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【発明の名称】 流量計測方法、流量計測システム、および流量計測プログラム
【発明者】 【氏名】岩田 数典

【氏名】河内 友一

【要約】 【課題】所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測を実施可能とする。

【解決手段】数値解析処理を行って水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定する解析工程と、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を流量毎に特定し所定線上の線平均流速値を流量毎に算定する線平均算定工程と、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を特定する対応特定工程と、水圧鉄管に超音波流量計を設置して水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する実測工程と、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係のうち超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線についての対応関係に超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し該当する流量を超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する流量特定工程とを実行する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水力発電所における水圧鉄管内の流量の計測方法であって、
水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定する解析工程と、
前記算定した流量毎の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定する線平均算定工程と、
前記算定した流量毎の線平均流速値に基づき、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を特定する対応特定工程と、
前記水圧鉄管に超音波流量計を設置して、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する実測工程と、
前記流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係のうち、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線についての対応関係に、当該超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する流量特定工程と、
からなることを特徴とする流量計測方法。
【請求項2】
前記解析工程において、
前記水圧鉄管の位置と水圧鉄管内の流量とをそれぞれ複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の各位置における断面流速分布データを流量毎に算定し、
前記線平均算定工程において、
前記算定した各位置における流量毎の断面流速分布データのうち、流速分布の偏心最小となる位置についての断面流速分布データを選び出し、この流速分布の偏心最小位置の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定し、
前記対応特定工程において、
前記算定した流量毎の線平均流速値に基づき、前記流速分布の偏心最小位置における流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を特定し、
前記実測工程において、
前記水圧鉄管のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計を設置して、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する、
ことを特徴とする請求項1に記載の流量計測方法。
【請求項3】
前記実測工程において、
前記水圧鉄管のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計を設置すると共に、前記水圧鉄管断面を横断する所定線の方向で線平均流速値を測定するよう、前記水圧鉄管における超音波流量計の設置方向を定め、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定し、
前記流量特定工程において、
前記流速分布の偏心最小位置における前記所定線上の、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係に、前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する、
ことを特徴とする請求項2に記載の流量計測方法。
【請求項4】
前記解析工程において、
前記数値解析の処理対象データとして、前記水圧鉄管の属性データに加えて、前記水圧鉄管に接続される開水路または曲がり管の属性データを用いることで、前記開水路または曲がり管による影響を含めた、前記水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定する、
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の流量計測方法。
【請求項5】
水力発電所における水圧鉄管内の流量計測を行うシステムであって、
演算装置と、メモリと、入力装置と、出力装置と、水路における流速分布の数値解析プログラムと水圧鉄管の属性データとを格納する記憶装置とを備え、
前記演算装置が、
前記記憶装置より水圧鉄管の属性データを読み出してメモリに格納し、
前記記憶装置より前記数値解析プログラムをメモリに読み出して、前記メモリ内の前記水圧鉄管の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定してメモリに格納し、
