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【発明の名称】 超音波流量計
【発明者】 【氏名】別荘 大介

【氏名】竹村 晃一

【要約】 【課題】従来の超音波流量計は、温度や流量によって振幅が変化する受信信号を一定のレベルにするために増幅度を可変するので電力消費大や増幅度調整と測定が同時に行えないので計測精度が低下するという課題がある。

【解決手段】本発明は、上記課題を解決するために、受信手段5からの信号に、伝播時間を計るための受信点を設定する受信点設定手段21と、波数をカウントする波数カウント手段22と、判断手段A23を備え、受信点設定手段21で設定された受信点と、受信手段5からの信号の波数とを判断手段A23で関係付けるようにする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体が通る流路と、前記流路内の流体に超音波を送信する送信側超音波センサと、前記流体内を伝播した超音波を受信する受信側超音波センサと、前記送信側超音波センサに信号を送信する送信手段と、前記受信側超音波センサから信号を受信する受信手段と、送信から受信までの時間を計る時間計測手段と、前記受信手段からの信号に伝播時間を計測するための受信点を設定する受信点設定手段と、前記受信手段からの信号の波数をカウントする波数カウント手段と、前記受信点設定手段で設定された受信点と前記受信手段からの信号の波数とを関係付ける判断手段とを備えた超音波流量計。
【請求項2】
受信波の最大振幅となるポイントを検知する最大振幅検知手段を有し、判断手段は前記最大振幅検知手段の情報を受信波数を求めるための情報の一つとした請求項1記載の超音波流量計。
【請求項3】
受信点設定手段は、受信信号に重畳させる第1基準値と、前記第1基準値と受信信号とを比較する第1比較手段と、前記第1比較手段の信号出力間隔を計る時間計測手段と、前記時間計測手段の結果から前記第1比較手段の信号の正誤を判断する正誤判断手段とを備えた請求項1記載の超音波流量計。
【請求項4】
受信検知手段を備え、受信点と受信波数との関係付けは、前記受信検知手段と受信点設定手段の情報で行うようにした請求項1記載の超音波流量計。
【請求項5】
受信検知手段は、第1基準値とは異なるレベルの第2基準値と、前記第2基準値と前記受信信号を比較する第2比較手段とからなる請求項4記載の超音波流量計。
【請求項6】
受信点設定手段は、受信信号の正から負の変化、または負から正への変化のいずれでも受信点の設定を可能とし、どちらの変化で設定したかを判別できるようにした請求項1記載の超音波流量計。
【請求項7】
前記受信点設定手段は、受信点の数を偶数にするようにした請求項3記載の超音波流量計。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、特に超音波によって流量を計測する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の超音波流量計としては、例えば特許文献1に記載されたものがある。
【0003】
図8は、特許文献1に記載されている従来の超音波流量計の第1の実施例を示す制御ブロック図である。
【0004】
図8において、流体管路104(流路とも呼ぶ)の途中に、超音波を発信する第1振動子105(超音波センサとも呼ぶ)と、受信する第2振動子106とが、流れ方向に配置されている。107は第1振動子105への発信回路、108は第2振動子106で受信した信号の増幅回路で、この増幅された信号は基準信号と比較回路109で比較され、発信から受信までの時間をタイマカウンタのような計時手段110で求め、その超音波伝幡時間に応じて管路の大きさや流れの状態を考慮して、流量演算手段111で流量値を求め、この流量演算手段111の値によって発信回路107のトリガ手段113への信号送出のタイミングを調節する。
【0005】
次に、その動作について述べる。トリガ手段113から発信回路107よりバースト信号が送出され第1振動子105で発信された超音波信号は、流れの中を伝幡して第2振動子106で受信され増幅回路108と比較回路109で信号処理され、発信から受信までの時間を計時手段110で計測する。
【0006】
静止流体中の音速をc、流体の流れの速さをvとすると、流れに対して順方向の超音波の伝幡速度は(c+v)となる。振動子105と106の間の距離をL、超音波伝幡軸と管路の中心軸とがなす角度をφとすると、超音波が到達する時間Tは、
T=L/(c+vCOSφ) (1)
