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形状測定方法 - 特開2008−2990 | j-tokkyo
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【発明の名称】 形状測定方法
【発明者】 【氏名】竹内 博之

【氏名】倉田 隆行

【氏名】半田 宏治

【要約】 【課題】レンズアレイの各セルの形状が非球面である場合でも、設計形状からの光軸の傾きと偏心を抽出する。

【構成】レンズアレイの全面測定データから境界データを抽出し、セルごとに有効な各分割データと境界グレーゾーンに分割し、各セルの設計式の中でRMS最小化の座標変換を行い、セルごとに設計値からの偏心、傾き、高さずれ、ベストフィットRを算出して表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に形状の特徴部分と非特徴部分との形状上の境界を有する測定物の測定面上でプローブを2軸平面座標方向に走査して2軸平面座標位置における高さ座標データを求め、前記2軸平面座標上の複数の測定点に関して2軸平面座標と高さ座標とが対応した測定データを得、前記測定データに基づいて、測定面の形状を測定する形状測定方法において、
任意のi番目の2軸平面座標上の対象測定点における2軸平面座標の少なくとも1軸の座標値と前記高さ座標値(P(i),Z(i))と、前記対象測定点の走査方向上流側に連続するi−1番目の点に関する測定値((P(i-1),Z(i-1))の間で、dP(i)における2階偏微分値Cの値を求める第1ステップと、
i−1番目の点に関する前記Cの値が所定の閾値より大きいか否かを判断し、前記Cnoa対が所定の閾値より大きい場合は、当該i−1番目の測定点の各位置を、測定物の形状の特徴部分と非特徴部分との境界である前記測定物の境界位置として検出する第2ステップと、
前記境界位置に関する情報に基づいて、前記測定物の設計データとの位置あわせをして両データ間の比較を行い、測定データと設計データとの形状差異を算出する第3ステップとを有することを特徴とする、形状測定方法。
【請求項2】
前記第1ステップは、dP(i)=P(i)−P(i-1)、dZ(i)=Z(i)−Z(i-1)と定義したとき、
【数1】


によりCの値を算出することを特徴とする、請求項1に記載の形状測定方法。
【請求項3】
前記第2ステップは、前記閾値を、前記各測定点におけるCの値について、全ての座標値P(i)に対するCの値の最大値の2分の1の値を閾値とすることを特徴とする、請求項1又は2に記載の形状測定方法。
【請求項4】
前記測定物はレンズアレイであり、
前記第3ステップは、前記レンズアレイの設計データと前記測定物の境界位置の情報に基づいて、レンズアレイの設計情報を、前記レンズアレイのセルごとに分割された、分割領域と境界グレー領域に分割し、前記分割領域に関して測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする請求項1から3のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項5】
前記第3ステップは、
前記分割領域と境界グレー領域に分割された設計情報と前記測定データに基づいて、それぞれについて、前記レンズアレイの2つのセルについて、当該セルの頂点の位置を検出し、前記セルの頂点を結ぶ直線がなす角に基づいて、前記設計情報に対する前記レンズアレイのあおり角ずれと回転角ずれ検出し、前記測定データを前記あおり角ずれと回転角ずれを補正した、
さらに、前記測定物に対する座標系に変換された測定データと前記レンズアレイの設計情報に基づいて、前記測定データの境界位置より、前記レンズのセルごとに分割された第2の分割領域と第2の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域に関して測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする請求項4に記載の形状測定方法。
【請求項6】
前記形状特定部は、
前記セルごとに再分割された各第2の分割領域と前記測定データとを比較して測定データと設計データとの形状差異を算出するステップにおいて、
前記測定データをRMS最小化の座標変換をし、
形状差異の情報として、前記設計情報に対する測定データの2軸方向の偏心dx、dy、高さずれdz、傾きα、βを求めることを特徴とする請求項5記載の形状測定方法。
【請求項7】
前記レンズアレイのセルは非球面レンズであって、
前記RMS最小化の座標変換するステップは、
請求項4で求めた座標変換後の測定データから、設計データのR値をベストフィットR値に変えるRMS最小化を実施し、セルごとに求められたベストフィットRを出力装置に表示することを特徴とする請求項6に記載の形状測定方法。
【請求項8】
前記第3ステップは、
請求項6で求めた偏心dx、dy、高さずれdzの情報を、各セルの設計パラメータに入力し新たな第2の設計データを作成し、
前記測定物に対する座標系に変換された測定データに基づいて、前記レンズのセルごとに分割された第3の分割領域と第3の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域の代わりに前記第3の分割領域に関して、測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする請求項6に記載の形状測定方法。
【請求項9】
前記第3ステップは、
請求項7で求めた第2の設計式に請求項6で求めたベストフィットRを設計パラメータに入力し新たな第3の設計式を作成し、
前記測定物に対する座標系に変換された測定データに基づいて、前記レンズのセルごとに分割された第4の分割領域と第4の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域の代わりに前記第4の分割領域に関して、測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする請求項6に記載の形状測定方法。
【請求項10】
測定物に対する座標系に変換するステップは、
全レンズ面領域の測定データをレンズ有効面のみのデータを削除したコバ面部分の平面データを基準面とし、
直径の同じ第1から第3の3つの球体を固定した治具板上で、前記測定物の側面が3ケの球体と接するように測定物を設置したときの、1つの第1の球体の中心と他の1つの第2の球の中心を結ぶ直線と平行な方向を変換後のXL座標軸とし、前記基準面に直交する直線と平行な方向をZL座標軸とし、前記XL座標軸とZL座標軸に直交し残りの1つの第3の球体の中心を通る直線と平行な方向をYL座標軸とした座標系に変換することを特徴とする、請求項5から9のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【請求項11】
測定物を治具板上に固定した第1から第3の3つの球体上に設置して測定物の裏の平面を基準面とし、