前記メモリより、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してメモリに格納し、
前記メモリより、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブルを生成し、メモリに格納し、
前記水圧鉄管に設置された超音波流量計における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計の線平均流速測定方向とを入力装置より取得してメモリに格納し、
前記メモリより前記テーブルを読み出して、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブルに前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置に出力する、
ことを特徴とする流量計測システム。
【請求項6】
演算装置と、メモリと、入力装置と、出力装置と、水路における流速分布の数値解析プログラムと水圧鉄管の属性データとを格納する記憶装置とを備え、水力発電所における水圧鉄管内の流量計測を行うコンピュータに、
前記記憶装置より水圧鉄管の属性データを読み出してメモリに格納するステップと、
前記記憶装置より前記数値解析プログラムをメモリに読み出して、前記メモリ内の前記水圧鉄管の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定してメモリに格納するステップと、
前記メモリより、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してメモリに格納するステップと、
前記メモリより、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブルを生成し、メモリに格納するステップと、
前記水圧鉄管に設置された超音波流量計における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計の線平均流速測定方向とを入力装置より取得してメモリに格納するステップと、
前記メモリより前記テーブルを読み出して、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブルに前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置に出力するステップと、
を実行させる流量計測プログラム。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流量計測方法、流量計測装置、および流量計測プログラムに関するものであり、具体的には、水力発電所の水圧鉄管における高精度な流量計測技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、配管内の流速を計測する技術が提案されている。例えば、配管への取り付け位置によらず精度良く流量を検出できる流量検出装置を提供することを課題とした、配管内の流れを計測するために取り付けられた複数の計測プローブの指示値に流量補正係数を乗じて流量を算出する流量計測装置において、上流側配管体系を数値モデル化し流量をパラメータとした3次元数値解析による複数の解析データをデータベースとして記憶したデータ記憶部と、上流側配管体系の計測条件を設定する条件設定部と、前記条件設定部で設定された計測条件に対応する解析データを前記データ記憶部から取り出すデータ取り出し手段と、上流側配管系統の複数の計測データの時間平均値を算出し時間平均化された計測データ群の平均値および標準偏差を算出する計測演算手段と、前記データ取り出し手段で取り出された解析データのうち前記計測演算手段で時間平均化された計測データ群の平均値および標準偏差が統計的に最も近い解析データを選定するデータ比較処理手段と、前記データ比較処理手段で選定された解析データに基づいて計測体系の流量補正係数を算出する流量補正係数算出手段とを備えたことを特徴とする流量計測装置(特許文献1参照)などが提案されている。
【特許文献1】特開2004−251695号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、水力発電所においては、発電電力量の最大化や過取水防止の観点から、使用水量を正確に把握する必要がある。この使用水量の正確な把握のため、前記水力発電所の水圧鉄管などで流量計測が実施されることがある。この流量計測に際しては、ピトー管やカレントメーターなどの直接計測装置を使用したり、或いは超音波流量計を使用したりして計測作業を実施している。
【0004】
しかしながら、前記直接計測装置を使用するには、前記水圧鉄管内の抜水が必要であり、逸失電力と多大な計測時間の発生が避けられなかった。また、超音波流量計を使用する場合、前記水圧鉄管内の抜水は必要なく、通水したまま、つまり通常運転状態での流量計測が可能であるが、良好な精度での計測を確立するには条件があった。その条件とは、計測位置から上流側、下流側双方に所定長の直管部分を必要とすることである。
【0005】
水力発電所が地形急峻な山岳地帯もしくはその周辺に設置されがちである点を鑑みれば、水圧鉄管とそれに連なる配管経路が長きにわたって直線状である状況が多いとは言い難い。しかも水力発電所においては、水圧鉄管だけでなく水槽などの開水路が計測点近くに設置されている特有の事情が含まれる場合も多く、単純に圧力管の流量分析をコンピュータ等で行って流量を予測しても高精度の測定結果が得られる訳ではない。つまり、超音波流量計を使用すれば容易に流量計測を実行可能ではあるが、上記直管長の条件をクリアしないかぎり、良好な精度の測定値は得られないのである。
【0006】
