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【発明の名称】 二次元エンコーダ、及び、そのスケール
【発明者】 【氏名】江口 愛彦

【要約】 【課題】二次元のリニアスケールに適用可能な二次元のABSパターンを持った高信頼性、高精度、高分解能の二次元エンコーダを提供する。

【構成】スケール上のビットパターンの画像を検出器で取得して、スケールと検出器の相対変位を検出するようにされたエンコーダにおいて、共通の部分を持つように変調されたビットパターンを、第1の方向に配置すると共に、同じビットパターンを、1ビット分ずつずらして、第1の方向と直交する第2の方向にも配置する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スケール上のビットパターンの画像を検出器で取得して、スケールと検出器の相対変位を検出するようにされたエンコーダにおいて、
共通の部分を持つように変調されたビットパターンを、第1の方向に配置すると共に、同じビットパターンを、1ビット分ずつずらして、第1の方向と直交する第2の方向にも配置したことを特徴とする二次元エンコーダ。
【請求項2】
前記変調されたビットパターンが、擬似乱数列で配置されていることを特徴とする請求項1に記載の二次元エンコーダ。
【請求項3】
前記ビットパターンにベクトル値が割り当てられていることを特徴とする請求項1に記載の二次元エンコーダ。
【請求項4】
前記ベクトル値を持った複数のビットパターンにより擬似乱数列が表現されていることを特徴とする請求項3に記載の二次元エンコーダ。
【請求項5】
前記変調されたビットパターン内に共通で現われる部分を参照画像として画像相関を行なうことを特徴とする請求項2乃至4のいずれかに記載の二次元エンコーダ。
【請求項6】
画像相関値のピーク位置を用いて、絶対位置コードのデコード開始位置を決定することを特徴とする請求項5に記載の二次元エンコーダ。
【請求項7】
画像相関した値を使用して、相関値の極値を推定することを特徴とする請求項6に記載の二次元エンコーダ。
【請求項8】
前記ピーク検出を必要最低限行なうことで、画像相関を終了することを特徴とする請求項7に記載の二次元エンコーダ。
【請求項9】
得られた相関値の極値と絶対位置コードを合成して高精度な絶対位置を得ることを特徴とする請求項8に記載の二次元エンコーダ。
【請求項10】
第1の方向、第2の方向と順に処理を行なうことを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の二次元エンコーダ。
【請求項11】
共通の部分を持つように変調されたビットパターンが第1の方向に配置されると共に、同じビットパターンが、1ビット分ずつずらして、第1の方向と直交する第2の方向にも配置されていることを特徴とする二次元エンコーダのスケール。
【請求項12】
前記変調されたビットパターンが、擬似乱数列で配置されていることを特徴とする請求項11に記載の二次元エンコーダのスケール。
【請求項13】
前記ビットパターンにベクトル値が割り当てられていることを特徴とする請求項11に記載の二次元エンコーダのスケール。
【請求項14】
前記ベクトル値を持った複数のビットパターンにより擬似乱数列が表現されていることを特徴とする請求項13に記載の二次元エンコーダのスケール。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、スケール上のビットパターンの画像を検出器で取得して、スケールと検出器の相対変位を検出するようにされたエンコーダ、及び、そのスケールに係り、特に、二次元リニアスケールに用いるのに好適な、二次元エンコーダ、及び、そのスケールに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜4に記載されている如く、図1(特許文献4の例)に示すように、絶対位置を得ようとするバイナリパターンや、M系列等の擬似乱数列を表現したABSコード608を有するトラックをスケール607上に配置して、透過又は反射により得られる光信号を検出器601で検出し、その2値化された値から絶対位置を復号する光電式絶対位置検出(ABS)エンコーダが知られている。図において、600は検出ヘッド、601a、601bは、それぞれ、X方向終端又は前端のABSコード検出器、602はマーカ検出器、603は、シフトレジスタ604、変換回路605、606、シフトレジスタ制御信号発生回路610を備えた信号処理回路である。
【0003】
しかしながら、この装置では、初期位置をスケール607又は検出ヘッド600の移動を行なわずに検出するためには、特許文献2のように、必要ビット長分の長い検出器が必要になる。
