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【発明の名称】 圧電デバイスおよびその製造方法
【発明者】 【氏名】小野 淳

【要約】 【課題】振動漏れを有効に防止しつつ、圧電振動片に対するワイヤボンディングの接合強度を向上させ、かつ、優れた振動特性を有する圧電デバイスおよびその製造方法を提供すること。

【構成】ワイヤボンディングされた圧電振動片32と、この圧電振動片32が接着剤44を用いて接合された被接合体45とを備えた圧電デバイスであって、圧電振動片32の接合面と被接合体45の接合面との間には、圧電振動片32のワイヤボンディングされた位置61aに対応して、少なくとも接着剤44よりも硬い硬質部材70が介在しており、硬質部材70は、圧電振動片32または被接合体45のいずれか一方あるいは双方と接合されていない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤボンディングされた圧電振動片と、この圧電振動片が接着剤を用いて接合された被接合体とを備えた圧電デバイスであって、
前記圧電振動片の接合面と前記被接合体の接合面との間には、前記圧電振動片のワイヤボンディングされた位置に対応して、少なくとも前記接着剤よりも硬い硬質部材が介在しており、
前記硬質部材は、前記圧電振動片または前記被接合体のいずれか一方あるいは双方と接合されていない
ことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記硬質部材は、前記圧電振動片あるいは前記被接合体のいずれか一方のみと接合されたバンプであることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記被接合体は、半導体チップであり、
前記圧電振動片は、前記半導体チップの端子が設けられた領域以外の領域に接合されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
前記被接合体は、半導体チップであり、
前記圧電振動片は、前記半導体チップの端子を有する面に接合されると共に、前記端子と直接ワイヤボンディングされている
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイス。
【請求項5】
前記被接合体は、前記圧電振動片がワイヤボンディングで電気的に接続された配線基板であり、
前記配線基板は、前記圧電振動片が接合された面と反対側の面に、半導体チップが電気的機械的に接続されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の圧電デバイス。
【請求項6】
圧電振動片を被接合体に接着剤を用いて接合してから、前記圧電振動片をワイヤボンディングする圧電デバイスの製造方法であって、
前記圧電振動片の被接合体に対する接合面に、前記ワイヤボンディングする位置に対応してバンプを形成し、
その後、前記バンプを形成した圧電振動片を、前記接着剤により前記被接合体に接合し、
その後、前記圧電振動片に前記ワイヤボンディングする
ことを特徴とした圧電デバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、ワイヤボンディングされた圧電振動片を接着剤で被接合体に接合するようにした圧電デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
HDD(ハード・ディスク・ドライブ)、モバイルコンピュータ、或いはICカード等の小型の情報機器や、携帯電話、ページングシステム等の移動体通信機器、又は加速度センサや角速度センサ等のセンサにおいて、圧電デバイスが広く使用されている。
図10は、従来の圧電デバイスの一例であるジャイロ装置1の概略断面図を示している(特許文献1参照)。
【0003】
図において、ジャイロ装置1は、パッケージ2内に、基板3と半導体チップ4と圧電振動片4とが縦方向に重ねられて配置されている。
すなわち、図示しない配線パターンが形成された基板3の上に、半導体チップ4がフェイスダウン実装され、さらに、この半導体チップ4の上の支持台7に、接着剤6を用いて圧電振動片5が接合されている。
【0004】
また、圧電振動片5と基板3とは、超音波方式あるいは熱圧着方式でワイヤボンディングを行なって、電気的に接続されている。例えば、圧電振動片5の上面に、キャピラリより導出されたボンディング線8の一端を押し付けて超音波を印加することで、圧電振動片5とボンディング線8とを接続し、また、同様にしてボンディング線8の他端を基板3にも接続するようにしている。
