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【発明の名称】 風速監視装置および風速監視装置の動作方法
【発明者】 【氏名】藤元 一之

【要約】 【課題】受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集すること。

【解決手段】風速監視装置は、風速値の移動平均を算出する平均値算出部と、基準値を算出する基準値算出部と、基準値以上の風速値を無効にするか否かを判定する判定部とを有している。例えば、平均値算出部は、風速計により順次測定される風速値を用いて、風速値の移動平均を順次算出する。そして、基準値算出部は、平均値算出部により移動平均が算出される毎に、1より大きい第1判定倍率を移動平均に乗算して基準値を算出する。また、判定部は、2回以上連続しない基準値以上の風速値を無効とする。これにより、受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
風速計により順次測定される風速値を用いて、風速値の移動平均を順次算出する平均値算出部と、
前記平均値算出部により前記移動平均が算出される毎に、1より大きい第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出する基準値算出部と、
2回以上連続しない前記基準値以上の風速値を無効とする判定部とを備えていることを特徴とする風速監視装置。
【請求項2】
請求項1記載の風速監視装置において、
前記基準値算出部は、前記移動平均が予め設定された閾値より小さい場合、前記第1判定倍率より大きい第2判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出し、前記移動平均が前記閾値以上の場合、前記第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出することを特徴とする風速監視装置。
【請求項3】
請求項1記載の風速監視装置において、
前記基準値算出部は、前記移動平均が予め設定された閾値より小さい場合、前記基準値を予め設定された値に固定し、前記移動平均が前記閾値以上の場合、前記第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出することを特徴とする風速監視装置。
【請求項4】
風速計により順次測定される風速値を用いて、風速値の移動平均を順次算出し、
前記移動平均が算出される毎に、1より大きい第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出し、
2回以上連続しない前記基準値以上の風速値を無効とすることを特徴とする風速監視装置の動作方法。
【請求項5】
請求項4記載の風速監視装置の動作方法において、
前記移動平均が予め設定された閾値より小さい場合、前記第1判定倍率より大きい第2判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出し、前記移動平均が前記閾値以上の場合、前記第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出することを特徴とする風速監視装置の動作方法。
【請求項6】
請求項4記載の風速監視装置の動作方法において、
前記移動平均が予め設定された閾値より小さい場合、前記基準値を予め設定された値に固定し、前記移動平均が前記閾値以上の場合、前記第1判定倍率を前記移動平均に乗算して基準値を算出することを特徴とする風速監視装置の動作方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、風速監視装置および風速監視装置の動作方法に関する。
【背景技術】
【0002】
風速監視装置は、鉄道等の交通機関の運行制御に用いられる。例えば、電車の速度制限あるいは運行停止は、風速監視装置から得る風速情報に基づいて実施される。風速監視装置は、風の影響による脱線事故、転倒事故を防止するために、正確な風速情報を収集することが重要になる。一般的に、風速計と、風速計で測定した風速値を風速監視装置に送信する送信装置と、風速監視装置とは、設置地点が離れていることが多い。例えば、風速計は、河川敷やトンネル出口付近等に設置され、風速監視装置は、各駅の機器室に設置される。正確な風速情報を収集するため、風速監視装置から離れた所に設置されている風速計の凍結等による異常を、風速監視装置が受信する風速値の無風時間および風向データの変化率に基づいて、検出する技術がある(例えば、特許文献1)。また、風向データおよび風速値の変化率に基づいて、風向風速計の故障および凍結を検出する故障判定装置および凍結判定装置が提案されている(例えば、特許文献2)。
