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【発明の名称】 光電式エンコーダおよびそれを用いた変位検出装置
【発明者】 【氏名】佐々木 正人

【要約】 【課題】コードホイールからなる移動体であっても平均化効果を高めることができる。

【構成】移動体14は、所定の配列ピッチPで円周方向に配列された略(1/2)P幅の複数のスリット15A,15B,…,15Fを有している。これに対し、受光部16は直線方向に配列され、受光部16を構成するフォトダイオード16A〜16Pのうち、中央部に位置するフォトダイオード16E〜16Lの長さを「L」とし、端部に位置するフォトダイオード16A〜16D,16M〜16Pの長さを「L'(<L)」とする。こうすることにより、端部に位置するフォトダイオード16A〜16D,16M〜16Pにおいて、ノイズ成分となる光によって照射される領域の割合が減少し、信号成分となる光で照射されない領域の割合も減少し、生成される電気信号のS/N比の悪化および平均化効果を改善することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光領域と遮光領域とが移動方向に交互に形成された移動体と、
上記移動体に向けて光を出射する発光部と、
上記発光部から出射されて上記移動体の透光領域を透過した光を受光して、上記移動体の移動情報を表す移動情報信号を出力する受光部と
を備え、
上記受光部は、
上記透光領域とこの透光領域に隣接する上記遮光領域とに対向して配置されると共に、上記移動体のほぼ移動方向にアレイ状に配列された複数のフォトダイオードを有し、
上記アレイ状の端部に配置されたフォトダイオードにおける配列方向に直交する方向への長さは、上記アレイ状の中央部に配置されたフォトダイオードにおける上記配列方向に直交する方向への長さに比べて短くなっている
ことを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項2】
反射領域と非反射領域とが移動方向に交互に形成された移動体と、
上記移動体に向けて光を出射する発光部と、
上記発光部から出射されて上記移動体の反射領域で反射された光を受光して、上記移動体の移動情報を表す移動情報信号を出力する受光部と
を備え、
上記受光部は、
上記移動体に対して上記発光部と同じ側に、上記反射領域とこの反射領域に隣接する上記非反射領域とに対向して配置されると共に、上記移動体のほぼ移動方向にアレイ状に配列された複数のフォトダイオードを有し、
上記アレイ状の端部に配置されたフォトダイオードにおける配列方向に直交する方向への長さは、上記アレイ状の中央部に配置されたフォトダイオードにおける上記配列方向に直交する方向への長さに比べて短くなっている
ことを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項3】
請求項1あるいは請求項2に記載の光電式エンコーダにおいて、
上記長さの異なる複数のフォトダイオードは、上記発光部の光軸中心に対して対称に配置されている
ことを特徴とする光電式エンコーダ。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一つに記載の光電式エンコーダを用いて、上記移動体の位置,移動速度および移動方向を含む変位情報を検出する
ことを特徴とする変位検出装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、光電式エンコーダ、および、光電式エンコーダを用いて移動体の位置,移動速度,移動方向等の変位情報を検出する変位検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特定の経路に沿って移動する物体の位置および動きを検出する装置として、一定間隔でスリットが穿設されている移動体を発光部と受光部との間の光路を遮断するように移動させる透過型光電式エンコーダが開発されている。
【0003】
従来から、直線変位や角度変位等の精密な測定には、上記透過型光電式エンコーダが利用されている。この透過型光電式エンコーダは、発光部と、遮光領域と透光領域とが交互に形成された移動体(リニアスケールやコードホイール)と、上記移動体に対して上記発光部とは反対側に配置された受光部と、によって構成されている。尚、上記受光部は、例えば4つの受光素子(例えばフォトダイオード)を含んで構成されている。
【0004】
