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【発明の名称】 操舵式標的装置
【発明者】 【氏名】大川 竜也

【氏名】澤田 拓

【氏名】伊藤 博之

【要約】 【課題】より複雑な動きを実現して、より臨場感を持った射撃訓練が可能な操舵式標的装置を提供する。

【解決手段】模擬訓練を行う場合、コントローラ部28を用いて離れた位置から操舵式の移動台車7を操作し、前進方向への直進、右旋回、左旋回、停止、後進方向への直進、右旋回、左旋回の走行が可能であるため、従来のように直線的に構成した軌道上の比較的単純な動作に限定されることがなく、複雑で様々な動きを伴う臨場感のある動作を模擬することができる。操舵式の移動台車7の複雑な動作に対しても、カメラ部8からの画像をモニタ29に表示させて周囲情報を取り入れながら操作することができるので、軌道を除くことによる障害の発生をなくすことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー模擬銃からのレーザー信号を受信したことを電気信号で出力するレーザー標的と、このレーザー標的を装着した標的制御器と、これらのレーザー標的および標的制御器を搭載した移動台車とを備えた操舵式標的装置において、前記移動台車は、無線信号により車輪を駆動停止および走行方向を変更可能な操舵式として構成したことを特徴とする操舵式標的装置。
【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
本発明は、射撃訓練をレーザー信号により摸擬して行う操舵式標的装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の標的装置として、標的に衝撃センサを付設し、この衝撃センサの出力信号に基づいて標的への着弾を判定すると共に着弾数を係数し、それを中央局装置で命中数等の評価データとして算出して射撃訓練結果を報告するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。
【0003】
また従来のこの種の標的装置は、図12に示したように予め設置した軌道26に沿って直線的に走行可能な移動台車25を配置し、この移動台車25上に標的制御器4およびレーザー標的23を搭載して構成されていた。このような標的装置は、例えば警察官や自衛官の射撃訓練において主に敵側の人員を想定し使用することが多く、その場合、標的装置を物影に移動させておき、訓練を受ける側の人員が現れてから移動台車25を所定の位置へと移動現出させてレーザー標的23を用いての訓練を行うのが効果的である。また軌道26は長手方向に所定長を持って構成した一単位を複数連結したり分離可能な構造とすることにより、訓練の状況に対応して移動台車25の動作範囲を任意に設定することが可能である。さらに軌道26の両端部には、移動台車25の底部に設けたセンサーで軌道端部を検知するためのセンサー金具27が設けており、この検出によって移動台車25を自動停止させて軌道26の両端部から外れることがないようにし、近傍を動く可能性のある訓練を受ける人員の安全を確保している。移動台車25の動作制御を行う移動台車制御器25aは、無線信号によるコントローラ部により制御が可能であるが、このコントローラ部による操作は移動台車25近傍から目視により軌道26上の安全を確認しながら行う必要がある。監視カメラの設備が整っている訓練場等においては、カメラ画像として視認できる範囲で遠隔からの操作が可能である。
【0004】
【特許文献1】特開平11−142097号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の標的装置は、移動台車25の動作は直線的に構成した軌道26上の比較的単純な動作に限定されるだけでなく、床上に設置した軌道26を全て物陰に隠すことは往々にして困難であり、軌道26を複数単位の連結してレーザー標的23を訓練を受ける側の人員から隠していても、物陰などに完全に隠すことができない長尺物の軌道26によって標的装置が配置されていることが予測できて効果的な訓練が行えなかったり、予め軌道26を設置しておくことが必要なために射撃訓練の運用状況に応じた迅速な対応が困難な場合が生じていた。
【0006】
