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【発明の名称】 自車位置決定装置
【発明者】 【氏名】渡辺 隆行

【氏名】若松 浩太郎

【要約】 【課題】自律航法では誤差が大きく、GPSデータが信頼できるときには、素早くGPSデータを利用して正確な自車位置を得ることができる「自車位置決定装置」とする。

【構成】GPS受信信号により自車両の位置と進行角を検出するGPS位置進行角検出部と、ジャイロと車速データにより自車両の位置と進行方位を検出する自律航法位置方位検出部と、GPS位置進行角検出部と自律航法位置方位検出部により自車両の位置と進行方位を決定する自車位置方位決定部と、自車位置方位決定部で決定した自車両の位置を地図の道路に一致させるマップマッチング部と、GPS位置進行角検出部で検出したデータの信頼性を判定するGPS信頼度判定部とを備え、自車位置方位決定部では、マップマッチング処理が行われないとき、GPS信頼度判定部でGPSデータに信頼性があると判定したときには、GPS位置と進行角により自車両の位置と進行方位を決定する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
GPS受信信号により自車両の位置と進行角を検出するGPS位置進行角検出手段と、
ジャイロと車速データにより自車両の位置と進行方位を検出する自律航法位置方位検出手段と、
前記GPS位置進行角検出手段と自律航法位置方位検出手段により自車両の位置と進行方位を決定する自車位置方位決定手段と、
前記自車位置方位決定手段で決定した自車両の位置を地図の道路に一致させるマップマッチング手段と、
前記GPS位置進行角検出手段で検出したデータの信頼性を判定するGPS信頼度判定手段と、
前記自車位置方位決定手段では、前記マップマッチング処理が行われないとき、前記GPS信頼度判定手段でGPSデータに信頼性があると判定したときには、GPS位置と進行角により自車両の位置と進行方位を決定することを特徴とする自車位置決定装置。
【請求項2】
前記GPS位置進行角検出手段で検出した自車位置を中心に、GPSの測位状態により得られるGPS誤差に応じて半径が決定される誤差円を計算するGPS誤差円計算手段を備え、
前記GPS誤差円計算手段では、前記GPS信頼度判定手段で検出データに信頼性があると判定したとき、小さな値に設定することを特徴とする請求項1記載の自車位置決定装置。
【請求項3】
前記自車位置方位決定手段では、GPS進行角に信頼性があり、GPS位置に信頼性があり、且つ自車位置がGPS誤差円外にある時に、GPS位置進行角検出手段の位置と進行角を採用することを特徴とする請求項1記載の自車位置決定装置。
【請求項4】
前記GPS信頼度判定手段では、GPSによる3次元測位が行われており、GPSにより得られた速度が所定値以上であり、GPS位置から得られた走行距離と車速データから得られた走行距離との比が所定の範囲内であり、GPS位置の2点間の角度とGPS進行角との差が所定値以下であるときに、GPS位置に信頼性があると判定することを特徴とする請求項1記載の自車位置決定装置。
【請求項5】
前記GPS信頼度判定手段では、少なくともGPSによる3次元測位が行われており、GPSにより得られた速度が所定値以上であり、GPS位置から得られた走行距離と車速データから得られた走行距離との比が所定の範囲内であり、GPS位置の2点間の角度とGPS進行角との差が所定値以下であり、且つ、それが一定以上採用されているときに、GPS進行角に信頼性があると判定することを特徴とする請求項1記載の自車位置決定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS航法と自律航法とマップマッチングにより自車位置を決定する自車位置決定装置に関し、特に自律航法による自車位置が適切に得られないとき、直ちに信頼性有るGPS航法により自車位置を得ることができるようにした自車位置決定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ナビゲーション装置では、複数のGPS衛星からの信号を受信して自車位置を演算するGPS航法と、ジャイロと車速パルスとにより自車位置を演算する自律航法とを用い、自車位置をできる限り正確に求めることが行われている。その際には、GPS航法を主体とし、自律航法をその補助として用いる手法と、できる限り自律航法を主体とし、自律航法で誤差が蓄積してきたときにGPS航法によろ自車位置を用いる手法、更にはGPS航法のデータと自律航法によるデータとの重み付けにより自車位置を検出する手法等、種々の手法によって自車位置を求める技術が提案されている。また、そのようにして得られた自車位置を地図データの道路上に種々の手法によって位置させるマップマッチングが行われ、それにより自車位置をより正確にモニタ画面の地図の道路上に表示することができるようになっている。
