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【発明の名称】 干渉測長機
【発明者】 【氏名】猿木 義雄

【要約】 【課題】測長方向が可変である干渉測長機を提供する。

【構成】干渉測長機10は、測定軸Xに沿って移動可能な移動鏡と、移動鏡に測定光を照射し、移動鏡から反射された測定光を参照光と重畳して干渉光を生成する干渉計と、を含む測長光学系12と、測長光学系12を支持するベース部16と、測定軸Xの向きが可変となるように、測長光学系12をベース部16に対して回転可能に連結する回転機構18とを有する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定軸に沿って移動可能な移動鏡と、前記移動鏡に測定光を照射し、前記移動鏡から反射された測定光を参照光と重畳して干渉光を生成する干渉計と、を含む測長光学系と、
前記測長光学系を支持するベース部と、
前記測定軸の向きが可変となるように、前記測長光学系を前記ベース部に対して回転可能に連結する回転機構と、
を有することを特徴とする干渉測長機。
【請求項2】
請求項1に記載の干渉測長機であって、
前記測定軸が水平となる位置および垂直となる位置で、前記測長光学系の回転を固定するクランプ機構を有することを特徴とする干渉測長機。
【請求項3】
請求項1または2に記載の干渉測長機であって、
前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、
前記スピンドルを前記測定軸に沿って移動させる駆動源と、
を有し、
前記駆動源は、前記測長光学系とともに回転可能に設けられる、
ことを特徴とする干渉測長機。
【請求項4】
請求項1または2に記載の干渉測長機であって、
前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、
前記スピンドルを前記測定軸に沿って移動させる、前記ベース部側に設けられた駆動源と、
前記スピンドルと前記駆動源との間の駆動力の伝達経路を断続する断続機構と、
を有することを特徴とする干渉測長機。
【請求項5】
請求項1または2に記載の干渉測長機であって、
前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、
前記スピンドルに作用する重力をキャンセルする重力キャンセル機構と、
を有することを特徴とする干渉測長機。
【請求項6】
請求項5に記載の干渉測長機であって、
前記重力キャンセル機構は、キャンセル動作のためのエネルギーの供給が途絶えたときに前記スピンドルが落下するのを防止する落下防止機能を備えることを特徴とする干渉測長機。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の干渉測長機であって、
評価対象の変位センサを前記ベース部に取り付けるためのセンサ取付部を有することを特徴とする干渉測長機。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の干渉測長機であって、
評価対象の変位センサを前記可動部に取り付けるためのセンサ取付部を有することを特徴とする干渉測長機。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、干渉測長機に関する。
【背景技術】
【0002】
光の干渉を利用して測定対象物の移動量を高精度に測定する干渉測長機が知られている(例えば、特許文献1〜3参照)。
【0003】
干渉測長機は、一つの利用態様では、変位センサ(例えば、ダイヤルゲージ、電気マイクロメータ、表面粗さ計用センサ、高精度変位センサなど)の精度を評価するのに用いられる。
【0004】
【特許文献1】特開2000−55617号公報
【特許文献2】特開2001−108408号公報
【特許文献3】特開2003−232612号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、変位センサには、その種類によって、水平姿勢で使用されるものもあれば、垂直姿勢で使用されるものもある。また、一つの変位センサが、使い方によって、水平姿勢で使用されたり、垂直姿勢で使用されたりする。そして、一般に、変位センサは、その姿勢によって異なる精度を持つ。このため、変位センサの精度を正確に評価するためには、当該変位センサが実際に使用される姿勢にて、精度評価を行う必要がある。
【0006】
よって、変位センサの精度を正確に評価する観点より、干渉測長機の測長方向は、可変(例えば水平と垂直とで切り替え可能)であることが望ましい。
【0007】
また、変位センサの精度評価以外の用途に関しても、干渉測長機の測長方向が可変であれば、利用者にとって利便性が高い。
【0008】
