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【発明の名称】 銃の伸縮式銃床
【発明者】 【氏名】後藤 英之

【要約】 【課題】銃床の長さを容易にかつ迅速に変更することができてしかも故障を生じにくい構成簡易な銃の伸縮式銃床を提供する。

【構成】銃の機関部に装着可能な銃床前部体2の嵌挿孔7に銃床後部体3の挿入杆25を嵌挿し、銃床後部体3に開口窓29aによって開口している操作空間30を設け、挿入杆25の前端部に収容空間35を設けると共に収容空間と操作空間の間に貫通孔45を設け、挿入杆25の前端部に内外方向のピン孔37を設け、嵌挿孔内面に複数のピン嵌合孔17を設け、一対のピン孔37に夫々係合ピン40を嵌合させ、貫通孔に操作棒48を嵌挿すると共にバネ49によって前方へ付勢し、操作棒48の前端部に係合ピンをピン嵌合孔に係合離脱させるカム部材50を設け、操作棒48の後端部に操作部材55を設けてある伸縮式銃床。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前端部を銃の機関部に装着可能な銃床前部体に後端部に開口する前後方向の嵌挿孔を設け、その嵌挿孔に銃床後部体の挿入杆を前後方向へ移動可能に嵌挿し、挿入杆を嵌挿孔に所定量挿入した状態で挿入杆を銃床前部体に固定するようにしてある銃の伸縮式銃床において、銃床後部体に前方が開口窓によって開口している操作空間を設け、挿入杆の前端部に収容空間を設けて環状のピン保持壁を形成すると共に挿入杆の収容空間と操作空間の間に前後方向の貫通孔を設け、ピン保持壁の相対向する両側位置に内外方向へ貫通する一対のピン孔を夫々設け、嵌挿孔の内面に長手方向に間隔をあけて一対のピン孔と夫々重合可能な複数のピン嵌合孔を設け、一対のピン孔に夫々ピン嵌合孔に係脱可能な係合ピンをピン孔軸線方向へ移動可能に嵌合させ、挿入杆の貫通孔に操作棒を前後移動可能に嵌挿すると共にバネによって付勢して位置規制し、操作棒の前端部に収容空間に位置されて自体の前後移動により係合ピンをピン孔軸線方向へ移動させてピン嵌合孔に係脱させるカム部材を設け、操作空間内に一部が開口窓から露出して操作棒を前後移動可能な操作部材を備えている銃の伸縮式銃床。
【請求項2】
銃床前部体を樹脂製の前部本体と前部本体に形成された嵌合孔に嵌着された金属製の嵌挿孔形成体によって構成し、嵌挿孔形成体の相対向する周壁にピン嵌合孔を設けてある請求項1記載の銃の伸縮式銃床。
【請求項3】
一対の係合ピンを互いに遠ざかる外方向へ付勢し、カム部材に挿入杆の摺動方向に対して傾斜して一対の係合ピンに設けた突起部を案内可能なカム溝を設け、カム部材の前後移動により一対の係合ピンを内側へ接近させるようにしてある請求項1または2記載の銃の伸縮式銃床。
【請求項4】
挿入杆の貫通孔の後部と前部の一方を小径孔に他方を大径孔に形成して中間部に段部を設け、操作棒の後部と前部の一方を小径部に他方を大径部に形成して中間部に段部を設け、挿入杆の段部と操作棒の段部の間にバネを介在させて挿入杆を前後方向へ付勢して成る請求項1乃至3の何れかに記載の銃の伸縮式銃床。


【発明の詳細な説明】【技術分野】
【0001】
この発明は、銃の全長を変更可能な銃の伸縮式銃床に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の銃の伸縮式銃床としては、特許文献1〜3に記載のものが提案されている。
特許文献1には、レシーバに回動可能に枢着されている挿入部材に銃床を構成する肩当部材に設けた腕部の挿入孔を摺動自在に嵌合させ、肩当部材の下側に係脱片を露出状態に枢支してスプリングで付勢し、その係脱片を挿入部材の下側に形成された切欠部に離脱可能に係合させ、係脱片を切欠部から離脱させることで肩当部材の挿入孔を挿入部材に摺動させて肩当部材肩当部材ることで銃床の長さを変更するようになっている。
