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【発明の名称】 流量計測方法
【発明者】 【氏名】瀬谷 慶身

【要約】 【課題】簡単な構成で、流路内の流体の流量を連続的に測定可能にするとともに、廉価で簡単な構成で、流路内に設置する際の工事費用も低く抑え、定期的な検証や校正も容易にする。

【解決手段】上流側のダクト110内に注入管1を配設する。下流側のダクト120内に流体圧力検知装置2を配設する。CO2 ガスを注入管1からダクト110内に注入するとともに、CO2 ガスの注入量を確認する。流体圧力検知装置2の上流側の流体圧力検知体21をサンプリング管として流用してCO2 ガスのサンプリングを行う。サンプリングしたCO2 ガスの濃度から流量を求める。上流側の流体圧力検知体21と下流側の流体圧力検知体22との流体の差圧を差圧指示計3で検出する。ガストレーサー法で求めた流量と差圧との関係を調査する。その後、流体圧力検知装置2で検出した差圧と上記関係から流量を求める。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体の速さによって検出圧力が変化する流体圧力検知装置を流路内に設置するとともに、別途、一時的流量測定手段にて流体の流量を求められるようにし、流路内の流量を段階的に変化させながら、前記流体圧力検知装置からの検出圧力と前記一時的流量測定手段で求めた流量の関係を各流量毎に調査し、その後、前記調査した検出圧力と流量との関係を基に、前記流体圧力検知装置の検出圧力から前記流路内の流用を求めることで、一時的流量測定手段を連続的に流量が測定できるようにしたことを特徴とする流量計測方法。
【請求項2】
前記流体圧力検知装置の一部又は全部が前記一時的流量測定手段における検出手段を兼ねることを特徴とする請求項1に記載の流量計測方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、管路内を流れる流体の速度や流量を計測する流量計測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、管路内に設置し流量を連続的に計測する手段として、ピトー管やオリフィスに代表される差圧方式や渦式、熱線式、羽根車式など様々な方式の流量計がある。しかしながら、これらの方式は次のような問題を抱えている。
【0003】
第1に精密加工に伴う高額化という問題がある。第2に、流量計の実際の取り付けに際して所定性能を維持するための制約がある。例えば測定点の上下流域に充分長い直管部(以下、必要直管部という。)を設け、流体が整流された条件下で計測しなければならず、実用的ではない。このため、実際の使用現場では、流量計の所定性能を発揮するための必要直管部が得られていないケースが殆どであり、取り付け状態での初期性能や経年後の検証・校正ができないという問題がある。
【0004】
また、近年、必要直管部を短縮化する目的でハニカム形状の整流器を内蔵した流量計もあるが、圧力損失による無効なエネルギーの消耗や目詰まり除去のための定期保全作業が必要となり、省エネや作業性の面で問題化している。また、流路への取り付けに際しては、一般的に流路に対する専用の管路を挟み込む、フランジ接続となるため、別途大規模工事費用が発生し高額になるという問題もある。
【0005】
一方、非特許文献1に開示されている別の手法として、流れの中に被測定流体と異なる物質を注入し、下流域にその異種物質を検出するセンサを配置することで、注入から検出までに要した時間と移動距離(異種物質注入部と異種物質検出部との距離)を基に、被測定流体の速度を算出するトレーサ法や、注入時の初期状態量(異種物質の濃度と注入量)と被測定流体とのミキシングにより希釈された下流域での異種物質濃度を基に被測定流体の速度を算出する混合希釈法がある。しかしながら、これらの手法は、速度の計測が異種物質を注入している期間のみであり、一時的な計測にしかならないという問題がある。
【非特許文献1】「流量計測ハンドブック」、日刊工業新聞社、昭和54年7月10日発行
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の流量計測方法の問題点から、機器そのものが安価で流路への設置費用が抑えられ、必要直管部が短縮化でき、初期性能や経年時の校正ができ、さらに圧力損失が低減できるとともに、保全作業が軽減できる連続的な流量計測方法が望まれている。
【0007】
