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【発明の名称】 指針計器
【発明者】 【氏名】妹尾 秀樹

【要約】 【課題】目盛が未装着状態で指針打ち込み工程を実施する際に、目盛に依らずに指針打ち込み角度を高精度に決定することが可能な指針計器を提供する。

【構成】ケース2に位置決め孔2bを設けるとともに、文字板1に貫通孔1bを設けて位置決め孔2bを露出させた。これにより、目盛の替わりに位置決め孔2bを光学的画像読み取り装置により検出し、その検出データに基づいて、指針4の打ち込み角度を高精度で決定することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示板と、
前記表示板を保持する第1保持部材と、
前記第1保持部材に設けられ前記表示板が戴置される戴置部と、
前記戴置部の裏側に配置されて回転軸を回動させるムーブメントと、
前記表示板の前面側に配置され且つ前記戴置部に設けられた第1開口部および該第1開口部に対応して前記表示板に設けられた第2開口部を介して前記回転軸に結合されて前記表示板の表面に沿って回転する指針と、
前記指針の前面側に配置され計器の指標のうち少なくとも目盛が形成された指標部材と、
前記指標部材を保持する第2保持部材とを備え、
前記第2保持部材が前記第1保持部材の前面側に固定された指針計器であって、
前記第1保持部材の前記戴置部に設けられた有底孔と、
前記有底孔に対応して前記表示板に設けられた貫通孔とを備え、
前記貫通孔は前記回転軸の軸方向において前記有底孔が前記貫通孔を介して完全に露出するように形成されたことを特徴とする指針計器。
【請求項2】
前記表示板には前記目盛を除く前記指標が形成されることを特徴とする請求項1に記載の指針計器。
【請求項3】
前記第2保持部材には前記指針の前面側且つ前記目盛よりも内周側に表示部材が配置され、
前記貫通孔および前記有底孔は前記回転軸の軸方向から見て前記表示部材と重なっていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の指針計器。
【請求項4】
前記ムーブメントはステッピングモータであることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の指針計器。
【請求項5】
目盛以外の指標部を有する表示板と、
前記表示板の裏面側に配置されたムーブメントによって駆動され前記表示板の表面側を回動する指針と、
前駆表示板の表面側であって前記指針の指示先端側を除く領域を覆うように前記指針の前面側に配置され前記指針の指示先端の回動軌跡に沿って目盛が形成された表示部材と、
前記表示板のうち前記指針の指示先端側を除く位置に配置された有底反射部とを備えたことを特徴とする指針計器。
【請求項6】
前記有底反射部は、前記表示板が配置されるケースに設けられた有底孔と、前記表示板のうち前記有底孔に対応する部位に形成された貫通孔との組合せにより構成されていることを特徴とする請求項5に記載の指針計器。
【請求項7】
前記有底孔および前記貫通孔は光学的読み取り装置からの光を反射するものであることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の指針計器。
【請求項8】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の指針計器の製造方法であって、
前記第1保持部材に前記表示板および前記ムーブメントを固定する第1保持部材組付け工程と、
前記第2保持部材に前記指標部材および前記表示部材を取り付ける第2保持部材組付け工程と、
前記第1保持部材組付け工程の完了した前記第1保持部材に前記指針を取り付ける指針打ち込み工程と、
前記指針打ち込み工程が完了した第1保持部材に前記第2保持部材組付け工程が完了した前記第2保持部材を取り付ける結合工程とを備え、
前記指針打ち込み工程においては、光学的画像読み取り装置により前記有底孔位置を検出し、検出した前記有底孔位置に基づき前記第1保持部材に対する前記指針の角度を決定し、前記指針を前記第1開口部および前記第2開口部を介して前記回転軸に固定することを特徴とする指針計器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、指針の回転角度により被測定量の大きさを指示する指針計器およびその製造方法に関するものであり、自動車等に用いて好適である。
【背景技術】
【0002】