そこで、本発明は、測長方向が可変である干渉測長機を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る干渉測長機は、測定軸に沿って移動可能な移動鏡と、前記移動鏡に測定光を照射し、前記移動鏡から反射された測定光を参照光と重畳して干渉光を生成する干渉計と、を含む測長光学系と、前記測長光学系を支持するベース部と、前記測定軸の向きが可変となるように、前記測長光学系を前記ベース部に対して回転可能に連結する回転機構と、を有することを特徴とする。
【0010】
本発明の好適な態様では、干渉測長機は、前記測定軸が水平となる位置および垂直となる位置で、前記測長光学系の回転を固定するクランプ機構を有する。
【0011】
また、本発明の好適な態様では、干渉測長機は、前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、前記スピンドルを前記測定軸に沿って移動させる駆動源と、を有し、前記駆動源は、前記測長光学系とともに回転可能に設けられる。
【0012】
また、本発明の別の好適な態様では、干渉測長機は、前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、前記スピンドルを前記測定軸に沿って移動させる、前記ベース部側に設けられた駆動源と、前記スピンドルと前記駆動源との間の駆動力の伝達経路を断続する断続機構と、を有する。
【0013】
また、本発明の好適な態様では、干渉測長機は、前記移動鏡を支持し、前記測定軸に沿って延びるスピンドルと、前記スピンドルに作用する重力をキャンセルする重力キャンセル機構と、を有する。
【0014】
また、本発明の好適な態様では、前記重力キャンセル機構は、キャンセル動作のためのエネルギーの供給が途絶えたときに前記スピンドルが落下するのを防止する落下防止機能を備える。
【0015】
また、本発明の好適な態様では、干渉測長機は、評価対象の変位センサを前記ベース部に取り付けるためのセンサ取付部を有する。
【0016】
また、本発明の好適な態様では、干渉測長機は、評価対象の変位センサを前記可動部に取り付けるためのセンサ取付部を有する。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、測長方向が可変である干渉測長機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0019】
[全体構成]
図1および図2は、本実施の形態に係る干渉測長機10の全体構成を示す概略側面図である。図3は、図1の干渉測長機10のA−A線概略断面図である。この干渉測長機10は、光の干渉を利用して、測定軸X方向についての測定対象物の移動量を測定するものである。
【0020】
図1〜3において、干渉測長機10は、測長光学系12が搭載された可動部14と、当該可動部14を支持するベース部16とを有する。また、干渉測長機10は、測定軸Xの向きが可変となるように、可動部14をベース部16に対して回転可能に連結する回転機構18を有する。さらに、干渉測長機10は、測定軸Xが水平となる位置および垂直となる位置で可動部14の回転を固定するクランプ機構20と、後述する測長光学系12のスピンドルを測定軸Xに沿って移動させる駆動機構22と、スピンドルにかかる重力をキャンセルする重力キャンセル機構24とを有する。
【0021】
図1では、可動部14は、測定軸Xが水平を保持するように、すなわち測長光学系12が水平姿勢(横姿勢ともいう)を保持するように、クランプ機構20により固定されている。一方、図2では、可動部14は、測定軸Xが垂直を保持するように、すなわち測長光学系12が垂直姿勢(縦姿勢ともいう)を保持するように、クランプ機構20により固定されている。
【0022】
以下、測長光学系12、回転機構18、クランプ機構20、駆動機構22、および重力キャンセル機構24について、順に説明する。なお、以下の説明において、干渉測長機10について前後、左右、上下と言うときは、図1〜3の矢印に示されるように、干渉測長機10の使用時の設置状態における、例えば干渉測長機10が除震台に設置された状態における、前後、左右、上下を言うものとする。
【0023】
[測長光学系]
図4は、測長光学系12の構成を示す概略断面図である。以下、図4に従って、測長光学系12の構成について説明する。なお、以下の説明において、測長光学系12について前後、左右、上下と言うときは、図4の矢印に示されるように、測長光学系12が水平姿勢に保持された状態における、前後、左右、上下を言うものとする。
【0024】
図4に示されるように、測長光学系12は、測定軸Xに沿って延びる、断面正方形の筒状のスピンドル30を有する。このスピンドル30の前端には、アンビル32が設けられており、アンビル32の後面側には、レーザ光を反射するための移動鏡34が設けられている。
【0025】