【0003】
下記特許文献1には前記のような種々の手法のうち、GPSデータと自律航法データとの重み付けから第1の自車位置を決定し、その第1の自車位置をマップマッチング処理して、最終自車位置を決定する技術が開示されている。この技術においては、前記のようにして得られた第1の自車位置と最終自車位置の差分に応じて信頼度を決定し、次回以降の自車位置の演算に際して、第1の現在位置の決定時にその重み付け処理に利用している。
【特許文献1】特開2005−326196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献に開示された技術においては、マップマッチング処理で得られた自車位置情報を信頼度決定に利用しているため、地図そのものに誤差がある場合や、マップマッチング処理でミスマッチが発生した場合に、信頼度そのものが信用できなくなる、という大きな問題がある。即ち、発展途上国のような未だ充分正確な地図データが作成されていない、地図誤差の大きい環境下でこのナビゲーション装置を用いると適切な自車位置を得ることができない。また、細街路や、微少角分岐の箇所では、間違った信頼度となる可能性がある。
【0005】
また、GPS航法及び自律航法やマップマッチングを用いて自車位置を演算する前記のような種々の手法において、自律航法を主体としながらマップマッチングを行い、GPS航法を補助に用いる技術は、特に高層ビルが密集していることにより所要数の衛星の受信が困難であり、更にマルチパスの影響を受けやすい場所でも比較的安定して正確な自車位置を得ることができるものであるが、例えばマップマッチングができない状態の時、自律航法の精度が悪い状態が続くと、正しい道路に復帰するまで多くの時間がかかる、という問題がある。
【0006】
具体的には、以下のような状況である。
1.立体駐車場旋回時に、ジャイロ感度が悪くなり、自律航法データに大きな誤差が出やすい。
2.ターンテーブル旋回時に、自車方位に大きな誤差が出やすい。それにより、ターンテーブル脱出後にマップマッチング不能となる。
3.地図にない道路を走行したり、データベース誤差がある場合は、マップマッチング不能となる。
【0007】
以上の状況は、GPSデータを利用し自車位置及び方位を修正することにより解決される。しかしながら従来の手法では以下の制約条件があり、GPSデータを利用するタイミングが遅れる。
1.特定の時間内で、GPSが一定以上の時間受信できている必要がある。
2.一定以上の距離を走行している必要がある。
また、従来方法では、GPS信号の受信状態により、誤差が生じていると予測される範囲としての誤差円の半径を演算して出力し、自車位置とGPSによる測位位置の距離がその誤差円半径を超えたときに、自律航法による誤差が累積していると見なし、GPSデータを利用する処理を行っている。
【0008】
しかし、このような処理を行うときには、前記の場合には誤差円半径が大きく、例えば実際の誤差が20mのときに40mの誤差円を出力することとなるため、その後誤差円から出るまではGPSデータを利用することができず、したがってGPSデータが比較的正しい場合でもそれを利用するタイミングが遅れてしまう。即ち、前記従来の方法では、GPSデータを利用するタイミングが遅いため、自車位置の正確な地図上の地点への復帰が遅れ、正しい道路に復帰するまでは正確なナビ案内ができないため、ユーザに不安を与える、という問題があった。
【0009】
