トップ :: G 物理学 :: G01 測定;試験

【発明の名称】 磁気エンコーダおよび回転センサ付き転がり軸受
【発明者】 【氏名】高田 声一
【氏名】伊藤 浩義
【課題】金型費用を削減して、磁気エンコーダの製造コストを低減することである。

【構成】ゴムをバインダとする磁性体3を紐状に加硫成形し、この紐状に加硫成形した磁性体3を、芯金2の筒部2aの外周面へ螺旋状に隙間なく複数周に巻き付けて、筒部2aの外周面に接着剤で固着することにより、磁気エンコーダ1の寸法に対して汎用性のある紐状の磁性体3を、1つまたは少数の成形金型で成形し、金型費用を削減して、磁気エンコーダ1の製造コストを低減できるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴムをバインダとする磁性体で形成されて、環状の芯金の周面に固着され、円周方向で交互にN極とS極に着磁された磁気エンコーダにおいて、前記ゴムをバインダとする磁性体を紐状に加硫成形し、この紐状に加硫成形した磁性体を、前記芯金の周面へ螺旋状に隙間なく複数周に巻き付けて、芯金の周面に接着剤で固着したことを特徴とする磁気エンコーダ。
【請求項2】
前記紐状の磁性体を矩形断面のものとした請求項1に記載の磁気エンコーダ。
【請求項3】
前記紐状の磁性体を平行四辺形断面のものとした請求項1に記載の磁気エンコーダ。
【請求項4】
前記平行四辺形断面の紐状の磁性体への前記N極とS極への着磁を、平行四辺形断面の斜辺の傾きと平行に行った請求項3に記載の磁気エンコーダ。
【請求項5】
前記紐状の磁性体を、前記芯金の周面に固着した後で、前記N極とS極に着磁した請求項1乃至4のいずれかに記載の磁気エンコーダ。
【請求項6】
内輪と外輪の軌道輪のうちの回転軌道輪側に、円周方向で交互にN極とS極に着磁された磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁束の変化を検出するセンサ素子を固定軌道輪側に装着して、前記回転軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁気エンコーダを請求項1乃至5のいずれかに記載のものとしたことを特徴とする回転センサ付き転がり軸受。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、磁気エンコーダと磁気エンコーダを用いた回転センサ付き転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
回転センサ付き転がり軸受には、内輪と外輪の軌道輪のうちの回転軌道輪側に、円周方向で交互にN極とS極に着磁された磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁束の変化を検出するセンサ素子を固定軌道輪側に装着して、回転軌道輪の回転を検出するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
前記磁気エンコーダには、ゴムをバインダとする磁性体を環状の芯金に固着し、円周方向で交互にN極とS極に着磁したものが多く用いられ、芯金の嵌合等によって回転軌道輪に装着されている。特許文献1に記載された実施形態では、ゴムをバインダとする磁性体を加硫接着で芯金に固着し、固着した磁性体をN極とS極に着磁した磁気エンコーダを用いている。
【0004】
また、この磁気エンコーダには、ゴムをバインダとする磁性体を板状に成形し、板状に成形した磁性体を円環状に打ち抜き加工して、円環状に打ち抜いた磁性体を接着剤で芯金に固着したものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】特開2002−349556号公報
【特許文献2】特開2004−184424号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に記載された磁性体を加硫接着で芯金に固着した磁気エンコーダは、芯金を成形金型にセットして、磁性体の成形と芯金への固着を同時にできる利点があるが、製造される磁気エンコーダの寸法別に多数の成形金型を用意する必要があるので、これらの金型費用によって製造コストが高くなる問題がある。
【0007】
また、特許文献2に記載された板状に成形した磁性体を円環状に打ち抜き加工して、接着剤で芯金に固着した磁気エンコーダは、成形金型は不要であるが、磁気エンコーダの寸法別に多数の打ち抜き金型を用意する必要があるので、やはり、これらの金型費用によって製造コストが高くなる。
【0008】
そこで、本発明の課題は、金型費用を削減して、磁気エンコーダの製造コストを低減することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するために、本発明は、ゴムをバインダとする磁性体で形成されて、環状の芯金の周面に固着され、円周方向で交互にN極とS極に着磁された磁気エンコーダにおいて、前記ゴムをバインダとする磁性体を紐状に加硫成形し、この紐状に加硫成形した磁性体を、前記芯金の周面へ螺旋状に隙間なく複数周に巻き付けて、芯金の周面に接着剤で固着した構成を採用した。
【0010】
すなわち、ゴムをバインダとする磁性体を紐状に加硫成形し、この紐状に加硫成形した磁性体を、芯金の周面へ螺旋状に隙間なく複数周に巻き付けて、芯金の周面に接着剤で固着することにより、磁気エンコーダの寸法に対して汎用性のある紐状の磁性体を、1つまたは少数の成形金型で成形し、金型費用を削減して、磁気エンコーダの製造コストを低減できるようにした。
【0011】
前記紐状の磁性体を矩形断面のものとすることにより、隙間なく複数周に巻き付けた紐状の磁性体を、厚み方向全体で隙間なく密着させ、巻き付け周間で発生する磁束の乱れを抑制することができる。
【0012】
前記紐状の磁性体を平行四辺形断面のものとすることにより、隙間なく複数周に巻き付けた紐状の磁性体を、厚み方向全体で隙間なく密着させるとともにテーパ状にラップさせ、巻き付け周間で発生する磁束の乱れをより抑制することができる。
