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【発明の名称】 電子式流量計
【発明者】 【氏名】長谷 勇一
【課題】例えば電子式水道メータが地中に配置され、地上に遠隔カウンタが設置されて両者が接続ケーブルで接続された状態で使用されるシステムにおいて、接続の動作確認に要する流量が少なくて済み、かつ水道メータ側及び遠隔カウンタ側ともに省電力化を図ることを課題とする。

【解決手段】例えば電子式水道メータにおいて、これまでより小さい積算単位の単位パルス出力機能をもたせ、このパルス条件を汎用的な遠隔カウンタで認識できるようにする。具体的には、その小さい積算単位の単位パルスを遠隔カウンタには無単位パルスとして認識させ、またその小さい積算単位を無単位パルスの係数として遠隔カウンタに認識させる。これにより単位パルスの単位積算値を変更した場合でも、従来の遠隔カウンタをそのまま使用することができ、電子式水道メータと遠隔カウンタともに低消費電力化を図りつつ、遠隔カウンタでメータの動作状況をタイムラグ少なく確認することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流量を計測する流量センサ部と、その流量センサ部における流量の検出に基づき所定のパルス条件でパルスを出力するパルス出力部と、外部機器との通信を行う通信部と、計量データを表示する表示部と、データ処理のための記憶部とを有する電子式流量計において、
前記外部機器から前記通信部に前記パルス条件の送信を求める要求がさなれた際に、前記パルス出力部から出力されるパルス条件として、予め定められた設定単位流量が積算される毎にパルス出力する特定の単位パルスのデータが前記記憶部に設定記憶されているか、その他の単位パルスに関するデータ若しくは前記流量センサ部からの流量信号毎に逐一パルス出力を行う無単位パルスに関するデータが前記記憶部に設定記憶されているかを判別するパルス条件判別手段と、
そのパルス条件判別手段により前記パルス条件が前記設定単位流量の特定の単位パルスに関するデータであると判別された場合には、そのパルス条件を実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らず前記無単位パルスのパルス条件データとして前記外部機器へ送信するパルス条件送信手段と、
を含むことを特徴とする電子式流量計。
【請求項2】
前記単位パルスにおけるパルス出力のタイミングとなる設定単位流量に関するデータとして、一般的単位流量に関するデータと、その一般的単位流量より小さくかつ前記無単位パルスにおける1パルス当りの微小流量より大きい値である特別単位流量に関するデータとが、選択的に前記記憶部に予め設定可能とされており、
前記パルス条件判別手段が、前記記憶部に記憶されているパルス条件データを読み出してこれが前記特別単位流量に関するデータであると判別した場合にのみ、前記パルス条件送信手段は実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らずこれを無単位パルスに関するデータとして前記外部機器へ送信する請求項1に記載の電子式流量計。
【請求項3】
前記パルス条件判別手段が、前記記憶部に記憶されているパルス条件データを読み出してこれが前記特別単位流量に関するでデータあると判別した結果、前記パルス条件送信手段が実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らずこれを無単位パルスに関するデータとして前記外部機器へ送信した後、その外部機器から前記通信部に対し無単位パルスの1パルス当りの流量値である係数をその外部機器へ送信することを要求された際に、
前記記憶部に設定記憶されている前記単位パルスの特別単位流量に関するデータを読み出し、そのデータを実際は単位パルスの単位流量であって無単位パルスの係数ではないにも拘らず、当該無単位パルスの係数として前記外部機器へ送信する無単位パルス対応係数送信手段を含む請求項1又は2に記載の電子式流量計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、通信機能及びパルス出力機能等を有する電子式水道メータ等の電子式流量計に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に記載されたような電子式水道メータが知られている。これは、流量に対応するパルス出力により水道等の流量を計測してそれを自身に備えられた表示部等に表示させるものである。
【0003】
ところで、電子式水道メータ(以下、単にメータともいう)は、北海道など寒冷地で使用される場合、図2のように凍結防止のために1.5m程度の地中に設置され、また冬には雪が積もり、メータの指針値を直接見ることが困難であるため、地上に遠隔カウンタ(20)を設置し、メータとの通信によりメータの積算値やアラーム情報を読み出し遠隔カウンタに表示している。またメータからの流量パルス信号により遠隔カウンタでも積算している。
