トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 電子式水道メータ
【発明者】 【氏名】西浦 雅人

【要約】 【課題】非常事態時などに水道使用量の積算値データを保持でき、且つ、水道水の逆流による計測誤差を防止し、電池の消費電力を低減させる。

【構成】電子式水道メータ11は、水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車14を計量部15に有し、羽根車14の回転数を複数の歯車28等を介して伝達し積算表示する。歯車28の歯車軸27には回転部材30を一体に設け、該回転部材30の光反射部32を光センサ33〜35で間欠的にセンシングして羽根車14の回転状態を検出する。該光センサ33〜35には、記憶部40、正逆転判定部41及び演算・積算回路部42を有するマイクロコンピュータ39に接続し、羽根車14の正転又は逆転に対応して積算値を加算又は減算し、該積算値は無線機44にて外部に送受信され、該無線機44の電源電池47は水道メータ本体部に内蔵する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、
前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、円周上に光反射部等の被検出部を有する回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転方向などの回転状態をセンシングするための光センサを3個以上配設し、
該光センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備えることを特徴とする電子式水道メータ。
【請求項2】
上記被検出部の数が1箇所であり、且つ、上記光センサの数が3個であって、該3個の光センサは上記回転部材の回転方向に沿って所定間隔を有して配置され、更に、上記マイクロコンピュータは、前記3個の光センサから送出される検出信号の入力順番に基づき上記羽根車の回転方向を判断する正逆転判定部を備えることを特徴とする請求項1記載の電子式水道メータ。
【請求項3】
水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、
前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、円周に沿って被検出部たる一対のN極とS極を配置して成る回転部材を、前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転状態をセンシングするための磁気センサを2個配設し、
該2個の磁気センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備えることを特徴とする電子式水道メータ。
【請求項4】
上記マイクロコンピュータは、上記2個の磁気センサから送出される検知信号の位相差に基づき上記羽根車の回転方向を判断する正逆転判定部を備えることを特徴とする請求項3記載の電子式水道メータ。
【請求項5】
上記光センサ又は磁気センサは間欠的に駆動してセンシングを行うことを特徴とする請求項1,2,3又は4記載の電子式水道メータ。
【請求項6】
水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、
前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、被検出部を有する回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転状態をセンシングするための光センサ、磁気センサ等の検出センサを配設し、
該検出センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備え、
更に、前記積算値データ等を外部に送受信して無線検針を行うための無線機を前記マイクロコンピュータに接続し、該無線機に電源を供給する電池を前記水道メータの本体部に配設したことを特徴とする電子式水道メータ。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は電子式水道メータに関するものであり、特に、羽根車の回転を歯車で減速して積算値を機械的に表示でき、且つ、該積算値を記憶部に保持して外部に送出できるように構成した電子式水道メータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、此種電子式水道メータ1は一般に、図15に示すように、計量部2内に、永久磁石3が上頭部に固定された羽根車4を回転可能に設け、計量部2を通過する水道水の流量に応じて羽根車4を回転させ、前記永久磁石3の回転数を磁気センサ(流量センサ)5により検知するように構成されている。そして、該磁気センサ5により検知された信号を、プリント回路基板6に搭載されたマイクロコンピュータ(制御手段)の内部回路にて演算・積算処理し、その処理結果を記憶部に積算値データとして記憶保持し、該積算値データを液晶表示部7に送出して、液晶表示する様に構成されている。尚、図中、8はレジスターボックス、9は指示窓、10は電池である。