となり、(1)式より
v=(L/T−c)/COSφ (2)
となり、Lとφが既知ならTを計測すれば流速vが求められる。この流速より流量Qは、通過面積をS、補正計数をKとすれば、
Q=KSv (3)
となる。
【0007】
図9は、特許文献1に記載されている従来の超音波流量計の第4の実施例を示す制御ブロック図であり、発信から受信を繰り返し手段115によって繰り返し設定手段116で設定された回数だけ繰り返し、さらに発振と受信の切り換えを切換手段117で行った後、同様に繰り返しを行う。すなわち発振回路107によって第1振動子105から超音波が発生し、この超音波を第2振動子106で受信し、増幅回路108を介し比較回路109に到達すると繰り返し手段116で再びトリガ手段113で発信回路107をトリガする。
【0008】
この繰り返しは繰り返し設定手段115で設定された回数だけ行われ、設定回数に達すると繰り返しに要した時間を計時手段110で計測する。しかる後、切換手段117により第1振動子105と第2振動子106の発信受信を逆に接続し、今度は第2振動子106から第1振動子105に向かって超音波を発信し前述と同様に到達時間を求め、この差を流量演算手段111で流量値を演算する。
【0009】
静止流体中の音速をc、流体の流れの速さをvとすると、流れに対しての順方向の超音波の伝幡速度は(c+v)、逆方向の伝幡速度は(c−v)となる。振動子105と106の間の距離をL、超音波伝幡軸と管路の中心軸とがなす角度をφ、繰り返し回数をnとすると、順方向と逆方向のそれぞれの繰り返し時間T1とT2は、
T1=n×L/(c+vCOSφ) (4)
T2=n×L/(c−vCOSφ) (5)
となり、(4)、(5)式より
v=(n×L/2COSφ)×((1/T1)−(1/T2)) (6)
となり、Lとφが既知なら繰り返し時間T1,T2を計測すれば、流速vが求められる。しかしながら、繰り返し時間T1,T2の差は流量が小さくかつ繰り返し回数が少ない時には極めて微小であり、正確に計ることが困難であるので、計測回数を多く設定し誤差を比較的小さくして、流量が大きくなると(T1−T2)の差も大きくなるので計測が容易になり、その場合には繰り返し設定の回数を小さくしてサンプリング間隔を速くして誤差を小さくする。
【0010】
すなわち、流量演算手段111によって繰り返し設定手段115の回数を変更する。この方法は、シングアラウンド方式と呼ばれることがある。ここで、もう少しシングアラウンド方式を、図10に示すようなシステムで詳しく述べることにする。
【0011】
図10は、流体の流れる流路120に2つの超音波センサA121と超音波センサB122が、流路に対して角度φで配置されている。今、超音波センサA121から送信した超音波を、超音波センサB122で受信し、その超音波の伝播時間をシングアラウンド方法で計測する。流体の流れは矢印の方向で流速Vである。
【0012】
図11(a)は、超音波センサA121への送信信号である。例えば、送信信号は超音波センサA121の共振周波数に近い500kHzパルスの3波で構成される。与えられるパルスは3波であるが、これにより生じる超音波センサA121の機械振動は、3波以上継続して発生し、それが超音波となって流路104内の流体を伝播して、超音波センサB122で受信される。
【0013】
図11(b)は、超音波センサB122の受信信号である。超音波センサB122の受信信号は、複数の波数を持つ波となっており、受信直後から振幅が増大し、同図では4波目で振幅が最大となり、その後減衰する。さらにその後、振幅は増大と減衰を繰り返しながら消滅していく。図11(c)は、計時手段110のパルスを示したタイミングチャートである。計時手段110は例えば、水晶発振子のように時間精度のよい素子を用いて得られたパルスが用いられる。
【0014】
受信波形の検出について図12を用いて詳細に説明する。図12(a)は受信波形を示しており、受信の検出は、例えば受信波形の第2波と第3波のピーク値のおよそ中間になるような閾値(図では「LEVEL1」と記載)を設け、この閾値を超えた信号があることで、それを受信信号とみなす。閾値は例えば基準値(図では「REF1」と記載)と第1波の中間や、第2波と第3波の中間にもうけることも可能ではあるが、閾値が低いため基準値に重畳するノイズを受信波と誤判断する確立が増えることになるので好ましくない。
【0015】