第1から第3の3つの球体を固定した治具板上で、前記測定物の側面が前記3つの球体と接するように測定物を設置したときの、第1の球体の中心と第2の球体の中心を結ぶ直線と平行な方向をXL座標軸とし、前記基準面に直交する直線と平行な方向をZL座標軸とし、前記XL座標軸とZL座標軸に直交し残りの1つの第3の球体の中心を通る直線と平行な方向をYL座標軸とした座標系に変換することを特徴とする、請求項5から9のいずれか1つに記載の形状測定方法。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、測定物、特に、単体のレンズやレンズアレイなどのレンズ又はレンズ成形用の金型の測定面上でプローブをX又はY座標方向に走査することにより、プローブのXY座標位置でのZ座標データの列を求め、このZ座標データの列に基づいて測定面の形状測定を行う方法及びその装置に関するものであり、測定物の境界位置を検出することによって、測定面の形状測定を行う方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、プロジェクタ等に用いられている液晶ディスプレイ(LCD)には、各液晶画素に光を集光させて光利用効率を向上させるためにレンズアレイが用いられている。このようなレンズアレイは、製造方法としては、既に工業レベルに達したといえるが、その評価方法については未だ確立されていない。
【0003】
レンズアレイの評価に用いられる装置として、特開2000−155071号公報(特許文献1)に開示されるものがある。図25は、特許文献1に記載された焦点距離測定装置の概略構成を示す図である。この装置301においては、レンズアレイの各セルの焦点距離D(≒高さズレ)及び焦点間距離を光学的に求めることが可能である。すなわち、光源302からでた光をレンズアレイ303で集光させ、集光後再び広がった光を測定用レンズ304で集光させ、NDフィルタ305を通過させた後、光検出器306に結像させる。アクチュエータ307でレンズアレイ303を光軸L方向に移動させながら、光検出器306の受光量が最大及び最小になる位置を求め、そのときのレンズアレイ303と測定用レンズとの相対距離の差からレンズアレイ303の焦点距離を求める。
【特許文献1】特開2000−155071号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の装置では、レンズアレイの各レンズセル(以下、単にセルという場合もある。)が球面形状の場合は、設計形状から偏心(あるいは、傾き)を求めることができるが、各レンズが非球面の場合は、設計形状からの光軸の傾きと偏心を抽出することができないという問題があった。以下、その理由を説明する。
【0005】
図26A,図26Bは、レンズアレイの各レンズセルが球面形状で、かつ、設計形状105から偏心(あるいは傾き)が存在する場合の概念図である。図26Aは光学的測定で傾き量を算出する場合、図26Bは光学的手法で偏心を算出する場合についてそれぞれ示している。レンズの光軸が有する設計式105との傾き量106(あるいは偏心量107)は実際のレンズ形状104としての光軸101と一致するため、金型補正は容易に行うことができる。つまり、球面レンズの場合は、この光学式手法による測定で問題はない。
【0006】
一方、図27A,図27Bは、レンズアレイの各レンズセルが非球面形状で、かつ、設計形状115から偏心、傾きが存在する場合の概念図である。図27Aは光学的測定で傾き量A、または、偏心量Aを算出する場合、図27Bは実際の光軸と図27Aの光学的測定とを比較した場合についてそれぞれ示している。図27Bで示すように、実際には傾き、及び、偏心が同時に混在するため、焦点位置から算出される傾き量A116及び偏心量A117は、非球面レンズのレンズ形状114としての光軸111が有する設計式115との傾き量B118、偏心量B119と一致しない。つまり、測定結果に基づいて金型補正が正確にできないという課題が存在する。
【0007】
近年、プロジェクションレンズをはじめとする光学機器には、平面内に複数のレンズが広がり1つのレンズユニットになった光学デバイスが使われている。光学デバイスの高精度化のためにはレンズの非球面化が必要になってくるが、その場合に、光学的手法では、基準となる設計形状に対するレンズ光軸の傾き、偏心の分離ができず、金型の補正加工が困難という課題があった。
【0008】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、三次元測定機により、単一のレンズ、または複数レンズで構成されたレンズアレイなどのレンズ又はレンズを成型する金型を測定物として測定して、測定物の境界位置などを検出することによって、測定物の形状を測定する方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記技術的課題を解決するために、以下の構成の形状測定方法を提供する。
【0010】
本発明の第1態様によれば、表面に形状の特徴部分と非特徴部分との形状上の境界を有する測定物の測定面上でプローブを2軸平面座標方向に走査して2軸平面座標位置における高さ座標データを求め、前記2軸平面座標上の複数の測定点に関して2軸平面座標と高さ座標とが対応した測定データを得、前記測定データに基づいて、測定面の形状を測定する形状測定方法において、
任意のi番目の2軸平面座標上の対象測定点における2軸平面座標の少なくとも1軸の座標値と前記高さ座標値(P(i),Z(i))と、前記対象測定点の走査方向上流側に連続するi−1番目の点に関する測定値((P(i-1),Z(i-1))の間で、dP(i)における2階偏微分値Cの値を求める第1ステップと、
i−1番目の点に関する前記Cの値が所定の閾値より大きいか否かを判断し、前記Cnoa対が所定の閾値より大きい場合は、当該i−1番目の測定点の各位置を、測定物の形状の特徴部分と非特徴部分との境界である前記測定物の境界位置として検出する第2ステップと、
前記境界位置に関する情報に基づいて、前記測定物の設計データとの位置あわせをして両データ間の比較を行い、測定データと設計データとの形状差異を算出する第3ステップとを有することを特徴とする、形状測定方法を提供する。
【0011】
上記構成において、測定部は、測定物の測定面上を、例えばXY直交平面座標などの2軸平面座標上で走査し、その2軸平面座標位置における例えばZ座標などの高さ座標を求める。そして、境界算出部は、2軸平面座標の少なくとも1軸の値と、当該値における高さ座標の値によって境界位置を検出する。ここで境界位置とは、測定物の形状において形状的な特徴部分と非特徴部分の境界となる位置を意味する。なお、特徴部分との非特徴部分の区別は、測定の目的に応じて適宜形式的に定められるものであり、その測定物の用途、機能の特徴を示す部分という意味ではなく、測定面上において形状の傾向が変化する部分を境界位置とすることができる。
【0012】
