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【発明の名称】 観測/偵察システムとこのシステムに用いられる飛翔体装置およびモニタ装置
【発明者】 【氏名】田村 博幸

【要約】 【課題】遮蔽体によって目標地点の状況が把握できない場合に、観測/偵察の時機を失することなく、簡便かつ安価にその地点の状況を観測/偵察する。

【解決手段】飛翔体装置1は、この装置に搭載された撮像カメラ112により遮蔽体により遮られた地点を上空から撮影し、得られた画像信号を変調器114で変調し、この変調信号により発光器115を点滅駆動することにより近赤外光信号を発信する。モニタ装置2は、接眼モニタ部214により上空の飛翔体装置1を視野内に捕らえ、追跡して飛翔体装置1で発信される光信号を近赤外用受光器213で受光し、信号処理部215で画像信号を復調し、表示装置22にて飛翔体装置1で撮影された画像を表示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意の地点の上空に発射され、緩降下状態で下方周囲の状況を撮影し、当該撮影によって得られた画像信号に基づいて筐体外面に設けられる発光素子を発光することで光信号を発信する飛翔体装置と、
前記飛翔体装置から発信される光信号を受光し、その受光信号から元の画像信号を再現し、画像表示するモニタ装置と
を具備することを特徴とする観測/偵察システム。
【請求項2】
任意の地点の上空に発射され、緩降下状態で下方周囲の状況を撮影し、当該撮影によって得られた画像信号に基づいて筐体外面に設けられる発光素子を発光することで光信号を発信する飛翔体装置と、前記飛翔体装置から発信される光信号を受光し、その受光信号から元の画像データを再現し、画像表示するモニタ装置とを具備する観測/偵察システムに用いられる前記飛翔体装置であって、
前記上空への発射後に緩降下させる緩降下手段と、
前記緩降下に伴って前記下方周囲の状況を撮影する撮影手段と、
筐体外面に発光素子を配置して前記画像信号に基づいて発光することで光信号を発信する発信手段と
を具備することを特徴とする観測/偵察システムの飛翔体装置。
【請求項3】
さらに、前記飛翔体装置の加速度を計測する加速度計と、回転角度を計測する回転角度計測器とを備え、
前記撮影手段は、前記加速度計及び回転角度計測器によって計測される加速度及び回転角度に基づいて画像撮影時のぶれを補正する補正手段を備えることを特徴とする請求項2に記載の観測/偵察システムの飛翔体装置。
【請求項4】
前記撮影手段は、撮像方向を所定の速度で変更する首振り機能を有することを特徴とする請求項2に記載の観測/偵察システムの飛翔体装置。
【請求項5】
前記発信手段の発光素子は、近赤外線を発光することを特徴とする請求項2に記載の観測/偵察システムの飛翔体装置。
【請求項6】
緩降下状態で下方周囲を撮影し、当該撮影によって得られた画像信号に基づいて筐体外面に設けられる発光素子を発光することで光信号を発信する飛翔体装置と、前記飛翔体装置から発信される光信号受光し、その受光信号から元の画像信号を再現し、画像表示するモニタ装置とを具備する観測/偵察システムに用いられる前記モニタ装置であって、
前記飛翔体装置から発信される光信号を受光する受光手段と、
前記飛翔体装置を前記受光手段の視界内に捕捉追尾する捕捉追尾手段と、
前記受光手段の受光信号から元の画像信号を再現し、画像表示する表示手段と
を具備することを特徴とする観測/偵察システムのモニタ装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば森林や建築物等の遮蔽体により遮られた地点の状況を遠方から把握する観測/偵察システムとそれに用いられる飛翔体装置およびモニタ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
森林や建築物等の遮蔽体で遮られた地点の状況を把握する場合、従来では、観測用航空機または偵察用航空機等を飛行させ、上空からカメラにより撮影する方法がよく採られている。しかしながら、このような方法では、遮蔽体により遮られた地点の状況を簡便で効果的に把握することはできるものの、観測/偵察を開始するまでに時間がかかるため、時機を失しやすいという問題がある。
【0003】