【0004】
パルス出力は単位パルス出力と無単位パルス出力という2種類が存在する。単位パルス出力とは、マイコンが流量信号を受けて積算した結果、設定された単位体積(単位流量又は単位積算値)に達していればパルスを出力するものであって、要するに予め定められた単位流量が積算される毎に(そのときにのみ)パルス出力するものである。一方、無単位パルス出力とは、マイコンが正流の流量信号を受けるたびにパルス出力をすることであり、要するに流量センサ部から流量信号が入力される毎に逐一パルス出力を行うものであり、1流量信号あたりの体積(以下、係数という)はメータの種類により異なる。
【0005】
遠隔カウンタにメータから出力されるパルス単位がいくつであるか(単位流量、換言すれば単位積算量のこと)を認識させるために、通信機能が用いられている。単位パルスであれば同時にパルス単位(単位流量、単位積算量若しくは単位積算値とも言える)が設定される。無単位パルスであれば別途パルス単位(係数)を通信によりメータから遠隔カウンタに伝達する。単位パルス出力メータのパルス単位は、旧日本水道メータ工業会仕様により統一されており、口径13mm、20mmの水道メータの場合、10L(リットル)、100L、1000Lとなっている。またメータから遠隔カウンタへ単位パルスか無単位パルスを伝達する通信電文についても、旧日本水道メータ工業会仕様により決められている。ただし、無単位パルス出力のパルス単位を伝達する通信電文は統一されておらず、各メーカー毎に別途定められているのが実情である。
【0006】
そして通常は、無単位パルス出力のメータと遠隔カウンタとを組み合わせることが多い。その理由としては水が使用されていることをリアルタイムに知ることができ、またメータ指針値と遠隔カウンタ指針値とがいつでもほぼ一致することとなるからである。単位パルス出力メータの場合は、例えば水を10L使うまではメータが動いているかを知ることができない。
【特許文献1】特開2005−257273号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電子式水道メータ及び遠隔カウンタにおいては、ノーメンテナンスで例えば8年間使用されるため、低消費電力化は必須事項である。また、電池は全体に対するコスト比率が高く占有体積も大きいため、できるだけ数が少なく容量が小さいものであることが望ましい。
【0008】
しかしながら、無単位パルス出力の場合、メータは積算処理のたびにパルス出力処理を行う必要があり、遠隔カウンタにおいても処理回数が多いため、低消費電力化の妨げとなっている。そのため、単位パルス出力への切替えが考えられるが、前述のとおり、統一仕様の最小単位である例えば10Lでは、水を使っていることを知るまでにかなりの時間を要する。特に、メータ設置時においては正しく設置できたかの確認は使用者に水を使ってもらい、メータが追従して積算するかどうかで行うが、遠隔カウンタで確認するために10Lの使用を要するのでは時間がかかりすぎてしまう。また、10Lの範囲内では、実際に流量があるにも拘らずメータや遠隔カウンタの積算表示が変わらないため、実際の流量と表示とのタイムラグが大きくなる問題がある。
【0009】
そこで、例えば0.1Lの単位パルス出力が行える電子式水道メータを製作し、メータが動いたことを遠隔カウンタで素早くわかるようにし、パルス処理に係わる回数も無単位パルス出力よりは減らすことにより低電力化を図ることも考えられる。しかしながら、現状の遠隔カウンタにおいては、例えば口径13mm、20mmの水道メータの場合、10L、100L、1000Lの単位パルスか、無単位パルスしか受け付けないため、0.1Lの単位パルスで遠隔カウンタでの積算を行うことができなかった。
【0010】
上記の事情を背景とし、本発明の目的は、これまでより小さい積算単位の単位パルス出力機能を持つ電子式水道メータを、従来どおりの汎用の遠隔カウンタとの組み合わせで接続して使用できるようにし、もって本体たるメータと遠隔カウンタとの接続時における動作確認に要する流量を少なくするとともに、その後の定常使用時におけるメータ及び遠隔カウンタの低電力化を図り、かつ実際の流量と表示値とのタイムラグをできるだけ小さくすることにある。
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
【0011】
本発明の電子式流量計は、流量を計測する流量センサ部と、その流量センサ部における流量の検出に基づき所定のパルス条件でパルスを出力するパルス出力部と、外部機器との通信を行う通信部と、計量データを表示する表示部と、データ処理のための記憶部とを有する電子式流量計において、