【特許文献1】特開平11−72502号公報
【特許文献2】特開2006−189363号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
風速監視装置は、各装置間の距離が延びるほど、ノイズ等により誤った風速値を受信する可能性が高くなる。一般的に、フェールセーフの考え方により、警戒状態、徐行運転あるいは運転停止以上の風速を一度観測すると、安全確認後に運転を再開させるため、誤った風速値による運行制御は、円滑な運行を妨げる。例えば、風速計で測定された風速値より大きな値を示す誤った風速値で実施される運行制御は、電車の徐行運転あるいは運転停止等の誤った判断がされ、円滑な運行を妨げる。しかしながら、大きな値の風速値が、誤った風速値(無効な風速値)か否かを判定し、誤った風速値を除去する手法は、提案されていない。
【0004】
また、特許文献1および2の技術は、風向風速計の異常を検出する技術のため、特許文献1および2の技術を適用しても、大きな値の風速値が、誤った風速値か否かを判定することはできない。
本発明の目的は、受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
風速監視装置は、風速値の移動平均を算出する平均値算出部と、基準値を算出する基準値算出部と、基準値以上の風速値を無効にするか否かを判定する判定部とを有している。例えば、平均値算出部は、風速計により順次測定される風速値を用いて、風速値の移動平均を順次算出する。そして、基準値算出部は、平均値算出部により移動平均が算出される毎に、1より大きい第1判定倍率を移動平均に乗算して基準値を算出する。また、判定部は、2回以上連続しない基準値以上の風速値を無効とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明では、受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて説明する。
図1は、本発明の第1の実施形態の風速監視装置10を示している。風速監視装置10は、風速データ受信部20、平均値算出部30、基準値算出部40、判定部50、風速値集約部60および風速値記憶部70を有している。
風速データ受信部20は、例えば、河川敷やトンネル出口付近等に設置された風速計100により順次測定された風速値(風速データWD)を送信装置110を介して、定期的(例えば、250ms周期)に受信する。そして、風速データ受信部20は、平均値算出部30および判定部50に風速データWDを順次転送する。
【0008】
平均値算出部30は、風速データ受信部20から転送された風速データWDを順次記憶する記憶部32を有し、記憶部32に記憶されている風速データWDを用いて、風速値の移動平均を算出する。また、平均値算出部30は、風速データWDが有効か無効かを示す情報を判定部50から受信する。これにより、平均値算出部30が、誤った風速データWDを使用することを防止できる。なお、平均値算出部30は、有効な風速データWDのみを、記憶部32に記憶してもよい。記憶部32は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)で形成される。
【0009】
基準値算出部40は、第1判定倍率を、平均値算出部30により算出された移動平均に乗算し、基準値を算出する。ここで、第1判定倍率は、基準値を決める要素の1つであり、1より大きい値、例えば、3に設定される。また、基準値は、有効な風速データWDと無効な風速データWDとの境界を示す風速値の大きさである。基準値より小さい風速データWDは、有効な風速データとして処理され、基準値以上の風速データWDは、無効な風速データか否か判定される。基準値以上の風速データWDが無効な風速データか否かの判定処理は、後述する図2で説明する。
【0010】
判定部50は、基準値算出部40により算出された基準値を用いて、風速データ受信部20から転送された風速データWDが有効か無効かを判定する。そして、判定部50は、風速データWDが有効か無効かを示す情報を、平均値算出部30に送信する。また、判定部50は、有効な風速データWDのみを使用して、集約時間(例えば、2秒)毎に最大風速値を検出する。
【0011】
風速値集約部60は、集約時間毎に最大風速値を判定部50から取得し、取得した最大風速値をその時間の風速値として、風速値記憶部70に記憶する。なお、風速値集約部60は、最大風速値を判定部50から取得したときに、判定部50が保持している最大風速値をリセットする。風速値記憶部70は、例えば、DRAM(Dynamic RAM)やSRAM(Static RAM)で形成される。なお、風速値記憶部70と記憶部32を1つのメモリで形成し、記憶領域をそれぞれに分けてもよい。