例えば、測定物がレンズである場合、特徴部分としてのレンズ上の凹凸の部分と非特徴部分としての平坦な部分の境界などが該当する。また、例えば、測定物がレンズアレイである場合、特徴部分としての1つのレンズセルと、非特徴部分としての当該レンズセルに隣接する他のレンズセルなどとの境界が該当する。また、例えば、測定物がはぐるまである場合、歯底から歯面の境界や歯先から歯面の境界などが該当する。
【0013】
ここで、2階偏微分の値は、dP(i)=P(i)−P(i-1)、dZ(i)=Z(i)−Z(i-1)と定義したとき、
【数1】


によりCの値を算出することができる。
【0014】
また、閾値としては、適宜設定することができるが、例えば、前記各測定点におけるCの値について、全ての座標値P(i)に対するCの値の最大値の2分の1の値を閾値とすることができる。
【0015】
また、本発明の第2態様によれば、前記測定物はレンズアレイであり、
前記第3ステップは、前記レンズアレイの設計データと前記測定物の境界位置の情報に基づいて、レンズアレイの設計情報を、前記レンズアレイのセルごとに分割された、分割領域と境界グレー領域に分割し、前記分割領域に関して測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする第1態様の形状測定方法を提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記第3ステップは、
前記分割領域と境界グレー領域に分割された設計情報と前記測定データに基づいて、それぞれについて、前記レンズアレイの2つのセルについて、当該セルの頂点の位置を検出し、前記セルの頂点を結ぶ直線がなす角に基づいて、前記設計情報に対する前記レンズアレイのあおり角ずれと回転角ずれ検出し、前記測定データを前記あおり角ずれと回転角ずれを補正した、
さらに、前記測定物に対する座標系に変換された測定データと前記レンズアレイの設計情報に基づいて、前記測定データの境界位置より、前記レンズのセルごとに分割された第2の分割領域と第2の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域に関して測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする第2態様の形状測定方法を提供する。
【0017】
本発明の第4態様によれば、前記形状特定部は、
前記セルごとに再分割された各第2の分割領域と前記測定データとを比較して測定データと設計データとの形状差異を算出するステップにおいて、
前記測定データをRMS最小化の座標変換をし、
形状差異の情報として、前記設計情報に対する測定データの2軸方向の偏心dx、dy、高さずれdz、傾きα、βを求めることを特徴とする第3態様の形状測定方法を提供する。
【0018】
本発明の第5態様によれば、前記レンズアレイのセルは非球面レンズであって、
前記RMS最小化の座標変換するステップは、
前記座標変換後の測定データから、設計データのR値をベストフィットR値に変えるRMS最小化を実施し、セルごとに求められたベストフィットRを出力装置に表示することを特徴とする第4態様の形状測定方法を提供する。
【0019】
本発明の第6態様によれば、前記第3ステップは、
前記偏心dx、dy、高さずれdzの情報を、各セルの設計パラメータに入力し新たな第2の設計データを作成し、
前記測定物に対する座標系に変換された測定データに基づいて、前記レンズのセルごとに分割された第3の分割領域と第3の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域の代わりに前記第3の分割領域に関して、測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする第4態様の形状測定方法を提供する。
【0020】
本発明の第7態様によれば、前記第3ステップは、
前記第2の設計式に請求項6で求めたベストフィットRを設計パラメータに入力し新たな第3の設計式を作成し、
前記測定物に対する座標系に変換された測定データに基づいて、前記レンズのセルごとに分割された第4の分割領域と第4の境界グレー領域に再分割し、
前記第2の分割領域の代わりに前記第4の分割領域に関して、測定データと設計データとの形状差異を算出することを特徴とする第4態様の形状測定方法を提供する。
【0021】
本発明の第8態様によれば、測定物に対する座標系に変換するステップは、
全レンズ面領域の測定データをレンズ有効面のみのデータを削除したコバ面部分の平面データを基準面とし、
直径の同じ第1から第3の3つの球体を固定した治具板上で、前記測定物の側面が3ケの球体と接するように測定物を設置したときの、1つの第1の球体の中心と他の1つの第2の球の中心を結ぶ直線と平行な方向を変換後のXL座標軸とし、前記基準面に直交する直線と平行な方向をZL座標軸とし、前記XL座標軸とZL座標軸に直交し残りの1つの第3の球体の中心を通る直線と平行な方向をYL座標軸とした座標系に変換することを特徴とする、第3から第7態様のいずれか1つの形状測定方法を提供する。
【0022】
本発明の第9態様によれば、測定物を治具板上に固定した第1から第3の3つの球体上に設置して測定物の裏の平面を基準面とし、
第1から第3の3つの球体を固定した治具板上で、前記測定物の側面が前記3つの球体と接するように測定物を設置したときの、第1の球体の中心と第2の球体の中心を結ぶ直線と平行な方向をXL座標軸とし、前記基準面に直交する直線と平行な方向をZL座標軸とし、前記XL座標軸とZL座標軸に直交し残りの1つの第3の球体の中心を通る直線と平行な方向をYL座標軸とした座標系に変換することを特徴とする、第3から第7態様のいずれか1つの形状測定方法を提供する。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、レンズ面の境界データを測定データより自動的に抽出でき、当該境界データに基づいて測定物の設計データとの位置あわせをすることができるため、測定データと設計データとの間の比較の精度を高くすることができる。したがって、より高精度に測定物の形状を測定することができる。
【0024】
また、抽出した境界データより、レンズアレイの場合はセルごとに各分割データと各境界グレーゾーンを算出できる。これにより、よりセルの部分についての設計データとの比較を行うことができ、光学的要素の部分についての形状測定を行うことができる。
【0025】
さらに、複数のレンズを一体成型する金型あるいは一体成型したレンズアレイの測定物座標系に対する各レンズの形状ずれが高精度に評価できる。特に、形状誤差に含まれる偏心、傾き、高さずれ、ベストフィットRを定量的に評価できるため、複数のレンズを一体成型する金型を効率よくフィードバック加工でき、プロジェクタ等に使用するレンズアレイにおいては、光軸ずれやレンズ高さのばらつきで焦点がぼやけたり濃淡が出ることもなく、良好なレンズアレイを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の形状測定方法を実施する一実施形態にかかる形状測定装置について図面を参照しながら説明する。
