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【発明の名称】 スクイブならびにエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置
【発明者】 【氏名】前田 繁

【氏名】椋木 大剛

【氏名】小池 英幸

【要約】 【課題】コンデンサを設置した場合の表面凹凸を有利に解消すると共に、電極ピンに対するSCBチップとコンデンサの接続を1回のリフロー処理で可能ならしめ、さらには従来よりも一層小さなSCBチップの使用を可能ならしめたスクイブを提供する。

【解決手段】電極ピンに接続され外部からの通電により発火するSCBチップおよび該電極ピンに対しSCBチップ上の薄膜抵抗と電気的に並列に接続されたコンデンサを有するスクイブにおいて、
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カップ体と複数の電極ピンを互いに絶縁して保持し該カップ体の開口部を塞ぐヘッダーとをそなえ、該カップ体の内部には、点火薬を有すると共に、該電極ピンに接続され外部からの通電により点火薬を点火させるSCBチップをそなえ、該SCBチップは基板とその上面に形成した薄膜抵抗からなり、該電極ピンに対し該SCBチップの薄膜抵抗と電気的に並列に接続されたコンデンサを有するスクイブにおいて、
該コンデンサを該ヘッダー上に載置すると共に、該コンデンサ上に該SCBチップを直接載置し、該SCBチップ上の薄膜抵抗と該コンデンサとが、該SCBチップの基板に設けた電極を介して電気的に接続され、かつ該SCBチップの大きさが、コンデンサの大きさよりも小さいことを特徴とするスクイブ。
【請求項2】
請求項1において、前記SCBチップと前記コンデンサとの電気的接続手段が、ハンダまたは導電ペーストであること特徴とするスクイブ。
【請求項3】
請求項2において、前記SCBチップの基板の上面と側面および/または底面とに、上面電極と側面電極および/または底面電極とを設け、前記コンデンサとの電気的接続が、該側面電極および/または底面電極を介することを特徴とするスクイブ。
【請求項4】
請求項3において、前記側面電極がサイドスルーホール電極であることを特徴とするスクイブ。
【請求項5】
請求項3において、前記上面電極と底面電極を前記基板内に設けた貫通電極で接続することを特徴とするスクイブ。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記SCBチップと前記電極ピンとの電気的接続が、SCBチップが接続されたコンデンサ電極を介してハンダまたは導電ペーストで間接的に行われることを特徴とするスクイブ。
【請求項7】
請求項1ないし5のいずれかにおいて、前記SCBチップと前記電極ピンとの電気的接続が、前記薄膜抵抗の両端電極に接続されたワイヤーボンディングにより直接行われることを特徴とするスクイブ。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記SCBチップ付きコンデンサを載置する前記ヘッダーの領域を、前記SCBチップ付きコンデンサの厚み分だけ下に穿ち、前記SCBチップの高さレベルを前記SCBチップ付きコンデンサを載置した領域を除く周りのヘッダーの高さレベルと等しくしたことを特徴とするスクイブ。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれかに記載のスクイブを用いたエアバッグ用ガス発生装置。
【請求項10】
請求項1ないし8のいずれかに記載のスクイブを用いたシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、エアバッグ等の自動車の安全装置に使用されるガス発生器等に搭載されるスクイブに関するものである。
また、本発明は、上記のスクイブを搭載したエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車に装着されるエアバッグを膨張させるためのガス発生器用のスクイブとして、従来から種々の電気式スクイブが開発されている。
このスクイブは、通常、外部と電気的に接続するための金属ピンを有し、またこの金属ピンの他端には火薬に点火するための加熱素子をそなえている。
【0003】
従来使用されてきた点火具は、点火薬に点火するために、架橋ワイヤを使用していた。架橋ワイヤとしては、ニクロム線を用いており、架橋ワイヤの線径が細すぎると取り付けることができない。また、取り付けることができる線径の架橋ワイヤでは熱容量が大きいために、通電してから架橋ワイヤが点火薬の点火温度に達するまでの時間が長くなり、例えば、自動車用のサイドインフレータに要求される高速応答性は十分とはいえない。