従来の指針計器として、たとえば計器の指標である目盛および数字が設けられた表示板の前面側に指針を配置し、この指針を表示板の背後に配置したムーブメントにより回転させる構成のものがある(特許文献1参照)。
【0003】
上述の従来の指針計器の製造工程において、指針は、表示板の前面側からムーブメントの回転軸へ打ち込まれる。指示精度の良好な指針計器とするために、製造工程において、指針と目盛の位置関係を正確に組み付ける必要がある。そのために、従来の指針計器の製造工程においては、光学的画像読み取り装置により表示板の目盛位置を検出し、それに基づいて表示板に対する指針の打ち込み角度を決定している。生産性向上、製品ばらつき低減のため、光学的画像読み取り装置による目盛位置検出〜指針打ち込みは自動機械により行われている。
【特許文献1】特開2003−156369号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、指針計器の見映えを斬新なものとするために、表示板に数字を設け、目盛を指針の前面側に配置した目盛リングに形成することが行われている。この場合、視認方向において視認者側から目盛、指針、数字の順で重なって見え、指針計器の見映えを立体感豊かなものにできる。
【0005】
このような指針計器においては、指針は視認方向において表示板と目盛リングとに挟まれているため、表示板および目盛リングが組み付けられた状態では指針を打ち込むことが非常に困難となる。したがって、上述したような構成の指針計器の製造工程においては、指針視認方向におい表示板が取り付けられた本体に指針を打ち込んだ後に、目盛リングを指針の前方から組み付けることになる。そうすると、指針打ち込み工程において、指針打ち込み角度決定の手掛かりとなる目盛リングがまだ取り付けられていないため、指針打ち込み角度を高精度に決定することが困難となる。このため、指針計器組付け完了後、指針角度の再調整を要する場合も発生する。
【0006】
本発明は、上記の問題点に鑑みなされたもので、目盛が未装着状態で指針打ち込み工程を実施する際に、目盛に依らずに指針打ち込み角度を高精度に決定することが可能な指針計器を提供することを目的とする。また、目盛に依らずに指針打ち込み角度を高精度に決定でえきる指針計器の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成する為、以下の技術的手段を採用する。
【0008】
本発明の請求項1に記載の指針計器は、表示板と、表示板を保持する第1保持部材と、第1保持部材に設けられ表示板が戴置される戴置部と、戴置部の裏側に配置されて回転軸を回動させるムーブメントと、表示板の前面側に配置され且つ前記戴置部に設けられた第1開口部および該第1開口部に対応して前記表示板に設けられた第2開口部を介して回転軸に結合されて前記表示板の表面に沿って回転する指針と、指針の前面側に配置され計器の指標のうち少なくとも目盛が形成された指標部材と、指標部材を保持する第2保持部材とを備え、第2保持部材が第1保持部材の前面側に固定された指針計器であって、第1保持部材の戴置部に設けられた有底孔と、有底孔に対応して表示板に設けられた貫通孔とを備え、貫通孔は回転軸の軸方向において有底孔が貫通孔を介して完全に露出するように形成されたことを特徴としている。
【0009】
上述の構成によれば、表示板が装着された第1保持部材に指針を打ち込む工程、つまり第1保持部材の背後に装着されたムーブメントの回転軸に指針を固定する工程において、第1保持部材の戴置部に設けられた有底孔を、指針の打ち込み角度を決定するための指標として用いることができる。すなわち、光学的画像読み取り装置で有底孔およびその周辺部を見たときに、光学的画像読み取り装置の光入射部から有底孔の底部までの距離が、光学的画像読み取り装置の光入射部から表示板の表面までの距離より大きいので、光学的画像読み取り装置が読み取った画像データにおいて、有底孔の底部は黒く、表示板は明るくなっている。すなわち有底孔を明瞭に判別できる。したがって、光学的画像読み取り装置は、有底孔の位置を正確に検出できるので、検出した有底孔の位置に基づいて指針の打ち込み角度を決定すれば、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を実現することができる。
【0010】
本発明の請求項2に記載の指針計器は、表示板には目盛を除く指標が形成されることを特徴としている。
【0011】
