特性評価装置は、発泡成形品、表面に被覆材を設けた発泡成形品、又は表面に異音防止剤を付着させた発泡成形品よりなる試験片が先端に装着される試験片保持部材と、該試験片保持部材の先端に対面配置された金属板又は樹脂板と、該試験片を金属板又は樹脂板に押し付けるために該試験片保持部材を該金属板又は樹脂板に向って付勢する付勢手段と、該試験片保持部材と金属板又は樹脂板との一方を該押し付け方向と直交方向に往復動させて試験片を金属板又は樹脂板と摺動させる駆動手段と、該摺動時に発生する音を測定する手段とを備えたものである。
【0013】
この評価装置では、金属板又は樹脂板は上向きに配置されており、押し付け方向は鉛直下方であり、付勢手段は、試験片保持部材に載荷される錘であることが望ましい。また、駆動手段は、前記金属板又は樹脂板を往復動させるものが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明の方法及び装置では、試験片を金属板又は樹脂板に押し付け、この際に発生する音を測定装置で測定するため、音を定量的に評価することができる。この測定時の押し付け荷重を一定とすることにより、精度及び再現性を良好とすることができる。試験片を金属板又は樹脂板に一定荷重にて押し付けるには、錘を用い、鉛直下方に押し付けるのが簡便で好適である。この測定に際し、金属板又は樹脂板を復復動させることにより、長時間にわたって測定を行うことができ、測定精度が向上する。
【0015】
本発明において、摺動音を測定する場合には、マイクロホンで集音し、その周波数と音圧レベルを解析することが好ましい。これにより、耳障りな周波数の音がどの程度発生するのか定量的に測定することができる。この音の測定を無響室内で行うことにより、測定精度が向上する。
【0016】
本発明では、測定に際し金属板を脱脂処理しておくことにより、測定精度が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、図面を参照して実施の形態について説明する。
【0018】
第1図は実施の形態に係る発泡成形品の摺れ特性評価装置の側面図、第2図は試験片及び保持部材の下方からの斜視図である。
【0019】
マシンフレーム1の上面にスライドベース2が第1図の左右方向に移動自在に設置されている。このスライドベース2は、マシンフレーム1上のガイドレール(図示略)に沿って移動可能であると共に、マシンフレーム1内に設けられたストローク装置3によって第1図の実線で示される左端位置と2点鎖線で示される右端位置との間を往復移動されるよう構成されている。ストローク装置3としては、この実施の形態ではモータを駆動源としたスライダクランク機構が採用されているが、これに限定されるものではなく、カム機構など各種の回転運動を直線往復運動に変換する運動機構を用いることができる。
【0020】
このスライドベース2の上面2aは円柱ないし楕円柱の側面の一部を構成する蒲鉾形状の凸曲面であり、このスライドベース上面2aに金属板として鉄板4がボルト、ビス、クランプ等により取り付けられている。
【0021】
マシンフレーム1の中央の上方に試験片保持部材6が設けられている。後述の通り、この試験片保持部材の下面6aに試験片10が取り付けられる。
【0022】
この試験片保持部材6は、鉛直なロッド7の下端に取り付けられている。このロッド7は、ガイドホルダ8の挿通孔8aに摺動自在に挿通されている。なお、該ロッド7及び挿通孔8aは非真円形であり、ロッド7はその軸心線回りに回転不能となっている。これにより、保持部材6の下面6aの湾曲方向とスライドベース2の上面2aの下面6aの湾曲方向とは常に合致した状態に保たれる。
【0023】
ロッド7の上部に錘9が着脱可能に装着されている。この錘9は、この実施の形態は円環形であり、ロッド7の上端の凸ピン7に嵌合保持されている。この錘9を載せることにより、試験片10が鉄板4に一定の力で押し付けられる。
【0024】
試験片保持部材6の下面6aは、第2図に示す通り、円柱ないし楕円柱の側面の一部を構成する蒲鉾形状の凸曲面である。この下面6aに試験片10が取り付けられる。
【0025】
試験片10は、下面6aに重なる方形の主板部10aと、該主板部10aから互いに反対方向に突設された1対の耳片10bとを有している。この耳片10bを保持部材6の側面6b又は保持部材6の上面に回してビス、クランプ等により保持部材6に留め付ける。 マシンフレーム1の上方で且つ若干側方へ調隔した位置にマイクロホン11が設置されている。この装置全体が無響室内に設置されている。
