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【発明の名称】 液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体流量の推定方法
【発明者】 【氏名】末次 秀彦

【氏名】森 久和

【要約】 【課題】液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を推定する方法を提供する。

【構成】本発明は、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量の推定方法であって、液体流速並びに導管の下部に超音波を送受信する探触子を装着し、超音波反射法によって、超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該気体からの反射エコーの検出時間を測定し、該液体流速、該超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該反射エコーの検出時間から該気体の流量を求めることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量の推定方法であって、液体流速並びに導管の下部に超音波を送受信する探触子を装着し、超音波反射法によって、超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該気体からの反射エコーの検出時間を測定し、該液体流速、該超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該反射エコーの検出時間から該気体の流量を求めることを特徴とする液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量の推定方法。
【請求項2】
超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間と音速から導管内の平均流体厚さを求め、該平均流体厚さと導管径から平均気体断面積を求め、該平均気体断面積、該反射エコーの検出時間および該液体流量を乗じて該気体の流量を求めることを特徴とする請求項1記載の方法。

【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を推定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液体中に空気等の気泡が混入すると種々のトラブルを引き起こす。例えば、血液中に混入すると、体内に気泡を注入することになり、また工業分野で導管内の液体に気泡が流入すると、液体を送液するポンプがキャビテーションを起こしたり、液体が熱媒体の場合には熱効率が低下したりする問題を有している。特に気体が導管の上部に溜まって流れるような場合には大きな問題であり、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体流量を把握する必要がある。
【0003】
導管内を流れる液体中の気泡流量の定量方法として、超音波透過法によって受信強度から超音波の減衰率を求め、減衰率と気泡含有率との関係から気泡含有率を求める方法が知られている(特許文献1参照。)。
しかしながら、この方法では導管の上部に溜まって流れる気体流量を把握することはできず、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体流量を把握する方法が望まれている。
【特許文献1】特開2000−202204号公報(図2、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を推定する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者等は、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を推定する方法について鋭意検討した結果、液体流速並びに導管の下部に超音波を送受信する探触子を装着し、超音波反射法によって、超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該気体からの反射エコーの検出時間を測定し、該液体流速、該超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該反射エコーの検出時間から該気体の流量を推定できることを見出し、本発明に至った。
【0006】
すなわち本発明は、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量の推定方法であって、液体流速並びに導管の下部に超音波を送受信する探触子を装着し、超音波反射法によって、超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該気体からの反射エコーの検出時間を測定し、該液体流速、該超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該反射エコーの検出時間から該気体の流量を求めることを特徴とする液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量の推定方法である。
該液体流速、該超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間および該反射エコーの検出時間からは、超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間と音速から導管内の平均流体厚さを求め、該平均流体厚さと導管径から平均気体断面積を求め、該平均気体断面積、該反射エコーの検出時間および該液体流量を乗じて該気体の流量を求める。
【発明の効果】
【0007】
本発明の方法によって、液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を推定することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明において、反射エコーおよび流体流速は公知の方法で求められる。すなわち、反射エコーは、導管の下部に超音波を送受信する探触子を装着し、超音波反射法によって測定して求め、流体流速は流量計を用いて流量を測定し、導管径から求める。
反射法による超音波測定では、超音波の発信から上部に溜まって流れる気体から反射エコーの受信までの時間(以下、反射時間と称することがある。)およびこの反射エコーの検出時間(以下、気体検出時間と称することがある。)を測定する。
【0009】
上部に溜まって流れる気体の反射エコーかどうかは、超音波の発信から反射エコーの受信までの時間(反射時間)から判別する。上部に溜まって流れる気体の反射エコーは、気体が流れていない状態での導管の上部表面からの反射エコーに比べて、反射時間は短い。また導管内部を気泡が流れる状態では、気泡によって反射されるエコーは微弱である。従って、気体が流れていない状態での導管の上部表面からの反射エコーの場合の反射時間より短い時間、導管内部を気泡が流れる状態で気泡によって反射されるエコーの場合の反射時間より長い時間に閾値を設け、この範囲内の反射時間を示すエコーを上部に溜まって流れる気体の反射エコーとする。
上記短い時間の閾値は、通常、導管の上部表面からの反射エコーの反射時間の二分の一の約99〜97%に設定するが、これに限るものではなく、時間計測上の誤差(バラツキ)を考慮して決定するのが好ましい。上記長い時間の閾値は、通常、導管の上部表面から約5〜10mmの位置に相当する時間または導管の上部表面からの反射エコーの反射時間の二分の一の約80〜60%に設定される。この長い時間の閾値は、適宜変更して気体の流れ状態による最適値を選択するのが好ましい。
【0010】
この上部に溜まって流れる気体の反射エコーの反射時間に音速を乗じた値は、探触子側の液体の下端とエコーを反射する気体間の液体の距離(厚さ)の2倍に相当する。実際の測定では下部の管を通過する時間を含んだ時間として測定されるため、事前に測定装置のゼロ点校正を行うか、後でその分の時間を差し引くことによって、反射時間と音速から液体の厚さが求められる。通常、超音波探傷器で演算し、液体厚さとして出力される。
本発明において、この液体の厚さの平均値を使用する。通常、10秒間の測定時間内の平均値を使用するが、これに限られるものではない。
反射時間を平均して平均液体厚さを求めても良いし、それぞれの反射エコーに対して液体厚さを求めて平均しても良い。
【0011】
次に、この平均液体厚さを用いて、上部に溜まって流れる気体の平均気体断面積を求める。その際、気体と液体の境界は水平として求める。なお、上部に溜まって流れる気体の反射エコー毎に気体断面積を求め、その平均値を求めることも可能である。
液体の厚さの平均値から平均気体断面積の求め方を図1および下式(1)〜(3)に示す。
平均液体厚さLと導管半径rとから(1)式によって気体と液体の境界線と導管中心とのなす角度の二分の一の角度θを求める。この角度θと導管半径rとから(2)式によって平均液体断面積Sを求める。次に(3)式によって平均気体断面積Sを求める。
【0012】
【数1】