以下、上記透過型光電式エンコーダの動作を簡単に説明する。上記発光部は、上記受光部に向けて光を照射する。そうすると、上記発光部からの光が上記移動体の透光領域を通過して、光の強弱が正弦波状に変化すると共に、互いに位相が異なる4つの光信号が生成される。そして、上記各光信号は各位相に対応する受光素子によって受光されて光電変換され、発生した電気信号を利用して移動体の位置,移動速度および移動方向等の変位情報が検出されるのである。
【0005】
ここで、上記位相が異なる4つの光信号とは、A+相(0度)の光信号、A+相よりも90度だけ位相がずれたB+相(90度)の光信号、A+相よりも180度だけ位相がずれたA−相(180度)の光信号、および、A+相よりも270度だけ位相がずれたB−相(270度)の光信号のことである。
【0006】
上記A+相の光信号の他にB+相の光信号を用いるのは、先に検出されるのがA+相かB+相かによって移動体の移動の方向を判断するためである。また、A+相の光信号やB+相の光信号の以外に、これらの光信号を反転させたA−相の光信号やB−相の光信号を用いるのは、(1)A+相の光信号やB+相の光信号に含まれる直流成分の除去、(2)光信号の信頼性の確保、(3)高速追従性の確保、のためである。
【0007】
位相の異なる複数の光信号に対応した数の受光素子があれば、原理的に測定が可能ではある。したがって、位相の異なる4つの光信号を生成する場合には、例えば特公平3‐76428号公報(特許文献1)に開示されているように、受光素子は4つあればよい。
【0008】
また、例えば特許第3203643号公報(特許文献2)に開示されているように、発光部と、反射領域と非反射領域とが交互に形成された移動体と、この移動体に対して上記発光部と同じ側に配置された受光部と、によって構成される反射型光電式エンコーダが開発されている。この反射型光電式エンコーダの信号形成原理は、上記透過型光電式エンコーダの信号形成原理と同じであるので、以下、上記透過型光電式エンコーダによって説明を進めることにする。
【0009】
ところで、上記発光部の光強度分布や上記移動体の透光領域における汚れ等が原因となって、上記受光部への入射光量にばらつきが生じる場合がある。その場合、上記受光部が4つの受光素子で構成されていれば、各位相の光信号は夫々1つの受光素子でしか検出されないので、上記入射光量のバラツキの影響を受け易い。
【0010】
そこで、上記受光素子を、上記移動体の移動方向に沿って複数のセットをアレイ状に配列させることが一般的である。こうすることによって、各位相の光信号が検出される場所が広い範囲に分散されるため、上記入射光量のバラツキの影響を小さくできる。以下、このことを「平均化効果」と言う。
【0011】
図5は、上記移動体がリニアスケールである場合において、従来の光電式エンコーダにおける信号形成用のフォトダイオードと上記移動体のスリット(透光領域)との位置関係を示す図である。この光電式エンコーダにおける移動体1は、所定の配列ピッチPで幅方向(移動方向)に配列された複数のスリット(透光領域)2A,2B,…,2Fを有している。このスリット2A,2B,…,2Fは、夫々略(1/2)Pの幅を有している。
【0012】
そして、上記移動体1の一側(図5において紙面の手前側)には発光部(図示せず)が配置されている。また、上記発光部に対向するように、移動体1の他側(図5において紙面の向う側)には受光部3が配置されている。
【0013】
この受光部3は、図5から分かるように、配列ピッチ(1/4)Pで上記スリットの配列方向と同じ方向に配列された長さLのフォトダイオード3A〜3Pで構成されている。そして、各フォトダイオード3A〜3Pは、夫々略(1/4)Pの幅を有している。
【0014】
上述したように、4つのフォトダイオードを1セットとして4セット配列することによって、平均化効果を得ることができるのである。
【0015】
ところで、上記平均化効果を高めることは、測定精度を向上させるために重要である。しかしながら、近年の移動体(コードホイール)の小型化や光軸半径の小径化によって、受光素子アレイの端部における程S/N比が悪化している。
【0016】
図6は、上記移動体がコードホイールの場合において、従来の光電式エンコーダにおける信号形成用のフォトダイオードと上記移動体のスリット(透光領域)との位置関係を示す図である。この光電式エンコーダにおける移動体4は、発光部(図示せず)の光軸中心の軌跡6において所定の配列ピッチPで移動体4の回転中心を中心とする円周方向(移動体4の移動方向)に配列された複数のスリット5A,5B,…,5Fを有している。このスリット5A,5B,…,5Fは、上記発光部の光軸中心の軌跡6において夫々略(1/2)Pの幅を有している。