【0005】
ここで、半導体チップ4上の支持台7に圧電振動片5を接合するための接着剤6には、柔軟性のある接着剤、例えばシリコーン系の接着剤がよく用いられている。すなわち、柔軟性のある接着剤6を用いることで、例えば、外部から衝撃を受けて圧電振動片5に余分な振動が生じ、その振動成分がパッケージ2を伝わって外部に漏れようとしても、その振動成分を柔軟性のある接着剤が吸収して振動漏れを防止し、良好な振動モードを得ることができるようになっている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−181550
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、このような構成のジャイロ装置1では、柔軟性のある接着剤6を用いているため、ワイヤボンディングの際、圧電振動片5の上面にボンディング線8を上手く接合できない場合がある。すなわち、上述のように、ワイヤボンディングのために超音波印加や熱圧着をすると、超音波振動や押圧力が柔軟性のある接着剤6に吸収されてしまい、例えば超音波が上手く伝わらずに、接合強度不足という問題が生ずる恐れがある。
また、ワイヤボンディングの際、圧電振動片5を支持台7側に押圧すると、接着剤6が水平方向に拡がってしまい、圧電振動片5に対する接着剤6の付着面積が区々となって、Q値がバラついてしまうという問題もある。
【0008】
本発明は、以上の課題を解決するためになされたもので、振動漏れを有効に防止しつつ、圧電振動片に対するワイヤボンディングの接合強度を向上させ、かつ、優れた振動特性を有する圧電デバイスおよびその製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的は、第1の発明にあっては、ワイヤボンディングされた圧電振動片と、この圧電振動片が接着剤を用いて接合された被接合体とを備えた圧電デバイスであって、前記圧電振動片の接合面と前記被接合体の接合面との間には、前記圧電振動片のワイヤボンディングされた位置に対応して、少なくとも前記接着剤よりも硬い硬質部材が介在しており、前記硬質部材は、前記圧電振動片または前記被接合体のいずれか一方あるいは双方と接合されていない圧電デバイスにより達成される。
【0010】
第1の発明の構成によれば、圧電振動片と被接合体とは接着剤で接合されているため、接着剤の柔軟性によって振動成分を吸収して振動漏れを防止できるが、圧電振動片にワイヤボンディングする際の例えば超音波が接着剤に吸収されてしまう恐れがある。
しかし、本発明の圧電振動片の接合面と被接合体の接合面との間には、圧電振動片のワイヤボンディングされた位置に対応して、少なくとも接着剤よりも硬い硬質部材が介在している。このため、例えば、ワイヤボンディングする際に印加される超音波は、この硬質部材を台にして効率よく伝達される。
また、ワイヤボンディングする際に圧電振動片を被接合体側に加圧しても、硬質部材がこの加圧に耐え、圧電振動片に対する接着剤の付着面積を制御することができる。
そして、このような硬質部材を圧電振動片の接合面と被接合体の接合面との間に介在させたとしても、硬質部材は圧電振動片または被接合体のいずれか一方あるいは双方と接合されていない。このため、柔軟性のある接着剤の振動漏れを防止するという機能を阻害してしまうことを有効に防止できる。
したがって、振動漏れを有効に防止しつつ、圧電振動片に対するワイヤボンディングの接合強度を向上させ、かつ、優れた振動特性を有する圧電デバイスを提供することができる。
【0011】
第2の発明は、第1の発明の構成において、前記硬質部材は、前記圧電振動片あるいは前記被接合体のいずれか一方のみと接合されたバンプであることを特徴とする。
第2の発明の構成によれば、硬質部材は、圧電振動片あるいは被接合体のいずれか一方のみと接合されたバンプである。このため、例えば圧電振動片の接合面にバンプを形成して、これを接着剤が塗布された被接合体に載置すれば、容易に、圧電振動片の接合面と被接合体の接合面との間にバンプを介在させつつ、圧電振動片と被接合体とを接着剤で接合できる。
【0012】
第3の発明は、第1または第2の発明の構成において、前記被接合体は、半導体チップであり、前記圧電振動片は、前記半導体チップの端子が設けられた領域以外の領域に接合されていることを特徴とする。
第3の発明の構成によれば、圧電振動片は、被接合体である半導体チップの端子が設けられた領域以外の領域に接合されている。したがって、例えばワイヤボンディングされる際に、バンプなどの硬質部材が半導体チップ側に押圧されても、硬質部材が半導体チップの端子を傷つけることを防止できる。
