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【発明の名称】 フローセンサ
【発明者】 【氏名】山下 泰広

【氏名】大島 裕太

【要約】 【課題】流路に臨むように配置され、該流路を流れる被測定流体の流量を検出するためのセンサの破損を回避することができ、さらに、小型化が可能となるフローセンサを提供する。

【構成】フローセンサ10は、被測定流体の流量を測定する流量計である。該フローセンサ10は、被測定流体が流れる流路12と、前記流路12を画成する天壁26から流路12に臨むように配置されたセンサ16と、前記センサ16が配置された部分の天壁26と対向する絞り面24aと、前記絞り面24aの上流側に設けられ、前記流路12の入口側に向かって流路が広くなるように設けられた傾斜面24bとを有する。そして、前記傾斜面24bはその延長線が前記センサ16の検出部16aよりも上流側に偏位した位置を通過する角度に形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定流体が流れる流路を形成した本体と、
前記流路を画成する天壁から該流路に臨むように配置されたセンサと、
前記センサと対向する絞り面と、
前記絞り面の上流側に連続して形成され、前記天壁との間で形成される流路が上流側に向かって広くなるように設けられた第1傾斜面と、
を有し、
前記第1傾斜面はその延長線が前記センサの検出面に設けられた検出部よりも上流側に偏位した位置を通過する角度に形成されていることを特徴とするフローセンサ。
【請求項2】
請求項1記載のフローセンサにおいて、
さらに、前記絞り面の下流側に連続して形成され、前記天壁との間で形成される流路が下流側に向かって広くなるように設けられた第2傾斜面を有し、
前記第2傾斜面はその延長線が前記センサの検出面に設けられた検出部よりも下流側に偏位した位置を通過する角度に形成されていることを特徴とするフローセンサ。
【請求項3】
請求項1又は2記載のフローセンサにおいて、
前記第1傾斜面の上流側に連続する底壁と該第1傾斜面とがなす角度、及び(又は)、前記第2傾斜面の下流側に連続する底壁と該第2傾斜面とがなす角度は、150°以下であることを特徴とするフローセンサ。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれか1項に記載のフローセンサにおいて、
前記被測定流体の流れ方向での前記絞り面の長さは、該流れ方向での前記センサの長さよりも大きいことを特徴とするフローセンサ。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1項に記載のフローセンサにおいて、
前記流路の入口側及び(又は)出口側には網体が設けられていることを特徴とするフローセンサ。
【請求項6】
請求項5記載のフローセンサにおいて、
前記網体は、該網体に対して前記被測定流体を流通させる固定ネジにより取り付けられていることを特徴とするフローセンサ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、流体の流量を測定するフローセンサに関し、詳しくは、該フローセンサの流路構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば空気や窒素等の流体の流量を測定するために、流体が流れる流路と、該流路に臨むように設置されたセンサとを有するフローセンサ(流量計)が提案されている。
【0003】
特許文献1には、上部が開放した溝部を蓋体により封止することで形成された流路と、該流路に臨むように設置されたセンサと、前記流路の入口部(上流側)及び出口部(下流側)にそれぞれ2枚ずつ設けられたメッシュ(網体)とを有するフローセンサが記載されている。該フローセンサでは、前記メッシュにより流路を流れる流体を整流することにより測定精度を向上させている。
【0004】
ところが、このような構成のフローセンサでは、前記センサによる流量の測定精度を保持するため、前記メッシュを複数枚設置する必要があり、また、メッシュの直後では流体の流れが乱れるためメッシュとセンサとの間の距離を所定長確保する必要がある。従って、流路の長さが長くなる傾向にあり、結果としてフローセンサ全体の構造が大きくなってしまう。さらに、前記メッシュに塵やゴミ等が付着した場合でも、容易にメッシュを交換することができず、また、メッシュを交換した場合には測定精度が変動するため再調整が必要であった。
