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【発明の名称】 測定装置、測定基準及び精密工作機械
【発明者】 【氏名】清野 慧

【要約】 【課題】本発明は平面形状の高精度測定を変位計の走査によって実現することを課題とする。

【構成】面上の半径rの円に沿う凹凸を変位計Dbの回転走査で測定するときに,回転中の軸方向の出入りを検出する変位計Daと,変位計Da,変位計Dbの測定点を結ぶ直径上の,半径Rの円に沿う走査測定をする変位計Dc,変位計Dd,合計4本を用意して,半径Rの円が描かれる面が回転走査軸と同心で,前記半径rの円に対して相対的に180度回転した位置にも反転設置できる基準円輪SC上にある形にし,基準円輪SCの反転操作の前後の回転走査における4本の変位計の出力から,合計6つを選んで用いることで,走査のための回転運動誤差と半径rの円と半径Rの円に沿う凹凸形状を分離同定する。この結果得られた円に沿う凹凸形状と,別の方法を用いて複数の直径上で得られた直線に沿う凹凸形状とを数学的に合成すると平面を正しく構成することが可能となる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定円板の表面形状を測定する測定装置において、
被測定円板を支持し、回転する回転テーブルと、
被測定円板に対して同心に配置され、前記回転テーブルとともに回転する基準円輪と、
被測定円板の表面上回転中心点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Aと、
被測定円板の表面上、回転中心点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して第2の信号を出力する第2の変位計Bと,
回転中心点aと点bを通る線が前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Cと、
回転中心点aに対し、点cから180度ずれた前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Dと、を有し、
前記回転テーブルを回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記第2の信号と前記第3の信号とに基づいて得られた出力値を第1群データとし、基準円輪を180度反転して,前記回転テーブルを回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記第2の信号と前記第4の信号とに基づいて得られた出力値を第2データ群として,両データ群を使った計算から,軸の回転運動誤差と半径r及び半径Rに沿う表面形状を求めることを特徴とする測定装置。
【請求項2】
前記第3の変位計Cと前記第4の変位計Dとして共通の変位計を用いるときは、被測定円板と前記基準円輪とを所定の位相に配置したときに、前記共通の変位計から出力された信号を第3の信号とし、被測定円板と前記基準円輪とを所定の位相から180度ずらせて配置したときに、前記共通の変位計から出力された信号を第4の信号とすることを特徴とする請求項1に記載の測定装置。
【請求項3】
前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させるステージを備え、前記ステージにより前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させながら、構成された前記基準円輪を用いて、前記第1,第3,第4の信号の内2つを使って前記第2の信号に含まれる回転運動誤差を補正して,前記第2の信号から円板上の希望する半径rでの形状データを得ることを特徴とする請求項1または2に記載の測定装置。
【請求項4】
被測定円板と平行して、前記被測定円板に対向する表面と、その裏側の裏面とを有する基準直定規を配置し、更に前記変位計Bを搭載した前記ステージに、前記基準直定規の表面垂直方向の変位を検出する変位計Qと、前記基準直定規の裏面垂直方向の変位を検出する変位計Rとを取り付けて、前記ステージを被測定円板の直径方向に移動させながら、3つの前記変位計B、Q、Rから出力された信号を第1の信号群とし、次に、前記基準直定規の表裏面を逆にして、前記ステージを被測定円板の直径方向に移動させながら、3つの前記変位計B、Q、Rから出力された信号を第2の信号群としたときに、前記変位計Pの出力値を、前記第1の信号群における前記変位計Q又はRの信号と、前記第2の信号群における前記変位計R又はQの信号とに基づいて補償することによって、被測定円板の直径方向の形状を求めることを特徴とする請求項3に記載の測定装置。
【請求項5】
前記基準円輪は、直径に対して軸線方向長が所定の割合以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の測定装置。
【請求項6】
前記基準直定規は、表面及び裏面の長さに対して幅が所定の割合以上であることを特徴とする請求項4または5に記載の測定装置。
【請求項7】
被測定物の表面形状を測定する測定装置において、
被測定物の表面の法線回りに回転可能であって、且つ前記法線に直交する方向に移動可能な回転軸と、
前記回転軸の軸線と同心に配置され、被測定物に対して回転しないが前記回転軸と一体的に移動する基準円輪と、
前記被測定物と前記基準円輪との間に配置され、前記回転軸に取り付けられて回転する支持腕と、
前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、前記回転軸の回転軸線が交差する点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Aと、
前記支持腕に取り付けられており、前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Cと、