図24Aは、本発明の形状測定方法を実施するための一実施形態としての形状測定装置の概略構成を示す斜視図である。図24において、XYステージ69、70上の石定板63の上にXYZ座標を測定するための発振周波数安定化He−Neレーザ71が配置され、プローブ65はZステージ64を介して石定板63に取り付けられ、発振周波数安定化He−Neレーザ光により、固定したナノメートルオーダーの高い平面度を持つXYZ基準ミラー66、67、68に反射させることにより、ナノメートルオーダーの超高精度でXYZ座標を測定できる。測定された結果は、出力装置90に表示される。
【0027】
この形状測定装置は、測定物の測定面S上で測定プローブ65をXY座標方向に走査することにより、測定用プローブ65のXY座標位置でのZ座標データの列を求め、制御演算部80によって、測定用プローブ65によって測定されたXY座標位置でのZ座標データの列は演算処理され、測定面Sの形状測定を行う。
【0028】
以下、制御演算部80により行われる処理について説明する。制御演算部80は、図24Bに示すような機能ブロックを有する。これらの機能ブロックは、以下の処理を行う場合にそれぞれ後述する処理を司る。
【0029】
図1は、図24の形状測定装置においてレンズアレイを一括測定するときの形状測定方法の概略を示すフロー図である。図1の各ステップについて、別の図を使いながら、以下に説明していく。
【0030】
<ステップS1>
測定機XMMM座標系上でレンズアレイ4の全面を測定し、その測定結果のデータを記憶装置に保存する。図2はその様子を示す図である。
【0031】
測定機XMMM座標系1にレンズアレイ4を設置した状態で、プローブ65が矢印15に示すようにフォーカスONし、ベース面4bを含む形で、レンズアレイ4全面を走査し、3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))を得る。3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))は、制御演算部80内の記憶部7の第2記憶部802に保存される。また、記憶部7の第1記憶部801には、測定対象であるレンズアレイの設計データが格納されている。記憶部7の第1記憶部801及び第2記憶部802に記憶されたこれらの情報に基づいて、以下に示す演算処理がなされる。
【0032】
図2において、3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))はXM方向を主方向として動いてデータを取り込み、YM方向はシフト方向に移動する様子を示している。以下、XM方向の1ラインごとにデータを抽出し、XMM断面でデータ処理をする方法を例にとって説明する。ただし、YM方向にプローブ65を走査させ、YMM平面でデータ処理を行うようにしてもよい。
【0033】
<ステップS2>
図3は、コバ平面部の存在する凸レンズの測定データ、コバ平面部の存在する凸レンズの偏微分値データ、コバ平面部の存在する凸レンズの2階編微分値データの例をそれぞれ示している。
【0034】
制御演算部80の偏微分演算部803は、XMM断面において、i番目(iは2以上)の測定データ及びその走査方向上流側のi−1番目の測定データを用いて、以下の処理に従って2階偏微分値データを演算する。すなわち、i番目の測定データ((X(i),Z(i))より、dX(i)=X(i)−X(i-1)、dZ(i)=Z(i)−Z(i-1)と定義し、偏微分値データdZ(i)/dX(i)={Z(i)−Z(i-1)}/{X(i)−X(i-1)}を求める。その後、偏微分値データdZ(i)/dX(i)より、2階偏微分値データd2Z(i)/dX2(i)={dZ(i)/dX(i)−dZ(i-1)/dX(i-1)}/{X(i)−X(i-1)}を求める。
【0035】
偏微分演算部により求められた2階偏微分値データに基づいて、閾値設定部804は2階偏微分値データd2Z(i)/dX2(i)の+方向、−方向に閾値を設定する。次いで、境界算出部805は、2階偏微分値データの絶対値|d2Z(i)/dX2(i)|が、所定の閾値より大きいか否かをそれぞれi番目の測定データに関して判断し、閾値を越えるデータを抽出する。図3の場合では、K番目、L番目の測定データが、所定の閾値より大きい点であることから、測定データ((X(i),Z(i))では、K−1番目、L−1番目の位置が境界であると検出することができる。
【0036】
ここで、閾値設定部804による閾値の設定は、本実施形態においては、以下のように定められている。すなわち、図3に示す2階微分値データは、通常、平坦な部分と突出した境界の部分とで構成される。このとき、平坦な部分について、最小自乗法により傾きが0である近似直線を導き当該近似曲線を原点位置とする。そして、当該2階微分値データの最も値の高いときのデータと前記近似直線とのデータを高さ幅を算出し、その半分の高さ幅を閾値とする。
【0037】
図4は、コバ平面部の存在する凹レンズの測定データ、コバ平面部の存在する凹レンズの偏微分値データ、コバ平面部の存在する凹レンズの2階編微分値データの例をそれぞれ示している。図3と同様の処理により、測定データ((X(i),Z(i))では、K−1番目、L−1番目のデータが境界であると検出する。
【0038】
図5は、凸レンズアレイの測定データ、凸レンズアレイの偏微分値データ、凸レンズアレイの2階偏微分値データの例をそれぞれ示している。この場合も、図3と同様の処理により、測定データ((X(i),Z(i))では、K−1番目、L−1番目、M−1番目、N−1番目のデータが境界であると検出する。
【0039】
図6は凹レンズアレイの測定データ、凹レンズアレイの偏微分値データ、凹レンズアレイの2階偏微分値データの例をそれぞれ示している。この場合も、図3A〜図3Cと同様の方法により、測定データ((X(i),Z(i))では、K−1番目、L−1番目、M−1番目、N−1番目のデータが境界であると検出する。
【0040】
上記の図3〜図6に示す処理は、3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))がYM方向を主方向として動いてデータを取り込み、XM方向はシフト方向に移動する場合にも成り立つ。その場合は、測定データ((Y(i),Z(i))より、dY(i)=Y(i)−Y(i-1)、dZ(i)=Z(i)−Z(i-1)と定義し、偏微分値データdZ(i)/dY(i)={Z(i)−Z(i-1)}/{Y(i)−Y(i-1)}を求め、その後、偏微分値データdZ(i)/dY(i)より、2階偏微分値データd2Z(i)/dY2(i)={dZ(i)/dY(i)−dZ(i-1)/dY(i-1)}/{Y(i)−Y(i-1)}を求め、測定データ((Y(i),Z(i))での境界を検出することができる。
【0041】
さらに、XMM平面内で円周方向に走査する場合も、前記説明と同様の方法により、3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))での境界を抽出することができる。すなわち、2軸平面座標のうち少なくとも1軸に関する座標値と、ZMに関する座標値とを用いて、境界位置を検出することができる。
