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【発明の名称】 エアフローメータ
【発明者】 【氏名】伴 隆央

【要約】 【課題】金属製の放熱板5により放熱を促進して制御用IC3を保護するエアフローメータ1において、放熱板5が受信する外部ノイズおよび放熱板5の帯電による内部ノイズの両方のノイズが制御用IC3に悪影響を与えるのを阻止することにある。

【解決手段】エアフローメータ1は、回路基板4の他端側に配され、制御用IC3から熱を奪い放熱する導電性の放熱板5と、制御用IC3と放熱板5との間に配されて接地される導電性のシールド部6とを備える。これにより、放熱板5による外部ノイズの受信を阻止するため、放熱板5を電気的にフロート状態にし、結果的に放熱板5の静電気を逃すことができない構成になっても、放熱板5の帯電による内部ノイズは、シールド部6により遮蔽され制御用IC3に作用しなくなる。このため、外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズが制御用IC3に悪影響を与えるのを阻止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気流量の検出素子と電気的に接続する制御用ICと、
この制御用ICを一端面に搭載する回路基板と、
この回路基板の他端側に配され、前記制御用ICから熱を奪い放熱する導電性の放熱板と、
前記制御用ICと前記放熱板との間に配されて接地される導電性のシールド部とを備えるエアフローメータ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアフローメータにおいて、
前記シールド部は、少なくとも前記制御用ICの前記放熱板への垂直な投影を遮ることができる広さを有することを特徴とするエアフローメータ。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載のエアフローメータにおいて、
前記回路基板は、一端面に接地回路部が形成され、
前記シールド部は、前記回路基板の他端面に形成されて前記回路基板と一体化され、前記回路基板を貫通するように形成される導電部により前記接地回路部と導通していることを特徴とするエアフローメータ。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか1つに記載のエアフローメータにおいて、
前記放熱板は、平面視の形状が異形であることを特徴とするエアフローメータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、空気流量を検出するエアフローメータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、エアフローメータは、例えば、エンジンに吸入される空気の流量を検出するために用いられ、エアフローメータによる検出信号は、燃料噴射制御等の各種の制御に利用されている。
【0003】
ところで、従来のエアフローメータ100は、図4に示すように、回路基板101の他端面に金属製の放熱板102を接着し、トランジスタ等の作動により生じる発熱から制御用IC103を保護するように構成されている。また、放熱板102は、空気流路104を形成する流路形成部材105に対するエアフローメータ100の取り付け部としての機能も兼ねている。そして、放熱板102は、ボンディングワイヤ106により接地回路部107に接続され、さらに接地回路部107と接地用のコネクタ端子108とがボンディングワイヤ109で接続されることで接地されている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、特許文献1のエアフローメータ100によれば、放熱板102が他の電気機器等からのノイズ(外部ノイズと呼ぶ)を受信すると、受信された外部ノイズは、容易に制御用IC103に侵入することができる。このため、近年のEMCに対する要求の高まりに対応できるものではない。また、放熱板102に誤って高電圧が印加されると、ボンディングワイヤ109が溶断する虞もある。
【0005】
そこで、図5に示すように、接地回路部107と放熱板102とを接続せず、放熱板102を電気的にフロート状態にしたエアフローメータ100が考えられている(例えば、特許文献2参照)。
しかし、特許文献2のエアフローメータ100によれば、外部ノイズの制御用IC103への侵入を阻止できるものの、放熱板102に溜まった静電気を逃すことができず、放熱板102の帯電によるノイズ(内部ノイズと呼ぶ)が制御用IC103に作用する虞がある。
【特許文献1】特開平11−118557号公報
