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【発明の名称】 超音波流量計
【発明者】 【氏名】小林 保

【要約】 【課題】簡便な構造により2ビーム方式を実現し、測定精度を向上させる。

【解決手段】本管部11の横断面は略方形とされ、その上面には台形部14が形成されている。台形部14は上流側と下流側に対称的にそれぞれ傾斜する斜面部15、16を有し、一方の斜面部15には管軸Oと直交する方向に間隔をおいて振動子17a、17bが取り付けられ、他方の斜面部16には同様に振動子18a、18bが取り付けられている。振動子17a、18aにより第1の検出ユニット、振動子17b、18bにより第2の検出ユニットが構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定すべき流体を流す略方形の断面を有する本管部に、管軸に平行にかつ管軸を挟むように2対の検出ユニットを配置し、各検出ユニットは前記本管部の上面の上流側及び下流側にそれぞれ超音波振動子を配置し、一方の超音波振動子から発信し前記流体中に入射した超音波ビームが前記本管部の下部内面で反射し相手側の超音波振動子に到達するようにして、前記検出ユニットごとに前記流体の流速を測定し、前記2対の検出ユニットによる測定値の平均により前記本管部内の流量を求めることを特徴とする超音波流量計。
【請求項2】
前記本管部の断面の4隅部は円弧形状としたことを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項3】
前記2対の検出ユニットはそれぞれ前記本管部の横断面において管軸から管壁に至る距離を2分する位置の平面に沿って、前記超音波ビームが通過するように配置したことを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項4】
前記2対の超音波振動子は上流、下流側ごとに同じ極性の電極を相互に接続したことを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【請求項5】
前記本管部の上流側及び下流側に、前記本管部と外部配管の断面形状を整合させるレジューサ部を接続したことを特徴とする請求項1に記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、2対の検出ユニットによる超音波ビームを用いて、本管部内を流れる流体の流量を時間差方式により高精度に測定する超音波流量計に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波流量計の中では、時間差方式の超音波流量計が最も広く使用されているが、その方式を更に分類すると、1ビーム方式、2ビーム方式、マルチビーム方式に分けられる。
【0003】
1ビーム方式は多用されており、構成が簡便であるが、超音波ビームが管軸近傍に沿って通過し、流体の粘度の影響を受け易いため、流体粘度或いは流体温度が一定の条件下で使用することが望まれ、使用に不便なことがある。2ビーム方式又はマルチビーム方式はこの点を改善したものであるが、構成が複雑であり、コストも高くなり特殊用途の使用に限定される。
【0004】
図4は従来の2ビーム方式の超音波流量計の概略図、図5は横断面図を示している。両端にフランジ1を有する管体2には、4本の振動子ホルダ3a、4a、3b、4bがそれぞれ斜めに溶接されている。振動子ホルダ3a、3bと、振動子ホルダ4a、4bとはそれぞれ管体2内を斜めに横切る直線状に配置され、2対の検出ユニットとして使用される。
【0005】
これらの振動子ホルダ3a、4a、3b、4bの外端には、外部回路と電気接続するための端子箱5がそれぞれ取り付けられている。また、内端の管体2上には超音波振動子6a、7a、6b、7bが取り付けられ、これらの超音波振動子6a、7a、6b、7bは管体2の管壁を隔てて流体に接している。超音波振動子6aと7a及び6bと7bから成る2対の振動子対は管断面の管軸Oを中心とする半径rを2分する位置を超音波ビームが直通するように配置することにより、流体の粘度の影響を少なくすることができる。
【0006】
超音波ビームは例えば一方の検出ユニットにおいては、超音波振動子6aから流体中に発射され、流体を斜めに横切って下方の超音波振動子7aにより検出される。超音波振動子6a、7aの発信、受信を切換えて交互に超音波ビームを発信し、相手側の超音波振動子で受信して、超音波ビームの上流側から下流側に向かう場合と、下流側から上流側に向かう場合の伝播時間差から平均流速を計測する。同様に、他方の検出ユニットにおける超音波振動子6b、7bにおいても平均流速値が得られ、2つの検出ユニットの流測値の平均により管体2を流れる流体の流速が得られる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述の2ビーム方式の超音波流量計では、円形の管体2の非管軸位置に振動子ホルダ3a、4a、3b、4bを配置する必要があり、加工が難しくコストが高くなる。
【0008】
また、円形の管体2中で超音波ビームを反射させると、相手側の超音波振動子に超音波ビームを到達させることが困難なため、超音波ビームを図4、図5に示す従来例のように直進のみにしか使用できず、反射を利用して伝播経路を長くし測定精度を向上させることができない。
【0009】
また、振動子ホルダ3a、4a、3b、4bが空間的に離れ、4個の端子箱5を必要とする問題点がある。
【0010】
本発明の目的は、上述の課題を解消し、簡便な構造により2ビーム方式を実現し、測定精度を向上させ得る超音波流量計を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的を達成するための本発明に係る超音波流量計の技術的特徴は、測定すべき流体を流す略方形の断面を有する本管部に、管軸に平行にかつ管軸を挟むように2対の検出ユニットを配置し、各検出ユニットは前記本管部の上面の上流側及び下流側にそれぞれ超音波振動子を配置し、一方の超音波振動子から発信し前記流体中に入射した超音波ビームが前記本管部の下部内面で反射し相手側の超音波振動子に到達するようにして、前記検出ユニットごとに前記流体の流速を測定し、前記2対の検出ユニットによる測定値の平均により前記本管部内の流量を求めることにある。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る超音波流量計によれば、本管部における超音波振動子の取り付けに伴う加工は極めて容易となり、互いに本管部内に超音波ビームの反射面を容易に設定することができ、超音波伝播経路を長くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明を図1〜図3に図示の実施例に基づいて詳細に説明する。