ところで、飛翔体が飛来する状況において、飛翔体から自陣を防御する装置として、空中からシーカにより飛翔体の飛来を監視する対空防御装置がある(例えば、特許文献1参照)。この装置では、シーカが飛翔体を検知すると、シーカの中央に飛翔体が捕捉されるよう、シーカが設置されるジンバルの傾きが制御される。シーカの制御に伴い、対空防御装置が飛翔体に接近し、飛翔体から自陣を防御する。この特許文献1に示される対空防御装置で用いられる技術を利用することにより、遮蔽体により遮られた地点の状況を安全に観測/偵察することが可能であると考えられる。しかしながら、対空防御装置が有する空中機動機能や目標の捕捉機能等のため、高価で大型となり、簡便な利用に適していない。
【特許文献1】特開2000−266499号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上のように、従来から、遮蔽体で遮られた地点の状況を把握する場合に、観測/偵察の時機を失することなく、簡便かつ安価に遮蔽体で遮られた地点の状況を観測/偵察できる有効な手段が望まれている。
【0005】
本発明は上記事情によりなされたもので、その目的は、観測/偵察の時機を失することなく、簡便かつ安価に遮蔽体で遮られた地点の状況を観測/偵察可能な観測/偵察システムとそれに用いられる飛翔体装置およびモニタ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る観測/偵察システムは、任意の地点の上空に発射され、緩降下状態で下方周囲の状況を撮影し、当該撮影によって得られた画像信号に基づいて筐体外面に設けられる発光素子を発光することで光信号を発信する飛翔体装置と、前記飛翔体装置から発信される光信号を受光し、その受光信号から元の画像信号を再現し画像表示するモニタ装置とを具備する。
【0007】
上記構成によるシステムに用いられる飛翔体装置では、遮蔽体に遮られた地点を、上空に発射された飛翔体装置が撮影し、その撮影によって得られた画像信号に基づいて筐体外面に設けられる発光素子を発光し、これによって画像信号を光信号として発信する。モニタ装置では、飛翔体装置が緩降下中に発光する光信号を受光し、その受光信号から画像信号を再現して画像表示する。これにより、飛翔体装置とモニタ装置との間で、通信機能を用いることなく、画像信号を小電力で伝送することが可能となる。また、飛翔体装置を目標地点上空に打ち上げ(発射)、落下傘等によって緩降下させるだけでよいので、観測/偵察の時機を失することは無く、遮蔽体で遮られた地点の状況を簡易かつ安価に観測/偵察することが可能となる。
【発明の効果】
【0008】
以上述べたように、本発明によれば、飛翔体装置を目標地点上空に打ち上げて、その飛翔体装置が撮影した画像を効率的にモニタ装置に伝送することが可能となり、これによって遮蔽体で遮られた地点の状況を観測/偵察の時機を失することは無く、簡易かつ安価に観測/偵察することが可能な観測/偵察システムとそれに用いられる飛翔体装置およびモニタ装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施形態に係る観測/偵察システムを構成する飛翔体装置1とモニタ装置2をそれぞれ個別に示すもので、図1(a)は飛翔体装置1の外観を示す斜視図、図1(b)は飛翔体装置1の内部構造を概略的に示す断面図、図1(c)はモニタ装置2の外観を示す斜視図、図1(d)はモニタ装置2の構成を示すブロック図である。また、図2は図1に示す観測/偵察システムの運用例を説明するための概念図である。
【0011】
図1(a),(b)に示す飛翔体装置1は、電子装置を収容する球体形状の収容部11と、図2に示す小銃3の銃口に挿入され、一方の端面が収容部11に結合され、他方の端面が開放された銃口挿入筒12とを備える。
【0012】
上記収容部11において、飛翔方向に対して正面に、透明なカバーによる窓部111が形成され、内部には、窓部111から飛翔方向が視野となるように撮像カメラ112が配置される。この撮像カメラ112は、ジンバル構造のカメラ支持機構113によって、撮影画像が揺れや振動に影響されないように支持される。また、この支持機構113は、撮像カメラ112の視野方向を一定周期で首振り運動させる機能も備える。撮像カメラ112は、可視光用・赤外光用・紫外光用等のいずれでもよい。
【0013】