点a及び点cとは異なる測定点の変位を測定して、測定信号を出力する第2の変位計とを有し、
前記回転軸と共に支持腕を回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記測定信号と前記第3の信号とに基づいて得られた出力値を用いて計算することで、前記基準円輪の校正を行うようになっており、
前記第2の変位計は、前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して測定信号としての第2の信号を出力する変位計B,或いは前記支持腕に取り付けられており、前記回転軸の回転軸線に対し、点cから180度ずれた前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して測定信号としての第5の信号を出力する変位計Dであることを特徴とする測定装置。
【請求項8】
前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、点aと点bとを結ぶ直線上であって点aから半径lの点eにおける表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Eを有することを特徴とする請求項7に記載の測定装置。
【請求項9】
互いに中央で直交する2枚の板材と、前記板材とを囲む中空円筒とからなり、前記中空円筒は軸線から半径rの位置に端面を有することを特徴とする請求項4に記載の測定装置で校正された,比較測定に用いることを特徴とする測定基準。
【請求項10】
互いに中央で直交する2枚の板材と、前記板材とを囲む内側中空円筒と、前記内側中空円筒を内包する外側中空円筒とからなり、前記内側中空円筒は軸線から半径lの位置に端面を有し、前記外側中空円筒は軸線から半径rの位置に端面を有することを特徴とする請求項4に記載の測定装置で校正された,比較測定に用いることを特徴とする測定基準。
【請求項11】
請求項1〜8のいずれかに記載の測定装置を有することを特徴とする精密工作機械。
【請求項12】
請求項9または10に記載の測定基準を有することを特徴とする精密工作機械。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、装置は精密な真直形状,平面形状の測定技術と作製技術に関し、特に測定装置、測定基準及び精密工作機械に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密な塗布工具の長尺化,ウエハの大型化,液晶画面の大面積化等により,長尺の真直形状,大面積の平面形状を高精度に測定する必要が高まっているが,物理的に与えられる測定基準の確からしさはもはや限界が来ている。そこで,物理的基準に頼らない,数学的に与えられる基準での測定法が求められている。
【0003】
現在,重力によるたわみの生じない垂直面内にある直線に沿う真直形状は,改良型反転法で,数学的厳密さで測定できることが知られており,既に実用されている(非特許文献1参照)。
【非特許文献1】艾暁庸,清水毅,小尾誠:改良型反転法による真直度測定,精密工学会誌,66-10(2000)1578-1602
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来,知られていなかった円周に沿う高さ方向の凹凸形状(真直形状)を回転走査の運動誤差やその繰り返し誤差に影響されずに測定する方法が課題であった。また,従来,平面形状を数学的に正しく測定するには,直交する複数の直線形状と対角線の直線形状をそれぞれ,改良型反転法で求める方法しか知られておらず,現実的には適用の難しい方法で,大きな平面を正しく測定するための現実的な方法の構築が課題であった。さらに,従来知られている反転法が,重力によるたわみの影響を取り除けない方法であり,いかにして鉛直平面以外での高精度の平面形状測定が行うかが産業界の課題であった。
【0005】
本発明は、数学的に正しい,真直形状測定を円周に沿う形で実現するとともに,さらに,従来直線に沿っての真直形状を走査運動誤差やその繰り返し誤差に影響されないで測定する,改良型反転法と組み合わせて,鉛直面内の平面形状を数学的に正しく測定する方法を提供する。さらに,補助試料の重力によるたわみさえなければ,改良型反転法が水平面内の面形状の測定にも適用できることに着目し,補助試料として,長軸の円筒端面や高さの十分高い板の端面を用いる方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の測定装置は、被測定円板の表面形状を測定する測定装置において、
被測定円板を支持し、回転する回転テーブルと、
被測定円板に対して同心に配置され、前記回転テーブルとともに回転する基準円輪と、
被測定円板の表面上回転中心点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Aと、
被測定円板の表面上、回転中心点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して第2の信号を出力する第2の変位計Bと,
回転中心点aと点bを通る線が前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Cと、
回転中心点aに対し、点cから180度ずれた前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Dと、を有し、
前記回転テーブルを回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記第2の信号と前記第3の信号とに基づいて得られた出力値を第1群データとし、基準円輪を180度反転して,前記回転テーブルを回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記第2の信号と前記第4の信号とに基づいて得られた出力値を第2データ群として,両データ群を使った計算から,軸の回転運動誤差と半径r及び半径Rに沿う表面形状を求めることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