そこで本発明は上記課題を鑑みてなされたものであり、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測を実施可能とする技術の提供を主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決する本発明の流量計測方法は、水力発電所における水圧鉄管内の流量の計測方法であって、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定する解析工程と、前記算定した流量毎の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定する線平均算定工程と、前記算定した流量毎の線平均流速値に基づき、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を特定する対応特定工程と、前記水圧鉄管に超音波流量計を設置して、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する実測工程と、前記流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係のうち、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線についての対応関係に、当該超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する流量特定工程と、からなることを特徴とする。これによれば、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測が実施可能となる。
【0008】
また、前記解析工程において、前記水圧鉄管の位置と水圧鉄管内の流量とをそれぞれ複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の各位置における断面流速分布データを流量毎に算定し、前記線平均算定工程において、前記算定した各位置における流量毎の断面流速分布データのうち、流速分布の偏心最小となる位置についての断面流速分布データを選び出し、この流速分布の偏心最小位置の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定し、前記対応特定工程において、前記算定した流量毎の線平均流速値に基づき、前記流速分布の偏心最小位置における流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を特定し、前記実測工程において、前記水圧鉄管のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計を設置して、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する、こととしてもよい。これによれば、水圧鉄管でも流速分布の偏心が少ない箇所、つまりは高精度の測定が期待できる箇所を予め選定し、当該箇所に超音波流量計を設置して流量実測を行って、その実測値に基づいた高精度で効率的な流量特定が可能となる。
【0009】
また、前記実測工程において、前記水圧鉄管のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計を設置すると共に、前記水圧鉄管断面を横断する所定線の方向で線平均流速値を測定するよう、前記水圧鉄管における超音波流量計の設置方向を定め、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定し、前記流量特定工程において、前記流速分布の偏心最小位置における前記所定線上の、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係に、前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する、こととしてもよい。これによれば、前記流速分布の偏心最小の位置において、前記所定線に沿った超音波流量計の設置と流量実測を行うことが可能となり、さらに高精度で効率的な流量特定が可能となる。
【0010】
また、前記解析工程において、前記数値解析の処理対象データとして、前記水圧鉄管の属性データに加えて、前記水圧鉄管に接続される開水路または曲がり管の属性データを用いることで、前記開水路または曲がり管による影響を含めた、前記水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定する、こととしてもよい。これによれば、水力発電所の水路系統に特有の開水路の存在が与える影響を確実に加味した、水圧鉄管内水流の流量特定を実施できるから、またさらに高精度で効率的な流量特定が可能となる。
【0011】
また、本発明の流量計測システムは、水力発電所における水圧鉄管内の流量計測を行うシステムであって、演算装置と、メモリと、入力装置と、出力装置と、水路における流速分布の数値解析プログラムと水圧鉄管の属性データとを格納する記憶装置とを備え、前記演算装置が、前記記憶装置より水圧鉄管の属性データを読み出してメモリに格納し、前記記憶装置より前記数値解析プログラムをメモリに読み出して、前記メモリ内の前記水圧鉄管の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定してメモリに格納し、前記メモリより、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してメモリに格納し、前記メモリより、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブルを生成し、メモリに格納し、前記水圧鉄管に設置された超音波流量計における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計の線平均流速測定方向とを入力装置より取得してメモリに格納し、前記メモリより前記テーブルを読み出して、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブルに前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置に出力する、ことを特徴とする。これによれば、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測が実施可能となるコンピュータシステムを提供できる。
【0012】