本発明の目的は、より複雑な動きを実現して、より臨場感を持った射撃訓練が可能な操舵式標的装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による操舵式標的装置は上記目的を達成するために、レーザー模擬銃からのレーザー信号を受信したことを電気信号で出力するレーザー標的と、このレーザー標的を装着した標的制御器と、これらのレーザー標的および標的制御器を搭載した移動台車とを備えた操舵式標的装置において、前記移動台車は、無線信号により車輪を駆動停止および走行方向を変更可能な操舵式として構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明による操舵式標的装置は、コントローラ部を用いて無線信号により離れた位置から操舵式の移動台車を操作することができ、しかも、操舵式の移動台車は走行方向を変更可能、つまり前進方向への直進、右旋回、左旋回、後進方向への直進、右旋回、左旋回の走行が可能であるため、従来のように直線的に構成した軌道上の比較的単純な動作に限定されることがなく、複雑で様々な動きを伴う臨場感のある動作を模擬することができる。また、従来のように軌道を使用しないので射撃訓練の運用状況に応じた迅速な対応をとることができ、操舵式標的装置が近くに配置されていることを容易に予測することはできず、効果的な訓練を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図である。
前後に駆動車輪13および操舵車輪17を有する操舵式の移動台車7上に、この移動台車7を走行制御する移動台車制御器10と、その電源部11と、人型の上半身を立体的に模擬し所定の位置に複数のレーザー受信部1aを設けたレーザー標的1と、このレーザー標的1を回転もしくは上下動可能に支持した標的制御器4とを載置して構成している。レーザー標的1は、図示しない射撃訓練員が所持するレーザー模擬銃から照射したレーザー信号を受信したとき電気信号で出力し、それを保持したり他の管理装置へ送信したりして訓練射撃結果として活用するものである。
【0010】
図6は、操舵式標的装置用のコントローラ部28を示す斜視図である。
このコントローラ部28は、無線信号の送受により遠隔から操舵式の移動台車7の駆動または停止指令や方向変換指令、詳細を後述するカメラ部8による撮影画像の取得指令、また標的制御器4の回転や上下動などの動作指令を与えるボタン類31と、無線信号により受信した画像信号を表示するモニタ29とを有して構成している。
【0011】
図2および図3は、上述した操舵式の移動台車7の上面から見た斜視図および下面側から見た内部構造の斜視図である。
両側方にそれぞれ形成した起立部12には、後方部に一対の駆動車輪13と、前方部に一対の操舵車輪17が可回転的に取り付けられている。この操舵式の移動台車7の前方および後方の各々一箇所にはカメラ部8を設けており、このカメラ部8で撮影された画像は標的制御器4の画像処理部を経由して、図6に示したコントローラ部28のモニタ29で操舵式の移動台車7の前方および後方の視認確認を行いながらの操作が可能となっている。また操舵式の移動台車7の前後および左右には複数の超音波センサー9を設けており、これらのセンサー9を用いて人物、壁、障害物などを標的制御器4の障害物認識部により検知した場合、移動台車7を停止させて衝突を回避できるようにしている。
【0012】
一対の駆動車輪13を取り付けた車輪軸30の途中にはウォームホイール14が結合されており、近傍に配置した駆動モーター15のウォーム16と連結されている。この駆動モーター15は移動台車制御器10からの電気信号で前進駆動、停止、後退駆動の制御を受け、移動台車7の駆動力を駆動車輪13に伝達するようにしている。これに対して一対の操舵車輪17は、その走行方法を調整可能にレバー部18によって起立部12に支持されると共に、一対のレバー部18間を中間にラック20を有するリンク部19によって連結している。ラック20に噛み合ったピニオン22を結合した操舵用モーター21が近傍に取り付けられており、この操舵用モーター21を移動台車制御器10で制御することにより操舵車輪17の走行方向を変えることができるようにしている。このようにして移動台車7は、前進方向への直進、右旋回、左旋回、停止、後進方向への直進、右旋回、左旋回の走行が可能となっている。
【0013】
操舵式の移動台車7の上面側の後方には、移動台車制御器10および電源部11が搭載され、移動台車制御器10は、後述する標的制御器4を経由して移動台車7に対する指令を受け、駆動車輪13および操舵車輪17の制御や電源部11の入り切りを行う。また電源部11は、駆動モーター15、操舵用モーター21および移動台車制御器10への電源供給を行っている。この電源部11は箱型シャーシ内に鉛蓄電池と充電回路が組み込まれて構成されており、充電時には箱型シャーシ単位で操舵式の移動台車7から分離することができ、AC100V電源コンセント近くに移動し充電することが可能である。