【特許文献2】特開2006−184145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものであり、その目的は、金属製の放熱板により放熱を促進して制御用ICを保護するエアフローメータにおいて、外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズが制御用ICに悪影響を与えるのを阻止することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
〔請求項1の手段〕
請求項1に記載のエアフローメータは、空気流量の検出素子と電気的に接続する制御用ICと、制御用ICを一端面に搭載する回路基板と、回路基板の他端側に配され、制御用ICから熱を奪い放熱する導電性の放熱板と、制御用ICと放熱板との間に配されて接地される導電性のシールド部とを備える。
これにより、放熱板による外部ノイズの受信を阻止するため、放熱板を電気的にフロート状態にし、結果的に放熱板の静電気を逃すことができない構成になっても、放熱板の帯電による内部ノイズは、シールド部により遮蔽され制御用ICに作用しなくなる。このため、外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズが制御用ICに悪影響を与えるのを阻止することができる。
【0008】
〔請求項2の手段〕
請求項2に記載のエアフローメータによれば、シールド部は、少なくとも制御用ICの放熱板への垂直な投影を遮ることができる広さを有する。
これにより、放熱板からの内部ノイズが制御用ICに作用するのを確実に阻止することができる。
【0009】
〔請求項3の手段〕
請求項3に記載のエアフローメータによれば、回路基板は、一端面に接地回路部が形成され、シールド部は、回路基板の他端面に形成されて回路基板と一体化され、回路基板を貫通するように形成される導電部により接地回路部と導通している。
この手段は、シールド部を接地する一形態を示すものである。
【0010】
〔請求項4の手段〕
請求項4に記載のエアフローメータによれば、放熱板は、平面視の形状が異形である。
放熱板は、取付け端子を形成したり、コネクタ端子をインサートモールドしたりするために、平面視の形状が異形に設けられている。このため、放熱板は、アンテナ効果により、さらに外部ノイズを受信しやすくなる。よって、このような異形の放熱板を備えるエアフローメータに、請求項1ないし請求項3に記載の構造を採用すれば、極めて効果的に外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズから制御用ICを保護することができる。
なお、「異形」とは、規則的な矩形(正方形や、縦横の比が1に近い長方形)に対立する意味であり、各辺から突出する部分が設けられていたり、矩形の一部が欠けていたり、縦横の比が1から大きくずれていたりする形状を意味するものとする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
最良の形態のエアフローメータは、空気流量の検出素子と電気的に接続する制御用ICと、制御用ICを一端面に搭載する回路基板と、回路基板の他端側に配され、制御用ICから熱を奪い放熱する導電性の放熱板と、制御用ICと放熱板との間に配されて接地される導電性のシールド部とを備える。
【0012】
また、シールド部は、少なくとも制御用ICの放熱板への垂直な投影を遮ることができる広さを有する。
また、回路基板は、一端面に接地回路部が形成され、シールド部は、回路基板の他端面に形成されて回路基板と一体化され、回路基板を貫通するように形成される導電部により接地回路部と導通している。
さらに、放熱板は、平面視の形状が異形である。
【実施例1】
【0013】
〔実施例1の構成〕
実施例1のエアフローメータ1の構成を、図1を用いて説明する。
エアフローメータ1は、例えば、エンジン(図示せず)に吸入される空気の流量を検出するために用いられ、エアフローメータ1による検出信号は、燃料噴射制御等の各種の制御に利用されている。
【0014】
エアフローメータ1は、図1に示すように、空気流量の検出素子2と電気的に接続する制御用IC3と、制御用IC3を搭載する回路基板4と、制御用IC3から熱を奪い放熱する導電性の放熱板5と、制御用IC3と放熱板5との間に配されて接地される導電性のシールド部6とを備える。
【0015】
ここで、制御用IC3は、結線用のハンダ9により回路基板4の一端面に接続されて搭載され、回路基板4の他端面は、接着剤10により放熱板5の一端面に接着されている。これにより、トランジスタ等の作動により生じる熱が放熱板5を介して除かれ、制御用IC3が保護される。また、放熱板5は、空気流路11を形成する樹脂製の流路形成部材12に対するエアフローメータ1全体の取り付け部としての機能も兼ねている。