したがって本発明は、自律航法によって適切な自車位置が得られず、GPSデータが信頼できるときには、地図誤差やマップマッチングの結果に影響されずに、素早くGPSデータを利用して正確な自車位置を得ることができる自車位置決定装置、或いはその装置を用いたナビゲーション装置を提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る自車位置決定装置は、上記課題を解決するため、GPS受信信号により自車両の位置と進行角を検出するGPS位置進行角検出手段と、ジャイロと車速データにより自車両の位置と進行方位を検出する自律航法位置方位検出手段と、前記GPS位置進行角検出手段と自律航法位置方位検出手段により自車両の位置と進行方位を決定する自車位置方位決定手段と、前記自車位置方位決定手段で決定した自車両の位置を地図の道路に一致させるマップマッチング手段と、前記GPS位置進行角検出手段で検出したデータの信頼性を判定するGPS信頼度判定手段と、前記自車位置方位決定手段では、前記マップマッチング処理が行われないとき、前記GPS信頼度判定手段でGPSデータに信頼性があると判定したときには、GPS位置と進行角により自車両の位置と進行方位を決定することを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る他の自車位置検定装置は、前記自車位置決定装置において、前記GPS位置進行角検出手段で検出した自車位置を中心に、GPSの測位状態により得られるGPS誤差に応じて半径が決定される誤差円を計算するGPS誤差円計算手段を備え、
前記GPS誤差円計算手段では、前記GPS信頼度判定手段で検出データに信頼性があると判定したとき、小さな値に設定することを特徴とする。
【0012】
また、本発明に係る他の自車位置検定装置は、前記自車位置決定装置において、前記自車位置方位決定手段では、GPS進行角に信頼性があり、GPS位置に信頼性があり、且つ自車位置がGPS誤差円外にある時に、GPS位置進行角検出手段の位置と進行角を採用することを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る他の自車位置検定装置は、前記自車位置決定装置において、 前記GPS信頼度判定手段では、GPSによる3次元測位が行われており、GPSにより得られた速度が所定値以上であり、GPS位置から得られた走行距離と車速データから得られた走行距離との比が所定の範囲内であり、GPS位置の2点間の角度とGPS進行角との差が所定値以下であるときに、GPS位置に信頼性があると判定することを特徴とする。
【0014】
また、本発明に係る他の自車位置検定装置は、前記自車位置決定装置において、 前記GPS信頼度判定手段では、少なくともGPSによる3次元測位が行われており、GPSにより得られた速度が所定値以上であり、GPS位置から得られた走行距離と車速データから得られた走行距離との比が所定の範囲内であり、GPS位置の2点間の角度とGPS進行角との差が所定値以下であり、且つ、それが一定以上採用されているときに、GPS進行角に信頼性があると判定することを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は上記のように構成したので、自律航法によって適切な自車位置が得られず、GPSデータが信頼できるときには、GPSデータを受信したタイミングで、毎回GPS信頼度情報を出力するので、特定時間内や一定走行距離におけるGPSデータのふるまいをチェックする必要がない。また、GPS誤差円半径を、従来よりも小さく、実際の誤差に近い値で出力する。これにより、マップマッチング不能となったときに、従来よりも大幅に早いタイミングで、GPSデータを利用することが可能になる。即ち、正しい道路に復帰するまでの走行距離が短くなり、正確なナビ案内を素早く行うことができ、地図誤差やマップマッチングの結果に影響されずに、素早くGPSデータを利用して正確な自車位置を得ることができる、という効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明は、自律航法によって適切な自車位置が得られず、GPSデータが信頼できるときには、地図誤差やMMの結果に影響されずに、素早くGPSデータを利用して正確な自車位置を得ることができるようにする、という課題を、GPS受信信号により自車両の位置と進行角を検出するGPS位置進行角検出手段と、ジャイロと車速データにより自車両の位置と進行方位を検出する自律航法位置方位検出手段と、前記GPS位置進行角検出手段と自律航法位置方位検出手段により自車両の位置と進行方位を決定する自車位置方位決定手段と、前記自車位置方位決定手段で決定した自車両の位置を地図の道路に一致させるマップマッチング手段と、前記GPS位置進行角検出手段で検出したデータの信頼性を判定するGPS信頼度判定手段と、前記自車位置方位決定手段では、前記マップマッチング処理が行われないとき、前記GPS信頼度判定手段でGPSデータに信頼性があると判定したときには、GPS位置と進行角により自車両の位置と進行方位を決定することにより実現した。