【0004】
また別の点火具として、プリント回路基板の製造技術を用い、プリント回路基板上に直接厚膜抵抗体を形成する方法が知られている。
例えば特許文献1には、プリント回路基板を用い、厚膜抵抗体をプリント直接回路基板上に形成し、回路基板上の別の部分に静電気保護の目的でバリスタを搭載したスクイブが示されている。
また、特許文献2には、同様に、プリント回路基板に抵抗性加熱素子を搭載し、コンデンサとバリスタをハンダでプリント回路基板に接続したものを、さらに電極ピンに接続して得られるスクイブが開示されている。
これらの技術により、高速応答性は架橋ワイヤーを用いる場合よりも改善されたとはいえ、まだ十分とはいえなかった。
【特許文献1】特開2003-205823号公報
【特許文献2】特開2000-108838号公報
【0005】
一方、半導体ブリッジ(SCB:Semiconductor Bridge)は、スパッタや蒸着などの半導体技術を用いて製造されたブリッジを総称するものであるが、架橋ワイヤやプリント回路基板に比べ半導体ブリッジを用いた点火具は、線幅を細くした非常に微細な構造を作ることができ、厚みも数ミクロン程度の膜厚の薄膜ブリッジを利用するので、熱容量を小さくすることができ、高速応答性を持たせることが可能である。架橋ワイヤでは、1.2Aの通電で点火薬を点火温度まで加熱するのに800から1000マイクロ秒程度の時間を要していたが 、半導体ブリッジでは、一般に100から200マイクロ秒程度で点火薬を点火することができる。また、SCBは、スパッタや蒸着などの半導体製造設備を使うので基板サイズを大幅に小さくできるだけでなく、発熱部の熱容量を小さく、かつ正確に制御することができるので点火応答性が高いスクイブを安定して作ることができる。
【0006】
かようなSCBをスクイブに搭載する方法としては、ヘッダーに直接載置し、両端電極をワイヤーボンディングで電極ピンに接続する方法や、特許文献3に述べられているように、プリント回路基板同様、一旦プリント回路基板にSCBを載置し、その基板をヘッダー上に載置して電極ピンとプリント回路基板の所定の電極とをハンダ付けする方法が知られている。
【特許文献3】特開2002-13900号公報
【0007】
しかしながら、このような熱容量の小さい半導体ブリッジを用いると、外部からの静電気などのノイズに対して、スクイブが誤発火するおそれがある。
【0008】
そこで、静電気に対して誤発火を防止する対策として、半導体ブリッジと並列してコンデンサを設置し、このコンデンサによって、放電された静電気を吸収する方法が知られている。
このように、点火具に点火するために、プリント回路基板をベースにしてその上に発熱抵抗体を直接形成するか、SCBを搭載し、基板の別の部分に静電気保護デバイスを搭載するタイプのスクイブの代表的な例を、図1(a),(b)に平面および断面で示す。
【0009】
同図に示したとおり、従来はプリント回路基板1にスルーホールを形成し、回路基板1を直接電極ピンに接触させ、ハンダなどで接続する方法が一般的に用いられる。厚膜抵抗体2としてはニクロムを用いることが多い。また、静電気保護のための部品、例えばバリスタやコンデンサ、ダイオードなどの静電気保護デバイス3を厚膜抵抗体2と並列に接続するために、プリント回路基板1上に静電気保護デバイス3の搭載位置に電極を設け、静電気保護デバイス3を一般の回路と同じようにハンダ付けして固定するのが一般的である。この方法は、電極ピン4と厚膜抵抗体2および静電気保護デバイス3とを接続するのは容易ではあるが、プリント回路基板1そのものを電極ピン4に接続するため、サイズを小さくするには限界があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述したとおり、回路基板を用いたいわゆる厚膜抵抗を有する基板では、電極ピンに直接基板を接続するため、電極ピンの間隔以上の寸法を持つ基板を用いていた。特に、静電気保護用のデバイスと組み合わせる場合、静電気保護用デバイスよりも大きな基板に厚膜抵抗を形成し、その基板をベースに静電気保護用デバイスを接続すると共に、基板自身も電極ピンに接する形で接続されていた。
しかしながら、この構造では、電極ピン間隔あるいは静電気保護用デバイスの大きさ以上に大きな基板上に直接厚膜抵抗体を形成する必要がある。通常、このような回路基板は1枚の大きなベース基板上にいくつも同じものを作り、個々の基板に分割して使用される。従って、1個の厚膜抵抗体基板のサイズが大きいと、1枚のベース基板から採取できる厚膜抵抗を有する基板の数が限られるため、生産性の向上には限界があった。このため、1枚のベース基板から多くの厚膜抵抗を有する基板を得ることができる新たな生産技術の開発が望まれていた。