より具体的には、水平におかれた回転軸または回転テーブルに取り付けられた鉛直面内にある被測定円板と,前記被測定円板と同心でかつ一体となってと回転することのできる基準円輪を有し,かつ前記被測定円板に対して前記回転軸周りに相対的に180度回転した位置に前記基準円輪の形状に変化が生じないように配置することの出来る基準円輪固定治具を有して,前記被測定円板の中心点aの円板面垂直方向の変位を検出する変位計Aと,前記円板面で半径rの点bにおいて円板面垂直方向の変位を検出する変位計Bと,点aと点bを通る線が前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点cにおいて,前記円板面垂直方向の変位を検出する変位計Cを有していて,回転軸が一回転する間の前記3個の変位計の出力を記録し,その後,基準円輪および変位計Cを被測定円板に対して相対的に180度反転した位置に配置してから,もう一度回転軸が一回転する間の前記3個の変位計の出力を得て,得られた変位計の合計6つの出力データから,それぞれの円周に沿った,被測定円板と基準円輪の形状と回転軸の回転中に生じる軸方向の変位,回転軸の回転中に生じる軸の傾斜による変位計出力成分を分離する計算をして,被測定円板の半径rの円周に沿う凹凸形状を正しく測定するとともに、基準円輪の半径Rの円周に沿う凹凸形状を校正して基準として用いることで,前記被測定円板の任意の半径の円周に沿う凹凸形状を測定する測定装置である。
【0008】
更に、本発明は、端面が基準円輪となる円筒の軸を十分に長く取って反転のための回転と再固定の際に、重力の影響による円筒端面の変形が生じ難い構造にして、水平面内に置かれた平面円板形状を測定できる構造にした請求項1に記述されたと同様の原理の、円周に沿う凹凸形状を測定装置である。
【0009】
更に、本発明は、被測定円板の直径に沿う真直形状を,改良型反転法と呼ばれる方法で測定するために,被測定円板面に垂直な方向に感度軸を揃えて,3本の変位センサを被測定円板の一つの直径を含む平面内で直径に垂直な直線に沿う方向に並べて3本一体として搭載して被測定円板の前記直径方向に移動するステージと,被測定円板の直径に平行な軸周りに反転できる基準直定規を有する真直度測定部と,請求項1に記載した円に沿う円板面垂直方向の凹凸形状測定部を有して,改良型反転法によって基準円輪と基準直定規の真直形状を校正して基準とするとともに、校正結果を基準にして測定した被測定円板の複数の直線に沿う真直形状と,複数の同心円に沿う真直形状から被測定円板の面形状を構成して,垂直面内にある平面形状を測定する測定装置である。
【0010】
更に、本発明は、上述した測定装置に加えて、測定に許容される不確かさに比べて,端面のたわみが十分に小さくなる程度の高さを有する板の端面を基準直定規とする改良型反転法を水平面内の被測定円板直径上の直線形状を測定する測定部を有して、被測定円板の複数の直径と円周上の凹凸から、水平面内の被測定円板の平面形状を測定する構造にした、同様の原理の測定装置である。
【0011】
更に、本発明は、精密な平面や球面の加工を行う工作機械であって,前記基準円輪と前記基準直定規の一方又は両方を内蔵し,あるいは,必要に応じてそれらを取り付ける構造を有して,加工物の加工面,あるいは,加工物を固定する軸端面やそれと一体となって回転する加工物取り付け面を,前記被測定円板として測定出来る構造にして,上述した測定の結果から,前記加工面や軸端面や前記加工物取り付け面の精度あるいは,工作機械の運動精度を検査することの出来る,超精密工作機械である。
【0012】
更に、本発明は、精密な平面や球面の加工を行う工作機械であって,校正後の前記補助輪,前記基準直定規と同様に,測定の際に使用可能な基準を内蔵し、あるいは、必要なときに前記基準として使用可能な校正の済んだ前記補助輪や,前記基準直定規を着脱可能なジグ部を有して、加工物の加工面,あるいは,加工物を固定する軸端面やそれと一体となって回転する加工物取り付け面の形状精度あるいは工作機械の運動精度を測定できる,超精密工作機械である。
【0013】
更に、本発明は、直交する2枚の板を直径の位置に内包する比較的長い中空円筒において,円筒両端の円周と直交する板の両端における円筒軸方向の凹凸が校正されている開園運動および直線運動測定基準又は真直形状,平面形状測定用比較基準である。
【0014】
更に、本発明は、二つの円筒が、直径と重なる複数の板で連結されている同軸の2重の比較的長い円筒であって、内部円筒は中空で回転軸などが挿入できる形になっており,円筒の端面と円筒を連結している板の端面の円筒軸方向の凹凸形状が校正されている、直線と平面の運動測定基準または,真直形状,平面形状測定用比較基準である。
【0015】
更に、本発明は、大きな平面の移動真直度を検査するために、回転軸と同軸にあって,回転しない基準円輪を有し,上記基準円輪の直径上で基準円輪の凹凸を検出する方向に1本,上記平面の凹凸を検出する方向に一本、回転軸上で上記平面を検出する方向に一本の合計3本、あるいは平面を測定する方向に設置した2本の変位計の並ぶ直線上のもう一本の変位計を含め,合計4本の変位計を回転軸とともに回転する変位計支持腕に取り付け、回転中心に置かれた上記変位計と基準円輪によって変位計回転時の回転軸の傾斜と軸方向出入りの運動誤差を検出補正しながら,前記平面上に描かれる2つの同心円周に沿う真直度をそれぞれの直線上の一つの変位計で測定し,さらに,直交2軸の3点法で平面の直交2軸の形状と移動真直度を分離測定し,円周上の真直形状と,直交2軸の真直形状を用いて,面形状を算出する測定装置である。