また、本発明の流量計測プログラムは、演算装置と、メモリと、入力装置と、出力装置と、水路における流速分布の数値解析プログラムと水圧鉄管の属性データとを格納する記憶装置とを備え、水力発電所における水圧鉄管内の流量計測を行うコンピュータに、前記記憶装置より水圧鉄管の属性データを読み出してメモリに格納するステップと、前記記憶装置より前記数値解析プログラムをメモリに読み出して、前記メモリ内の前記水圧鉄管の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管の断面流速分布データを流量毎に算定してメモリに格納するステップと、前記メモリより、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してメモリに格納するステップと、前記メモリより、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブルを生成し、メモリに格納するステップと、前記水圧鉄管に設置された超音波流量計における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計の線平均流速測定方向とを入力装置より取得してメモリに格納するステップと、前記メモリより前記テーブルを読み出して、前記超音波流量計の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブルに前記超音波流量計で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置に出力するステップと、を実行させるプログラムである。これによれば、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測が実施可能な方法をコンピュータシステムに実行させるプログラムを提供可能となる。
【0013】
その他、本願が開示する課題、及びその解決方法は、発明の実施の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測が実施可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
−−−流量計測システム−−−
以下に本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、本実施形態のの流量計測システム100を含むネットワーク構成図である。なお、ここでの流量計測システム100の説明においては、本発明の流量計測方法を流量計測システム100が実行するものとして記述を行う。ただし、流量計測現場等における、コンピュータ等の演算端末の処理結果を活用し、人手による判断処理工程が互いに結びついた、工法としての流量計測方法(請求項1対応)も概念として当然に包含するものとする。
【0016】
本実施形態においては、図に示すように、実際の水力発電所5の水圧鉄管10における流量計測を行うべく、前記水圧鉄管10の表面に超音波流量計200が設置される。水圧鉄管10の前後には、例えば、開水路6や曲がり管7が連なっている。前記開水路6は、例えば水圧鉄管10に流れ込む水量や水勢を調節するために、上流側の導水路から供給されてきた水をここで一旦貯める貯留施設等を想定できる。また、前記曲がり管7は、水圧鉄管10を含む各種水路構成物同士や、これら水路構成物らと水力発電所5の各種構築物や地盤形状などとの接続や取り合い関係に合わせて、水路形状をカーブさせるための管である。なお、水圧鉄管10と開水路6や曲がり管7とを含めた流路系統全体を、図1に示すようにモデル化して本発明の流量計測方法には適用する。
【0017】
こうした開水路6や曲がり管7の存在が、水圧鉄管10内の水流を乱流としやすく、そのために水圧鉄管10における流量計測を難しくている。通常は、これら開水路6や曲がり管7の影響を避けるために、流量測定箇所より上流側に管径の15倍の長さ、下流側に管径の5倍の長さの直管長が必要とされている。しかしながら本実施形態ではこうした測定箇所付近の直管長の長さに関係なく、高精度で効率のよい流量計測方法を確立する。
【0018】
また、前記超音波流量計200は従来から存在する一般的な超音波流量計を採用すればよい。超音波流量計200は、断面流速Vを直接測定するものではなく、発振させた超音波が測定対象(水流)を通過した線上の線平均流速VLを測定するものである。従来の超音波流量計200は、測定値である線平均流速VLを、ゲ・イ・ビルゲルの式で得られる補正係数Kで除算し断面流速Vを得るアルゴリズムをハードウェアないしソフトウェアとして組み込んでいる。ただしこの除算処理で得られる断面流速Vは、測定対象の水流が層流でなければ精度良好な測定値とはならない。つまり、水圧鉄管10を流れる水流が、管中心で流速最大となり、この管中心と管内壁との距離に応じて徐々に流速が減少し、管内壁で流速最小となる、といった流速分布をとるものでなければ必ず測定誤差が生じてしまう。しかしながらこうした断面流速分布の偏心具合にも囚われずに、本実施形態では高精度で効率のよい流量計測方法を確立する。
【0019】
なお、前記超音波流量計200は、ネットワーク160または流量計測システム100の通信インターフェイス(後述のNIC107)を介して、流量計測システム100に接続され、流量測定値をシステム側に提供する。ここで超音波流量計200からシステム100が得る流量測定値は、前記線平均流速値となる。
【0020】
一方、前記流量計測システム100(以下、システム100)は、前記水力発電所5における水圧鉄管内10の流量計測を行うコンピュータシステムであって、本発明の流量計測方法を実行すべくハードディスクドライブ101などに格納されたプログラム102をRAM103(メモリ)に読み出し、演算装置たるCPU104により実行する。
【0021】
また、前記システム100は、コンピュータ装置が一般に備えている各種キーボードやボタン類などの入力インターフェイス105(入力装置)、ディスプレイなどの出力インターフェイス106(出力装置)、ならびに、超音波流量計200などとの間のデータ授受を担うNIC(Network Interface Card)107などを有している。
【0022】