【0011】
また、一般に、静電気保護用デバイスは、回路基板を個々に分割する前の状態で搭載されるので、回路基板の分割時に静電気保護用デバイスに応力がかかり、デバイス自身が応力によって破壊される危険があった。
一方、SCBチップは、生産性の面からはチップの大きさをより小さくすることが有利であるが、チップの大きさを小さくすることは電極ピンに対する接続上の問題からハンダ付けすることが困難となり、またコンデンサと組み合わせる場合でもコンデンサよりもSCBチップの方が小さいので、従来技術に示したとおり別途基板上にSCBとコンデンサを搭載する方法が用いられてきた。
しかしながら、基板に直接抵抗体を作りこむ場合とは異なり、SCBチップと基板が別体となるので部品点数が増えるため、サイズの縮小化が難しく、またそれに伴い接続箇所が増えるため、品質保証の観点から信頼性が低下するという問題があった。
【0012】
さらに、上記のような接続形態とした場合、SCBチップに比べてコンデンサの高さが高いために、基板の表面に凹凸が生じ、点火薬を有するカップ体との組み付け時に点火薬密度にムラが生じるなどの問題があった。
【0013】
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、高い生産性の下で、サイズの縮小化と品質の向上を可能ならしめたスクイブを、かかるスクイブを搭載したエアバッグ用ガス発生装置およびシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置と共に提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
さて、発明者らは、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、以下に述べる知見を得た。
(1) SCBチップとコンデンサを個別に基板上に搭載するのではなく、コンデンサ上にコンデンサの大きさ(平面積)よりも小さなSCBチップを直接搭載し、この状態でSCBチップとコンデンサの両端電極とをハンダか導電ペーストで接続すれば、非常に小型の静電気保護デバイス付SCBコンポーネントが得られ、ヘッダーに搭載しても、従来のピンに直接接続する基板を有するものよりも、コンパクトなスクイブを提供できる。
(2) 上記した接続形態とすれば、コンデンサ電極を直接電極ピンにハンダや導電ペーストで接続することができ、SCBがコンデンサ電極を介して電極ピンに接続されるので、SCBの電極を直接電極ピンの間に接続する必要が無くなるため、その使用が難しいとされた、より小さなSCBチップの使用が可能になる。
(3) 上記した接続にすることで、コンデンサ上にSCBチップを搭載し、この状態でSCBチップをコンデンサ電極にハンダや導電ペーストで接続し、ついでコンデンサ電極を電極ピンに同じくハンダや導電ペーストで接続する(接続の順序はこの逆でも可)ようにすれば、1回のリフロー処理で3者の接続が可能になる。
【0015】
(4) 上記したように、コンデンサに対してSCBチップを接続するためには、チップの下面または側面での接続を可能とする必要がある。このためには、SCBの基台としてその上面と側面に電極を有する基板、またはその上面と底面に電極を有する基板、またはその上面と側面および底面に電極を有する基板を用い、この基板上に、薄膜抵抗を形成すれば、薄膜抵抗の両端電極は、これらの側面電極または底面電極を介してハンダや導電ペーストによりコンデンサと電気的に接続可能になる。
(5) 上記した接続形態とした場合に、やはりコンデンサの厚みに起因した表面凹凸が問題となるが、この点に関しては、かようなSCBチップ付きコンデンサを搭載するヘッダーについて、その搭載領域を、SCBチップおよびコンデンサの厚み分だけ下に穿ち、搭載領域についても周りのヘッダーと同じ高さレベルにすればよい。
(6) また、SCBチップとコンデンサを一体化し、ヘッダー上へ搭載する場合、SCBチップと電極ピンをワイヤーボンディングで接続することも可能であり、このような接続形態とすることでハンダ付けよりも一層高い接合信頼性を得ることができる。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
【0016】
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
(1)カップ体と複数の電極ピンを互いに絶縁して保持し該カップ体の開口部を塞ぐヘッダーとをそなえ、該カップ体の内部には、点火薬を有すると共に、該電極ピンに接続され外部からの通電により点火薬を点火させるSCBチップをそなえ、該SCBチップは基板とその上面に形成した薄膜抵抗からなり、該電極ピンに対し該SCBチップの薄膜抵抗と電気的に並列に接続されたコンデンサを有するスクイブにおいて、