【0013】
【数2】


【0014】
【数3】


【0015】
上部に溜まって流れる気体から反射エコーの検出時間は、通常、10秒間の測定時間内に検出された時間の合計値を使用する。測定時間は上記液体の厚さを求める際の測定時間と合わせる。
【0016】
上記の平均気体断面積、上部に溜まって流れる気体から反射エコーの検出時間および液体流速から液体が流れる導管の上部に溜まって流れる気体の流量を下式(4)で求める。
【0017】
【数4】


(式中、Vは気体流量、Saは平均気体断面積、Tは気体検出時間およびLは流体流速を表す。)
【実施例】
【0018】
以下、本発明方法を実施例により更に詳細に説明するが、実施例は一態様にすぎず、これにより本発明方法が限定されるものではない。
【0019】
実施例1
図2に示す測定装置を用いて、上部に溜まって流れる気体から反射エコーを測定し、上部に溜まって流れる気体流量を推定した。
導管1として気体の状態が目視にて観察できるように外径30mm、内径26mmのガラス管を用い、水平に配置した。これに水供給管3から水を、空気供給管4から空気を、それぞれ流量を調節して供給した。水は受器6に受け、重量を測定し、水を流した時間から水の流量を求め、流速に換算した。空気の流量はフローメータ5で把握した。水の供給管3および空気供給管としてビニール管を用い、空気の水への注入は、空気供給管の先端を内径0.5mmφの注射針とし、これを空気供給管のビニール管に差し込んで行った。
【0020】
導管1の下には、超音波探触子2を配置し、超音波探傷器7およびレコーダ8を用いて反射エコーを測定した。
超音波探傷器として、オリンパスNDT社製のModel9100、レコーダとして日置電機社製のメモリハイコーダ8846、超音波探触子としてソナテスト社製のSCM-1/2-5-HT、SCBB-1/2-5.0-15C(周波数:5MHz、直径:0.5inch)、接触媒質としてサーンガス・ニチゴウ社製のソニコートBS400を用いた。
【0021】
水流量および空気流量を種々変え、上部に溜まって流れる気体からの反射エコーの超音波の発信から該気体からの反射エコーの受信までの時間(反射時間)および10秒間の測定時間内に上部に溜まって流れる気体から反射エコーの検出時間(気体検出時間)を計測した(レコーダのサンプリング周波数は1kHzとした)。計測した反射時間と音速を超音波探傷器で演算し、液体厚さとして出力した。10秒間の測定時間内の液体厚さの平均値(平均液体厚さ)を求めた。
なお、上部に溜まって流れる気体の反射エコーを判別するための、上記短い時間の閾値は、導管の上部表面から0.5mmの位置に相当する時間(導管の上部表面からの反射エコーの反射時間の二分の一の98%)に、上記長い時間の閾値は、導管の上部表面から8mmの位置に相当する時間(導管の上部表面からの反射エコーの反射時間の二分の一の70%)に設定した。
【0022】
次にこの平均液体厚さと導管半径から、上記式(1)〜(3)によって平均気体断面積を求めた。
次に平均気体断面積、気体検出時間、液体流速から上記式(4)によって、上部に溜まって流れる気体の流量を求めた。
結果を表1および図3に示す。
【0023】
【表1】


【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】液体の厚さから気体断面積の求め方を説明するための図である。
【図2】実施例における測定装置の模式図である。
【図3】実施例の結果を示す図である。
【符号の説明】
【0025】
1 導管
2 超音波探触子
3 水供給管
4 空気供給管
5 フローメータ
6 受器
7 超音波探傷器
8 レコーダ

【出願人】 【識別番号】000002093
【氏名又は名称】住友化学株式会社
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100093285
【弁理士】
【氏名又は名称】久保山 隆

【識別番号】100113000
【弁理士】
【氏名又は名称】中山 亨

【識別番号】100119471
【弁理士】
【氏名又は名称】榎本 雅之


【公開番号】 特開2008−2930(P2008−2930A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172364(P2006−172364)