【実施例1】
【0017】
図1は、本発明による自車位置決定装置の主要機能を示す機能ブロック図であり、この実施例においては、従来のものと同様に、GPS衛星の信号を受信して種々のGPS測位データを得るGPS受信器1と、ジャイロセンサ3と車速パルスセンサ4とを用いた自律航法センサ2を用い、自車位置方位決定部5はGPS受信器1からのGPS測位データと、自律航法センサ2からの自律航法データを入力して、後述するような自車位置と走行方位を決定する。
【0018】
前記のようなGPSデータとしては例えば図6に示すように、GPS衛星4個以上の信号を受信して3D測位を行うことができるとき、GPS位置(PGPS)として、各測位時刻T1において、P1(x1、y1、z1)の緯度、経度、高度のデータを得ることができる。なお、適切なGPS衛星からの信号受信ができず2次元測位のみしか行うことができないときには、緯度と経度のみ測定されることもある。
【0019】
そのほかGPS測位により、ドップラーシフトを利用して基準方向からの角度として、GPS進行角(θGPS)であるθ1を得ることができ、また、同様のドップラーシフトを利用してGPS衛星と車両との相対速度によるGPS速度であるV1を得ることができ、更に、受信可能衛星数及びそれらの配置関係等による測位状態信号としてW1、等の多数のデータを得ることができる。
【0020】
また、自律航法データとしては同図に示すように、ジャイロセンサ3によるジャイロ方位(θGYRO)を、車速パルスセンサ4による車速(S)を得ることができる。このような測位は例えば1秒毎にT2、T3、・・・Tnと継続して、GPS測位及び自律航法測位を同時に計測を行う。
【0021】
自車位置方位決定部5はこれらのデータをGPS信頼度判定部6に出力し、GPS信頼度判定部6ではGPS進行角信頼度判定部7において、後述する図3に示すような作動によってGPS進行角信頼フラグを得る。また、GPS位置信頼度判定部8において後述する図4に示すような作動によってGPS位置信頼度フラグを得るとともに、GPS誤差円計算部9において誤差円の計算を行って誤差円半径のデータを得る。
【0022】
自車位置方位決定部5においてはこれらのデータを入力し、後述する図5に示すようなフローに従った作動を行い、自車位置と方位を決定する。マップマッチング部10においては、前記のような作動によって得られた自車位置について、従来と同様に地図データの道路に対してマップマッチングを行い、最終的な自車位置データを得るとともに、自車方位のデータと共にナビゲーション装置における自車位置利用部としての外部モジュール11に出力する。
【0023】
上記のような機能ブロックからなる本発明において、GPS信頼度判定部6におけるGPS進行角信頼度判定部7では、例えば図2に示す作動フローによってGPS進行角を採用するかジャイロ方位を採用するかの判別を行い、その後図3に示す最終的なGPS進行角信頼度判定を行う。即ち、図2に示すGPS進行角採用判別処理においては、最初のステップS1及びS2において、GPS方位θGPSの信頼度が判定される。
【0024】
即ち、測位時刻TtにおけるGPS受信器から出力される測位状態信号Wtを入力し、その測位状態信号Wtに基づきGPS衛星が非測位か否かを判別する(ステップS1)。非測位であれば、ジャイロ方位θGYROを採用する(ステップS10)。次に、GPS衛星を測位できる場合には、車両が停止中か否かを判別する(ステップS2)。停止している場合には、ジャイロ方位θGYROを採用する(ステップS10)。停車状態か否かの判別は、車速パルスの出力、またはGPS速度を参照して行われる。
【0025】
前記ステップS1およぴS2において、GPS測位の信頼度があると判別されると、次にジャイロ方位θGYROの信頼度を判別する。即ち、ジャイロ方位θGYROの変化の累積が閾値以上であるか否かを判別する(ステップS3)。累積が例えば250degのような所定の閾値以上の場合は、ジャイロ方位θGYROの信頼度が低いとみなして、GPS進行角θGPSを採用する(ステップS9)。累積が多いと、誤差が蓄積されているためである。ジャイロ方位θGYROの変化の累積は、ジャイロ方位θGYROを利用して進行方位を決定したときにのみ加算されるものであり、GPS進行角を採用した場合はクリアされるものとする。
【0026】
ジャイロ方位θGYROの累積が閾値未満である場合には、以下の測位条件Aを満たすか否かを判別する(ステップS4)。この測位条件Aを満たす場合には、GPS進行角θGPSに信頼性があるとみなし、今回の進行角にGPS進行角θGPSを採用する(ステップS9)。