該コンデンサを該ヘッダー上に載置すると共に、該コンデンサ上に該SCBチップを直接載置し、該SCBチップ上の薄膜抵抗と該コンデンサとが、該SCBチップの基板に設けた電極を介して電気的に接続され、かつ該SCBチップの大きさが、コンデンサの大きさよりも小さいことを特徴とするスクイブ。
【0017】
(2)上記(1)において、前記SCBチップと前記コンデンサとの電気的接続手段が、ハンダまたは導電ペーストであること特徴とするスクイブ。
【0018】
(3)上記(2)において、前記SCBチップの基板の上面と側面および/または底面とに、上面電極と側面電極および/または底面電極とを設け、前記コンデンサとの電気的接続が、該側面電極および/または底面電極を介することを特徴とするスクイブ。
【0019】
(4)上記(3)において、前記側面電極がサイドスルーホール電極であることを特徴とするスクイブ。
【0020】
(5)上記(3)において、前記上面電極と底面電極を前記基板内に設けた貫通電極で接続することを特徴とするスクイブ。
【0021】
(6)上記(1)ないし(5)のいずれかにおいて、前記SCBチップと前記電極ピンとの電気的接続が、SCBチップが接続されたコンデンサ電極を介してハンダまたは導電ペーストで間接的に行われることを特徴とするスクイブ。
【0022】
(7)上記(1)ないし(5)のいずれかにおいて、前記SCBチップと前記電極ピンとの電気的接続が、前記薄膜抵抗の両端電極に接続されたワイヤーボンディングにより直接行われることを特徴とするスクイブ。
【0023】
(8)上記(1)ないし(7)のいずれかにおいて、前記SCBチップ付きコンデンサを載置する前記ヘッダーの領域を、前記SCBチップ付きコンデンサの厚み分だけ下に穿ち、前記SCBチップの高さレベルを前記SCBチップ付きコンデンサを載置した領域を除く周りのヘッダーの高さレベルと等しくしたことを特徴とするスクイブ。
【0024】
(9)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のスクイブを用いたエアバッグ用ガス発生装置。
【0025】
(10)上記(1)ないし(8)のいずれかに記載のスクイブを用いたシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、SCBチップとコンデンサとを、基板に設けた上面電極と側面電極および/または底面電極とを用いて接続するので、コンデンサ上へのSCBチップの設置が可能になる。従って、従来SCBチップとコンデンサとを並列して設置した場合に比べてサイズを小さくすることができる。また、接続箇所が減少するので品質保証の観点から信頼性が向上する。さらに、接続手段としてハンダまたは導電ペーストを用いた場合、従来、2回に分けて行わざるを得なかった接続処理を、1回のリフロー処理で実施することができる。
また、本発明によれば、従来使用が難しいとされた、サイズがより小さなSCBチップの使用が可能になる。
さらに、本発明によれば、SCBチップ付きコンデンサを搭載した場合であっても、その搭載したヘッダーの領域を穿つことにより、SCBチップの高さレベルを、その領域以外の周りのヘッダーの高さレベルと同じにすることができるので、従来懸念された基板上の凹凸に起因した、点火薬を有するカップ体との組み付け時に生じる点火薬密度のムラを解消することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明を具体的に説明する。
図2に、本発明に従う好適スクイブを断面で、また図3にはSCBチップの一例を拡大して示す。
図中、番号5は薄膜抵抗(SCB)、6は基板であり、両者でSCBチップ7を構成する。8はコンデンサ、9は電極ピン、10はヘッダー、そして11がSCBチップ基板6に設けた貫通電極である。また、12は、電極ピン9を互いに絶縁するための封止ガラス、また13は絶縁体としてのエポキシ樹脂である。なお、図示に省略したが、薄膜抵抗5の上方には点火薬が充填されており、さらにカップ体で覆われている。
【0028】
図示したとおり、SCBチップ基板6には、その上面から底面に延びる貫通電極11が設けられており、薄膜抵抗5は、この貫通電極11が接続する上面電極14をそなえるSCBチップ基板6の上に形成されるので、薄膜抵抗5の両端電極17は基板6の上面電極14を介して貫通電極11と電気的に接続している。
【0029】