【0013】
第4の発明は、第1ないし第3の発明のいずれかの構成において、前記被接合体は、半導体チップであり、前記圧電振動片は、前記半導体チップの端子を有する面に接合されると共に、前記端子と直接ワイヤボンディングされていることを特徴とする。
第4の発明の構成によれば、圧電振動片は、被接合体である半導体チップの端子を有する面に接合されると共に、端子と直接ワイヤボンディングされている。したがって、圧電振動片と半導体チップとの電気的な接続は、パッケージを引き回すような導電部を設けなくてもよく、また、一本のボンディング線も短くて済むようになるため、電気信号の低ノイズ化が可能となる。
【0014】
第5の発明は、第1または第2の発明の構成において、前記被接合体は、前記圧電振動片がワイヤボンディングで電気的に接続された配線基板であり、前記配線基板は、前記圧電振動片が接合された面と反対側の面に、半導体チップが電気的機械的に接続されていることを特徴とする。
第5の発明の構成によれば、被接合体は圧電振動片がワイヤボンディングで電気的に接続された配線基板であるが、被接合体は圧電振動片が接合されているので、配線基板と圧電振動片とは電気的機械的に接続される。そして、配線基板は、圧電振動片が接合された面と反対側の面に、半導体チップが電気的機械的に接続されている。したがって、配線基板を間に挟んで圧電振動片と半導体チップとを電気的機械的に接続してモジュール化し、その後、このモジュール化したものをパッケージに接続すれば、製造が容易となる。特に、配線基板を複数の圧電振動片および複数の半導体チップを接続できる寸法にすれば、配線基板に複数の圧電振動片および複数の半導体チップを接続してから個片化して、複数のモジュール化されたものを一度に生産でき、大量生産が容易となる。
また、圧電振動片と半導体チップとの間には配線基板が介在するため、硬質部材が半導体チップの端子を傷つけることもない。また、ワイヤボンディングは圧電振動片と基板との間で行なわれるため、圧電振動片と接続されたボンディング線の一端をパッケージに接続する必要がなくなり、その分、パッケージの小型化を図れる。
【0015】
また、上記目的は、第6の発明によれば、圧電振動片を被接合体に接着剤を用いて接合してから、前記圧電振動片をワイヤボンディングする圧電デバイスの製造方法であって、前記圧電振動片の被接合体に対する接合面に、前記ワイヤボンディングする位置に対応してバンプを形成し、その後、前記バンプを形成した圧電振動片を、前記接着剤により前記被接合体に接合し、その後、前記圧電振動片に前記ワイヤボンディングする圧電デバイスの製造方法により達成される。
【0016】
第6の発明の構成によれば、圧電振動片を被接合体に接合する前に、圧電振動片の接合面に、ワイヤボンディングする位置に対応してバンプを形成する。したがって、第1の発明と同様に、ワイヤボンディングする際の例えば超音波はバンプを台にして効率よく伝達され、また、圧電振動片に対する接着剤の付着面積も制御できる。そして、バンプは、圧電振動片の接合面に形成するものであって、被接合体の接合面には接合していない。このため、第1の発明と同様に、接着剤の振動漏れ防止機能を阻害することを有効に防止できる。また、バンプは被接合体ではなく圧電振動片の方に形成しているので、ワイヤボンディングする位置に合わせ易い。
かくして、振動漏れを有効に防止しつつ、圧電振動片に対するワイヤボンディングの接合強度を向上させ、かつ、優れた振動特性を有する圧電デバイスの製造方法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1ないし図3は、本発明の実施形態に係る圧電デバイスであって、図1はその概略斜視図、図2は図1のA−A線概略切断断面図、図3は図1の圧電デバイスの部品である圧電振動片の基部の付近を拡大した概略平面図である。なお、図2及び図3の平行斜線で示す部分は理解のために示したものであり、断面を表すものではない。
図1において、圧電デバイス10はジャイロ装置を例示しており、X方向は水晶の電気軸、Y方向は水晶の機械軸、Z方向は水晶の光軸(成長軸)を示しており、ジャイロ装置に角速度ωが作用する様子を示している。
【0018】
この圧電デバイス10は、パッケージ36内に圧電振動片32と、この圧電振動片32が接合される被接合体の例として半導体チップ45とが収容されている。なお、パッケージ36は、内部の圧電振動片32を示すため、図1では蓋体が省略されている。