【0003】
又、無線通信機能を有する電子式水道メータにあっては、前記積算値データをシリアル通信で受け取る無線機を備え、外部の自動検針器にデータ送信できるように構成されている。これにより、前記積算値は、電子式水道メータから離れた場所からでも、検針データを容易に知ることができる(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−257273号公報。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記従来の電子式水道メータは、積算値として液晶表示するように構成しているが、電子式であるために、落雷などによって記憶部などが破壊されたり、或いは、マイクロコンピュータ等に電源を供給する電池の寿命が無くなった時、計測不良な状態に陥ることがある。このような非常事態時になると、最悪の場合、積算値のデータが保持できないという不具合を生じる。
【0005】
又、電子式水道メータは、羽根車の回転数を磁気センサによりデジタル変換する方式を採用しているが、機械式水道メータに比べて、磁気による悪影響を受け易いということが判っている。従って、磁気の影響を受けにくい安定した計測結果を得るためには、機械式水道メータの方が優れているが、この場合、水道水の逆流に起因する計測誤差を無くして、高い計測精度を確保する必要がある。
【0006】
更に、一般に電子式水道メータと前記無線機には専用の電源電池(一次電池)が夫々内蔵されている。このため、コスト寄与率の高い部品、即ち、電力消費量の大きい電池を重複して別個に使用する結果となり、コスト的に不利になるという問題があった。
【0007】
そこで、非常事態時に水道水の積算値データを安定に保持でき、且つ、水道水の逆流による計測誤差を防止し、電池の使用コストを低減させるようにするために解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、請求項1記載の発明は、水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて
、前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、円周上に光反射部等の被検出部を有する回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転方向などの回転状態をセンシングするための光センサを3個以上配設し、該光センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備えて成る電子式水道メータを提供する。なお、回転部材は前記歯車と一体に回転するように構成されれば、歯車と連動連結したものでもよいし、該歯車に一体に設けたものでもよく、具体的な実施形態は特に限定されない
【0009】
この構成によれば、上記羽根車の回転に伴い、歯車と一体に回転部材が回転すると、該回転部材の被検出部(例えば、光反射部、光遮断部、スリット等)は3個以上の光センサにより検出され、前記羽根車の回転状態がセンシングされる。そして、該光センサの検出信号はマイクロコンピュータの演算・積算回路部に送出され、前記羽根車が正転の時は積算値が加算される一方、前記羽根車が逆転の時は積算値が減算される。この積算値は上記記憶部に記憶され、電子カウンタにて表示される。又、要求に応じて該記憶データは、外部に接続された自動検針器などに送信される。この信号処理方式は光学的に演算・積算処理を行うので、外部からの磁力に対して影響を殆ど受けない。
【0010】
請求項2記載の発明は、上記被検出部の数が1箇所であり、且つ、上記光センサの数が3個であって、該3個の光センサは上記回転部材の回転方向に沿って所定間隔を有して配置され、更に、上記マイクロコンピュータは、前記3個の光センサから送出される検出信号の入力順番に基づき上記羽根車の回転方向を判断する正逆転判定部を備えて成る請求項1記載の電子式水道メータを提供する。
【0011】
この構成によれば、3個の光センサは、回転部材の円周方向において所定間隔を有して配設される。そして、3個の光センサにより、回転部材の被検出部を順番に検出して、各検出信号を順次マイクロコンピュータの正逆転判定部に送出する。その結果、予め定めた番号1、番号2及び番号3の各光センサの入力順番と一致した場合、羽根車の回転方向は「正転」であると判定され、これと逆の入力順番の場合は、羽根車の回転方向は「逆転」であると判定される。
