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【発明の名称】 位置特定装置
【発明者】 【氏名】加藤 満宏

【要約】 【課題】特定の検知対象の位置を正確に特定できる位置検出装置を提供することである。

【構成】検知対象に設ける第1通信手段と、第1通信手段と第2通信手段との間の通信を利用して、検知対象を検知する存在検知システム1と、画像上で特定した検知対象の画像上の画像座標(Xm,Ym)を特定する画像検知システム2と、存在検知システム1および画像検知システム2から出力される情報を処理する情報処理システム3とを備え、情報処理システム3は、存在検知システム1から識別信号もしくは位置座標(Xr,Yr)の少なくともいずれか一方を受信した場合に、画像座標(Xm,Ym)を存在検知システム1の座標系に変換した算定座標(X,Y)を算出して、それを検知対象の位置座標とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検知対象に設けるとともに、受信あるいは発信の少なくともいずれか一方の機能を有する第1通信手段と、この第1通信手段に対して信号を発信あるいは受信の少なくともいずれか一方の機能を有する第2通信手段とを備え、上記第1通信手段の識別信号の取得もしくは第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)を特定するための存在検知システムを備える一方、対象エリアの画像を生成する画像生成手段と、生成された画像中の検知対象を特定する検知対象特定手段と、この検知対象特定手段で特定された検知対象が位置する画像上の画像座標(Xm,Ym)を特定する画像座標特定手段とからなる画像検知システムを備え、さらに、上記存在検知システムおよび画像検知システムから出力される情報を処理する情報処理システムを備え、上記情報処理システムは上記存在検知システムから出力された第1通信手段の識別信号もしくは位置座標(Xr,Yr)を受信する機能と、上記画像検知システムから出力された画像座標(Xm,Ym)を受信する機能と、上記存在検知システムから識別信号もしくは位置座標(Xr,Yr)の少なくともいずれか一方を受信した場合に、上記画像座標(Xm,Ym)を上記位置検知システムの座標系に変換した算定座標(X,Y)を算出する機能と、上記算定座標(X,Y)を検知対象の位置座標とする機能とを備えた位置特定装置。
【請求項2】
上記画像生成手段をCCDカメラとするとともに、上記情報処理システムは、上記カメラのレンズの焦点距離をf、レンズの高さをZ、上記CCDのx方向の実サイズをCX、画像解像度をdxとし、CCDのy方向の実サイズをCY、画像解像度をdyとするとともに、水平方向を基準とし下方を正とするカメラの仰角をθcとしたとき、下記の式に基づいて算定座標(X,Y)を算出する請求項1に記載の位置特定装置。
【数1】


【数2】


【請求項3】
上記情報処理システムは、上記存在検知システムから、第1通信手段の識別情報に対応付けた識別情報取得時刻または特定した位置座標(Xr,Yr)に対応付けた特定時刻を受信する機能と、受信した時刻データに算定座標(X,Y)を対応付けて記憶する機能を備えた請求項1または2に記載の位置特定装置。
【請求項4】
第1通信手段に、環境データを取得する環境データ取得手段を設けるとともに、上記情報処理システムは、上記存在検知システムから第1通信手段の識別情報または第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)に対応付けた環境データを受信する機能と、受信した環境データに算定座標(X,Y)を対応付ける機能とを備えた請求項1〜3のいずれか1に記載の位置特定装置。
【請求項5】
上記情報処理システムは、上記存在検知システムから第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)を受信したときに、上記位置座標(Xr,Yr)と、算出した算定座標(X,Y)とを比較して両者の距離が予め設定された設定値以下か否かの判定をする機能と、上記距離が設定以下であると判定した場合にのみ、上記算定座標(X,Y)を、検知対象の位置座標とする機能を備えた請求項1〜4のいずれか1に記載の位置特定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、人や物などの正確な位置を特定するための位置特定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