【0003】
特許文献2には、グリップ部に後方へ突出する平行な一対の支持筒を設け、これらの支持筒内に銃床を構成する肩当部材に設けた一対の支持ロッドを摺動可能に嵌挿させ、一対の支持筒の後端部の対向側に螺合された螺子を一対の支持ロッドの対向側に形成された係止溝に係合させ、螺子を係止溝から離脱させることで支持ロッドを支持筒内に摺動させて銃床の長さを変更するようになっている。
特許文献3には、レシーバ側部材に肩当部材の軸部を前後摺動可能に設け、レシーバ側部材に前後方向に間隔を有する複数の係合部を備えたレールを設け、肩当部材に前後方向のロッキング軸を回動可能に設け、ロッキング軸にハンドルとロック片を設け、ハンドルによってロッキング軸を回動させてロック片をレールの係合部に係脱させるようになっている。
【0004】
【特許文献1】米国特許明細書第4513522号
【特許文献2】米国特許明細書第6560911号
【特許文献3】国際公開公報WO2005/119161号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載のものは、肩当部材の下側に装着した係脱片を挿入部材の下側に形成された切欠部に離脱可能に係合させているので、レシーバに枢着されている挿入部材と肩当部材に設けた腕部との係止が腕部の片側のみで行われることになり、弾丸発射の衝撃を受止め際に挿入部材と腕部の係止が不安定になり、しかも枢支した係脱片によって係止するので、係脱片の枢支部に大きな力が作用し、故障を生じやすい問題がある。また、係脱片やスプリングが肩当部材の下側に露出状態に装着されているので、スプリングに異物が食い込んで故障を生じ易い問題がある。
【0006】
特許文献2に記載のものは、グリップ部に設けた平行な一対の支持筒に肩当部材に設けた一対の支持ロッドを摺動可能に嵌挿させているので、一対の支持筒に対して一対の支持ロッドを摺動させる際にこじり現象を起こし易く、肩当部材を円滑に摺動させにくい問題があり、しかも、一対の支持筒に設けた一対の螺子を一対の支持ロッドの係止溝に係合させて両者を係止しているので、銃床の長さを変更する際に、一対の螺子を夫々回動操作する必要があり、銃床の長さ変更に面倒な作業と長い時間を要する問題がある。
特許文献3に記載のものは、肩当部材に回動可能に設けたロッキング軸を回動させてロッキング軸のロック片をレールの係合部に係脱させるようになっているので、ロック片と係合部の係脱のためにロッキング軸を回動させる必要があり、操作が面倒である問題がある。また、肩当部材の軸部の片側で係止するので、レシーバ側部材と肩当部材の軸部との係止が不安定になり易い問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、前記各特許文献の課題に鑑み、銃床の長さを容易にかつ迅速に変更することができてしかも故障を生じにくい構成簡易な銃の伸縮式銃床を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の請求項1の発明は、前記課題を達成するため、前端部を銃の機関部に装着可能な銃床前部体に後端部に開口する前後方向の嵌挿孔を設け、その嵌挿孔に銃床後部体の挿入杆を前後方向へ移動可能に嵌挿し、挿入杆を嵌挿孔に所定量挿入した状態で挿入杆を銃床前部体に固定するようにしてある銃の伸縮式銃床において、銃床後部体に前方が開口窓によって開口している操作空間を設け、挿入杆の前端部に収容空間を設けて環状のピン保持壁を形成すると共に挿入杆の収容空間と操作空間の間に前後方向の貫通孔を設け、ピン保持壁の相対向する両側位置に内外方向へ貫通する一対のピン孔を夫々設け、嵌挿孔の内面に長手方向に間隔をあけて一対のピン孔と夫々重合可能な複数のピン嵌合孔を設け、一対のピン孔に夫々ピン嵌合孔に係脱可能な係合ピンをピン孔軸線方向へ移動可能に嵌合させ、挿入杆の貫通孔に操作棒を前後移動可能に嵌挿すると共にバネによって付勢して位置規制し、操作棒の前端部に収容空間に位置されて自体の前後移動により係合ピンをピン孔軸線方向へ移動させてピン嵌合孔に係脱させるカム部材を設け、操作空間内に一部が開口窓から露出して操作棒を前後移動可能な操作部材を備えていることを特徴とする。