【0012】
図2は、図1に示した風速監視装置10における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示している。ステップS110、S118、S120、S122、S124、S126、S128、S130は、判定部50により実行され、ハードウエアのみで実現されてもよく、ハードウエアをソフトウエアにより制御することにより実現されてもよい。ステップS112、S114、S116は、風速データ受信部20、平均値算出部30、基準値算出部40によりそれぞれ実行され、ハードウエアのみで実現されてもよく、ハードウエアをソフトウエアにより制御することにより実現されてもよい。
【0013】
先ず、ステップS110では、判定部50は、最大風速値Fmaxおよび連続フラグを0に初期化する。この処理は、風速監視装置10の始動時やリセット時等に実行される初期化処理である。ステップS110(初期化処理)の後の通常動作は、ステップS112−S130の処理を繰り返す。
ステップS112では、風速データ受信部20は、風速計100から送信装置110を介して受信した風速データWDを平均値算出部30および判定部50に転送する。なお、図1に示した風速データ受信部20は、風速データWDを定期的(例えば、250ms周期)に受信する。このため、風速監視装置10は、風速データWDを受信する毎に、ステップS112−S130のフローを実施する。
【0014】
ステップS114では、平均値算出部30は、風速データ受信部20から転送された風速データWDを、記憶部32に順次記憶する。そして、平均値算出部30は、ステップS112で受信した風速データWDの直前に受信したn個の有効な風速データWDを用いて風速値の移動平均Fave(Fave=n個のWDの和/n)を算出する。なお、平均値算出部30は、記憶部32に記憶されている有効な風速データWDの数がn個より少ない場合、記憶部32に記憶されている有効な風速データWDの数の範囲で、移動平均Faveを算出する。ここで、所定数nは、例えば、図1に示した風速計100を設置したときの試験運転等の実績により、予め決められる。また、所定数nは、実際の運用実績を反映して、風速監視装置10の稼働後に、最初に設定した数から変更されてもよい。
【0015】
ステップS116では、基準値算出部40は、1より大きい第1判定倍率N1を移動平均Faveに乗算し、基準値Fref(Fref=Fave・N1)を算出する。例えば、第1判定倍率N1が3に設定されている場合、基準値Frefは、移動平均Faveの3倍になる。なお、基準値算出部40は、風速監視装置10の始動時や移動平均Faveが算出されていないとき、例えば、記憶部32に有効な風速データWDが1つも記憶されていないとき、予め設定された初期値(例えば、10m/s)を基準値にする。
【0016】
ステップS118では、判定部50は、ステップS112で受信した風速データWDが、基準値Fref以上か否かを判定する。風速データWDが基準値Fref以上の場合、処理はステップS120に移り、風速データWDは、無効か否か判定される。一方、風速データWDが基準値Frefより小さい場合、処理はステップS124に移り、風速データWDは、有効な風速値として処理される。
【0017】
ステップS120では、判定部50は、連続フラグが示す値が0か否かを判定する。この処理は、基準値Fref以上の風速値(風速データWD)が連続して測定されたか否かを判定している。風速計100の測定間隔が短い(例えば、1秒以下)場合、突風等が発生したときに風速計100により測定される風速値は、風速計のプロペラの構造上、2回以上連続して基準値Fref以上になる。換言すれば、2回以上連続していない基準値Fref以上の風速データWDは、風速計100から風速監視装置10まで伝送される間に、ノイズ等により誤った風速値に変化したデータである。
【0018】
連続フラグが示す値が0の場合(2回以上連続していない場合)、処理はステップS122に移り、風速データWDは、無効な風速データとして処理される。この処理により、基準値Fref以上の誤った風速値を除去できる。この処理は、例えば、後述する図5に示す風速値mを受信したときの動作である。
一方、連続フラグが示す値が0でない場合(2回以上連続している場合)、処理はステップS124に移り、風速データWDは、有効な風速データとして処理される。この処理により、突風等で基準値Fref以上になった風速値を有効な風速値として処理できる。この処理は、例えば、後述する図5に示す風速値u、vを受信したときの動作である。
【0019】