閾値を超えた波形がくると受信波形と判断し、次にこの受信波形が基準値と交わるポイントP1を検出ポイントとする。送信信号から検出ポイントまでを計時手段110を用いて計測する。図では、計時手段110として水晶発振子で得られる時間精度の優れたパルス(図12(b))を用いている。実際の受信ポイントは同図で示される(PT)である
ので、(PT)から第3波(同図の(No.3)で示される)までの時間は固定値(TH)として扱い、検出ポイント(P1)までの時間からこの固定値を差し引いて超音波の伝播時間を求める。
【0016】
図11に戻って、シングアラウンドによる計測方法について説明する。図11(a)において、超音波センサA121へ1回目の送信信号(500kHzパルスの3波で、同図では「1st−S」と記載している)を与えると、図11(b)に示されるように、超音波の伝播時間T1後に超音波センサB22が受信する。受信波は同図で「1st−R」と記載している。受信波の第2波と第3波との中間に設定された閾値により受信を検出したすぐ後の基準値と交わる点(検出ポイント(P1))を検出する。
【0017】
検出ポイントから定められた既知の時間である遅延時間TD後に、再び2回目の送信信号(2nd−S)を超音波センサA121に与える。このような動作をn回繰り返す。これをシングアラウンドの回数がn回であると呼ぶ。1回目の送信からn回後の検出ポイント(Pn)までに含まれるパルス数Nをカウントする。パルスの1周期がT(秒)とし、また、実際の受信ポイントPTから第3波までの時間は固定値THとして扱うと、全体の計測時間は式(7)のようになる。
【0018】
・T=T+T・・・+T+n・TH+(n−1)・T (7)
従って、平均的な超音波の伝播時間TAVGは次式のようになる。
【0019】
AVG=(T+T・・・+T+n・TH)/n
=(N・T−n・TH−(n−1)・T)/n
=N・T/n−TH−(n−1)・T/n (8)
式(8)右辺第1項のT/nはパルスの周期がシングアラウンド回数nで割られているので、見かけのうえでは周期Tのパルスが周期T/nになり、時間分解能が細かくなっている。このように周期Tのパルスを使用して時間分解能をT/nにする計測手法がシングアラウンドである。
【0020】
超音波センサB122の受信波形は、流量によってその大きさが変化する。超音波センサB122の受信信号は複数の波数を持つ波となっており、受信直後から振幅が増大し、例えば4波目で振幅が最大となり、その後減衰する。さらにその後、振幅は増大と減衰を繰り返しながら消滅していくような形を有する。
【0021】
流路120内を伝播する超音波の一部は、流路120側壁に衝突して反射するので、超音波センサB122で受信される超音波はさまざまな位相の超音波の合成波となる。このためその位相関係が流速により変化するので、最大振幅は流速によって変化する。また、最大振幅となる波数も変化する。
【0022】
流路120に2つの超音波センサA121,超音波センサB122を設け、一方の超音波センサA121から送信した超音波をもう一方の超音波センサB122で受信し、超音波の伝播時間T1を求め、さらに、送信と受信の超音波センサ121,122を反対にして伝播時間T2を求め、T1およびT2の時間差から流量を求める方式においては、流速や温度により超音波センサA121で受信した場合の受信波の最大振幅と、超音波センサB122で受信した場合の受信波の最大振幅とは異なるものとなる。
【0023】
受信用の超音波センサからの信号がある電圧VAに達すると、それは受信波であると判断する場合、流量によって最大振幅の変化が生じると、固定された電圧VAでは受信の判断が困難になることがある。これについて図13を用いて説明する。図13(a―1),(a―2)は超音波センサA121から送信された超音波を超音波センサB122で受信
する場合のタイミングチャートで、図13(a―1)は、超音波センサA121に与えられる送信信号、図13(a―2)は超音波センサB122の受信信号である。
【0024】
電圧VAは受信を検知するために設けられた閾値で、電圧(VA)を超える3波目の受信電圧(同図では「3rd」と記載)を検知した後の受信信号と基準値(REF)の交わる点(PA)を受信点として、伝播時間T1を求める。図13(b―1),(b―2)は超音波センサB122から送信された超音波を超音波センサAで受信する場合のタイミングチャートで、図13(b―1)は、超音波センサB122に与えられる送信信号、図13(b―2)は超音波センサA121の受信信号である。
【0025】