人や物の位置を把握するために、通信を利用した位置検知システムがある。例えば、特定の人の位置を監視したい場合、監視対象となる人に、電波や音波などによる識別信号を発信するICタグを携帯させるとともに、監視対象エリアに上記ICタグから発信される識別信号を受信可能な受信機を設置して、その受信機が上記ICタグの識別信号を受信することによって、ICタグの位置、すなわち監視対象者を検出するものである。つまり、受信機が特定の識別信号を受信した場合に、監視対象エリア内にICタグが入ったことを検知できるのである。また、複数の受信機を設置して、各受信機の位置から上記ICタグの位置を、より正確に検出するシステムがある。
また、衛星から発信される電波を利用したGPS(global positioning system)によって、衛星からの電波を受信する受信機の位置を特定する方法もある。
【特許文献1】特開2006−105723号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記のように、検知対象者が携帯したタグが発信する信号を受信して、発信元の位置を特定するシステムや、GPSのように衛星からの電波を受信する受信側の位置を特定するシステムが有り、このようなシステムでは、数mから数十mの精度で位置特定ができる。言い換えれば、上記システムによって特定される位置情報には、数mから数十mの誤差が含まれる。この誤差は、地球レベルではもちろん、広域地図レベルでもほとんど問題にならないが、特別なセキュリティエリアへの境界を越えたかどうかを監視する場合や、扉の内側なのか外側なのかということを正確に検知しなければならないような場合には、上記数mの誤差も問題となることがある。このように、数m以内の精度を要求される場合には、GPSなど通信を利用した現状の位置検知システムでは、対応しきれないことがあった。
この発明の目的は、特定の検知対象の位置を正確に特定できる位置特定装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は、検知対象に設けるとともに、受信あるいは発信の少なくともいずれか一方の機能を有する第1通信手段と、この第1通信手段に対して信号を発信あるいは受信の少なくともいずれか一方の機能を有する第2通信手段とを備え、上記第1通信手段の識別信号の取得もしくは第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)を特定するための存在検知システムを備える一方、対象エリアの画像を生成する画像生成手段と、生成された画像中の検知対象を特定する検知対象特定手段と、この検知対象特定手段で特定された検知対象が位置する画像上の画像座標(Xm,Ym)を特定する画像座標特定手段とからなる画像検知システムを備え、さらに、上記存在検知システムおよび画像検知システムから出力される情報を処理する情報処理システムを備えている。
なお、上記第1通信手段と第2通信手段との間の通信には、電磁波のほか音波を利用するのも含まれる。
【0005】
そして、第1の発明は、上記情報処理システムは上記存在検知システムから出力された第1通信手段の識別信号もしくは位置座標(Xr,Yr)を受信する機能と、上記画像検知システムから出力された画像座標(Xm,Ym)を受信する機能と、上記存在検知システムから識別信号もしくは位置座標(Xr,Yr)の少なくともいずれか一方を受信した場合に、上記画像座標(Xm,Ym)を上記位置検知システムの座標系に変換した算定座標(X,Y)を算出する機能と、上記算定座標(X,Y)を検知対象の位置座標とする機能とを備えた点に特徴を有する。
【0006】
第2の発明は、上記第1の発明を前提とし、上記画像生成手段をCCDカメラとするとともに、上記情報処理システムは、上記カメラのレンズの焦点距離をf、レンズの高さをZ、上記CCDのx方向の実サイズをCX、画像解像度をdxとし、CCDのy方向の実サイズをCY、画像解像度をdyとするとともに、水平方向を基準とし下方を正とするカメラの仰角をθcとしたとき、下記の式に基づいて算定座標(X,Y)を算出する点に特徴を有する。
【数3】


【数4】


【0007】
第3の発明は、上記第1、第2の発明を前提とし、上記情報処理システムは、上記存在検知システムから、第1通信手段の識別情報に対応付けた識別情報取得時刻または特定した位置座標(Xr,Yr)に対応付けた特定時刻を受信する機能と、受信した時刻データに算定座標(X,Y)を対応付けて記憶する機能を備えた点に特徴を有する。
【0008】
第4の発明は、上記発明を前提とし、第1通信手段に、環境データを取得する環境データ取得手段を設けるとともに、上記情報処理システムは、上記存在検知システムから第1通信手段の識別情報または第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)に対応付けた環境データを受信する機能と、受信した環境データに算定座標(X,Y)を対応付ける機能とを備えた点に特徴を有する。