また、請求項2の発明は、銃床前部体を樹脂製の前部本体と前部本体に形成された嵌合孔に嵌着された金属製の嵌挿孔形成体によって構成し、嵌挿孔形成体の相対向する周壁にピン嵌合孔を設けてある請求項1記載の銃の伸縮式銃床。
【0009】
また、請求項3の発明は、一対の係合ピンを互いに遠ざかる外方向へ付勢し、カム部材に挿入杆の摺動方向に対して傾斜して一対の係合ピンに設けた突起部を案内可能なカム溝を設け、カム部材の前後移動により一対の係合ピンを内側へ接近させるようにしてあることを特徴とする。
また、請求項4の発明は、挿入杆の貫通孔の後部と前部の一方を小径孔に他方を大径孔に形成して中間部に段部を設け、操作棒の後部と前部の一方を小径部に他方を大径部に形成して中間部に段部を設け、挿入杆の段部と操作棒の段部の間にバネを介在させて挿入杆を前後方向へ付勢して成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本願の請求項1の発明は、銃床後部体に前方が開口窓によって開口している操作空間を設け、挿入杆の前端部に収容空間を設けて環状のピン保持壁を形成すると共に挿入杆の収容空間と操作空間の間に前後方向の貫通孔を設け、ピン保持壁の相対向する両側位置に内外方向へ貫通する一対のピン孔を夫々設け、嵌挿孔の内面に長手方向に間隔をあけて一対のピン孔と夫々重合可能な複数のピン嵌合孔を設け、一対のピン孔に夫々ピン嵌合孔に係脱可能な係合ピンをピン孔軸線方向へ移動可能に嵌合させているので、銃床後部体の挿入杆と銃床前部体とを挿入杆の両側の係合ピンとピン孔によって安定状態で確実に係止できて故障の発生を防止でき、また、係合ピンとピン孔の係合を離脱させることで、銃床後部体の挿入杆を銃床前部体の嵌挿孔に円滑に摺動させることができ、銃床の伸縮動作を容易にできる。
また、挿入杆の貫通孔に操作棒を前後移動可能に嵌挿すると共にバネによって付勢して位置規制し、操作棒の前端部に収容空間に位置されて自体の前後移動により係合ピンをピン孔軸線方向へ移動させてピン嵌合孔に係脱させるカム部材を設け、操作空間内に一部が開口窓から露出して操作棒を前後移動可能な操作部材を備えているので、銃床後部体を握った手の指で操作部材を操作することで、一対の係合ピンを一対のピン孔から離脱させることができ、また、操作部材の操作を解除することで、一対の係合ピンを一対のピン孔にバネによって係合せることができ、一対の係合ピンと一対のピン孔の係脱を簡易迅速にできて銃床の長さを容易にかつ迅速に変更することができる。
【0011】
本願の請求項2の発明は、銃床前部体を樹脂製の前部本体と前部本体に形成された嵌合孔に嵌着された金属製の嵌挿孔形成体によって構成し、嵌挿孔形成体の相対向する周壁にピン嵌合孔を設けているので、質量を小さくできてしかも弾丸発射の衝撃の受止めに耐える剛性の大きな伸縮式銃床を提供できる。
本願の請求項3の発明は、一対の係合ピンを互いに遠ざかる外方向へ付勢し、カム部材に挿入杆の摺動方向に対して傾斜して一対の係合ピンに設けた突起部を案内可能なカム溝を設け、カム部材の後退移動により一対の係合ピンを内側へ接近させるようにしてあるので、一対の係合ピンと一対のピン孔の係脱機構を簡易な構成にでき、また、カム部材の前進移動によりカム溝が一対の係合ピンを一対のピン嵌合孔に係合させることができ、操作部材の前後位置によって一対の係合ピンと一対のピン孔の係合を目視にて確認できる。