前記システム100は、前記NIC107により、前記超音波流量計200と例えばインターネットやLANなどの各種ネットワーク160を介して接続し、データ授受を実行する。また、システム100は、フラッシュROM108と、各部101〜108を接続するバスを中継するブリッジ109と、電源121とを有する。
【0023】
なお、前記フラッシュROM108には、BIOS120が記憶されている。CPU104は、電源121の投入後、先ずフラッシュROM108にアクセスしてBIOS120を実行することにより、システム100のシステム構成を認識する。また、ハードディスクドライブ101には、各機能部やデータベース類の他に、OS118が記憶されている。このOS118は、CPU104がシステム100の各部101〜108を統括的に制御して、後述する各機能部を実行するためのプログラムである。CPU104は、BIOS120に従い、ハードディスクドライブ101からOS118をRAM103にロードして実行する。これにより、CPU104は、システム100の各部を統括的に制御する。
【0024】
続いて、前記システム100が、例えばプログラム102に基づき構成・保持する機能部につき説明を行う。なお、前記システム100は、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を格納する対応関係データベース150と、水路における流速分布の数値解析プログラムを格納するプログラムデータベース151と、水圧鉄管10の属性データを格納する属性データベース152とをハードディスクドライブ101などの適宜な記憶装置に有しているものとする。
【0025】
前記システム100は、記憶装置たるハードディスクドライブ101の前記属性データベース152より水圧鉄管10の属性データを読み出してRAM103に格納する、属性取得部110を備える。
【0026】
また、前記システム100は、前記ハードディスクドライブ101のプログラムデータベース151より前記数値解析プログラムをRAM103に読み出して、前記RAM103内の前記水圧鉄管10の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管10の断面流速分布データを流量毎に算定してRAM103に格納する、数値解析部111を備える。なお、数値解析の処理対象データとして、前記水圧鉄管10の属性データに加えて、前記水圧鉄管10に接続される開水路6または曲がり管7の属性データを用いることで、前記開水路6または曲がり管7による影響を含めた、前記水圧鉄管10の断面流速分布データを流量毎に算定できる。
【0027】
また、前記システム100は、前記RAM103より、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してRAM103に格納する、線平均算定部112を備える。
【0028】
また、前記システム100は、前記RAM103より、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を生成し、RAM103または前記ハードディスクドライブ101の対応関係データベース150に格納する、対応特定部113を備える。
【0029】
また、前記システム100は、前記水圧鉄管10に設置された超音波流量計200における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計200の線平均流速測定方向とを、入力装置105(計測作業員等がデータ入力に使用する入力インターフェイス)または前記NIC107(超音波流量計200と直接またはネットワーク160で接続)より取得してRAM103に格納する、実測値取得部114を備える。
【0030】
また、前記システム100は、前記RAM103または対応関係データベース150より前記テーブル125を読み出して、前記超音波流量計200の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブル125に前記超音波流量計200で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置106に出力する、流量特定部115を備える。
【0031】
なお、前記数値解析部111は、前記水圧鉄管10の位置と水圧鉄管内の流量とをそれぞれ複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管10の各位置における断面流速分布データを流量毎に算定するとすれば好適である。この場合、前記線平均算定部112は、前記算定した各位置における流量毎の断面流速分布データのうち、流速分布の偏心最小となる位置についての断面流速分布データを選び出し、この流速分布の偏心最小位置の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定することとなる。更に、前記対応特定部113は、前記算定した流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、前記流速分布の偏心最小位置における流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を生成することとなる。また、前記実測値取得部114は、前記水圧鉄管10のうち前記流速分布の偏心最小位置に設置された超音波流量計200より、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と線平均流速測定方向とを取得する。
【0032】
なお、前記水圧鉄管10のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計200が設置され、前記水圧鉄管断面を横断する所定線の方向で線平均流速値を測定するよう、前記水圧鉄管10における超音波流量計200の設置方向が定められている場合、前記流量特定部115は、前記流速分布の偏心最小位置における前記所定線上の、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を対応関係データベース150より抽出し、このテーブル125に、前記超音波流量計200で測定した線平均流速値を照合することで、該当流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する。
【0033】