【0005】
一方、特許文献2には、前記のようなメッシュを用いずに、小型化を目的としたフローセンサが記載されている。該フローセンサでは、センサの位置する流路部分をその上流の流路部分に対して略直角に構成し、さらに、センサの位位置する流路部分を画成する壁の少なくとも一部に流路内に突出する弧状面を形成することで、メッシュを設けることなく流体の整流を図っている。
【0006】
このような構成のフローセンサでは、前記のように略直角に構成した流路の壁面で塵やゴミ等の異物を除去する構造となっているが、流体の流速が大きい場合等では異物を除去することが難しい。さらに、前記のようにセンサの位置する流路部分に弧状面を形成していると、突発的に大流量の流体が流れ込んできた場合等に、前記弧状面で跳ね上げられた流体がセンサに衝撃的に当たることになり、使用条件等によってはセンサが破損してしまう懸念がある。
【0007】
【特許文献1】特開2005−315788号公報
【特許文献2】特開2004−3887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記課題を考慮してなされたものであり、流路に臨むように配置され、該流路を流れる被測定流体の流量を検出するセンサの破損を回避することができ、さらに、小型化が可能となるフローセンサを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のフローセンサは、被測定流体が流れる流路を形成した本体と、前記流路を画成する天壁から該流路に臨むように配置されたセンサと、前記センサと対向する絞り面と、前記絞り面の上流側に連続して形成され、前記天壁との間で形成される流路が上流側に向かって広くなるように設けられた第1傾斜面と、を有し、前記第1傾斜面はその延長線が前記センサの検出面に設けられた検出部よりも上流側に偏位した位置を通過する角度に形成されていることを特徴とする。
【0010】
このような構成によれば、前記天壁と絞り面との間の流路部分がその上流側の流路部分よりも絞られ、流路内を流れる被測定流体を整流することができるため、センサの測定精度が向上する。さらに、流路内に流入した被測定流体は、前記第1傾斜面に沿って流れた後、センサの検出部から偏位した位置で上流側の天壁に当たり、その後、絞り面に沿って出口側へと通過する。これにより、突発的に大流量の被測定流体が流れ込んできた場合等でも、センサの検出部に直接的に該被測定流体が衝突することが防止されるため、センサの破損を回避することが可能となる。
【0011】
さらに、前記絞り面の下流側に連続して形成され、前記天壁との間で形成される流路が下流側に向かって広くなるように設けられた第2傾斜面を有し、前記第2傾斜面はその延長線が前記センサの検出面に設けられた検出部よりも下流側に偏位した位置を通過する角度に形成されていると、フローセンサの流れ方向を容易に反転させることができるようになる。このため、本発明に係るフローセンサの設置自由度が大幅に向上する。
【0012】
また、前記第1傾斜面の上流側に連続する底壁と該第1傾斜面とがなす角度、及び(又は)、前記第2傾斜面の下流側に連続する底壁と該第2傾斜面とがなす角度が、150°以下であると、これら第1傾斜面や第2傾斜面の延長線がより確実にセンサの検出部よりも外側に偏位した位置を通過するように設定できる。従って、被測定流体が第1傾斜面や第2傾斜面に沿って流れた後、センサの検出部に直接衝突することを有効に防止することができるようになり、センサの破損等を回避することができる。
【0013】
しかも、前記被測定流体の流れ方向での前記絞り面の長さが、該流れ方向での前記センサの長さよりも大きいと、該絞り面部分にて確実に整流した状態の被測定流体をセンサの検出面に沿って流通させることができるため、測定精度を向上させることができる。
【0014】
さらに、前記流路の入口側及び(又は)出口側に網体が設けられていると、被測定流体が該網体により整流され、さらに、被測定流体中のゴミや塵等を除去することができるようになる。
【0015】
