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【発明の名称】 タイヤ形状測定装置
【発明者】 【氏名】岩瀬 雅則

【氏名】皆上 滋

【要約】 【課題】手振れや位置決めの失敗などの測定精度低下もしくは測定不能の要因を排除し、タイヤを車両に装着した状態でトレッドの断面形状を測定可能な装置を提供する。

【構成】タイヤ表面までの距離が測定可能な光学センサと、光学センサをタイヤ幅方向に走査可能な駆動部と、を備えた走査部6と、走査部6を支持する走査部支持部1a、1bと、走査部支持部1a、1bの一端に備えられた当接板2と、走査部支持部1a、1bの他端に備えられた、走査方向に移動可能な当接板3と、を備え、走査部6は、走査部支持部1a、1bに着脱可能であることを特徴とするタイヤ形状測定装置とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤ表面までの距離が測定可能な光学センサと、前記光学センサをタイヤ幅方向に走査可能な駆動部と、を備えた走査部と、
前記走査部を支持する走査部支持部と、
前記走査部支持部の一端に備えられた当接板と、
前記走査部支持部の他端に備えられた、前記走査方向に移動可能な当接板と、を備え、
前記走査部は、走査部支持部に着脱可能であることを特徴とするタイヤ形状測定装置。
【請求項2】
前記走査部支持部に着脱可能な位置決め走査部を更に備えた請求項1に記載のタイヤ形状測定装置。
【請求項3】
前記光学センサはレーザ測距計とミラーとを含み、前記レーザ測距計のレーザ光の入出射方向は測定されるタイヤのトレッドに対して平行であり、前記ミラーにより前記レーザ光は前記トレッドに垂直な方向に折り曲げられている請求項1又は2に記載のタイヤ形状測定装置。
【請求項4】
前記光学センサはラインレーザ形状センサとミラーとを含み、前記ラインレーザ形状センサのラインレーザ光の入出射方向は測定されるタイヤのトレッドに対して平行であり、前記ミラーにより前記ラインレーザ光は前記トレッドに垂直な方向に折り曲げられている請求項1又は2に記載のタイヤ形状測定装置。
【請求項5】
前記光学センサの位置データと、タイヤ表面までの距離データを送信可能な通信手段を更に備えた請求項1乃至4のいずれかに記載のタイヤ形状測定装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤの形状を測定する方法及びその装置に関し、タイヤを車両に装着した状態で該タイヤのトレッドやサイドウォールの断面形状を測定する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来からタイヤの摩耗状態を把握することは重要であり、トレッドに刻まれた溝の深さを測定し、デプスゲージにより摩耗の進行具合を把握していた。溝の深さだけではなくトレッドの断面形状を知りたいときは、タイヤのトレッドを石膏で型取りして、固まった石膏の断面形状を測定する方法が採られていた。この方法により、偏摩耗を含む、より詳細なタイヤの摩耗状態を把握することができようになった。上記の方法では、石膏が固まるまで時間を要するため効率よく測定することができなかった。
【0003】
測定時間を短縮するため、レーザ光による光学センサをタイヤ幅方向に走査してトレッドの形状を測定する装置が知られている(特許文献1)。図1に示すように、この装置では、タイヤ幅方向に走査可能な光学センサ102を備えたハウジング101がタイヤTのトレッドに当接され、またハウジング101の一端に固定されたブラケット103がタイヤTのサイドウォールに当接されて、測定者がハンドル105を把持して、ハウジング101が固定されている。光学センサ102をタイヤTの幅方向に走査してトレッドまでの距離を測定することにより、該トレッドの形状を測定している。
【特許文献1】特許3581876号公報(第5〜7頁、図1、2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の測定装置においては、図2に示すようにタイヤTの回転軸に平行とならずに位置ずれした状態で固定されてしまうことがある。特にタイヤTのいずれかのショルダー部が偏摩耗した状態では、この傾向が顕著となる。そのため、測定精度が低下したり、光学センサ102からのレーザ光104が溝底に届かず測定不能となることもあった。