また、これまで示したシステム100における各機能部110〜115は、RAMなどのメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの適宜な記憶装置に格納したプログラムとして実現してもよいし、ハードウェアとして実現するとしてもよい。各機能部がプログラムとして実現されている場合、前記CPU104がプログラム実行に合わせて記憶装置101より該当プログラムをRAM103に読み出して、これを実行することとなる。
【0034】
また、前記ネットワーク160に関しては、インターネット、LANの他、ATM回線や専用回線、WAN(Wide Area Network)、電灯線ネットワーク、無線ネットワーク、公衆回線網、携帯電話網、シリアル・インターフェース通信線など様々なネットワークを採用することも出来る。また、VPN(Virtual Private Network)など仮想専用ネットワーク技術を用いれば、インターネットを採用した際にセキュリティ性を高めた通信が確立され好適である。なお、前記シリアル・インターフェイスは、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で、外部機器と接続するためのインターフェースを指し、通信方式としてはRS−232C、RS−422、IrDA、USB、IEEE1394、ファイバ・チャネルなどが想定できる。或いは、超音波流量計200での測定データをシステム100に提供するために、超音波流量計200で出力した測定データに基づいて、作業員がシステム100の入力装置105を介して前記測定データの入力を行い、これによりシステム100が前記測定データを取得するとしてもよい。
【0035】
−−−データベース構造−−−
次に、本実施形態におけるシステム100が利用可能なデータベースの構造について説明する。図2は本実施形態における、(a)対応関係データベース150、(b)プログラムデータベース151、(c)属性データベース152の各データ構造例を示す図である。
【0036】
前記対応関係データベース150は、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を格納するデータベースである。この対応関係データベース150は、例えばテーブルIDをキーとして、計測位置(水圧鉄管10における測定対象位置で、所定の基点からの距離などで示す)、計測線方向(水圧鉄管10の断面頂部を0度とし、時計回りに359度)、テーブルファイルといった情報を関連づけたレコードの集合体となっている。
【0037】
また、前記プログラムデータベース151は、水路における流速分布の数値解析プログラムを格納するデータベースである。このプログラムデータベース151は、例えばプログラム名をキーに、プログラムファイルを対応付けたレコードの集合体となっている。
【0038】
また、前記属性データベース152は、前記数値解析プログラムが解析処理に利用する水圧鉄管10の属性データを、水圧鉄管毎に格納するデータベースである。この属性データベース152は、例えば水圧鉄管IDをキーに、水圧鉄管10の傾斜、内径、落差、直管長、曲がり管の管長、開水路の容量、開水路の水頭レベル、などといった情報を対応付けたレコードの集合体となっている。
【0039】
−−−測定の実行手順例1−−−
以下、本実施形態における流量計測方法の実際手順について、図に基づき説明する。まずはここで、コンピュータ等の演算端末の処理結果を活用し人手による判断処理工程が互いに結びついた工法としての流量計測方法の実際例を説明する。
【0040】
図3は本実施形態における流量計測方法の処理手順例1を示す図である。ここではまず、作業員等が、前記数値解析プログラムをコンピュータで起動し、この数値解析プログラムに、水圧鉄管10の測定想定箇所毎(測定が想定される複数箇所:一定間隔毎としてよい)に、水圧鉄管内の流量を複数回変えた条件下で、断面流速分布の数値解析処理を実行させる(s100)。そして、この処理で数値解析プログラムは、水圧鉄管10における前記測定想定箇所毎の断面流速分布データを流量毎に算定する(s101)。前記ステップs100とs101が解析工程となる。
【0041】
前記数値解析処理の解析対象モデルとしては、例えば、図1に示したような、開水路6たる水槽と、この水槽に接続された曲がり管7と、この曲がり管7に接続された直管状の水圧鉄管10と、この水圧鉄管10に接続された曲がり管7とからなる水路系統を想定する。また、数値解析処理の条件としては、例えば、前記水圧鉄管10や曲がり管7の管径が2(m)であり、変化させる流量を、7、8、9、10、11(m/s)などとする。
【0042】
上記解析対象モデルは、必要な直管長が確保できていない条件下にあるから、前記数値解析プログラムが算定した断面流速分布データ20は、例えば図5に示すように、流速分布が同心円状とはならず、偏心してしまっている。このように断面流速分布が偏心している状況で、従来と同じ方法で流量値を算定するとしても、上述したように誤差が大きい。
【0043】
そこで次に、前記算定された各測定想定箇所における流量毎(7、8、9、10、11(m/s))の断面流速分布データ20に基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定する(s102)。この特定処理は、前記断面流速分布データ20において、所定方向の計測線21を複数想定し、各計測線21上の断面流速値を読み取っていく作業となる。この作業は、作業員が行っても良いが、当該作業を実現するプログラムを備えたコンピュータが実行すれば好適である。
【0044】
こうして得られるのが、図6に示す線流速分布22である。この線流速分布22は、測定想定箇所毎、計測線21の方向ごとに得られるものであり、前記計測線21上の一端から他端までの距離と、前記計測線21上の各距離での流速値との対応関係を示すデータとなり、図6では一例としてグラフ形式になっている(テーブル等でも勿論構わない)。
【0045】