【0016】
更に、本発明は,基準円輪の代わりに,校正していない基準円輪を用い,前記基準円輪を回転軸に対して相対的に180度回転する反転走査の前後での計測をすることで,改良型反転法を実現し,基準円輪をその場で校正することの出来る測定装置である。
【0017】
本発明によって、今まで知られていなかった平面形状の正しい測定法が提供される。さらに、工学的に満足のできる確からしさで、重力によるたわみの影響を含む断面直線形状、平面形状の測定ができるようになる。今後ますます需要の増える大きな平面の平面形状、その平面を作るための大きな工作機械の運動精度の測定ができるようになる。
【0018】
請求項2に記載の測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させるステージを備え、前記ステージにより前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させながら、構成された前記基準円輪を用いて、前記第1,第3,第4の信号の内2つを使って前記第2の信号に含まれる回転運動誤差を補正して,前記第2の信号から円板上の希望する半径rでの形状データを得ることを特徴とする。
【0019】
請求項3に記載の測定装置は、請求項1に記載の発明において、前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させるステージを備え、前記ステージにより前記第2の変位計Bを被測定円板の直径方向に移動させて半径の異なる円上での、前記第2の信号を得ることを特徴とする。なお,請求項1の装置で基準円輪の真直形状が巣での校正されているときは,変位計Aを取り除いても,請求項1に記載の変位計C,Dのみで回転運動中の軸方向の出入りと軸の傾斜誤差を補正することが出来る。
【0020】
請求項4に記載の測定装置は、請求項3に記載の発明において、被測定円板と平行して、前記被測定円板に対向する表面と、その裏側の裏面とを有する基準直定規を配置し、更に前記変位計Bを搭載した前記ステージに、前記基準直定規の表面垂直方向の変位を検出する変位計Qと、前記基準直定規の裏面垂直方向の変位を検出する変位計Rとを取り付けて、前記ステージを被測定円板の直径方向に移動させながら、3つの前記変位計B、Q、Rから出力された信号を第1の信号群とし、次に、前記基準直定規の表裏面を逆にして、前記ステージを被測定円板の直径方向に移動させながら、3つの前記変位計B、Q、Rから出力された信号を第2の信号群としたときに、前記変位計Bの出力値を、前記第1の信号群における前記変位計Q又はRの信号と、前記第2の信号群における前記変位計R又はQの信号とに基づいて補償することによって、被測定円板の直径方向の形状を求めることを特徴とする。なお当然のことならがら,基準直定規が表裏の一方の面しか使えないときもこの方法は成り立つ。
【0021】
請求項5に記載の測定装置は、請求項1〜4のいずれかに記載の発明において、前記基準円輪は、直径に対して軸線方向長が所定の割合以上であることを特徴とする。
【0022】
請求項6に記載の測定装置は、請求項4または5に記載の発明において、前記基準直定規は、表面及び裏面の長さに対して幅が所定の割合以上であることを特徴とする。
【0023】
請求項7に記載の測定装置は、被測定物の表面形状を測定する測定装置において、
被測定物の表面の法線回りに回転可能であって、且つ前記法線に直交する方向に移動可能な回転軸と、
前記回転軸の軸線と同心に配置され、被測定物に対して回転しないが前記回転軸と一体的に移動する基準円輪と、
前記被測定物と前記基準円輪との間に配置され、前記回転軸に取り付けられて回転する支持腕と、
前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、前記回転軸の回転軸線が交差する点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Aと、
前記支持腕に取り付けられており、前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Cと、
点a及び点cとは異なる測定点の変位を測定して、測定信号を出力する第2の変位計とを有し、
前記回転軸と共に支持腕を回転させながら測定を行ったとき、前記第1の信号と前記測定信号と前記第3の信号とに基づいて得られた出力値を用いて計算することで、前記基準円輪の校正を行うようになっており、
前記第2の変位計は、前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して測定信号としての第2の信号を出力する変位計B,或いは前記支持腕に取り付けられており、前記回転軸の回転軸線に対し、点cから180度ずれた前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して測定信号としての第5の信号を出力する変位計Dであることを特徴とするので、校正された基準円輪を用いて、精度良く被測定物の面形状を測定できる。
【0024】
ここで、3点法とは、被測定物の表面を3つの変位計を用いて複数箇所で測定することによって、その表面形状を求める測定法をいい、たとえば小尾誠、小林義之:逐次3点法を応用した円周上の変位測定(測定原理と測定誤差の考察)、機論(C)58,(1992)1278-1283;清野慧,高偉: 多点法によるソフトウエアデータムとその誤差評価,日本機械学会論文集(C),58 (1992),2262-2267;伊藤俊治,成清辰生,伊藤正美:2次元最小2乗逐次3点法による平面形状誤差の測定,精密会誌58-6(1992),1023-1028等に詳しく説明されている。
【0025】