【0013】
前記平行四辺形断面の紐状の磁性体への前記N極とS極への着磁は、平行四辺形断面の斜辺の傾きと平行に行うとよい。
【0014】
前記紐状の磁性体は、前記芯金の周面に固着した後で、前記N極とS極に着磁するとよい。
【0015】
また、本発明は、内輪と外輪の軌道輪のうちの回転軌道輪側に、円周方向で交互にN極とS極に着磁された磁気エンコーダを装着し、この磁気エンコーダの回転に伴う磁束の変化を検出するセンサ素子を固定軌道輪側に装着して、前記回転軌道輪の回転を検出する回転センサ付き転がり軸受において、前記磁気エンコーダを上述したいずれかのものとした構成を採用することにより、磁気エンコーダの製造コストを低減して、回転センサ付き転がり軸受の製造コストも低減できるようにした。
【発明の効果】
【0016】
本発明の磁気エンコーダは、ゴムをバインダとする磁性体を紐状に加硫成形し、この紐状に加硫成形した磁性体を、芯金の周面へ螺旋状に隙間なく複数周に巻き付けて、芯金の周面に接着剤で固着したので、磁気エンコーダの寸法に対して汎用性のある紐状の磁性体を、1つまたは少数の成形金型で成形し、金型費用を削減して、磁気エンコーダの製造コストを低減することができる。
【0017】
前記紐状の磁性体を矩形断面のものとすることにより、隙間なく複数周に巻き付けた紐状の磁性体を、厚み方向全体で隙間なく密着させ、巻き付け周間で発生する磁束の乱れを抑制することができる。
【0018】
前記紐状の磁性体を平行四辺形断面のものとすることにより、隙間なく複数周に巻き付けた紐状の磁性体を、厚み方向全体で隙間なく密着させるとともにテーパ状にラップさせ、巻き付け周間で発生する磁束の乱れをより抑制することができる。
【0019】
また、本発明の回転センサ付き転がり軸受は、磁気エンコーダを上述したいずれかのものとしたので、磁気エンコーダの製造コストを低減して、回転センサ付き転がり軸受の製造コストも低減することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面に基づき、本発明の実施形態を説明する。図1は、回転センサ付き転がり軸受の実施形態を示す。この回転センサ付き転がり軸受は、回転軌道輪としての内輪21と固定軌道輪としての外輪22の間に、複数のボール23が保持器24で保持された深溝玉軸受であり、一端側にシール25が装着され、その他端側で、磁気エンコーダ1の環状の芯金2が内輪21の外径面に嵌合され、外輪22の内径面に嵌合された外環4に、磁気エンコーダ1と対向する磁気センサ5を収納したセンサケース6が内嵌されている。センサケース6には、磁気センサ5で検出された磁束の変化の出力を処理する処理回路7も組み込まれている。
【0021】
図2(a)、(b)に示すように、前記磁気エンコーダ1は、ゴムをバインダとして矩形断面の紐状に加硫成形した磁性体3を、環状の芯金2の筒部2aの外周面に、螺旋状に隙間なく3周に巻き付けて、接着剤で固着したものであり、磁性体3は固着後に円周方向で交互にN極とS極に着磁されている。
【0022】
図2(c)に示すように、筒部2aの外周面に隙間なく3周に巻き付けられた紐状の磁性体3は、厚み方向全体で隙間なく密着しており、巻き付け周間で発生する磁束の乱れが抑制される。なお、筒部2aに巻き付けられた紐状の磁性体3の外周面に、巻き付け周間で凹凸段差等が生じる場合は、この外周面を滑らかに後加工するとよい。
【0023】
前記紐状の磁性体3は、磁性材料とゴム材料を混合して金型に流し込み、加硫成形したものである。磁性材料としては、フェライト系、サマリウム系、ネオジウム系、コバルト系等のものを使用することができ、ゴム材料としては、ニトリルゴム、アクリルゴム、フッ素ゴム、シリコーンゴム等を使用することができる。
【0024】
図3(a)、(b)、(c)は、前記磁気エンコーダ1の変形例を示す。この変形例では、前記紐状の磁性体3が平行四辺形断面のものとされ、図3(c)に矢印で示すように、芯金2の筒部2aに固着された磁性体3への着磁が、平行四辺形断面の斜辺の傾きと平行に、斜め方向から行われている点が異なる。この変形例では、筒部2aの外周面に3周に巻き付けられた紐状の磁性体3が、厚み方向全体で隙間なく密着するとともにテーパ状にラップしており、巻き付け周間で発生する磁束の乱れがより抑制される。
【0025】
上述した実施形態では、回転センサ付き転がり軸受を深溝玉軸受として、内輪を回転軌道輪としたが、本発明に係る回転センサ付き転がり軸受は、ころ軸受等の他のタイプの転がり軸受にも適用することができ、外輪を回転軌道輪とすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】回転センサ付き転がり軸受の実施形態を示す縦断面図
【図2】aは図1の磁気エンコーダを示す正面図、bはaの側面図、cはaのIIc−IIc線に沿った断面図
【図3】aは図2の磁気エンコーダの変形例を示す正面図、bはaの側面図、cはaのIIIc−IIIc線に沿った断面図
【符号の説明】
【0027】
1 磁気エンコーダ
2 芯金
2a 筒部
3 磁性体
4 外環
5 磁気センサ
6 センサケース
7 処理回路
21 内輪
22 外輪
23 ボール
24 保持器
25 シール

特許の図
【出願人】 【識別番号】000102692
【氏名又は名称】NTN株式会社
【出願日】 平成18年7月11日(2006.7.11)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二

【識別番号】100087538
【弁理士】
【氏名又は名称】鳥居 和久

【識別番号】100112575
【弁理士】
【氏名又は名称】田川 孝由

【識別番号】100084858
【弁理士】
【氏名又は名称】東尾 正博
【公開番号】 特開2008−20236(P2008−20236A)
【公開日】 平成20年1月31日(2008.1.31)
【出願番号】 特願2006−190272(P2006−190272)