【0014】
図4は、操舵式移動台車7の上面側の前方に搭載する標的制御器4を示す斜視図である。
標的制御器4は、回転可能に支持した駆動軸32を有する駆動支持部4aと、この駆動軸32に回転方向の駆動力を与える駆動機構部4bと、コントローラ部28からの指令を受けて駆動機構部4bを駆動したりする標的制御器4の着脱式電源部4cなどを有して構成され、駆動軸32の頂部に取付部6を形成している。
【0015】
図5は、上述した駆動軸32の頂部の取付部6にレーザー標的1を取り付けた状態を示す斜視図である。
人型の上半身を立体的に模擬したレーザー標的1には複数のレーザー受信部1aが設けられ、訓練員が所持するレーザー模擬銃から照射されたレーザー光がそれらのレーザー受信部1aで受光されたときの出力信号は、標的制御器4に訓練データとして蓄積したり、または他の位置に設けた管理装置の記憶部に記憶させ、解析を加えて訓練結果として出力することができる。
【0016】
このような操舵式標的装置を用いて模擬訓練を行う場合、コントローラ部28を用いて離れた位置から操舵式の移動台車7を操作する。このとき、操舵式の移動台車7は前進方向への直進、右旋回、左旋回、停止、後進方向への直進、右旋回、左旋回の走行が可能であるため、その指令をコントローラ部28から無線信号で与えると、これを標的制御器4が受信し、与えられた指令により駆動機構部4b、移動台車制御器10を経由して移動台車7を駆動する。このときの移動台車7の動作は、従来のように直線的に構成した軌道上の比較的単純な動作に限定されることがなく、複雑で様々な動きを伴う臨場感のある動作を模擬することができる。しかも、操舵式の移動台車7の複雑な動作に対しても、カメラ部8からの画像をモニタ29に表示させて周囲情報を取り入れながら操作指令を与えることができるので、軌道を除くことによる障害の発生はない。
【0017】
また、操舵式標的装置を物陰に配置し、訓練を受ける側の人員から隠しておいてから模擬訓練を行う場合でも、コントローラ部28を用いて標的制御器4の駆動機構部4bを操作し、レーザー標的1を回転させることもできるし、操舵式の移動台車7の前後および左右には複数の超音波センサー9を設けており、これらの超音波センサー9を用いて人物、壁、障害物などを標的制御器4の障害物認識部により検知した場合、操舵式の移動台車7を停止させて衝突を回避しながらふさわしい位置に移動させることができるので、射撃訓練の運用状況に応じた迅速な対応をとることができる。また、従来のように周辺に軌道が無いので操舵式標的装置が近くに配置されていることを容易に予測することはできず、効果的な訓練が行える。
【0018】
図4に示した標的制御器4は、回転可能な駆動軸32を有して構成したが、図7に示すように上下動可能な駆動軸を設け、この駆動軸の頂部に取付部6を形成した標的制御器4とし、この取付部6にレーザー標的1を取り付けるようにしたりすることもできる。
【0019】
上述したような様々な構成の標的制御器4における取付部6にレーザー標的1を取り付けることになるが、このレーザー標的1としては図1および図5に示したように人型の上半身つまり腰から上の部分を立体的に模擬したものでも良いし、図8および図9に示したように人型の上半身、この場合は胸から上の部分を立体的に模擬したものでも良い。図8は図7に示した標的制御器4に腰から上の部分を立体的に模擬したレーザー標的1を取り付けた状態、また図9はそれらを操舵式の移動台車7上に搭載して構成した操舵式標的装置を示したもので、図1との同等物に同一符号を付けて詳細な説明を省略するが、ほぼ同様の効果を得ることができる。
【0020】
図10は、本発明の他の実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図であり、先の実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、相違部分についてのみ説明する。
上述した図1のレーザー標的1は、人型の腰から上の部分を立体的に模擬し所定の位置に複数のレーザー受信部1aを設けているが、ここでのレーザー標的23は、人型の腰から上の部分を平面的に模擬し、しかも、幾つかの区分毎にレーザー光を受けたとき電気信号を出力するパネル状のレーザー受光部23a,23b,23nを用いて構成したものである。このレーザー標的23の一部、例えば肩部に相当する部分にはカメラ部8を取り付けている。このカメラ部8によって比較的高い位置からの映像情報を取得することができるので、この映像を見ながら移動台車7の操作をさらに遠隔から効果的に行うことができる。このような操舵式標的装置によっても、図1に示した実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0021】