図13(a―2)と図13(b―2)とを比べると、流速があるために伝播時間がことなり、かつ、最大振幅の大きさも異なっている。このため図13(b―2)では、電圧(VA)で検知される波数は4波目(図13では「4th」と記載)になっている。このようになると時間差|T1−T2|は、受信波形の一周期分の誤差を含むことになり、これは大きな誤差となる。
【0026】
そこで、超音波センサからの信号を増幅器で増幅する場合に、あらかじめ最大振幅がある範囲内に入るように増幅器の増幅度を調整する。増幅度が調整された後、伝播時間を求める計測を行う。しかしながら、増幅器からの出力信号の位相遅れ(時間遅れ)は、増幅度によって変化する。このため、流速により超音波センサA121で受信した場合の受信波の最大振幅と、超音波センサB122で受信した場合の受信波の最大振幅とが異なる場合、増幅器の増幅度はそれぞれ異なり、これにより位相遅れ(時間遅れ)が異なるようになる。この影響が伝播時間T1およびT2に影響し、流量計測値の誤差となる課題がある。
【特許文献1】特開平8−122117号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0027】
前述のように、超音波センサからの信号を増幅器で増幅する場合に、あらかじめ最大振幅がある範囲内に入るように増幅器の増幅度を調整することが必要で、この調整の際にも電力消費が当然なされるので無駄であるという課題がある。
【0028】
増幅器の増幅度を調整と、超音波の伝播時間を求める計測とは同時にできないので、超音波センサからの受信信号の状態が、増幅度が調整されたときの状態と、伝播時間を求める計測のときの状態とで必ず一致するとは限らないという課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0029】
前記従来の課題を解決するために、本発明の超音波流量計は、流体が通る流路と、前記流路内の流体に超音波を送信する送信側超音波センサと、前記流体内を伝播した超音波を受信する受信側超音波センサと、前記送信側超音波センサに信号を送信する送信手段と、前記受信側超音波センサから信号を受信する受信手段と、送信から受信までの時間を計る時間計測手段と、前記受信手段からの信号に伝播時間を計測するための受信点を設定する受信点設定手段と、前記受信手段からの信号の波数をカウントする波数カウント手段と、前記受信点設定手段で設定された受信点と前記受信手段からの信号の波数とを関係付ける判断手段とを備える。
【0030】
これにより、超音波センサの受信波形が、流量や温度によってその大きさが変化しても、増幅回路からの出力が一定になるように、増幅度を変更する必要がなくなるので、増幅回路の位相遅れを一定にすることができ、計測誤差を低減することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の超音波流量計は、受信信号の大きさが変化する場合でも、回路の増幅度を一定のままで扱うことができ、計測誤差が低減できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
第1の発明は、流体が通る流路と、前記流路内の流体に超音波を送信する送信側超音波センサと、前記流体内を伝播した超音波を受信する受信側超音波センサと、前記送信側超音波センサに信号を送信する送信手段と、前記受信側超音波センサから信号を受信する受信手段と、送信から受信までの時間を計る時間計測手段と、前記受信手段からの信号に伝播時間を計測するための受信点を設定する受信点設定手段と、前記受信手段からの信号の波数をカウントする波数カウント手段と、前記受信点設定手段で設定された受信点と前記受信手段からの信号の波数とを関係付ける判断手段とを備える。
【0033】
そして、受信点設定手段で設定された受信点と、受信手段からの信号の波数とを判断手段で関係付けるようにすることにより、受信点が正しい受信波によって得られたものか、外乱によって得られたものかを区別することができる。
【0034】
第2の発明は、受信波の最大振幅となるポイントを検知する最大振幅検知手段を備える。
【0035】
そして、最大振幅検知手段の情報を、判断手段Aで受信波数を求めるための情報の一つとする。これにより、複数の超音波センサの出力が異なり、一方の超音波センサの受信信号が小さくなり、波数の若い受信波の存在が不明確になった場合でも、流量計測に生じる誤差を少ないものに止めることができる。
【0036】
第3の発明は、受信点設定手段を、受信信号に重畳させる基準値Aと、前記基準値Aと受信信号とを比較する比較手段Aと、比較手段Aの信号出力間隔を計る時間計測手段と、前記時間計測手段の結果から比較手段Aの信号の正誤を判断する判断手段Bから構成する。