この場合、表示板に形成される指標は、たとえば、目盛に対応した数字や物理量の単位等の文字である。しかし、これらは、指針の打ち込み角度を高精度で決定するための指標としては不適当なため、やはり、有底孔を指針の打ち込み角度を決定するための指標として用いることにより、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を実現することができる。
【0012】
本発明の請求項3に記載の指針計器は、第2保持部材には指針の側且つ目盛よりも内周側に表示部材が配置され、貫通孔および有底孔は回転軸の軸方向から見て表示部材と重なっていることを特徴としている。
【0013】
上述の構成によれば、指針計器完成後の使用時において、視認者が指針計器を見たときに、表示板の貫通孔および第1保持部材の有底孔は表示部材の陰になるので、視認者からは見えない。これにより、良好な見映えを維持しつつ、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を実現することができる。
【0014】
本発明の請求項4に記載の指針計器は、ムーブメントはステッピングモータであることを特徴としている。
【0015】
ステッピングモータは、パルス状電圧を印加されて駆動され、印加されるパルス数で回転軸の回転角度が決まる。そのため、ステッピングモータの駆動制御には、通常マイクロコンピュータが用いられている。
【0016】
これにより、指針計器の組付け完了後、指針と目盛との位置関係に誤差が有った場合、指針計器を分解することなく、電気的に容易に修正することができる。したがって、指針計器の組付け検査工数を低減することができる。
【0017】
本発明の請求項5に記載の指針計器は、目盛以外の指標部を有する表示板と、表示板の裏面側に配置されたムーブメントによって駆動され表示板の表面側を回動する指針と、表示板の表面側であって指針の指示先端側を除く領域を覆うように指針の前面側に配置され指針の指示先端の回動軌跡に沿って目盛が形成された表示部材と、表示板のうち指針の指示先端側を除く位置に配置された有底反射部とを備えたことを特徴としている。
【0018】
上述の構成によれば、表示板の表面側から指針を打ち込む工程において、表示部材が既には組み付けられていると打ち込めないため、表示部材は未だ組み付けられていない。すなわち、指針打ち込み時に、指針の打ち込み角度を決める目標物である目盛が無い。そこで、表示板に配置された有底反射部を、指針の打ち込み角度を決定するための指標として用いることができる。
【0019】
したがって、光学的画像読み取り装置により有底反射部の位置を正確に検出し、それに基づいて指針の打ち込み角度を決定すれば、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を実現することができる。
【0020】
本発明の請求項6に記載の指針計器は、有底反射部は、表示板が配置されるケースに設けられた有底孔と、表示板のうち有底孔に対応する部位に形成された貫通孔との組合せにより構成されていることを特徴としている。
【0021】
上述の構成によれば、光学的画像読み取り装置で有底孔および貫通孔の周辺部を見たときに、光学的画像読み取り装置の光入射部から有底孔の底部までの距離が、光学的画像読み取り装置の光入射部から表示板の貫通孔周辺の表面までの距離より大きいので、光学的画像読み取り装置は、有底孔の底部を黒く且つ表示板を明るく認識する。これにより、有底孔の位置を正確に検出し、検出した有底孔の位置に基づいて指針の打ち込み角度を決定することで、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を実現することができる。
【0022】
本発明の請求項7に記載の指針計器は、有底孔および貫通孔は光学的読み取り装置からの光を反射するものであることを特徴としている。
【0023】
これにより、光学的読み取り装置は、確実に有底孔の位置を正確に検出することができる。
【0024】
本発明の請求項8に記載の指針計器の製造方法は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の指針計器の製造方法であって、第1保持部材に表示板およびムーブメントを固定する第1保持部材組付け工程と、第2保持部材に指標部材および表示部材を取り付ける第2保持部材組付け工程と、第1保持部材組付け工程の完了した第1保持部材に指針を取り付ける指針打ち込み工程と、指針打ち込み工程が完了した第1保持部材に第2保持部材組付け工程が完了した第2保持部材を取り付ける結合工程とを備え、指針打ち込み工程においては、光学的画像読み取り装置により有底孔位置を検出し、検出した有底孔位置に基づき第1保持部材に対する指針の角度を決定し、指針を第1開口部および第2開口部を介して回転軸に固定することを特徴としている。