【0009】
第5の発明は、上記第1〜4の発明を前提とし、上記情報処理システムは、上記存在検知システムから第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)を受信したときに、上記位置座標(Xr,Yr)と、算出した算定座標(X,Y)とを比較して両者の距離が予め設定された設定値以下か否かの判定をする機能と、上記距離が設定以下であると判定した場合にのみ、上記算定座標(X,Y)を、検知対象の位置座標とする機能を備えた点に特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
第1〜第5の発明によれば、第1通信手段とともに移動する検知対象の存在を、第1通信手段の通信機能を利用して検知するとともに、情報処理システムが、画像検知システムから出力される検知対象の画像座標(Xm,Ym)を利用して、算定位置座標を算出することにより、通信を用いた位置座標(Xr,Yr)を検知対象の位置とする従来の方法と比べて検知対象の位置を、正確に特定することができるようになる。
また、情報処理システムが、存在検知システムから第1通信手段の識別情報を受信した場合には、受信した識別情報によって、第1通信手段を識別し、それに基づいて位置を特定した検知対象を識別することもできる。
【0011】
さらに、情報処理システムが、存在検知システムから、第1通信手段の位置座標(Xr,Yr)を受信した場合には、受信した位置座標(Xr,Yr)と算出した算定座標(X,Y)とを対比して、存在検知システムで検知した検知対象と画像検知システムで検知した検知対象との対応関係を確認することもできる。
さらにまた、存在検知システムから、第1通信手段の識別情報に位置座標(Xr,Yr)を対応付けて出力された場合には、情報処理システムでは、対象エリア内に複数の検知対象を同時に検知した場合にも各々を識別することができる。
【0012】
また、画像検知システムでは、第1通信手段を備えていない対象を検知してしまう可能性もあるが、そのような場合でも、存在検知システムから位置座標(Xr,Yr)が出力されれば、情報処理システムは、次のようにして第1通信手段を備えていない対象を区別することができる。例えば、画像検知システムの画像中に2つの検知対象が特定され、存在検知システムでは1つの第1通信手段しか検知しなかった場合に、存在検知システムから出力された位置座標(Xr,Yr)に近い算定座標(X,Y)に対応する画像上の検知対象を、目的の検知対象と判断することができる。
【0013】
第2の発明によれば、情報処理システムが、上記演算式によって検知対象の正確な位置座標を算出することができる。
第3の発明によれば、情報処理システムが、存在検知システムから出力された時刻データと算定座標とを対応付けることによって、検知対象の移動履歴情報を簡単に生成できる。
【0014】
第4の発明によれば、情報処理システムが、第1通信手段に設けた環境データ取得手段が取得した環境データと、算定座標(X,Y)とを対応付けることによって、各算定座標(X,Y)位置における環境データを取得でき、上記算定座標系における正確な環境データ分布を得ることができる。
【0015】
例えば、放射線汚染エリア内で作業をする作業者に、放射線センサを備えた第1通信手段を携帯させてセンサの検出データを、存在検知システムから出力させれば、放射線汚染エリア内の正確な放射線強度分布マップを作成することができる。
このような、放射線強度分布マップがあれば、作業者は、予め放射線強度分布を知って放射線強度の高い箇所を避けることもでき、被爆を最小限にとどめることができる。しかも、作業者は、必要な作業を行ないながら、放射線センサが測定した放射線強度を情報処理システムへ送信できるので、放射線強度分布マップを作成するためだけに、特別に危険エリアに入る必要はない。
【0016】
第5の発明によれば、情報処理システムは、存在検知システムから出力される位置座標を受信し、この位置座標(Xr,Yr)と算定座標(X,Y)とを対比して、両者の距離が設定値以下である場合にのみ、算定座標を検知対象の位置としている。すなわち、存在検知システムが特定した位置座標(Xr,Yr)と、画像座標(Xm,Ym)に基づいた算定座標(X,Y)との距離によって存在検知システムで検知した検知対象と画像検知システムで検知した検知対象との対応関係を確認してから、算定座標を検知対象の位置座標とすることができる。
