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【発明の名称】 電子式流量計のユニットケース
【発明者】 【氏名】土田 泰秀

【氏名】唐沢 進太郎

【要約】 【課題】電子式水道メータの電子ユニットのユニットケースを、射出成形後に目視することにより、簡単にその成形の良否を判別できるようにすることにある。

【構成】電子式水道メータ1の電子ユニット3のユニットケース31は、樹脂の射出成形品であるケース本体5とケース蓋6を気密状態で接合した構成となっている。ケース蓋6の外側表面62aには射出成形時の溶融樹脂材料の流動性に応じた長さの成形良否判定用の細長い三角形状の突起10が一体成形され、突起10に隣接した部位には目盛り11(1)〜11(4)が付いている。ケース本体5にも同様な突起および目盛りが付いている。射出成形されたケース蓋6の突起10を、離型直後に、目視してその長短を確認することによりケース蓋6が成形不良品であるか否かを簡単に判別できる。ケース本体5についても同様の判別ができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースであって、
樹脂の射出成形品からなり、
射出成形時における当該ユニットケース成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起が一体成形されていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項2】
請求項1において、
前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものであることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項3】
請求項2において、
前記突起は、ユニットケース表面に沿った方向に延びていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項4】
請求項2において、
前記突起は、ユニットケース表面から離れる方向に延びていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項5】
請求項1において、
前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置するユニットケース表面の部位に形成されていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項6】
請求項1において、
ユニットケース表面における異なる部位に形成された複数の前記突起を備えていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項7】
請求項1において、
前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍のユニットケース表面部分には、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りが一体成形されていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項8】
請求項1ないし7のうちのいずれかの項において、
樹脂の射出成形品からなる一端が開口している第1ケース片と、
樹脂の射出成形品からなる一端が開口している第2ケース片とを有し、
前記突起として第1突起および第2突起を備えており、
前記第1ケース片の外側表面および/または内側表面には、射出成形時における当該第1ケース片成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの前記第1突起が一体成形されており、
前記第2ケース片の外側表面および/または内側表面には、射出成形時における当該第2ケース片成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの前記第2突起が一体成形されており、
これら第1および第2ケース片の開口端部が相互に気密状態で接合されて、前記電子回路部を気密状態で封入するための封入部が形成されていることを特徴とする電子式流量計のユニットケース。
【請求項9】
請求項1ないし8のうちのいずれかの項に記載のユニットケースを有していることを特徴とする電子式流量計。
【請求項10】
電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースを、樹脂を用いて射出成形し、射出成形用の金型キャビティから離型した直後に、その成形の良否を判定する電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法であって、
射出成形時における当該ユニットケース成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起を、前記ユニットケースに一体成形し、
離型した直後に、当該ユニットケースに一体成形された突起の長さを確認し、
当該突起の長短に基づき、前記ユニットケースの成形の良否を判定することを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項11】
請求項10において、
前記突起として、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものを用いることを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項12】
請求項11において、
前記突起として、ユニットケース表面に沿った方向に延びているものを用いることを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項13】