上記撮像カメラ112から出力される画像信号は、変調器114に送られる。この変調器114は、例えば所定周波数のパルス信号を発生し、このパルス信号を画像信号によって変調する。この変調器114で得られた変調信号は、近赤外線発光器115に送られる。この近赤外線発光器115は、収容部11の球体外周に、複数の発光素子を一周するようにリング状に配列したもので、各発光素子を変調器114からの変調信号に応じて点滅駆動することで、外部に光信号を発信する。尚、上記変調器114の変調方式としては、パルス幅変調が有効と考えられるが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0014】
また、上記収容部11には、さらに状態検知装置116が収容される。この状態検知装置116は、飛翔体装置1に加わる加速度を計測する加速度計測器117及び回転角度を計測する回転角度計測器118を備え、加速度計測結果から、飛翔体装置1が打ち上げ後、落下状態に入ったことを検知し、回転角度計測結果から飛翔体装置1の姿勢を検知する。以上の電子装置は、着脱可能なバッテリ119によって駆動される。
【0015】
一方、銃口挿入筒12において、筒状部121は一方の端面が開放され、他方の端面が収容部11と結合される。その周面の開放端側には、複数枚の安定翼122が装備され、その内部には、パラシュート123及び緩降下装置124が収容される。この緩降下装置124は、上記状態検知装置116による落下状態の検知結果に基づいて起動され、パラシュート123を筒状部121の開口端から放出する。パラシュート123の放出方式は火薬点火方式等が一般的であるが、他のいずれの方式でも実施可能である。
【0016】
また、カメラ支持機構113は、状態検知装置116の加速度計測器117による飛翔体装置1の加速度と、回転角度計測器118による飛翔体装置1の回転角度とに基づいて、撮像カメラ112による画像撮影時のぶれを補正する。このときのぶれ補正は、飛翔体装置1の加速度および回転角度に基づいて物理的に補正する方法と、撮影した画像を電子的に移動・回転して補正する方法とがある。
【0017】
図1(c),(d)に示すモニタ装置2は、携帯可能であり、受光装置21と表示装置22とで構成される。受光装置21は、光学系211として、入射光を撮像する撮像カメラ212と入射光の近赤外成分を受光可能な近赤外用受光器213とを備える。ここで、撮像カメラ212で撮像された映像は接眼モニタ部214に送られて表示される。使用者が受光装置21を持って接眼モニタ部214を覗き、表示視野内に飛翔体装置1が入るように受光装置21を動かすことで、飛翔体装置1からの近赤外光信号は近赤外用受光器213に導かれる。近赤外用受光器213で得られた受光信号は信号処理部215に送られる。この信号処理部215は、入力された受光信号から近赤外光信号成分の変調信号を抽出し、この変調信号を復調して元の画像信号を得る。この画像信号は、外部出力端子216に外部接続される表示装置22に送られ、適宜モニタ表示される。
【0018】
次に、上記構成における観測/偵察システムの処理動作を説明する。
【0019】
本システムを使用しないとき、飛翔体装置1およびモニタ装置2は、使用者によって持ち運ばれる。使用時には、使用者は、飛翔体装置1にバッテリ119を装着した後、飛翔体装置1を小銃3の銃口に装着する(1)。小銃3には、飛翔体装置1の飛翔距離が所定の飛翔距離となるよう薬量を調節した空砲が装填されており、使用者が小銃3を偵察地域上空に向けて射撃する。このようにして飛翔体装置1は観測/偵察地域の上空に向けて打ち上げられる(2)。
【0020】
飛翔体装置1では、飛翔軌道の最高点に達して下降し始めると、状態検知装置116がこれを検知して、緩降下装置124に起動信号を送る(3)。これにより緩降下装置124がパラシュート123を打ち出すため、パラシュート123が開傘し、緩降下が始まる(4)。状態検知装置116は、緩降下装置124への起動信号とともに撮像カメラ112およびカメラ支持機構113にも起動信号を送る。これにより、撮像カメラ112の撮像が開始され、カメラ支持機構113によって撮像カメラ112の首振り制御が開始される(5)。これにより、観測/偵察地域を上空から撮影することができる。
【0021】
上記撮像カメラ112から出力される画像信号は変調器114によって変調され、収容部11の球体外周にリング状に配列された発光素子による近赤外線発光器115に送られる。これにより、近赤外線発光器115の各発光素子が変調器114からの変調信号に応じて点滅駆動され、外部に近赤外線信号として発信される。
【0022】