従って、誤った対象を検知したり、検知対象に間違った位置を対応付けたりすることを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1〜図4を用いてこの発明の第1実施形態を説明する。
この第1実施形態の位置特定装置は、図1に示すように、存在検知システム1と、画像検知システム2と、情報処理システム3とで構成される。この装置を用いて特定のエリア内を移動する検知対象者を検知してその位置座標を特定する例を説明する。ここでは、この発明の検知対象を人A(図2参照)とし、この人Aに、この発明の識別信号であるタグIDを定期的に発信するタグ4を携帯させる。そして、存在検知システム1は、このタグ4から発信されるタグIDを利用して、人Aの存在を検知するようにしている。
【0018】
図1に示すように、存在検知システム1は、上記タグ4と、このタグ4から発信されるタグIDを受信する受信機R1,R2,R3と、これら受信機R1,R2,R3に接続したデータ処理部5とからなる。
そして、受信機R1,R2,R3は、タグ4からタグIDを受信したら、そのタグIDを、データ処理部5に対し出力する機能を備え、データ処理部5は、受信機R1,R2,R3からタグIDを受信したとき、タグ4の位置座標(Xr,Yr)を算出する機能を有する。なお、この存在検知システム1で特定する位置座標(Xr,Yr)は、実空間における地面上の座標で、その原点は存在検知システム1で任意に決めることができる。
【0019】
また、タグ4の位置座標の算出方法には、様々なものが考えられるが、例えば上記受信機R1,R2,R3が、タグIDを受信した時の受信時刻をタグIDとともにデータ処理部5へ送信するようにすれば、データ処理部5は、各受信機R1,R2,R3の受信時刻の差から、タグIDを発信したタグ4の位置座標を算出することができる。タグ4に近い受信機ほど早い時刻にタグIDを受信し、遠い受信機ほど遅い時刻にタグIDを受信することから、2つの受信機間の受信時刻差に基づいて、タグIDの発信元となるタグ4と各受信機との距離を算出して、上記タグ4の位置座標を特定することができるのである。
【0020】
データ処理部5は、タグ4の位置座標(Xr,Yr)を算出したら、この位置座標(Xr,Yr)を情報処理システム3へ送信する。
つまり、上記タグ4が、この発明の第1通信手段であり、受信機R1,R2,R3が、この発明の第2の通信手段である。
そして、この存在検知システム1が、タグ4から発信されるタグIDを受信することによって位置座標(Xr,Yr)を特定できる存在検知エリアを、後で説明する画像検知システム2が取り込む画像と対応付けている。これによって、存在検知システム1で検知された検知対象を、画像検知システム2においても検知できるようにしている。
【0021】
なお、上記タグ4の位置座標は、上記のように受信機間におけるタグIDの受信時刻の差を利用して算出する方法に限らず、どのような方法で特定してもかまわない。例えば、各受信機が受信する信号強度によって受信機とタグ4との距離を特定し、その距離から位置座標(Xr,Yr)を特定することもできる。
つまり、この第1実施形態の位置特定装置における存在検知システム1は、検知対象者が携帯し、検知対象者とともに移動する第1通信手段であるタグ4の位置座標(Xr,Yr)を、通信を利用して特定するものであればどのようなものでもよく、現行の位置検知システムをそのまま利用することができる。
【0022】
一方、画像検知システム2は、検知対象エリアを撮影するこの発明の画像生成手段であるカメラ6と、このカメラ6が撮影した画像データを処理する画像解析部7とを備えている。この画像解析部7は、予め設定された検知対象が、カメラ6によって取り込まれた画像内に出現した場合に、それを検知対象として検知する機能と、その検知対象の画像上の座標である画像座標(Xm,Ym)を演算する機能と、特定した画像座標(Xm,Ym)を情報処理システム3へ送信する機能とを備えている。
つまり、この第1実施形態では、上記画像解析部7が、この発明の検知対象特定手段および画像座標特定手段を構成している。なお、画像解析部7には、大きさや、形状のほか、移動方向や移動スピードなどによって、検知対象を特定するようにプログラムしておくことができる。それにより、画像検知システム2は、例えば「画面の右から左へ移動する人物」を検知して、その画像座標を特定することができる。
【0023】
また、上記画像上の画像座標とは、上記画像解析部7がカメラ6によって取り込んだ画像上の座標系で特定する座標のことであり、例えば、画像解析部7に取り込んだ画像が、図2に示す画像8の場合、画像左上の角の点Omを原点とし、ピクセル単位で特定する座標である。ここでは、画像8内の人Aを検知対象とした場合、人Aの接地点P1を検知対象の位置としているが、この点P1を上記画像上の座標系で特定したものが、この発明の画像座標(Xm,Ym)である。なお、上記画像8は、カメラ6のCCD上の画像と同じものである。