【0012】
本願の請求項4の発明は、挿入杆の貫通孔の後部と前部の一方を小径孔に他方を大径孔に形成して中間部に段部を設け、操作棒の後部と前部の一方を小径部に他方を大径部に形成して中間部に段部を設け、挿入杆の段部と操作棒の段部の間にバネを介在させて挿入杆を前後方向へ付勢しているので、挿入杆を付勢するバネを外部から閉鎖された空間に収納でき、バネへの異物混入を防止できて銃床の伸縮機構の故障を防止でき、機能の信頼性を高くできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
次に、本発明の最良の実施形態について、図に基づいて詳細に説明する。
図1は、銃の伸縮式銃床を示す斜視図、図2は、銃の伸縮式銃床を示す断面図、図3は、銃の伸縮式銃床の作動状態を示す断面図である。銃の伸縮式銃床1は、前端部2aを図示しない銃の機関部に装着可能な銃床前部体2と、銃床前部体2に前後方向へ伸縮可能に装着してある銃床後部体3とを備えている。
銃床前部体2は、後端部に開口する前後方向の嵌合孔4を有する樹脂製の前部本体5と前部本体5の嵌合孔4に嵌着された金属製の筒状の嵌挿孔形成体6によって構成され、嵌挿孔形成体6が銃床前部体2にその後端部に開口する前後方向の嵌挿孔7を形成している。また、銃床前部体2の前部本体5には、前端部に図示しない機関部の嵌合部に嵌合可能な嵌合凹部10が形成され、嵌合凹部10と嵌合孔4との間の仕切壁12に取付ねじ15が抜止めされた状態で回転自在に保持されている。銃床前部体2(嵌挿孔形成体6と前部本体5)には、嵌挿孔7の内面に、銃床後部体3に設ける後述の一対のピン孔37と重合可能な一対のピン嵌合孔17が長手方向に間隔をあけて夫々複数設けられている。また、銃床前部体2(嵌挿孔形成体6と前部本体5)の後端部上側には、銃床後部体3に設ける係合溝25aに臨んで銃床後部体3の抜止めをする係止ねじ20が螺着されている。
【0014】
銃床後部体3は、周知の形状に形成されている樹脂製または金属製の肩当本体23とその肩当本体23から前方へ突設されている樹脂製または金属製の挿入杆25とで構成されている。挿入杆25には軽量化する為に上下一対の孔が設けられている。肩当本体23は、複数の装着孔26aを有すると共に中心部に取付孔26bを有する硬質樹脂製の基盤26と、基盤26の後側に装着孔26aを用いて一体に装着されている軟質樹脂製の肩当部材27と、基盤26の前側に取付孔26bに挿入された取付ねじ28によって取着されている樹脂製の肩当前部材29とで構成されている。肩当本体23には、基盤26と肩当前部材29の間に肩当前部材29の開口窓29aによって前方が開口している操作空間30が設けられている。また、肩当前部材29には、上側壁にU字状の引掛金具31が固着されている。肩当前部材29の両側の中間部側壁には係止窓29bが形成され、これらの係止窓29bにねじ孔32aを備えた金属製の取付金具32が抜止状態に架設され、取付金具32のねじ孔32aに取付ねじ28が螺合されて肩当前部材29が基盤26に固着されている。
【0015】
前記挿入杆25は、肩当前部材29から前方へ突出するように一体に成形され、銃床前部体2の嵌挿孔7に摺動可能に嵌挿されている。挿入杆25には、前端部に前方が開口している収容空間35を設けて環状のピン保持壁36が形成されている。ピン保持壁36には、相対向する上下両側位置に内外方向へ貫通する一対のピン孔37が夫々設けられ、一対のピン孔37に前記ピン嵌合孔17に係脱可能な一対の係合ピン40が夫々ピン孔軸線方向へ移動可能に嵌合されている。一対の係合ピン40は、両者間に介在されたバネ42によって互いに遠ざかる外方向へ付勢されて選択された位置の一対のピン嵌合孔17に係合されている。