請求項11において、
前記突起として、ユニットケース表面から離れる方向に延びているものを用いることを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項14】
請求項10において、
前記突起として、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置するユニットケース表面の部位に形成されているものを用いることを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項15】
請求項10において、
ユニットケース表面における異なる部位に複数の前記突起を一体成形し、これらの突起の長短に基づき成形の良否を判定することを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項16】
請求項10において、
前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍のユニットケース表面部分に、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りを一体成形し、
当該目盛りに基づき前記突起の長短を確認することを特徴とする電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法。
【請求項17】
流量計における樹脂の射出成形部品であって、
射出成形時における当該射出成形部品の成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起が一体成形されていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項18】
請求項17において、
前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものであることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項19】
請求項18において、
前記突起は、射出成形品表面に沿った方向に延びていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項20】
請求項18において、
前記突起は、射出成形部品表面から離れる方向に延びていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項21】
請求項17において、
前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置する射出成形品表面の部位に形成されていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項22】
請求項17において、
射出成形部品表面における異なる部位に形成された複数の前記突起を備えていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【請求項23】
請求項17において、
前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍の射出成形部品表面部分には、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りが一体成形されていることを特徴とする流量計の射出成形部品。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、電子式水道メータなどの電子式流量計における流量演算回路などが搭載されている電子回路部を気密状態で封入するために用いる樹脂製のユニットケースに関し、簡単に成形状態の良否を検査可能なユニットケース、およびユニットケースの成形の良否を簡単に判定可能な方法に関するものである。
【0002】
また、本発明は電子式流量計以外の流量計における射出成形部品に関し、簡単に成形状態の良否を検査可能な構成を備えたものに関するものである。
【背景技術】
【0003】
電子式流量計、例えば、電子式水道メータは、流水量に応じて回転する羽根車に取り付けた磁石により回転磁界を発生させ、この回転磁界を電子ユニットに内蔵されている磁気センサにより検出し、磁気センサの検出出力を電気的に処理することにより流量の演算、演算させた流量の表示等を行うように構成されている。
【0004】
この構成の電子式水道メータでは、流水通路に配置した羽根車に、電子ユニットが隣接配置されているので、電子ユニットのユニットケースとしては、封入されている電子回路部等が湿気等により劣化、あるいは誤動作することの無いように、防水性および防湿性に優れたものとする必要がある。また、高い耐水性、耐圧性も要求される。ユニットケースとして金属ケースを用いる場合には、一般にこのような必要特性を確保できる。
【0005】
しかしながら、近年においては、電子式水道メータの小型化に伴ない、そこに搭載されている電子ユニットの形状も複雑化している。従って、ユニットケースの形状寸法の精度を高める必要がある。また、電子式水道メータのコストダウンに対する要求は常にあるので、その構成部品であるユニットケースを廉価に製造できることが望ましい。このような点に鑑み、金属ケースの代わりに、ユニットケースとして樹脂の射出成形品を用いて、形状寸法の高精度化、コストダウンを図っている。特許文献1には、樹脂製のユニットケースを備えた電子式水道メータが開示されている。