【0037】
これにより、回路の温度特性による基準値Aの変動があっても、その影響を低減することができ、また、受信以前の外乱による比較手段Aの信号を除去して正しい受信点設定を行うことができる。
【0038】
第4の発明は、受信検知手段を備え、受信点と受信波数との関係付けを、受信検知手段と受信点設定手段の情報で行うようにする。
【0039】
受信点設定手段は受信波の第1波目から動作するので、受信点と受信波数との関係付けに活用することができる。
【0040】
第5の発明は、受信検知手段を基準値Aとは異なるレベルに設定した基準値Bと、前記基準値Bと前記受信信号を比較する比較手段Bとから構成する。
【0041】
これにより、比較手段Bの外乱による動作が低減され、確実な受信の検知ができる。
【0042】
第6の発明は、受信手段からの信号に、伝播時間を計測するための受信点を設定する受信点設定手段を備え、前記受信点設定手段は、受信信号の正から負の変化、または負から正への変化のいずれでも受信点の設定を可能とし、また、どちらの変化で設定したかを判別できるようにする。
【0043】
これにより、受信点設定手段を構成する比較手段のオフセットの影響を低減できるように、計測に用いる受信点の選択ができる。
【0044】
第7の発明は、受信手段からの信号に、伝播時間を計測するための受信点を設定する受信点設定手段を備え、前記受信点設定手段は、受信点の数を偶数にするようにする。
【0045】
これにより、受信点設定手段を構成する比較器のオフセット変化の影響を低減でき、計測精度の向上が実現できる。
【0046】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、この実施の形態において本発明が限定されるものではない。
【0047】
(実施の形態1)
図1は本発明の実施の形態1における超音波流量計の構成を示すブロック図である。
【0048】
流体が導かれる流路1に、超音波センサA2と超音波センサB3とが、流体の流れを挟んで配置してある。2つの超音波センサ2,3は回路に、電気的に接続されている。回路は超音波センサ2,3に与える送信信号をつくる送信手段4と、超音波センサ2,3からの信号を受信する受信手段5を有する。受信手段5には増幅手段が含まれている。超音波センサA(送信側超音波センサ)2から発生された超音波は、超音波センサB(受信側超音波センサ)3で受信される。このとき、超音波の伝播に要した時間をT1とする。
【0049】
反対に、超音波センサB(送信側超音波センサ)3から発生された超音波を超音波センサA(受信側超音波センサ)2で受信する。このとき、超音波の伝播に要した時間をT2とする。T1とT2から流体の流量が計算される。従って、超音波センサA2と超音波センサB3とは、送受信の役割を順番に入れ替える必要がある。そこで、切り替え手段12で、超音波センサA2と超音波センサB3の接続を、それぞれ送信手段4と受信手段5とに振り分ける。
【0050】
受信手段5で受信された受信信号は、時間計測手段6で超音波の伝播時間T1、T2を求める処理がなされる。時間計測手段6は基準パルス7と、基準パルスよりも高速なパルス8と、カウンタ9とを有する。
【0051】
基準パルス7と、高速なパルス8と、受信信号とのタイミングの関係を図2に示す。図2(a)から(d)の横軸は時間を示し、すべて時間軸は同じである。また、縦軸は電圧を表すが、それぞれの図で、軸の大きさは異なる。
【0052】
図2(a)は基準パルスで、高精度が得られる水晶発振子を用いる。図2(b)は高速なパルスで、セラミック振動子などのように、短時間で安定な発振に至るが、精度は水晶発振子には劣るものが用いられる。図2(c)は送信手段4からの送信信号である。この信号は、基準パルス7と、調整可能なパルスのスタートに同期している。また、この信号の周波数は超音波センサ2,3の持つ共振周波数に近い周波数が選択される。図2(d)は超音波センサA2、または超音波センサB3からの信号を受信手段5で受信し、受信手段5から出力された信号で、これを受信信号と呼ぶ。
【0053】
受信信号の例えば、ポイントP1までの調整可能なパルスの数nをカウンタ9で数えることで、超音波の伝播時間を計測する。受信点P0が本来の超音波の到達点であるので、P1点の値に補正(超音波周波数を、送信信号周波数と等しいとして、送信信号の2.5周期分の値を引く)を加えて、P0点の値を求める。高速なパルス8の周期は、例えば、基準パルスの半周期(図では「T(1/2)」と記載している)の期間に高速なパルス8