前記外部機器から前記通信部に前記パルス条件の送信を求める要求がさなれた際に、前記パルス出力部から出力されるパルス条件として、予め定められた設定単位流量が積算される毎にパルス出力する特定の単位パルスに関するデータが前記記憶部に設定記憶されているか、その他の単位パルスに関するデータ若しくは前記流量センサ部からの流量信号毎に逐一パルス出力を行う無単位パルスに関するデータが前記記憶部に設定記憶されているかを判別するパルス条件判別手段と、
そのパルス条件判別手段により前記パルス条件が前記設定単位流量の特定の単位パルスに関するデータであると判別された場合には、そのパルス条件を実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らず前記無単位パルスに関するパルス条件データとして前記外部機器へ送信するパルス条件送信手段と、
を含むことを特徴とする。
【0012】
また本発明は、前記単位パルスにおけるパルス出力のタイミングとなる設定単位流量に関するデータとして、一般的単位流量に関するデータと、その一般的単位流量より小さくかつ前記無単位パルスにおける1パルス当りの微小流量より大きい値である特別単位流量に関するデータとが、選択的に前記記憶部に予め設定可能とされており、
前記パルス条件判別手段が、前記記憶部に記憶されている設定単位流量に関するデータを読み出してこれが前記特別単位流量であると判別した場合にのみ、前記送信手段は実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らずこれを無単位パルスに関するデータとして前記外部機器へ送信することを特徴とする。
【0013】
さらに本発明は、前記パルス条件判別手段が、前記記憶部に記憶されている設定単位流量に関するデータを読み出してこれが前記特別単位流量に関するデータであると判別した結果、前記パルス条件送信手段が実際は単位パルスに関するデータであるにも拘らずこれを無単位パルスに関するデータとして前記外部機器へ送信した後、その外部機器から前記通信部に対し無単位パルスの1パルス当りの流量値である係数を前記外部機器へ送信することを要求された際に、
前記記憶部に設定記憶されている前記単位パルスの特別単位流量に関するデータを読み出し、そのデータを実際は単位パルスの単位流量であって無単位パルスの係数ではないにも拘らず、当該無単位パルスの係数として前記外部機器へ送信する無単位パルス対応係数送信手段を含むことを特徴とする。
【0014】
上記のように流量計から出力されるパルスが、予め設定された単位量を積算したときにパルス出力を行う単位パルスである場合に、そのパルスを受け取る外部機器には、流量計からの流量信号入力を行う無単位パルスとして認識させることができる。そのため、例えば単位パルスとして、その単位流量(単位積算値、単位積算流量)が一般的に統一値として設定されることが多い場合でも、例えばそうした一般的な単位流量より小さい特別の単位流量を設定し、それを通常であれば外部機器が単位パルスとして認識できない場合であっても、それを無単位パルスであるものと置き換えて外部機器へ送信することによって、外部機器はこれを無単位パルスとして認識できる。
【0015】
そして、その無単位パルスに対応する1パルスあたりの流量値(係数)がさらに外部機器へ情報として与えられれば、その外部機器は、たとえ流量計側で新規な単位流量の単位パルス仕様が設定された場合でも、それを便宜的に無単位パルスに置き換えた形で、従来と同様にパルス条件やその係数を把握できる。その結果、流量計の単位パルスにおける単位流量(単位積算量)を独自に変更しても、従来と変わらない汎用的なの外部機器をそのまま使うことができる。言いえれば、現状の外部機器をそのまま利用しつつ、コストを抑えて流量計に新規な単位流量の単位パルス仕様を設定できる。
【0016】
また、そうした流量計と外部機器との接続作業(初期工事)において流量計や外部機器の動作確認をする際に、特別単位流量を通常の一般値より小さく設定することにより、その動作確認に要する流量(例えば水道メータであれば確認のための水の使用量)が少なくて済み、例えば従来一般的に10Lの水を流さないと単位パルスが生じないものに対して、例えば0.1Lの単位パルスを設定することにより、ごく少ない流量で動作確認ができる。
【0017】
さらに、初期工事の確認作業が終了した後における通常使用時においては、無単位パルスよりはパルス間隔が長いものの、一般的な単位流量(単位積算量)より小さな特別単位流量の単位パルスが使用されるものとすれば、無単位パルスに比べて積算のためのパルス処理回数が減るため、流量計における消費電力も無単位パルスを用いるものに比べて小さくなり、またそのパルスを受け取る外部機器においても同様の理由で低電力化が図られ、特に地中に埋められてメンテナンスが困難な流量計の省電力化が図られることは、電池等のコストも低減し好ましいものとなる。しかも、パルス単位(単位積算量)を小さくすることにより流量計及び外部機器における流量表示と実際の流量とのタイムラグを小さくでき、こうした効果を、従来からの外部機器に変更を加えることなく、これをそのまま利用して得られるため、専用の外部機器を用意する場合に比べてコストも低減できる。