請求項8に記載の測定装置は、請求項7に記載の発明において、前記支持腕に取り付けられており、被測定物の表面上、点aと点bとを結ぶ直線上であって点aから半径lの点eにおける表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Eを有することを特徴とするので、より精度の高い測定ができる。
【0026】
請求項9に記載の測定基準は、前記第4の測定装置により測定され、回転走査と直線走査の運動誤差測定に用いられ、互いに中央で直交する2枚の板材と、前記板材とを囲む中空円筒とからなり、前記中空円筒は軸線から半径rの位置に端面を有することを特徴とする。また,フィゾー型干渉計などの基準試料としても利用できる。
【0027】
請求項10に記載の測定基準は、前記第4の測定装置により測定され、回転走査と直線走査の運動誤差測定に用いられ、互いに中央で直交する2枚の板材と、前記板材とを囲む内側中空円筒と、前記内側中空円筒を内包する外側中空円筒とからなり、前記内側中空円筒は軸線から半径lの位置に端面を有し、前記外側中空円筒は軸線から半径rの位置に端面を有することを特徴とする。また,フィゾー型干渉計などの基準試料としても利用できる。
【0028】
請求項11に記載の精密工作機械は、請求項1〜8のいずれかに記載の測定装置を有することを特徴とする。このような精密工作機械としては、たとえば特開2001-353643号公報に記載されているものを用いることができる。
【0029】
請求項12に記載の精密工作機械は、請求項9または10に記載の測定基準を有することを特徴とする。このような精密工作機械としては、たとえば特開2001-353643号公報に記載されているものを用いることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、以下の実施の形態において、変位計からの信号は不図示の演算回路に送信され、処理されるようになっている。変位計としては、いわゆる非接触式の変位計が好ましいが、プローブを被測定物に接触させることで、その変位を電気信号として出力する接触式の変位計であってもよい。
【0031】
図1に従って,測定装置の原理を説明する。説明の都合上変位計は4本使った形を示す。図1に示す測定装置は、被測定円板CPを支持し、回転軸を水平として回転する回転テーブルRTと、被測定円板CPに対して同心に配置され、回転テーブルRTとともに回転する基準円輪SCと、被測定円板CPの表面上回転中心点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Daと、被測定円板CPの表面上、回転中心点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して第2の信号を出力する第2の変位計Dbと,回転中心点aと点bを通る線が基準円輪SC上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Dcと、回転中心点aに対し、点cから180度ずれた前記基準円輪上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Dと、を有している。なお、変位計Da〜Ddは、不図示の剛体に固定されているものとする。また、基準円輪SCは、90度ごとに配置された保持治具HDにより、回転テーブルRTに固定されている。
【0032】
図1(a)に示す一回目の反転前の測定(θ=0°)では、4つの変位計Da〜Ddから出力される信号を、それぞれ第1の信号S1A(θ)、第2の信号S1B(θ)、第3の信号S1C(θ)、第4の信号S1D(θ)とあらわすと、以下の式(1)、(2)、(3)、(4)であたえられる。
【0033】
【数1】


【0034】
ここで、φ1(θ)、z1(θ)、fr(θ)、gR(θ)はそれぞれ、回転角θにおける回転テーブルRTの回転軸の所定の方向の傾斜、回転中心点aの軸方向の変位、被測定円板面の半径rの円上での軸方向変位すなわち凹凸形状(真直形状)、および基準円輪SCの半径Rの円上での軸方向変位すなわち凹凸形状(真直形状)を表す。
【0035】
次に、図1(b)に示すように、回転テーブルを180度回転させた後に測定(θ=180°)を行ったとき、反転により追加された基準円輪SCの端面の傾斜の影響をCとして、3つの変位計Da、Db、Ddの出力は、それぞれを第1の信号S2A(θ)、第2の信号S2B(θ)、第4の信号S2C(θ)とあらわすと、式(5)、(6)、(7)であたえられる。
【0036】
【数2】


【0037】
ここで、φ2(θ)、z2(θ)はそれぞれ、2回目の測定時の回転軸の傾斜と、回転中心点aの軸方向の変位を表す。またCsin(θ)は基準円輪SCの反転時の傾斜の変化を示すが、形状を考える場合には無視できるものであるため、ここでは0とする。
【0038】
式(2)と式(6)の差および,式(3)と式(8)の差を整理すると式(9),(10)を得て,両式より,φ1(θ)、φ2(θ)が反転前後の2回の回転時の3本の変位計の出力だけで表せることが判る。言い換えると、回転テーブルRTを回転させながら測定を行ったとき、第2の信号とに基づいて得られた出力値を、第1の信号と第3の信号と第4の信号とに基づいて補償することによって、回転軸の傾斜、回転中心点aの軸方向の変位をキャンセルし、被測定円板CPの表面上半径rの位置の形状を精度よく求めることができるのである。第1と第3あるいは,第4の変位計の出力のみでは、チルトモーションの繰り返し性が必要になるが、本実施の形態ではそれが不要になり、測定精度が向上する。
【0039】
【数3】


【0040】
従って,被測定円板CPの半径rの円上での凹凸形状は式(11)で,変位計の出力だけから求められる。これが,請求項1で記述している被測定円板CPの半径rの円に沿う凹凸形状の測定方法の原理である。なお,上述のデータからは,基準円輪の形状 gR(θ)も同時に同定できるので,必要ならばその後はこれを基準にし,第3の信号と第1の信号のデータと共に用いて,半径の違うfr(θ)について特定することも出来る.