【0025】
上述の製造方法によれば、指針打ち込み工程において、指針打ち込み角度を高精度で決定できるので、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明による指針計器を自動車に搭載されるコンビネーションメータ100に組み込まれたスピードメータSに適用した場合を例に図面に基づいて説明する。
【0027】
図1は、本発明の一実施形態によるスピードメータSを備えたコンビネーションメータ100の部分正面図である。
【0028】
図2は、図1中のII−II線断面図である。
【0029】
図3は、図2中のIII矢視図である。
【0030】
図4は、本発明の一実施形態によるスピードメータSの電気回路構成を説明する模式図である。
【0031】
コンビネーションメータ100は、自動車の運転席前方の運転者から視認可能な位置に配設され、図1に示すように、当該自動車の走行速度を指示するスピードメータSを備えるとともに、他の計器や各種インジケータ等を備えている。運転席は、図2においてコンビネーションメータ100の右側にあり、コンビネーションメータ100は、図2において右側から運転者によって視認される。
【0032】
スピードメータSは、指針4の回動角度により速度を指示する指針計器として構成されている。すなわち、視認者側から順に、図2に示すように、目盛リング11、および液晶表示器13、指針4、文字板1を備えている。文字板1および目盛リング11は、指針4の回動位置を運転者に指示するための指標である目盛11a、文字1aをそれぞれ備えている。
【0033】
文字板1は、透光性材質、たとえば透明なポリカーボネート等の薄板から形成されている。また、文字板1は、図1に示すように、スピードメータSの指標の一つである文字1aが形成されている。文字1aは、文字板1の表面あるいは裏面に印刷あるいはホットスタンプ等を施すことにより形成されている。すなわち、文字1a以外の部分に不透光性着色層あるいは半透光性着色層を設けると共に、文字1aを透明なままとする、あるいは半透光性着色層を設ける等の処理を施してある。本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、文字1aは半透光性の黄色に、文字1a以外の部分は半透光性の濃青色にそれぞれ着色されている。したがって、後述する、文字板1の裏側に配置される光源である発光ダイオード6が点灯されると、それが発する光により文字板1は透過照明されて、濃青色の背景中に文字1aが黄色で発光表示される。文字1aは、図1に示すように、円弧上且つシャフト3aと同心上に配置されている。
【0034】
文字板1には、図2に示すように、貫通孔1bが設けられている。貫通孔1bは、後述するケース2の戴置部2aに設けられた有底孔である位置決め孔2bを文字板1の前面側に露出させるためのものである。貫通孔1bの大きさは、文字板1がケース2に固定された状態で、図3に示すように、ケース2の位置決め孔2bの周縁、つまり輪郭線が完全に露出するように設定されている。
【0035】
文字板1には、図2に示すように、第1開口部である開口部1cが設けられている。開口部1cは、文字板1の裏側(図2において左側)に配設されるムーブメント3のシャフト3aおよび指針4のボス部4bを挿通させるためのものである。また、スピードメータSの組付け工程においては、指針4が、文字板1の前面側からこの開口部1cを介してシャフト3aに打ち込まれる。
【0036】
文字板1は、文字板1を保持する第1保持部材であるケース2に保持固定されている。すなわち、文字板1は、図2に示すように、ケース2に設けられた戴置部2aに密着して固定されている。ケース2は、たとえば樹脂材料から形成されている。
【0037】
ケース2の戴置部2aには、図2に示すように、有底孔である位置決め孔2bが形成されている。位置決め孔2bは、スピードメータSの組付け工程における指針4打ち込み工程において、指針4のシャフト3aに対する位置を決める、すなわちシャフト3aの周方向における指針4の取り付け角度を決めるための目印であり、光学的画像読み取り装置により位置決め孔2b位置を検出して、それに基づいて指針4の取り付け角度が決定される。
【0038】