また、SCBチップ基板6は、コンデンサ8の上に直接設置されているので、SCBチップ基板6の底面電極15とコンデンサ8の電極20をハンダや導電ペースト18で接続することにより、SCBチップ7はコンデンサ8と電気的に接続することになる。
さらに、コンデンサ電極20と電極ピン9についても、同様にハンダや導電ペースト19で接続することができる。
【0030】
このように、コンデンサ8と電極ピン9との接続だけでなく、薄膜抵抗5とコンデンサ8との接続も、SCBチップ基板6に設けた貫通電極11を用いて上面電極14と底面電極15を電気的に接続することによって、ハンダという同一の接続手段で接続することができる。そのため、従来のようにこれらの接続を2回に分けて行う必要はなく、1回のリフロー処理で2つの接続を同時に行うことができる。
【0031】
また、本発明では、貫通電極11を有するSCBチップ基板6をコンデンサ8に接続する仕組みとしたので、従来、回路基板を直接電極ピンに接しハンダで接続するという寸法上の理由から、その使用が難しいとされた、サイズがより小さなSCBチップ基板の使用が可能になる。
すなわち、従来使用が可能とされた回路基板の大きさは少なくとも3×2mm程度であったが、本発明によれば1.8×1mm以下と小さなSCBチップ基板、ひいてはSCBチップそのものの使用が可能になった。
というのは、従来の回路基板の場合、電極ピンの間隔が3.1mmと決まっていたため、少なくもと電極ピンを接続するためにはこれに相当する程度の長さが必要だったのであるが、本発明の場合、電極ピンとSCBチップの電極とを直接接続する必要がなくコンデンサの両端電極に接続するのに必要な長さがあれば良いので、コンデンサのサイズが2×1.25mmの場合、上記した1.8×1mmのSCBチップを使用することができるのである。
【0032】
以下、本発明の別の形態について説明する。
図4は、SCBチップ基板6に、上面電極14と側面電極16を設けた場合である。
図中、番号5は薄膜抵抗、6はSCBチップ基板、そして16がSCBチップ基板6の側面に設けた側面電極である。この側面電極16は上面電極14と接続しており、この側面電極16とコンデンサ電極20とを例えばハンダ付けすることにより、SCBチップ7とコンデンサ8を接続することができる。
【0033】
図5は、側面電極を用いる別例としてサイドスルーホール電極を用いた場合である。
図中、番号5は薄膜抵抗、6はSCBチップ基板、そして21がSCBチップ側面に設けた側面電極の一例としてのサイドスルーホール電極である。このサイドスルーホール電極21は、薄膜抵抗5を成膜する前に基板6にスルーホール電極を形成して、上面電極14および必要に応じて底面電極15と接続させ、薄膜抵抗5を成膜後、最終工程でチップに分割するときにこのスルーホール上を切断することで、半円形のサイドスルーホール電極21がSCBチップ基板6の側面に露出されて形成される。このサイドスルーホール電極21の形状は、円形だけでなく、マイクロブラストやレーザー加工などを用いることによって、任意の形状にすることができる。そして、この方法を用いれば、より簡便に側面電極を形成することができる。
【0034】
図示したとおり、サイドスルーホール電極21を設けることにより、薄膜抵抗5の両端電極17はSCBチップ基板6の上面電極14からサイドスルーホール電極21を介して底面電極15と電気的に接続することになる。
【0035】
また、SCBチップ基板6は、コンデンサ8の上に直接設置されているので、SCBチップ基板6の底面電極15およびサイドスルーホール電極21とコンデンサ電極20をハンダや導電ペーストで接続することにより、SCBチップ7とコンデンサ8とは電気的に接続することになる。
この場合、図6に示すように、底面電極15だけでなくサイドスルーホール電極21にもハンダや導電ペースト18を掛けることで、コンデンサ電極20との接続の役割を果たすことができ、特にサイドスルーホール電極21はハンダや導電ペーストによる接続状況を直接目視によって確認することができるので、接続の信頼性を保障する上で有利である。
また、サイドスルーホール電極21とコンデンサ電極20とが高い信頼性で接続されていれば、底面電極15を省略することもできる。
さらに、コンデンサ8の電極20と電極ピン9についても、同様にハンダ19で接続することができる(図2参照)。
【0036】
この場合も、コンデンサ8と電極ピン9との接続だけでなく、SCBチップ7とコンデンサ8との接続も、ハンダという同一の接続手段で接続することができるので、従来のようにこれらの接続を2回に分けて行う必要はなく、1回のリフロー処理で2つの接続を同時に行うことができる。
【0037】