【0016】
そして、制御用IC3や回路基板4は、樹脂製の部材により形成される回路室14に収容されている。なお、回路基板4の一端面には接地回路部15が形成され、接地回路部15は、ボンディングワイヤ16により接地用のコネクタ端子17に接続している。
【0017】
シールド部6は、回路基板4の他端面の全面を覆うように薄膜状の金属(例えば、銅)により形成されて回路基板4と一体化され、回路基板4を貫通するように形成される導電部19により接地回路部15と導通している。このため、シールド部6は、導電部19、接地回路部15、ボンディングワイヤ16およびコネクタ端子17を介して接地される。そして、シールド部6に接着剤10が塗布されて、回路基板4と放熱板5とが接着されている。
【0018】
なお、放熱板5は、コネクタ端子17やセンサターミナル22をインサートモールドするために、図2に示すように平面視の形状が異形に設けられている。つまり、放熱板5は、縦横の比が1から大きくずれている矩形部23の図示左辺の上部から左側に取付け端子としての第1の突出部24が設けられ、さらに、矩形部23の図示右下角から右下側に取付け端子としての第2の突出部25が設けられて、異形を呈している。このため、放熱板5は、アンテナ効果により外部ノイズを受信しやすい。
【0019】
〔実施例1の効果〕
実施例1のエアフローメータ1は、空気流量の検出素子2と電気的に接続する制御用IC3と、制御用IC3を一端面に搭載する回路基板4と、回路基板4の他端側に配され、制御用IC3から熱を奪い放熱する導電性の放熱板5と、制御用IC3と放熱板5との間に配されて接地される導電性のシールド部6とを備える。
これにより、放熱板5による外部ノイズの受信を阻止するため、放熱板5を電気的にフロート状態にし、結果的に放熱板5の静電気を逃すことができない構成になっても、放熱板5の帯電による内部ノイズは、シールド部6により遮蔽され制御用IC3に作用しなくなる。このため、外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズが制御用IC3に悪影響を与えるのを阻止することができる。
【0020】
また、放熱板5は、平面視の形状が異形に設けられ、外部ノイズを受信しやすい形態をなしている。
よって、このような異形の放熱板5を備えるエアフローメータ1に、上記のような構造を採用すれば、極めて効果的に外部ノイズおよび内部ノイズの両方のノイズから制御用IC3を保護することができる。
【0021】
〔変形例〕
実施例1のエアフローメータ1によれば、シールド部6は回路基板4の他端面に回路基板4と一体的に形成され、シールド部6の接地は、回路基板4に導電部19を形成し、導電部19を介することで行われたが、このような形態に限定されない。例えば、図3に示すように、シールド部6を導電性の板材20とし、板材20の両端面に接着剤を塗布して一端面に回路基板4を接着し他端面に放熱板5を接着し、板材20と接地回路部15とをボンディングワイヤ21により接続すれば、シールド部6(板材20)の接地は、ボンディングワイヤ21、接地回路部15、ボンディングワイヤ16およびコネクタ端子17を介して行われる。
【0022】
また、実施例1のエアフローメータ1によれば、シールド部6は、回路基板4の他端面の全面を覆うように形成されているが、シールド部6を、少なくとも制御用IC3の放熱板5への垂直な投影を遮ることができる広さに形成すれば、内部ノイズを遮蔽する効果を確実に得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】エアフローメータの構成を示す説明図である(実施例1)。
【図2】放熱板の平面図である(実施例1)。
【図3】エアフローメータの構成を示す説明図である(変形例)。
【図4】エアフローメータの構成を示す説明図である(従来例)。
【図5】エアフローメータの構成を示す説明図である(従来例)。
【符号の説明】
【0024】
1 エアフローメータ
2 検出素子
3 制御用IC
4 回路基板
5 放熱板
6 シールド部
15 接地回路部
19 導電部
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】 【識別番号】100080045
【弁理士】
【氏名又は名称】石黒 健二


【公開番号】 特開2008−175745(P2008−175745A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−10714(P2007−10714)