【0041】
【数4】


【0042】
なお、図では4本の変位計Da〜Ddを使った場合を示したが、変位計Dc、Ddは同時に使わなくてもよいので、回転テーブルRTの回転の際に、変位計Dcも同時に180度位置を変えることで共通の変位計として兼用でき、変位計Ddを省略することによりコストを低減できる。
【0043】
図1に示すように、回転軸を水平方向に沿うように配置した場合、被測定円板CP,基準円輪SCとも重力によるたわみの影響を受け難いが,軸を鉛直方向になるように配置すると重力によるたわみの影響を受けるので,式(1)〜(3),(5),(6),(8)は,式(12)〜(17)のように表される。なお,式(14),(17)におけるδ(θ)の項は,基準円輪SCの反転前後の支持の変化によるたわみ形状をあらわすもので,回転軸が水平面に配置された場合には無視されていたものである。また,被測定円板CPにも重力によるたわみが生じているが,基準円輪SCの反転前後で円板には形状変化がないと見なせるので,fr(θ)がたわみ形状も含んでいるものとしている。
【0044】
【数5】


【0045】
しかるに、式(19)に見られるように,反転前後の基準円輪SCのたわみ面形状が変化すると,φ1(θ)、φ2(θ)が3本の変位計の出力だけでは表せなくなることが判る。これは,重力によるたわみだけでなく,基準円輪SCを取り付けるときの力によって生じるたわみでも同様の影響が生じるので,請求項1で記述したように基準円輪SCを支持するための保持治具HDに、端面での形状gR(θ)のたわみによる変形を抑制する工夫を要することになる。
【0046】
これに対し、図2に示すように、被測定物を円筒状とし、基準円輪SCを細長い中空円筒状とし、さらに回転テーブルRTの回転軸線を鉛直方向に沿うようにすると、重力によるたわみの影響が少なくなり、特別な保持治具を用いる必要もなくなる。ただし、かかる場合には、基準円輪SCを細長く、たとえば、その直径に対して軸線方向長が所定の割合(たとえば1)以上であるようにすることが好ましい。
【0047】
円周りではなく,座標xで表される直線(直径)に沿う真直度測定においては,重力の影響によるたわみは,反転前後で,基準直定規の形状に対して,正負が逆転するので,反転前後で変位計の出力は次式で与えられる。ここでz1(x)、fx(x)、gx(x)、δ1x(x)、δ2x(x)は,それぞれ,xに沿う走査時の高さ方向の移動の誤差,被測定円板の一つの直径方向の真直形状,基準直定規の真直形状誤差,基準直定規の反転前後のたわみ形状である。
【0048】
【数6】


となり,反転前後の基準直定規のたわみが同じでも,その影響を免れないことになる。このため,重力や,あるいは支持力による変形の影響が,測定対象面でのたわみに生じにくい構造の基準直定規を用いる必要がある。
【0049】
本実施の形態によれば、面上の半径rの円に沿う凹凸を変位計Dbの回転走査で測定するときに,回転中の軸方向の出入りを検出する変位計Daと,変位計Da,変位計Dbの測定点を結ぶ直径上の,半径Rの円に沿う走査測定をする変位計Dc,変位計Dd,合計4本を用意して,半径Rの円が描かれる面が回転走査軸と同心で,前記半径rの円に対して相対的に180度回転した位置にも反転設置できる基準円輪SC上にある形にし,基準円輪SCの反転操作の前後の回転走査における4本の変位計の出力から,合計6つを選んで用いることで,走査のための回転運動誤差と半径rの円と半径Rの円に沿う凹凸形状を分離同定する。この結果得られた円に沿う凹凸形状と,別の方法を用いて複数の直径上で得られた直線に沿う凹凸形状とを数学的に合成すると平面を正しく構成することが可能となる。
【0050】
次に、別な実施の形態にかかる測定装置について説明する。図3において、被測定円板CPは、不図示の回転テーブルに取り付けられ回転可能となっている。被測定円板CPの表面に対して平行に、角柱状の基準直定規SLが配置されている。基準直定規SLに沿って、移動可能なステージとしての支持部材SMが移動可能に配置されている。支持部材SMには、被測定円板CPの表面の変位を測定する変位計(第2の変位計)Dbと、基準直定規SLの一方の面(表面)SM1を測定する変位計Dqと、基準直定規SLの対向する面(裏面)SM2を測定する変位計Drとが取り付けられている。基準直定規SLに沿って、支持部材SMが移動するとき、変位計Dbは、被測定円板CPの回転軸を通る直線上の軸方向変位を測定できるようになっている。
【0051】
まず、図3(a)に示す状態で、被測定円板CPの回転軸線を原点とし、ここからの距離をxとしたときに、移動部材SMを移動させながら3つの変位計Db〜Drから出力される信号(第1の信号群)を、それぞれ信号m1(x)、信号m2(x)、信号m3(x)とあらわすと、以下の式(26)、(27)、(28)であたえられる。
【0052】
【数7】


【0053】