図1は主要部の縦断面図、図2は横断面図、図3は外観斜視図である。測定すべき流体が流れる本管部11の上流側及び下流側に、レジューサ部12が溶接等により接続され、レジューサ部12の他端部は円形断面を持つ外部配管との接続のためにフランジ部13を有し、本管部11の断面形状を整合させる機能を有している。本管部11の横断面は略方形とされ、本管部11の上面には台形部14が形成されている。この台形部14は上流側と下流側に対称的にそれぞれ傾斜する斜面部15、16を有し、斜面部15、16を通る法線は、本管部11の下部内面の管軸Oと直交方向の同一線分L上を通るようにされている。
【0014】
一方の斜面部15には、管軸Oと直交する方向に管軸を挟むように間隔をおいて超音波振動子17a、17bが取り付けられ、他方の斜面部16には管軸O方向に対向して、同様に超音波振動子18a、18bが取り付けられている。超音波振動子17a、18aにより第1の検出ユニットが構成され、超音波振動子17b、18bにより第2の検出ユニットが構成されている。
【0015】
超音波振動子17、18の取付位置については、一般に方形断面の管路中に発達した流れの分布は、同様に円管内に発達した流れに4隅部を除き類似するとされている。従って、方形管である本管部11においても、図2に示す管軸O上から管壁までの距離Dのほぼ2分する位置に、管軸Oを挟むようにそれぞれの検出ユニットを配置することが、流体の粘度の影響が少なくなる。
【0016】
また、超音波振動子17a、17b、18a、18bは電気的ノイズを避けるために、プラスチックフィルムなどを介して本管部11と絶縁することが好ましい。超音波振動子17a、17b、18a、18bは計8本のリード線19により中継端子板20を経て変換器と接続されている。
【0017】
本管部11の台形部14上には、電線管21を有するカバー22が配置され、超音波振動子17a、17b、18a、18b、中継端子板20はカバー22により保護され、中継端子板20から引き出された電線は電線管21を介して外部回路に接続されている。
【0018】
一対の超音波振動子17a、18a間及び17b、18b間の超音波ビームは、一方の超音波振動子から発信して、管軸Oの両側を管軸Oから間壁に至る距離Dを2分する位置の平面に沿って平行に進行する。この過程で、超音波ビームは本管部11の下部内面の線分L上の点をそれぞれ反射面として図1の鎖線で示すように伝播し、相手側の超音波振動子に到達する。
【0019】
流れ方向に超音波ビームが伝播した場合と、流れに反して伝播した場合のそれぞれの伝播時間情報は、リード線19、中継端子板20を経由して変換器に送られ、時間差方式により流速に変換される。第1、第2の検出ユニットからそれぞれ得られた流速を加算し平均を求めると、本管部11における流体の平均流速を求めることができる。
【0020】
一般に、配管或いは超音波流量計の横断面の隅角部を90°の鋭角を有する方形とすると、流体中に固形物が含まれているときに、隅角部に沈殿するなどの問題が生ずることがある。これを避けるために、隅角部は図3に示すように円弧形状とするなどの形状修正を加えることが望ましい。
【0021】
しかし、前述したように方形断面の隅部の形状を修正すると、粘度の影響も変化するので、検出ユニットの取付位置は実測結果を反映して決めることが必要となる。
【0022】
本実施例においては、本管部11を鋳物による鋳造により製作すれば、機械加工は殆ど不要になり、レジューサ部12も同様に鋳物の利用がコスト面で有利である。
【0023】
更に、従来の2ビーム構造では適当なビーム反射面がないので、超音波ビームは管体内を直線的に伝播するに留まる。しかし本実施例によれば、本管部11の下部平面が反射面となり得るので、従来方式の2倍の伝播路長が実現でき、流量感度も2倍になり、管径が小さな流量計も製作可能になる。
【0024】
なお、上流側及び下流側で超音波振動子17aと18a及び17bと18bの同一極性電極を直接リード線で相互に接続し、変換器側から見ればあたかも1対の超音波振動子のようにすることも可能である。この場合は変換後の処理を省略でき、通常の1ビーム型として変換器を利用できる。
【0025】
実施例のように2つの時間差信号を個別に処理して平均流量を求める場合と、上述の1ビーム方式のような処理により流量を求める場合とを比較すると、管路内で十分に発達した流れに対しては両者共に同一の結果を与える。しかし、流速分布が著しく乱れた場合には両者の間に差が生じ得るが、乱れ方により何れかが優れるとは一概には云えない。
【0026】
また、上述の説明においては、本管部11の管断面を方形としたが、矩形の場合でも同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】主要部の縦断面図である。
【図2】横断面図である。
【図3】外観斜視図である。
【図4】従来例の外観斜視図である。
【図5】従来例の横断面図である。
【符号の説明】
【0028】
11 本管部
12 レジューサ部
13 フランジ部
14 台形部
15、16 斜面部
17、18 超音波振動子
19 リード線
20 中継端子板
【出願人】 【識別番号】390026996
【氏名又は名称】東京計装株式会社
【出願日】 平成19年2月13日(2007.2.13)
【代理人】 【識別番号】100075948
【弁理士】
【氏名又は名称】日比谷 征彦


【公開番号】 特開2008−196924(P2008−196924A)
【公開日】 平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願番号】 特願2007−31488(P2007−31488)