【0005】
ハウジング101がトレッドに当接するため、トレッドに付着した雨滴や異物が、測定器に付着したり、あるいは、侵入し、故障の原因となることもある。更には、測定者がハンドル105を把持しているため手振れが発生し、測定精度が低下することもある。
【0006】
ハウジング101をトレッドに当接した状態では、光学センサ102のレーザ光104が走査される正確な位置が不明となる。そのため、横溝に沿ってレーザ光104が走査されると、その部分のトレッド形状が測定されず、ハウジング101の位置を変更し、再度測定する必要があり、却って測定時間が掛かることもある。
【0007】
したがって、本発明の目的は、上述した測定精度低下もしくは測定不能の要因を排除し、タイヤを車両に装着した状態でタイヤの断面形状を測定可能な装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願発明は、タイヤ表面までの距離が測定可能な光学センサと、前記光学センサをタイヤ幅方向に走査可能な駆動部と、を備えた走査部と、
前記走査部を支持する走査部支持部と、
前記走査部支持部の一端に備えられた当接板と、
前記走査部支持部の他端に備えられた、前記走査方向に移動可能な当接板と、を備え、
前記走査部は、走査部支持部に着脱可能であることを特徴とするタイヤ形状測定装置である。
【0009】
まず、当接板の一方が移動可能なので、2枚の当接板が、測定しようとするタイヤの両サイド部を挟み、走査部を走査部支持部に装着することにより、走査部はタイヤのトレッドの上方に支持される。そして、光学センサをタイヤ幅方向に走査し、タイヤ形状を測定することができる。
【0010】
また、測定者は、測定中に装置を把持する必要がないため、手振れにより測定精度の低下のおそれはない。走査部はトレッドに当接しないため、トレッドに付着した雨滴や異物による故障が発生しない。更に、既述したような走査部の位置ずれを防止できる。
【0011】
本願発明は、前記走査部支持部に着脱可能な位置決め走査部を更に備えたタイヤ形状測定装置である。
【0012】
走査部を装着する前に、走査部の光学センサが走査する軌跡と同じ位置にレーザ光を照射する、位置決め走査部を装着すれば、正確な測定位置を把握することができる。また、タイヤの横溝を走査しないように、走査部支持部の位置を微調整することもできる。
【0013】
本願発明は、前記光学センサはレーザ測距計とミラーとを含み、前記レーザ測距計のレーザ光の入出射方向は測定されるタイヤのトレッドに対して平行であり、前記ミラーにより前記レーザ光は前記トレッドに垂直な方向に折り曲げられているタイヤ形状測定装置である。
【0014】
レーザ測距計のレーザ光の入出射方向をトレッドに対して平行として、ミラーでトレッドに垂直な方向に折り曲げることにより、走査部を薄くして、車両のフェンダーとタイヤとの間隙が狭くても装置を挿入できることが可能となる。
【0015】
本願発明は、前記光学センサはラインレーザ形状センサとミラーとを含み、前記ラインレーザ形状センサのラインレーザ光の入出射方向は測定されるタイヤのトレッドに対して平行であり、前記ミラーにより前記ラインレーザ光は前記トレッドに垂直な方向に折り曲げられている請求項1又は2に記載のタイヤ形状測定装置である。
【0016】
レーザ測距計の代わりにラインレーザ形状センサを用いることもできる。この場合、ラインレーザ光の入出射方向をトレッドに対して平行とし、ミラーでトレッドに垂直な方向に折り曲げられ、タイヤ周方向に平行なラインレーザ光が照射される。ラインレーザ光に対応した長さの2次元形状が測定され、ラインレーザ形状センサをタイヤ幅方向に走査することで、トレッドの3次元形状を測定することができる。
【0017】
本願発明は、前記光学センサの位置データと、タイヤ表面までの距離データを送信可能な通信手段を更に備えたタイヤ形状測定装置である。
【0018】