パッケージ36は、図2に示すように、例えば、絶縁材料として、酸化アルミニウム質のセラミックグリーンシートを成形して形成される複数の基板を積層した後、焼結して形成されている。複数の各基板は、その内側に所定の孔を形成することで、積層した場合に内側に所定の内部空間Sを形成するようにされている。この内部空間Sが圧電振動片32等を収容するための収容空間である。
すなわち、この実施形態では、パッケージ36は、例えば、下から第1の基板61、第2の基板62、第3の基板63、およびシームリング64を重ねて形成されている。シームリング64は例えば、金属製の蓋体33を接合するためのコバールリングなどであり、シーム溶接などにより蓋体33をパッケージ36に対して接合するものである。
【0019】
第2の基板62、第3の基板63は、それぞれ内側の材料を除去して枠状にしたものを順次重ねたものであり、下の基板よりも上の基板の方が内側の材料の除去量を増やすことにより、対応する内部空間が大きくなるようにしている。これにより、第2の基板62の内側の空間S1よりも第3の基板63の内側の空間S2の方が幅が大きく、これにともない、第2の基板62の上端には上向き段部22が形成されている。
【0020】
この上向き段部22には、図3に示すように、例えば、タングステンメタライズ上にニッケルメッキ及び金メッキで形成した電極パッド41,42が設けられている。
電極パッド42は、後述するボンディング線61を通じて圧電振動片32に駆動電圧を供給し、また、電極パッド41は、後述するボンディング線61を通じて送られてきた回転角速度に対応した信号を送出するようになっている。
【0021】
具体的には、電極パッド41,42は、パッケージ36内を引き回されて、図2に示すように、パッケージ36の内側底部23に形成された電極パッド(図示せず)と導通している。そして、この内側底部23の電極パッドには、少なくとも圧電振動片32を発振する回路を有する半導体チップ45がフリップチップ接続されている。また、半導体チップ45は、パッケージ36内を通る図示しない導電スルーホールなどにより底部の実装端子25と電気的に接続されている。
【0022】
なお、半導体チップ45は、図4に示すように、端子を有する面45aが上面(パッケージ開口部側)を向くようにパッケージ内側底部23にダイボンディングされ、図2に示すパッケージよりも基板の積層数を増やして第2の上向きの段部27を形成し、この第2の上向きの段部27に設けられた図示しない電極パッドと半導体チップ45とをワイヤボンディングで電気的に接続するようにしてもよい。
本実施形態の半導体チップ45は、図2に示すように、端子を有する面45aが、圧電振動片32側と反対側である内側底部23にフェイスダウン実装され、これにより、圧電振動片32は、半導体チップ45の端子(図示せず)が設けられた領域以外の領域に容易に接合されることになり、後述する硬質部材70が半導体チップ45の端子(図示せず)に接触して、端子が傷つくことを防止している。
【0023】
圧電振動片32は、本実施形態の場合、ジャイロ装置のセンサ本体であり、例えば、圧電振動片を複数もしくは多数分離することができる大きさの水晶ウエハを、フッ酸溶液をエッチング液として使用してウエットエッチングにより外形エッチングすることで、多数個の図1に示される形状の圧電振動片となるように形成されている。
【0024】
すなわち、圧電振動片32のほぼ正方形の基部51が、被接合体である半導体チップ45に対して支持されており、基部51からは、図3に示すように、それぞれ左右の方向に基部51と一体に形成された棒状もしくは軸状の支持部52,52が延びている。さらに、図1に示すように、各支持部52,52の端部には、各支持部52,52の延びる方向と交差する方向に、各支持部52,52の端部を起点として、両方向に延出された励振用振動腕54,54が設けられている。つまり、基部51から各支持部52,52を介して、励振用振動腕54,54が互いに平行に延びており、各励振用振動腕54,54には励振用の電極(図示せず)が形成されている。
【0025】
また、図3において基部51の上下の辺のほぼ中央部には、上記各支持部52,52の延びる方向と交差する方向に、2つの検出用振動腕55,55が形成されている。そして、図1に示すように、検出用振動腕55,55と、各支持部52,52の端部に設けられた各励振用振動腕54,54とは、互いに平行とされている。