【0024】
さらに、画像、すなわちCCDのx方向の解像度をdxとし、y方向の解像度をdyとするとともに、CCDの、x、y方向の実サイズを、それぞれCX,CYとし、図2に示している。
なお、画像解析部7が、カメラ6が撮影した画像から検知対象を検知して、その座標を画像座標系で特定するようにしているが、画像上で検知対象を検知する具体的方法は、どのようなものでもかまわない。例えば、画像内に検知対象が入ってきた場合、背景画像と撮影画像とを対比することによって移動体を検出する特許第3686333号に記載されている方法などを利用して、検知対象を検知することができる。
【0025】
また、上記存在検知システム1および画像検知システム2に接続された情報処理システム3は、上記存在検知システム1からタグ4の位置座標(Xr,Yr)を受信するとともに、画像検知システム2から検知対象の画像座標(Xm,Ym)を受信したときに、上記画像座標(Xm,Ym)座標を、存在検知システム1の座標系に変換して算定座標(X,Y)を算出する機能を有する。
上記存在検知システム1から出力される位置座標(Xr,Yr)は、通信を利用して特定したタグ4の位置座標であり、画像検知システム2から出力される画像座標(Xm,Ym)は、図2における人Aに対応する点P1の、画像座標系での位置座標である。
【0026】
なお、上記タグ4は小さいので、画像検知システム2でタグ4を検知することは難しい。そこで、実際には、画像検知システム2は、画像処理によってタグ4を検知するのではなく、タグ4を携帯して移動する検知対象である人を、大きさや形態によって検知するようにしている。
従って、例えば、タグ4を携帯していない人、すなわち、真の検知対象でなくても、その大きさや形態が、検知対象に近いものが画像8内に現れた場合にも、画像検知システム2は、それを検知して画像座標(Xm,Ym)を出力する。
【0027】
一方、存在検知システム1は、タグ4がタグIDを発信することを利用してタグ4の位置座標(Xr,Yr)を特定するシステムである。この位置座標(Xr,Yr)は、上記従来技術の欄で説明した方法によるものであって誤差が含まれるので、この位置座標を、タグ4を備えた検知対象の正確な位置座標とすることはできないが、存在検知システムは、タグ4の存在を正確に検知することはできる。
【0028】
そのため、情報処理システム3では、存在検知システム1から位置座標(Xr,Yr)を受信した場合に、画像検知システム2から受信した画像座標(Xm,Ym)に基づいた算定座標(X,Y)を演算するようにしている。言い換えれば、情報処理システム3は、画像検知システム2から画像座標(Xm,Ym)が入力されても、存在検知システム1から位置座標(Xr,Yr)を受信しなければ、画像座標に基づいた算定座標(X,Y)を演算しない。つまり、情報処理システム3は、存在検知システム1で検知対象を検知した場合に、対応する画像座標(Xm,Ym)に基づいて算定座標(X,Y)を演算し、算出した算定座標(X,Y)を検知対象の位置座標とする。
【0029】
以上により、情報処理システム3は、存在検知システム1で検知された検知対象の位置を、画像を利用して特定することができる。なお、上記存在検知システム1で特定された位置座標(Xr,Yr)は、数mの誤差を含むものであるが、上記情報処理システム3で算出された算定座標(X,Y)は、画像に基づいて算出された誤差の少ない正確な座標である。つまり、この第1実施形態の位置特定装置によって、存在検知システム1で検知された検知対象の位置を正確に特定することができる。
【0030】
以下に、上記画像座標(Xm,Ym)から算定座標(X,Y)を算出する手順を、図3、図4を用いて簡単に説明する。図3、図4において、点Pは、検知対象である人Aの地面G上の接地点であり、点Pと画像8およびレンズ中心Oとの関係を図示している。なお、これらの図3、図4における画像8は、カメラ6のCCDである。
そして、図3は、地面上の座標系のx軸方向から見た図であり、図4は、天空、すなわちz軸方向から見た図である。
【0031】
はじめに、Y座標の算出方法を説明する。
図3に示すように、カメラ6のレンズの中心線をL1、水平線をL2とし、中心線L1と水平線L2とのなす角度、すなわちカメラの仰角をθc、レンズの焦点距離をf、レンズ中心Oの高さをZとし、画像8上の検知対象位置P1を画像座標P1(Xm,Ym)とする。なお、上記画像8は、図2に示す画像8を180°回転したものであり、図3の点P1は図2に示す点P1に対応する。