光学センサの位置データと、その位置でのタイヤ表面までの距離データをコンピュータに送信する通信手段を備えていることにより、送られたデータをコンピュータで処理することができる。例えば、トレッド表面を近似する仮想的な円弧や溝底を近似する仮想的な円弧を計算し、その仮想半径を容易に求めることができる。これら仮想円弧の仮想半径は、タイヤの摩耗状況を把握するための重要な指標である。なお、距離データには、ラインレーザ形状センサで測定された2次元形状も含まれる。
【0019】
なお、本願では、タイヤ表面とは、トレッド表面のみではなく、溝の側面や溝底、サイド部の表面をも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、図面を用いて、本願発明に係るタイヤ形状測定装置の実施の形態を説明する。図3は、タイヤ形状測定装置を示す斜視図である。走査部支持部1a、1bは、間隔を空けて互いに平行になるように、一端が当接板2により、他端が連結板4により、支持されている。当接板3と連結板4とはネジ(図示しない)により連結されている。該ネジと直結したレバー5を回すことにより、当接板3は走査部支持部1a、1bの長手方向に移動可能である。走査部6は、光学センサ(図示しない)を走査しながらトレッド又は溝の表面までの距離を測定する。
【0021】
当接板2、3により、測定しようとするタイヤの両サイド部を挟み、走査部支持部1a、1bはタイヤのトレッドの上方に支持される。この状態で、まず、走査部支持部1a、1bとの間に、位置決め走査部7を挿入する。位置決め走査部7に組み込まれたラインレーザ光発生器(図示しない)は、走査部6の光学センサが走査する軌跡と同じ位置にラインレーザ光を照射する。したがって、走査部6の光学センサ所望の位置を走査できるように、走査部支持部1a、1bの位置を調整することが可能である。また、走査部支持部1a、1bに水準器を設けていれば、光学センサがタイヤの回転軸に平行に走査できるように、微調整することも容易である。なお、ラインレーザ光発生器としては、株式会社キコー技研製、型番:MLXK−D13−660を使用することができる。
【0022】
なお、走査部6、位置決め走査部7が高精度で固定できるように、走査部支持部1a、1bには凹型のアリ溝11が、走査部6、位置決め走査部7には凸型のアリ溝12がそれぞれ刻まれている。また、バネで当接板3を付勢する構成としてもよい。更に、走査部支持部を1つにして、走査部6、位置決め走査部7が着脱可能な構成にしてもよい。
【0023】
図7の点線D1で示すように、車両Vのフェンダー210とタイヤTとの間隙211に走査部支持部1a、1bを直接挿入してタイヤTに装着してもよく。間隙211が狭い場合は、1点鎖線D2で示すように、タイヤTに沿うよう走査部支持部1a、1bを装着してもよい。
【0024】
図4は、走査部支持部1a、1bにより走査部6が固定された状態を示す概略断面図である。当接板2はタイヤTの一方のサイド部201に当接する。当接板3は、レバー5に直結したネジ8により連結板4より走査部支持部1a、1bの長手方向に移動可能である。したがって、当接板2、3により、タイヤTの両サイド部201を挟んだ状態で走査部6が固定される。なお、通常は、タイヤTが接地面と回転軸に関して対称なトレッド面の上方に固定される。その結果、測定者は、測定中に装置を把持する必要がないため、手振れにより測定精度の低下のおそれはない。走査部6はトレッド203に当接しないため、トレッド203に付着した雨滴や異物による故障の発生もない。光学センサ11がタイヤTの回転軸に平行に走査できるように調整されているので、走査部6の位置ずれを防止できる。
【0025】
光学センサ11は、ガイド12に沿って走査部6の長手方向(タイヤTの幅方向)に移動可能である。光学センサ11はレーザ測距計13とミラー14を備えている。レーザ測距計13から発せられるレーザ光21はトレッド203に平行であるが、ミラー14で折り曲げられ、トレッド203や溝底に垂直に照射される。これにより、レーザ測距計13からトレッド203や溝202までの距離を正確に測定できる。なお、レーザ測距計13として、オムロン株式会社製、型番:ZX−LD100を使用することができる。
【0026】