【0042】
<ステップS3>
第1記憶部801に記憶されている設計データをレンズセルごとに、各分割データAと各境界グレーゾーンAに分割する。図7はその処理を説明する図である。
【0043】
上述のように、レンズアレイ4は、測定機XMMM座標系に設置されているが、サブμmオーダーで見ると、どの軸まわりにも角度ずれがおきた状態で設置されている。測定原点5aの座標(0,0,0)に対して、一点鎖線で図示する設計式上の境界8のレンズセルごとに、3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))を分割する。
【0044】
すなわち、全てのセルについて図3〜図6で求められる境界データからグレーゾーンAを決定する。図8は、グレーゾーンAを決定する処理を説明する図である。グレーゾーンAの決定は制御演算部の第1データ分割部806により司られる。
【0045】
<グレーゾーンAの決定手順>
(1)セルjの設計上の形状131の領域において、測定データ130から抽出したセルjの境界上の点121をすべて抽出し、Line L122に近いLine Lグループ122a、Line R123に近いLine Rグループ123aに分類する。
【0046】
(2)Line Lグループ122aで設計上のデータ131におけるLine LとのX方向の距離128が一番大きい点をAL点126として検出し、同様に、Line Rグループ123aでLine RからのX方向の距離(図示なし)一番遠い点をAR点127として検出する。
【0047】
(3)Line L122からAL点126までの距離と、Line R123からAR点127までの距離を比較し、長い距離をとる点までの距離をdj,XMAXとして、X方向のグレーゾーンの幅とする。
【0048】
(4)(3)で求めたAL点126、AR点127をLine T124に近いLine Tグループ124a、Line Bに近いLine Bグループに分類する。図8の場合は、Line Tグループ124aのみになる。
【0049】
(5)Line Tグループ124aでLine T124より一番遠い点をAT点132(図8の場合は、AR点127と同一の点になる)として検出する。図8の場合は存在しないが、Line BグループでLine Bより一番遠い点をAB点として検出する機能を持つ。
【0050】
(6)Line T124からAT点132までの距離と、Line B125からAB点(図8の場合はなし)までの距離を比較し、長い距離をとる点までの距離dj,YMAXとして、Y方向のグレーゾーンの幅とする。
【0051】
(7)このようにして求められた距離dj,xMAX、距離dj,YMAXを用いて、セルjの設計上の形状の周辺をグレーゾーンA12jとし、その内側を分割データA9jとする。このようにして、セルjの境界グレーゾーンA12jと、セルjの有効な分割データA9jを検出できる。
【0052】
(8)セルj+1についても、同様に、境界グレーゾーンA12j+1と、セルj+1の有効な分割データA9j+1に分割する。このようにして全てのレンズセルについて、分割データと境界グレーゾーンを検出する。
【0053】
<ステップS4>
次に、任意の2つ以上のセル各々で、各分割データAと設計式でRMS最小化の並進座標変換をし、2つ以上のセル各々の座標変換量dx、dyからセル間回転角γ(Z軸まわり)を算出する。この処理は、第1座標変換部807が処理を司る。
【0054】
図9は、第1座標変換部が行うセル2つからセル間回転角γを算出する処理の説明図である。RMS最小化の並進座標変換により、セル(1)の設計式上の頂点17の位置に移動する点が、セル1の測定データ上の頂点18に相当する。このときの座標変換量(dx1,dy1)により、セル1の測定データ上の頂点18の位置がわかる。
【0055】
同様の方法により、セル(5)の測定データ上の頂点20の位置も検出することができる。なお、図9においては、XM方向に5つのセルが並んでいるためセル(1)とセル(5)について、頂点の検出を行ったが、特にこれは限定されるものではない。例えば、XM方向の両端に位置するセルを用いることができる。このようにして当該頂点の位置の情報を用いてレンズアレイ4のZ軸まわりの回転角γを算出できる。
【0056】
次に、レンズアレイ4のコバ平面部のデータからレンズ全面の傾きα(X軸まわり)、β(Y軸まわり)を算出する。この処理は、第1座標変換部807が処理を司る。図10はその処理の説明図である。3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))より、最も外側に位置する所定の閾値以上のデータに基づいて、レンズアレイのコバ平面部のデータ5bのみ分離する。そして、平面の設計式Z=0との差でRMS最小化の角度座標変換をし、レンズ全面の傾き角α、βを算出できる。
【0057】
上記で求めた回転角α,β,γで、ステップS1の全面測定データを測定物XLLL座標系に変換する。この処理は、第1座標変換部807が処理を司る。図11はその変換処理の説明図である。
【0058】
このステップにおいて別の方法としては、レンズ面全面における各分割データAと設計式との間で、α(X軸まわり)、β(Y軸まわり)、γ(Z軸まわり)を動かすRMS最小化の角度座標変換を実施することもできる。
【0059】
<ステップS5>
ステップS4において求められた情報に基づいて、設計データをセルごとに、有効な分割データBと境界グレーゾーンBを算出する。この処理は、制御演算部80の第2データ分割部808が処理を司る。図12はその算出手法を説明するための図である。図13は図12の境界データから境界グレーゾーンBの決定の処理を説明する図である。手順はステップS3において説明した図8と同様の処理である。
【0060】
設計式の境界と測定結果において検出された境界が平行になっているため、図7、図8、図9の測定機XMMM座標系上に設計式が存在する場合に対して、各セルの有効な分割データをより大きくとることが可能になり、後述する各ステップでの解析精度を向上させることができる。
【0061】
図14は、図12の状態における、各セルの分割データBと設計式との比較の例である。上段の図に示す符号23aは測定物XLLL座標系に変換後の各セルの分割データBとグレーゾーンBのデータであり、中段の図に示す符号22aは各レンズの設計式であり、下段の図に示す符号24bは上段の図のZ値から下段の図のZ値を引いた結果の情報を示す図である。
【0062】
下段の図に示すように、グレーゾーンBの領域22bを含んだ場合は、測定物と設計式との横方向のずれによる誤差が存在する。グレーゾーンBの領域22bを除いた分割データB22cの領域で評価することにより、測定結果の精度が良くなることがわかる。
【0063】
<ステップS6>