ケース2には、図2に示すように、第2開口部である開口部2cが設けられている。開口部2cは、文字板1の裏側(図2において左側)、つまり戴置部2aの裏側に配設されるムーブメント3のシャフト3aおよび指針4のボス部4bを挿通させるためのものである。文字板1の開口部1cとケース2の開口部2cとはほぼ同じ形状であり、且つ互いに同心上に配置されている。スピードメータSの組付け工程においては、指針4が、文字板1の前面側から開口部1cおよび開口部2cを介してシャフト3aに打ち込まれる。
【0039】
文字板1の裏面側、つまり戴置部2aの裏側には、図2に示すように、プリント基板9が配置されている。プリント基板9は、たとえばガラスエポキシ基板等からなり、スピードメータSの電気回路部を形成している。さらには、コンビネーションメータ100の電気回路部をも形成している。
【0040】
プリント基板9には、図2に示すように、ムーブメント3が実装されている。ムーブメント3は、ステッピングモータからなり、外部からの電気信号(本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては自動車の速度信号)に対応した角度だけシャフト3aを回動させるものである。
【0041】
ムーブメント3のシャフト3aの先端には、図2に示すように、指針4が固定されている。指針4は、透光性材料、たとえばポリカーボネート樹脂等により形成されている。指針4は、図2に示すように、走行速度を指示するためのポインタ部4aと指針4をシャフト3aに固定するためのボス部4bとから構成されている。指針4には、図2に示すように、そのボス部4bとシャフト3aの軸方向において対向する側に、遮光キャップ15が装着されている。遮光キャップ15は、遮光性材質、たとえば金属あるいは着色樹脂等から形成されている。遮光キャップ15は、開口部1cおよび開口部2cを介して照射される指針照明用光が指針4外へ漏れて文字板1等を照射してしまい、スピードメータSの見映えが低下することを阻止している。
【0042】
プリント基板9には、文字板1を透過照明するための光源である発光ダイオード6と、指針4を照明するための光源である発光ダイオード8が実装されている。なお、本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、両発光ダイオード6、8として、白色発光ダイオードが用いられている。
【0043】
文字板1の裏側には、図2に示すように、導光板5が重ねて密着配置されている。導光板5は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂等から形成され、発光ダイオード6が発する光を文字板1の裏側へ効率良く導くためのものである。また、ケース2の開口部2cには、図2に示すように、導光筒7が嵌合配置されている。導光筒7は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂等から略円筒状に形成され、発光ダイオード8が発する光を指針4へ効率良く導くためのものである。
【0044】
また、プリント基板9には、両発光ダイオード6、8の点灯・消灯制御およびムーブメント3の駆動制御を行なうコントローラ10が実装されている。コントローラ10は、たとえばマイクロコンピュータ等から構成されている。コントローラ10は、後述する液晶表示器2を駆動制御も行っている。
【0045】
指針4の前面側、すなわち図2において右側には、計器の指標としての目盛11aが形成された指標部材である目盛リング11が配置されている。目盛リング11は、透光性材料、たとえば無色透明のポリカーボネート樹脂等から略C字状に形成されている。目盛リング11には、図1に示すように、スピードメータSの目盛11aが設けられている。目盛11aは、目盛リング11の裏面(図2において左側の面)に着色層を印刷あるいはホットスタンプ等を施すことにより形成されている。目盛11aは、目盛リング11内に図示しない光源、たとえば発光ダイオード等からの光を入射させ、それに照射されて発光表示される。
【0046】