スピンドル30は、測定軸Xに沿って滑らかに移動可能となるように、ガイド部36によってエアベアリングを介して支持されている。具体的には、図5に示されるように、スピンドル30の下面側には、測定軸Xに沿って延びる下側ガイド部材38が配置されている。また、前後方向に所定間隔を置いて、前側ガイド部材40と後側ガイド部材42とが配されている。前側ガイド部材40および後側ガイド部材42は、下側ガイド部材38とともに、スピンドル30の上下左右の四面を囲むように構成されている。なお、ガイド部36は、可動部14において固定的に設置されている。
【0026】
スピンドル30の上面には、前側ガイド部材40と後側ガイド部材42との間に、フリクションドライブの駆動軸44が配置されている。この駆動軸44は、駆動モータにより回転駆動され、フリクションドライブ方式によりスピンドル30を測定軸Xに沿って滑らかに往復移動させるものである。なお、スピンドル30を駆動するための駆動機構22については後で説明する。
【0027】
スピンドル30の内側には、測定軸Xに沿って延びる導光管46が配されている。この導光管46は、前側シリンダ48と、ベローズ50と、後側シリンダ52とが、この順に連結されて構成されてなる。前側シリンダ48の前端は、アンビル32の後面により封止されており、後側シリンダ52の後端は、レーザ光を通過させるための窓54により封止されている。後側シリンダ52および窓54は、可動部14において固定的に設置されている。ベローズ50は、測定軸X方向に伸縮可能な部材である。このため、スピンドル30が測定軸Xに沿って移動する際、前側シリンダ48はスピンドル30とともに移動し、ベローズ50は伸縮し、後側シリンダ52は移動しない。
【0028】
導光管46、アンビル32、および窓54により囲まれた空間は、測長光路を真空光路とすべく、例えば真空ポンプ等によって略真空とされる。
【0029】
窓54の後方には、干渉計56が配置されている。この干渉計56は、可動部14において固定的に設置されている。干渉計56は、移動鏡34に測定光を照射し、移動鏡34から反射された測定光を参照光と重畳して干渉光を生成する光学ユニットである。具体的には、干渉計56は、主要構成要素として偏光ビームスプリッタと参照鏡とを含み、次のように作用するものである。すなわち、干渉計56は、外部のレーザ光源58から光ファイバを介してレーザ光の入力を受け、当該レーザ光を偏光ビームスプリッタにより参照光と測定光とに分割し、参照光を参照鏡に射出し、測定光を移動鏡34に射出する。そして、干渉計56は、参照鏡により反射された参照光と移動鏡34により反射された測定光とを偏光ビームスプリッタにより重畳して干渉光を生成し、干渉光信号を光ファイバを介して外部の信号処理ユニット60に出力する。好ましくは、干渉計56は、偏光ビームスプリッタにより得られた干渉光から、互いに位相の異なる2相または4相の干渉光を生成し、これらを干渉光信号として出力する。
【0030】
信号処理ユニット60は、干渉光信号に基づいて、スピンドル30の測定軸X方向の変位を求めるユニットであり、例えば、干渉光信号を光電変換する光電変換素子と、光電変換された信号を増幅する増幅回路と、増幅された信号に基づいてスピンドル30の変位を演算する演算回路とを含む。なお、干渉測長機による測長の詳しい内容については、広く知られているので、ここでは説明を省略する。
【0031】
変位センサの精度の評価や校正を実施する場合には、例えば、図4の一点鎖線で示されるように、アンビル32の前方に評価対象の変位センサ62が設置される。このとき、変位センサ62の本体部分(固定部分)64は、可動部14またはベース部16に対して固定的に設置され、変位センサ62の接触子(可動部分)66は、その先端がアンビル32に突き当てられる。この状態で、駆動機構22によりスピンドル30を測定軸Xに沿って移動させ、このときの変位を干渉測長機10と変位センサ62とで同時に測定し、両者の測定結果を比較することによって、変位センサ62の精度評価や校正が行われる。
【0032】
なお、ここでは接触式の変位センサを例示したが、非接触式の変位センサについても同様に精度評価や校正を行うことが可能である。非接触式の変位センサとしては、例えば、光学式のセンサ、静電容量形のセンサなどが挙げられる。ここで、光学式のセンサには、反射率が高い測定面を必要とするものや、乱反射する測定面を必要とするものがある。また、静電容量形のセンサであれば、測定面がある程度平滑な金属面であることが求められる。これらに対応するため、アンビル部分(スピンドルの先端部分)は、取り替え可能であることが好ましく、それぞれのセンサに応じた面形状や材料を持つアンビルが使用されることが好ましい。
【0033】
ここで、評価対象の変位センサを干渉測長機10に取り付けるための構成について、ベース部16に取り付けるための構成と、可動部14に取り付けるための構成とに分けて説明する。