【0018】
このように、これまでより小さい積算単位の単位パルス出力機能をもつ電子式流量計を遠隔カウンタ等の外部機器に接続するために、外部機器には無単位パルス出力のメータであると認識させることにより、これまでの外部機器をそのまま利用でき、また電子式流量計と外部機器ともに低消費電力化を図りつつ、遠隔カウンタでメータの動作状況をタイムラグを少なく確認できるという使い勝手のよい有意義な電子式流量計が提供されることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。
【実施例1】
【0020】
まず図1は、本発明の前提となる電子式流量計の一例である電子式水道メータ(以下、水道メータ又は単にメータともいう)の概念図である。図において符号10は図示しないハウジング内に設けられた羽根車を概念的に示している。羽根車10は、その羽根11に矢印a方向からの水道水を受け、その通過流量に応じて回転する。羽根車10の上部にはマグネット12が取り付けられ、そのマグネット12の回転に基づく磁気を感知する磁気センサ13が近接配置され、この磁気センサ13でパルス信号を出力し、その出力パルス信号に基づき制御部14により流量を検出するようになっている。磁気センサ13から発せられるパルス信号は制御部14に入力され、制御部14からは磁気センサ12の動作のための電源が供給され、また制御部14で積算された流量は液晶ディスプレイ等の表示部15に表示されるようになっている。
【0021】
図2は水道メータ1を地中に埋めた状態を示しており、地上の所定の場所には外部機器の一例として遠隔カウンタ20が配置され、水道メータ1と遠隔カウンタ20とが接続ケーブル21を介して接続される。これは、例えば寒冷地などで水道メータ1の凍結防止のための地中埋設であり、そうすると水道メータ1の指針値を直接見ることができないため(積雪の場合も同様の事情)、地上での遠隔カウンタ20によりそのメータの指針値を接続線21を介して確認することとなる。
【0022】
遠隔カウンタ20は従来のものと同様の構造であるため詳しい説明は省略するが、外観上、水道メータ1での指針値に対応するデータを表示するための液晶ディスプレイ等の表示部22を備え、またその表示形態を変えるための操作部23等を備える。図3により内部の構造をごく簡単に説明すれば、制御部24があり、これに通信ポートやマイコンが内蔵され、制御部24と操作部23や表示部22が互いに連携するように接続されている。なお、上述の接続ケーブル21は水道メータ1から遠隔カウンタ20への通信及び遠隔カウンタ20から水道メータ1への通信を行う通信線と、水道メータ1から後述する単位パルスあるいは無単位パルスを遠隔カウンタ20へ供給するためのパルス線等がまとめられた複合ケーブルとなっている。
【0023】
図4は水道メータ1の前記制御部14である電子制御部のブロック図を示している。マイコン(マイクロコンピュータ)31が制御全体を担い、流量センサ部32(図1における例えばマグネット12と磁気センサ13とを含んで構成される)からの流量信号をマイコン31が受けて積算処理を行い、マイコン31が表示部15に表示信号を出力することにより、表示部15において新たな積算値が表示される。
【0024】
メータ1の制御部14は、パルスインターフェース(I/F)34を通じて、外部機器である遠隔カウンタ20へ後述するパルスを出力し、通信I/F33を通じて遠隔カウンタ20と通信を行う。遠隔カウンタ20から水道メータ1へ送信されたデータは通信I/F33で受けられ、これが受信データとしてマイコン31へ送られる。マイコン31ではこの受信データを分析して必要な処理を行う。また、水道メータ1から遠隔カウンタ20に対する送信データは、マイコン31から通信I/F34を介して遠隔カウンタ20へ送られる。
【0025】
マイコン31は流量センサ部32からの流量信号に基づいて、単位パルス又は無単位パルスを生成し、そのパルス出力信号をパルスI/F34を介して遠隔カウンタ20へ送る。このパルス出力信号が無単位パルスである場合は一般には流量センサ部32からの流量信号の入力毎にパルスを生ずるため、1パルスあたりの流量値はごく微小なものとなる。
【0026】
他方、マイコン31で単位パルスを生成する場合は、マイコン31が流量信号に基づいて流量を積算演算していき、それが例えば10L(リットル)になった場合に1パルス出力し、あるいは100Lになった場合に1パルス、もしくは1000Lになった場合に1パルス出力というように予め単位パルスを設定することができるが、その単位流量(単位積算量、単位積算値とも言える)として、例えば0.1Lというように一般に比べて小さい単位流量を特別に設定することもできる。本実施例では、後述するようにこの特別単位流量が設定されたパルス出力信号が出力されることとなる。いずれにしても単位パルスの場合は、設定された単位積算量毎に(そのタイミングに限って)パルスが出力される。また、その単位パルスに対応して表示信号も出力されるため、表示部15の表示も一度表示が更新されてから、所定の単位流量に達するまでは同じ表示が維持され、この単位流量に達する毎に表示が変換されていく。