(1)GPS測位状体が3次元測位であること。これは、少なくとも4つ以上のGPS衛星を受信している状態であり、3次元測位は、2次元測位に比べて精度が高いためである。
(2)GPS速度が閾値(例えば、10km/h)以上であること。低速の場合には、GPS進行角の精度が悪化するためである。
(3)走行距離比率が一定の範囲以内[例えば、0.9≦走行距離比率(α)≦1.1]
走行距離比率(α)は、GPS位置から得られる走行距離と、車速パルスから得れる走行距離の比である。この比か1に近い程、GPS測位データの精度が高いことを示す。
(4)進行角誤差が閾値以下[例えば、進行角誤差(β)≦30度]
進行角誤差は、GPS位置の2点間の角度と、GPS進行角との差である。進行角誤差が0に近い程、GPS測位データの精度が高いことを示す。
以上の測位条件(1)〜(4)の全てを満足するとき、即ち測位条件Aを満たすとき、GPS進行角を採用する(ステップS9)。
【0027】
一方、測位条件(1)〜(4)のいずれかを満足しないとき、即ち測位条件Aを満たさないとき、更に詳細にGPS進行角θGPSの信頼度を判別する。ここでは、GPS進行角とジャイロ方位の類似性と、前回得られた進行角にジャイロ方位の変化を加算して得られた予測範囲内にGPS方位が存在するかを判定する。即ち、GPS進行角θGPSとジャイロ方位θGYROの類似性を数式(1)により判定する(ステップS5)。
Δθ1=|(θGPS1−θGPS2)−θGYRO|≦10度 ・・・(1)
θGPSl:今回のGPS進行角、
θGPS2:前回のGPS進行角、
θGYRO:今回のジャイロ方位変化
ここではΔθ1が10度より大きい場合には、両者の方位に類似性が無く、GPS進行角の信頼度がないとみなし、ジャイロ方位θGYROを採用して進行角を決定する(ステップS10)。
【0028】
一方、ステップS5で類似性があると判別した場合には、次に、GPS進行角θGPSが予測範囲内に存在するか否かを判別する。この予測範囲は、車両の直線性に依存するため、まず、移動が直線性か否かを判別する。例えば、ジャイロ方位θGYRO≦0.15を満足するか否かを判別する(ステップS6)。これを満足した場合には、直線性の移動と判定され、数式(2)によりGPS方位θGPSが予測範囲内に存在するか否かを判定する(ステップS7)。
Δθ2=|θGPS1−(θt-1+θGYRO)|≦10度 ・・・(2)
θt-1:前回の進行角
【0029】
前記数式(2)に示すように、前回の進行角θt-1に今回のジャイロ方位θGYROを加算し、GPS進行角θGPSとの差が10度より小さいか否かの予測範囲を設定している。予測範囲内に今回のGPS進行角θGPSが存在すれば、信頼度があるとみなして、今回の進行角にθGPSを採用する(ステップS9)。予測範囲内に存在しない場合は、ジャイロ方位θGYROを利用して今回の進行角を決定する(ステップS10)。
【0030】
前記ステップS6で移動が直線でないと判定された場合には、下記の数式(3)により予測範囲と比較される。この場合には、予測範囲は、前回の進行角を中心に14度に設定され、予測範囲内に存在すればGPS進行角θGPSが採用され(ステップS9)、予測範囲内に存在しなければ、ジャイロ方位θGYROが進行角に採用される(ステップS10)。このように予測範囲を用いて、GPS方位の妥当性を判定する。なお、ジャイロ方位の変化が0に近い場合は直線走行と見なし、閾値または予測範囲の幅を下げるようにしても良い。
Δθ2=|θGPS1−(θt-1+θGYRO)|≦14度 ・・・(3)
θt-1:前回の進行角
【0031】
このようにして、GPS進行角θGPSとジャイロ方位θGYROの信頼度が判定され、これにより信頼度の高い方位データを採用して進行角が決定される。決定された進行角は速度ベクトルに利用され、位置算出に供される。今回の進行角及び算出された位置は、メモリに記憶され、次回の位置算出に利用される。
【0032】
上記のような処理において、ステップS9でGPS進行角が採用されるか否かの情報を図5に示す自車位置方位決定処理におけるステップS43で用いる処理としての、図3に示すGPS進行角信頼度判定処理におけるステップS21で用いる。即ち、図3に示すGPS進行角信頼度判定処理においては、最初に前記図2のGPS進行角採用判別処理のステップS9でGPS進行角(θGPS)を採用したか否かの判別を行う(ステップS21)。ここでGPS進行角を採用していないと判別したときには、GPS進行角信頼フラグをOFFとする。