図11は、本発明のさらに他の実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図であり、先の実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略し、相違部分についてのみ説明する。
ここでのレーザー標的23は、図9に示した立体型のレーザー標的1を平面型に構成したもので、人型の胸から上の部分を平面的に模擬し、しかも、幾つかの区分毎にレーザー光を受けたとき電気信号を出力するパネル状のレーザー受光部23a,23b,23nを用いて構成したものである。このレーザー標的23の一部、例えば肩部に相当する部分にはカメラ部8を取り付けており、このカメラ部8によって比較的高い位置からの映像情報を取得することができるので、この映像を見ながら操舵式の移動台車7の操作をさらに遠隔から効果的に行うことができる。このような操舵式標的装置は、図9で説明した実施の形態の場合とほぼ同様の効果を得ることができる。
【0022】
従来の標的装置は、カメラ設備が整っていない場所で使用する場合、移動台車の付近の状況を目視確認できるような近傍からの操作となるため、射撃訓練参加者以外の人員が訓練状況にいて臨場感が低下するが、図10および図11に示したようにカメラ部8によって比較的高い位置からの映像情報を取得することができるので、この映像を見ながら操舵式の移動台車7の操作をさらに遠隔から効果的に行うことができるようになり、訓練状況から離れた位置からふさわしい操作を行って臨場感に溢れた訓練を行うことができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明による操舵式標的装置は、その構成部品を集約的に構成したり、その他の形状にまとめた操舵式標的装置にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態による操舵式標的装置の斜視図である。
【図2】図1に示した操舵式標的装置における操舵式の移動台車を上部から見た斜視図である。
【図3】図1に示した操舵式標的装置における操舵式の移動台車を下部から見た斜視図である。
【図4】図1に示した操舵式標的装置における標的駆動制御器を示す斜視図である。
【図5】図4に示した標的駆動制御器にレーザー標的を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図6】図1に示した操舵式標的装置に指令を与えるコントローラ部を示す斜視図である。
【図7】本発明の他の実施の形態による操舵式標的装置における標的駆動制御器を示す斜視図である。
【図8】図7に示した標的駆動制御器にレーザー標的を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図9】発明の他の実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図である。
【図10】本発明のさらに他の実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図である。
【図11】本発明のさらに他の実施の形態による操舵式標的装置を示す斜視図である。
【図12】従来の標的装置を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0025】
1 レーザー標的
1a レーザー受信部
4 標的制御器
7 移動台車
8 カメラ部
9 超音波センサー
10 移動台車制御器
11 電源部
13 駆動車輪
17 操舵車輪
32 駆動軸
28 コントローラ部
【出願人】 【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
【出願日】 平成18年9月21日(2006.9.21)
【代理人】 【識別番号】100093872
【弁理士】
【氏名又は名称】高崎 芳紘


【公開番号】 特開2008−75970(P2008−75970A)
【公開日】 平成20年4月3日(2008.4.3)
【出願番号】 特願2006−255911(P2006−255911)