さらにまた、前記網体が、該網体に対して前記被測定流体を流通させる固定ネジにより取り付けられていると、該固定ネジを着脱することで、容易に網体の交換を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、被測定流体が流れる流路中に絞り面及び第1傾斜面を設けたことにより、天壁と絞り面との間の流路部分がその上流側の流路部分よりも絞られことになる。このため、流路内を流れる被測定流体を整流することができ、センサの測定精度が向上する。さらに、流路内に流入した被測定流体は、前記第1傾斜面に沿って流れた後、センサの検出部よりも偏位した位置で上流側の天壁に当たり、その後、前記絞り面に沿って出口側へと通過する。これにより、突発的に大流量の被測定流体が流れ込んできた場合等でも、該被測定流体がセンサの検出部を回避するため、センサの検出部に被測定流体が衝撃的に当たることが防止され、センサの破損を回避することが可能となる。
【0017】
また、前記絞り面及び第1傾斜面による整流作用により、流路の入口部等に設置する網体の枚数を最小限とすることができるため、構造が簡素化され、フローセンサを一層小型化することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の係るフローセンサについて好適な実施形態を挙げ、添付の図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態に係るフローセンサ10の外観を示す斜視図である。図2は、図1に示すフローセンサ10の各構成部品を分解した状態を示す分解斜視図である。図3は、図1、図2に示すフローセンサ10の流体の流れ方向に沿う縦断面図である。
【0020】
フローセンサ10は、例えば空気や窒素等からなる被測定流体の流量(質量流量)を測定するための流量計である。なお、以下では、被測定流体として空気の流量を測定する場合を例示して本発明を説明する。
【0021】
このようなフローセンサ10は、空気が流れる流路(測定室)12が内部に形成された本体14と、前記流路12に臨むように配置されることで該流路12内を流れる空気の流量を測定するセンサ16とを有する。センサ16は、センサ基板18の下面(裏面)に一体に取り付けられており、空気の流量を測定するための検出部16aを有する検出面16bが流路12に臨んでいる(図3及び図6参照)。このようなセンサ16は、例えば1辺(図3の長さL1)が約1.4mmの略正方形形状からなるMEMS熱式フローセンサチップである。
【0022】
図3及び図4に示すように、流路12は、本体14の長手方向両端部の中央よりやや下方に設けられている入口部20及び出口部22の間に形成されている。該流路12は、空気の流れ方向と垂直な方向の断面(図5参照)が円形形状であって、空気の流れ方向の断面(図3参照)における略中央部には台形形状の突起部24が形成されている。また、流路12の上方の天壁(天井壁)26の略中央部には前記センサ16を流路12に臨ませるためのセンサ孔26aが設けられている。一方、流路12の下方で天壁26と対向する底壁28の略中央部には前記突起部24が設けられている。
【0023】
突起部24は、前記センサ16と対向するように設けられ、台形の上面に相当する平面である絞り面24aと、該絞り面24aの上流側(入口部20側)及び下流側(出口部22側)に連続して設けられ、外側(上流側、下流側)に向かって流路12が広くなるように形成された傾斜面(第1傾斜面)24b及び傾斜面(第2傾斜面)24cとから構成されている。前記傾斜面24bの上流側に連続する底壁28は入口部20に連通し、前記傾斜面24cの下流側に連続する底壁28は出口部22に連通している。
【0024】
前記絞り面24aの空気の流れ方向の長さL2は、例えば約5mmであり、その略中央部が前記センサ16の中央部と略同位置とされている。なお、この場合、絞り面24aの上流側端部はセンサ16の上流側端部よりも上流側に位置している必要がある。また、絞り面24a部分での整流作用を十分に得るため、該絞り面24aの長さL2は、センサ16の長さL1よりも大きく設定される必要がある。ところが、長さL2から長さL1を引いた値が大きすぎると測定精度を低下させ、逆に小さすぎてもセンサ16の破損や測定精度の低下を生じてしまうことになる。従って、センサ16の長さL1と、絞り面24aの長さL2との関係は、長さL2が長さL1の2〜5倍程度が好ましく、特に3〜4倍程度がより好ましい。
【0025】
また、前記傾斜面24b、24cからそれぞれ外側に向かって連続する部分での底壁28と天壁26との間の高さh1(流路12の直径)は、例えば約2.6mmである。一方、絞り面24aと天壁26との間の高さh2は、例えば約1mmである。なお、前記高さh2は、大きすぎると突起部24での整流作用が低下し、逆に小さすぎると圧損の増加や整流作用の低下が生じることになる。従って、高さh1と高さh2との関係において、高さh1が高さh2の1.5〜4倍程度となるように設定されることが好ましい。