ステップS122では、判定部50は、連続フラグを1にセットし、風速データWDを無効な風速データとして処理する。例えば、判定部50は、ステップS112で受信した風速データWDが無効であることを示す情報を、平均値算出部30に送信する。
ステップS124では、判定部50は、最大風速値と比較するデータFnを風速データWDに更新する。また、判定部50は、ステップS112で受信した風速データWDが有効であることを示す情報を、平均値算出部30に送信する。これにより、平均値算出部30は、風速データWDを有効な風速データとして、記憶部32に記憶する。また、ステップS126において、判定部50は、連続フラグを0にリセットする。
【0020】
ステップS128では、判定部50は、データFnが最大風速値Fmaxより大きいか否かを判定する。データFnが最大風速値Fmaxより大きい場合、ステップS130において、判定部50は、最大風速値FmaxをデータFnに更新する。そして、処理は、ステップS112に戻る。一方、データFnが最大風速値Fmax以下の場合、最大風速値Fmaxは更新されずに、処理は、ステップS112に戻る。上述のステップS112−S130の処理は、風速データWDを受信する毎に、繰り返し実施される。
【0021】
図3は、図1に示した風速監視装置10における風速値の集約動作の一例を示している。ステップS210、S212、S214、S216、S218、S220は、風速値集約部60により実行され、ハードウエアのみで実現されてもよく、ハードウエアをソフトウエアにより制御することにより実現されてもよい。風速値集約部60は、ステップS210−S216の処理により集約時間Tを計測し、ステップS218、S220の処理を集約時間T毎に繰り返し実施する。
【0022】
先ず、ステップS210では、風速値集約部60は、タイマTtmを0に初期化する。風速値集約部60は、ステップS212において、時間Tw待機し、ステップS214において、時間Twを加算してタイマTtmを更新する。ステップS216では、風速値集約部60は、タイマTtmが集約時間T以上か否かを判定する。タイマTtmが集約時間Tより短い場合、風速値集約部60は、ステップS212−S216の処理を繰り返し、タイマTtmが集約時間T以上になるまで待機する。一方、タイマTtmが集約時間T以上の場合、処理は、ステップS218に移る。
【0023】
ステップS218では、風速値集約部60は、判定部50から最大風速値Fmaxを取得し、取得した最大風速値Fmaxにタイムスタンプを付ける。そして、風速値集約部60は、タイムスタンプが付けられた最大風速値Fmaxを風速値記憶部70に記憶する。すなわち、風速値記憶部70に記憶された最大風速値Fmaxは、集約時間Tで刻まれた時間における確定した風速値である。
【0024】
ステップS220では、風速値集約部60は、判定部50が保持している最大風速値Fmaxをリセットする。この処理は、上述した図2に示したステップS112−S130の処理の途中に割り込んで実施される。判定部50は、風速値集約部60により最大風速値Fmaxが集約時間T毎にリセットされるため、図2に示したステップS112−S130の処理を繰り返すことにより、最大風速値Fmaxを集約時間T毎に検出する。
【0025】
図4は、本発明の比較例の最大風速値の更新動作を示している。ステップS310、S312、S324、S328、S330は、上述した図2に示したステップS110、S112、S124、S128、S130に対応している。この比較例では、風速データWDが有効か無効かの判定処理等(図2に示したステップS114−S122、S126)が実施されない。
【0026】
図中の各ステップは、図2に示した対応する各ステップと同じため、詳細な説明を省略する。なお、ステップS310では、連続フラグが存在しないため、最大風速値Fmaxのみ0に初期化される。そして、最大風速値Fmaxは、風速データWDを受信する毎に、ステップS312、S324、S328、S330の処理が繰り返し実施されることにより、更新される。なお、この比較例では、受信した風速データWDを全て有効な風速データとして処理しているため、2回以上連続していない基準値Fref以上の誤った風速値を最大風速値Fmaxとして検出する場合がある。例えば、後述する図5示す風速値mを受信したときに、誤った風速値mが最大風速値Fmaxとして検出される。
【0027】
図5は、図1に示した風速監視装置10が受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示している。図中のa−xは、図1に示した風速監視装置10が受信した風速値(風速データWD)を示している。また、図中のFaveが示す破線は、移動平均Faveを示し、Frefが示す実線は、基準値Frefを示している。なお、基準値Frefは、最初の風速値aを受信するまで、初期値INTに設定され、風速値aを受信した後、移動平均Faveに第1判定倍率N1を乗算した値に設定される。