【0034】
(変位センサをベース部に取り付けるための構成)
図1,2に示されるように、ベース部16は、ベッド74と、ベッド74に立設されたスタンド75を有する。ベッド74には、センサ取付水平座面500が設けられており、スタンド75には、センサ取付垂直座面502が設けられている。そして、水平姿勢では、図1に示されるように、センサ取付水平座面500にブラケット504を介して変位センサ506が取り付けられる。一方、垂直姿勢では、図2に示されるように、センサ取付垂直座面502にブラケット508を介して変位センサ510が取り付けられる。
【0035】
同一の変位センサについて水平姿勢および垂直姿勢の両方で評価する場合には、水平姿勢ではベッド側に、垂直姿勢ではスタンド側に、変位センサが付け替えられる。
【0036】
なお、このようにベース部16に取り付けられる変位センサとしては、主に、取付座を持つ比較的重量があるものが挙げられる。
【0037】
(変位センサを可動部に取り付けるための構成)
図10に示されるように、可動部14の前端部には、ブラケット512を介して変位センサ514が取り付けられる。
【0038】
このように可動部14に変位センサが取り付けられた場合、可動部14の姿勢変更に伴い、変位センサの姿勢も変化する。したがって、例えば、同一の変位センサについて水平姿勢および垂直姿勢の両方で評価する場合、変位センサを付け替える必要がない。
【0039】
なお、このように可動部14に取り付けられる変位センサとしては、主に、ステムを有するセンサや、小型軽量なセンサなどが挙げられる。
【0040】
上記ブラケット504,508,512は、取り外し可能であり、必要に応じて取り外される。例えば、変位センサをベース部16に取り付ける場合、ブラケット512は取り外される。
【0041】
[回転機構]
回転機構18は、測定軸Xの向きが可変となるように、可動部14をベース部16に対して回転可能に連結する機構である。本実施の形態では、回転機構18は、以下の構成により実現される。
【0042】
図1〜3に示されるように、可動部14は、測長光学系12を挟んで左右両側に設けられた、水平方向に延びる回転軸70,72を有する。一方、ベース部16は、ベッド74と、ベッド74の左右両側に立設されたスタンド76,78を有する。そして、可動部14の回転軸70,72は、それぞれ、ボールベアリング等の軸受部材80,82を介して、ベース部16のスタンド76,78に支持されている。
【0043】
水平姿勢/垂直姿勢の切り替えなど、可動部14の回転は、適宜の方法により実現可能である。例えば、利用者が可動部14を直接手で回転させてもよいし、歯車などを使用し、ハンドルを利用者が回すと可動部14が回転するように構成してもよいし、電動、空圧、または油圧などにより可動部14を回転させる構成としてもよい。
【0044】
[クランプ機構]
クランプ機構20は、測定軸Xが水平となる位置および垂直となる位置で可動部14の回転を固定する機構である。本実施の形態では、クランプ機構20は、以下の構成により実現される。
【0045】
図1、2に示されるように、可動部14には、水平固定用雌ネジ84と、垂直固定用雌ネジ86とが設けられている。一方、ベース部16には、水平固定用雄ネジ88と、垂直固定用雄ネジ90とが設けられている。そして、水平姿勢では、図1に示されるように、水平固定用雄ネジ88が水平固定用雌ネジ84に螺合することにより可動部14が固定され、垂直姿勢では、図2に示されるように、垂直固定用雄ネジ90が垂直固定用雌ネジ86に螺合することにより可動部14が固定される。
【0046】
[駆動機構]
駆動機構22は、測長光学系12のスピンドル30を測定軸Xに沿って移動させる機構である。本実施の形態では、駆動機構22は、以下の構成により実現される。
【0047】
先述したとおり、図3、4に示されるように、スピンドル30の上面には、駆動軸44が配置されている。この駆動軸44は、減速機92を介して、駆動源としての駆動モータ94に接続されており、駆動モータ94により駆動される。したがって、駆動モータ94の駆動を制御することにより、スピンドル30の測定軸X方向の移動が制御される。
【0048】
本実施の形態では、駆動軸44、減速機92、および駆動モータ94を含む駆動機構22は、可動部14側に設けられており、測長光学系12とともに回転するようになっている。
【0049】
また、本実施の形態では、減速機92および駆動モータ94は、軸受部材82を基準として測長光学系12とは反対側に設けられているとともに、軸受部材82の近傍に設けられている。このため、駆動モータ94等の荷重は軸受部材82を通してスタンド78からベッド74に逃げ、駆動モータ94等の荷重による測長光学系12への影響が軽減される。
【0050】
さらに、本実施の形態では、図1〜3に示されるように、駆動軸44の軸中心は、可動部14の回転軸の軸中心と略一致している。