【0004】
又、別の手法としては、絶対位置を示すトラックを並列に必要ビット分配置して、同時に検出器も同数用意する方法もある。
【0005】
更に、ビットパターンの境界で0か1か不定になるのを防ぐため、特許文献3のように、検出ポイントを3点に増やしたり、特許文献4のように、検出器を移動させる方法もある。
【0006】
あるいは、より高精度な位置を得るために、特許文献1〜4のように、図1に示した如く、インクリメンタルコード609を備えたトラックを併用し、内挿したインクリメンタルのカウントと絶対位置を合成することも行なわれている。
【0007】
又、特許文献5のように、二次元のイメージセンサを用いて、画像相関を計算することも行なわれている。
【0008】
【特許文献1】特開平7−286861号公報
【特許文献2】特開2000−234941号公報
【特許文献3】特開2002−131088号公報
【特許文献4】特開2002−168655号公報(図6)
【特許文献5】特開2002−230560号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、単一のトラックで高精度を得るためには、スケールを微細加工しなければならず、コスト高になる。又、絶対位置コードの読出しが不正確になり勝ちである。更に、特許文献1乃至4のように、インクリメンタルのスケールトラックを併用する方法では、常時インクリメンタルの信号を読む必要があり、消費電力が増加してしまうため、低消費電力が必要なバッテリ駆動の機器への搭載が制限されてしまう。又、インクリメンタルトラックを増やす分だけコストも増加する。
【0010】
又、特許文献5のように、画像の半分相当の領域を用いて画像相関を行う方法では、画像相関演算のための演算量が膨大で、そのままでは、消費電力、コスト、サイズの面からバッテリ駆動の小型変位測定機には採用できない。更に、この特許文献5によれば、二次元の位置検出が高精度に実現可能であるが、インクリメンタルエンコーダに留まっており、絶対位置を検出することはできない。又、装置として実現するためにはDSP等を使用するため、複雑、高コストのシステムを必要とする等の問題点を有していた。
【0011】
本発明は、前記従来の問題点を解決するべくなされたもので、二次元のリニアスケールに適用可能な二次元の絶対位置(ABS)パターンを持った高信頼性、高精度、高分解能の二次元エンコーダを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、スケール上のビットパターンの画像を検出器で取得して、スケールと検出器の相対変位を検出するようにされた二次元エンコーダにおいて、共通の部分を持つように変調されたビットパターンを、第1の方向に配置すると共に、同じビットパターンを、1ビット分ずつずらして、第1の方向と直交する第2の方向にも配置することにより、前記課題を解決したものである。
【0013】
前記変調されたビットパターンは、擬似乱数列で配置することができる。
【0014】
又、前記ビットパターンにベクトル値を割り当てることにより、より広範囲の絶対位置の表現や誤り訂正符号の付加を可能にすることができる。
【0015】
又、前記ベクトル値を持った複数のビットパターンにより擬似乱数列を表現することができる。
【0016】
又、前記変調されたビットパターン内に共通で現われる部分を参照画像として画像相関を行なうことができる。
【0017】
又、画像相関値のピーク位置を用いて、絶対位置コードのデコード開始位置を正確に決定することができる。
【0018】
又、画像相関した値を使用して、最小二乗法によるフィッティングや、特許文献5に記載の方法により、相関値の極値を高精度で推定することができる。
【0019】
又、前記ピーク検出を必要最低限行なうことで、画像相関を終了するようにして、計算量を削減することができる。
【0020】
又、得られた相関値の極値と絶対位置コードを合成することで、高精度な絶対位置を得ることができる。
【0021】
又、第1の方向、第2の方向と順に処理を行なうことができる。
【0022】
本発明は、又、共通の部分を持つように変調されたビットパターンが第1の方向に配置されると共に、同じビットパターンが、1ビット分ずつずらして、第1の方向と直交する第2の方向にも配置されていることを特徴とする二次元エンコーダのスケールを提供するものである。
【0023】
又、前記変調されたビットパターンが、擬似乱数列で配置されていることを特徴とする二次元エンコーダのスケールを提供するものである。
【0024】
又、前記ビットパターンにベクトル値が割り当てられていることを特徴とする二次元エンコーダのスケールを提供するものである。
【0025】