この状態で圧電振動片10に所定の回転角速度などの物理量が作用した場合、励振用振動腕54,54は、それ自体の振動の方向と、回転角速度とのベクトル積の方向に働くコリオリの力を受けて、所定の振動が励起される。この振動は支持部52,52および基部51を介して検出用振動腕55,55の振動に基づく電荷を信号として取り出すことにより、回転角速度の検出を行うことができる。
【0026】
また、図3に示すように、ほぼ正方形の基部51には、それぞれ各検出用振動腕55,55の基端部に、検出用電極の電極パッド56,57,56,57が形成され、各支持部52,52の基端部に、励振用電極の電極パッド58,59,58,59が形成されている。
そして、基部51の電極パッド56,57,56,57には、ボンディング線61の一端61aが接合され、該ボンディング線61の他端61bが、図2で説明したパッケージ36の上向き段部22,22に形成された図3に示す各電極パッド41,41,41,41に接合されることで、ワイヤボンディングされている。
また、基部51の電極パッド58,59,58,59にはボンディング線61の一端61aが接合され、パッケージ36の上向き段部22,22の各電極パッド42,42,42,42には、該ボンディング線61の他端61bが接合されることによりワイヤボンディングされて、電気的接続がなされている。図2に示すように、このボンディング線61,61はパッケージ36の第3の基板63及びシームリング64の内側の空間S2内で延びている。
【0027】
なお、ボンディング線61としては、金(Au)、アルミニウム(Al)、銅(Cu)など、もしくはこれらを主成分とする線材が好適に利用でき、例えば、基部51の上面に、キャピラリより導出されたボンディング線61の一端61aを押し付けて超音波を印加することで、圧電振動片32とボンディング線61とを接続し、また、同様にしてボンディング線61の他端61bをパッケージ36側に接続するようにしている。
【0028】
そして、このような圧電振動片32は、図2に示すように、接着剤44を用いて被接合体である半導体チップ45に接合されている。すなわち、圧電振動片32の基部51の図3に示す電極パッド56,57,58,59が設けられた上面と反対側の面に接着剤44が付着して、圧電振動片32は支持されている。
本実施形態の接着剤44は、エポキシ系等と比べて柔軟性のあるシリコーン系等の接着剤が用いられている。すなわち、比較的柔軟性のある接着剤は、圧電振動片32と半導体チップ45との間で伝達しようとする振動成分を吸収することができるため、所謂振動漏れを防止し、良好な振動モードを得ることができる。
【0029】
ここで、圧電振動片32の接合面と被接合体である半導体チップ45の接合面との間には、圧電振動片32のワイヤボンディングされた位置に対応して、少なくとも接着剤44よりも硬い硬質部材70が介在している。
この硬質部材70は、本実施形態の場合、Au(金)、Al(アルミニウム)、Cu(銅)等からなる金属バンプにより形成されており、圧電振動片32の基部51に接合されるボンディング線61の一端61aの直下に配置され、これにより、ワイヤボンディングする際の超音波振動や押圧力に対抗できるようになっている。
【0030】
そして、硬質部材70は、圧電振動片32または半導体チップ45のいずれか一方あるいは双方と接合されないようになっている。すなわち、硬質部材70が圧電振動片32と半導体チップ45の双方に接合されると、この硬質部材70を介して、振動漏れが生じてしまう。このため、圧電振動片32と半導体チップ45とを接合するのは、あくまでも接着剤44であって、硬質部材70は、少なくとも、圧電振動片32または半導体チップ45のいずれか一方と接合されないようになっている。
【0031】
なお、本実施形態の場合、硬質部材70は、後述する製造方法で説明するように、ボンディング線61の一端61aの直下に正確に配置できるように、圧電振動片32側にのみ接合されており、硬質部材70であるバンプを圧電振動片32に接合するために、圧電振動片32の基部51の接合面には、例えば、タングステンメタライズを下地にするAuやCrからなる金属パターン(図示せず)が形成されている。
また、硬質部材70は、複数のボンディング線61の一端61aに対応して複数設けられており、図2に示すように、各硬質部材70の高さ寸法H1のバラツキを低減するように、レベリングされている。
また、硬質部材70は、接合面の少なくとも3点に設けられることが好ましく、これにより、硬質部材70が支点となって圧電振動片32の水平度が阻害されるようなことを防止している。本実施形態の硬質部材70は、さらに、ほぼ正方形の基部51の周縁領域であって、一辺毎に設けられている。
【0032】