【0051】
[重力キャンセル機構]
重力キャンセル機構24は、測長光学系12のスピンドル30にかかる重力をキャンセルする機構である。本実施の形態では、重力キャンセル機構24は、以下の構成により実現される。
【0052】
図6は、重力キャンセル機構24の機械的な構成を示す模式図である。図6に示されるように、スピンドル30の左右両側には、測定軸Xに沿って延びるエアシリンダ100,102が配置されている。エアシリンダ100は、ピストン104により仕切られた、垂直姿勢において上側に位置する上側室106と、下側に位置する下側室108とを有する。同様に、エアシリンダ102は、ピストン110により仕切られた上側室112と下側室114とを有する。ピストン104,110は、ロッド116,118および連結部材120を介してスピンドル30に連結されている。エアシリンダ100,102のシリンダチューブ122,124は、可動部14において固定的に設置されている。なお、上記エアシリンダ100,102は、バランスを考慮して左右対称に配置されている。
【0053】
図7〜9は、重力キャンセル機構24の空気圧回路を示す図である。図7には垂直姿勢時の様子が示されており、図8には電源OFF時/異常時の様子が示されており、図9には水平姿勢時の様子が示されている。なお、図7〜9には、エアシリンダ100が代表的に示されているが、エアシリンダ102についても同様である。
【0054】
図7〜9において、エアシリンダ100の上側室106のポート201は、サイレンサ130を介して開放されている。一方、下側室108のポート202には、電磁弁132が接続されている。この電磁弁132は、3つのポート301〜303を有し、ON状態ではポート302とポート301とが連通し、OFF状態ではポート302とポート303とが連通するものである。ポート301は電磁弁134に接続されており、ポート302はエアシリンダ100のポート202に接続されており、ポート303は閉鎖されている。電磁弁134は、3つのポート401〜403を有し、ON状態ではポート402とポート401とが連通し、OFF状態ではポート402とポート403とが連通するものである。ポート401はレギュレータ136を介して空気圧源138に接続されており、ポート402は電磁弁132のポート301に接続されており、ポート403は開放されている。
【0055】
垂直姿勢時では、図7に示されるように、電磁弁132および134は共にON状態であり、エアシリンダ100の下側室108のポート202は、電磁弁132および134を介してレギュレータ136に連通する。したがって、下側室108には、レギュレータ136によって一定の空気圧に調整された圧縮空気が供給される。これにより、ピストン104に対して上向きの力が作用し、ひいてはスピンドル30に上向きの力が作用する。ここで、レギュレータ136の目標空気圧は、スピンドル30に作用する重力と、エアシリンダ100および102によりスピンドル30に上向きに作用する力とが釣り合うように、予め設定されている。したがって、垂直姿勢時においては、スピンドル30にかかる重力は、エアシリンダ100および102の力によりキャンセルされる。
【0056】
空気圧源138が遮断された場合や、電磁弁に対する電源の供給が遮断された場合には、すなわちキャンセル動作のためのエネルギー供給が途絶えた場合には、図8に示されるように、電磁弁132および134は共にOFF状態となり、下側室108のポート202は、電磁弁132の閉鎖されたポート303に接続され、下側室108の空気圧は維持される。これにより、下側室108内の空気が急に抜けることが防止され、スピンドル30の落下が防止される。
【0057】
水平姿勢時では、図9に示されるように、電磁弁132はON状態であり、電磁弁134はOFF状態であり、下側室108のポート202は、電磁弁132を介して電磁弁134の開放されたポート403に連通する。したがって、下側室108の空気圧は上側室106と同様に大気圧であり、空気圧に基づく力はピストン104に対して作用しない。すなわち、重力キャンセル機構24は無効状態となっている。
【0058】
重力キャンセル機構24は、不図示の制御ユニットおよび姿勢検出センサを含み、上記電磁弁132,134は、これらにより制御される。すなわち、制御ユニットは、姿勢検出センサの出力が垂直姿勢を示す場合には、電磁弁132,134を共にON状態とし、水平姿勢を示す場合には、電磁弁132をON状態とし、電磁弁134をOFF状態とする。また、制御ユニットは、空気圧計等により空気圧源138の遮断を検知した場合には、電磁弁132,134を共にOFFする。
【0059】
なお、上記説明した測長光学系12、回転機構18、クランプ機構20、駆動機構22、および重力キャンセル機構24の具体的構成は一例にすぎず、それぞれ他の構成を有するものであってもよい。