【0027】
なお、制御部14内の電源の流れや他の機能のブロックは大幅に省略されている。電子式水道メータ1は、メータ口径が13mm、20mm、25mm、・・・、250mm以上多機種あるが、以下では家庭用として最も普及している13mm、20mmを例とする。また外部機器は、図に示したような遠隔カウンタ20のほか、複数のメータの指針値を一箇所で検針する集中検針盤等があるが、この実施例では遠隔カウンタ20が外部機器の一例として示されている。もちろん、外部機器として遠隔カウンタ20の代わりに上述の集中検針盤が接続された態様での適用も可能である。
【0028】
マイコン31は図5に示すように構成は周知あり、I/Oポート35と、CPU36、ROM37及びRAM38を備えて、これらがバスで接続されたものである。記憶部として機能するROM37及びRAM38のうち、図6に示すように、ROM37にはパルス条件送信プログラム37a及び係数送信プログラム37b(無単位パルス対応係数送信手段)が格納されているほか、その他演算や表示等に必要な制御のための図示しない公知の各種プログラムが格納されている。
【0029】
ところで、この実施例における単位パルス及びその単位積算量並びに無単位パルス及び係数(単位流量)がどのように設定されるかを図7に基づいて概念的に説明する。図7に示す仕様モード候補リスト39は、あくまで概念図であって記憶テーブルではない。当該水道メータ1が前述の単位パルスを出力するものか無単位パルスを出力するものかの種別を与える種別コード39aと、その種別に応じた1パルスあたりの単位流量を特定する単位流量値39bとは互いに対応付けられた関係にある。ここに例示したものは、例えばコード0は設定されていない状態、また例えばコード1、2及び3はそれぞれ単位流量(単位積算量)が10L、100L及び1000Lの単位パルスに対応し、さらに例えばコード6は、単位パルスではあるが単位流量が例えば0.1Lであって、コード1、2及び3の単位パルスより小さい単位流量が設定されたものである。また、コード8は無単位パルスの種別とされ、その1パルスあたりの流量は単位パルスに比べるときわめて微量のものとなる。
【0030】
そして、例えば工場出荷時等において、その仕様モード候補リスト39の中から、実際の使用に供されるパターンが選択され、それが図8の設定記憶部40に記憶(登録)されることとなる。設定記憶部40は例えばRAM38の一部記憶領域が使用され(ROM37に設定記憶部40を設けて(図6のかっこ書き参照)ここに書き込むこともできる)、RAM38の設定記憶部40に所定のコードを書き込むこと(又はコードを変更すること)が可能である。この例ではコード6として、1パルスあたりの単位流量が0.1Lの仕様モードが選択された例を示す。ここで、この1パルスあたりの単位流量(0.1L)が特別単位流量に相当し、コード1、2及び3の、10L、100L及び1000Lが一般的単位流量に相当する。なお、以上では図7の仕様モード候補リスト39を説明をわかりやすくするための概念図として説明したが、この仕様モード候補リスト39をROM37又はROM38に電子データとして予め記憶しておき(図6のかっこ書き参照)、例えばメータ1の工場出荷時においてその仕様モード候補リスト39を読み出して表示部15に表示し、その中からメータ1として実際に使用に供される識別コードを図示しない入力装置で選択入力することも可能である。
【0031】
本実施例では仕様モード候補リスト39が電子データとして記憶されていない前提なので、例えば工場出荷時に水道メータ1の仕様を決定する設定を行う際に、設定記憶部40に所定のデータが書き込まれる。例えば図8に示すように、設定記憶部40に単位パルスの種別を表すコード(この場合は6)と、1パルスあたりの特別単位流量(この場合は0.1L)が図示しない入力装置を介して書き込まれる。また、無単位パルス(例えば識別コード8)の場合の係数である単位流量(この場合は0.01・・L)も設定記憶部40に書き込まれる。ただし、後述のプログラム37a及び37bにおいてコード6に対応する単位積算値(0.1L)や、コード8に対応する係数(0.01・・L)がプログラム内の記述として書き込まれている場合は、事前の設定記憶データとしては、図8の例えばコード6等のデータのみでよい。
【0032】
次に、以上のような水道メータ1の作動について前述の遠隔カウンタ20と関連付けて説明する。
【0033】