【0017】
これに対して、受光部7を構成するフォトダイオード7A〜7Pは直線方向に配列されている。尚、フォトダイオード7A〜7Pの配列ピッチは(1/4)Pであり、長さはLであり、幅は略(1/4)Pである。
【0018】
このように、上記フォトダイオード7A〜7Pの配列方向が直線方向であるのに対し、スリット5A〜5Fの配列方向は円周方向である。そのため、フォトダイオードアレイの端部に位置するフォトダイオード程、スリット5A〜5Fを透過した光の位相と当該フォトダイオードの位相との不整合度が増大することになる。
【0019】
上記位相の不整合度について、図6に示す状態でのスリット5Bを例に挙げ、図7によって説明する。スリット5Bを通過した光はフォトダイオード7A,7Bを照射しなけばならないが、実際にはフォトダイオード7A,7Bとフォトダイオード7Cの領域7C'とを照射している。この場合、領域7C'で受光された光は、フォトダイオード7Cで光電変換されて発生する電気信号におけるノイズ成分となる。また、フォトダイオード7A,7Bにおいては、光によって照射されていない領域7A',7B'が存在するので、受光量が減少し、フォトダイオード7A,7Bで光電変換されて発生する電気信号の振幅が減少することになる。
【0020】
図8は、図6に示すフォトダイオード7A〜7Pにおいて、ノイズ成分となる光が照射されてしまう領域8に斜線を付したものである。図8から分かるように、フォトダイオードアレイの端部に位置するフォトダイオードほど斜線領域8の面積が増加し、光電変換されて発生する電気信号のS/N比が悪化するという問題が生ずる。
【特許文献1】特公平3‐76428号公報
【特許文献2】特許第3203643号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
そこで、この発明の課題は、コードホイールからなる移動体であっても平均化効果を高めることが可能な光電式エンコーダ、および、それを用いた変位検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記課題を解決するため、この発明の光電式エンコーダは、
透光領域と遮光領域とが移動方向に交互に形成された移動体と、
上記移動体に向けて光を出射する発光部と、
上記発光部から出射されて上記移動体の透光領域を透過した光を受光して、上記移動体の移動情報を表す移動情報信号を出力する受光部と
を備え、
上記受光部は、
上記透光領域とこの透光領域に隣接する上記遮光領域とに対向して配置されると共に、上記移動体のほぼ移動方向にアレイ状に配列された複数のフォトダイオードを有し、
上記アレイ状の端部に配置されたフォトダイオードにおける配列方向に直交する方向への長さは、上記アレイ状の中央部に配置されたフォトダイオードにおける上記配列方向に直交する方向への長さに比べて短くなっている
ことを特徴としている。
【0023】
上記構成によれば、上記移動体がコードホールである場合に、上記透光領域および上記遮光領域の配列方向と上記フォトダイオードの配列方向とに大きなずれが発生するフォトダイオードアレイの端部において、上記透光領域および上記遮光領域の位置と上記フォトダイオードの位置とが大きくずれる上記フォトダイオードの先端部を削除して、フォトダイオードの長さを短くしている。したがって、ある注目フォトダイオードにおいて、他のフォトダイオードを照射すべき光によって照射される領域の割合が減少し、当該注目フォトダイオードによって生成される電気信号のS/N比が向上される。また、当該注目フォトダイオードを照射すべき光によって照射されない領域の割合が減少し、当該注目フォトダイオードの受光量が向上される。すなわち、従来の光電式エンコーダの場合よりも平均化効果を高めることができるのである。
【0024】
さらに、上記移動体がリニアスケールである場合には、上記透光領域および上記遮光領域の配列方向と上記フォトダイオードの配列方向とは同じであるため、従来の光電式エンコーダの場合と同様に、平均化効果を得ることができる。
【0025】
ここで、上記「移動体のほぼ移動方向」とは、上記移動体がリニアスケールである場合には「上記移動体の移動方向」を意味し、上記移動体がコードホールである場合には「上記移動体の移動方向を表す円弧に接する直線の方向」を意味する。
【0026】
また、この発明の光電式エンコーダは、
反射領域と非反射領域とが移動方向に交互に形成された移動体と、
上記移動体に向けて光を出射する発光部と、
上記発光部から出射されて上記移動体の反射領域で反射された光を受光して、上記移動体の移動情報を表す移動情報信号を出力する受光部と