使用者は、モニタ装置2の接眼モニタ部214を覗き、飛翔体装置1が常に視界に入るよう追跡する(6)。飛翔体装置1を常に視界に捕えることにより、飛翔体装置1から発信される近赤外線の光信号は近赤外用受光器213で受光され、信号処理部215に送られ、ここで受光信号中の近赤外光信号成分が抽出され、その変調分が復調されて、元の画像信号に戻される。この画像信号は外部接続された表示装置22に送られて、画面上に表示される(7)。
【0023】
以上のように、上記構成による観測/偵察システムでは、飛翔体装置1に搭載した撮像カメラ112により、遮蔽体により遮られた地点を上空から撮影し、得られた画像信号を変調し、この変調信号により外部の発光器115を点滅駆動することにより近赤外光信号を発信し、モニタ装置2側で、上空の飛翔体装置1を視野内に捕らえ、追跡して飛翔体装置1で発信される光信号を近赤外用受光器213で受光し、信号処理部215で画像信号を復調し、表示装置22に飛翔体装置1で撮影された画像を表示する。
【0024】
したがって、上記実施形態の構成によれば、遮蔽体が遮ることにより、目標となる地点の状況を把握することが困難な場合でも、飛翔体装置1を発射し、飛翔体装置1が撮影する画像に基づく光信号をモニタ装置2で受光しモニタ表示することにより、遮蔽体で遮断された地点の状況を簡易かつ安価に観測/偵察することが可能となる。また、操作が簡易であるため、観測/偵察の時機を失することは無い。さらに、使用者が周囲の状況が観測/偵察可能な場所にまで移動する必要も無い。
【0025】
なお、この発明は上記実施形態に限定されるものではない。例えば上記実施形態では、飛翔体装置1が一つである例について説明したが、飛翔体装置1が複数ある場合でも同様に実施可能である。
【0026】
また、上記実施形態では、カメラ支持機構113が撮像カメラ112の首を振る例について説明したが、撮像カメラ112の首を振らさない、固定型のものでも実施可能である。
【0027】
また、上記実施形態では、電子装置を収納するのが球体部11である例について説明したが、必ずしも球体である必要は無く、他の形である場合でも実施可能である。
【0028】
さらに、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施形態に係る観測/偵察システムを構成する飛翔体装置とモニタ装置をそれぞれ個別に示す斜視図および断面図。
【図2】上記一実施形態の観測/偵察システムの運用例を説明するための概念図。
【符号の説明】
【0030】
1…飛翔体装置、2…モニタ装置、3…小銃、11…収容部、12…銃口挿入筒、111…窓部、112…撮像カメラ、113…カメラ支持機構、114…変調器、115…近赤外線発光器、116…状態検知装置、117…加速度計測器、118…回転角度計測器、119…バッテリ、121…筒状部、122…安定翼、123…パラシュート、124…緩降下装置、21…受光装置、22…表示装置、211…光学系、212…撮像カメラ、213…近赤外用受光器、214…接眼モニタ、215…信号処理部、216…外部出力端子。
【出願人】 【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
【出願日】 平成18年12月7日(2006.12.7)
【代理人】 【識別番号】100058479
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 武彦

【識別番号】100091351
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 哲

【識別番号】100088683
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 誠

【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊

【識別番号】100075672
【弁理士】
【氏名又は名称】峰 隆司

【識別番号】100109830
【弁理士】
【氏名又は名称】福原 淑弘

【識別番号】100084618
【弁理士】
【氏名又は名称】村松 貞男

【識別番号】100092196
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 良郎


【公開番号】 特開2008−145014(P2008−145014A)
【公開日】 平成20年6月26日(2008.6.26)
【出願番号】 特願2006−330939(P2006−330939)