又、前記ベクトル値を持った複数のビットパターンにより擬似乱数列が表現されていることを特徴とする二次元エンコーダのスケールを提供するものである。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、製造の容易なピッチ幅の大きいバイナリ型のスケールを用いて、二次元のABSエンコーダを実現できる。又、DSPなどの高コストな演算装置を用いなくても、安価に二次元のABSエンコーダを実現できる。
【0027】
特に、前記変調されたビットパターンを擬似乱数列で配置した場合には、各方向の絶対位置を、それぞれ単一のトラックで検出可能となる。
【0028】
更に、前記ビットパターンにベクトル値を割り当てて多値化した場合は、より広範囲の絶対位置の表現や誤り訂正符号の付加が可能となる。
【0029】
又、前記変調されたビットパターン内に共通で現われる部分を参照画像として画像相関を行なうようにした場合には、演算量の少ない画像相関演算でも、高精度のエンコーダを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下図面を参照して、本発明の実施形態を詳細に説明する。
【0031】
まず、測定対象がX軸方向の一方向のみである一次元エンコーダの比較例について説明する。
【0032】
第1比較例は、図2に示す如く、図3で示されるフレームパターンが、図4に示す如く、擬似乱数列で配置されたトラックのみを配置した一次元スケール10と、発光素子22、レンズ24及び受光素子アレイ26が搭載された検出器20と、信号処理装置30とを備えている。
【0033】
前記信号処理装置30は、前記受光素子アレイ26の出力のノイズを除去して増幅するためのノイズフィルタ・増幅回路32と、該ノイズフィルタ・増幅回路32の出力のアナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器34と、該A/D変換器34の出力信号を補正する信号補正回路36と、該信号補正回路36の出力の相関演算を行なう相関演算回路38と、該相関演算回路38の出力により絶対(ABS)位置を演算するABS演算回路40と、該ABS演算回路40で得られたABS位置と前記相関演算回路38で得られた内挿位置を合成して絶対位置として出力する位置合成回路42とを含んで構成される。
【0034】
このような構成において、前記レンズ24により拡大又は等倍とされたスケール10の透過像が受光素子アレイ26で検出され、検出信号は、信号処理装置30に伝送され、位置演算により位置が求められる。なお、図2の例は透過型で示したが、反射型の光学系として、発光素子22をレンズ24や受光素子アレイ26と同じ側に配置してもよい。
【0035】
前記スケール10には、図3に示すようなフレームパターンが、図4に示すようにスケールの移動方向に沿って、例えば9ビットのM系列数列として配置されている。
【0036】
前記フレームパターンとしては、図3に示した如く、絶対位置を示すためコードとして、「1」、「0」の値を変調したフレームパターンを用いることができる。この「1」、「0」のパターンは、同一幅の周期と共通するイメージ(この例ではスタートビット付近)を持つ。このパターンを持った「1」、「0」を、スケール10上に擬似乱数として測長方向に配置する。擬似乱数としては、M系列、ゴールド系列等がある。なお、M系列やゴールド系列以外の擬似乱数を用いることもできる。
【0037】
前記一次元エンコーダは、測長方向(X軸方向)に沿って受光素子アレイ26を持ち、発光素子22がスケール10を照らすことにより、スケール10の透過又は反射のイメージを得ることができる。受光素子の幅は、必要な分解能との関係で決定され、受光素子の数は、測長範囲及び受光素子の幅により決定される。
【0038】
図4の例では、破線で示す範囲Aが実際に撮像される範囲を示し、スケール10が画面左方に移動し、撮像範囲が右側に移動している状態を示している。左端側にあるフレームのスタートビットを検出し、定められたフレーム間隔順に、右側にあるフレームをデコードしていくと、9ビットのコードが得られる。このときデコードされるスケール上のパターンは、スケールの移動に伴い、図4に示すように10Eh→01Dh→1D1hと変わっていく。これらの値は、測長範囲内でただ一度しか現われない値で、絶対位置と1対1の関係がある。従って、この値から絶対位置を知ることができる。しかし、受光素子幅とスケールの実際的な製造の問題により、かなりの高倍率の光学系を用いなければ、サブミクロン以下の位置精度を得ることはできない。
【0039】