図7に、薄膜抵抗5として絶縁層を含む積層構造を採用した場合の例を示す。SCBチップ上の薄膜抵抗の両端電極17と上面電極14との接続は、薄膜抵抗5が単層の場合はそのまま両端電極17と上面電極14が重なるようにすればよいが、薄膜抵抗5が複数層で、間に絶縁層22が含まれる場合は、両端電極17と上面電極14にまたがる位置にカバー電極23を設けることで両端電極17と上面電極14の導通を確保することができる。
【0038】
また、単層、複数層にかかわらず、カバー電極はワイヤーボンディングでSCBチップと電極ピンを接続する場合の接続面を提供するためにSCBチップ上に設置することもできる。さらに、カバー電極は、上面電極と底面電極の接続が貫通電極の場合と側面電極の場合のいずれに対しても用いることができる。なお、かかるワイヤーボンディング用の素材としてはAl、Au等が、一方カバー電極用の素材としてはAl、Au、Ni等が有利に適合する。
【0039】
図8に、電極ピン9とSCBチップ7との接続にワイヤーボンディング24を用いた例を示す。SCBチップ7とコンデンサ8との接続は前述したとおりである。
電極ピン9とSCBチップ7の接続は、前述した例ではコンデンサ8の電極20を介して行われていたが、上述したとおり、SCBチップ7のカバー電極23からワイヤーボンディング24を介して電極ピン9と接続することも可能である。
ハンダによる接続は、熱衝撃に対するクラックが発生しないように熱膨張係数を接続するもの同士で同レベルに合わせる必要があるが、ワイヤーボンディングを用いれば、熱膨張係数を合わせる必要が無く、SCBチップの材質の選択が容易になる。また、ヘッダー上の搭載位置の決定も、必ずしも電極ピンの間である必要がなくなるので、ヘッダーのデザインの自由度を増すこともできる。
【0040】
さらに、図9に、本発明の別の形態を示す。
この例は、一方の電極ピン9′がヘッダー金属部10に直接取り付けてあり、ガラス封止12により高い気密性を持ちながら、もう一方の電極ピン9と絶縁された構造を有するヘッダー上に、前述のコンデンサ8とSCBチップ7を搭載し、SCBチップ上の薄膜抵抗5の両端電極17のうち一方を電極ピン9へ、もう一方をヘッダー金属部10へ電気的に接続した例である。
薄膜抵抗5と電極ピン9およびヘッダー金属部10との接続には前述と同じく、ハンダや導電ペーストを用いてコンデンサ電極20を介して接続することができる。また、コンデンサ8の上に搭載された薄膜抵抗5の両端電極17からワイヤーボンディング24(図8参照)を介して電極ピン9およびヘッダー金属部10に接続することもできる。さらにはヘッダー金属部10との接続にはハンダまたは導電ペーストを用い、一方電極ピン9との接続にはワイヤーボンディング24を用いることもできる。いずれにしろ、前記電極ピン9とSCBチップ7の接続はコンデンサ電極20を通したハンダや導電ペーストでの接続か、チップからワイヤーボンディングを用いて接続するいずれの方法も使用することができる。このとき、電極ピンとSCBチップの接続方法と、SCBチップの貫通電極と側面電極の組み合わせは自由に選ぶことができる。
【0041】
このようにヘッダーの金属部と一方の電極ピンが接続された構造とすることにより、電極ピンとヘッダー金属部に静電気が印加された場合でも確実に誤発火が防げるようになる。また、前記2本の電極ピンを持つ構造の場合でも、一方の電極ピンをヘッダー金属部に電気的に接続するか、電極ピンとヘッダーの間に放電ギャップを設けることによって、ヘッダー金属部と電極ピンに静電気が印加されても誤発火を防ぐことができる。
【0042】
ところで、上記したようなSCBチップ付きコンデンサを、単にヘッダー上に載置した場合には、その厚み分の凹凸が生じることになる。
しかしながら、この場合には、図2に示したように、SCBチップ付きコンデンサ7を搭載するヘッダー領域を、少なくともコンデンサの厚み分だけ、好適にはSCBチップとコンデンサの両厚み分だけ下に穿ち、SCBチップ付きコンデンサ7の搭載領域の高さレベルを、周囲のヘッダーの高さレベルとほぼ同じにすれば、従来懸念された表面凹凸の発生を有利に解消することができる。さらにコンデンサ8の周辺にできる隙間は、樹脂を流し込んで固めることで、ヘッダーが薬剤に押し付けられる面の凹凸が軽減されるので、安定した着火感度を得ることができる。
【0043】
本発明のSCBチップの基板材質は、プリント回路基板として使用されるものであればいずれでも良いが、特にガラス基板、セラミック基板、LTCC(Low temperature Co-fired Multilayer Ceramic Substrates)およびシリコン基板等が好ましい。というのは、発熱抵抗体に通電することにより発熱抵抗体は発熱する。この熱を受けて火薬は、点火する温度である約300℃に達して発火する。それゆえ、基板材質としてはこのときの基板温度まで安定な材質であることが好ましいからである。