【0012】
請求項3記載の発明は、水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、円周に沿って被検出部たる一対のN極とS極を配置して成る回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転状態をセンシングするための磁気センサを2個配設し、該2個の磁気センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備えて成る電子式水道メータを提供する。
【0013】
この構成によれば、上記羽根車の回転に伴い、上記歯車と一体に回転部材が回転すると、該回転部材に設けた被検出部、即ち、N極とS極は2個の磁気センサにより検出され、前記羽根車の回転状態がセンシングされる。そして、2個の磁気センサの検出信号はマイクロコンピュータの演算・積算回路部に送出され、羽根車が正転の時は積算値に加算処理が行われる一方、該羽根車が逆転の時は積算値に逆算処理が行われる。この積算値は上記記憶部に記憶され、要求に応じて該記憶データは、外部に接続された自動検針器などに送信される。
【0014】
請求項4記載の発明は、上記マイクロコンピュータは、上記2個の磁気センサから送出される検知信号の位相差に基づき上記羽根車の回転方向を判断する正逆転判定部を備えて成る請求項3記載の電子式水道メータを提供する。
【0015】
この構成によれば、2個の磁気センサの検知信号をマイクロコンピュータの正逆転判定部に送出され、該正逆転判定部は、2つの検知信号の位相差を羽根車の正転時の位相差と比較し、一致すれば正位相、即ち、羽根車が「正転」状態であると判断され、そうでない場合は「逆転」であると判断される。
【0016】
請求項5記載の発明は、上記光センサ又は磁気センサは間欠的に駆動してセンシングを行う請求項1,2,3又は4記載の電子式水道メータを提供する。
【0017】
この構成によれば、上記光センサ又は磁気センサは、羽根車の回転速度等に応じて設定した周期ごとに間欠駆動される。即ち、前記センサには、必要な時間のみ駆動電流が供給される。
【0018】
請求項6記載の発明は、水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、被検出部を有する回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転状態をセンシングするための光センサ、磁気センサ等の検出センサを配設し、該検出センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備え、更に、前記積算値データ等を外部に送受信して無線検針を行うための無線機を前記マイクロコンピュータに接続し、該無線機に電源を供給する電池を前記水道メータの本体部に配設して成る電子式水道メータを提供する。
【0019】
この構成によれば、前記無線機に電源を供給する電池は、地中の所定深さに設置した水道メータの本体部に配設される。従って、特に寒冷地において無線機を地表近傍に取り付けた場合でも、電池は地表よりも温度低下の小さい地中に配置されるので、気温低下による悪影響が殆どない。又、この電池は無線機と水道メータに内蔵された電子部品(マイクロコンピュータ部品、センサ部品等)の電源として併用される。
【発明の効果】
【0020】
請求項1記載の発明は、歯車連動伝達方式であるので、仮に落雷や電池寿命等により計測不能状態に陥っても、積算値はそのまま保存され、且つ、外部データ出力機能を除く主なメータ機能も良好に維持することができる。又、羽根車の回転状態はフォトインタ−ラプタ等の光学的方法にてセンシングして信号変換するので、外部からの磁力に対して影響を受けにくい安定した計測結果が得られる。更に、羽根車が逆転した場合は、積算値を減算して補正するので、水道水の逆流による誤計測を防止して、水道水使用量を常に正確に算出することができる。
【0021】
請求項2記載の発明は、羽根車の回転方向の判定は3個の光センサにより行うので、請求項1記載の発明の効果に加えて、光センサの数が必要最小限で済み、構造が簡単であり、羽根車の回転方向を正確に検知することができる。
【0022】
請求項3記載の発明は、請求項1記載の発明の効果と同様に、仮に落雷や電池寿命等により計測不能状態に陥っても、積算値はそのまま保存でき、外部データ出力機能は除く主なメータ機能も良好に維持することができる。又、磁気センサの数は2個で済み、簡単な
構造であり、羽根車の逆転による誤計測を防止することができる。
【0023】
請求項4記載の発明は、2個の磁気センサの検知信号の位相差により、羽根車の回転方向を判別するので、請求項3記載の発明の効果に加えて、正逆転判定部などの回路構成を一層シンプルにでき、且つ、羽根車の回転数及び回転方向を正確に把握できるメリットがある。