【0026】
さらに、底壁28と各傾斜面24b、24cとがなす角度θ(図3参照)は、例えば150°以下と設定されている。このような角度θとすることで、突起部24では、各傾斜面24b、24cの延長線がセンサ16の前記検出部16aから偏位した外側(入口部20側、出口部22側)を通過するように構成されている。つまり、各傾斜面24b、24cは、それらの延長線がセンサ16の検出部16aよりも外側に偏位した位置で天壁26と交差するような角度に設定されている。これにより、入口部20から流入した空気は、傾斜面24bに沿って流れた(上昇した)後、センサ16の検出部16aよりも上流側で天壁26に当たり、その後、絞り面24aに沿って出口部22方向へと流れることになるが、詳細は後述する。
【0027】
このような流路12が形成された本体14は、前記入口部20が形成された前壁30と、前記出口部22が形成された後壁32と、前壁30及び後壁32の間に設けられた一対の側壁34、34と、これらの底部に設けられた外底壁36とから構成される箱体である。本体14の上部には、前壁30、後壁32及び側壁34、34の各内側面と、流路12の天壁26の上面とにより溝部38が形成されている(図2参照)。また、本体14の下部には、幅方向に貫通する2つの孔部14a、14bが設けられている。該孔部14a、14bは、フローセンサ10を固定する際に用いられる取り付け用孔部である。なお、本体14は、例えばPPS(ポリフェニレンサルファイド)等の高分子材料により成形されている。
【0028】
さらに、前記入口部20及び出口部22の内周面にはそれぞれ2つの溝部20a及び20b、22a及び22bが周設されている(図3参照)。そして、入口部20及び出口部22には、溝部20a及び20b、22a及び22bに嵌挿される形状の突起40c及び40d、42c及び42dが周設されたインサートナット40、42が配設されている。このようなインサートナット40、42の内周面にはネジ部40a、42aが形成されており、該ネジ部40a、42aに、図示しない継手部材等を取り付けることで、フローセンサ10を所定の配管等に接続することができる。
【0029】
また、流路12の上流側端部及び下流側端部には、流路12の内径(h1)よりも大径の凹部41、43が設けられている。該凹部41、43には、入口部20及び出口部22の外側からインサートナット40、42内を通してメッシュ(網体)44、45が配設される。該メッシュ44、45は前記ネジ部40a、42aに螺合する固定ネジ46、48により固定されている。なお、例えば入口部20側のみにメッシュ44を設置し、出口部22側のメッシュ45を設置しないようにすることもできる。
【0030】
メッシュ44、45は、流路12の内径(h1)よりも大径の円形形状であり、例えば、ステンレス製等からなる金属製の金網である。このようなメッシュ44、45は、フローセンサ10を流れる空気を整流する整流作用と、該空気中のゴミや塵等を除去する除塵作用とを兼ねている。
【0031】
固定ネジ46、48は、空気をメッシュ44、45へと流通させるため、前記流路12と略同径からなる孔部46a、48aを有し、前記の通り、ネジ部40a、42aに螺合することでメッシュ44、45を固定する機能を果たす。なお、図2及び図3等において、固定ネジ46、48の外側に位置する切欠部46b、48bは、図示しない工具が係合する係合溝である。
【0032】
前記の通り、センサ基板18の下面(天壁26側)にはセンサ16が設けられている。このようなセンサ基板18が前記溝部38内で天壁26の上面に載置されると、センサ16がセンサ孔26aから流路12に臨むと共に、該センサ基板18によりセンサ孔26aが封止される。ここで、センサ16の高さ(厚さ)は前記天壁26の厚さと略同様であり、このため、センサ16の検出面16bは天壁26の下面(流路12側面)と略同位置となるように配置される。また、天壁26の上面において、センサ孔26aの周囲には、ドーナツ状の凹部26bが形成されている。該凹部26bは、その外周部にセンサ孔26aからの空気のリークを防止するための図示しない液状シール材を塗布し、センサ基板18を天壁26上面に密着させて配置した際に、前記液状シール材がセンサ孔26aから流路12内へと流れ出すことや、センサ16に付着してしまうことを防止するための流出防止部(ダム)として機能する。なお、このような液状シール材は温度を上昇させることで硬化する。また、前記液状シール材に代えて、弾性材料等からなるガスケット(シール材)を用いて、センサ孔26aからの空気のリークを防止するように構成することもできる。