を備え、
上記受光部は、
上記移動体に対して上記発光部と同じ側に、上記反射領域とこの反射領域に隣接する上記非反射領域とに対向して配置されると共に、上記移動体のほぼ移動方向にアレイ状に配列された複数のフォトダイオードを有し、
上記アレイ状の端部に配置されたフォトダイオードにおける配列方向に直交する方向への長さは、上記アレイ状の中央部に配置されたフォトダイオードにおける上記配列方向に直交する方向への長さに比べて短くなっている
ことを特徴としている。
【0027】
上記構成によれば、上記移動体がコードホールである場合に、上記反射領域および上記非反射領域の配列方向と上記フォトダイオードの配列方向とに大きなずれが発生するフォトダイオードアレイの端部において、上記反射領域および上記非反射領域の位置と上記フォトダイオードの位置とが大きくずれる上記フォトダイオードの先端部を削除して、フォトダイオードの長さを短くしている。したがって、ある注目フォトダイオードにおいて、他のフォトダイオードを照射すべき光によって照射される領域の割合が減少し、当該注目フォトダイオードによって生成される電気信号のS/N比が向上される。また、当該注目フォトダイオードを照射すべき光によって照射されない領域の割合が減少し、当該注目フォトダイオードの受光量が向上される。すなわち、従来の光電式エンコーダの場合よりも平均化効果を高めることができるのである。
【0028】
さらに、上記移動体がリニアスケールである場合には、上記反射領域および上記非反射領域の配列方向と上記フォトダイオードの配列方向とは同じであるため、従来の光電式エンコーダの場合と同様に、平均化効果を得ることができる。
【0029】
ここで、上記「移動体のほぼ移動方向」とは、上記移動体がリニアスケールである場合には「上記移動体の移動方向」を意味し、上記移動体がコードホールである場合には「上記移動体の移動方向を表す円弧に接する直線の方向」を意味する。
【0030】
また、1実施の形態の光電式エンコーダでは、
上記長さの異なる複数のフォトダイオードは、上記発光部の光軸中心に対して対称に配置されている。
【0031】
この実施の形態によれば、位相の異なる4つの光信号、つまりA+相(0度)の光信号、A+相より90度だけ位相がずれたB+相(90度)の光信号、A+相より180度だけ位相がずれたA−相(180度)の光信号、および、A+相より270度だけ位相がずれたB−相(270度)間における電気信号の振幅のバランスを確保することができる。
【0032】
また、この発明の変位検出装置は、
上記光電式エンコーダを用いて、上記移動体の位置,移動速度および移動方向を含む変位情報を検出する
ことを特徴としている。
【0033】
上記構成によれば、移動体がコードホールの場合であっても、フォトダイオードによって生成される電気信号のS/N比を向上させ、フォトダイオードの受光量を向上させて、平均化効果を高めることができる光電式エンコーダを用いている。したがって、移動体の位置,移動速度および移動方向等の変位情報をより精度良く検出することができ、伝達特性の優れた信頼性の高い変位検出を行うことができる。
【発明の効果】
【0034】
以上より明らかなように、この発明の光電式エンコーダは、透過型光電式エンコーダおよび反射型光電式エンコーダにおいて、移動体がコードホールである場合に、フォトダイオードアレイの端部において、光の照射位置とフォトダイオードの位置とが大きくずれる上記フォトダイオードの先端部を削除して、フォトダイオードの長さを短くしている。したがって、従来の光電式エンコーダに比して、フォトダイオードによって生成される電気信号のS/N比を向上させ、フォトダイオードの受光量を向上させて、平均化効果を高めることができる。
【0035】
また、この発明の変位検出装置は、移動体がコードホールの場合であっても、S/N比を向上させ、平均化効果を高めることができる光電式エンコーダを用いたので、移動体の位置,移動速度および移動方向等の変位情報をより精度良く検出することができる。すなわち、伝達特性の優れた信頼性の高い変位検出を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
以下、この発明を図示の実施の形態により詳細に説明する。
【0037】
・第1実施の形態
図1は、移動体がリニアスケールの場合の光電式エンコーダにおける信号形成用のフォトダイオードと移動体(リニアスケール)のスリットとの位置関係を示す図である。
【0038】