【特許文献1】特開2001−289688号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、ユニットケースとして樹脂の射出成形品を用いる場合には、耐水特性、耐圧特性、寸法精度などを確保するために、射出成形時の成形条件を精度良く管理する必要がある。例えば、同一の射出成形機を用いて同一成形条件の下で成形を行っても、材料ロット、外気温などの環境条件の変化、その他の成形条件の変化により成形品の品質にばらつきが生じてしまう。
【0007】
成形品の良否を検査するために、成形品が冷却した後に、その断面のボイド、破壊強度などを調べるための破壊検査、寸法精度を調べるための寸法検査などを行うことが一般的である。しかしながら、この方法では、検査結果が出た時点では、既に多数の成形品が出来上がっており、最悪の場合には全ての成形品が不良品として廃棄されることもある。
【0008】
一方、機械式指示機構が収納されている乾式流量計には、水圧を直接に受ける受圧ケースに、樹脂の射出成形品が用いられている。このような受圧ケースにおいても、耐水特性、耐圧特性、寸法精度などを確保するために、射出成形時の成形条件を精度良く管理する必要がある。したがって、上記のユニットケースの場合と同様な問題がある。
【0009】
また、電子式流量計、乾式流量計のいずれにおいても、流量に応じて回転する羽根車などの部品にも、樹脂の射出成形品が用いられている。これらの部品を精度良く製造できないと、精度良く流量を計測できず、また、設置時における調整作業に時間を要するなどの問題が発生する。
【0010】
本発明の課題は、このような点に鑑みて、電子式流量計のユニットケースの成形の良否を、射出成形された離型直後に、目視により、その場で簡単に判断できるようにすることにある。
【0011】
また、本発明の課題は、ユニットケース以外の流量計の樹脂の射出成形部品の成形の良否を、射出成形された離型直後に、目視により、その場で簡単に判断できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために、本発明は、電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースであって、樹脂の射出成形品からなり、射出成形時における当該ユニットケース成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起が一体成形されていることを特徴としている。
【0013】
射出成形時における溶融樹脂材料の流動性を一定に保持できれば、成形品の品質を良好な状態に維持できる。本発明では、溶融樹脂材料の流動性に応じて長さが変化する突起を、射出成形品であるユニットケースに一体成形している。得られた成形品の突起の長さ(流動長さ)を目視により確認することにより、射出成形時における溶融樹脂材料の流動性を判別できる。すなわち、突起の長さが所定の範囲内の寸法であれば、成形品の品質が良好であると判別できる。逆に、突起の長さが所定の範囲に納まらない長さの場合には、成形品が不良品であると判別できる。
【0014】
ここで、前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものとすればよい。金型キャビティ内に溶融樹脂材料を射出すると、キャビティ内のガスが溶融樹脂材料によって押し出されながらキャビティ内に溶融樹脂材料が充填されていく。溶融樹脂の流れ方向に沿って断面積が漸減している突起を成形するために、金型キャビティの内周面には断面積が流れ方向に沿って漸減する形状の突起成形用の溝が形成される。金型キャビティ内のガスは射出された溶融樹脂材料に押されて当該溝内の先端部分にトラップされる。溶融樹脂材料の流動性が高い場合にはガスのトラップ量が少なく、流動性が低い場合にはガスのトラップ量が多くなる。ガスのトラップ量が少ないと、溝内の先端まで溶融樹脂材料が流れ込み、ガスのトラップ量が多い場合には溝内の先端側には流れ込まないまま溶融樹脂材料が硬化する。この結果、流動性が高い場合にはユニットケースに一体成形される突起が長くなり、流動性が低い場合には突起が短くなる。したがって、突起の長短に基づき溶融樹脂材料の流動性の高低が分かる。
【0015】
例えば、前記突起は、ユニットケース表面に沿った方向に延びているものとすることができる。この代わりに、前記突起は、ユニットケース表面から離れる方向に延びているものとすることができる。
【0016】
また、前記突起を、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置するユニットケース表面の部位に形成しておくことができる。
【0017】
さらに、複数の突起を、ユニットケース表面における異なる部位に形成しておくこともできる。
【0018】
次に、突起の長さを目視により直ちに認識できるようにするためには、前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍の前記ユニットケース表面部分に、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りを一体成形しておくことが望ましい。
【0019】
一方、電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースは、一般に、樹脂の射出成形品からなる一端が開口している第1ケース片と、樹脂の射出成形品からなる一端が開口している第2ケース片とを有し、これら第1および第2ケース片の開口端部が相互に気密状態で接合されて、前記電子回路部を気密状態で封入するための封入部が形成されている。
【0020】
この場合には、前記第1ケース片の外側表面および/または内側表面に、射出成形時における当該第1ケース片成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの第1突起を一体成形すればよい。同様に、前記第2ケース片の外側表面および/または内側表面に、射出成形時における当該第2ケース片成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの第2突起を一体成形すればよい。