そこで、この比較例では、図4に示した単一のトラックを持つスケールで高分解能を得るために、画像相関を使用する。即ち、特許文献5と同様に、参照イメージと撮像した実イメージ間の差又は積の絶対値の和を用いて、両イメージ間の相違を数値化する。但し、本実施形態では、特許文献5のように、画面半分ほどの大きさのイメージ同士を比較するのではなく、図5に示す如く、「1」、「0」のフレームに共通のイメージ部分から選択した必要最小限の大きさを持ったパターンとする。参照イメージのサイズは、大きい方が精度の向上が期待できるが、演算量が増加する。又、参照イメージはスケールのデザインによっても変わってくる。適用するシステムによって、フレーム及び参照イメージの最適なデザインを選択することができる。この比較例では、図3で示されたスケールのスタートビット付近の画像のみを、図5に示した如く参照イメージとする。
【0040】
参照イメージは、実際の代表的な画像から得てもよいし、人工的に作成しても良い。図6に参照イメージの他の例を示す。
【0041】
以下、図7に示すフローチャートを参照して第1比較例全体の処理手順を説明する。
【0042】
まず、ステップ100で、前記ノイズフィルタ・増幅回路32、A/D変換器34及び信号補正回路36を介して、画像データを取得する。
【0043】
次いでステップ110で、前記相関演算回路38により、図8に示す如く、相関演算を行なう。なお、図8では差を用いる差分法を示したが、積を用いる掛け算法を使用しても良い。
【0044】
次いでステップ120で、得られた画像相関値から、図9に示す如く、逆凸状に現われるピークを検出し、そのピーク付近の相関値を利用して、図10(特許文献5の図12に対応)に示す如く、真のピークを内挿演算する。内挿演算には、特許文献5に記載されている方法や、最小二乗法による多項式のフィッティングによる推定を用いることができる。又、このピーク検出により、ABSコードのデコード開始位置を精度良く決めることができる。なお、相関演算は画面全域で行なう必要は無く、ピークを検出し、内挿のために必要な最低限のみ求めれば、計算を終了して計算量を削減することができる。スタートビットは、図3に示した如く、「1」、「0」のどちらのパターンにも存在するので、擬似乱数列の値によって、画像相関を行なう範囲が大きく増加したり、検出できなくなったりすることがない。
【0045】
次いでステップ130で、前記ABS演算回路40により、ピーク位置を基準にABS情報を取得し、ステップ140で、ABSデータを復号する。
【0046】
次いで、ステップ150で内挿演算を行なった後、ステップ160で、前記位置合成回路42により、光学系の倍率を考慮してABS位値と内挿位値を合成すれば、求めるX軸方向の絶対位置を算出することができる。
【0047】
以下、具体的な合成演算の方法の例を図11を参照して説明する。
【0048】
まず、M系列のデータをデコード開始した位置XABSを求める。この位置は単なるピク
セル番号ではなく、サブピクセル以下の値が必要である。
【0049】
ABS=Xp−Spitch・n …(1)
p:内挿演算のピーク検出位置
pitch:スケールの1フレーム長、実施例では120μm
n:内挿演算位置からABSコード開始位置までのフレーム数
【0050】
次に原点位置からのABSフレーム番号PABSを光学倍率Soptを加味して加えると、求める位置Xは、次式で得られる。
【0051】
X=(PABS・Spitch−XABS)/Sopt+X0 …(2)
ABS:デコードされたABSフレーム番号
ABS:M系列ABSコードのデコード開始位置
opt:光学倍率
0:オフセット調整値
【0052】
これらの手法により、全長を比較する場合に比べて、計算量の大幅な削減が可能となり、消費電力を大きく低減することができる。
【0053】
この比較例においては、ピーク検出を、画像の歪みの少ない中心部分のみで行なっているので、少ない計算負荷で高精度の測定を行なうことができる。なお、両端の2個所で行なって、ミスアライメントの影響を受け難くしたり、あるいは、全体で行なうことも可能である。
【0054】
なお、第1比較例の変調ビットパターンは、1フレームで1ビットの信号しか表現していないため、撮像範囲と製造上の制限から来るスケールの最小幅の関係から、表現できる絶対位置範囲が数百mmに限られていた。例えば、フレーム長が120μm、マーク最小幅が20μm、撮像範囲が1.44mm(イメージセンサで12フレームを一度に撮影)としたとき、表現可能な絶対位置範囲は約245mmである。又、リニアスケール等の用途では、ゴミやノイズによるビットの読み取り誤りの検出や訂正を行なうため、更に多くの情報を付加しなければならず、リニアスケールへの適用は難しかった。
【0055】
次に、表現可能な絶対位置範囲を広げて、リニアスケールにも適用可能とした、第2比較例を詳細に説明する。
【0056】