【0028】
時刻T10、T20、T30、T40、T50は、集約時間Tで刻まれた時間を示している。時刻T10、T20、T40は、基準値Frefより小さい正常な風速値が入力された場合を示している。時刻T10、T20、T40の風速値は、風速値e、g、rにそれぞれ確定される。
時刻T30は、異常な風速値mが入力された場合を示している。この場合、風速監視装置10は、風速値mの前後の風速値l、nが基準値Frefより小さいため、上述した図2に示した処理により、基準値Fref以上の風速値mを、無効な風速値として除去できる。これにより、時刻T30の風速値は、風速値mを除いた最大風速値である風速値lに確定される。したがって、風速監視装置10は、受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集することができる。
【0029】
一方、図4に示した比較例では、異常な風速値mを除去できないため、時刻T30の風速値は、時刻T30の下の括弧内に示すように、風速値mに確定される。このため、比較例の風速監視装置を用いた運行制御では、誤った判断、例えば、電車の徐行運転あるいは運転停止の判断がされ、円滑な運行を妨げる。
時刻T50は、突風により基準値以上の風速値u、vが入力された場合を示している。この場合、風速監視装置10は、風速値u、vと2回以上連続して基準値Fref以上の風速値を受信しているため、上述した図2に示した処理により、基準値Fref以上の風速値vを、有効な風速値として処理できる。これにより、時刻T50の風速値は、風速値vを含めた最大風速値である風速値vに確定される。したがって、風速監視装置10は、突風により基準値Fref以上になった風速値vを有効な風速値として処理でき、正確な風速情報を収集することができる。この結果、風速監視装置10を用いた運行制御では、円滑で安全な運行が実施される。
【0030】
以上、第1の実施形態では、基準値以上の風速値が2回以上連続していないとき、その風速値を誤った風速値として処理できる。したがって、受信した風速値から誤った風速値を除去し、正確な風速情報を収集することができる。
図6は、本発明の第2の実施形態の風速監視装置10Aを示している。第1の実施形態で説明した要素と同一の要素については、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の風速監視装置10Aは、第1の実施形態の基準値算出部40の代わりに基準値算出部40Aを有している。その他の構成は、第1の実施形態と同じである。
【0031】
基準値算出部40Aは、平均値算出部30により算出された移動平均が予め設定された閾値以上の場合、第1の実施形態の基準値算出部40と同様に、1より大きい第1判定倍率を移動平均に乗算して基準値を算出する。また、基準値算出部40Aは、移動平均が閾値に比べて小さい場合、第1判定倍率より大きい第2判定倍率を移動平均に乗算して基準値を算出する。
【0032】
例えば、無風状態から弱風状態等の範囲で変化している場合、そのときの風速値の移動平均が小さいため、移動平均に乗算する判定倍率を大きくすることにより、基準値が小さくなることを防止できる。この結果、基準値算出部40Aは、風速値が小さい場合でも、実用的な基準値を算出することができる。
図7は、図6に示した風速監視装置10Aにおける風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示している。上述した図2で説明したステップと同一のステップについては、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。図7の動作は、上述した図2の動作にステップS115の移動平均Faveと閾値THとの比較処理およびステップS117の基準値Fref算出処理が追加されて実行される。その他の動作は、図2の動作と同じため、詳細な説明を省略する。
【0033】
ステップS115、S116、S117は、基準値算出部40Aにより実行され、ハードウエアのみで実現されてもよく、ハードウエアをソフトウエアにより制御することにより実現されてもよい。風速監視装置10Aは、ステップS110(初期化処理)の実施後、風速データWDを受信する毎に、ステップS112−S130のフローを実施する。
ステップS115では、基準値算出部40Aは、平均値算出部30によりステップS114で算出された風速値の移動平均Faveが、予め設定された閾値TH以上か否かを判定する。移動平均Faveが閾値TH以上の場合、ステップS116において、基準値算出部40Aは、1より大きい第1判定倍率N1を移動平均Faveに乗算し、基準値Fref(Fref=Fave・N1)を算出する。