【0024】
請求項5記載の発明は、上記光センサ又は磁気センサは間欠的に駆動されるので、請求項1,2,3又は4記載の発明の効果に加えて、不必要な電流供給が無くなり、その分だけ電流消費量を低減してコスト的に有利になる。
【0025】
請求項6記載の発明は、無線機に電源を供給するための電池は、地表側よりも気温低下の少ない地中に配置したので、温度低下に伴う電池の性能低下又は寿命低下が防止される。又、前記電池は無線機と水道メータ本体の電源として兼用されるので、コスト的及び設置スペース的に有利になるメリットがある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明は、非常事態時において積算値(水道使用流量)のデータを安定に保持でき、且つ、水道水の逆流による計測誤差を防止し、電源電池の使用コスト等を低減させるという目的を、水道水の流量に応じて回転数が増減する羽根車を有し、且つ、該羽根車の回転数を複数の歯車を介して数字車に伝達して該回転数の積算値を表示するようにした水道メータにおいて、前記複数の歯車のいずれか1つの歯車軸に、被検出部を有する回転部材を前記歯車と一体に回転するように設けると共に、該被検出部を検出して前記羽根車の回転状態をセンシングするための光センサ、磁気センサ等の検出センサを配設し、該検出センサにマイクロコンピュータを接続し、該マイクロコンピュータは、前記羽根車が正転の時に前記積算値に加算処理を行い、且つ、該羽根車が逆転の時に前記積算値に減算処理を行う演算・積算回路部と、該積算値データを記憶する記憶部とを備え、更に、前記積算値データ等を外部に送受信して無線検針を行うための無線機を前記マイクロコンピュータに接続し、該無線機に電源を供給する電池を前記水道メータの本体部に配設したことにより実現した。
【実施例】
【0027】
以下、本発明の一実施例を図1乃至図8に従って詳述する。図1は本実施例に係る電子式水道メータの概略構成を示す縦断面図である。同図において、11は電子式水道メータであって、相互一体に組付けた下ケース12と上ケース13を備え、下ケース12には、羽根車14が回転自在に設けられた計量部15が形成されている。又、上ケース13の上部は透明なカバー16により施蓋され、このカバー16は凹部を有している。更に、上ケース13内側には、下側有底型のレジスターボックス17が固定され、レジスターボックス17内には指示表示部18が形成されている。
【0028】
計量部15内は水道水が流れる通路であって、水道水の流量に応じて羽根車14の回転数が増減する。この羽根車14の上頭部には駆動側マグネット19が取り付けられ、該マグネット19は、レジスターボックス17上面に回転可能に設けた歯車20付きの被駆動側マグネット21に磁気結合されている。従って、水道水の通過により羽根車14が回転すると、その回転力は駆動側マグネット21に伝達されて歯車20が回転する。尚、歯車20は羽根車14と一体回転するように連結することもできる。
【0029】
又、前記指示表示部18には数字車22が配置され、数字車22と前記歯車20との間には、複数個の歯車から成る減速用歯車列が駆動伝達可能に設けられている。この減速用歯車列及び歯車20付きのマグネット21を介して、前記羽根車14の回転は数字車22
に伝達される。これにより、数字車22は羽根車14の回転数に応じた積算値を表示する。尚、数字車22と対応する前記カバー16の箇所には指示窓23が形成されている。なお、24はカバー16の上面側に設けた透明な基板ケースである。
【0030】
指示表示部18内における数字車22と反対側の箇所には、下台板25と上台板26が固設され、該下台板25に歯車軸27が一体に設けられている。この歯車軸27には歯車28が回転自在に取り付けられ、該歯車28は上記減速用歯車列の一つを構成している。又、この歯車軸27の上端部は、図2に示すように、上台板26に穿設した孔29を貫通している。この歯車軸27の上端部には、回転部材30が歯車28と一体に回転するように設けられ、該回転部材30は上台板26の上側に配置されている。
【0031】
更に、回転部材30上面の外周縁部における1箇所には、図3に示すように、被検出部である略扇形の光反射部32が形成されている。又、該回転部材30と対向する固定部、ここでは、基板ケース24に固定したプリント回路基板31の下側固定面に、第1〜第3の光センサ(検知センサ)33〜35が3個配設されている。第1〜第3の各光センサ33〜35は、図3に示すように、回転部材30の円周方向において3等分した箇所と対応する各位置、即ち、回転部材30の回転方向に沿って所定角度、図示例では120°間隔を有して配設されている。
【0032】
各第1〜第3の光センサ33〜35は、ここでは発光素子36と受光素子37から成る反射型の光検出器であって、該光反射部32を検出して前記羽根車14の回転状態、即ち、回転方向、回転数、回転速度を検出すべく間欠的にセンシングする。発光素子36から出射された光線は、回転する回転部材30の光反射部32に当たって反射した後、受光素子37に戻り、光電変換してデジタル信号を出力する。