【0060】
また、上記説明では、可動部14が水平および垂直でクランプ可能な構成を例示したが、可動部14は、他の傾き角度でクランプ可能であってもよいし、3箇所以上でクランプ可能であってもよい。このような場合、重力キャンセル機構24は、傾き角度を検出し、当該傾き角度に応じて、スピンドル30に作用する重力と釣り合う力をスピンドル30に対して作用させるように構成されればよい。
【0061】
以上説明した本実施の形態によれば、下記(1)〜(6)の効果が得られる。
【0062】
(1)本実施の形態に係る干渉測長機は、測長光学系を測定軸の向きが可変となるようにベース部に対して回転可能に連結する回転機構を有する。このため、本実施の形態によれば、干渉測長機の測長方向が可変となる。これにより、例えば、1台の干渉測長機により、複数の姿勢で変位センサの精度を評価することが可能となる。
【0063】
(2)本実施の形態に係る干渉測長機は、測定軸が水平となる位置および垂直となる位置で、測長光学系の回転を固定するクランプ機構を有する。このため、本実施の形態によれば、測長光学系を水平姿勢および垂直姿勢で安定的に保持することができる。これにより、例えば、1台の干渉測長機により、水平姿勢および垂直姿勢を切り替えて、変位センサの精度を評価することが可能となる。
【0064】
(3)本実施の形態に係る干渉測長機は、移動鏡を支持するスピンドルと、当該スピンドルを測定軸に沿って移動させる駆動源とを有し、駆動源は、測長光学系とともに回転可能に設けられる。このため、干渉測長機の構造の簡素化を図ることができる。すなわち、駆動源をベース部側に設ける構成では、測長光学系を回転させる際に駆動源とスピンドルとの接続を切り離すための機構が必要となるが、駆動源を可動部側に設ける構成では、そのような機構が不要である。
【0065】
(4)別の形態として、駆動源は、ベース部側に設けられてもよい。この場合、スピンドルと駆動源との間の駆動力の伝達経路を断続する断続機構が設けられる。例えば、フリクションドライブの駆動軸44と駆動モータ94との間にクラッチ等が設けられ、垂直姿勢/水平姿勢の切り替え時には、クラッチ等により両者の連結が切り離される。この構成によれば、可動部側の重量を小さくすることができる。
【0066】
(5)本実施の形態に係る干渉測長機は、移動鏡を支持する、測定軸に沿って延びるスピンドルと、当該スピンドルに作用する重力をキャンセルする重力キャンセル機構を有する。このため、本実施の形態によれば、測定軸を垂直にした状態や、水平から斜めにした状態で、良好に測定を行うことができる。
【0067】
(6)重力キャンセル機構は、キャンセル動作のためのエネルギーの供給が途絶えたときにスピンドルが落下するのを防止する落下防止機能を備える。このため、例えば垂直姿勢時において空気圧源が遮断された場合や電磁弁への電源供給が遮断された場合など、キャンセル動作を維持するためのエネルギーの供給が途絶えた場合において、スピンドルが落下してしまう事態を回避することができる。
【0068】
なお、本発明は、上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】実施の形態に係る干渉測長機の全体構成を示す概略側面図である。
【図2】実施の形態に係る干渉測長機の全体構成を示す概略側面図である。
【図3】図1の干渉測長機のA−A線概略断面図である。
【図4】測長光学系の構成を示す概略断面図である。
【図5】ガイド部の構成を示す概略斜視図である。
【図6】重力キャンセル機構の機械的な構成を示す模式図である。
【図7】垂直姿勢時における、重力キャンセル機構の空気圧回路を示す図である。
【図8】電源OFF時/異常時における、重力キャンセル機構の空気圧回路を示す図である。
【図9】水平姿勢時における、重力キャンセル機構の空気圧回路を示す図である。
【図10】変位センサが可動部に取り付けられる様子を示す概略側面図である。
【符号の説明】
【0070】
10 干渉測長機、12 測長光学系、14 可動部、16 ベース部、18 回転機構、20 クランプ機構、22 駆動機構、24 重力キャンセル機構、30 スピンドル、34 移動鏡、56 干渉計、94 駆動モータ(駆動源)、X 測定軸。
【出願人】 【識別番号】000137694
【氏名又は名称】株式会社ミツトヨ
【出願日】 平成18年6月30日(2006.6.30)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二

【識別番号】100096976
【弁理士】
【氏名又は名称】石田 純


【公開番号】 特開2008−8816(P2008−8816A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−180935(P2006−180935)