また、挿入杆25には、収容空間35と前記肩当本体23の操作空間30の間に両空間に開口する前後方向の貫通孔45が設けられ、この貫通孔45に金属製の操作棒48が前後移動可能に嵌挿されている。挿入杆25の貫通孔45には、後部を小径孔45aに前部を大径孔45bに形成して中間部に段部45cを設け、操作棒48には、後部を小径部48aに前部を大径部48bに形成して中間部に段部48cが設けられている。挿入杆25の段部45cと操作棒48の段部48cの間には、圧縮状態のバネ49が介在されて操作棒48を前方へ付勢している。挿入杆25の上側外周には抜止用の係合溝25aが形成され、この係合溝25aに銃床前部体2の後端部に螺合された係止ねじ20が臨んで銃床後部体3の挿入杆25が銃床前部体2の嵌挿孔7から抜けないようにしてある。
【0016】
操作棒48の前端部には、操作空間30に位置されて自体の前後移動により係合ピン40をピン孔軸線方向へ移動させてピン嵌合孔17に係合離脱させるカム部材50が設けられている。カム部材50には、図4に示すように、一対の係合ピン40の両側方に位置するカム板部50aを備え、これらのカム板部50aに挿入杆25の摺動方向(前後方向)に対して傾斜して一対の係合ピン40の両側に設けた突起部40aを案内可能なカム溝52が設けられ、カム部材50の後退移動により一対の係合ピン40を内側へ接近移動させるようにしてある。
操作棒48の後端部には、肩当本体23の操作空間30内に位置されて一部が開口窓29aから露出する操作部材55が取付ねじ56によって固定的に設けてある。操作部材55は、操作棒48を前方へ付勢するバネ49の付勢力によって前方へ付勢され、挿入杆25の後端面であるストッパ25bに当接されて位置規制されている。開口窓29aから露出する操作部材55の一部である操作部55aは、開口窓29aから適当量前方へ突出し、肩当本体23の下部を握った手の指で操作部55aを後方へ押すことによって操作棒48をバネ49の付勢力に抗して後方へ移動できるようになっている。
【0017】
次に、前記伸縮式銃床1の作動について説明する。
先ず、伸縮式銃床1を使用する場合は、銃床前部体2の前端部の嵌合凹部10を図示しない銃の機関部の嵌合部に嵌合させて取付ねじ15によって銃床前部体2を銃の機関部に固着する。
次に、銃床後部体3の肩当本体23を握った手の指で操作部材55の操作部55aを後方へ押して操作棒48をバネ49の付勢力に抗して後方へ移動させる。この操作棒48の後方移動によって、図3に示すように、カム部材50が後方へ移動され、その結果、両側のカム板部50aのカム溝52が係合ピン40の両側の突起部40aを案内して一対の係合ピン40を内側へ接近移動させ、一対の係合ピン40を一対のピン嵌合孔17から離脱させる。この状態で、銃床後部体3を銃床前部体2に対して前後移動させて挿入杆25を嵌挿孔7内で前後摺動させ、一対の係合ピン40を所望位置の一対のピン嵌合孔17に対向させ、その位置で操作部55aの後方押込みを解除する。この操作部55aの後方押込みの解除によって、操作棒48がバネ49の付勢力によって前方へ移動され、カム部材50も前方へ移動され、両側のカム板部50aのカム溝52が係合ピン40の両側の突起部40aを案内して一対の係合ピン40を外側へ離反移動させ、一対の係合ピン40を対応する一対のピン嵌合孔17に係合させる。従って、銃床後部体3の挿入杆25と銃床前部体2(嵌挿孔形成体6と前部本体5)の前後移動が挿入杆25の上下両側で確実に安定して係止され、弾丸発射による衝撃を確実に受止めることができる。
【0018】