【0033】
前記プリント回路基板31には、図6に示すように、制御手段たるマイクロコンピュータ39が搭載され、マイクロコンピュータ39には、3個の第1〜第3の光センサ33〜35が接続されている。マイクロコンピュータ39は、記憶部40、正逆転判定部41及び演算・積算回路部42を備えている。ここでは、第1の光センサ33を基準にして、第1〜3の第1〜第3の光センサ33〜35の検出信号がこの順番で、マイクロコンピュータ39に送出される。
【0034】
正逆転判定部41は、第1〜第3の光センサ33〜35からの検出信号を入力して、該検出信号の入力順番を判別して、羽根車14の回転方向を判断する。尚、水道水が順方向に通過するときの羽根車14及び回転部材30の回転方向を正転と定義する。又、演算・積算回路部42は、正逆転判定部41の判定結果に応じて、羽根車14の回転数を加算又は減算して積算値を算出する。更に、記憶部40は、第1〜3の光センサ33〜35からの検出信号を一時保持すると共に、演算・積算回路部42で算出された積算値等のデータを記憶し、該記憶データを要求に応じて外部に送信する。
【0035】
さらに、マイクロコンピュータ39にはケーブル43を介して無線機44が接続され、無線機44は、例えば、電子式水道メータ11が設置されたメーターボックスの蓋部直下側(図示せず)の地表近傍に配設される。無線機44は、プリント回路基板45及びアンテナ46等を備え、該プリント回路基板45には、無線通信回路を形成する電子部品が搭載されている。この無線機44は、外部の無線ユニット又は管理サーバ等からの指令信号を受信したり、或いは、前記記憶データを外部の無線ユニット等に送信する。
【0036】
又、47は該無線機44に電源を供給するための電池であって、該電池47は、電子式水道メータ11の本体上部、ここでは前記カバー16の凹部に設置されている。この電池47は、電子式水道メータ11に内蔵されたマイクロコンピュータ39、第1〜第3の光
センサ33〜35等の電源としても使用されている。尚、マイクロコンピュータ39の記憶部40には、前記積算値等をデジタル表示するための液晶表示部を接続することができる。
【0037】
次に、上記センサ信号の演算・積算処理について詳しく説明するが、第1〜3の光センサ33〜35の検出信号を夫々第1〜3の出力S1〜S3と定める。今、水道水が順方向に流れて、羽根車14が正転方向に1回転したとすると、第1〜3の光センサ33〜35は、図7に示すように、第1の出力S1、第2の出力S2、第3の出力S3及び第1の出力S1の順番で検知して、マイクロコンピュータ39の記憶部40に記憶保持される。
【0038】
この記憶データは、正逆転判定部41に送出される。正逆転判定部41では、検出信号の入力順番が上記の順番であることを感知したうえで、 羽根車14の回転方向が「正転」であると判定し、その結果を演算・積算回路部42に送る。すると、演算・積算回路部42は現在の積算値に1だけ加算(+1)処理を行う。要するに、この加算処理では第1の出力S1が検知される前に、第2の出力S2及び第3の出力S3がこの順番で検知された時には+1カウントされる。
【0039】
上記とは異なり、水道水が逆流して、羽根車4が逆方向に1回転したとすると、第1〜3の光センサ33〜35の検出信号は、図8に示すように、第1の出力S1、第3の出力S3、第2の出力S2及び第1の出力S1の順番で検知して、マイクロコンピュータ39の記憶部40に記憶保持される。
【0040】
この記憶データは、前述と同様に、正逆転判定部41に送出され、正逆転判定部41では、検出信号の入力順番が前記の順番であることを感知したうえで、 羽根車14の回転方向が「逆転」であると判定し、その結果を演算・積算回路部42に送る。すると、演算・積算回路部42は現在の積算値に1だけ減算(−1)処理を行う。要するに、この減算処理では、第1の出力S1が検知される前に、第3の出力S3及び第2の出力S2がこの順番で検知された時には−1カウントされる。
【0041】
本実施例では、第1〜3の光センサ33〜35からマイクロコンピュータ39の正逆転判定部41に入力された検出信号が同一番号である場合、すなわち、第1の出力S1、第2の出力S2又は第3の出力S3のいずれかが連続して入力された場合は、第1の光センサ33、第2の光センサ34又は第3の光センサ35のいずれか1個のみから入力があったものと見做して処理する。
【0042】
又、第1の出力S1が検知された後、第2の出力S2、第3の出力S3及び第1の出力S1が検知された場合に、羽根車14が1回転した旨の認定がなされるのは、第2の出力S2及び第3の出力S3のパルス数が同数のときのみとし、これを加算処理又は減算処理の対象とする。