目盛リング11は、目盛リング11を保持する第2支持部材であるフレーム12に保持固定されている。フレーム12は、たとえば樹脂材料から略枠状に形成されている。目盛リング11は、詳しくは、図2に示すように、フレーム12に枠の内側へ突き出すように形成された表示窓部12aの外周に固定されている。フレーム12は、図2に示すように、ケース2の前面側に固定されている。フレーム12とケース2との取り付け位置関係は、図示しない位置決めピン等を介して高精度に維持されている。したがって、ケース2側に固定されている指針4とフレーム12に固定されている目盛リング11との位置関係も良好に維持される。すなわち円弧上に配置された目盛11aとムーブメント3のシャフト3aの同軸度が良好に維持される。フレーム12は、文字板1の前面側に配置されて、スピードメータSの見返し板としての役割を果たしている。
【0047】
フレーム12の表示窓部12aには、図2に示すように、表示部材としての液晶表示器13が配置されている。液晶表示器13は、たとえばマトリクス型液晶表示器が用いられている。液晶表示器13の表示領域上には、図1に示すように、ドアインジケータDおよびオド/トリップメータKが形成されている。ドアインジケータDは、自動車のドアの閉鎖が完全でない場合に点滅表示して運転者に注意および処置を促すためのものである。オド/トリップメータKは、自動車の累積走行距離(オドメータ)および区間走行距離(トリップメータ)を指示するものである。
【0048】
ここで、ケース2の位置決め孔2bおよび文字板1の貫通孔1bは、シャフト3aの軸方向、すなわち運転者の視認方向から見て表示窓部12a、すなわち液晶表示器13と重なる位置に形成されている。
【0049】
表示窓部12aには、目盛リング11を照明するための図示しない光源が、目盛リング11に光を入射可能に配置されている。
【0050】
表示窓部12aに固定された液晶表示器13および目盛リング11照明用の図示しない光源は、図示しない電気接続手段、たとえばフレキシブル回路基板等を介してプリント基板9に接続されている。
【0051】
フレーム12の前面側(図2の右側)端部には、図2に示すように、フロントグラス14が装着されている。フロントグラス14は、透明な樹脂の薄板あるいはガラス等から形成されている。一方、ケース2の裏面側(図2の左側)には、ロアケース16が装着されている。ロアケース16は、たとえば樹脂材料から形成されている。
【0052】
次に、以上説明した、本発明の一実施形態によるスピードメータSの電気回路構成について、図4に基づいて説明する。
【0053】
図4の電気回路構成図に示すように、コントローラ10には、バッテリ18から電力が常時供給されている。コントローラ10には、イグニッションスイッチ17が、その作動状態(ONまたはOFF)を検出可能に接続されている。コントローラ10には、各種のセンサ類が検出信号を入力可能に接続されているとともに、各種センサ類からの検出信号に基づいてコントローラ10により駆動される制御対象部品が接続されている。
【0054】
各種センサ類としては、当該自動車の走行速度を検出する速度センサ19、当該自動車の各ドアの閉鎖状態を検出するドアセンサ20がある。ドアセンサ20は、当該自動車の各ドア毎に設けられており、本発明の一実施形態によるコンビネーションメータが搭載される自動車では、図1に示すように、ドアを4個備えているので、それに対応してドアセンサ20も4個備えている。
【0055】
一方、各種制御対象部品としては、スピードメータSのムーブメント3、液晶表示器13、文字板1照明用の発光ダイオード6、指針4照明用の発光ダイオード8および目盛リング11照明用の発光ダイオード21がある。
【0056】
次に、以上説明したように構成された本発明の一実施形態によるスピードメータSの作動について説明する。
【0057】
(1)イグニッションスイッチ17がONされた場合。
【0058】
運転者によりイグニッションスイッチ17がONされると、コントローラ10は、イグニッションスイッチ17がONされたことを検知してスピードメータSの表示制御を開始する。
【0059】
先ず、発光ダイオード6、8、21を点灯させるとともに、液晶表示器13を表示状態にする。これにより、スピードメータSの文字板1、指針4および目盛リング11が発光表示されるとともに、液晶表示器13上に、ドアインジケータDおよびオド/トリップメータKが表示される。
【0060】
同時に、コントローラ10は、速度センサ19からの検出信号に基づき当該自動車の走行速度を算出するとともにムーブメント3を駆動して、シャフト3aを所定角度、すなわち当該自動車の走行速度を指示する角度まで回動させて指針4により指示する。
【0061】
同時に、コントローラ10は、速度センサ19からの検出信号に基づき当該自動車の走行距離を算出するとともに液晶表示器13を駆動して、当該自動車の走行距離をオド/トリップメータK部の表示内容を逐次更新する。