【0026】
このように構成された発泡成形品の摺れ特性評価装置を用いて評価試験を行うには、第1図に示す通り、保持部材6の下面に試験片10を取り付け、ロッド7の上部に所定重量の錘7を載せ、試験片10を鉄板4に押し付け、ストローク装置3を駆動する。これにより、スライドベース2は第1図に実線で示す左端位置と2点鎖線で示す右端位置との間を往復移動し、鉄板4と試験片10とが摺動する。この摺動によって発生した音がマイクロホン11によって集音される。
【0027】
なお、スライドベース2の左右の往復動に伴って、試験片保持部材6は上下動するが、試験片10は鉄板4に常に一定の荷重で押し付けられる。
【0028】
この集音された音の周波数と音圧レベルとを解析することにより、摺動によって発生する異音の周波数と大きさとが定量的に分る。従って、試験片10として、車両用シートパッドのウレタンフォームを用い、鉄板4としてシートパンと同材料のものを用いることにより、車両シートで発生する異音の周波数及び大きさを定量的に予測することができる。
【0029】
ウレタンフォームとして、密度や硬度の異なるものを用いて同様の試験を行うことにより、材料変更に伴うスライドベースの変化を定量的に評価することができる。
【0030】
この異音を防止するために、ウレタンフォームに不織布、ワリフ、寒冷紗又は粗毛フェルトを貼ることがあるが、試験片として下面(鉄板4との摺動面)に不織布、ワリフ、寒冷紗又は粗毛フェルトを貼ったウレタンフォームよりなるものを用いて上記と同様の測定を行うことにより、不織布等を貼ったことによる異音の低減を定量的に確認することができる。
【0031】
ウレタンフォームにワックスのような異音防止剤をスプレー等により付着(塗布、接着等)させて摺れ音防止を図ることがあるが、本発明によれば、この異音防止剤の効果を定量的に確認することができる。
【0032】
なお、必要に応じ、錘9の重さを変えて同様の試験を行うことにより、着座者の体重に応じた異音の発生特性を測定することができる。
【0033】
上記の測定を長時間継続することにより、異音の発生挙動の経時変化を定量的に測定することも可能である。
【0034】
上記装置を用いて車両用シートパッドのウレタンフォームの摺れ特性評価を行う場合には、概略次のような条件とするのが好ましい。
(1) スライドベース2のストローク距離を30〜200mmとする。
(2) スライドベース2の移動速度を50〜500mm/secとする。
(3) 試験片10の大きさは、スライドベース2のストローク方向の長さを50〜300mmとし、それと直交方向の幅を10〜100mmとする。
(4) 保持部材6の下面6aのR(曲率半径)を10〜100mmとする。
(5) スライドベース2の上面2aのRを50〜400mmとし、且つ保持部材6の下面のRよりも40〜300mm程度大きくする。
(6) 錘は50g〜3kgとする。
(7) 鉄板4は、試験前にメチレンクロライド洗浄等により十分に脱脂する。
【0035】
上記実施の形態は本発明の一例であり、本発明は図示以外の形態をもとりうる。例えば、本発明では、マシンフレームに2以上のスライドベース2を設置し、各スライドベース2の上方にそれぞれ保持部材6を設けることにより、複数の試験片について同時に試験するようにしてもよい。
【0036】
上記実施の形態では鉄板を用いているが、鉄板以外の金属板や樹脂板を用いてもよい。
【0037】
試験片がウレタンフォームである場合、このウレタンフォームはスキン層を有していてもよい。一般にスキン層が鉄板と摺動すると所謂キーキーという異音が発生するが、本発明によるとかかる異音を周波数別に定量的に測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】発泡成形品の摺れ特性評価装置の側面図である。
【図2】試験片及び保持部材の下方からの斜視図である。
【符号の説明】
【0039】
1 マシンフレーム
2 スライドベース
3 ストローク装置
4 鉄板
6 保持部材
10 試験片
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成18年7月19日(2006.7.19)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛


【公開番号】 特開2008−26073(P2008−26073A)
【公開日】 平成20年2月7日(2008.2.7)
【出願番号】 特願2006−197104(P2006−197104)