【0021】
双方のケース片が融着によって接合される場合には、前記第1ケース片の前記開口端部に第1融着用突起部を成形しておき、前記第2ケースの前記開口端部に第2融着用突起部を成形しておき、これら第1および第2融着用突起部を押し潰しながら前記第1ケース片および前記第2ケース片のそれぞれの開口端部を気密状態で融着すればよい。
【0022】
この場合には、前記第1融着用突起部の一部に前記第1突起を形成し、前記第2融着用突起部の一部に前記第2突起を形成しておくことができる。
【0023】
一方、本発明は、電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースを、樹脂を用いて射出成形し、射出成形用の金型キャビティから離型した直後に、その成形の良否を判定する電子式流量計のユニットケースの成形の良否を判定する方法であって、射出成形時における当該ユニットケース成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起を、前記ユニットケースに一体成形し、離型した直後に、当該ユニットケースに一体成形された突起の長さを確認し、当該突起の長短に基づき、前記ユニットケースの成形の良否を判定することを特徴としている。
【0024】
ここで、前記突起として、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものを用いることができる。
【0025】
例えば、前記突起として、ユニットケース表面に沿った方向に延びているものを用いることができる。この代わりに、前記突起として、ユニットケース表面から離れる方向に延びているものを用いることができる。
【0026】
また、前記突起として、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置するユニットケース表面の部位に形成されているものを用いることができる。
【0027】
さらに、ユニットケース表面における異なる部位に複数の前記突起を一体成形し、これらの突起の長短に基づき成形の良否を判定することができる。
【0028】
さらにまた、前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍のユニットケース表面部分に、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りを一体成形し、当該目盛りに基づき前記突起の長短を確認することができる。
【0029】
次に、本発明は、電子式流量計のユニットケース以外の樹脂の射出成形部品にも適用できる。例えば、機械式指示機構が内蔵されている乾式流量計の受圧ケース、流量に応じて回転する羽根車、羽根車を経由して流れる流体の流れを制御する整流板などの各種の流量計の射出成形品に対しても適用できる。
【0030】
すなわち、本発明は、流量計における樹脂の射出成形部品であって、射出成形時における当該射出成形部品の成形用の金型キャビティに射出された溶融樹脂材料の流動性に対応した長さの突起が一体成形されていることを特徴としている。
【0031】
ここで、前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものであることを特徴としている。
【0032】
また、前記突起は、射出成形品表面に沿った方向に延びていることを特徴としている。
【0033】
さらに、前記突起は、射出成形部品表面から離れる方向に延びていることを特徴としている。
【0034】
さらには、前記突起は、前記金型キャビティ内における前記溶融樹脂材料の流れ方向の末端部分に位置する射出成形品表面の部位に形成されていることを特徴としている。
【0035】
これに加えて、射出成形部品表面における異なる部位に形成された複数の前記突起を備えていることを特徴としている。
【0036】
また、前記突起の表面、あるいは、当該突起の近傍の射出成形部品表面部分には、当該突起の長さを確認するための凹凸状の目盛りが一体成形されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0037】
本発明の電子式流量計における流量演算処理回路等が実装されている電子回路部を封入するために用いるユニットケースにおいては、樹脂の射出成形品からなる当該ユニットケースを射出成形する際の溶融樹脂材料の流動性を示す突起が一体成形されている。この突起の状態を目視により確認することにより、ユニットケースが不良品であるか否かを判別できる。よって、ユニットケースの破壊検査、寸法検査などを行うことなく、ユニットケースが不良品であるか否かを判別できる。
【0038】
同様に、本発明の流量計の射出成形部品では、当該射出成形部品を射出成形する際の溶融樹脂材料の流動性を示す突起が一体成形されている。この突起の状態を目視により確認することにより、射出成形品が不良品であるか否かを判別できる。よって、射出成形品の破壊検査、寸法検査などを行うことなく、射出成形品が不良品であるか否かを判別できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下に、図面を参照して、本発明を適用したユニットケースを備えた電子式水道メータの実施の形態を説明する。
【0040】
図1は電子式水道メータを示す概略縦断面図であり、図2はユニットケースを示す側面図である。電子式水道メータ1は、メータケース2と、ここに取り付けられた電子ユニット3と、電子ユニット3をメータケース2に固定している固定用環状部材4とから構成されている。
【0041】