【0062】
なお、本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、速度センサ19は、自動車の変速機の出力軸であるプロペラシャフトの回転数を検出しており、コントローラ10は、その検出信号に基づいて自動車の走行速度および走行距離の両方を算出している。つまり、自動車の走行速度算出および走行距離算出に1個のセンサを共通使用している。
【0063】
同時に、コントローラ10は、ドアセンサ20からの検出信号に基づき当該自動車の各ドアの閉鎖状態を確認しするとともに液晶表示器13を駆動して、各ドアの閉鎖状態をドアインジケータD部に表示する。すなわち、全てのドアの閉鎖状態が完全である場合、ドアインジケータDにおける各ドアは閉まった状態で表示される。なお、図1においては、4枚のドアすべてが開いた状態で示されている。一方、ドアの閉鎖状態が不完全である場合、つまりドアの係止機構が完全な係止位置にない状態、いわゆる半ドア状態である場合、ドアインジケータDにおいて、半ドア状態のドアが開状態で表示されるとともに、ドアインジケータDが点滅表示される。
【0064】
(2)イグニッションスイッチ17がOFFされた場合。
【0065】
運転者によりイグニッションスイッチ17がOFFされると、コントローラ10は、イグニッションスイッチ17がOFFされたことを検知して、発光ダイオード6、8を消灯させる。同時に、コントローラ10は、ムーブメント3および液晶表示器13の駆動を停止する。
【0066】
次に、本発明の一実施形態によるスピードメータSの製造方法について説明する。特に、本発明の一実施形態によるスピードメータSの製造方法の特徴である、指針打ち込み工程について詳しく説明する。
【0067】
先ず、指針打ち込み工程以前おいて、ケース2に文字板1、およびムーブメント3等電気部品の実装が完了したプリント基板9を組み付ける第1保持部材組付け工程が完了している。なお、第1保持部材組付け工程においては、ロアケース16も取り付けられる。同様に、フレーム12に目盛リング11、液晶表示器13およびフロントグラス14を組み付ける第2保持部材組付け工程も完了している。
【0068】
次に、指針打ち込み工程について説明する。
【0069】
初めに、第1保持部材組付け工程が完了しているケース2および指針4を指針打ち込み装置(図示せず)にセットする。指針打ち込み装置においては、シャフト3aの軸方向においてケース2の文字板2と対向する部位に指針4保持器(図示せず)、および光学的画像読み取り装置が配置されている。ここで、指針4は、ボス部4bの開口孔をシャフト3aに向け且つボス部4bとシャフト3aとがほぼ同軸上となるように保持されている。
【0070】
次に、光学的画像読み取り装置が、ケース2に設けられた位置決め孔2b位置を検出する。なお、光学的画像読み取り装置の光り入射窓は、予めケース2の位置決め孔2bの画像を確実に取り込める位置に設けられている。
【0071】
ここで、光学的画像読み取り装置には、ケース2の位置決め孔2b周辺の画像、すなわち、位置決め孔2b、その周囲の戴置部2a、その周囲の文字板1の3種類の画像が入射する。そのうち、光学的画像読み取り装置から戴置部2a表面までの距離および光学的画像読み取り装置から文字板1表面までの距離はほとんど等しい。一方、光学的画像読み取り装置から位置決め孔2bの底面までの距離は、前2者よりも大きい。このため、光学的画像読み取り装置は、戴置部2a表面および文字板1表面が明るく且つ位置決め孔2bの底面を暗く認識する。この戴置部2a表面および文字板1表面と位置決め孔2bの底面との明暗のコントラストが強いので、それにより、光学的画像読み取り装置は、位置決め孔2bの底面、すなわち位置決め孔2bの位置を正確に検出することができる。
【0072】
指針打ち込み装置は、光学的画像読み取り装置により検出した位置決め孔2bの位置データに基づき指針4の打ち込み角度を算出し、その角度位置まで指針4を回転させ、次に指針4をシャフト3aに向けて移動させてシャフト3aに打ち込む。これにより、指針打ち込み工程が終了する。
【0073】
次に、指針4の打ち込みが完了したケース2に、第2保持部材組付け工程が完了しているフレーム12を固定する結合工程を行なう。結合工程においては、フレーム12とケース2との電気的接続も成される。
【0074】
以上で、スピードメータSの組み付けが完了する。
【0075】