実空間の地面G上の点Pは、上記点P1として画像上に現される点であるが、実空間の点Pと画像上の点P1とを補助線L3で結んだとき、この補助線L3と中心線L1とのなす角度をαとし、レンズ中心Oの地面上への投影点を、実地面上の座標の原点とすると、上記YとZとは、次式(1)の関係を満たす。
【数5】


【0032】
また、画像8上の画像座標Ymまでの原点Omからの実際の距離は、画像の実サイズCYと、解像度dyとを用いて{(CY/dy)・Ym}となるので、下記の式(2)の関係から、tanαは、式(3)となる。
【数6】


【数7】


【0033】
上記式(1)を正接の加法定理を用いて展開し、上記式(3)を代入すると、次式(4)となり、Y座標が求まる。
【数8】


【0034】
一方、図4に示すように、画像8上の点P1に対応する実平面上の点Pとを結んだ補助線L3と中心線L1とで作る角を角βとすると、XとYの関係は、次式(5)となる。
【数9】


【0035】
また、画像8上の画像座標Xmまでの原点Omからの実際の距離は、画像の実サイズCXと、解像度dxとを用いて{(CX/dx)・Xm}となるので、tanβは、次式(6)となる。
【数10】


この式(6)を上記式(5)に代入すれば、Xは次式(7)で求めることができる。
【数11】


【0036】
つまり、式(4)、式(7)によって、算定座標(X,Y)を求めることができる。
なお、上記式中、画像の実サイズCX、CYおよび焦点距離fは、カメラ6に依存する数値である。
ただし、カメラ画像8上の特定のポイント(Xm,Ym)に対応する実空間におけるポイントの座標(x,y)を測量によって求めることができれば、求めたy座標を、上記式(4)のYに代入して{CY/f}を算出することができる。
【0037】
また、測量によって求めたx、yを、式(7)のX、Yに代入すれば、{CX/f}を算出することもできる。
このようにして求めた{CY/f}、{CX/f}を、式(4)、式(7)に代入すれば、式(4)および式(7)から、カメラ6に依存する値を消すことができる。
なお、実測するポイントに対応する画像8上のポイントを、画像座標のフルスケールの位置、すなわち、図2における画像8の点P2(dx,dy)とすれば、式(4)中の{Ym/dy}、式(7)中の{Xm/dx}がそれぞれ1となり、{CY/f}、{CX/f}を算出する演算が単純になる。
【0038】
以上のように、上記第1実施形態の位置特定装置によれば、存在検知システム1において通信を用いて検知対象を検知し、その位置を画像検知システム2から出力される画像座標を利用して、正確に特定することができる。
なお、この第1実施形態では、存在検知システム1は、タグ4から発信されるタグIDを受信してその位置座標(Xr,Yr)を特定しているが、情報処理システム3へタグIDを出力しないで、位置座標を特定するだけなら、タグ4からは、個々のタグを識別できるタグIDが発信されなくてもよい。受信機R1,R2,R3は、タグ4から発信されるなんらかの信号を受信して、データ処理部5へ送信すれば、データ処理部5は個々のタグ4を識別できなくても、その位置座標を特定することができる。
【0039】
また、上記存在検知システム1が、タグ4から受信したタグIDを出力し、情報処理システム3が、上記位置座標(Xr,Yr)の代わりにタグIDを受信するようにしてもよい。この場合、情報処理システム3は、タグIDを受信したときに、それに対応して画像検知システム2から受信した画像座標(Xm,Ym)を、座標変換して算定座標を求めることになる。
【0040】
そして、情報処理システム3は、上記識別情報であるタグIDを受信した場合、それを、算定座標の演算処理を行なうためのトリガとするだけでもよいが、受信したタグIDによって検知対象の個を識別するようにしてもよい。
特に、情報処理システム3が、タグIDに対応付けて検知対象の属性情報、例えば個人情報などを管理しておけば、算定座標によって特定された位置情報に、上記属性情報を対応付けて個人の位置情報を管理することもできる。
【0041】
また、情報処理システム3が、算出した算定座標をその算出順にタグIDに対応付けて記憶させるようにすれば、特定のタグ4の移動履歴情報を得ることができ、タグIDに基づいて特定した検知対象の移動履歴を管理することもできる。
さらに、存在検知システム1が、タグ4からタグIDを取得した時刻または、位置座標を特定した時刻などの時刻データを、タグIDに対応付けて、情報処理システム3に対して出力するようにすれば、情報処理システム3は、受信した時刻データを算定位置座標およびタグIDに対応付けたデータを生成することができる。これにより、特定のタグ4の移動履歴情報、すなわち、タグ4と一体的に移動する検知対象の移動履歴情報を簡単に作成することができる。
【0042】