【0043】
このように、水道水の逆流に伴い羽根車4が逆回転した場合は、減算処理して積算値を補正する。従って、水道水の逆流によって生じる誤算出を防止して、水道水使用量を常に正確に計測することができる。
【0044】
又、本発明は、歯車伝達方式の機械的構造を具備しているので、前記羽根車14の回転数を複数の歯車28等を介して数字車22に伝達し、該回転数の積算値を表示することができる。従って、仮に落雷や電池寿命等により計測不能状態に陥った場合であっても、積算値はそのまま保存され、主なメータ機能(外部データ出力機能を除く)も良好に維持することができる。
【0045】
更に、羽根車14の回転状態は光学的にセンシングして、水道水使用量の演算・積算処理を行うため、磁気の影響を殆ど受けず、正確な計測結果が長期間安定して得られる。又、第1〜第3の光センサ33〜35によるセンシングは間欠駆動して行うので、光センサ33〜35に供給される消費電気量が低減する。
【0046】
更に又、無線機44を地表近傍に取り付けた場合でも、無線機44に電源を供給する電池47は、電子式水道メータ11の本体上部に内蔵されている。従って、電池47を地表近傍に設置した場合に比べて、気温の低下が小さくなる。斯くして、温度低下に伴う電池47の性能低下などが殆ど無く、長期間に渡って電池を安定して使用できる。
【0047】
次に、本発明の他の実施例を図9〜図14に従って説明する。本実施例は前記実施例とは、羽根車の正逆回転を検知する手段として、上記3個の光センサ及び光反射部付き回転部材に代えて、2個の磁気センサ50,51及び着磁部(被検出部)付きの回転部材52を使用した点が相違する。他の構成は前記実施例と同様であるので、同一の部品にはそれと同一の符号を付して説明する。
【0048】
前記実施例と同一の機械的構成を有する電子式水道メータにおいて、図9に示すように、歯車軸27の上端部は、上台板26側の孔29を貫通している。この歯車軸27の上端部には、回転部材52が一体に固定して設けられ、該回転部材52は上台板26の上側に配置されている。本実施例では、回転部材52は、円周に沿って一対のN極とS極(被検出部)を配置して成る円板形の磁石から構成されている。
【0049】
前記N極とS極は、図11に例示するように、回転部材52の円周方向において180°の間隔を有して形成されている。又、回転部材52の側方近傍の固定部、ここではプリント回路基板31の下面又は該下面に形成した突起に、正逆転用検知センサである第1,第2の磁気センサ50,51が2個固定されている。第1の磁気センサ50と第2の磁気センサ51は、前記N極とS極を感知するが、これらセンサ出力T,T2は所定の位相差が生じるように、ここでは、図示例の回転部材52の円周方向に沿って45°の間隔を有して配置されている。更に、第1,第2の磁気センサ50,51は回転部材52の回転を電磁気的に検出して、デジタル信号に変換する。
【0050】
本実施例では、第1,第2の磁気センサ50,51は、図10に示すように、プリント回路基板31に搭載したマイクロコンピュータ39に接続されている。このマイクロコンピュータ39は、記憶部40、正逆転判定部41及び演算・積算回路部42を備えている。ここでは、第1の磁気センサ50の検出信号と第2の磁気センサ51の検出信号はこの順番で、マイクロコンピュータ39に送出される。
【0051】
回転部材52が正回転した場合と逆回転した場合とでは、第1,第2の磁気センサ50,51によって検出される位相は180°異なる。この位相差を判別することにより、回転部材52の回転方向が検出される。又、第1,第2の磁気センサ50,51から出力されるパルス数をカウントすることにより、回転部材52の回転数の積算値等が算出される。
【0052】
次に、上記センサ信号の処理について詳しく説明する。今、水道水が順方向に流れて、回転部材52が正方向に1/2回転したとすると、図12に示すように、第1の磁気センサ50がN極を検出した後に、45°遅れて第2の磁気センサ51がN極を検出する。第1,2の磁気センサ50,51で検知された出力波形T1,T2はマイクロコンピュータ39の記憶部40に記憶される。
【0053】
次いで、該記憶データは記憶部40から正逆転判定部41に送出され、羽根車の回転方
向が「正転」であると判定され、その結果を演算・積算回路部42に送る。すると、演算・積算回路部42は、回転部材52が180°回転した時に、現在の積算値に1だけ加算(+1)処理を行う。要するに、この加算処理では、第1の磁気センサ50がN極を検出した後に、第2の磁気センサ51がN極を検出し、且つ、回転部材52が1/2回転した時に+1カウントされる。
【0054】