本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、その指針打ち込み工程時には、従来の指針計器において指針打ち込み位置決めの目印となっていた目盛がまだ装着されていない。そこで、ケース2に位置決め孔2bを設けるとともに、文字板1に貫通孔1bを設けて位置決め孔2bを露出させた。これにより、目盛の替わりに位置決め孔2bを光学的画像読み取り装置により検出し、その検出データに基づいて、指針4の打ち込み角度を高精度で決定することが可能となる。
【0076】
したがって、視認方向において視認者側から目盛、指針、数字の順で配置された立体感に富んだ指針計器において、光学的画像読み取り装置を用いた高精度の指針自動打ち込みを実施可能として、指針と目盛の位置関係が高精度に維持される指針計器を提供することができる。
【0077】
また、本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、目盛リング11の内周側に液晶表示器13を配置するとともに、ケース2の位置決め孔2bおよび文字板1の貫通孔1bを、シャフト3aの軸方向、すなわち運転者の視認方向から見て液晶表示器13と重なる位置に形成している。これにより、位置決め孔2bおよび貫通孔1bを運転者の視線から遮断できるので、スピードメータSの見映えを良好なものにできる。
【0078】
なお、以上説明した、本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、液晶表示器13上に表示される情報を、ドアインジケータDおよびオド/トリップメータKとしているが、これらに限定する必要はなく、他の情報、たとえば車室内温度、外気温度、エンジン冷却水温度、燃料タンク内残存燃料量、バッテリ電圧等の情報に置き換える、あるいは追加する等してもよい。
【0079】
また、以上説明した、本発明の一実施形態によるスピードメータSにおいては、表示部材として液晶表示器13を用いているが液晶表示器13に限定する必要はなく、他の種類の表示器、たとえば蛍光表示管、有機EL表示器を用いてもよい。あるいは発光ダイオード等により発光表示される通常のインジケータや警告灯であってもよい。
【0080】
また、本発明の実施形態として、指針計器をスピードメータSに適用した場合を例に説明したが、指針計器をスピードメータSに限定する必要は無く、他の種類の指針計器、たとえばエンジンの回転速度を指示するタコメータ等に適用してもよい。
【0081】
また、一つのコンビネーションメータ100内に、本発明が適用された指針計器を複数個配置してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の一実施形態によるスピードメータSを備えたコンビネーションメータ100の部分正面図である。
【図2】図1中のII−II線断面図である。
【図3】図2中のIII矢視図である。
【図4】本発明の一実施形態によるスピードメータSの電気回路構成を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0083】
1 文字板(表示板)
1a 文字(指標)
1b 貫通孔
1c 開口部(第1開口部)
2 ケース(第1保持部材)
2a 戴置部
2b 位置決め孔(有底孔)
2c 開口部(第2開口部)
3 ムーブメント
3a シャフト(回転軸)
4 指針
4a ポインタ部
4b ボス部
5 導光板
6 発光ダイオード
7 導光筒
8 発光ダイオード
9 プリント基板
10 コントローラ
11 目盛リング(指標部材)
11a 目盛(指標)
12 フレーム(第2保持部材)
12a 表示窓部
13 液晶表示器(表示部材)
14 フロントグラス
15 遮光キャップ
16 ロアケース
17 イグニッションスイッチ
18 バッテリ
19 速度センサ
20 ドアセンサ
21 発光ダイオード
100 コンビネーションメータ
D ドアインジケータ
K オド/トリップメータ
S スピードメータ(指針計器)
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成18年6月22日(2006.6.22)
【代理人】 【識別番号】100106149
【弁理士】
【氏名又は名称】矢作 和行

【識別番号】100121991
【弁理士】
【氏名又は名称】野々部 泰平


【公開番号】 特開2008−2964(P2008−2964A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−172943(P2006−172943)