上記第1実施形態では、情報処理システム3が、存在検知システム1から位置情報(Xr,Yr)を受信したときに、それを、画像システムから受信した画像座標(Xm,Ym)に基づいて算定座標(X,Y)を算出する処理のトリガとして利用しているが、受信した位置座標(Xr,Yr)そのものをデータとして利用していない。
情報処理システム3が、受信した上記位置座標(Xr,Yr)をデータとして利用する機能を備えた第2実施形態について以下に説明する。
【0043】
この第2実施形態の位置特定装置の全体構成は、図1に示す第1実施形態と同じである。また、存在検知システム1および画像検知システム2の機能も、上記第1実施形態と同じである。すなわち、存在検知システム1は、タグ4から発信されるタグIDを受信することを利用して位置座標(Xr,Yr)を特定するとともにそれを出力し、画像検知システム2は、カメラ6によって取得した画像から特定した画像座標(Xm,Ym)を出力する。
【0044】
そして、情報処理システム3が、上記各システム1,2から受信したデータに基づいて算定座標(X,Y)を算出する手順も、上記第1実施形態と同じである。
ただし、この第2実施形態の情報処理システム3は、算定座標(X,Y)を算出したら、この算定座標(X,Y)と、対応する位置座標(Xr,Yr)との距離を算出して、この距離が予め設定された設定値以下であるか否かの判定を行なう機能を備えている。そして、情報処理システム3は、上記距離が設定値以下であると判定した場合にのみ、上記算定座標(X,Y)を、この位置特定装置で特定すべき検知対象の位置座標とする。
【0045】
つまり、存在検知システム1が特定した位置座標を、図5のP2(Xr,Yr)とした場合、この位置座標(Xr,Yr)から、予め設定した距離R内に上記算定位置座標(X,Y)が含まれているかどうかを判断し、含まれていた場合に、両者が対応するとみなすということである。
このように、存在検知システム1が特定した位置座標(Xr,Yr)と、算定座標(X,Y)との距離が設定値以下の場合にのみ、両者が対応するとみなすことによって、検知対象の位置を間違って特定してしまう可能性を低くできる。
【0046】
例えば、信号の送受信によって検知対象の存在を検知する存在検知システム1において、何らかの通信トラブルによって、実際にはタグ4が存在していないのに、位置座標(Xr,Yr)を特定し、それを情報処理システム3が受信してしまうようなことが起こった場合には、そのタイミングで情報処理システム3が、画像座標(Xm,Ym)を受信したとしても、この画像座標は真の検知対象のものではないはずである。そのため、この画像座標(Xm,Ym)に基づいて算出した算定座標(X,Y)と、上記位置座標(Xr,Yr)とは、かけ離れている可能性が高い。
このような場合にも、上記位置座標(Xr,Yr)と算定座標(X,Y)との距離を判定しなければ、両者が同一物体でなくても、算定座標(X,Y)を検知対象の位置としてしまうことになる。
しかし、この第2実施形態のように、存在検知システム1が特定した位置座標(Xr,Yr)と算定座標(X,Y)とを比較して、両者の距離が設定値以下の場合に、算定座標を検知対象の位置座標とするようにすれば、間違った位置特定の可能性を減らすことができる。
【0047】
あるいは、画像検知システム2が、画像上で同時に複数の検知対象を検知して、それに対応した複数の画像座標(Xm,Ym)が送信され、そのタイミングで、存在検知システム1からは一つの位置座標(Xr,Yr)のみが送信された場合、実際には、画像検知システム2で特定された画像座標には、タグ4を備えていない、すなわち、真の検知対象以外の座標が含まれているはずである。これらの位置座標および画像座標を受信した情報処理システム3では、存在検知システム1から位置座標を受信したタイミングだけでは、算定座標の基にすべき画像座標を特定できない。
【0048】
しかし、この第2実施形態の装置では、情報処理システム3が、同時に受信した複数の画像座標のそれぞれに基づいて算定座標を算出し、その座標を上記位置座標(Xr,Yr)と対比して、位置座標(Xr,Yr)までの距離が設定値以下である算定座標(X,Y)を検知対象の位置として特定することができる。
上記存在検知システム1によって特定される位置座標(Xr,Yr)は、もともと誤差を含んでいるが、この第2実施形態では、上記位置座標(Xr,Yr)からの距離が、予め予測できる誤差範囲を超えるほど大きな算定座標(X,Y)は、上記位置座標とは対応関係がないものであり、検知対象の位置ではないと判断するようにしている。その結果、検知対象と算定座標との誤った対応付けをしないようにしている。