本発明は、これらの点に鑑み、生産工程を簡素化することで廉価を実現し、しかも簡便に流路への設置ができ、機器設置制限を緩めるとともに、機器設置状態で性能検証や校正ができ、圧力損失によるエネルギーロスを低減し、目詰まり解消などの保全作業が軽減でき、連続的な測定が可能な新規の流量計測方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1の流量計測方法は、流体の速さによって検出圧力が変化する流体圧力検知装置を流路内に設置するとともに、別途、一時的流量測定手段にて流体の流量を求められるようにし、流路内の流量を段階的に変化させながら、前記流体圧力検知装置からの検出圧力と前記一時的流量測定手段で求めた流量の関係を各流量毎に調査し、その後、前記調査した検出圧力と流量との関係を基に、前記流体圧力検知装置の検出圧力から前記流路内の流用を求めることで、一時的流量測定手段を連続的に流量が測定できるようにしたことを特徴とする。なお、一時的流量測定手段は、例えば混合希釈法やトレーサ法或いは持ち運び可能な超音波流量計にて流量を求めるものである。
【0009】
請求項2の流量計測方法は、請求項1に記載の流量計測方法であって、前記流体圧力検知装置の一部又は全部が前記一時的流量測定手段における検出手段を兼ねることを特徴とする。この場合、流体圧力検知装置は、例えば流路内に注入されたCO2 ガス等の異種物質を検出する検出手段(サンプリング管)とすることができる。
【0010】
例えば、流体の流量を決める、ファンやポンプのインバータ及びダンパやバルブの開度を固定して流体の流量を一定に保った条件下で、流路内に異種物質を注入し、その下流域で異種物質の到達時間や濃度を検出するトレーサー法や混合希釈法を用いて流量を計測する。一方で、流路内に設けた流体圧力検知装置(2種類の圧力検知体で構成)の圧力差を検出し、流量と圧力差の関係(相関)を調べる。この調査を流量を変化させて繰り返すことで、流量と圧力差の間に一義的関係が得られることを、本発明者は見出した。そこで、本発明は、この関係から流量と圧力差の回帰曲線を求めたり、グラフ化することで、異種物質を注入しない状態でも圧力差から流量が求められるようにする。これにより、混合希釈法などによる一時的な流量測方法を連続的な流量測定方法に変換できるようにした。
【0011】
流路内に設ける流体圧力検知体は、トレーサー法や混合希釈法で流量を求める際のサンプリング管や異種物質注入管を兼ねることもできる。流体圧力検知体は、汎用パイプ(丸、角、矩形など)を流用することもでき、流れを横断するように流路内に2種類の圧力(例えば全圧と静圧)が検出でるように設置する。流体圧力検知体は、一端を閉塞し、他端に圧力取り出し口を設けるとともに、適当な間隔で直線上(一定方向)に流体圧力検知孔(またはサンプリング孔を兼ねる)を開孔する。流体圧力検知装置は流体圧力検知孔の向きが異なる2種類の圧力検知体にて構成する。また、この2種類を一対とし、流路内に複数対並行して間隔配置することで流路内の平均圧力やサンプリングの均質化を図ることができる。
【0012】
好ましい流体圧力検知体の流体圧力検知孔の開孔向きとして、一方の種類を流体の流れに向かうように開孔し、他方の開孔の向きを下流に向けて配置するとよい。この配置により、流体の流れに向かうように開孔した流体圧力検知体は流体の全圧を検知する。一方、開孔の向きを下流に向けた流体圧力検知体は自身の作る渦の中での圧力を検知することなり、流路内平均静圧より低めの圧力を検出する。その結果、両者の圧力差(流体圧力検知装置からの検出差圧)はピトー管などで検出する動圧よりも大きくなり検出圧力の測定誤差を少なくすることができる。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の流量計測方法によれば、連続的に測定が可能な新規の流量計測方法が得られるとともに、構成要素となる異種物質注入管やサンプリング管及び流体圧力検知装置の夫々が、精密な機械加工を伴わない一般部材(汎用パイプ等)にて達成できるため、廉価を実現できる。また、構成要素夫々の構造がシンプルであることから、新設、既設流路を問わず容易に流路内に設置でき、工事費用も低く抑えることができる。さらに、トレーサー法や混合希釈法を基に正確な流量が計測できることで、流体圧力検知装置の設置環境は、従来の流量計に比して大幅に緩めることができ、定期的な検証や校正も流路に取り付けた状態でできるようになる。また、圧力損失の要因となる流路内への流体圧力検知装置の取り付けは、それを構成する流体圧力検知体の設置本数を最小限に抑えることで軽減できる。
【0014】