次に、本発明の実施形態に係る圧電デバイス10の製造方法について簡単に説明する。
図5ないし図7は、圧電デバイス10の製造方法を説明するための図であり、図5は圧電デバイス10の工程図、図6および図7は図5の工程に対応した製造過程の概念図である。
圧電デバイス10は、図5に示すように、上述したパッケージと半導体チップと圧電振動片とを、別々に用意して下準備をしておき(図5のST0:下準備工程)、これらを後で接続する本工程を行なう(図5のST1〜6)。
【0033】
ここで、下準備工程(図5のST0)の際、半導体チップについては、上述のようにフリップチップ接続を行なうため、図2に示すAuバンプ等のバンプ66を、ボンダーなどで半導体チップの端子(図示せず)上に形成し(図5のST0−1)、その後、バンプレベリングを行なう(図5のST0−2)。すなわち、バンプの高さはある程度のばらつきを有するため、所定の荷重でバンプを平面に押し付けてバンプの高さ寸法を制御する。
また、下準備工程(図5のST0)の際、圧電振動片についても、図2および図3で説明した基部51の接合面にAuバンプ等のバンプ70を形成する(図5のST0−10)。このバンプ70が硬質部材である。すなわち、バンプ70を圧電振動片32の接合面(基部51の裏面)に、ワイヤボンディングする位置(符号61aの位置)に対応して形成する。
【0034】
なお、図2に示すバンプ70は、半導体チップ45にバンプ66を形成するためのボンダーを用いて形成するようにしてもよい。
本実施形態の場合は、複数のワイヤボンディングの位置に正確に対応し、小型のバンプが形成できるように、図6(a)に示すように、メッキバンプ方式を採用している。すなわち、図6(a)の左図は基部51の部分拡大図、図6(a)の右図は左図のB−B線切断端面であり、図6(a)の右図に示すように、基部51の接合面に金属パターン68を形成した上に、レジスト67でマスクをし、バンプを形成しようとする位置に対応して形成した貫通孔67a内に電気はんだメッキをし、ついでレジスト67を除く。
その後、完成したバンプの高さはばらつきを有するため、所定の荷重でバンプを平面に押し付けて、バンプ70の高さ寸法H1(図2参照)を制御する(図5のST0−20
:バンプレベリング)。
【0035】
次いで、本工程に入り、図6(b)に示すように、半導体チップ45の端子を有する面45aに形成したバンプ66が、パッケージ36の内側底部23に予め形成された電極パッド(図示せず)に接続するようにして、半導体チップ45をフェイスダウン実装する(図5のST1)。
【0036】
次いで、図7(c)に示すように、フェイスダウン実装した半導体チップ45の実装面と反対側の面45bであって、圧電振動片の基部に対応する領域に、シリコーン系等の柔軟性を有する接着剤44を塗布する。
次いで、図7(d)に示すように、下準備工程(ST0−10)で既にバンプ70を形成した圧電振動片32を、接着剤44を塗布した半導体チップ45の接合面45bに載置し(図5のST3)、その後、接着剤44を乾燥させて、この接着剤44で圧電振動片32と半導体チップ45とを接合する(図5のST4)。
【0037】
次いで、図7(e)に示すように、圧電振動片32にワイヤボンディングする(図5のST5)。すなわち、キャピラリより導出されたボンディング線61の一端61aを圧電振動片32に押し付けて超音波を印加して、圧電振動片32とボンディング線61とを接続し、また、同様にしてボンディング線61の他端61bをパッケージ36の上向きの段部22にも接続する。そうすると、ボンディング線61の先端61aの直下には、少なくとも接着剤44よりも硬い硬質部材としてバンプ70が配置されているので、このバンプ70が支持台になって、ワイヤボンディングの際の超音波や押圧力を受けることとなる。
【0038】
次いで、半導体チップの調整用または検査用端子(図示せず)と導通した実装端子(図示せず)に、プローブピンを当接させて検査し、また、その検査結果に基づいて調整をし(図5のST6)、圧電デバイスを完成させる。
【0039】
本発明の実施形態は以上のように構成されており、圧電振動片32の接合面と半導体チップ45の接合面との間には、圧電振動片32のワイヤボンディングされた位置に対応して、硬質部材70が介在しているため、ワイヤボンディングする際の例えば超音波は、この硬質部材70を台にして効率よく伝達される。また、ワイヤボンディングする際、圧電振動片32を半導体チップ45に加圧しても、硬質部材70がこの加圧に耐え、圧電振動片32に対して接着剤44が付着する面積を制御することができる。また、この硬質部材70は圧電振動片32の水平度を向上させることもできる(特に、ジャイロ装置の場合、圧電振動片32の水平度のブレは大きな検出結果の違いをもたらすため、この効果は大きい)。そして、このような硬質部材70を設けたとしても、硬質部材70は圧電振動片32または半導体チップ45のいずれか一方あるいは双方と接合されていないため、柔軟性のある接着剤44の振動漏れを防止するという機能を阻害することを有効に防止できる。