図15は、測定物XLLL座標系上での、セルごとにステップS6の分割データと測定データの差でRMS最小化の座標変換する処理を説明するための図である。この処理は、第2座標変換部809が処理を司る。すなわち、各セルごとの設計式データと測定データとを比較し、図15に示す並進座標変換量dZ、傾き座標変換量β(またはα)、並進座標変換量dX(またはdY)が最小となるように2つのデータを近似する。次いで、セルごとに座標変換量から、設計値からの偏心(並進座標変換量)dX(あるいはdY)、座標変換量(並進座標変換量)dZ、傾き(座標変換量)β(あるいはα)伸す内を求める処理を行う。図16は、セルごとに座標変換量から、設計値からの偏心dX(あるいはdY)、高さずれdZ、傾きβ(あるいはα)を求める処理を説明するための図である。
【0064】
<ステップS7>
図17は、ステップS6でセルごとにRMS最小化の座標変換後の分割データBに対して測定データの近似半径Rを変化させるRMS最小化により、ベストフィットRを求める処理を説明するための図である。すなわち、設計式のデータ32に対し、座標変換語の三次元測定データ36を比較し、当該2つのデータが最も近似するように配置し、当該ベストフィットRを算出する。ここでベストフィットRは、設計データと座標変換後の測定データとの間で最小二乗法によりフィッティングするR(半径)を求める処理を行う。なお、レンズアレイ4は、非球面レンズであるため、近似半径R、コニック係数、非球面係数が含まれているが、近似半径Rのみを変化させる最小二乗法によりフィッティングの処理を行う。
【0065】
<ステップS8>
上記の処理を各セルごとに行い、それぞれセルごとに偏心量dx、dy、高さずれ量dz、傾きα、βを求める。図18は、セルごとの偏心量dx、dy、高さずれ量dz、傾きα、βの情報テーブルの構成例である。情報テーブルには、設計上の光軸位置、実際の光軸位置、ベストフィットR、測定データと設計式との差分のPV値、RMS値に関する情報が含まれる。情報テーブルは第3記憶部811に記憶される。
【0066】
<ステップS9>
次いで、ステップS7で求めた偏心量を各セルの設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS4の測定データを分割した分割データCを作成する。この処理は第3データ分割部812が処理を司る。図19は、ステップS7で求めた偏心量を各セルの設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS4の測定データを分割した分割データCを作成する処理を説明する図である。図12と比較すると、測定データから求めたXY方向の偏心量を各セルの設計パラメータに入力しているため、測定データ上の頂点と設計上の頂点が一致するようになっている。そのため、各セルの境界グレーゾーンCはほとんど無視できるレベルまで小さくなり、最大有効な分割データCは、図12の分割データBよりさらに大きくとれるようになる。これらのデータは、結果作成部813を介して出力装置90に出力される。
【0067】
図20は、ステップS8で求めた偏心量を、各セルの設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS1の測定データを分割した分割データCと測定データとの差を出力装置にグラフ表示した様子である。上段の図の符号23は、ステップS4で求めた測定物XLLL座標系に変換後の測定データであり、中段の図の符号22bは、ステップS7で求めた偏心量を各セルの設計パラメータに入力し作成した新たな設計式であり、下段の図の符号24aは、上段の図のZ値から下段の図のZ値を引いた結果を示す図である。下段の図では、境界グレーゾーンCはほとんど無視できるレベルまで小さくなっている。そのため、境界グレーゾーンによる誤差は、図14に比べてほとんど無視できることが分かる。
【0068】
<ステップS10>
図21は、ステップS9で求めた設計式にステップS9で求めたベストフィットRを設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS1の測定データを分割した分割データCと設計式との差を出力表示したグラフの例を示す図である。上段の図の符号23はステップS4で求めた測定物XLLL座標系に変換後の測定データであり、中段の図の符号22bはステップS8で求めた設計式にステップS7で求めたベストフィットRを設計パラメータに入力し作成した設計式であり、下段の図の符号24aは上段の図のZ値から下段の図のZ値を引いた結果を示す図である。下段の図では、各セルに対するデータが全体的に平坦な結果となっているので、各レンズ高さずれが図20に比べてより一層わかりやすくなっている。
【0069】
なお、ステップS8、S9で、ステップS8で求めた各セルのdZ(高さずれ)を設計パラメータに入力して評価することもできる。この評価により、焦点距離の評価が可能である。
【0070】
ステップS4において、第1座標変換部807により求められる測定物XLLL座標系を、別の方法で求めることもできる。以下に2通りの方法を説明する。
【0071】
<測定物XLLL座標系の構築方法の第1変形例>
図22は、コバ面基準、外形側面基準による測定物XLLL座標系の構築例を示す図である。レンズアレイの測定データのコバ平面部分のデータからあおり角α(X軸まわり)、β(Y軸まわり)を算出し、レンズアレイの外形側面から回転角γ(Z軸まわり)を算出し、レンズアレイの測定物XLLL座標系を構築することを示している。
【0072】
外形基準用治具A50aには、第1プレート51の上に第2プレート53、第3プレート54が固定されており、第2プレート53の右側に球52dが固定されている。第3プレート54の手前に球52e、球52fが固定されている。
【0073】
外形基準用治具A50aの球52dを図24で示す超高精度三次元測定機により、センタリングして仮の頂点座標を算出後、XY方向に測定し3次元測定データを取得し、測定データと設計式とで2乗誤差最小位置を算出する。このとき、真の頂点座標(Xd,Yd,Zd)を算出する。同様に、球52e、球52fについても真の頂点座標(Xe,Ye,Ze)、(Xf,Yf,Zf)を算出する。さらに、測定データよりベストフィットR(Br)を算出し、球52e、球52fがほぼXM軸上に平行の場合は、
球52dの場合は、(Xd,Yd,Zd) ← (Xd+Br,Yd,Zd−Br)
球52eの場合は、(Xe,Ye,Ze) ← (Xe,Ye−Br,Ze−Br)
球52fの場合は、(Xf,Yf,Zf) ← (Xf,Yf−Br,Zf−Br)
のように変換する。
【0074】
さらに、球E上の点(Xe,Ye,Ze)から球F上の点(Xf,Yf,Zf)を結ぶ直線と平行な方向にXL座標軸を作る。
【0075】
外形基準用治具A50aに、レンズアレイ4を設置する場合に、レンズアレイ4のZ底面4eは第1プレート51の上に乗り、レンズアレイ4のX側面4cが球52dのX+側の側面に接するようにし、レンズアレイのY側面4dが球52e、及び、球52fのY−側の側面に接するように構成されており、第2プレート53、第3プレート54の厚みは、3つの球52d、52e、52fの直径より小さく設計されたものになっている。
【0076】