【0033】
図6は、センサ16近傍の拡大断面図である。センサ16において、流路12に臨む検出面16bには、上流側から順に、前記検出部16aを構成する上流側測温体50と、発熱体(ヒータ)52と、下流側測温体54と、周囲用測温体56とが設けられ、これらはセンサ16内部等にてブリッジ回路により互いに接続されている。発熱体52と、上流側測温体50及び下流側測温体54との間は同間隔に設定される。一方、周囲用測温体56は発熱体52からの熱の影響が及ばないように下流側測温体54からやや離れた位置に設けられ、周囲用測温体56と下流側測温体54との間隔は、発熱体52と上流側測温体50等との間隔よりも十分に大きなものに設定される。このように構成されるセンサ16は、上流側測温体50及び下流側測温体54により測定される発熱体52の前後の温度差と、周囲用測温体56により測定される流入又は流出する空気温度(周囲温度)との関係から流速及び流量を算定するMEMS熱式フローセンサチップである。
【0034】
一方、センサ基板18の上面(センサ16の反対側)には、コネクタ58と、各種機能を有する図示しない素子とが設けられている。
【0035】
このように構成されたセンサ基板18は、前記溝部38内で天壁26の上面に載置された状態で、その上部からスペーサ60により固定される。スペーサ60は、溝部38内に収納可能な枠体であって、フレーム60aと、該フレーム60aから下方に突設されてセンサ基板18を押圧する4つの爪部材62a〜62dと、後述するカバー64を固定するための係合爪66と、フレーム60aに形成された4つの孔部68とを有する。孔部68にはそれぞれボルト70が挿通され、該ボルト70が本体14の溝部38内に設けられた4つのネジ部72に螺合する。これにより、スペーサ60がセンサ基板18を狭持した状態で本体14に固定されることになる。つまり、センサ基板18が本体14に固定される。
【0036】
さらに、溝部38内において、前記スペーサ60の上部には出力基板74が配置される。該出力基板74はカバー64とスナップピン76とにより、スペーサ60に固定され、センサ16への給電や外部への電圧出力等の機能を果たす基板である。
【0037】
出力基板74は、下面には前記コネクタ58に係合するコネクタ78が設けられ、上面には各種機能を有する図示しない素子が設けられている。さらに、出力基板74の下流側端面には電源ケーブル80が取り付けられている。該出力基板74は、コネクタ78からコネクタ58を介してセンサ基板18と電気的に接続されることで、図示しない電源からセンサ16へと給電すると共に、センサ16からの出力信号(電圧)を外部機器へと送信する機能を果たす。
【0038】
カバー64は、溝部38の上部を封止する蓋の機能を果たす。該カバー64は、上流側端部に設けられ、前記係合爪66が貫通し且つ係合する係合部64aと、下流側端部に設けられ、前記スナップピン76の爪部76aが挿通する孔部64bとを有する。なお、孔部64bを挿通した爪部76aは、前記フレーム60aに係合する。
【0039】
そして、出力基板74がスペーサ60のフレーム60a上に載置された状態で、その上部からカバー64が、係合部64aと係合爪66との係合作用、及び、スナップピン76とフレーム60aとの係合作用によりスペーサ60に固定されることになる。この際、電源ケーブル80は、本体14の後壁32上部に設けられた下側半円部82及びフレーム60aの下流側端面に設けられた下側半円部84と、カバー64の下流側端面に設けられた上側半円部86とにより挟まれ、固定される。これにより、出力基板74がスペーサ60に対して確実に固定される。
【0040】
カバー64の上面は、周縁部よりもやや低く形成され、該上面には表示銘版88が貼り付けられる。表示銘版88は、フローセンサ10の型番や空気の流れ方向等を表示するものである。
【0041】
フローセンサ10は、以上のようにして本体14の溝部38へとセンサ基板18や出力基板74等が収納及び固定され、カバー64により閉蓋されることで、各部品が一体に組み立てられている。
【0042】
次に、基本的には以上のように構成されるフローセンサ10の作用効果について説明する。
【0043】