請求項2の流量計測方法によれば、別途サンプリング管等を必要としないので、構成を簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の流量計測方法の実施形態を図面を参照して説明する。図1は実施形態の流量計測方法を示す概念図であり、図1(B) は図1(A) のA−A断面を示している。この実施形態は、被測定流体を空気とし、注入する異種物質を二酸化炭素(CO2 )とした例であり、送風ダクト10はチャンバ10aを挟んで上流側のダクト110と下流側のダクトと120とを有している。上流側のダクト110内には異種物質としてのCO2 ガスを注入する注入管1が配設され、下流側のダクト120内には流体圧力検知装置2が配設されている。
【0016】
図2は実施形態における注入管1と異種物質CO2 ガスの注入方法を示す図である。CO2 ガスは液化したボンベ20から供給することで純度の高いCO2 ガスが得られる。ボンベ20から出たCO2 ガスは順に減圧弁30、電磁弁40、を経由して注入管1に達する。電磁弁40はタイマーにてオン・オフ制御され、減圧弁30の二次圧調整にて注入量がコントロールされる。注入管1にはその長手方向に所定間隔を隔てて多数の細い孔の注入孔11が開孔されている。これにより、図1に示す下流側のダクト110内に万遍なくCO2 ガスが散布されるようになる。なお、この注入孔11の代わりにスプレーノズル等を用いてもよい。
【0017】
図1の例では、注入管1によりCO2 ガスを下流側に向かって散布しているが、上流側に向かって散布してもよいし、注入管1は図2のような角パイプでなく丸パイプなど汎用性の高い形状のものを用いてもよい。
【0018】
一方、ボンベ20は重量計50上に載置されており、単位時間当たりのCO2 ガスの注入量や変動の確認は、この重量計50で行う。重量計50は出力機能を備えており、注入開始からの時間経過に伴うCO2 ボンベ20の重量の減少量をパーソナルコンピュータ等に逐次記憶することができ、後の解析に有用な情報となる。なお、実際の異種物質(CO2 )の注入に当たっては、その量は被測定流体(空気)の流量に比して無視し得る程度にコントロールするのが好ましい。
【0019】
次に、注入ガス(CO2 )がミキシングされた下流域でのガスサンプリング形態を図3に示す。なお、この実施形態では流体圧力検知装置2をCO2 ガスのサンプリング用に流用している。図の流体圧力検知装置2は、上流側(H側)の2つの流体圧力検知体21,21と、下流側(L側)の2つの流体圧力検知体22,22とで構成されており、流れ方向に沿って流体圧力検知体21,22が1つの対をなし、いこれが2対設けられている。各流体圧力検知体21,21,22,22は、一端が閉塞された角パイプで構成され、他端に圧力取り出し口21a,21a,22a,22aが設けられている。
【0020】
また、上流側の流体圧力検知体21,21は、上流側の稜線上に所定間隔で流体圧力検知孔21b,21bが開孔されるとともに、両方の圧力取り出し口21a,21aは連結されている。また、図3には現れていないが、図1(B) に示すように、下流側の流体圧力検知体22,22は、下流側の稜線上に所定間隔で流体圧力検知孔22b,22bが開孔されるとともに、両方の圧力取り出し口22a,22aは連結されている。
【0021】
図3の例では、H側の流体圧力検知体21,21をサンプリング管として流用してCO2 ガスのサンプリングを行う。そして、このサンプリングしたCO2 ガスの濃度から、1秒間にダクト120の断面を通過する空気量すなわち流量を求める。
【0022】
なお、この流量は例えば以下のように求めることができる。注入管1よりも上流側にある空気で該注入管1を1秒間に通過する空気(注目空気)の体積をQi、注目空気の単位体積に含まれるCO2 分子数をNiとすると、注目空気中に存在するCO2 分子の総数はQi×Niとなる。なお、この分子数NiはCO2 ガスを注入する前にサンプリング管でサンプリングしたCO2 ガス濃度から求まる。注入管1から注入するCO2 ガスの体積をQp、CO2 分子数をNpとすると、CO2 ガスの注入後の空気の体積Qoは、Qo=Qi+Qpとなる。注入管1の位置におけるダクト110の断面の前後でのCO2 の総数は不変であるから、CO2 ガスを注入した後にサンプリング管でサンプリングしたCO2 ガス濃度から求まる分子数をNoとすると、次式が成り立つ。
【0023】
Qi×Ni+Qp×Np=Qo×No
故に、Qi×Ni+Qp×Np=(Qi+Qp)×No
故に、(Ni−No)×Qi=Qp×No−Qp×Np
【0024】
上式より、1秒間にダクト110の断面を通過する空気量Qiは、
Qi=(Qp×No−Qp×Np)/(Ni−No)
故に、Qi=Qp(Np−No)/(No−Ni)