この比較例は、第1比較例と同じ装置構成において、スケールデザインを改良したものである。
【0057】
即ち、絶対位置を示すためのコードとして、1つのフレームにベクトル値を割り当てて多値化し、複数のフレームでベクトルの全ての値を表現するようなコードを用いる。図12は、2ビットの値を持つフレーム、図13は、3ビットの値を持つフレーム、図14は、4ビットの値を持つフレームの例を示している。
【0058】
いずれの次元のフレームの場合も、各ビットパターンは、同一の幅であり、共通する部分を持つ。図12、図13、図14の例では、ビットパターンの左端付近が、黒から白に変化する共通イメージ(参照イメージと称する)となっている。又、共通する部分以外のイメージには、参照イメージと同じ部分があってはならない。そして、第1比較例と同様に、スケール上に擬似乱数を測長方向に配置するが、このとき、擬似乱数列を、使用するベクトルの次元で区切り、そのベクトル値に該当するフレームを割り当てて、スケールパターンとする。擬似乱数としては、M系列、gold系列等を用いることができる。なお、第2実施形態によるスケールデザインは、図12〜図14に示したものに限定されず、他にも多くの変形例が可能である。又、ベクトル値も図に示した、上から4個(図12)、8個(図13)、16個(図14)に限定されず、任意の組合せをデコードに用い、残りの予備の部分を誤り訂正等に使うことができる。ビット長も、5ビット以上にしても良い。
【0059】
例として、スタートビットに当たる最小線幅を20μm、その他の線幅を20μm×Nとしたときに、それぞれのベクトルの次元数M別の表現に必要なフレーム長Lを表1に示す。
【0060】
【表1】


【0061】
又、それぞれの例において、表現できる絶対位置範囲Pは、次の関係式で示される。
【0062】
P=L*2^(N−1) …(3)
N={ROUND(F/L)−1}*M …(4)
※ROUND()は丸めの意味
L:1フレーム長
N:撮像範囲内のビット数
F:イメージセンサ等を用いたときの実体の撮像範囲
M:ベクトル次元数(多値化数)
【0063】
例えばベクトル次元をM=3として、1フレーム長L=160μm、撮像範囲F=1.44mmとした場合、全てのビットで絶対位置を表現すると、表現可能な絶対位置範囲Pは、次のようになる。
【0064】
P=0.160*2^{(ROUND(1.44/0.16)−1)*3−1}
=1342177[mm] …(5)
【0065】
次元Mが4の場合、同様な計算により24159191[mm]となる。結果を表1の表現可能な絶対位置範囲Pに示す。
【0066】
これらの結果から、第1比較例と同様の光学系、マーク最小ピッチ幅を用いた場合でも、ベクトル化(多値化)により実用上十分な範囲の絶対位置を示すことができることが分かる。
【0067】
又、これらのビット情報に誤り検出符号を付加することで、ゴミやノイズ等によるビット読み取りミスにも対応できる。
【0068】
図15に、このベクトル化(多値化)方法を使用して、スケールを設計する方法を示す。まず、第1比較例と同様にM系列を用いて、必要な長さの擬似乱数列を作成する。図15に示したように3ビットの多値化を行なう場合には、求められた擬似乱数列を3ビット毎に区切り、各区切り毎に該当するデザインを割り当てていき、全ての数列にビットパターンを割り当てれば終了となる。
【0069】
デコードする場合は、第1比較例と同様に、画像相関を利用してスタートビット付近の参照イメージを検出し、1フレーム毎にビットパターンを切り出し、ビットパターン毎のベクトル値を取り出し、擬似乱数列として合成すればよい。画像相関によるサブピクセル以下の値の演算も、第1比較例と同様に行なうことができる。
【0070】
この第2比較例によれば、第1比較例より広範囲なABS位置を表現できるので、リニアエンコーダ等、広範囲のアブソリュートエンコーダを供給できる。又、誤り訂正符号を付加することにより、信頼性の高いエンコーダを供給することができる。
【0071】
次に、図16に示す如く、第1比較例と同じビットパターンをX軸方向に持ち、Y軸方向には同じビットパターンが1ビット分ずつずらして配設された、二次元ABSスケールパターンを持つ本発明の実施形態について詳細に説明する。
【0072】
本実施形態は、図17に示す如く、図16に示したような二次元に擬似乱数列が配列された二次元(2D)スケール60と、発光素子72と、レンズ74と、二次元方向の光検出が可能とされた検出素子マトリックス76と、二次元方向の処理が可能とされた信号処理装置80とにより構成される。
【0073】
前記二次元ABSスケール60上のパターンは、図16に示した如く、X軸方向の各行毎は第1比較例と同じである。一方、Y軸の列方向には、X軸方向のABSパターンを1ビット分ずつX軸方向にずらして配置してある。