フローセンサ10は、入口部20のインサートナット40及び出口部22のインサートナット42に図示しない継手部材等が取り付けられることで、被測定流体である空気が流れる流路途中に接続される。さらに、電源ケーブル80が図示しない電源及び外部機器に接続されることで空気の流量を測定できる。
【0044】
この場合、図3に示すように、矢印の方向に沿って入口部20から流入する空気は、メッシュ44により整流及び除塵された後、流路12へと流通する。そして、流路12へと流入した空気の一部は天壁26に沿って流路12の上部を流れつつ、絞り面24aと天壁26との間を通過して出口部22から流出する。一方、流路12へと流入した空気の一部は底壁28に沿って流路12の下部を流れつつ、傾斜面24bに沿って上昇した後、絞り面24aと天壁26との間を通過して出口部22から流出する。ここで、絞り面24aと天壁26との間は入口部20に比べて十分に絞られている(狭くなっている)ため、空気は十分に整流された状態でセンサ16の検出面16b側を通過する。これによりセンサ16で空気の流量が測定され、例えば、流量の大きさに比例する電圧が電源ケーブル80を介して前記外部機器へと出力される。
【0045】
前記のような流量測定に際し、本実施形態に係るフローセンサ10では、流路12内に台形形状の突起部24が形成されている。このように、フローセンサ10では流路12の構造を絞り面24a及び傾斜面24bを有した台形構造としたことにより、メッシュ44、45による整流作用に加え、傾斜面24b部分での空気の流れが安定するため、流路12の各壁面における空気の剥離現象を抑えることができる。このため、低流量から高流量まで幅広い流量に対して、安定した流量測定を行うことができる。
【0046】
さらに、流路12が前記台形構造とされることにより、フローセンサ10に接続される前後の配管形状が、例えば、直径8mmから4mmへと変更されたような場合であっても十分な精度での流量測定が可能である。また、前記台形構造により、フローセンサ10に接続される前後の配管部分に、流れを安定させるための直線部分を特別に設ける必要がなく、このため、フローセンサ10の設置自由度が大幅に向上する。
【0047】
さらにまた、前記台形構造による整流作用により、メッシュ44、45の枚数を最小枚数、例えば1枚とすることができる。このため、製品サイズや製造コストを抑えることができると共に、生産効率が向上する。
【0048】
ところで、上記特許文献2に記載の従来技術では、流路に弧状面を形成することで流れる空気を整流していたため、突発的に大流量の空気が流れ込んできた場合には、前記弧状面で跳ね上げられた空気がセンサに衝突し、該センサが破損する懸念があった。これに対して、本実施形態に係るフローセンサ10では、前記台形構造により、傾斜面24bに沿った空気は、センサ16の検出部16aに直接衝突することなく、該検出部16aよりも偏位した上流側へと吹き付けられた後、検出面16b部分を通過することになる。このため、突発的に大流量の空気が流れ込んだ場合等であっても、センサ16の検出部16aの破損を防止することができる。また、メッシュ44、45は、固定ネジ46、48により容易に着脱可能である。従って、例えばメッシュ44に塵等が付着した場合に、該メッシュ44をユーザが容易に交換することができる。
【0049】
ところで、上記特許文献1に記載の従来技術のような網体を用いた構造では、該網体を交換した場合に測定精度が変動するため、再調整作業が必要となっていた。しかしながら、本実施形態に係るフローセンサ10では、前記台形構造による整流作用が営まれ、メッシュ44、45の枚数が最小限とされているため、メッシュ44、45の交換での測定精度の変動幅が非常に小さいものとなっている。つまり、フローセンサ10では、突起部24による台形構造により空気の整流が可能であるため、メッシュ44、45の交換による流路12全体での整流作用への影響が小さく、このため、ユーザが容易にメッシュ44、45の交換作業を行うことができる。
【0050】
ここで、図7〜図9を参照して、前記突起部24の台形構造によるセンサ16の検出精度への影響について、実施例を示して説明する。図7〜図9は、一定流量の空気を流し続けている状態でのセンサ16による出力電圧値(流量値)を示したグラフであり、横軸は時間(sec)、縦軸は電圧(mV)である。この場合、前記のような一定流量の空気が流れた際におけるセンサ16の理論出力電圧は、図7〜図9のA(mV)となるように設定されている。
【0051】