がいくつ入るかを数えることで得られる。この数える期間ではセラミック振動子の動作は安定している。基準パルス7は高精度な水晶発振子を用いているので、その周期は既知である。
【0054】
このようにして、超音波センサA2から送信して、超音波センサB3で受信するまでの伝播時間T1を求め、次に超音波センサB3から送信して、超音波センサA2で受信するまでの伝播時間T2を求めて、両者から1つの流量値を得る。
【0055】
図3は超音波流量計の構成を示すブロック図で、図3は、受信手段5からの信号に、伝播時間を計測するための受信点(ポイント)を設定する受信点設定手段21と、波数をカウントする波数カウント手段22と、判断手段A(判断手段)23を備え、受信点設定手段21で設定された受信点と、受信手段5からの受信信号の波数とを判断手段A23で関係付けるようにしている。
【0056】
関係付けとは図4の受信信号に示すように、ポイント(受信点)P1は、3波目(図4ではNo.3と記載)の始め、P2は3波目の半周期目、P3は4波目(図4ではNo.4と記載)の始めと言った具合に関係付けることを意味する。関係付けは次のようにして行うことができる。
【0057】
図5に、超音波センサA2から送信し、超音波センサB3で受信した場合の受信信号15と、最大振幅検知手段24(ピークホールド回路)の出力波形16と、受信点設定手段21の出力波形17を示す。図5に示す受信信号15を最大振幅検知手段24(ピークホールド回路)でそのピークを求める。16の波形がピークホールド波形である。この波形から受信波形のどの波がピークであるかを判断する。
【0058】
図5の場合は、No.4がピークであると判断する。ただし、この波形が受信から4波目であることは、これだけでは判別できない。しかしながら、受信点設定手段21の出力は受信直後から出力されるので、受信点設定手段21の出力波形17と関係付ければ、受信からの波数が明らかになる。図5では出力波形17のハイの部分は、最大振幅になるときを含めて4つ(図5では「IV」と記載している)あるので、受信から4波目であることがわかる。
【0059】
17は受信点設定手段21の出力波形でポイントP1、P2・・に対応したタイミングでハイとローを繰り返すパルス出力である。このパルス出力は、ポイントP1、P3、P5、P7、P9に相当する部分は立ち上がりであり、ポイントP2、P4、P6、P8、に相当する部分は立ち下がりである。これらから例えば、P3は最大振幅の波で、かつ、立ち上がりに相当するポイント、P1は最大振幅よりも一つ前の波で、かつ、立ち上がりに相当するポイントといったように関係付けられる。
【0060】
図6は超音波センサB3から送信し、超音波センサA2で受信した場合の、受信信号18と、最大振幅検知手段24(ピークホールド回路)の出力波形19と、受信点設定手段21の出力波形20を示している。図5と比べて温度や流量の関係で、受信信号の振幅が全体に小さくなっている。このため、ピークホールド回路はNo.1’とNo.2’の波のピークを検知することができず、出力がない状態になっている。
【0061】
また、受信点設定手段21も受信点を設定することができずパルス出力がない状態である。ただし、P3’は最大振幅の波で、かつ、立ち上がりに相当するポイント、P1’は最大振幅よりも一つ前の波で、かつ、立ち上がりに相当するポイントといったように関係付けられる。そこで図5のときのデータをもとにして、最大振幅の波を4波目と決める。
【0062】
超音波センサA2から送信し、超音波センサB3で受信した場合と、超音波センサB3から送信し、超音波センサA2で受信した場合で、それぞれの受信信号の振幅は温度や流量の関係で変化し、異なったものになるが、最大振幅になる波数が変わることは極めて少ないので、このような決め方をしても実用上は問題とならない。従って、P1とP1’、P2とP2’、P3とP3’、・・・がそれぞれ対応するとして、超音波の伝播時間を求めることができる。
【0063】
図7は、受信点設定手段21を示した回路ブロック図である。受信信号には基準値A(第1基準値)25の直流電圧が重畳される。この直流電圧のレベルは、図5で示される一点破線25のレベルに相当する。また、基準値A25が重畳された受信信号は、基準値A25と比較手段A(第1比較手段)26で比較される。判断手段B(正誤判断手段)28は、比較手段A26の出力パルス波形(これは図5のパルス波形17に相当する)の周期がある範囲内であるかを判断し、この範囲外のものは、外乱とみなし計測から除外するようにする。ある範囲とは、超音波センサ2,3に与えられる送信信号の周期に、ある程度の余裕を持たせた値とする。