銃床後部体3の挿入杆25を銃床前部体2の嵌挿孔7内で前後摺動させる場合、銃床前部体2に設けた係止ねじ20が挿入杆25に設けた係合溝25aに臨んでいるので、銃床後部体3の挿入杆25が銃床前部体2の嵌挿孔7から抜けることがなく、銃床前部体2に対する銃床後部体3の位置調整を容易にできる。また、一対の係合ピン40を所望位置の一対のピン嵌合孔17に対向させる場合、挿入杆25の外周等に各対応位置を示す目印を表示しておくことでその位置調整を容易にできる。また、銃床後部体3に、引金ガードと同様に、開口窓29aから突出している操作部55aの前方を囲むようにガードを一体的に設け、操作部55aの誤操作をガードによって防ぐようにすることが好ましい。
以上のように、前記伸縮式銃床1においては、銃床後部体3の肩当本体23を握る手の指で操作部材55の操作部55aを押込んだり押込みを解除したりする簡単な操作によって、一対の係合ピン40を一対のピン嵌合孔17に係脱させることができ、伸縮式銃床1の長さの変更を容易にかつ迅速に行うことができる。また、銃床前部体2の前部本体5や銃床後部体3を樹脂製としているので、伸縮式銃床1の質量を小さくでき、しかも、金属製の嵌挿孔形成体6の両側に夫々ピン嵌合孔17を設けているので、銃床前部体2と銃床後部体3の前後方向の係合を強固にできる。また、操作棒を付勢するバネ49を貫通孔45内の外部から閉鎖された空間に収納しているので、バネ49への異物混入を防止でき、バネ作動を安定させて伸縮機構の故障を防止できる。
【0019】
なお、前記実施態様では、操作空間内に操作棒の後端部に固着して一部が開口窓から露出する操作部材を備え、操作部材を後方へ押すことで操作棒を後方へ移動させて係合ピンをピン嵌合孔から離脱させるようにしているが、操作空間内に中間部を肩当前部材29に枢着して下端側の一部を開口窓から露出させた操作部材を備え、操作部材の上端部を操作棒の後端部にピンと長孔を介して連結し、操作部材の下端部を引金操作のように後方へ指で押す(指で引く)ことで操作棒を前方へ移動させ、この操作棒の前方移動により係合ピンをピン嵌合孔から離脱させるようにしても良く、この場合には、貫通孔と操作棒の径の大小を前後逆にしてバネによって操作棒を後方へ付勢すると共に、カム部材のカム溝の傾斜方向を逆にして一対のカム溝が前端に向けて遠ざかるように設け、操作部材により操作棒を前方へ移動させるとカム部材が係合ピンをピン嵌合孔から離脱させるようにすることで実施できる。また、前記実施態様では、伸縮式銃床を銃の機関部に固定的に設けるものを示しているが、特許文献1に開示されているように、伸縮式銃床を銃の機関部に屈折可能に軸着するものにも同様に実施できるものである。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の実施形態を示す銃の伸縮式銃床の斜視図である。
【図2】図1の伸縮式銃床の縦断面図である。
【図3】図1の伸縮式銃床の作動を示す縦断面図である。
【図4】図2のA−A線断面図である。
【符号の説明】
【0021】
1 :伸縮式銃床
2 :銃床前部体
3 :銃床後部体
4 :嵌合孔
5 :前部本体
6 :嵌挿孔形成体
7 :嵌挿孔
17 :ピン嵌合孔
23 :肩当本体
25 :挿入杆
29a:開口窓
30 :操作空間
35 :収容空間
36 :ピン保持壁
37 :ピン孔
40 :係合ピン
45 :貫通孔
45c:段部
48 :操作棒
48c:段部
49 :バネ
50 :カム部材
52 :カム溝
55 :操作部材
【出願人】 【識別番号】000241588
【氏名又は名称】豊和工業株式会社
【出願日】 平成18年6月28日(2006.6.28)
【代理人】
【公開番号】 特開2008−8525(P2008−8525A)
【公開日】 平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願番号】 特願2006−177552(P2006−177552)