【0044】
また、本発明に用いて好適なコンデンサはセラミックコンデンサである。というのは、セラミックコンデンサはサイズが小さいだけでなく、静電気の波形に対して内部インピーダンスが同等容量の他のコンデンサよりも小さいからである。内部インピーダンスが小さいため、静電気が電極ピン間に印加された場合でも、SCBチップと並列に接続されているコンデンサに静電気エネルギーが効率よく吸収され、誤発火を防ぐことができる。
【0045】
かようなセラミックコンデンサとしては、容量が0.1μFから10μFまでのものが好ましく、より好ましくは0.2μFから2μF、さらに好ましくは0.5μFから1μFのものである。コンデンサの容量が小さすぎると静電気を吸収する能力が不足し、反対に大きすぎると着火のための電流がコンデンサに吸収され着火時間が遅くなるからである。
【0046】
本発明に使用する点火薬としては、その組成中にジルコニウムを含むものが好適である。その他、水素化チタンやボロン、トリシネート等を含むものも有利に適合する。また、その他に特開2002−362992号公報に開示のものが使用でき、特に限定されるものではない。そしてかかる点火薬に接触させて発熱抵抗体である薄膜抵抗を配置する。
【0047】
また、本発明では、SCBチップの上面に、あらかじめ点火薬組成物を塗布しておくこともできる。すなわち、薄膜抵抗の上面にスラリー状の点火薬をディスペンスし、乾燥させる。この点火薬組成物は粉末状の点火薬を単に充填した場合に比べると点火薬と薄膜抵抗の接触が安定であるため、確実な点火と点火時間の短縮に有効に寄与する。
【0048】
参考のため、本発明に従うスクイブの全体を、図10に断面で示す。
図10中、番号25が点火薬、26がSCBチップ付きコンデンサのコンデンサ電極とヘッダー金属部の短絡を防止するための絶縁用樹脂、そして27がカップ体、28が保護用樹脂カップである。
図10中、番号25が点火薬、26がSCBチップ付きコンデンサの周りの空隙に充填した樹脂、そして27がカップ体、28が保護用樹脂カップである。
【0049】
次に、本発明の点火装置を用いたエアバッグ用ガス発生装置について説明する。
図11に、エアバッグ用ガス発生装置の概念図を示す。同図に示したとおり、エアバッグ用ガス発生装置31は、その内部にスクイブ32、エンハンサー剤33、ガス発生剤34、フィルター35を有し、外部はガス発生剤34の燃焼圧力に耐え得る外郭容器36からなる。外郭容器36には、発生したガスをエアバッグ側に放出するための孔37が開けられている。
スクイブ32が作動すると、スクイブ32から発生する熱エネルギーでエンハンサー剤33が燃焼し火炎および熱粒子を発生する。この火炎および熱粒子によりガス発生剤34が燃焼し、エアバッグを膨らませるためのガスが発生する。このガスは、エアバッグの外郭容器36に開いた孔37から外部に放出されるが、このときフィルター35を通過させることで燃焼したガス発生剤の残渣が捕集されると同時にガス自身が冷却される。
【0050】
さらに、本発明の点火装置を用いたシートベルトプリテンショナー用ガス発生装置について説明する。
図12に、シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置(マイクロガスジェネレータ)の概念図を示す。同図に示したとおり、マイクロガスジェネレータ41は、その内部にスクイブ42とガス発生剤43を有し、スクイブ42はホルダーと呼ばれる基台44に固定されている。さらにガス発生剤43を格納するカップ体45も、ホルダーに例えばカシメによつて固定された構造になっている。スクイブ42が作動すると、スクイブ42からの火炎および熱粒子により、カップ体45内のガス発生剤43が燃焼してガスが発生する。
【0051】
次に、中央制御ユニットによる制御要領について説明する。
図13は、中央制御ユニット110と、4つのエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dとを接続したLAN化されたエアバッグシステムの例を示したものである。2つのエアバッグモジュール111bと111cは各々、例えばフロントエアバッグを膨張させるガス発生器を有することができ、他の2つのエアバッグモジュール111aと111dは各々、例えばサイドエアバッグを膨張させるガス発生器を有することができる。
【0052】
これらモジュールの各々に含まれるガス発生器内に点火装置が収納されていて、各点火装置は2つの電極ピン114,115を有し、電極ピン114が中央制御ユニット110に連絡された第1の電気供給導電体112に接続され、電極ピン115が中央制御ユニット110に連絡された第2の電気供給導電体113に接続されている。