【0064】
さらに受信の検知を確固たるものにするために、基準値A25とは異なる値の基準値B(第2基準値)30を設け、これと受信信号とを比較手段B(第2比較手段)31で比較する。この基準値Bは、図5の2点破線32で示される。これは、受信信号の確認用であるので、受信信号の何波目で検知するかは重要ではない。比較手段A26は、受信信号に重畳させる直流電圧なので、受信信号がないときには、わずかな外乱で比較手段A26が動作する。このため、比較手段B31の出力で受信の確認を行い、その情報を判断手段B28に伝えて、時間計測時の参考とすることで、外乱の影響を除きやすくすることができる。
【0065】
比較手段A26は基準値A25と、それが重畳された受信信号とを比較するが、比較手段A26の内部では、温度などにより基準値A25のレベルよりもずれたレベルで、比較動作がなされることがある。これは、図5の一点破線25のレベルが上下にずれることと等価的である。仮に、一点破線25のレベルが上にずれると、送信からポイントP1間での時間は、わずかに長くなり、ポイントP2間での時間はわずかに短くなる。
【0066】
従って、一つの受信波形から複数のポイントで超音波の伝播時間を計測する場合は、ポイントの数を偶数にしておくことで、比較手段26で基準値A25のレベルよりもずれたレベルで比較動作が行われる場合があっても、送信から受信信号のポイントまでが、長くなる場合と、短くなる場合とが含まれるので、その影響がキャンセルされやすくなる。但し、ポイントの数が偶数であっても、ポイントP1とポイントP3に相当するデータであっては意味がないので、偶数の各データは隣り合ったものであるか、あるいは、図5で示されるパルス出力17の立ち上がりと、立ち下りに相当する各ポイントが等しい数だけ含まれるようにすればよい。
【産業上の利用可能性】
【0067】
以上のように、本発明にかかる超音波流量計は、超音波センサの受信波形の振幅変化がある場合でも適確な超音波の伝播時間計測が行え、かつ、必要な計測分解能を低消費電力で得ることができるので、広い流量領域にわたり正確な計測が要求される、天然ガスや液化石油ガスの流量を計測する業務用や家庭用の超音波式ガス流量計測装置(ガスメータ)の用途に展開できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の超音波流量計の構成を示すブロック図
【図2】本発明の超音波流量計の波形図
【図3】本発明の超音波流量計の構成を示すブロック図
【図4】超音波流量計の波形図
【図5】本発明の超音波流量計の波形図
【図6】本発明の超音波流量計の波形図
【図7】本発明の超音波流量計の構成を示す回路ブロック図
【図8】従来の超音波流量計の回路ブロック図
【図9】従来の超音波流量計の回路ブロック図
【図10】流路と超音波センサの構成を示す構成図
【図11】従来の超音波流量計の波形図
【図12】従来の超音波流量計の波形図
【図13】従来の超音波流量計の波形図
【符号の説明】
【0069】
1 流路
2 超音波センサA(送信側・受信側超音波センサ)
3 超音波センサB(受信側・送信側超音波センサ)
4 送信手段
5 受信手段
6 時間計時手段
7 基準パルス
8 高速なパルス
9 カウンタ
10 超音波流量計
11 超音波
13 発振器
14 スタート制御回路
21 受信点設定手段
22 波数カウント手段
23 判断手段A(判断手段)
24 最大波の波数検知手段
25 基準値A(第1基準値)
26 比較手段A(第1比較手段)
27 時間計測手段B
28 判断手段B(正誤判断手段)
29 基準値B(第2基準値)
30 比較手段B(第2比較手段)
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成19年1月30日(2007.1.30)
【代理人】 【識別番号】100097445
【弁理士】
【氏名又は名称】岩橋 文雄

【識別番号】100109667
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 浩樹

【識別番号】100109151
【弁理士】
【氏名又は名称】永野 大介


【公開番号】 特開2008−185441(P2008−185441A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−18889(P2007−18889)