続いて、図3(b)に示すように、基準直定規SLを180度回転させる。これにより、基準直定規SLの表裏面が逆となるため、一方の面SM1は変位計Drで測定し、基準直定規SLの対向する面SM2は変位計Drで測定することとなる。かかる状態で、移動部材SMを移動させながら3つの変位計Db〜Drから出力される信号(第2の信号群)を、それぞれ信号m1(x)、信号m2(x)、信号m3(x)とあらわすと、以下の式(29)、(30)、(31)であたえられる。
【0054】
【数8】


【0055】
ここで、信号の差分をとることにより、以下の式(32)、(33)を得る。これにより運動誤差をキャンセルすることができ、被測定円板CPの直径方向における精度のよい形状測定を行える。
【0056】
【数9】


【0057】
以上においては、よく知られた改良型反転法を用いて基準直定規と円板直径に沿う真直形状の測定を行う例を示したが、既に記述したように,円板面上の円に沿う形状も必要な半径rで求めることが出来るので,この結果と2本以上の直径に沿う真直形状と組み合わせると,円板の面形状が校正できることになる.
【0058】
なお、基準直定規SLのたわみが測定精度に与える影響は少なからずある。そこで、測定面が重力によるたわみの影響を受ける形に配置する必要があるときには,図4に示すように、剛体に対して回転可能に支持された、表面及び裏面の長さLに対して幅Wが所定の割合(たとえば1:1)以上である基準直定規SLを用いて、変位計Dq、Drで、基準直定規SLの側縁を測定するようにすると、さらに測定精度が向上する。図3に示す移動可能な変位計Dbを、図2に示す変位計Dbに置き換えることができる。すなわち、図2に示すように鉛直方向の円板と組み合わせると好ましい。水平面におかれた円板面と組み合わせて用いてもよい。
【0059】
次に、さらに別な実施の形態にかかる測定装置について説明する。図5において、大面積の被測定板P上で、その法線に沿った軸線回りに回転する回転軸RSの下端には、支持腕SAが固定されている。回転軸RSの周囲には、それと同軸に基準円輪SCが配置されている。回転軸RSと基準円輪SCは、不図示のステージに載置され、被測定板Pの表面に沿った方向に移動可能となっているが、基準円輪SCは被測定板Pに対して回転しない。
【0060】
更に、それぞれ支持腕SAに取り付けられた4つの変位計であって、被測定面Pの表面上、回転軸RSの回転軸線が交差する点aにおける表面垂直方向の変位を検出して第1の信号を出力する第1の変位計Daと、被測定面Pの表面上、点aから半径rの点bにおける表面垂直方向の変位を検出して第2の信号を出力する第2の変位計Dbと,被測定面Pの表面上、点aと点bとを結ぶ直線L上であって点aから半径lの点eにおける表面垂直方向の変位を検出して第4の信号を出力する第4の変位計Deと,基準円輪SC上の半径Rの円と交わる点cにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第3の信号を出力する第3の変位計Dcと、が設けられている。ここで、第1の信号と、第2の信号と、第3の信号とを用いて、上述の実施の形態のようにして基準円輪SCの校正を行うことができる。尚、第2の変位計Dbの代わりに、回転軸RSの回転軸線に対し、点cから180度ずれた基準円輪SC上の半径Rの円と交わる点dにおいて,表面垂直方向の変位を検出して第5の信号を出力する第5の変位計Ddを設けることができる。かかる場合、第5の信号と変位計Dcからの第3の信号の差分から、基準円輪SCの傾きを求めることができ、すなわち校正を行える。
【0061】
上述した実施の形態と同様に、校正した基準円輪SCを用いて、回転軸RSを回転させながら測定を行ったとき、第2の信号と第4の信号とに基づいて得られた出力値を、第1の信号と第3の信号とに基づいて補償することによって、被測定面Pの表面上半径lまたはrの位置の円形状を求めることができる。更に、支持腕SAを、点aと点bとを結ぶ直線Lに沿って移動させながら測定を行ったとき、第1の信号と、第2の信号と、第4の信号とを用いることで、上述した3点法を利用して被測定面Pの表面の直線L上の形状を求めることができる。ただし、本実施の形態における3点法については、半径Rの円とその中心の3点の高さが前記円形状として関連づけられているので、これら3点の形状高さを3つの変位計による出力として扱うことで3点法と同じ出力が得られる。これらを用いることで、(26)〜(31)式と同様に誤差をキャンセルできるものである。
【0062】
このようにして、測定装置を、被測定面の上を移動させながら測定することで、被測定面Pの表面の半径lまたはrの位置の円形状と、その直径方向の直線L状の形状を測定できるので、図6に示すように、複数の円と直線とを重ね合わせて測定することによって、理論上、いかなる大面積の面であっても形状を精度よく測定できることとなる。