この外形基準用治具50aに設置されたレンズアレイ4のベース面4bの法線ベクトル4fに平行なZL座標軸を作る。
【0077】
L座標軸、ZL座標軸に垂直で球52dのX+側の側面の座標値(Xd,Yd,Zd)を通る座標軸をYL座標軸とする。このようにすることにより、レンズアレイの表面コバ面部分データと外側面を基準とするXLLL座標系が構築される。
【0078】
この外形基準用治具50aは、レンズアレイ4だけでなく、四角形状の外枠を持つレンズユニットにはすべて適用できる。このようにして構築したXLLL座標系を基準座標系として、先に求めた図1の評価を行うことができる。
【0079】
<測定物XLLL座標系の構築方法の第2変形例>
図23は、底面基準、外形側面基準による測定物XLLL座標系の構築例の説明図である。レンズアレイの底面4eの傾きからあおり角α(X軸まわり)、β(Y軸まわり)を算出し、レンズアレイの外形側面から回転角γ(Z軸まわり)を算出し、レンズアレイのXLLL座標系を構築する処理を説明するものである。
【0080】
外形基準用治具50bには、第1プレート51の上に同じ直径の3つの球52a、52b、52cが固定されている。また、第1プレート51の上に第2プレート53、第3プレート54が固定されており、第2プレート53の上に球52dが固定されている。第3プレート54の上に球52e、球52fが固定されている。
【0081】
外形基準用治具50bの球52aを図24Aで示す超高精度三次元測定機により、センタリングして仮の頂点座標を算出後、XY方向に測定し3次元測定データを取得し、測定データと設計式とで2乗誤差最小位置を算出する。このとき、真の頂点座標(Xa,Ya,Za)を算出する。同様に、球52b、球52cについても真の頂点座標(Xb,Yb,Zb)、(Xc,Yc,Zc)を算出する。これら3つの座標より、球52a、球52b、球52cの各頂点を通る平面の法線ベクトル4gを算出しZL座標軸とする。
【0082】
次に、球52d、球52e、球52fについても、先に述べた球52a、球52b、球52cと同様の方法で真の頂点座標(Xd,Yd,Zd)、(Xe,Ye,Ze)、(Xf,Yf,Zf)を算出する。さらに、測定データよりベストフィットR(Br)を算出し、球E、球FがほぼX軸上に平行の場合は、
球52dの場合は、(Xd,Yd,Zd) ← (Xd+Br,Yd,Zd−Br)
球52eの場合は、(Xe,Ye,Ze) ← (Xe,Ye−Br,Ze−Br)
球52fの場合は、(Xf,Yf,Zf) ← (Xf,Yf−Br,Zf−Br)
のように変換する。
【0083】
さらに、球52e上の点(Xe,Ye,Ze)から球52f上の点(Xf,Yf,Zf)を結ぶ直線と平行な方向にXL座標軸を作る。ZL座標軸、XL座標軸に直角になり、かつ、先に求めた球52dのX+側の側面の座標値(Xd,Yd,Zd)を通る座標軸をYL座標軸とする。このようにすることにより、治具上での基準になるXLLL座標系が構築される。
【0084】
外形基準用治具50bに、レンズアレイを設置する場合に、レンズアレイのZ底面4eが球52a、球52b、球52cの上に乗り、レンズアレイ4のX側面4cが球52dのX+側の側面に接するようにし、レンズアレイのY側面4dが球52e、及び、球52fのY−側の側面に接するように、レンズアレイの厚みに合わせて、第2プレート53、第3プレート54の寸法を設計されたものになっている。
【0085】
この外形基準用治具50bにレンズアレイ4を設置することにより、レンズアレイ4のZ底面4e、X側面4c、Y側面4dを基準にしたレンズアレイの各光軸位置を算出することができる。
【0086】
この外形基準用治具50bは、レンズアレイ4だけでなく、四角形状の外枠を持つレンズユニットにはすべて適用できる。このようにして構築したXLLL座標系を基準座標系として、先に求めた図1の評価を行うことができる。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の形状測定方法及び装置は、接触式あるいは非接触式プローブを有する3次元形状測定装置を使用し、レンズ単体または、レンズアレイを一括測定したときの測定データよりレンズの境界位置データを抽出できる。
【0088】
また、レンズ設計値情報とも合わせて、レンズの境界付近の異常データを排除することにより高精度な評価が可能である。
【0089】
さらに、レンズアレイの測定物座標系を基準としたときの、測定データ全体と複数レンズ全面の設計式との差を算出し、各レンズの個別の測定データと設計式との差を算出し、設計上の光軸位置と実際の光軸位置のずれを算出し、個々の光軸と設計上の光軸を一致させて個別の測定データと設計式との差を算出し、各々のレンズごとに形状パラメータを算出することを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0090】
【図1】本発明の1実施形態にかかる形状測定装置においてレンズアレイを一括測定するときの形状測定方法の概略を示すフロー図。
【図2】図1の形状測定装置により、測定機XMMM座標系上でレンズアレイの全面を測定する処理の説明図。
【図3】コバ平面部の存在する凸レンズの測定データ、コバ平面部の存在する凸レンズの偏微分値データ、コバ平面部の存在する凸レンズの2階編微分値データの例を示す図。
【図4】コバ平面部の存在する凹レンズの測定データ、コバ平面部の存在する凹レンズの偏微分値データ、コバ平面部の存在する凹レンズの2階編微分値データの例を示す図。
【図5】凸レンズアレイの測定データ、凸レンズアレイの偏微分値データ、凸レンズアレイの2階偏微分値データの例を示す図。
【図6】凹レンズアレイの測定データ、凹レンズアレイの偏微分値データ、凹レンズアレイの2階偏微分値データの例を示す図。
【図7】設計データをレンズセルごとに、各分割データAと各境界グレーゾーンAに分割する処理の説明図。
【図8】グレーゾーンAを決定する処理を説明する図。
【図9】セル2つからセル間回転角γを算出する処理の説明図。
【図10】レンズアレイのコバ平面部のデータからレンズ全面の傾きα、βを算出する処理の説明図。
【図11】全面測定データを測定物XLLL座標系に変換する処理の説明図。
【図12】設計データをレンズセルごとに有効な分割データBと境界グレーゾーンBを算出する処理の説明図。
【図13】図12の境界データから境界グレーゾーンBの決定の処理を説明する図。
【図14】図12の状態における、各セルの分割データBと設計式との比較の例を示す図。
【図15】測定物XLLL座標系上での、セルごとにステップS6の分割データと設計式との差でRMS最小化の座標変換する処理を説明するための図。
【図16】セルごとに座標変換量から、設計値からの偏心、高さずれ、傾きを求める処理を説明するための図。
【図17】ステップS6でセルごとにRMS最小化の座標変換後の分割データBに対してベストフィットRを求める処理の説明図。
【図18】セルごとの偏心量dx、dy、高さずれ量dz、傾きα、βの情報テーブルの構成例を示す図。