また、この線流速分布22に基づいて、前記計測線21上の線平均流速値を前記流量毎に算定する(s103)。前記ステップs102とs103が線平均算定工程となる。前記線平均流速値の算定は、前記線流速分布22の構成データに一般的な平均値算定の手法を適用して求めればよい(この処理も前記数値解析プログラムが実行するとしてもよい)。このステップs103の工程で、各測定想定箇所における各計測線21の、前記流量(7、8、9、10、11(m/s))毎の、線平均流速値が得られた。
【0046】
そこで次に、前記算定した流量毎の線平均流速値に基づき、流量と前記計測線21上の線平均流速値との対応関係を特定する(s104)。このステップs104が対応特定工程となる。前記対応関係を特定する作業は、各測定想定箇所における各計測線21の、前記流量(7、8、9、10、11(m/s))と前記線平均流速値との関係を、例えば図7に示すようにグラフ23とする。或いは前記流量(7、8、9、10、11(m/s))と前記線平均流速値との関係を、測定想定箇所毎のテーブル125として作成する。こうしたグラフ化やテーブル作成の作業は、作業員が行ってもよいし、当該作業を実現するプログラムを備えたコンピュータが実行してもよい。
【0047】
次に、水力発電所5の水圧鉄管10の表面において、作業員等が超音波流量計200を設置する(s105)。この設置に際しては、前記測定想定箇所のいずれかの位置であり、前記計測線21のいずれかと同じ方向で水圧鉄管10の断面に超音波走査が可能な設置角度に、超音波流量計200の取付けを行う。こうして設置された超音波流量計200は、水圧鉄管10の水流に向けて超音波を発振し、水圧鉄管内水流の線平均流速値を測定する(s106)。前記ステップs105とs106が実測工程となる。
【0048】
前記超音波流量計200による線平均流速値の実測値は、当該超音波流量計200のメモリに蓄積される。或いは、超音波流量計200の備える表示装置に表示されるか、プリンタ等の印字手段によりプリントアウトされる。
【0049】
最後に、前記流量と前記計測線21上の線平均流速値との対応関係を示すグラフ23のうち、超音波流量計200の設置箇所と測定方向とが同じ条件のグラフ(つまり、いずれかの測定想定箇所におけるいずれかの計測線21に関するグラフ23)に、当該超音波流量計200で測定した線平均流速値(実測値)を照合し、該当する流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する(s107)。このステップs107が流量特定工程となる。この工程での作業は、前記超音波流量計200の表示値を作業員が読み取って、この表示値、つまり実測値を前記グラフ23上の該当箇所に当てはめて読むことで行ってもよいし、当該作業を実現するプログラムを備えたコンピュータが実行してもよい。
【0050】
なお、ステップs101で算定した各位置における流量毎の断面流速分布データのうち、流速分布の偏心最小となる位置についての断面流速分布データを選び出し、この流速分布の偏心最小位置の断面流速分布データに基づき、ステップs102における、所定線上の線流速分布を流量毎に特定する処理を実行するとしてもよい。この場合、ステップs104においては、前記流速分布の偏心最小位置における流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたグラフ23やテーブル125を生成することとなる。また、ステップs105においては、前記水圧鉄管10のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計200を設置する。
【0051】
こうした状況では、前記流速分布の偏心最小位置における前記所定線上の、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたグラフ23に、前記超音波流量計200で測定した線平均流速値を照合することで、該当流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する。
【0052】
−−−測定の実行手順例2−−−
次に、流量計測システム100が主体的に流量計測方法の処理を実行する例について説明する。図4は、本実施形態における流量計測方法の処理手順例2を示す図である。この例の場合、流量計測方法に対応する各種動作を、前記システム100が前記RAM103に読み出して実行するプログラムによって実現する。なお、前記のプログラムは、以下に説明される各種の動作を行うためのコードから構成されている。
【0053】
このフローにおいて、前記システム100の属性取得部110は、記憶装置たるハードディスクドライブ101の前記属性データベース152より、水圧鉄管10のID等をキーにして該当水圧鉄管の属性データを読み出してRAM103に格納する(s200)。
【0054】
そして、前記システム100の数値解析部111は、前記ハードディスクドライブ101のプログラムデータベース151より前記数値解析プログラムをRAM103に読み出して、前記RAM103内の前記水圧鉄管10の属性データを条件として実行し、水圧鉄管内の流量を複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管10の断面流速分布データを流量毎に算定してRAM103に格納する(s201)。
【0055】
なお、数値解析の処理対象データとして、前記水圧鉄管10の属性データに加えて、前記水圧鉄管10に接続される開水路6または曲がり管7の属性データを用いることで、前記開水路6または曲がり管7による影響を含めた、前記水圧鉄管10の断面流速分布データを流量毎に算定できる。
【0056】
次に、前記システム100の線平均算定部112は、前記RAM103より、前記流量毎の断面流速分布データを読み出し、この断面流速分布データより、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速値を抽出して、前記所定線上の線平均流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布における線平均流速値を算定することで、前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定してRAM103に格納する(s202)。この処理は、前記線平均算定部112が、前記プログラムデータベース151より、線平均流速算定処理を担うプログラムをRAM103に読み出して実行することで実現することが想定できる。