【0053】
通常の動作状態、すなわち自動車が1以上のエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dを活性化することを求める特定の衝撃に巻き込まれていない時には、中央制御ユニット110は定期的に該電気供給導電体112,113に低い強度の電流を与え、この電流は電極ピン114と115を介して4つのエアバッグモジュール111a,111b,111c,111dの各々に含まれる点火装置の電気エネルギー蓄積手段(コンデンサー)に送られる。
【0054】
衝撃が生じて、例えばエアバッグ111cを活性化することが望ましい場合には、中央制御ユニット110は第1の電気供給導電体112にエアバッグモジュール111cの点火装置のための点火コマンドを構成する特有の電気パルスの列を送る。この特有の電気パルスの列は電極ピン114と115を介して各点火装置に送られるが、エアバッグモジュール111cの点火装置に含まれる相互通信手段のみがそのコマンドに反応して点火スイッチ手段と関連した電気エネルギー蓄積手段を活性化し、上述したように点火薬を起動せしめる。
【0055】
もし、衝撃に続いて幾つかのエアバッグモジュール、例えばエアバッグモジュール111a,111bを活性化することが望ましい場合には、中央制御ユニット110は、第1の電気供給導電体112にエアバッグモジュール111aと111bの各々に含まれる点火装置のための特有の電気パルスの列を与える。2つの点火装置の各々の動作は上述したとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0056】
【図1】従来の一般的なスクイブの平面図(a)および断面図(b)である。
【図2】本発明に従う好適スクイブの断面図である。
【図3】貫通電極を持つSCBチップの断面図(a)および平面図(b)である。
【図4】側面電極を持つSCBチップの断面図(a)および平面図(b)である。
【図5】側面電極としてサイドスルーホール電極を持つSCBチップの断面図(a)および平面図(b)である。
【図6】側面電極だけでなく底面電極にもハンダを掛けた状態を示した図である。
【図7】カバー電極を持つSCBチップの断面図(a)および平面図(b)である。
【図8】ワイヤーボンディングで電極ピンとSCBチップを接続した図である。
【図9】電極ピンのうち片方がアースされた構造のヘッダーに本発明のSCBチップとコンデンサを搭載した例の断面図である。
【図10】本発明に従うスクイブの全体図である。
【図11】エアバッグ用ガス発生装置の概念図である。
【図12】シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置の概念図である。
【図13】中央制御ユニットの説明図である。
【符号の説明】
【0057】
1 プリント回路基板
2 厚膜抵抗体
3 静電気保護デバイス
4 電極ピン
5 薄膜抵抗
6 基板
7 SCBチップ
8 コンデンサ
9,9′電極ピン
10 ヘッダー
11 貫通電極
12 封止ガラス
13 エポキシ樹脂
14 上面電極
15 底面電極
16 側面電極
17 両端電極
18 ハンダまたは導電ペースト
19 ハンダまたは導電ペースト
20 コンデンサ電極
21 サイドスルーホール電極
22 絶縁層
23 カバー電極
24 ワイヤーボンディング
25 点火薬
26 絶縁用樹脂
27 カップ体
28 保護用樹脂カップ
31 エアバッグ用ガス発生装置
32 スクイブ
33 エンハンサー剤
34 ガス発生剤
35 フィルター
36 外郭容器
37 孔
41 シートベルトプリテンショナー用ガス発生装置(マイクロガスジェネレータ)
42 スクイブ
43 ガス発生剤
44 基台(ホルダー)
45 カップ体
110 中央制御ユニット
111a〜111d エアバッグモジュール
114,115 電極ピン
【出願人】 【識別番号】000004086
【氏名又は名称】日本化薬株式会社
【出願日】 平成18年10月26日(2006.10.26)
【代理人】 【識別番号】100072051
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 興作

【識別番号】100107227
【弁理士】
【氏名又は名称】藤谷 史朗

【識別番号】100114292
【弁理士】
【氏名又は名称】来間 清志


【公開番号】 特開2008−107028(P2008−107028A)
【公開日】 平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願番号】 特願2006−291295(P2006−291295)