なお、図7は、メッシュ44、45及び突起部24を設けない構成での結果であり、図8は、メッシュ44、45を1枚設け、突起部24を設けない構成での結果であり、図9は、メッシュ44、45を1枚設け、突起部24を設けた構成、つまり、本実施形態に係るフローセンサ10での結果である。
【0052】
図7及び図8に示すように、突起部24を設けず、メッシュ44、45が0枚又は1枚の構成では、センサ16の出力電圧が安定せず、大きなノイズが発生した。このようなノイズは、空気が十分に整流されていないためであると考えられる。
【0053】
一方、図9に示すように、突起部24を設け、メッシュ44、45を1枚とした構成、つまり、本実施形態のフローセンサ10の構成では、ノイズが非常に小さく、流量が安定して高精度に測定された。この結果から諒解されるように、突起部24を設けて流路12を台形構造とすることで、安定した高精度な測定が可能となることが明らかとなった。
【0054】
なお、前記突起部24を設けていない条件であっても、メッシュ44、45の枚数を増加させることで空気を十分に整流することは可能であるが、この場合には、フローセンサの長手方向の長さが大きくなってしまう不都合がある。また、メッシュ44、45を複数枚取り付ける場合には、その取り付け位置、精度や枚数に製品の再現性が依存するため、製造性や品質が劣るという問題がある。これに対して、本実施形態のフローセンサ10では、突起部24を設けた台形構造により、小型化を図りつつ、製造性や品質の向上が可能となっている。
【0055】
上記したように、実施形態では、入口部20から流路12へと空気を流通させることとしたが、フローセンサ10では、傾斜面24bに加えて傾斜面24cを有しているため、出口部22から流路12へと空気を流通させるように設置することも可能である。このため、フローセンサ10は高い設置自由度を有している。
【0056】
また、上記実施形態では、被測定流体として空気を例示して説明したが、本発明は空気以外にも窒素や各種気体等の流量を測定することができることは言うまでもない。
【0057】
さらに、上記実施形態では、流路12は円形形状であるものとしたが、これに限らず、矩形形状等にも変更可能である。
【0058】
なお、本発明は上記実施形態に限らず、本発明の要旨を逸脱することなく、種々の構成を採り得ることは当然可能である。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一実施形態に係るフローセンサの斜視図である。
【図2】図1に示すフローセンサの分解斜視図である。
【図3】図1に示すフローセンサの流体の流れ方向に沿う縦断面図である。
【図4】図3中の線IV−IVにおける断面図である。
【図5】図3中の線V−Vにおける断面図である。
【図6】図3に示すフローセンサのセンサ近傍の拡大断面図である。
【図7】メッシュ及び突起部を設けない構成での流量測定結果を示すグラフである。
【図8】メッシュを1枚設け、突起部を設けない構成での流量測定結果を示すグラフである。
【図9】メッシュを1枚設け、突起部を設けた構成での流量測定結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0060】
10…フローセンサ 12…流路
14…本体
14a、14b、46a、48a、64b、68…孔部
16…センサ 16a…検出部
16b…検出面 18…センサ基板
20…入口部
20a、20b、22a、22b、38…溝部
22…出口部 24…突起部
24a…絞り面 24b、24c…傾斜面
26…天壁 26a…センサ孔
28…底壁 40、42…インサートナット
40a、42a、72…ネジ部 40c、40d、42c、42d…突起
41、43…凹部 44、45…メッシュ
46、48…固定ネジ 60…スペーサ
74…出力基板
【出願人】 【識別番号】000102511
【氏名又は名称】SMC株式会社
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100077665
【弁理士】
【氏名又は名称】千葉 剛宏

【識別番号】100116676
【弁理士】
【氏名又は名称】宮寺 利幸

【識別番号】100142066
【弁理士】
【氏名又は名称】鹿島 直樹

【識別番号】100126468
【弁理士】
【氏名又は名称】田久保 泰夫


【公開番号】 特開2008−14789(P2008−14789A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186080(P2006−186080)