となる。すなわち、注入管1から注入するCO2 の注入条件(Qp,Np)と、注入前後のサンプリングした単位体積当りのCO2 分子数(Ni,No)の計測値から流量を求めることができる。
【0025】
なお、このCO2 ガスのサンプリングのみを目的としたサンプリング管を別途用いるようにしてもよい、下流側(L側)に位置する流体圧力検知体22,22でCO2 ガスをサンプリングしてもよい。また、流体圧力検知体21,22や別途設けるサンプリング管は前記注入管1と同様に、角パイプ、丸パイプなど汎用性の高い安価な形状のものを採用することでコスト低減を図ることができる。さらに、その取り付け位置に関しても注入ガス(異種物質)の混合ができていれば整流される必要性がないため、何処に設置してもよく、取り付け場所の制限を大幅に緩めることができる。
【0026】
図3では、上流側に位置する流体圧力検知体21,21同士を連結している。これにより、流路上での混合が不十分であったとしても、流路断面から均等にサンプリングすることで混合状態を高める効果があり注入管1からサンプリング(当該流体圧力検知体21,21)までの距離を短縮することができる。すなわち、測定部分のサイズ(距離)を小さくできる。また、サンプリングのための孔(この例では流体圧力検知孔21b)位置に関し、図3では上流に向かって開孔しているが、流れに直交するように上下に開孔しても、下流に向かって開孔してもよい。
【0027】
次に、流体圧力検知装置2にて流体の圧力を検出している実施形態を図4に示す。上流側の流体圧力検知体21,21の連結された圧力取り出し口21a,21aと、下流側の流体圧力検知体22,22の連結された圧力取り出し口22a,22aとは、それぞれ差圧指示計3に接続されており、この差圧指示計3により、流体圧力検知装置2の上流側の全圧と、下流側のダクト内平均静圧より低めの圧力との差圧を検出する。なお、前記のように、この流体圧力検知装置2はシンプルなパイプ構造であることから、新設、既設流路を問わず流路の側面を利用する簡易工事で安価に設置することができる。
【0028】
本実施形態では、流体圧力検知装置2の一部を用いて混合希釈法などのガスサンプリングを行っているため、同時並行して流体圧力検知装置2からの検出圧力を読み取ることはできない。そのため、ガストレーサー法や混合希釈法などにより一時的に流量を求めた後で流体圧力検知装置2からの検出差圧を指示計などで読み取ることになる。すなわち、図3に示したCO2 濃度検出による手法(混合希釈法)で計測したサンプリング流量値と、図4に示した手法により計測したサンプリング差圧値とを取得し、これを多数回交互に繰り返す。そして、このデータを例えばパーソナルコンピュータ等に蓄積しておき、これらのデータの回帰分析等を行う。
【0029】
このように、流量と検出差圧の関係を流量を変えながら段階的に調べることで図5のグラフに示すような相関を求めることができる。一旦、この相関が得られれば、グラフや回帰曲線の近似式などを利用することで流体圧力検知装置2からの圧力(差圧)を基に流量を逆算することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態の流量方法を示す概念図である。
【図2】実施形態における注入管と異種物質CO2 ガスの注入方法を示す図である。
【図3】実施形態における下流域でのCO2 ガスのサンプリング形態を示す図である。
【図4】実施形態における流体圧力検知装置にて流体の圧力を検出する形態を示す図である。
【図5】実施形態における流量と検出差圧との相関グラフの一例を示す図である。
【符号の説明】
【0031】
1 注入管
2 流体圧力検知装置
21,22 流体圧力検知体
21b,22b 流体圧力検知孔
3 差圧指示計
【出願人】 【識別番号】504027657
【氏名又は名称】株式会社イーズ
【出願日】 平成19年1月31日(2007.1.31)
【代理人】 【識別番号】100060690
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 秀雄

【識別番号】100108017
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 貞男

【識別番号】100075421
【弁理士】
【氏名又は名称】垣内 勇

【識別番号】100134832
【弁理士】
【氏名又は名称】瀧野 文雄


【公開番号】 特開2008−185515(P2008−185515A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−20753(P2007−20753)