メータケース2は、ほぼ円形断面をした流水路21を備え、この流水路21には流量計測用の羽根車22が流水方向に直交する回転軸23を中心として回転自在の状態で配置されている。流水路21の入口24から出口25に向けて流れる水量に応じて羽根車22が回転する。この羽根車22が配置されているメータケース2の部分は、流水方向に直交する方向に延びている電子ユニット収納用円筒部26となっている。
【0042】
電子ユニット3は、円筒状のユニットケース31と、ここに内蔵された流量演算部32および液晶表示部33等を含む電子回路部30とを備えている。流量演算部32は磁気センサ34を備えており、この磁気センサ34は、ユニットケース31の底面に配置され、当該ユニットケース底板の中央部分31aを介して、羽根車22の先端部に内蔵されている一対の永久磁石35に対峙している。羽根車22と共に永久磁石35が回転して回転磁界を発生させ、この回転磁界が磁気センサ34によって検出される。流量演算部32は磁気センサ出力に基づき水量を演算し、算出された水量等を液晶表示部33に表示させる。液晶表示部33の表示面に対峙するユニットケース31の上面部分には透明板36が取り付けられている。また、ユニットケース31の上面側は開閉蓋37によって覆い隠されている。
【0043】
固定用環状部材4は、その内周面に雌ねじ部41が形成され、この雌ねじ部41がメータケース2の電子ユニット収納用円筒部26の先端部分における外周面に形成されている雄ねじ部42に螺合している。この固定用環状部材4の内周面には上側から電子ユニット3を押し下げるための電子ユニット固定用環状段面43が形成されており、メータケース側の電子ユニット収納用円筒部26の内周面には、下側から電子ユニット3を押し上げるための電子ユニット固定用環状段面44が形成されている。電子ユニット3のユニットケース31の外周面には、これらに当接する環状段面45、46が形成されている。また、固定用環状部材4には、電子ユニット収納用円筒部26の円環状上端面26aに対峙する下向きの円環状段面47が形成されている。
【0044】
この円環状上端面26aと円環状段面47の間にOリング48を挟んだ状態となるように、固定用環状部材4がメータケース2の電子ユニット収納用円筒部26に上側から差し込まれている。この状態で、固定用環状部材4が電子ユニット収納用円筒部26にねじ込まれて、電子ユニット3がメータケース2に気密状態で固定されている。
【0045】
(ユニットケース)
電子ユニット3のユニットケース31は、ケース本体5(第1ケース片)とケース蓋6(第2ケース片)から構成されている。ケース本体5は上方に開口しているカップ形状のものであり、円形の底板部分51と、この外周縁から垂直に起立している円筒状の側板部分52を備え、上側が円形開口部とされている。ケース蓋6は下方に開口している浅いカップ形状のものであり、円形の天板部分61と、この外周縁から下方に垂直に延びている円筒状の側板部分62を備えている。これらケース本体5およびケース蓋6は、共に樹脂の射出成形品であり、相互に気密状態で接合されて、内部に電子回路部30が封入されている。
【0046】
ケース本体5の側板部分52の上端部分には、一段広くなった側板部分53が形成されており、この内周面54および環状段面55により規定されている環状段部に、上側からケース蓋6の側板部分62の先端部分63が嵌め込まれている。これら環状段面55と、先端部分63の環状端面64とが、気密状態で接合されている。
【0047】
これらのケース本体5およびケース蓋6は、例えば、耐水性、耐圧性などに優れたPPS樹脂の射出成形品からなっている。
【0048】
(成形良否判定用の突起)
図3(a)はケース蓋6を示す概略斜視図である。図2および図3(a)に示すように、PPS樹脂の射出成形品からなるケース蓋6の円筒状の側板部分62の外側表面62aには、細長い三角形状をした成形良否判定用の突起10が一体成形されている。突起10はケース蓋6の組付けの際に邪魔にならない部位に位置していると共に、ケース蓋6の射出成形時における溶融樹脂材料の流動性に対応する長さを有している。また、本例では、この突起10の上側に隣接する外側表面62aの部位に一定間隔に配列された複数本(本例では4本)の凸状の縦筋からなる目盛り11(1)〜11(4)も一体成形されている。
【0049】
図3(b)はケース蓋6を射出成形するための金型キャビティの概略横断面図であり、図3(c)はその突起成形用の溝を示す説明図である。ケース蓋6を射出成形するための金型キャビティ15を規定している金型成形面には、突起成形用の細長い三角形の溝16が形成されている。金型キャビティ15には、ケース蓋6の円筒状の側板部分62の外側表面における突起形成位置から最も離れた部位にゲート17が設けられており、ここから金型キャビティ15の内部に射出された溶融樹脂材料は、矢印で示すように、側板部分62に対応する円筒状のキャビティ15に沿って反対側に形成されているガス抜き穴18に向かって流れ、当該ガス抜き穴18の位置において合流して、キャビティ内に充填される。
【0050】
突起成形用の溝16は、キャビティ15内における溶融樹脂材料の流れ方向のほぼ末端位置に形成されており、当該溶融樹脂材料の流れ方向に沿って形成されている。また、その溝の断面積が流れ方向に沿って漸減するように、幅および深さが設定されている。一方、溝16の上側には、目盛り11(1)〜11(4)を成形するための細い縦溝19(1)〜19(4)が形成されている。
【0051】
なお、このような突起10を、ケース蓋6の外側表面の複数の個所に形成しておいてもよい。また、形成位置としては、ケース蓋6の円筒状の側板部分62の外側表面62aに限らず、その内側表面、天板部分61の外側表面あるいは内側表面に形成することもできる。
【0052】