【0034】
一方、移動平均Faveが閾値THより小さい場合、ステップS117において、基準値算出部40Aは、第1判定倍率N1より大きい第2判定倍率N2を移動平均Faveに乗算し、基準値Fref(Fref=Fave・N2)を算出する。
例えば、第1および第2判定倍率(N1およびN2)が、それぞれ3および6に予め設定されている場合、上述のステップS115、S116、S117の処理により、基準値Frefは、以下に示す値になる。基準値Frefは、移動平均Faveが閾値TH以上の場合、移動平均Faveの3倍になり、移動平均Faveが閾値THより小さい場合、移動平均Faveの6倍になる。なお、基準値算出部40Aは、移動平均Faveが算出されていない場合、第1の実施形態の処理と同様に、予め設定された初期値(例えば、10m/s)を基準値Frefにする。
【0035】
図8は、図6に示した風速監視装置10Aが受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示している。上述した図5と同じ動作については、詳細な説明を省略する。この実施形態は、基準値Fref算出方法が第1の実施形態と異なる。その他の動作は、第1の実施形態(図5)と同じである。
図中の例では、風速監視装置10Aは、250ミリ秒毎に、風速値(図6に示した風速データWD)を受信する。そして、風速監視装置10Aは、2秒の集約時間T内の最大風速値を、その時刻の風速値に確定する。また、基準値の算出方法を選択するための移動平均の閾値THは3m/sに予め設定されている。なお、第1および第2判定倍率(N1およびN2)は、それぞれ3および6に予め設定されている。
【0036】
時刻T60は、風速値が小さい範囲で変化している場合を示している。この場合、移動平均Fave(約2m/s)は、閾値TH(3m/s)より小さくなる。このため、風速監視装置10Aは、第1判定倍率N1(=3)より大きい第2判定倍率N2(=6)を移動平均Faveに乗算し、基準値Fref(Fref=Fave・N2、約12m/s)を算出する。
【0037】
すなわち、風速監視装置10Aは、風速値が小さい場合、基準値が小さくなることを防止でき、実用的な基準値を算出することができる。これにより、例えば、第1判定倍率N1を移動平均Faveに乗算した基準値以上の風速値f(約6m/s)が1回のみ発生した場合に、無効な風速値と判定されることを防止できる。したがって、時刻T60の風速値は、風速値fを含めた最大風速値である風速値f(約6m/s)に確定される。この結果、風速監視装置10Aは、風速値が小さい場合でも、正確な風速情報を収集できる。
【0038】
時刻T70は、移動平均Faveが閾値TH以上の場合を示している。図中の例では、風速値jを受信したときに、移動平均Fave(例えば、風速値b−iの加算/8)が閾値TH(3m/s)以上になる。このため、風速値jを受信したとき、風速監視装置10Aは、第1判定倍率N1(=3)を移動平均Faveに乗算し、基準値Fref(Fref=Fave・N1)を算出する。なお、風速値iを受信したときは、第2判定倍率N2(=6)を移動平均Faveに乗算した基準値Fref(Fref=Fave・N2)が算出される。
【0039】
基準値Fref以上の風速値oの処理は、図5で示した時刻T30の風速値mと同じである。すなわち、風速監視装置10Aは、2回以上連続していない基準値Fref以上の風速値o(約34m/s)を、無効な風速値として除去できる。したがって、風速監視装置10Aは、時刻T70の風速値を、風速値oを除いた最大風速値である風速値m(約11m/s)に確定できる。これにより、風速監視装置10Aを用いた運行制御では、円滑な運行が実施される。例えば、風速20m/s以上のときは警戒状態、風速25m/s以上のときは徐行運転、風速30m/s以上のときは運行停止にする運行制御の場合、時刻T70では、列車の運行停止が誤って実施されることなく、円滑な運行が実施される。
【0040】
時刻T80は、図5で示した時刻T50に相当する。すなわち、風速監視装置10Aは、風速値u、vと2回以上連続して基準値Fref以上の風速値を受信しているため、風速値vを、有効な風速値として処理できる。これにより、時刻T80の風速値は、風速値vを含めた最大風速値である風速値v(約34m/s)に確定される。例えば、上述の運行制御の場合、時刻T80では、列車の運行停止が実施され、安全な運行が実施される。
【0041】
以上、第2の実施形態においても、上述した第1の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、閾値THと風速値の移動平均Faveとを比較することにより、適切な判定倍率を選択でき、風速値が小さい場合でも、正確な風速情報を収集できる。