【0074】
前記信号処理装置80は、図2に示した第1比較例の信号処理装置30をX軸方向処理用とし、更に、Y軸方向処理に必要な構成が加えられている。
【0075】
図18に、各ビットパターン(図5と同じ)及びX軸方向、Y軸方向の参照イメージを示す。
【0076】
図19に、二次元ABSエンコーダとして機能させる手順を示す。
【0077】
まず図7に示した第1比較例と同様の方法で、X軸方向の位置検出を行なう。即ち、ステップ100で画像データを取得した後、予め定めておいた列の行方向の画像データを取り出し、取り出したデータに対して、図18に示したX軸方向の参照イメージを用いて、画像相関を行なう(ステップ110)。画像相関の方法については、第1比較例と同様であり、相関演算により求められた演算結果が逆凸のピークを示す位置を相関一致位置、即ちスタートビットとする(ステップ120)。このスタートビット位置を手ががりに、1フレーム毎にビットパターンを切り出し、ビットパターン毎の値を取り出し、擬似乱数列として、ABS値を合成する(ステップ130、140)。続いて、画像相関値を利用した内挿演算によるサブピクセル値以下の値の演算も、第1比較例と同様に行なう(ステップ150)。最後に、ABS値と内挿演算値を合成して、X軸方向の画像中心位置を求める(ステップ160)。
【0078】
以上のステップ100乃至160は第1比較例と同様である。
【0079】
次にY軸方向に着目する。予め定めておいた列方向の画像データを取り出し、取り出したデータに対して、図18に示したY軸方向の参照イメージを用いて、X軸方向の時と同様に画像相関(ステップ210)、スタートビット位置検出(ステップ220)、ABS位置合成(ステップ230、240)、内挿演算(ステップ250)を行い、ABS値と内挿演算値を合成して、Y軸方向の画像中心位置を求める(ステップ260)。
【0080】
ステップ160、260で求めた値を、最後に(X、Y)値として出力する(ステップ270)。
【0081】
なお、本実施形態は、第1比較例と同様のビットパターンを持つものであったが、第2比較例と同様にベクトル値を持ったものでもよい。
【0082】
又、適用対象も光電式エンコーダに限定されない。
【産業上の利用可能性】
【0083】
前記実施形態においては、本発明が、アブソリュートエンコーダに適用されていたが、本発明の適用対象はこれに限定されず、インクリメンタルエンコーダにも同様に適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0084】
【図1】特許文献4に記載された従来のABSエンコーダの一例の構成を示す斜視図
【図2】比較例に係る光電式エンコーダの実施形態の全体構成を示す正面図
【図3】第1比較例で用いられているフレームパターンを示す平面図
【図4】同じくスケール上のフレームパターンの配置例を示す平面図
【図5】同じく参照イメージを示す平面図
【図6】同じく参照イメージの変形例を示す平面図
【図7】同じく処理手順を示す流れ図
【図8】同じく差分法による相関計算の様子を示す平面図
【図9】同じく画像相関値の計算結果の例を示す線図
【図10】同じく内挿の様子を示す線図
【図11】同じくABS値と内挿値の合成の様子を示す平面図
【図12】第2比較例で用いられている2ビットの場合のフレームパターンを示す平面図
【図13】同じく3ビットの場合のフレームパターンを示す平面図
【図14】同じく4ビットの場合のフレームパターンを示す平面図
【図15】同じくスケール上のフレームパターンの配置方法を示す平面図
【図16】本発明の実施形態で用いられている二次元ABSスケールパターンを示す平面図
【図17】本発明に係る二次元エンコーダの実施形態の全体構成を示す正面図
【図18】同じく各ビットパターン及び参照イメージを示す平面図
【図19】同じく処理手順を示す流れ図
【符号の説明】
【0085】
60…スケール
70…検出器
72…発光素子
74…レンズ
76…検出素子マトリックス
80…信号処理装置
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成18年7月5日(2006.7.5)
【代理人】 【識別番号】100080458
【弁理士】
【氏名又は名称】高矢 諭

【識別番号】100076129
【弁理士】
【氏名又は名称】松山 圭佑

【識別番号】100089015
【弁理士】
【氏名又は名称】牧野 剛博


【公開番号】 特開2008−14739(P2008−14739A)
【公開日】 平成20年1月24日(2008.1.24)
【出願番号】 特願2006−185164(P2006−185164)