【0033】
また、ステップS21においてGPS進行角を採用していると判別したときには、更にGPS進行角が一定以上採用されているか否かを判別する(ステップS22)。即ち、前記図2のGPS進行角採用判別処理においては、進行角の選択に際して、前記のような処理によってGPS進行角を採用する条件を満たしているか否かを判別したものであるが、自車位置を特定する際には更にGPS測位の信頼性を必要とするため、ステップS22において、前記のように採用されたGPS進行角が更に一定以上採用されているか否かを判別している。
【0034】
ステップS22においてGPS進行角が一定以上採用されていると判別したときには、GPS進行角が充分に確からしいと判断し、GPS進行角信頼フラグをONにする。それに対して、前記ステップS21において図2のGPS進行角採用判別処理でGPS進行角を採用しない、即ちジャイロ方位を採用すると判別したとき、及びステップS21でGPS進行角が採用すると判別したときであっても、ステップS22でそれが一定以上採用していないと判別したときには、GPS進行角信頼フラグをOFFにしてこの処理を終了する(ステップS25)。
【0035】
本発明においては更に、例えば図4に示すようなGPS位置信頼度判定処理を行う。図4に示すGPS位置信頼度判定処理においては最初、前記図2のステップS4と同様に、前記測位条件(1)〜(4)を全て満たすか、即ち測位条件Aを満たすか否かを判別し、この条件を満たすときだけGPS位置信頼フラグをONにする。前記図3のGPS進行角信頼度判定処理においては、図2の測位条件Aに加えて、ステップS5〜8の各判別によって更にGPS進行角を採用することもあるのに対して、図4のGPS位置信頼度判定処理においては、前記測位条件Aを満たす場合のみGPS位置データが信頼できるものとして、GPS位置信頼フラグをONしている。
【0036】
このように、GPS位置の信頼性が高い条件では、GPSデータの信頼性の程度によって設定される誤差円の半径を、ほぼ最小の値である20mに設定する(ステップS33)。即ち、誤差円を用いた自車位置の決定に際しては、前記のように誤差円の中に自律航法による自車位置が存在するときにはその自律航法の自車位置を採用するのに対して、誤差円の中に自律航法による自車位置が存在しないときには自律航法の積算誤差が大きくなってきていると判別して、GPSデータによる位置を採用するという処理を行う。
【0037】
この処理の際に、例えば立体駐車場の旋回誘導路から一般道路に出たときのように、ジャイロの誤差が大きくなることによって自律航法による位置が不正確であるにもかかわらず、誤差円を大きくとっていることによって正確なはずのGPSによる位置を長距離走行する間採用することができず、自車位置が実際に走行している道路からかけ離れているところを走行している画面が長時間表示されることとなる。
【0038】
それに対して本発明においては、GPSデータが充分に信頼性があると判別したときには、前記のようにGPS誤差円半径を小さく設定することができるので、短距離走行した段階で自律航法による自車位置が誤差円の外に出るため、直ちに信頼性のあるGPSの位置データを用いて自車位置を得ることができ、マップマッチングも直ちに行うことができるようになるため、前記従来技術のような長時間の不適正な自車位置表示が継続されることが防止される。
【0039】
前記ステップS31において測位条件Aを満たしていない、即ち測位条件(1)〜(4)のいずれかを満たしていないと判別したときには、GPS位置信頼フラグをOFFとし(ステップS34)、その後GPS誤差円半径を例えば60m等の最大値に設定し、これらの処理を終了する(ステップS36)。それにより、GPS位置データの信頼性がないときに、自律航法による位置データを用いて、より適切な自車位置とすることができる。
【0040】
上記のようなGPS進行角信頼フラグ処理、及びGPS位置信頼フラグ処理を行った後、本発明では図5に示す自車位置方位決定処理を行う。即ち、図5に示す自車位置方位決定処理においては、最初LMM或いはGMMのマップマッチングの判定を行い(ステップS31)、その後マップマッチングしているか否かの判別を行う(ステップS42)。その結果、マップマッチングができていると判別したときには、ステップS46において自律航法とマップマッチングによって自車位置及び方位を決定してこの処理を終了する(ステップS47)。