図9は、本発明の第3の実施形態における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示している。上述した図7で説明したステップと同一のステップについては、同一の符号を付し、これ等については、詳細な説明を省略する。この実施形態の風速監視装置の全体構成は、図6に示した基準値算出部40Aを除き、第2の実施形態と同じである。なお、この実施形態の基準値算出部は、上述した図7のステップS117の基準値Fref算出処理の代わりに、ステップS117Aの基準値Fref設定処理を実施する以外は、第2の実施形態の基準値算出部40Aと同じである。その他の動作は、図7の動作と同じため、詳細な説明を省略する。
【0042】
ステップS117Aは、基準値算出部により実行され、ハードウエアのみで実現されてもよく、ハードウエアをソフトウエアにより制御することにより実現されてもよい。風速監視装置は、ステップS110(初期化処理)の実施後、風速データWDを受信する毎に、ステップS112−S130のフローを実施する。
ステップS114で算出された風速値の移動平均Faveが閾値THより小さい場合、ステップS117Aにおいて、基準値算出部は、基準値Frefを予め設定された固定値INT2に設定する。
【0043】
例えば、第1判定倍率N1は3に予め設定され、固定値INT2は12m/sに予め設定されている場合、ステップS115、S116、S117Aの処理により、基準値Frefは、以下に示す値になる。基準値Frefは、移動平均Faveが閾値TH以上の場合、移動平均Faveの3倍になり、移動平均Faveが閾値THより小さい場合、12m/sに固定される。なお、基準値算出部は、移動平均Faveが算出されていない場合、第2の実施形態の処理と同様に、予め設定された初期値(例えば、10m/s)を基準値Frefにする。さらに、固定値INT2と初期値とを同じ値(例えば、12m/s)にしてもよい。この場合、移動平均Faveが算出されていないときの処理を、移動平均Faveが閾値THより小さいときの処理と同じにできるため、基準値Frefの算出処理を、簡易な制御で実行できる。
【0044】
図10は、本発明の第3の実施形態の風速監視装置が受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示している。上述した図8と同じ動作については、詳細な説明を省略する。この実施形態は、基準値Fref算出方法が第2の実施形態と異なる。その他の動作は、第2の実施形態(図8)と同じである。また、図中の例では、風速値受信間隔、集約時間T、閾値THおよび第1判定倍率N1は、第2の実施形態(図8)と同じである。また、固定値INT2は、12m/sに予め設定されている。
【0045】
時刻T60では、移動平均Fave(約2m/s)が、閾値TH(3m/s)より小さいため、風速監視装置は、基準値Frefを固定値INT2(=12m/s)に設定する。これにより、風速監視装置は、風速値が小さい場合、基準値が小さくなることを防止でき、実用的な基準値を算出することができる。
以上、第3の実施形態においても、上述した第2の実施形態と同様の効果を得ることができる。さらに、風速値が閾値THより小さい場合、移動平均Faveに拘わらず、基準値Frefを固定値INT2に設定できるため、基準値Fref算出処理を簡易にできる。また、固定値INT2と初期値とを同じ値に設定した場合、移動平均Faveが算出されていないときの処理を、移動平均Faveが閾値THより小さいときの処理と同じにできるため、基準値Frefの算出処理を、さらに簡易な制御で実行できる。
【0046】
なお、上述した実施形態では、1つの風速計100により測定された風速値を処理する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図11に示すように、風速監視装置10は、複数の風速計100により測定された複数の風速データWDをそれぞれ受信し、上述した図2および図3に示した処理を風速計100毎に実施してもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0047】
上述した実施形態では、図2、図7および図9の動作フローにおいて、データ更新(ステップS124)後に連続フラグを0にリセット(ステップS126)する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、図12に示すように、風速データWDが基準値Frefより小さいときのみ、データ更新(ステップS124)前に連続フラグを0にリセット(ステップS123)してもよい。図12に示した動作フローは、上述した図2に示した動作フローと、連続フラグを0にリセットするタイミングが異なる。その他の動作は、図2に示した動作と同じである。