【図19】ステップS7で求めた偏心量を用いて、ステップS4の測定データを分割した分割データCを作成する処理の説明図。
【図20】ステップS8で求めた偏心量を、各セルの設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS1の測定データを分割した分割データCと設計式との差を出力装置に表示したグラフの例を示す図。
【図21】ステップS9で求めた設計式にステップS9で求めたベストフィットRを設計パラメータに入力し新たな設計式を作成し、ステップS1の測定データを分割した分割データCと設計式との差を出力表示したグラフの例を示す図。
【図22】コバ面基準、外形側面基準による測定物XLLL座標系の構築例の説明図。
【図23】底面基準、外形側面基準による測定物XLLL座標系の構築例の説明図。
【図24A】本発明の1実施形態にかかる形状測定装置の外観構成図。
【図24B】図24Aの形状測定装置の制御演算部の機能ブロックの構成を示す図。
【図25】従来の焦点距離測定装置の概略構成を示す図。
【図26A】レンズアレイの各レンズセルが球面形状で、かつ、設計形状から偏心(あるいは、傾き)が存在する場合の概念図であり、光学的測定で傾き量を算出する場合の説明図。
【図26B】レンズアレイの各レンズセルが球面形状で、かつ、設計形状から偏心(あるいは、傾き)が存在する場合の概念図であり、光学的手法で偏心を算出する場合の説明図。
【図27A】レンズアレイの各レンズセルが非球面形状で、かつ、設計形状から偏心、傾きが存在する場合の概念図であり、光学的測定で傾き量A、または、偏心量Aを算出する場合の説明図。
【図27B】レンズアレイの各レンズセルが非球面形状で、かつ、設計形状から偏心、傾きが存在する場合の概念図であり、実際の光軸と図27Aの光学的測定とを比較した場合の説明図。
【符号の説明】
【0091】
4 レンズアレイ
4a 各レンズの光軸
4b ベース面
4c X側面
4d Y側面
4e Z側面
4fレンズアレイAのベース面10bの法線ベクトル
4g 球の各頂点を通る平面の法線ベクトル
4h レンズアレイ形状
5 3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))
5a 測定原点(0, 0, 0)
5b コバ平面部のデータ
5c 測定データ(X(i-1),Y(i-1),Z(i-1))
5d 測定データ((X(i),Y(i),Z(i))
5e 測定データ((X(i+1),Y(i+1),Z(i+1))
5f 境界データ
6 測定物座標系に変換後の3次元測定データ(Xi’, Yi’, Zi’)
7 記憶装置
8 設計式上の境界
8a 設計境界Xj,1
8b 設計境界Xj,2=Xj+1,1
8c 設計境界Xj+1,2
9 分割データA
9j セルjの有効な分割データA
9j1 セルj+1の有効な分割データA
10 分割データB
10j セルjの有効な分割データB
10j1 セルj+1の有効な分割データB
11 分割データC
11j セルjの有効な分割データC
11j1 セルj+1の有効な分割データC
12 境界グレーゾーンA
12j セルjの境界グレーゾーンA
12j1 セルj+1の境界グレーゾーンA
13 境界グレーゾーンB
13j セルjの境界グレーゾーンB
13j1 セルj+1の境界グレーゾーンB
14j セルjの境界グレーゾーンC
14j1 セルj+1の境界グレーゾーンC
15 フォーカスON
16 フォーカスOFF
17 セル(1)の設計式上の頂点
18 セル(1)の測定データ上の頂点
19 セル(5)の設計式上の頂点
20 セル(5)の測定データ上の頂点
22a 各レンズの設計式
22b グレーゾーンBの領域
22c 分割データBの領域
23a 測定物XLLL座標系に変換後の各セルの分割データBとグレーゾーンBのデータ
24b 各セルの分割データBと設計式との比較
30 非球面レンズの光軸
31 3次元測定データ((X(i),Y(i),Z(i))
32 設計式
33 並進座標変換量dX
33a 設計値からの並進量dX
34 並進座標変換量dZ
34a 設計値からの高さずれdZ
35 傾き座標変換量β
35a 設計値からの傾き量β
36 座標変換後の3次元測定データ
37 設計式の近似半径
38 ベストフィットR
39 RMS最小化
41 セル(1)
42 セル(2)
50a 外形基準用治具A
50b 外形基準用治具B
51 プレートP1
52a 球A
52b 球B
52c 球C
52d 球D
52e 球E
52f 球F
53 プレートP2
54 プレートP3
55b コバ面基準、レンズアレイ外形側面基準による測定物XLYLZL座標系
55c レンズアレイの底面基準、外形側面基準による測定物XLYLZL座標系
61 石定板
62 光学系
63 石定板
64 Zステージ
65 測定用プローブ
66、67、68 XYZ基準ミラー
69、70 XYステージ
71 発振周波数安定化He−Neレーザ
90 出力装置
S 測定面
101 球面レンズの光軸
102 入射光
103 焦点
104 実際のレンズ形状
105 設計(理想)形状
106 傾き量1
107 偏心量1
111 非球面レンズの光軸
112 入射光
113 焦点
114 実際のレンズ形状
115 設計(理想)形状
116 傾き量1
117 偏心量1
118 傾き量2
121 測定データから抽出したセルjの境界上の点
122 Line L
122a Line Lグループ
123 Line R
123a Line Rグループ
124 Line T
124a Line Tグループ
125 Line B
125a Line Bグループ
126 AL点
127 AR点
128 dj,XMAX
129 dj,YMAX
130 セルjの実際の形状
131 セルjの設計上の形状
801 第1記憶部
802 第2記憶部
803 偏微分演算部
804 閾値設定部
805 境界算出部
806 第1データ分割部
807 第1座標変換部
808 第2データ分割部
809 第2座標変換部
810 データ近似処理部
811 第3記憶部
812 第3データ分割部
813 結果作成部
【出願人】 【識別番号】000005821
【氏名又は名称】松下電器産業株式会社
【出願日】 平成18年6月23日(2006.6.23)
【代理人】 【識別番号】100101454
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 卓二

【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄

【識別番号】100091524
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 充夫

【識別番号】100115934
【弁理士】
【氏名又は名称】中塚 雅也


【公開番号】 特開2008−2990(P2008−2990A)
【公開日】 平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願番号】 特願2006−173803(P2006−173803)