一方、水道水が逆流して、羽根車及び回転部材52が逆方向に1/2回転したとする(図13参照)。すると、図14に示すように、第2の磁気センサ51がS極を検出した後に、45°遅れて第1の磁気センサ50がS極を検出し、該検出された出力波形T1,T2はマイクロコンピュータ39の記憶部40及び正逆転判定部41に送出される。そして、正逆転判定部41では、羽根車の回転方向が「逆転」であると判定し、その結果を演算・積算回路部42に送る。
【0055】
而して、演算・積算回路部42は、回転部材52が180°回転した時に、現在の積算値に1だけ減算(−1)処理を行う。要するに、この減算処理では、第2の磁気センサ51がN極を検出した後に、第1の磁気センサ50がN極を検出し、且つ、回転部材52が1/2回転した時に−1カウントされる。
【0056】
このように、水道水の逆流に伴い羽根車が逆回転した場合は、減算処理して積算値を補正する。従って、水道水の逆流による算出誤差を防止して、水道水の使用量を常に正確に計測することができる。
【0057】
本実施例では、第1,第2の磁気センサ50,51の消費電流が大きいので、消費電流の低減化のために、第1,第2の磁気センサ50,51を間欠的にサンプリングして動作させる。この場合、第1,第2の磁気センサ50,51の電源を間欠的にサンプリングさせると、そのセンサ出力も間欠的にサンプリングされる。
【0058】
そこで、第1,第2の磁気センサ50,51により検出された出力波形を整形して、図示の出力波形に戻すものとする。尚、前記間欠的サンプリングの動作機構、及び出力波形の整形機能は、マイクロコンピュータ39に搭載されているため、該マイクロコンピュータ39を介して、第1,第2の磁気センサ50,51の動作制御が行われる。
【0059】
このように、第1,第2の磁気センサ50,51によるセンシングは間欠駆動して行われているので、第1,第2の磁気センサ50,51に供給される消費電気量は、連続駆動した時に比べて低減する。又、本実施例においても、上記実施例同様に、仮に落雷や電池寿命等により計測不能状態に陥っても、積算値はそのまま保存され、主なメータ機能も良好に維持される。
【0060】
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、そして、本発明が該改変されたものにも及ぶことは当然である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る一実施例を示し、電子式水道メータの概略構成を説明する縦断面図。
【図2】図1の電子式水道メータの光反射部付き回転部材付近を示す拡大図。
【図3】図2の光反射部付き回転部材を示す平面図。
【図4】図1の電子式水道メータの光センサの位置を示す説明図。
【図5】一実施例に係る光センサの検出状態を示す説明図。
【図6】一実施例に係る光反射部付き回転部材が正回転する時の光センサのパルス信号を説明する出力波形図。
【図7】一実施例に係る光反射部付き回転部材が逆回転する時の光センサのパルス信号を説明する出力波形図。
【図8】一実施例に係る一実施例に係るマイクロコンピュータの構成を説明するブロック図。
【図9】本発明に係る他の実施例を示し、電子式水道メータの回転部材付近を示す要部詳細図。
【図10】他の実施例に係る回転部材が正回転するときの状態を示す説明図。
【図11】図10の回転部材が正回転するときの磁気センサによる信号出力を説明する出力波形図。
【図12】他の実施例に係る回転部材が逆回転するときの状態を示す説明図。
【図13】図12の回転部材が逆回転するときの磁気センサによる信号出力を説明する出力波形図。
【図14】他の実施例に係るマイクロコンピュータの構成を説明するブロック図。
【図15】従来例を示し、電子式水道メータの概略構成を説明する縦断面図。
【図16】図15の平面図。
【符号の説明】
【0062】
11 電子式水道メータ
14 羽根車
15 計量部
17 レジスターボックス
18 指示表示部
19 駆動側マグネット
20 歯車
21 被駆動側マグネット
22 数字車
27 歯車軸
28 歯車
30 回転部材
31 プリント回路基板
32 光反射部
33 第1の光センサ(検知センサ)
34 第2の光センサ(検知センサ)
35 第3の光センサ(検知センサ)
36 発光素子
37 受光素子
39 マイクロコンピュータ
40 記憶部
41 正逆転判定部
42 演算・積算回路部
44 無線機
47 電池
40 第1の磁気センサ(検知センサ)
51 第2の磁気センサ(検知センサ)
52 回転部材(磁石)
【出願人】 【識別番号】591085422
【氏名又は名称】高畑精工株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100060575
【弁理士】
【氏名又は名称】林 孝吉


【公開番号】 特開2008−3012(P2008−3012A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174556(P2006−174556)