【0041】
ステップS42においてマップマッチングをしていないと判別したときには、以下の条件(1)〜(3)の全てを満たすか否かの判別を行う(ステップS43)。
(1)GPS進行角信頼フラグがONか。即ち、前記図3のGPS進行角信頼度判定処理において、ステップS23でGPS進行角信頼フラグをONにしたか否かを判別する。このGPS進行角信頼フラグがONになっているときには、GPS進行角の信頼度が高く、そのデータを用いることができるものと判定する。
(2)GPS位置信頼フラグがONか。即ち、前記図4のGPS位置信頼度判定処理において、ステップS32でGPS位置信頼フラグをONにしたか否かを判別する。このGPS位置信頼フラグがONになっているときには、GPS位置の信頼度が高く、そのデータを用いて自車位置を得ることができるものと判定する。
【0042】
(3)自車位置とGPS位置の距離がGPS誤差円半径より大きいか。即ち、自律航法によって継続的に得られている自車位置が、GPS位置を中心としてGPSの受信状態に応じて誤差を考慮した誤差円半径の中にないときには、自車位置の誤差が次第に累積し、誤差円半径から出ることとなったと判定する。それにより、誤差の大きい自律航法を用いることなく信頼性のあるGPS位置を用いることができ、特に誤差円半径を前記図4のステップS33において、GPSの信頼性に応じた小さな値である20mに設定しているため、短距離走行するのみで信頼性の高いGPS位置データを使用することができるようになる。
【0043】
上記の条件(1)〜(3)のいずれかの条件を満たしていないときには、GPS位置データを利用するのは適切ではないと判定し、自律航法にて自車位置及び方位を決定する(ステップS45)。また、条件(1)〜(3)を全て満たすときには、GPS位置データが少なくとも自律航法のデータよりも信頼性高いと判定し、GPS位置及びGPS進行角にて自車位置及び方位を決定する(ステップS44)。
【0044】
したがって、従来のもののようにGPSの信頼性が高いにもかかわらず、例えば立体駐車場の螺旋誘導路から一般道路上を走行するとき、ジャイロに大きな誤差が出ていることにより、自車位置の誤差が次第に累積しているにもかかわらず、長距離走行して誤差円半径から出た後初めてGPS位置データを利用することによって、その後も適正なマップマッチング処理に至るまで多くの時間がかかる、という問題点を解決することができる。
【0045】
また、従来提案されている技術のように、マップマッチング処理後の自車位置情報を、信頼度決定に利用することにより、地図そのものに誤差がある場合や、ミスマッチが発生した場合に、信頼度そのものが信用できなくなるのに対して、本発明においては、センサやGPSデータのみから信頼度を決定するため、地図誤差やマップマッチングの結果に影響されずに信頼度を提供することができる。
【産業上の利用可能性】
【0046】
本発明による自車位置検出装置は、GPS受信機とジャイロ及び車速パルスを得ることができる各種の車両のナビゲーション装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施例の機能ブロック図である。
【図2】同実施例で用いるGPS進行角使用判別処理の作動フロー図である。
【図3】同実施例で用いるGPS進行角信頼度判定処理の作動フロー図である。
【図4】同実施例で用いるGPS位置信頼度判定処理の作動フロー図である。
【図5】同実施例で用いる自車位置方位決定処理の作動フロー図である。
【図6】GPS測位及び自律航法によるデータ例を示す図である。
【符号の説明】
【0048】
1 GPS受信機
2 自律航法センサ
3 ジャイロセンサ
4 車速パルスセンサ
5 自車位置方位決定部
6 GPS信頼度判定部
7 GPS進行角信頼度判定部
8 GPS位置信頼度判定部
9 GPS誤差円計算部
10 マップマッチング部
11 外部モジュール
【出願人】 【識別番号】000101732
【氏名又は名称】アルパイン株式会社
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100111947
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 良雄


【公開番号】 特開2008−8628(P2008−8628A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−176104(P2006−176104)