【0057】
また、前記システム100の対応特定部113は、前記RAM103より、前記流量毎の線平均流速値を読み出し、この流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、流量と所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を生成し、RAM103または前記ハードディスクドライブ101の対応関係データベース150に格納する(s203)。
【0058】
また、前記システム100の実測値取得部114は、前記水圧鉄管10に設置された超音波流量計200における、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と、当該超音波流量計200の線平均流速測定方向とを、入力装置105(計測作業員等がデータ入力に使用する入力インターフェイス)または前記NIC107(超音波流量計200と直接またはネットワーク160で接続)より取得してRAM103に格納する(s204)。
【0059】
そして、前記システム100の流量特定部115は、前記RAM103または対応関係データベース150より前記テーブル125を読み出して、前記超音波流量計200の線平均流速測定方向と同じ方向の所定線について前記対応関係を定めたテーブルを特定し、ここで特定したテーブル125に前記超音波流量計200で測定した線平均流速値を照合し、該当する流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定し、これを出力装置106に出力する(s205)。
【0060】
なお、前記数値解析部111は、前記水圧鉄管10の位置と水圧鉄管内の流量とをそれぞれ複数回変えて断面流速分布の数値解析処理を行い、水圧鉄管10の各位置における断面流速分布データを流量毎に算定するとすれば好適である。
【0061】
この場合、前記線平均算定部112は、前記算定した各位置における流量毎の断面流速分布データのうち、流速分布の偏心最小となる位置についての断面流速分布データを選び出し、この流速分布の偏心最小位置の断面流速分布データに基づき、水圧鉄管断面を横断する所定線上の線流速分布を前記流量毎に特定し、この線流速分布に基づいて前記所定線上の線平均流速値を前記流量毎に算定することとなる。
【0062】
更に、前記対応特定部113は、前記算定した流量毎の線平均流速値から、流量のデータとこれに対応する前記所定線上の線平均流速値のデータとを抽出し、前記流速分布の偏心最小位置における流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を生成することとなる。
【0063】
また、前記実測値取得部114は、前記水圧鉄管10のうち前記流速分布の偏心最小位置に設置された超音波流量計200より、水圧鉄管内水流の線平均流速値の測定値と線平均流速測定方向とを取得する。
【0064】
なお、前記水圧鉄管10のうち前記流速分布の偏心最小位置に超音波流量計200が設置され、前記水圧鉄管断面を横断する所定線の方向で線平均流速値を測定するよう、前記水圧鉄管10における超音波流量計200の設置方向が定められている場合、前記流量特定部115は、前記流速分布の偏心最小位置(対応関係データベース150における“計測位置”との対応を見る)における前記所定線上(対応関係データベース151における“計測線方向”との対応を見る)の、流量と前記所定線上の線平均流速値との対応関係を定めたテーブル125を対応関係データベース150より抽出し、このテーブル125に、前記超音波流量計200で測定した線平均流速値を照合することで、該当流量を前記超音波流量計200の設置位置における水圧鉄管内水流の流量と特定する。
【0065】
本発明によれば、所定直管長を確保できない水力発電所の配管経路においても良好な精度の流量計測が実施可能となる。
【0066】
以上、本発明の実施の形態について、その実施の形態に基づき具体的に説明したが、これに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本実施形態の流量計測システムを含むネットワーク構成図である。
【図2】本実施形態における、(a)対応関係データベース、(b)プログラムデータベース、(c)属性データベースの各データ構造例を示す図である。
【0068】
(a)、(b)の各データ構造例を示す図である。
【図3】本実施形態における流量計測方法の処理手順例1を示す図である。
【図4】本実施形態における流量計測方法の処理手順例2を示す図である。
【図5】本実施形態における断面流速分布データの例を示す図である。
【図6】本実施形態における線流速分布の例を示す図である。
【図7】本実施形態における流量と線平均流速値との関係例を示す図である。
【符号の説明】
【0069】
5 水力発電所
6 開水路
7 曲がり管
10 水圧鉄管
100 流量計測システム
101 HDD(Hard Disk Drive)
102 プログラム
103 RAM(メモリ)
104 CPU(演算装置)
105 入力インターフェイス(入力装置)
106 出力インターフェイス(出力装置)
107 NIC(Network Interface Card)
108 フラッシュROM
109 ブリッジ
110 属性取得部
111 数値解析部
112 線平均算定部
113 対応特定部
114 実測値取得部
115 流量特定部
118 OS
120 BIOS
125 テーブル
150 対応関係データベース
151 プログラムデータベース
152 属性データベース
160 ネットワーク
200 超音波流量計
【出願人】 【識別番号】000211307
【氏名又は名称】中国電力株式会社
【出願日】 平成19年1月19日(2007.1.19)
【代理人】 【識別番号】110000176
【氏名又は名称】一色国際特許業務法人


【公開番号】 特開2008−175724(P2008−175724A)
【公開日】 平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願番号】 特願2007−10238(P2007−10238)