図1において、移動体11は、図5に示す従来の光電式エンコーダの場合と同様に、所定の配列ピッチPで幅方向(移動方向)に配列された略(1/2)P幅の複数のスリット(透光領域)12A〜12Fを有している。
【0039】
これに対し、受光部13は、上記透光領域であるスリット12B〜12Eとこのスリット12B〜12Eに隣接する遮光領域とに対向して配置されると共に、スリットの配列方向と同じ方向に配列されたフォトダイオード13A〜13Pで構成されている。そして、図5に示す従来の光電式エンコーダの場合とは異なり、受光部13を構成するフォトダイオード13A〜13Pのうち、中央部に位置するフォトダイオード13E〜13Lの長さを「L」とする一方、端部に位置するフォトダイオード13A〜13D,13M〜13Pの長さを「L'(<L)」としている。尚、フォトダイオード13A〜13Pの配列ピッチは(1/4)Pであり、幅は略(1/4)Pである。
【0040】
図1に示す光電式エンコーダは、その移動体11がリニアスケールであるので、図5に示す従来の光電式エンコーダの場合と同様に、平均化効果を得ることができる。
【0041】
・第2実施の形態
図2は、移動体がコードホイールの場合の光電式エンコーダにおける信号形成用のフォトダイオードと移動体(コードホイール)のスリットとの位置関係を示す図である。
【0042】
図2において、移動体14は、図6に示す従来の光電式エンコーダの場合と同様に、発光部(図示せず)の光軸中心の軌跡において所定の配列ピッチPで円周方向(移動体14の移動方向)に配列された複数のスリット(透光領域)15A〜15Fを有している。尚、各スリット15A〜15Fの幅は、上記発光部の光軸中心の軌跡において略(1/2)Pである。
【0043】
これに対し、受光部16は、上記透光領域であるスリット15B〜15Eとこの15B〜15Eに隣接する遮光領域とに対向して配置されると共に、上記発光部の光軸中心の軌跡に接する直線の方向に配列されたフォトダイオード16A〜16Pで構成されている。そして、図1に示す上記第1実施の形態における光電式エンコーダの場合と同様に、受光部16を構成するフォトダイオード16A〜16Pのうち、中央部に位置するフォトダイオード16E〜16Lの長さを「L」とする一方、端部に位置するフォトダイオード16A〜16D,16M〜16Pの長さを「L'(<L)」としている。尚、フォトダイオード16A〜16Pの配列ピッチは(1/4)Pであり、幅は略(1/4)Pである。
【0044】
以下、上記スリット15A,15B,…,15Fを透過した光の位相と各フォトダイオード16A〜16Pの位相との不整合度について、図2に示す状態でのスリット15Bを例に挙げ、図3によって説明する。スリット15Bを通過した光はフォトダイオード16A,16Bを照射しなけばならないが、実際にはフォトダイオード16A,16Bとフォトダイオード16Cの領域16C'とを照射している。しかしながら、「(領域16C'の面積)÷(フォトダイオード16Cの面積)」の値は、図7に示す従来の光電式エンコーダの場合における「(領域7C'の面積)÷(フォトダイオード7Cの面積)」の値よりも小さくなっていることは明らかである。したがって、フォトダイオード16Cで光電変換されて発生する電気信号におけるノイズ成分の混入率が、図6に示す従来の光電式エンコーダの場合よりも改善されていることが分かる。
【0045】
また、上記フォトダイオード16A,16Bにおいては、光によって照射されていない領域16A',16B'が存在する。しかしながら、「(領域16A'の面積)÷(フォトダイオード16Aの面積)」の値は、図7に示す従来の光電式エンコーダの場合における「(領域7A'の面積)÷(フォトダイオード7Aの面積)」の値よりも小さくなっていることは明らかである。フォトダイオード16Bの場合も同様である。したがって、フォトダイオード16A,16Bにおける受光量の減少率が、図6に示す従来の光電式エンコーダの場合よりも改善されていることが分かる。
【0046】
図4は、図2に示すフォトダイオード16A〜16Pにおいて、ノイズ成分となる光によって照射される領域17に斜線を付したものである。図8に示す従来の光電式エンコーダの場合における斜線領域8と比較して明らかなように、フォトダイオードアレイの端部に位置するフォトダイオードほど斜線領域17の面積が顕著に低減しており、光電変換されて発生する電気信号のS/N比の悪化および平均化効果を改善することができるのである。
【0047】