【0063】
図7、8は、測定基準MSの他の形の例を示す斜視図である。図7の測定基準MSでは、互いに中央で直交するようにクロスさせた2枚の板材P1,P2と、板材P1,P2とを囲む中空円筒CLとからなり、中空円筒CLはその軸線から半径rの位置に端面を有している。
【0064】
更に、図8の測定基準MSでは、互いに中央で直交するようにクロスさせた2枚の板材P1,P2と、板材P1,P2とを囲む内側中空円筒CL1と、内側中空円筒CL1を内包する外側中空円筒CL2とからなり、内側中空円筒CL1は軸線から半径lの位置に端面を有し、外側中空円筒CL2は軸線から半径rの位置に端面を有している。
【0065】
校正が終了した図7,8の測定基準を用いて、図5の測定装置において、変位計Da、Db、Deのゼロ点調整を行っても良い。
【0066】
このような測定基準MSは、フィゾー干渉計の校正に用いることができる。ここでは、被測定面Pを有する板材をアクリルなどの光透過材で形成している。測定基準MSの端面は、上述したようにして予め校正してある。図9に示すフィゾー干渉計において、点光源OSからの放射状に出射される光をレンズLSにより平行光にして照射し、その被測定面Pからの反射光と、被測定面Pを通過した後の測定基準MSの端面からの反射光とにより、細い多光束から成る等厚の干渉縞を作り、かかる干渉縞から被測定面Pの形状を求めることができる。
【0067】
以上述べた測定装置および測定基準は、種々の精密工作機械に用いることができる。精密な平面や球面の加工を行う工作機械において,基準円輪と基準直定規の一方又は両方を内蔵し,あるいは,必要に応じてそれらを取り付ける構造を有して,加工物の加工面,あるいは,加工物を固定する軸端面やそれと一体となって回転する加工物取り付け面を,被測定円板として測定出来る構造にして,上述した測定の結果から,加工面や軸端面や加工物取り付け面の精度あるいは,工作機械の運動精度を検査することが出来る。
【0068】
更に、精密な平面や球面の加工を行う工作機械において,校正後の補助輪,基準直定規と同様に,測定の際に使用可能な測定基準を内蔵し、あるいは、必要なときに測定基準として使用可能な校正の済んだ補助輪や,基準直定規を着脱可能なジグ部を有して、加工物の加工面,あるいは,加工物を固定する軸端面やそれと一体となって回転する加工物取り付け面の形状精度あるいは工作機械の運動精度を測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】第1の実施の形態にかかる測定装置の原理を示す斜視図である。
【図2】本実施の形態の変形例にかかる測定装置を示す斜視図である。
【図3】第2の実施の形態にかかる測定装置の原理を示す斜視図であり、直線形状の測定のための改良型反転法の原理を示す図であり、これを図1の円周に沿う真直形状測定装置と組み合わせることで、平面形状測定装置になる。また、この図を90度回転して、水平面内にあるの直線形状を測定できるようにしたものを、更に測定装置として使用可能である。ただしそのときは、基準円輪は板の高さが十分に高いものを使うと好ましい。
【図4】基準直定規SLの変形例を示す図である。
【図5】第3の実施の形態にかかる測定装置の原理を示す斜視図である。
【図6】図5の測定装置の測定対象とする大型平面上に、逐次、円周に沿う真直度を測定していくときに円周の軌跡の一例を示す図であり、2方向にそれぞれ逐次3点法が成立する形になっている。
【図7】本実施の形態の測定装置に用いることが測定基準MSの例を示す斜視図である。
【図8】本実施の形態の測定装置に用いることが測定基準MSの例を示す斜視図である。
【図9】本実施の形態の測定基準を用いたフィゾー干渉計の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
CL 中空円筒
CL1 内側中空円筒
CL2 外側中空円筒
CP 被測定円板
Da 変位計
Db 変位計
Dc 変位計
Dd 変位計
De 変位計
Dq 変位計
Dr 変位計
HD 保持治具
LS レンズ
L 直線
MS 測定基準
OS 点光源
P1,P2 板材
RS 回転軸
RT 回転テーブル
SA 支持腕
SC 基準円輪
SL 基準直定規
SM 支持部材
【出願人】 【識別番号】591238981
【氏名又は名称】清野 慧
【出願日】 平成18年8月29日(2006.8.29)
【代理人】 【識別番号】100107272
【弁理士】
【氏名又は名称】田村 敬二郎

【識別番号】100109140
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 研一


【公開番号】 特開2008−8879(P2008−8879A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−231631(P2006−231631)