【0040】
また、本実施形態の製造方法では、圧電振動片32に硬質部材70であるバンプを形成し、その後、この圧電振動片32を接着剤44の上に載置している。このため、圧電振動片32を載置する際の位置精度を気にすることなく、ワイヤボンディングする位置と硬質部材70の位置とを合わせることができる。
【0041】
なお、本実施形態では、圧電デバイス10にはジャイロ装置を例示したが、本発明はこれに限られるものではなく、加速度センサあるいは圧電振動子やSAWフィルター等であっても勿論よい。また、圧電振動片32が接合される被接合体は半導体チップ45を例示したが、被接合体はパッケージ36、或いは他の電子部品等であっても勿論よい。
【0042】
図8は、本発明の上述した実施形態の第1の変形例に係る圧電デバイス12の概略断面図であり、図2の概略断面図に対応した図である。
図8において、図1ないし図7で使用した符合と同一の符合を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図8の圧電デバイス12が図1ないし図7の圧電デバイス10と主に相違するのは、半導体チップ45と圧電振動片32との接続構造についてである。
【0043】
すなわち、本第1の変形例では、圧電振動片32は、半導体チップ45の端子を有する面45aに接合されると共に、端子(図示せず)と直接ワイヤボンディングされている。
具体的には、半導体チップ45は、パッケージ36とフリップチップ接続されず、内側底部23にダイボンディングされ、端子を有する面45aが圧電振動片32の接合面と対向するようになっている。
また、パッケージ36について、第2の基板62の高さ寸法を小さくすることで、上向きの段部22を、半導体チップ45の端子を有する面45aと略同一面となるように形成し、半導体チップ45と上向きの段部22に形成された電極パターン(図示せず)をボンディング線69でワイヤボンディングしている。
そして、圧電振動片32は、半導体チップ45の端子(図示せず)が設けられている領域以外の領域(図8の場合、中央領域)に接合され、そして、半導体チップ45の端子(図示せず)とボンディング線61で直接ワイヤボンディングされている。
【0044】
本発明の実施形態の第1の変形例は以上のように構成されており、圧電振動片32は半導体チップ45の端子を有する面45aに接合されると共に、その端子と直接ワイヤボンディングされている。したがって、圧電振動片32と半導体チップ45との電気的な接続は、パッケージ36を引き回すような導電部を設けなくてもよく、また、一本のボンディング線も短くて済むようになるため、電気信号の低ノイズ化が可能となる。
【0045】
図9は、本発明の上述した実施形態の第2の変形例に係る圧電デバイス14の概略断面図であり、図2の概略断面図に対応した図である。
図9において、図1ないし図8で使用した符合と同一の符合を付した箇所は共通する構成であるから、重複した説明は省略し、相違点を中心に説明する。
図9の圧電デバイス14が、図1ないし図8の圧電デバイス10,12と主に相違するのは、半導体チップ45と圧電振動片32との接続構造についてである。
【0046】
すなわち、本変形例の被接合体は、半導体チップ45ではなく、配線基板80となっている。そして、配線基板80は、圧電振動片32がワイヤボンディングで電気的に接続されたパッド(図示せず)を有している。
一方、半導体チップ45は、この配線基板80の圧電振動片32が接合された面と反対側の面80aに電気的機械的に接続されている。具体的には、配線基板80のボンディング線61が接続されたパッド(図示せず)は、スルーホールや配線パターンなどで、圧電振動片32が接合された面と反対側の面80aに設けられたパッド(図示せず)と導通されている。そして、配線基板80の反対側の面80aに設けられたパッドと半導体チップ45の端子とを、バンプ66を介して接続して、半導体チップ45を配線基板80にフリップチップ接続するようにしている。
このように、圧電振動片32と半導体チップ45とは、配線基板80を間に挟んで、電気的機械的に接続されている。
【0047】