また、図示および説明を省略したが、本例ではケース本体5にも同様な突起が形成されている。ケース本体5に形成される突起も、その円筒状の側板部分52の外側表面、内側表面、その底板部分51の外側表面、内側表面などに形成することができる。また、突起を1箇所でなく、複数の箇所に形成することもできる。
【0053】
(突起による成形の良否判定)
上記の溝16によって形成される突起10は、金型キャビティ15内における溶融樹脂材料の流れ方向に沿って断面積が漸減している形状のものとなる。
【0054】
金型キャビティ15内に溶融樹脂材料を射出すると、キャビティ15内のガスが溶融樹脂材料によって押し出されながらキャビティ内15に溶融樹脂材料が充填されていく。溶融樹脂の流れ方向に沿って断面積が漸減している突起10を成形するために、金型キャビティ15の内周面には断面積が流れ方向に沿って漸減する形状の突起成形用の溝16が形成される。金型キャビティ15内のガスは射出された溶融樹脂材料に押されて当該溝16内の先端部分にトラップされる。溶融樹脂材料の流動性が高い場合にはガスのトラップ量が少なく、流動性が低い場合にはガスのトラップ量が多くなる。
【0055】
図4(a)、(b)に示すように、ガスAのトラップ量が少ないと、溝16内の先端まで溶融樹脂材料が流れ込む。図4(c)、(d)に示すように、ガスAのトラップ量が多い場合には溝16内の先端側には流れ込まないまま溶融樹脂材料が硬化する。この結果、流動性が高い場合にはケース蓋6の外周面に一体成形される突起10が長くなり、流動性が低い場合には突起10が短くなる。したがって、突起10の長短に基づき溶融樹脂材料の流動性の高低が分かる。
【0056】
本例では、4本の目盛り11(1)〜11(4)も形成される。図4(a)、(b)に示すように溝16の先まで溶融樹脂材料が流れ込んで硬化した場合には、目盛り11(3)あるいは11(4)の位置まで延びる長い突起10が成形される。これに対して、図4(c)、(d)に示すように、溝16の先まで溶融樹脂材料が流れ込まないまま硬化した場合には、目盛り11(1)あるいは11(2)に達する程度の短い突起10が形成される。
【0057】
射出成形により得られたケース蓋6の突起10を、離型直後に、目視により確認することにより、突起10の長短が分かる。例えば、流動性が低い場合に得られる目盛り11(3)に至らない短い突起10が形成されている場合には、成形不良であると判断できる。勿論、目標とする成形条件に応じて、突起10の長短による成形不良の判別基準は異なったものとなる。
【0058】
なお、ケース本体5についても、そこに形成される突起の長短に基づき、その成形の良否を同様に判別できる。
【0059】
(突起の各例)
図5には成形良否判別用の突起の各種の形状を示してある。図5(a)および(b)に示す突起10Aは、溶融樹脂材料の流れ方向に沿って平面形状が先細りとなっているが、その高さは一定のものである。図5(c)および(d)に示す突起10Bは、溶融樹脂材料の流れ方向に沿って平面形状は一定幅であるが、その高さが漸減しているものである。図5(e)および(f)に示す突起10Cは、図3に示す突起10と同様に、溶融樹脂材料の流れ方向に沿って平面形状および高さ共に先細りとなっているものである。
【0060】
一方、成形良否判定用の突起としては、図5(g)に示すように、ユニットケースの外側表面あるいは内側表面に沿った方向に形成されている上記の突起の他に、これらの表面から離れた方向、例えば垂直に突出している形状のものでもよい。
【0061】
(その他の実施の形態)
上記の例は本発明を電子式水道メータのユニットケースに適用した場合のものである。本発明は電子式水道メータ以外の電子式流量計のユニットケースに対しても同様に適用可能である。
【0062】
また、本発明は機械式指示機構が内蔵されている乾式流量計などの各種の流量計における樹脂の射出成形品に対しても同様に適用可能である。例えば、乾式流量計の受圧ケースに対して本発明を適用可能である。
【0063】
また、流量計における羽根車、整流板、インナーケースなどの各種の樹脂の射出成形品に対しても本発明を同様に適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明を適用した電子式水道メータの概略断面図である。
【図2】ユニットケースを取り出して示す側面図である。
【図3】ケース蓋を示す斜視図、その射出成形用の金型キャビティの横断面を示す説明図、および、金型キャビティの溝形成部分を示す説明図である。
【図4】(a)および(b)は長い突起が形成されている場合の状態を示す説明図であり、(c)および(d)は短い突起が形成される場合の状態を示す説明図である。
【図5】(a)および(b)、(c)および(d)、並びに、(e)および(f)は、それぞれ、突起の各例を示す平面図および断面図であり、(g)は突起の別の例を示す断面図である。
【符号の説明】
【0065】
1 電子式水道メータ
2 メータケース
3 電子ユニット
4 円環状固定部材
30 電子回路部
31 ユニットケース
5 ケース本体
51 底板部分
52 円筒状の側板部分
6 ケース蓋
61 天板部分
62 円筒状の側板部分
62a 外側表面
10、10A、10B、10C、10D 成形良否判定用の突起
11(1)〜11(4) 目盛り
15 金型キャビティ
16 溝
17 ゲード
18 ガス抜き穴
19(1)〜19(4) 縦溝
【出願人】 【識別番号】000222657
【氏名又は名称】東洋計器株式会社
【出願日】 平成18年7月4日(2006.7.4)
【代理人】 【識別番号】100090170
【弁理士】
【氏名又は名称】横沢 志郎


【公開番号】 特開2008−14725(P2008−14725A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−184837(P2006−184837)