このように、存在検知システム1で特定された位置座標(Xr,Yr)と算定座標(X,Y)との間の距離を判断するようにすると、存在検知システム1で検知された検知対象と、画像検知システム2で検知された検知対象との対応づけを正確にできるようになる。
【0049】
以上のように、上記第1、第2実施形態の位置特定装置によれば、第1通信手段を備えた検知対象の位置を正確に特定することができる。
なお、上記実施形態では、信号を発信する機能を備えた第1通信手段と、第1通信手段が発信した信号を受信する第2通信手段とを備えた存在検知システム1を用いる場合について説明しているが、存在検知システム1は、GPSのように、衛星が発信する電波を利用して位置座標を特定するシステムでもよい。この場合には、検知対象が備えている第1通信手段が、第2通信手段である衛星の電波を受信して自身の位置座標を特定し、特定した位置座標を情報処理システム3に対して出力するようにする。
【0050】
上記のようにして、検知対象の正確な位置特定ができれば、その情報は、様々な場面で利用することができる。
例えば、特定のエリアへの特定の人の出入りを厳密に管理したり、検知対象の移動状況や、移動履歴を精度よく管理したりすることができる。
【0051】
また、検知対象に設ける第1通信手段に、環境データを取得する環境データ取得手段を設けて、その検出データを発信させるようにすれば、正確な位置情報に環境データを対応付けて、環境データの分布情報を生成することができる。
この場合、存在検知システム1は、自身が特定した上記第1通信手段の位置座標または第1通信手段の識別情報に、第1通信手段が発信する環境データを対応付けて、情報処理システム3へ送信する機能を備える必要がある。
【0052】
そして、上記データを受信した情報処理システム3は、上記した第1実施形態と同様にして、算定座標(X,Y)を算出するとともに、この算定座標(X,Y)に存在検知システム1から受信した環境データを対応付ける機能を備えている。このように算定座標(X,Y)に環境データを対応付けることによって、各算定座標(X,Y)に対応する環境データが得られ、そのデータに基づいて環境データの分布マップを作成することもできる。環境データ取得手段として、放射線センサや、温度センサを用いた場合には、特定のエリアにおける放射線強度分布マップや温度分布マップを作成することができる。
【0053】
例えば、放射線汚染エリア内で作業をする作業員に、放射線センサを備えた第1通信手段を携帯させれば、作業員が通常の作業を行なっている間に検出された放射線強度データによって、放射線汚染エリア内の正確な放射線強度分布マップを作成することができる。このような、放射線強度分布マップを作成できれば、作業員は予め放射線強度分布を知ることができる。そのため、作業時に、作業員は放射線強度が高い箇所を避けることができ、被爆を最小限にとどめることができる。しかも、作業員は、必要な作業を行ないながら、放射線センサが測定した放射線強度を情報処理システムへ送信できるので、放射線強度分布マップを作成するためだけに、危険エリアに入る必要もない。
さらに、特定の作業エリア内で作業する作業員が、環境データ取得手段を備えた第1通信手段を作業中、常時携帯するようにすれば、常に最新の環境データ分布マップを作成することができる。
【0054】
なお、上記環境状況データ取得手段を備えた第1通信手段を、ロボットやエリア内を移動する装置に取り付けて、位置情報に対応付けた環境データを取得することもできる。ロボットなどを用いれば、作業員が危険にさらされずに、有毒ガスの計測や、高温、低温などの過酷な環境における環境データ分布マップを作成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】第1実施形態のシステム構成図である。
【図2】第1実施形態の画像検知システムが生成する画像例である。
【図3】第1実施形態の画像y座標と、実空間のy座標との関係を示した図である。
【図4】第1実施形態の画像x座標と、実空間のx座標との関係を示した図である。
【図5】第2実施形態の存在検知システムの位置座標を示した図である。
【符号の説明】
【0056】
1 存在検知システム
2 画像検知システム
3 情報処理システム
4 タグ
R1,R2,R3 受信機
6 カメラ
7 画像解析部
8 画像
【出願人】 【識別番号】506108723
【氏名又は名称】株式会社イージス・ソリューションズ
【出願日】 平成18年6月27日(2006.6.27)
【代理人】 【識別番号】100076163
【弁理士】
【氏名又は名称】嶋 宣之


【公開番号】 特開2008−8684(P2008−8684A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177282(P2006−177282)