また、本実施形態の圧電振動片32、半導体チップ45、配線基板80は、パッケージ36に順次実装されるようなものではなく、パッケージ36に実装する前に、各部品32,45,80間を電気的機械的に接続してモジュール化している。すなわち、パッケージ36に実装する前に、配線基板80の一方の面に、半導体チップ45をフリップチップ接続し、その後、配線基板80の他方の面に接着剤44を塗布し、その上からバンプ70が形成された圧電振動片32を載置して固定させてから、ワイヤボンディングして、モジュール化する。
なお、複数の圧電振動片32および半導体チップ45に対応した大きさを有する配線基板を用意し、この大きな配線基板に、上述と同様の方法にて、複数の圧電振動片32および半導体チップ45を所定の位置に電気的機械的に接続し、その後、配線基板を一つの圧電デバイス14に対応した大きさに切断、個片化してモジュール化することで、大量生産することができる。
【0048】
そして、このようにモジュール化された圧電振動片32、半導体チップ45、及び配線基板80の集合体を、パッケージ36側に接続するようにしている。すなわち、水平方向について、半導体チップ45よりも大きな面積を有する配線基板80の周縁部80bを、パッケージ36の上向きの段部22に対して、電気的機械的に接続するようにしている。
具体的には、半導体チップ45とバンプ66を介して接続された配線基板80の面80aに設けられたパッド(図示せず)は、配線基板80の同じ面80aであって周縁部80bに設けられたパッド(図示せず)と電気的に接続されている。そして、この周縁部80bのパッド(図示せず)は、上向きの段部22に形成された電極パターン(図示せず)と、半田や導電性接着剤82等で接合されている。
【0049】
本発明の実施形態の第2の変形例は以上のように構成されており、配線基板80を間に挟んで圧電振動片32と半導体チップ45とを電気的機械的に接続してモジュール化し、その後、この配線基板80をパッケージ36の上向きの段部22に接続するようにしているので、製造が容易である。また、このようなモジュール化が可能な構造を採用すれば、製造方法において、大きな寸法を有する配線基板に複数の圧電振動片32および複数の半導体チップ45を接続した後に個片化して、複数のモジュール化されたものを一度に生産することができる。したがって、大量生産が容易ともなる。
しかも、圧電振動片32と半導体チップ45との間には配線基板80が介在するため、バンプ等の硬質部材70が、半導体チップ45の端子を傷つけることもない。
【0050】
本発明は上述の実施形態および変形例に限定されない。各実施形態および変形例の各構成はこれらを適宜組み合わせたり、省略し、図示しない他の構成と組み合わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの概略斜視図。
【図2】図1のA−A線概略切断断面図。
【図3】図1の圧電デバイスの部品である圧電振動片の基部を拡大した概略平面図。
【図4】本発明の圧電デバイスの他の実施例であり、図2に対応した概略断面図。
【図5】本発明の実施形態に係る圧電デバイスの製造方法を説明するための工程図。
【図6】図5の工程に対応した製造過程の概念図。
【図7】図5の工程に対応した製造過程の概念図。
【図8】本発明の実施形態の第1の変形例に係る圧電デバイスの概略断面図であり、図2の概略断面図に対応した図。
【図9】本発明の実施形態の第2の変形例に係る圧電デバイスの概略断面図であり、図2の概略断面図に対応した図。
【図10】従来の圧電デバイスの一例であるジャイロ装置の概略断面図。
【符号の説明】
【0052】
10,12,14・・・圧電デバイス、32・・・圧電振動片、36・・・パッケージ、44・・・接着剤、45・・・被接合体(半導体チップ)、61・・・ボンディング線、70・・・硬質部材(バンプ)
【出願人】 【識別番号】000003104
【氏名又は名称】エプソントヨコム株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100096806
【弁理士】
【氏名又は名称】岡▲崎▼ 信太郎

【識別番号】100098796
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 全

【識別番号】100121647
【弁理士】
【氏名又は名称】野口 和孝


【公開番号】 特開2008−3011(P2008−3011A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−174492(P2006−174492)