【0048】
風速監視装置の判定部は、風速データWDが基準値Frefより小さいときのみ(ステップS118のNo)、ステップS123において、連続フラグを0にリセットする。これにより、2回以上連続して基準値Fref以上の風速データWDを受信している間、連続フラグは、常に1に維持される。この結果、風速監視装置は、2回以上連続して基準値Fref以上の風速データWDを受信した場合、最初に受信した基準値Fref以上の風速データWDのみを無効な風速データとして処理できる。なお、風速監視装置は、ステップS124において、最初に受信した基準値Fref以上の風速データWDも有効な風速データとして更新してもよい。この場合にも、上述した実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0049】
上述した第2および第3の実施形態では、図7および図9の動作フローにおいて、1つの閾値に基づいて、2つの基準値算出方法から1つを選択する例について述べた。本発明は、かかる実施形態に限定されるものではない。例えば、基準値算出部は、複数の閾値を用いて、3つ以上の基準値算出方法から1つを選択してもよい。この場合にも、上述した第2および第3の実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0050】
以上、本発明について詳細に説明してきたが、上記の実施形態およびその変形例は発明の一例に過ぎず、本発明はこれに限定されるものではない。本発明を逸脱しない範囲で変形可能であることは明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、風速監視装置および風速監視装置の動作方法に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の第1の実施形態を示すブロック図である。
【図2】図1に示した風速監視装置における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示すフロー図である。
【図3】図1に示した風速監視装置における風速値の集約動作の一例を示すフロー図である。
【図4】本発明の最大風速値の更新動作の比較例を示すフロー図である。
【図5】図1に示した風速監視装置が受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示す説明図である。
【図6】本発明の第2の実施形態を示すブロック図である。
【図7】図6に示した風速監視装置における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示すフロー図である。
【図8】図6に示した風速監視装置が受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示す説明図である。
【図9】本発明の第3の実施形態における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の一例を示すフロー図である。
【図10】第3の実施形態の風速監視装置が受信した風速値と集約時間における確定した風速値との関係の一例を示す説明図である。
【図11】第1の実施形態の変形例を示すブロック図である。
【図12】図1に示した風速監視装置における風速データの無効か否かの判定動作を含む最大風速値の更新動作の別の例を示すフロー図である。
【符号の説明】
【0053】
10、10A‥風速監視装置;20‥風速データ受信部;30‥平均値算出部;32、70‥記憶部;40、40A‥基準値算出部;50‥判定部;60‥風速値集約部;100‥風速計;110‥送信装置;Fave‥風速値の移動平均;Fmax‥最大風速値;Fn‥有効な最新風速値;Fref‥基準値;INT‥基準値の初期値;INT2‥基準値の固定値;N1‥第1判定倍率;N2‥第2判定倍率;T‥集約時間;TH‥閾値;WD‥風速データ

【出願人】 【識別番号】000237662
【氏名又は名称】富士通アクセス株式会社
【出願日】 平成19年1月29日(2007.1.29)
【代理人】 【識別番号】100072718
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 史旺

【識別番号】100116001
【弁理士】
【氏名又は名称】森 俊秀


【公開番号】 特開2008−185411(P2008−185411A)
【公開日】 平成20年8月14日(2008.8.14)
【出願番号】 特願2007−18118(P2007−18118)