当初の設置工事で、図2に示すように、水道メータ1を地中に埋め、接続ケーブル21を介して地上に遠隔カウンタ20を接続した状態で、両者間における情報通信により、いわば初期設定が行われる。簡単に言えば、外部機器としての遠隔カウンタ20は汎用的なもので、水道メータ1に固有のものではない。従って、水道メータ1の仕様情報を通信で得ることによって、自らの積算条件(具体的には水道メータ1からパルス信号を受け取ったときに、その1パルス分の単位流量等がわからないと積算できないため、例えばそういった情報)を接続ケーブル21を介する通信によって水道メータ1に要求し、これを受けて水道メータ1がそのような情報を通信により遠隔カウンタ20に回答する。この情報を遠隔カウンタ20で登録(記憶)し、これによって水道メータ1の仕様に対応した積算ひいては流量計測が可能となり、その結果、水道メータ1と遠隔カウンタ20との流量表示がほぼ同期した互いに一致するものとなる。
【0034】
このような遠隔カウンタ20に対する初期設定のプログラムが、前述のように水道メータ1のROM37にパルス条件送信プログラム37aと係数送信プログラム37bとして格納されており、まず図9Aに基づいてパルス条件送信プログラム37aをより具体的に説明する。
【0035】
外部機器である遠隔カウンタ20から水道メータ1に対しパルス条件を要求する通信文が送信されると、図4の通信I/F33を介してマイコン31がこれを受け、図9AのステップS1(以下単にS1という。他のステップでも同様)において、RAM38の設定記憶部40に特別単位流量を前提とした単位パルスの仕様が設定されているかどうかを検索・判定する。例えば図8に示すように、特別単位流量(この場合は0.1L/パルス)とした例えばコード6が設定記憶されているとすれば、CPU36はこれを読み出し、S2以降の処理に移行する。
【0036】
その設定でなければS3に以降し、設定されているパルス単位の応答準備をする。例えばコード1(単位流量10L)であると判断されれば、それを特定するデータ(例えばコード1たるデータ)を、図5に示すRAM38のバッファメモリ領域(ワークメモリ)に一時記憶する。また、図7におけるコード8の設定がされているとS1で判断されれば(この場合は無単位パルスの仕様である)、その旨のコード8を上述のバッファメモリ領域に一時記憶し応答準備を終了する。
【0037】
他方、図8に示すような特別単位流量の単位パルス仕様に設定されているとすれば、S1で例えばコード6を読み出すが、これをそのまま遠隔カウンタ20側へ送信する準備をするのではなく(そうすると、遠隔カウンタ20は汎用仕様のものであるため例えばコード6を認識できない)、S2においてこの単位パルスのデータを無単位パルスのデータに変換(置換)し(例えばコード6をマイコン31においてコード8に変換(置換)する)、これによって本来単位パルスであるものを便宜的に無単位パルスに置き換える処理をする(変換処理もしくは置換処理)。そして、この置き換えた例えばコード8というデータをRAM38のバッファメモリ領域に一時記憶して応答に備える。
【0038】
なお、応答準備という趣旨は、遠隔カウンタ20が水道メータ1に求める仕様情報は、パルス条件のみならず他のデータ(例えばメーカー種別、水道メータの口径、機器のバージョン情報等)があり、それらをまとめて水道メータ1から遠隔カウンタ20へ送るために、上述のように一時的にバッファメモリに蓄えることとが好適となる。そして、図9AのS2における応答準備が整えば、S4においてパルス条件を遠隔カウンタ20側へ送信する。具体的には無単位パルスである旨を示すコード8の情報を、図4の通信I/F33及び接続ケーブル21を介して遠隔カウンタ20側へ送信することとなる。そして、例えばコード8という無単位パルスの通信情報(通信文)は、汎用的な遠隔カウンタ20が認識することができる。他方、S1において、例えばコード1、2、3等の単位パルス仕様であると判断され、あるいはコード8の無単位パルスであると判断された場合は、読み出されたデータが何ら変換(置換)されることなく、S4において従来どおり遠隔カウンタ20へ送信される。
【0039】
なお、従来は図9Bに示すように、外部機器たる遠隔カウンタ20からパルス条件を求める要求があると、S’1において設定記憶部40に設定されているパルス条件のパルス単位(単位流量)の応答準備をし、それをS’2でそのまま遠隔カウンタ20側へ送信している。この場合、従来は一般的にはコード1〜3の単位流量のいずれの単位パルスであるか、あるいはコード8の無単位パルスであるかが設定記憶部40に設定登録されているため、それを読み出して遠隔カウンタ20側へ送信することとなり、仮に特別に設定された流量単位(例えば新たに設定したコード6等)を送信しても、汎用の遠隔カウンタ20ではこれが認識できないためエラーとなる。
【0040】