レーザ測距計13からミラー14までの距離は変わらないので、光学センサ11をタイヤTの幅方向に走査させれば、タイヤTの回転軸に平行な仮想線からトレッド203や溝202までの距離を測定することができる。なお、レーザ光21をミラー14で折り曲げているのは、走査部6を薄くして、図7で図示した車両Vのフェンダー210とタイヤTとの狭い間隙211に走査部6を挿入できるようにするためである。
【0027】
光学センサ11の走査は公知の方法で行なうことができる。例えば、図5に示す構成で可能である。図5は、光学センサの周辺を示す概略図で、走査部6のタイヤTに対向する面を示す。光学センサ11にはベルト16に接続されている。ベルト16は走査部6の両端に設けられた歯車及びモータ(いずれも図示しない)により駆動される。その結果、ガイド12によりガイドされ、光学センサ11はタイヤTの幅方向に走査される。
【0028】
走査部6は、光学センサ11の位置データと、その位置でのタイヤTまでの距離データをコンピュータに送信する通信手段を備えていることが好ましい。送られたデータはコンピュータで処理することができる。例えば、図4に示す、トレッド203表面を近似する仮想的な円弧A1や溝202の底を近似する仮想的な円弧A2を計算し、その仮想半径を容易に求めることができる。なお、光学センサ11の位置データは、ベルト16を駆動する歯車及びモータに連結されたロータリエンコーダで得ることができ、通信手段はRS232Cなどの公知の通信手段で構わない。
【0029】
レーザ測距計13の代わりにラインレーザ形状センサ(例えば、オムロン株式会社製、型番:Z500。図示しない)を用いることもできる。この場合、ラインレーザ光の入出射方向をトレッド203に対して平行とし、ミラー14でトレッド203に垂直な方向に折り曲げられ、タイヤ周方向に平行なラインレーザ光が照射される。ラインレーザ光に対応した長さの2次元形状が測定され、ラインレーザ形状センサをタイヤ幅方向に走査することで、トレッドの3次元形状を測定することができる。
【0030】
図6は、タイヤのサイド部の測定状態を示す断面図である。当接板2を地面に接地させ、光学センサ11の走査方向を鉛直方向としている。これによりタイヤTのサイド部201のたわみ形状を測定することもできる。
【0031】
また、スーパーシングルと呼ばれる幅広タイヤ(例えば、幅630mmのタイヤ)に対しては、走査部6を除く部分を幅広タイヤ用に作製し、通常タイヤ用(例えば、幅300mmまでのタイヤ)の走査部6を複数回に分けて測定することも可能である。したがって、幅広タイヤ用の走査部6を作製する必要がなく、装置の低コスト化を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】従来のタイヤ形状測定装置の測定状態を示す概略断面図である。
【図2】従来のタイヤ形状測定装置の測定状態を示す概略断面図である。
【図3】本願発明に係るタイヤ形状測定装置を示す概略斜視図である。
【図4】走査部が固定された状態を示す概略断面図である。
【図5】光学センサの周辺を示す概略図である。
【図6】タイヤのサイド部の測定状態を示す断面図である。
【図7】本願発明に係るタイヤ形状測定装置をタイヤに装着する方法を示す図である。
【符号の説明】
【0033】
1a、1b 走査部支持部周方向溝
2、3 当接板
4 連結板
6 走査部
7 位置決め走査部
【出願人】 【識別番号】000003148
【氏名又は名称】東洋ゴム工業株式会社
【識別番号】502418907
【氏名又は名称】有限会社エムエスジェイ創研
【出願日】 平成18年6月26日(2006.6.26)
【代理人】 【識別番号】100104581
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 伊章

【識別番号】100126549
【弁理士】
【氏名又は名称】中川 信治

【識別番号】100136412
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 照久


【公開番号】 特開2008−3044(P2008−3044A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−175345(P2006−175345)