また、位相の異なる4つの光信号のうち、A+相(0度)の光信号はフォトダイオード16A,16E,16I,16Mで、B+相(90度)の光信号はフォトダイオード16B,16F,16J,16Nで、A−相(180度)の光信号はフォトダイオード16C,16G,16K,16Oで、B−相(270度)の光信号はフォトダイオード16D,16H,16L,16Pで、夫々受光される。したがって、夫々の位相の光信号を受光する4つのフォトダイオードの受光面積の合計値が同一になるように、各フォトダイオード16A〜16Pの長さ「L」,「L'」を予め設定することによって、各位相間における電気信号の振幅のバランスを確保することができる。このことは、上記第1実施の形態における移動体11がリニアスケールである場合も同様である。
【0048】
そして、上述の場合における各フォトダイオード13A〜13P,16A〜16Pにおける長さ「L」,「L'」の設定は、上記発光部の光軸中心に対して対称になるように設定すればよい。
【0049】
以上のごとく、上記第2実施の形態によれば、上記コードホイールからなる移動体14であっても、受光部16によって生成される電気信号のS/N比および平均化効果を、従来の光電式エンコーダよりも向上することができる。したがって、上記第2実施の形態における光電式エンコーダを用いて変位検出装置を構成すれば、移動体の位置,移動速度および移動方向等の変位情報をより精度良く検出することができ、伝達特性の優れた信頼性の高い変位検出を行うことができるのである。
【0050】
尚、上記各実施の形態においては、上記受光部13,16を構成するフォトダイオード13A〜13P,16A〜16Pの長さを「L」と「L'」との2段階に設定している。しかしながら、この発明は2段階に限定されるものではなく、3段階以上に設定しても差し支えない。
【0051】
また、上記各実施の形態においては、配列ピッチ(1/4)Pで配列された4つのフォトダイオードを4組用いているが、上記組数は4組に限定されるものではなく、配列ピッチも(1/4)Pに限定されるものでない。要は、複数組を配列されたフォトダイオードにおいて、適宜、受光部13,16の端部に位置するフォトダイオード長を中央部に位置するフォトダイオード長より短くすることによって、上述した効果を奏することができるのである。
【0052】
また、上記各実施の形態においては、説明を明確にするために、上記発光部と受光部13,16との間に移動体11,14が存在する透過型光電式エンコーダについて説明を行っている。しかしながら、この発明は、上記透過型光電式エンコーダに限定されるものではなく、発光部と受光部とが移動体に対して同じ側に配置された反射型光電式エンコーダにも適用されることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】この発明の光電式エンコーダにおけるフォトダイオードと移動体(リニアスケール)のスリットとの位置関係を示す図である。
【図2】図1とは異なる光電式エンコーダにおけるフォトダイオードと移動体(コードホイール)のスリットとの位置関係を示す図である。
【図3】図2におけるスリットを透過した光の位相とフォトダイオードの位相との不整合度の説明図である。
【図4】図2に示すフォトダイオードにおいてノイズ成分となる光が照射される領域を示す図である。
【図5】移動体がリニアスケールである従来の光電式エンコーダにおけるフォトダイオードと上記移動体のスリットとの位置関係を示す図である。
【図6】移動体がコードホイールである従来の光電式エンコーダにおけるフォトダイオードと上記移動体のスリットとの位置関係を示す図である。
【図7】図6におけるスリットを透過した光の位相とフォトダイオードの位相との不整合度の説明図である。
【図8】図6に示すフォトダイオードにおいてノイズ成分となる光が照射される領域を示す図である。
【符号の説明】
【0054】
11,14…移動体、
12A〜12F,15A〜15F…スリット、
13,16…受光部、
13A〜13P,16A〜16P…フォトダイオード、
17…ノイズ成分となる光によって照射される領域。
【出願人】 【識別番号】000005049
【氏名又は名称】シャープ株式会社
【出願日】 平成18年7月6日(2006.7.6)
【代理人】 【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏

【識別番号】100100170
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 厚司


【公開番号】 特開2008−14806(P2008−14806A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−186438(P2006−186438)