水道メータ1側からパルス条件を受け取った遠隔カウンタ20は、それが無単位パルスの識別情報であった場合(例えばコード8を受信した場合)は、さらにその無単位パルスの係数(1パルスあたりの流量値)の情報を水道メータ1に要求する。それを受けた水道メータ1側の処理が図6に示した係数送信プログラム37bであり、これをより具体的に図10Aのフローチャートに示す。
【0041】
外部機器たる遠隔カウンタ20から無単位パルスの係数を要求する信号が水道メータ1に送られると、図4の通信I/F33を介してマイコン31がこれを受け、マイコン31(特にそのCPU36)は図8の設定記憶部40に単位パルスとしての特別単位流量(この場合は0.1L/パルス)が設定されているかどうかを検索する。T1でそれが検索されると、T2に移行して単位パルスの特別単位流量である0.1Lを、無単位パルスの係数として遠隔カウンタ20側へ送信するための準備(具体的には前述のバッファメモリへの一時記憶)を行う。言い換えれば、無単位パルスの係数(1パルスあたりの流量値)はコード8に対応する0.01・・Lであるが、これを単位パルスの特別単位流量である0.1Lに変換(置換)して応答準備をするのである。なお、設定記憶部40に特別の単位流量(0.1L等)が設定されていなければ、通常の無単位パルスの実際の1パルスあたりの流量値(0.01・・L)が記憶されていることとなるので、この値を読み出し、バッファメモリに一時記憶して応答に備える。そして、T4において単位パルスの係数を図4の通信I/F33を介して遠隔カウンタ20へ送信する。
【0042】
ちなみに従来の処理では、図10Bに示すように、外部機器たる遠隔カウンタ20から無単位パルスの係数要求があった場合は、無単位パルスの係数(例えば0.01・・L)をそのまま読み出し、これを送信するための応答準備であるT’1のステップを経て、T’2でこの係数をそのまま送ることとなる。なお、無単位パルスに対応する係数は、水道メータ1等で(例えば口径ごとに)個々に異なる場合が多く、汎用的な遠隔カウンタ20でもこの係数の違いは何ら問題なく認識し、その係数を無単位パルスの係数であると認識して、自身の積算条件の前提とするのである。言い換えると、遠隔カウンタ20では、本来は単位パルスの仕様として特別に設定された単位流量を無単位パルスの係数として取り込むこととなる。
【0043】
以上は水道メータ1からみた処理を説明したが、図11に水道メータ1と遠隔カウンタ20の相互の処理を横断的なフローチャートで説明する。ここで、Mは電子式水道メータを、またCは遠隔カウンタを意味するものとする。
【0044】
まず、遠隔カウンタ20と水道メータ1が接続した状態で、R1において作業者が遠隔カウンタ20のスイッチをONすると、遠隔カウンタ20から水道メータ1へパルス条件の回答を要求する。R3で水道メータ1からパルス条件を遠隔カウンタ20が受信すると、R4でそのパルス条件が無単位パルスであるかどうかを判断する。無単位パルスでない、すなわち単位パルスであればすでにその単位流量(単位積算値)は画一的に決まっているため、遠隔カウンタ20の設定はこれで終了する。R4で無単位パルスと判断されればR5に移行し、遠隔カウンタ20から水道メータ1側へ無単位パルスの係数を要求し、水道メータ1から遠隔カウンタ20へその無単位パルスの係数情報が送信されると、遠隔カウンタ20はこれを受信・記憶して遠隔カウンタ20の初期における設定が終了する。
【0045】
以後、遠隔カウンタ20は水道メータ1からのパルスに対して自身に設定した重み(単位パルスであれば単位流量(単位積算量)、無単位パルスであれば1パルス当りの流量)を、1パルスごとに直前の積算値に加えていき、その積算値を液晶ディスプレイ等の前記表示部15に表示する。また、遠隔カウンタ20が水道メータ1からパルスを受けるたびにパイロットマークを点滅させることにより、外部にメータが作動していることを示す。
【0046】
図12は、その遠隔カウンタ20の表示形態の一例を示している。遠隔カウンタ20の表示部50は積算値表示部51、パイロットマーク表示部52(以下、単にパイロットマークともいう)、メータアラーム表示部53とを備えている。従来のパターンでは、遠隔カウンタ20はメータから出力されてくる1パルスあたりの体積(従来より一般的な10L、100L、1000L、無単位パルスである場合のメータ係数のいずれか)を自身で記憶しており、水道メータ1からパルスを受けるたびにその体積を遠隔カウンタ20内の積算値に加算し、遠隔カウンタ20の積算表示部51を更新していく。
【0047】
また、無単位パルスである場合は、積算表示部51の積算値が変化しない場合が多いため(その1パルスあたりの体積が小さすぎて)、パルスを受けるたびに表示部50上のパルス入力を示すパイロットマーク52を点滅させることにより、メータが動作していること、水道メータ1の場合は水が使用されていることを外部に報せている。パイロットマーク52は単位パルス出力時においてもパルス入力のたびに点滅を繰り返す。メータアラーム表示部53は、水道メータ1から通信により取得した水道メータ1自身のアラームを表示する。これにより遠隔カウンタ20から水道メータ1の故障を認識することができる。
【0048】
図13は、10L/パルスの単位パルス時における遠隔カウンタ20の表示部50の動作量(最小桁は10L)を示しているが、水道メータ1からパルスを受けるたびに最小桁が1加算され、表示部50の右上のパイロットマーク52が点滅することとなる。
【0049】
上述したように、遠隔カウンタ20の構造自体は従来のものをそのまま使用しているため構造上新規なものはないが、前述のように水道メータ1からの送信情報により、遠隔カウンタ20の積算条件として、メータ1側では単位積算量が0.1L/パルスの単位パルスとして設定されたパルス条件を、遠隔カウンタ20側では係数0.1L/パルスの無単位パルスのパルス条件として認識し、これを設定記憶するため、図14に示すように、水道メータ1からパルスが入力されるたびに0.1L毎積算していく。ただし表示の最小単位(桁)は10Lなので、10Lに達するまでは積算表示値は変わらないが、パイロットランプ52は0.1L単位のパルス入力ごとに点滅するため、メータ1及び遠隔カウンタ20が作動していることは分かる。つまり、図14、図15に示される遠隔カウンタ20の表示部50の動作量から明らかなように、メータ1から0.1L単位のパルスが入力されるたびにパイロットマーク52が点灯・消灯を繰り返す。メータ1から100パルス入力されたら(0.1L×100=10L)、積算値が10L進んだことになるため、図15に示すように、積算値表示の最下行を更新する。
【0050】
以上の説明から明らかなように、無単位パルスに近いレートで単位パルスを出すことにより、メータの積算動作をそれほど待つことなく遠隔カウンタ20でその動作状況を知ることができる上、水道メータ1にとってはパルス出力処理、遠隔カウンタにとってはパルス入力処理が無単位パルスに比べて減ることとなるため、低消費電力化につながる。遠隔カウンタ20においては電池の数を減らすなどリスクなくコストダウンが可能となる。また、水道メータ1を遠隔カウンタ20とともに設置する際には、両者を接続した状態での動作確認を、これまでのように1パルス10Lといった水の消費があって初めて実施できるものと比べて、わずかの水の利用で実施でき、その確認時の水の節約ができて好都合である。
なお、本発明は水道メータに限らず、例えば水以外の液体、さらには気体の流量計測のための電子式流量計に適用することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る電子式流量計の一例である電子式水道メータの具体例を概念的に示す図。
【図2】水道メータに対し外部機器として遠隔カウンタを接続した状態を示す図。
【図3】遠隔カウンタの電子制御部を簡略に示す図。
【図4】水道メータの電子制御部を簡略に示すブロック図であって、遠隔カウンタとの接続を示す図。
【図5】マイコンの一例を簡略に示すブロック図。
【図6】記憶装置としてのROMの記憶領域並びに記憶データの一例を示す図。
【図7】仕様モード候補リストの一例を概念的に示す図。
【図8】設定記憶部の一例を示す図。
【図9A】本発明に係るパルス条件送信プログラムの一例を示すフローチャート。
【図9B】図9Aに対応する従来の処理を示すフローチャート。
【図10A】係数送信プログラムの一例を示すフローチャート。
【図10B】図10Aと対応づけて従来の係数送信プログラムの処理を示すフローチャート。
【図11】遠隔カウンタと水道メータとの相互の処理の関連を示すフローチャート。
【図12】遠隔カウンタの表示形態の一例を示す図。
【図13】単位積算値が例えば10Lの単位パルスが遠隔カウンタに順次入力された場合の表示例を示す図。
【図14】本発明に係る特別単位流量として例えば0.1Lの単位パルス(遠隔カウンタは無単位パルスとして認識している)が入力される場合の表示例を示す図。
【図15】その0.1L/パルスが10回入力されて最小単位が増加変更された表示例を示す図。
【符号の説明】
【0052】
1 電子式水道メータ(電子式流量計)
20 遠隔カウンタ(外部機器)
21 接続ケーブル
31 マイコン(パルス出力手段、パルス条件判別手段、無単位パルス対応係数送信手段、)
37 ROM(記憶部)
38 RAM(記憶部)
40 設定記憶部
50 遠隔カウンタの表示部

特許の図
【出願人】 【識別番号】000006932
【氏名又は名称】リコーエレメックス株式会社
【出願日】 平成19年3月12日(2007.3.12)
【代理人】 【識別番号】100095751
【弁理士】
【氏名又は名称】菅原 正倫
【公開番号】 特開2008−224390(P2008−224390A)
【公開日】 平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願番号】 特願2007−62311(P2007−62311)